ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

17 / 66
ア・バオア・クー攻防戦

 期末テストが無事終了し、7月も後半となり、学生達は1か月以上もある夏休みに入る。

 期末テストを乗り越えた龍牙は出された宿題から全力で目を反らして部室かGBNに入り浸っている。

 その日は全国大会前の部活の活動日で大我や正式な部員ではない諒真や愛依以外は部室に集まっている。

 

「そう言えばそろそろあの時期ですよね」

 

 ふと冬弥が切りだす。

 GBNでは定期イベントとして星鳳高校も出る全国大会以外にも色々とイベントが開催されている。

 この時期にも学生の夏休みに合わせて大規模なイベントが毎年開催される。

 

「そうね。今年のイベントは……」

 

 静流が部室のPCからGBNの公式ホームページを開きイベントの詳細を確認する。

 この時期のイベントは毎年内容が違う。

 

「今年は5人で1チームになってア・バオア・クー宙域での大規模バトルのようね」

 

 静流は皆にもイベントのページを見せる。

 今年は大規模バトルのようで戦場はア・バオア・クー宙域との事だ。

 詳しいルールを見ると各自は5人で1チームとなり、連邦側とジオン側に分かれて戦闘を行う。

 勝利条件は共通の条件が全ガンプラの殲滅で連邦側はア・バオア・クー要塞の陥落、ジオン側は連邦側の母艦の殲滅だ。

 それぞれのチームがエントリー時に連邦とジオンのどちらかを選択して連邦側の敗北条件の母艦は連邦側を選択したチームの数となる。

 また、ジオン側を選択できるチームは先着順で限りがあり、定員をオーバーした場合自動的に連邦側になり数の上ではジオン側の方が不利になる仕組みだ。

 

「チームは5人ですか。俺達は7人だから3人と4人のチームに別れれば良いですけど、チーム訳はどうします?」

 

 1チームは5人だが、必ずしも5人そろえる必要もないらしい。

 ガンプラ部は不在の3人を除けば7人で5人と2人で別れるよりかは3人と4人で別れた方がバランスは良いだろう。

 

「バトルだけなら僕は興味はないからパスさせて貰うよ」

 

 一人でガンプラを弄っていた岳がそう言う。

 岳にとっては今回のような大規模な戦闘イベントには興味はないのだろう。

 元々、大我のガンプラに興味があって入部している為、大我が居なくても部活に参加しているだけマシだ。

 

「僕も今回は遠慮させて貰うよ。全国に向けて資料の整理もしておきたいしね」

 

 岳に続き史郎も不参加を表明する。

 史郎も全国大会出場校の情報をまとめる事で忙しいらしい。

 史郎と岳が不参加と言う事で星鳳高校からは龍牙、冬弥、明日香、静流、竜胆の5人で丁度1チームに纏める事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 イベント当日のGBNは普段以上の賑わいを見せていた。

 それぞれが連邦側とジオン側の陣営を選択して、大規模バトルが開始される。

 龍牙達星鳳高校チームは王道の連邦側での参加となる。

 

「やっぱ数じゃ連邦の方が圧倒的ですね」

「ああ。恐らくは敗北条件の母艦を水増しもしているだろうからな」

 

 それぞれのダイバー達がガンプラに乗り込み、連邦側はア・バオア・クー宙域に接近している。

 連邦側の母艦の数は100を遥かに超えている。

 それだけのチームが参加しているが、竜胆の言うように母艦の数を増やす為の工作も行われているのだろう。

 母艦の数はチーム数と同じである為、5人のダイバーが1チームで参加すれば母艦は1つだけだが、5人のダイバーは1人1チームとして参加すれば母艦は5つになる。

 チームである事自体にそれ程意味がある訳ではない為、このような工作をするダイバー達もいるのだろう。

 

「なんか卑怯な気もします」

「そうだな。だが気にするな。公式イベントとはいえ大会とは違うんだ。もっと気楽に行け」

「分かりました」

 

 連邦側の艦隊の先鋒隊が戦闘宙域に到達して大規模戦闘の幕が切って開かれる。

 

「俺達も行くぞ。龍牙と日永は俺に付いて来い」

「はい!」

「了解」

 

 竜胆のドラゴンガンダムオロチは龍牙のバーニングデスティニーと冬弥の百騎士を引き連れて戦場に向かう。

 それを後ろから静流のアリオスガンダムレイヴンと明日香のクラーフレジェンドが追いかける。

 戦闘が開始されて龍牙達もジオン側のガンプラと交戦状態に入る。

 ガラがマシンガンを連射して、バーニングデスティニーがかわしながら殴って破壊する。

 1機を撃墜するとすぐに別のガンプラの方に向かって行く。

 ガナーザクファントムがオルトロスを放ち、バーニングデスティニーはビームをかわす。

 

「龍牙。怯むな。思い切って突っ込め。日永は龍牙を援護だ」

 

 ドラゴンガンダムオロチは近くのグフイグナイテッドを青竜偃月刀を両断しながら指示を出す。

 百騎士がビームライフルでガナーザクファントムのオルトロスを破壊し、バーニングデスティニーは突っ込んで蹴りを入れる。

 

「それで良い。思い切りの良さはお前の武器だ。この前は裏目に出たが、友軍の援護を受ければ最大限に活かせる」

「はい!」

 

 バーニングデスティニーはギャプランに向かって行く、ギャプランは変形しようとするが、後方からアリオスガンダムレイヴンに狙撃されて体勢を崩したところをバーニングデスティニーに破壊される。

 

「清水さん。貴方は戦艦の方をお願い」

「分かりました」

 

 クラーフレジェンドはケルベロスを展開するとムサイ目掛けて放つ。

 本人はブリッジを狙ったつもりだが、ブリッジを逸れるが、ムサイには直撃した。

 ムサイは一撃で沈める事は出来なかったが、ビームの直撃を受けたところに他のチームのガンプラの追撃を受けて沈む。

 数の上では連邦側の方が圧倒だが、戦場を強力なビームがいくつも横切る。

 それにより連邦側の戦艦やガンプラが多数吹き飛ばされる。

 

「なんだ?」

「アレはDXか」

 

 ジオン側からの攻撃だったが、攻撃を行ったのはガンダムDXのツインサテライトキャノンのようだった。

 ガンダムDXは全部で5機いる。

 5機のガンダムDXがツインサテライトキャノンで連邦の部隊を攻撃して来た。

 

「あの火力じゃ連射は出来ないが、一撃の威力は相当な物だな」

 

 ガンダムDXは改造こそされていないが、きちんと作り込んでいるのかツインサテライトキャノンの威力は相当な物だ。

 数で圧倒されていてもガンダムDXの大火力で一気に数を減らされてしまえば、連邦の数の有利もなくなる。

 だが、ガンダムDXの1機が不意に爆発を起こした。

 それに始まりガンダムDXは次々と爆発して行く。

 

「何が起きてるんですか?」

「アイツだ」

 

 ガンダムDXを破壊し、周囲のジオン側のガンプラが次々と破壊されて行く。

 ジオンのガンプラを破壊しているのは白いAGE-2、ダイモンの駆るガンダムAGE-2 マッハだった。

 ガンダムAGE-2 マッハはストライダーフォームですれ違いざまに可変翼の実体剣でガンプラを切断しては機首のハイパードッズランサーのドッズガンを撃ちながら、戦艦にライフルモードでビームを撃ち込んで沈める。

 

「やっぱ凄いな」

「当然だ。ダイモンさんは俺達のエースなんだからな」

 

 ダイモンの戦いを見ているとこの前、コロシアムで戦ったシゲの高機動型ザクⅡがバズーカを撃ってムサイを沈める。

 

「よっ。元気だったか?」

「シゲ! 闘魂も参加してたのか?」

「せっかくのイベントに参加しない手はないからな。俺としてはジオンで参加したかったのにダイモンさんが連邦で参加するって言うから結構複雑だけどな」

 

 シゲの高機動型ザクⅡはジオンのMSだ。

 どちらの陣営で参加しても使用するガンプラは自由だが、ジオン軍のガンプラで参加するなら、ジオン側で参加したかったのだろう。

 龍牙とシゲが話し込んでいるとジンが重斬刀を抜いて切りかかって来るが、横からのビームで撃墜される。

 

「シゲ。バトル中に気を抜くな」

「済みません。部長」

 

 ジンを撃墜したのは仙水高校チーム闘魂のリーダーでもあるゴウキの闘魂デュエルガンダムだ。

 闘魂デュエルガンダムはデュエルガンダムASの改造機。

 バックパックをエールストライカーに換装して機動力を上げて、両肩にはレールガンをミサイルポッドに変更し、リアアーマーには百練のブレードを流用した大型の高周波ブレードが2期装備されている。

 右手にはグレネードランチャーの付いたビームライフル、左手にはアンチビームシールドを持ち、増加装甲は赤く塗装されている。

 

「ダイモンも余り飛ばし過ぎるなよ」

「分かってるって」

 

 ダイモンはそう言いながらもMS形態に変形させるとハイパードッズランサーをハンムラビに突き刺して至近距離からドッズガンを撃ち込んで破壊する。

 

「本当に分かっているのか?」

「けどダイモンさんらしいじゃないですか」

 

 高機動型ザクⅡはザクバズーカをゲイツRに撃ち込み、バーニングデスティニーが止めを刺す。

 闘魂デュエルがミサイルを撃ち、マラサイがビームライフルで迎撃していると背後に回っていたドラゴンガンダムオロチがドラゴンヘッドのビームでマラサイを落とす。

 百騎士がナイトブレード改でフラッグの腕を切り裂き、クラーフレジェンドがビームライフルを連射してかわしたところをアリオスガンダムレイヴンがGNスナイパーライフルで撃ち落す。

 

「うぁぁぁぁ!」

「なんだ!」

「化け物かぁぁ!」

 

 順調にジオン側のガンプラを倒していると近くの友軍からの通信がいくつも入る。

 同時に友軍の反応が次々と消えていく。

 撃墜前の通信からも尋常ではない相手がジオン側にいるのだろう。

 

「アイツか! チーム……FUJISIRO? まさか……」

 

 連邦側のガンプラを撃破しているガンプラのチームを見て龍牙は嫌な予感がして来た。

 モニターをアップにするとその予感は確信に変わる。

 

「バルバトス! やっぱり藤城か」

 

 連邦のガンプラを蹂躙しているのは大我のガンダムバルバトス・アステールだった。

 夏休みに入り顔を見ていなかったが、これだけの規模のバトルは大我にとっては絶好の狩場だ。

 大我がジオン側で参加しているのも、ジオンの方が連邦よりも数が少なく獲物が多いからなのだろう。

 

「リトルタイガーか! 面白い!」

「ダイモン! 止せ!」

 

 ガンダムAGE-2 マッハはストライダー形態に変形するとゴウキの制止を聞かずにバルバトス・アステールの方に飛んでいく。

 一方のバルバトス・アステールはバーストメイスでドートレスを破壊する。

 

「リトルタイガー!」

 

 ガンダムAGE-2 マッハはMS形態に変形するとハイパードッズランサーを突き出す。

 それをバルバトス・アステールはバーストメイスの柄で受け止める。

 

「ダイモンか……雑魚ばかりで退屈してたんだ。全国大会と言わずにここでぶっ潰す」

「俺も同じ事を考えていたところだ。ここで敵として合いまみえる事になったんだ。全国まで待ってられないな!」

 

 バルバトス・アステールはガンダムAGE-2 マッハを弾き飛ばす。

 2機のガンプラはにらみ合う。

 

「ちょーっと待ったぁ!」

 

 そこにガンダムキマリス・トライデントが割って入る。

 キマリス・トライデントはデストロイヤーランスを振るいガンダムAGE-2 マッハはドッズガンを撃ちながらかわす。

 

「藤城妹か? 悪いが今日は相手をしている暇はないんだよ」

「悪いけど今は藤城姉なのよね!」

 

 キマリス・トライデントは3つの槍の火器を全て使ってガンダムAGE-2 マッハを追いかける。

 

「そいつの相手は私達で引き受けた。大我はストライクもどきをお願い。

 

 珠樹のガンダムエルバエルから位置情報が送られて来る。

 今回のイベントに大我は姉たちと共に参加している。

 

「分かった」

 

 大我は素直に珠樹の指示通りに動く。

 送られて来た情報の場所には3機のストライクダガーが交戦している。

 

「ストライクもどきか。確かにな」

 

 3機のストライクダガーはそれぞれエールストライカー、ソードストライカー、ランチャーストライカーを装備している。

 エールストライカーを装備したガンプラがバルバトス・アステールに気が付いてビームライフルを向けるが、ビームを撃つ前にテイルブレイドが胴体を貫く。

 ランチャーストライカーを装備した機体がアグニを向けるが、ア・バオア・クー方面からの狙撃で上半身が吹き飛ぶ。

 残ったソードストライカーを装備した機体をバーストメイスで仕留めて次の獲物に向かう。

 

「敵ならばこれ程脅威となる相手はいないが、味方となればここまで頼もしいな」

 

 ア・バオア・クー宙域の要塞近くで千鶴のガンダムグシオンリベイクフルシティシューティングスターは大型リニアライフルを構えている。

 先ほど、ランチャーストライカーを装備したストライクダガーを狙撃したのは千鶴だ。

 千鶴の珠樹や貴音に誘われてチームFUJISIROとして参加している。

 チームFUJISIROに自分が入ってもいいのかと疑問に思ったものの珠樹と貴音はいずれはそうなるから問題ないと言われて渋々納得させられた。

 千鶴は狙いをサラミスに定める。

 肩のレールガンとリニアライフルの3つの砲門から繰り出される狙撃で3隻のサラミスのブリッジを正確に射抜く。

 

「これ以上は!」

 

 戦闘が開始されて時間が経過した事で防衛戦を1機のクランシェカスタムが抜けて、グシオンシューティングスターにビームサーベルで切りかかるが、別方向からの砲撃で撃墜される。

 

「おっと。ウチの妹に手を出して良いのは俺と大我だけなんでね」

 

 チームFUJISIROのして千鶴だけでなくその兄諒真も参加している。

 諒真は今回は大我と戦った時に使ったガンダムクロノスXではなくショートバレルのガンダムフラウロスでの参加だ。

 

「何を馬鹿な……それに何で兄さんが私のガンプラで……自分のガンプラを使えば良いのに」

「だって折角のチームでの参加なのに俺だけAGEのガンプラで仲間外れみたいで寂しいじゃん」

 

 諒真がガンダムクロノスXではなくガンダムフラウロスでの参加したのはガンダムクロノスXに問題がある訳ではない。

 チームを作る際のガンプラ選びには色々と選び方がある星鳳高校のように自分の好きなガンプラを持ち寄る事で統一性のないチームである事もあれば連携を考慮して選ぶ場合もある。

 それ以外でも同じガンプラをベースにしたガンプラや同じような特性や共通点を持つガンプラ、同じ作品のガンプラで統一するなと様々だ。

 今回のチームFUJISIROは大我がガンダムバルバトス、珠樹がガンダムバエル、貴音がガンダムキマリス・ヴィダール、千鶴がガンダムグシオンリベイクフルシティと皆が鉄血のオルフェンズに出て来る機体のガンプラを改造した物で諒真のクロノスだけが違う作品の機体だ。

 一人だけ違う作品のガンプラを使う事が寂しい為、諒真は千鶴が改造の際に装備の一部を使用する為に組み立てたガンダムフラウロスを借りて参加した。

 

「千鶴。なんか武器くれ」

「はぁ……好きにして」

 

 グシオンシューティングスターはコンテナユニットを開いてフラウロスはハルバートを持つ。

 グシオンシューティングスターのコンテナユニットは自分の予備の武器だけでなく、友軍の武器の予備も兼ねている。

 フラウロスはショートキャノンでアデルマークⅡのシールドを破壊するとハルバートで両断する。

 アデルマークⅡを破壊し、接近するジェノアスカスタムをマシンガンで蜂の巣にする。

 フラウロスがグシオンシューティングスターに接近する敵を仕留めている間にエネルギーをチャージして3つの砲門からダインスレイヴを放つ。

 

「去年の決着を付けさせて貰うかんね!」

 

 キマリス・トライデントは肩のミサイルを全て撃ち尽くす。

 それをガンダムAGE-2 マッハがドッズガンで迎撃する。

 

「リトルタイガーとやりたいんだけどな!」

「駄目」

 

 回り込んだエルバエルがバエルライフルで攻撃する。

 ガンダムAGE-2 マッハは回避しながら背部のツインドッズキャノンを脇の下から前方に向けてキマリス・トライデントとエルバエルに同時に狙いを付けて攻撃する。

 2機は易々と回避するが、その間にダイモンは大我を追いかけようとするが、後方からグシオンシューティングスターのダインスレイヴによる狙撃がガンダムAGE-2 マッハを襲う。

 

「ちっ! 藤城姉妹だけでも厄介なのにクレインも加わって余計に面倒になってる!」

 

 ガンダムAGE-2 マッハは回避するが、千鶴の弾丸はサラミスのブリッジをぶち抜く。

 

「回避された時の事も織り込み済みって訳か」

「アンタの相手はこっち!」

 

 キマリス・トライデントは加速してデストロイヤーランスを振るう。

 ガンダムAGE-2 マッハはストライダーフォームに変形してかわして振り切ろうとする。

 だが、キマリス・トライデントの機動力はストライダーフォームでも完全には振り切れない。

 直線距離では振り切れない事もなかったが、巧にエルバエルの射撃がそうはさせてくれない。

 

「ダイモン!」

 

 交戦している間にゴウキの闘魂デュエルが到着してビームライフルで援護する。

 

「助かる」

「藤城姉妹にクレインか……」

「スメ女は相変わらず連携が鬼みたいだよ」

 

 闘魂デュエルと合流し、ガンダムAGE-2 マッハは戦闘を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バルバトス・アステールがテイルブレイドでジンクスの胴体を貫きバーストメイスでサラミスのブリットを叩き潰す。

 すでにバルバトス・アステール1機にサラミスが10隻以上撃沈され、ガンプラも100機近くが落とされている。

 それだけの猛威を振るっても尚、バルバトス・アステールは暴れ足りないかの如く近くのガンプラを破壊し続ける。

 

「次」

 

 ドリルニーでノブッシをぶち抜く。

 

「藤城!」

 

 龍牙のバーニングデスティニーが光の翼を展開して突っ込んで来る。

 その後方から百騎士と高機動型ザクⅡがバズーカで援護する。

 バズーカの砲弾をバルバトス・アステールはかわす。

 

「今日は敵同士だが!」

 

 突っ込んで来るバーニングデスティニーを真横からテイルブレイドが襲い掛かる。

 それを龍牙は見切り避けるが、腕部の200ミリ砲がバーニングデスティニーに直撃する。

 

「うぁぁ!」

 

 そして、バルバトス・アステールはバーストメイスを投擲してバーニングデスティニーの胴体を押しつぶす。

 

「龍牙!」

「アレがダイモンさんの言っていたリトルタイガー……まるで化け物だ!」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを回収するとバーニングデスティニーの残骸を踏み台にして百騎士の方に向かう。

 百騎士もクレイバズーカで迎撃するが、シールドスラスターで身を守りながら突っ込んで来る。

 ビームライフルを手放してナイトブレード改で切りかかるが、ナイトブレード改は素手で掴まれると握り潰されると同時にドリルニーで胴体をぶち抜く。

 高機動型ザクⅡがバズーカを撃つが、百騎士を盾にされて防がれて百騎士を投げつけられる。

 

「幾らイベントで敵同士になったとはいえチームメイトのガンプラを良くもそこまで!」

 

 高機動型ザクⅡは投げつけられた百騎士をかわすが、すでにバルバトス・アステールは自身の間合いまで距離を詰めていた。

 とっさに肩のシールドで身を守ろうとするが、バルバトス・アステールの一撃の前にガードなど意味はない。

 高機動型ザクⅡはバーストメイスによりシールドごと上半身が粉砕される。

 3機を瞬く間に撃墜して、バルバトス・アステールは次の獲物へと向かって行く。

 

「清水さん。貴女はとにかく逃げなさい。流石にアレは相手が悪すぎるわ」

「え? でも……」

 

 アリオスガンダムレイヴンはGNスナイパーライフルでバルバトス・アステールに狙いを定める。

 ドラゴンガンダムオロチも8基すべてのドラゴンヘッドを展開すると、バルバトス・アステールに差し向ける。

 

「恐らくチャンスは一度だ。後は任せる」

「ええ。分かったわ」

 

 8基のドラゴンヘッドが四方八方からバルバトス・アステールを襲う。

 喰らい付こうとするドラゴンヘッドの一つをバーストメイスで潰し、別方向からのドラゴンヘッドを足の裏にエッジを展開して蹴り破壊する。

 更に迫るドラゴンヘッドを左手で掴んで握り潰し、別のドラゴンヘッドをテイルブレイドで切り捨てると足に喰らい付こうとしたドラゴンヘッドをドリルニーで貫く。

 腕部の200ミリ砲でドラゴンヘッドを一つ潰すとバーストメイスを振るってドラゴンヘッドを2つ同時に粉砕する。

 8基のドラゴンヘッドの連続攻撃を大我は一つ一つ確実に潰す。

 だが、それは竜胆も分かっていた事だ。

 幾ら8基のドラゴンヘッドの連続攻撃でも大我なら問題なく対処して来ると言う事を。

 その間にハイパーモードとなったドラゴンガンダムオロチが接近し、青竜偃月刀による渾身の一撃を食らわせようとしていた。

 

「甘いな」

 

 バルバトス・アステールのテイルブレイドがドラゴンガンダムオロチの青竜偃月刀の刃を砕き、バーストメイスの先端がドラゴンガンダムオロチの胴体に突き刺さる。

 バーストメイスの先端が胴体に突き刺さっているが、ドラゴンガンダムオロチはまだ何とか動けるようでバーストメイスを喰らい付こうとする。

 だが、バーストメイスの先端の杭が射出されてドラゴンガンダムオロチは貫かれる。

 同時に貫いている杭が爆発してドラゴンガンダムオロチを跡形もなく吹き飛ばす。

 

「相変わらずの容赦ないわね……でも。八笠君の犠牲は無駄にはしないわよ」

 

 竜胆は何の策もなしに挑んだ訳ではない。

 アリオスガンダムレイヴンがトランザムを起動した状態でGNスナイパーライフルをバルバトス・アステールに狙いを定めていた。

 ドラゴンガンダムオロチを貫いている杭が爆発すると同時にGNスナイパーライフルを放つ。

 放たれた粒子ビームは真っ直ぐとバルバトス・アステールに向かって行く。

 バルバトス・アステールは回避する動作を見せない。

 幾ら表面を対ビームコーティングをしていたとしてもトランザムを使っている状態のGNスナイパーライフルなら十分に貫ける。

 静流も撃った瞬間にビームが当たる確信を持った。

 しかし、粒子ビームがバルバトス・アステールに直撃する前に何かに当たってビームは弾かれた。

 

「何!」

 

 バルバトス・アステールは微動だにしていない。

 静流が何が起きたのか理解する前にアリオスガンダムレイヴンは上半身が吹き飛ぶ。

 それはア・バオア・クーの防衛戦の後ろからの千鶴の狙撃だった。

 肩の2門のレールガンの狙撃を時間差で行い一発目はバルバトス・アステールを狙う粒子ビームを二発目はアリオスガンダムレイヴンを狙った。

 2発の弾丸はまさに流星のように戦場を横切り、千鶴の狙い通り粒子ビームに当たりバルバトス・アステールを守り、同時にアリオスガンダムレイヴンを仕留めた。

 大我もそれが分かっていたからこそ後方で自分を狙ってチャンスを待っていた静流を無視して目の前の竜胆を仕留めた。

 

「全く……ここまでの事を読んでいた珠ちゃんもだが、こんな事を一度で成功させる千鶴も友軍にするのは惜しいな。まぁ全国でもう一度やれるから良いか」

 

 竜胆と静流の策はすでに珠樹によって読まれていた。

 その上で千鶴に狙撃の指示を出していた。

 これ程の大規模な戦闘の中、遠く離れた場所を2か所同時に、それも片方は飛んでいるビームを狙撃すると言う無理難題を珠樹は平然と千鶴に指示して千鶴は一度でそれを成功して見せた。

 珠樹の読みや策もだが、千鶴の狙撃能力の尋常ではない精度があったからこそできた事だ。

 バルバトス・アステールはクラーフレジェンドの方に向かって行く。

 

「え? 大我君? 来ないで!」

 

 クラーフレジェンドは全ての火器を総動員して迎え撃つが、狙いはデタラメで大我は殆ど動かずに突っ込む。

 

「動揺し過ぎだな。これじゃ下手に動いた方が当たる」

 

 距離を詰めたバルバトス・アステールはバーストメイスを振り上げて突っ込む。

 だが、速度を緩めずにバーストメイスを振り下ろす前に左手の爪でクラーフレジェンドの胴体を貫いた上でバーストメイスを振り下ろして止めを刺す。

 大我はバーストメイスを振り上げる事で相手の意志をバーストメイスに向けさせた上で死角から攻撃しているつもりだったが、初めて大我と敵対した事で完全にビビッていた明日香はバーストメイスを振り上げる前に完全に目を瞑っていたため、大我のフェイントは何の意味もなかった事に大我は知るよしもない。

 クラーフレジェンドを撃墜し、バルバトス・アステールはサラミスを沈めに向かう。

 ダイモンとゴウキは珠樹と貴音の二人に完全に抑えられ、ア・バオア・クーに取りつこうとする連邦のガンプラはいつの間にか他のジオンのガンプラをまとめて指揮していた諒真達によってことごとく阻まれた。

 周囲をジオンのガンプラに守られたグシオンシューティングスターの狙撃と前線で大暴れをするバルバトス・アステールにより連邦のサラミスは次々に撃沈され最終的に連邦の母艦は全て撃沈される事となった。

 それにより今回のイベントのア・バオア・クー攻防戦は歴史を覆しジオンの勝利で幕を下ろした。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。