ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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全国大会開幕

 夏休みに入り8月になるといよいよ全国大会が開始される。

 星鳳高校は当日の早朝に東京を出て全国大会の開場のある静岡に向かう。

 全国大会も予選同様に開場からGBNにダイブしなければならない。

 静岡に到着するとそのまま会場に向かい受付を済ます。

 受付を済ませ組み合わせの発表まで待つ。

 全国大会も地区予選同様にトーナメント方式で行われる。

 バトルは最大10機まで使用可能なフラッグ戦だ。

 全国から地区予選を勝ち抜いた64チームがそれぞれ16チームづつ6つのブロックに分かれて戦う。

 星鳳高校はDブロックとなり同じく東京代表の皇女子高校はAブロック、去年の優勝校の仙水高校はCブロックとなっている。

 その為、星鳳高校が優勝する為には準決勝で優勝校の仙水高校を、決勝で準優勝校にして地区予選で敗れた皇女子高校に勝たねばいけなくなる。

 Dブロックの試合はAブロックとBブロックの一回戦が終わってからで、大我たちは観客席で順番が来るまで他の試合を見る事になった。

 

「Aブロックの第一試合から皇女子高校が出るね」

「相手は……沖縄代表のチームライトニングアタッカーズ。機動力に長けたチームだね」

 

 Aブロック一回戦は東京代表チームアリアンメイデンと沖縄代表のチームライトニングアタッカーズとなっている。

 組み合わせ表を見ながら史郎が皇女子高校の対戦相手の情報が記された紙を部員に行き渡される。

 それによれば沖縄代表のライトニングアタカッターズは機動力を活かして戦うチームのようだ。

 沖縄地区を勝ち抜くだけあって沖縄では名の知れたチームのようだ。

 双方の準備が済み、全国大会が開始される。

 ライトニングアタッカーズのガンプラ構成は隊長機に指揮官機仕様のブレイヴにムラサメ、クランシェ、リゼル、トーラス、イナクト、アビゴル、カズブレイ、百里、ガ・ゾウムとどれも変形機構を持つガンプラ達だ。

 ライトニングアタッカーズのガンプラがバトルフィールドの宇宙に出ると各々が変形して一気に敵陣に切り込もうとした瞬間にそれは起こった。

 いくつかの杭がとんでもない速度でライトニングアタッカーズのガンプラ達に襲い掛かる。

 何とか回避行動を取ろうとするが、アビゴルがまともに直撃して撃墜され、クランシェ、ガズブレイ、ガ・ゾウムが掠り損傷しながら体勢を崩した。

 

「開幕早々えげつない事するな」

 

 皇女子高校の先制攻撃を大我はそう評価する。

 ライトニングアタッカーズを攻撃したのは当然、皇女子高校のガンプラだ。

 地区予選では見せなかったガンプラで同型機がチームの半数である5機も投入されている。

 レギンレイズをベースに改造したレギンスレイヴだ。

 レギンスレイヴの最大の特徴は右手に持っている大型の弓のような形状をしているダインスレイブの発射機だ。

 グレイズ用の物をベースに手持ちの大型火器として改造され、各機5発分のダインスレイヴ用の弾丸が付いており、撃つたびに自動的に次弾が装填される仕組みになっている。

 頭部のセンサーを強化し、長距離によるダインスレイヴによる狙撃用のガンプラだ。

 各機はダインスレイヴを5発しか撃てない為、予備の装備としてリアアーマーに折り畳み式に長距離レールガンが装備されている。

 5機のレギンスレイヴがバトル開始早々にダインスレイヴによる先制攻撃を行ったのだ。

 

「ガンプラバトルだとエイハブウェーブがないから射撃精度が落ちる事もない。その上、あの連中狙撃の腕は相当仕込まれているな。如月程にないにしても全員が静流クラスの腕前は持ってる」

 

 レギンスレイヴのダイバーの狙撃の腕は相当な物だ。

 流石に千鶴とは比べられないが、狙撃がメインではないとはいえ、狙撃の腕はそれなりに自身のある静流と大差ないレベルの実力はあるだろう。

 恐らく彼女たちは後方から狙撃をする練習だけを徹底的にやらされて高い狙撃能力を身に着けたのだろう。

 それでも、開幕早々で敵の位置が不明瞭な状況では5発中敵に当たったのは4発だ。

 尤も、それは皇女子高校も織り込み済みだ。

 初手の攻撃はあくまでも先制攻撃で敵のペースを崩して流れを自分達の方に引き寄せれば良く、当たれば儲けものと言う程度の事だ。

 そして、当たれば並みのガンプラなら一撃で仕留められるが、全国大会に出る程のダイバーのガンプラなら当たりどころが良くなければ一撃では落とせない。

 しかし、それも彼女たちの中では想定の範囲内だ。

 初手のダインスレイブで損傷した3機のガンプラがレギンスレイヴと隊列を組んでいる千鶴のガンダムグシオンリベイクフルシティシューテングスターの狙撃で破壊された。

 初手の攻撃で撃墜されずとも当てる事が出来れば、おおよその敵の位置を把握できる。

 おおよその位置さえ分かれば千鶴の狙撃能力なら問題なく止めを刺せる。

 開始早々ダインスレイヴの長距離狙撃でライトニングアタッカーズのガンプラは4機撃墜されて残り6機だ。

 幸いにも落とされた4機の中にフラッグ機はいなかったので戦いはまだ続く。

 

「くそ! 何がどうなってるんだ!」

「とにかく散開だ! ダインスレイヴにやられるぞ!」

 

 ライトニングアタッカーズは散開しようとするが、リゼルの隣にいたはずの百里が突然姿を消した。

 

「高機動型が足を止めるとかやってくださいって言っているような物じゃん」

「馬鹿な! いつの間に!」

 

 ダインスレイヴに気を取られていた為、ライトニングアタッカーズは貴音のガンダムキマリス・トライデントの存在に気が付かなかった。

 貴音と珠樹は先制のダインスレイヴと共に前線まで到達していた。

 百里が消えたのはキマリス・トライデンドの突撃をまともに受けたからでキマリス・トライデントのデストロイヤーランスの先端に百里だった物が残っている。

 それを振り払ったキマリス・トライデントはすぐさま加速する。

 

「とにかく足を止めさせろ!」

 

 リゼルとトーラスが銃口をキマリス・トライデントに向けてビームを撃とうとするが、ビームは放たれた瞬間に拡散してしまう。

 キマリス・トライデントの役目は機動力を活かして敵陣をかき乱しながら敵を討つのと同時にリアアーマーに内蔵されている機雷をばら撒く事だ。

 機雷にはいくつか種類があり、今ばら撒いているのはビームを拡散する特殊な粒子だ。

 それによりこの周辺ではビーム兵器の使用が大きく制限されている。

 これは敵味方関係ないが、アリアンメイデンのガンプラは全機ビーム兵器を持っていない為、自分達にはデメリットはない。

 

「ビームが駄目なら!」

 

 ビーム兵器が使えないと知りビーム兵器を持たないイナクトがリニアライフルを構えるが、珠樹のエルバエルがバエルシールドのワイヤークローでイナクトを捕まえるとキマリス・トライデントの方に投げとめる。

 

「お姉ちゃん。ナイスパス!」

 

 キマリス・トライデントはドリルニーでイナクトの胴体をぶち抜いて破壊する。

 

「くそ!」

 

 リゼルはビーム兵器が使えず腕部のグレネードランチャーで応戦するが、グレネードランチャーではキマリス・トライデントの機動力には追いつけず、キマリス・トライデントはデストロイヤーランスでトーラスを仕留める。

 トーラスも変形して逃げようとするが意味は無かった。

 残ったリゼルも背後からエルバエルがバエルソードで切りかかり両足が切断されて体勢を崩したところとキマリス・トライデントがデストロイヤーランスで止めを刺す。

 

「これで9機目だけどやっぱ隊長機がフラッグ機みたいじゃん」

「フラッグじゃないけどフラッグ機」

 

 すでにライトニングアタッカーズは10機中9機が撃墜されている。

 それでも勝負が決まらないのは残りの1機がフラッグ機だと言う事だ。

 フラッグ戦においてフラッグ機が落とされない限りは負けではない。

 逆に言えば1機撃墜されても、そのガンプラがフラッグ機ならその時点で何機残っていても負けとなる。

 去年はアリアンメイデンは偶然撃墜されたガンプラがフラッグ機だった為、仙水高校に負けている。

 

「残りはカスミン先輩に任せれば良いでしょ。こっちのフラッグ機は今日は私だし」

 

 残り1機のブレイヴはレギンレイヴの方に向かったのだろう。

 アリアンメイデンのフラッグ機は毎回変更され、今回は貴音のキマリス・トライデントだ。

 幾らレギンスレイヴを倒しても負ける事はない。

 尤も、貴音も珠樹もレギンスレイヴが落とされる心配等してはいなかった。

 

「せめてこいつらだけでも!」

 

 ブレイヴは強引に突っ込み、レギンスレイヴを目前まで捉えていた。

 すで勝ち目はなく、せめてレギンスレイヴの1機でも落とそうとしている。

 ブレイヴはレギンスレイヴ目掛けて最後の悪足掻きのトライデントスマッシャーを撃ち込む。

 だが、それはレギンスレイヴを目前に弾かれる。

 

「悪いけどやらせる訳には行かないわ」

 

 アリアンメイデンのガンプラ構成はレギンスレイヴが5機に千鶴のグシオンシューティングスターに藤城姉妹の2機の他にまだ2機いる。

 それが副部長の香澄とその妹の真澄の2機のレギンレイズシュバルベだ。

 どちらもレギンレイズジュリアをベースに改造した高機動型のガンプラだ。

 両手のマニュピレーターを通常の物に変更し、左腕に最終決戦用の大型シールドを装備しているのは共通で姉の香澄のタイプGは薄紫色で塗装され右手にはレギンレイズ用のライフルの下部にランスユニットを装備し、妹の真澄のタイプMは青く塗装され下部に多目的ランチャーを追加したレギンレイズ用のライフルと、腰にはジュリアンソードを手持ちの武器に改造したシュバルベソードが2本装備している。

 この2機のレギンレイズシュバルベは万が一にも敵が前線の2機を突破して後方のレギンスレイヴを狙って来た時の守りと、場合によっては前線の藤城姉妹と合流して戦う事を目的とした遊撃機だ。

 後方から5機のレギンスレイヴとグシオンシューティングスターによるダインスレイヴの狙撃と藤城姉妹が前線で撹乱し、内山姉妹が状況に応じて狙撃部隊の守りと前線の増援に向かう。

 それこそが皇女子高校チームアリアンメイデンの基本戦術なのだ。

 

 「真澄。通させないでよ」

 「分かってる。姉さん」

 

 2機のレギンレイズシュバルベはブレイヴを挟み込むように展開する。

 ブレイヴは2機のレギンレイズシュバルベに挟まれないように注意するが、高い機動力とコンビネーションで完全に翻弄されている。

 そうしている間にグシオンシューティングスターの狙撃でビームライフルごと右腕が吹き飛ばされ、ビームサーベルを向くが、レギンレイズシュバルベタイプMのライフルの直撃を受けてレギンレイズシュバルベタイプMのランスユニットで胴体を貫く。

 それが致命傷となりブレイヴが撃墜され、ライトニングアタッカーズは全滅するのと同時にフラッグ機が撃墜されてアリアンメイデンは1回戦を突破する。

 

「あれがアリアンメイデンの戦い方……」

「監督の性格が滲み出てるな」

 

 アリアンメイデンの試合が終わり次のバトルが開始される。

 AブロックとBブロックは並行してバトルが進んで行く。

 

「次のバトルには4位のシドーさんが出るみたい」

 

 ジュニアクラスの国内ランキングで千鶴に次ぐ4位で彼の率いる岐阜代表のチームアサルトドックは今回の全国大会においても皇女子高校や泉水高校に並び優勝候補の1つと目されている。

 準決勝で皇女子高校と当たる為、星鳳高校とは皇女子高校が負けない限りは当たる事はない。

 対戦相手は愛知代表のチームブラッドハウンドだが、対戦相手は特に上位ランカーもいない無名校だ。

 誰もがアサルトドックの勝利が高いと思っていた。

 バトル開始時に誰もが驚いた。

 愛知代表のブラッドハウンドは1機のみでバトルを始めた。

 アルケーガンダムの改造機、ブラッドロードガンダム1機だけだ。

 腰のファングコンテナとGNバスターソードは外され、左腕のGNシールドはそのままだが武器は手持ちのGNブラッドソードが2本だけだ。

 背部からは真っ赤なGN粒子を翼のように展開して高い機動力を得るGNブラッドウイング。

 高い機動力から次々とアサルトドックのガンプラを殲滅して行き、最後はシドーのフラッグ機を仕留めてその実力を示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 AブロックとBブロックの一回戦が終わると今後はCブロックとDブロックの1回戦が順じ始まる。

 Cブロックでは静岡代表のチーム闘魂が難なく勝利を収めた。

 相手チームもかなりの実力者だったが、ランキングトップのダイモンに5位であるゴウキを初めとしてランキングが8、9、10位とチームの半数がジュニアクラス国内ランキングの上位ランカーで占められている闘魂を打ち崩す事は出来なかった。

 CブロックとDブロックの試合も進み、Dブロックを突破する最有力候補である福岡代表のチーム岩龍が1回戦を突破した。

 岩龍はランキング2位のコジロウ率いるチームでコジロウのガンダムX斬月が敵陣に切り込み実質1機で勝負を決めた。

 ガンダムX斬月は近接戦闘に特化したガンプラで全身に鎧を模した装甲を追加し、火器は胸部のブレストバルカンと腕部のガントレット状の装甲に内蔵された2連装ビームガンのみでバックパックのサテライトキャノンの砲身は全面的に改修してビーム砲ではなく身丈程もある大太刀の鞘となっている。

 そのガンダムX斬月を相手チームも止める事が出来なかった。

 星鳳高校にとってはアリアンメイデンや闘魂よりも先に岩龍と戦う可能性が高く、Dブロックを勝ち抜けるには彼らに勝つ事は必須だろう。

 そして、星鳳高校の出番が来る。

 観客席ではすでに1回戦を勝ち抜いたアリアンメイデンや闘魂も偵察目的で観戦している。

 観客席から会場に移動するとそれぞれがガンプラをセットしてGBNにダイブする。

 星鳳高校の1回戦の相手は鳥取代表のチームサンドスイーパーズだ。

 星鳳高校は隊長機はガンプラ部の部長の史郎だが、フラッグ機は事前の相談でチーム内で最も撃墜される可能性の低いとして大我が自分でやると言って大我で決まっている。

 GBNにログインすると各々のガンプラがバトルフィールドに入る。

 

「うぁ! 何だ!」

 

 バトルフィールドに入った途端、龍牙の視界が一気に悪くなる。

 今回のバトルフィールドは砂漠地帯。

 不定期に砂嵐や足場の悪いフィールドだ。

 砂嵐により星鳳高校のガンプラは散り散りになってしまう。

 

「龍牙!」

「冬弥に明日香! 無事だったか?」

 

 龍牙は一度地上に降りる。

 敵のガンプラや位置が分からない以上は不用意に飛んでいては良い的だ。

 そこに冬弥の百騎士と明日香のクラーフレジェンドが合流する。

 

「それにしても砂漠フィールドとは厄介だな。僕の百騎士は一応は防砂処理もしてあるけど二人は?」

 

 砂漠フィールドではガンプラに防砂処理をしていないと関節部に砂が入り込み思わぬ不具合が出る危険性がある。

 

「……やってない」

「私もそんなの聞いてないよ」

 

 冬弥は最低限の防砂処理はしてあるが、龍牙と明日香はしていない。

 合流した3機の頭上にミサイルが降り注ぐ。

 

「散開だ!」

 

 3機は散開してミサイルをかわす。

 

「ガンプラがなんか変!」

「防砂処理をしてないとこうも動き憎いのか!」

 

 龍牙と明日香は身を持って砂漠の脅威を感じていた。

 更には重装備のクラーフレジェンドは着地時に砂に足を取られて膝をつく。

 そして、サンドスイーパーズのガンプラが飛び出してくる。

 

「アレは!」

「よりにもよってバクゥか!」

 

 サンドスイーパーズのガンプラは3機のバクゥ。

 それぞれがレールガン、ブレイズウィザード、スラッシュウィザードを装備している。

 バクゥは砂地である事をもろともせずに駆け抜ける。

 クラーフレジェンドはケルベロスを前方に向けてバクゥにビームを放つが、バクゥに当たる事はない。

 

「ビームが思ったように撃てないよ!」

 

 百騎士はクレイバズーカを構えるがスラッシュウィザードを装備したバクゥがビームガトリング砲を連射してビームマントで身を守る。

 レールガン装備のバクゥがレールガンでバーニングデスティニーを牽制しているとブレイズウィザード装備のバクゥがビームサーベルでクラーフレジェンドの両足を切断してクラーフレジェンドは仰向けに倒れる。

 

「きゃぁぁ!」

「明日香! この野郎!」

 

 バーニングデスティニーはブレイズウィザード装備のバクゥに突っ込むが迎撃のミサイルが放たれてビームシールドで身を守っていると背後に回ったバクゥがレールガンを撃ち込む。

 

「うぁぁ!」

「龍牙!」

 

 冬弥は龍牙の方に気をとられていた為、スラッシュウィザード装備のバクゥのビームサーベルでクレイバズーカごと左腕を肘から切られてビームライフルと頭部のバルカンで牽制する。

 3機のバクゥは縦横無尽に動き、龍たちを翻弄する。

 

 

 

 

 

 

 その頃、別の場所でも戦闘が開始されていた。

 岳のジムHSCと諒真のガンダムクロノスXは砂の中の見えざる敵に苦戦させられていた。

 

「戦場は向こうに味方してるか。いきなり難儀なもんだな」

 

 ガンダムクロノスXは砂に向けてクロノスキャノンを撃ち込むが反応はない。

 だが、後ろから敵が飛び出してくる。

 諒真と岳が相手しているガンプラはハイゴメル、ゴメルの改造機だ。

 MA形態では先端のビーム砲からスクレイバー状のビームを出せるように改造し、背部にはレールガンが2門装備され、砂の中に身を潜ませながらレールガンだけを出しても攻撃出来る。

 ハイゴメルが背部からシグルクローで襲い掛かりガンダムクロノスXはクロノスアックスで弾くが、ハイゴメルはすぐに砂の中に潜り込む。

 

「向こうは砂漠での戦闘に慣れている。成程……戦場に特化した改造をする事もまた戦うガンプラの改造法と言う訳か……」

「関心するのは後にしてくれ。流石に厄介だな」

 

 相手の場所が分からない以上はクロノスビットをばら撒く訳にもいかない。

 敵の出方を見ているとハイゴメルがジムHSCに正面からビームスクレイバーを展開して突っ込む。

 シールドを掲げるが、ハイゴメルの一撃でシールドを弾かれて2機目のハイゴメルがシグルクローで一撃を食らわせる。

 撃墜されなかったが、まともに攻撃を受けて尻餅をつくジムHSCに3機目のハイゴメルが馬乗りになる。

 

「向こうは3機編成か」

 

 諒真はジムHSCからハイゴメルを引きはがしたいが、ガンダムクロノスXの火器ではジムHSCも巻き込みかねない。

 何とかジムHSCはシールドで身を守っているがやられるのは時間の問題だ。

 打つ手を考えているとどこからかの砲弾がジムHSCとハイゴメルを襲う。

 ハイゴメルに一撃直撃するとハイゴメルは砂の中に逃げ込む。

 

「ちっ……砂の中に逃げたか。素早い奴だ」

「大我か? 助かったが、味方ごと撃つなよな」

 

 ジムHSCごとハイゴメルを狙ったのは大我のバルバトス・アステールだった。

 

「川澄。まだ行けるな?」

「一応は当たらないように手加減はしてくれたみたいなので」

 

 ジムHSCは何とか立ち上がるが余り戦力としては使えそうに無い。

 

「アレが噂のリトルタイガーのバルバトスか」

「ここで仕留めるぞ!」

 

 砂に潜む3機のハイゴメルはバルバトス・アステール達を中心に砂の中で円を描くように回り始める。

 するとそれにより砂嵐が発生する。

 

「おいおいヤバいなコレ」

「デルタストリームアタックだ!」

 

 3機のハイゴメルは砂嵐を起こし、それに紛れて襲い掛かってくる。

 

「とにかく大我を守れ!」

 

 諒真はフラッグ機である大我を守る事を優先する。

 だが、周囲にバルバトス・アステールはいなかった。

 

「会長?」

「バトルが終わってないって事は大我はやられていないってことだが……」

 

 バルバトス・アステールを見失い2機は3機のハイゴメルの猛攻をまともに受ける事になる。

 砂嵐が収まるとそこには猛攻を受けたジムHSCとガンダムクロノスXの姿がある。

 

「会長。後は任せます」

「ああ。任された」

 

 ジムHSCは戦闘不能となり倒れる。

 ハイゴメルの猛攻の中、途中から元々ダメージを受けている岳のジムHSCがガンダムクロノスXのダメージを少しでも減らす為に盾となっていた。

 それでもガンダムクロノスXのダメージは少なくない。

 

「リトルタイガーは逃がしたが、もう一機も仕留める!」

 

 砂の中から3機のハイゴメルがガンダムクロノスXに目掛けてビームスクレイバーを展開して突っ込む。

 

「……こりゃ流石に不味いな」

 

 諒真も今回ばかりはやられたと確認するが、突如、砂の中から何かが飛び出してくる。

 それはいつの間にか姿が見えなかった大我のガンダムバルバトス・アステールだった。

 大我は砂嵐の中で自ら砂に埋もれて姿を隠していた。

 

「大我! やっちまえ!」

「言われなくても」

 

 相手のお株を奪う砂の中から飛び出して来たバルバトス・アステールは戦闘のハイゴメルをバーストメイスで粉砕した。

 

「クソ! 一度砂の中に!」

「逃がすかよ」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを投擲する。

 バーストメイスが砂漠に落ちるとその重量から衝撃で砂が吹き飛びハイゴメルが砂の中に隠れる事を妨害する。

 砂の中に入りそびれた2機のハイゴメルだが、別方向からのビームで1機は撃墜され、もう1機は片腕を失う。

 

「会長に藤城君。大丈夫?」

「ナイスタイミング」

 

 ハイゴメルを攻撃したのは砂嵐を見つけて向かっていた静流のアリオスガンダムレイヴンと史郎のガンダムAGE-3 オービタルだった。

 静流の攻撃はハイゴメルを撃墜したが、史郎の攻撃は撃墜には至らないが、損傷したハイゴメルは何とか逃げようとするが、損傷から砂の中には潜れずに砂の上を滑走して逃げている。

 だが、ガンダムクロノスXが大量のクロノスビットを使ってハイゴメルは逃げる事も出来ずにやられた。

 

「状況は?」

「こっちは川澄がやられただけだ。二人は大丈夫そうだな」

「うん。僕と黒羽さんはまだ戦闘はしてないから」

「会長はこれ以上は無理しないで、部長に任せます。それに藤城君は私と……」

 

 静流は大我と共に他の仲間のところに向かおうとするが、すでに大我のバルバトス・アステールはバーストメイスを回収してどこかに行って近くにはいない。

 

「大我の事は放っておけ、どの道アイツは何を指示しても基本好き勝手に動くだけだ。バトルが終わらない限り大我は無事だ。八笠と縦脇は自分の身くらい守れるが1年連中が心配だ。黒羽はそっちを探して来てくれ」

「了解」

 

 大我に指示を出したところで言う事を聞いてくれないと言うのは確かにそうだ。

 放置しても勝手に動いて手当り次第敵を潰して回っているだろう。

 まだ安否の分からない中で竜胆は無論、諒真が言うには愛依も自分の身を守れるだけの実力はあり早々やられはしない。

 問題は実力が発展途上の1年の3人だ。

 静流はダメージを受けている諒真のガンダムクロノスXを史郎に任せて龍牙達の方に向かって行く。

 

 

 

 

 

 その頃、龍牙達は3機のバクゥに翻弄されている。

 冬弥の百騎士はビームマントで身を守りながらナイトブレイド改を抜く。

 ブレイズウィザード装備のバクゥが一気に加速してビームサーベルで百騎士の右腕を切り落とす。

 

「くっ!」

 

 それでも頭部のバルカンで牽制射撃を入れるも背後からバクゥにレールガンを撃ち込まれる。

 

「くそ!」

 

 龍牙が援護に向かおうとするがスラッシュウィザード装備のバクゥのビームガトリングに阻まれる。

 足が止まったところにブレイズウィザード装備のバクゥが飛び掛かって来る。

 何とかビームシールドで防ぐが、勢いに押されて尻餅をついて倒れる。

 そこにスラッシュウィザード装備のバクゥが止めを刺しにビームサーベルを出して取り掛かって来る。

 

「龍牙!」

「そう簡単に……やらせるかよ!」

 

 バーニングデスティニーはとっさに近くに落ちていた百騎士のナイトブレイド改を拾って振るう。

 その一撃をバクゥはギリギリのところで回避しようとするが、片足が切断されて砂漠に頭から突っ込む。

 致命傷にはならなかったが、何とか3つの足で立ち上がると敵を近寄せない為にビームガトリングでビームをばら撒く。

 それをバーニングデスティニーはビームシールドで身を守っていると援護に駆けつけた静流のアリオスガンダムレイヴンがGNスナイパーライフルⅡで撃ち抜いて破壊する。

 

「大丈夫?」

「先輩!」

「黒いアリオス……レイヴンか!」

 

 レールガン装備のバクゥが駆け付けたアリオスガンダムレイヴンにレールガンを撃ち込むが、ビームシールドで防がれてGNスナイパーライフルⅡで足を撃ち抜かれて体勢を崩したところにもう一発粒子ビームを撃ち込まれて撃破される。

 

「相手が悪い! ここは……」

 

 残っていたブレイズウィザード装備のバクゥは増援で分が悪くなったと判断して後退を始める。

 だが、静流も相手がフラッグ機である可能性がある為、ここで逃がす気はない。

 背部のGNキャノンとGNスナイパーライフルⅡの3門による同時射撃でバクゥを追撃する。

 バクゥは大きく飛び上がって回避する。

 

「逃がすか!」

 

 バーニングデスティニーは光の翼を展開しながら上空のバクゥ目掛けて一直線に飛んでいく。

 バクゥはすでにブレイズウィザードのミサイルを撃ち尽くしている為、迎撃する事は出来ない。

 バーニングデスティニーの勢いを付けた膝蹴りがバクゥの頭部に直撃して頭部のメインカメラが潰されて空中でひっくり変える。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

 そのままバーニングデスティニーはバクゥを上から蹴り砂漠まで突っ込む。

 下は砂漠である程度の勢いは殺されたが、それでもバクゥの胴体に大きな穴が開いていた。

 

「これで6機目。まだフラッグ機は落とせていないみたいね」

「先輩。助かりました」

「とにかく離脱するわよ」

 

 動けないクラーフレジェンドを両腕を失っている百騎士の背に乗せると、龍牙と静流が退避する。

 戦闘能力が低下しているクラーフレジェンドも百騎士も相手にとってはフラッグ機候補である為、確保しておいた方が敵のかく乱になるだろう。

 それを抜きにしてもまともに戦えない仲間を置いて行く事は出来はしない。

 現状で星鳳高校はジムHSCがやられ、クラーフレジェンドと百騎士がまともに戦えず、ガンダムクロノスXとバーニングデスティニーは戦えるがダメージは深刻。

 ガンダムAGE-3 オービタルとアリオスガンダムレイヴン、バルバトス・アステールは無傷。

 残る竜胆と愛依は安否不明となっている。

 対するサンドスィーパーズはハイゴメル3機とバクゥ3機の6機が撃墜されて残りは4機よなっている。

 戦場はサンドスィーパーズが得意としている。

 状況は撃墜数がある分、流れは星鳳高校に来ている。

 サンドスィーパーズのガンプラが半分を切り戦いは終盤に入ろうとしている。

 

 

 

 

 バトル開始早々に分断された竜胆と愛依は運悪く敵の隊長機と遭遇し交戦していた。

 敵の隊長機はガンダムサンドロック。

 増加装甲のアーマディロを装備し、脚部にはホバーユニットが装備されている。

 サンドロックの背後にはリーオーのシールドとマシンガンを装備したトラゴスが2機とシグーのシールドを両腕に装備したザウートが陣取っている。

 

「この砂漠でサンドロック1機でも厄介だが、更に砲撃用の支援機が3機か……面倒だな」

「ここは会長達の増援を待った方がいいのでは?」

 

 ドラゴンガンダムオロチとシュトゥルムケンプファーは岩陰に隠れている。

 今回、愛依のシュトルゥムケンプファーは対艦ライフルの変わりに左腕にはヒートソードの付いたグフのシールドとガーベラテトラのビームマシンガンを装備している。

 竜胆一人でもサンドロックを相手にしても十分に勝算はあったが、砂漠地帯と言う敵に地の利があり、更には3機の支援機がいる為、愛依と2機かかりでも厳しい。

 ここで無理に交戦する事無く、味方と合流してから戦うと言う手もある。

 だが、それを向こうは待ってはくれない。

 ザウートの砲撃が2機が隠れている岩を吹き飛ばす。

 2機が出て来たところをトラゴスの砲撃が飛んでくる。

 

「そんな暇はなさそうだ。ここで奴らを叩く」

 

 ドラゴンガンダムオロチは青竜偃月刀を構える。

 ホバーで迫るサンドロックを迎え撃つが、サンドロックのヒートショーテルの一撃で易々とドラゴンガンダムオロチは弾き飛ばされる。

 

「ちっ……ホバーでの機動力に増加装甲の防御力と来てパワーも相当か……それに」

 

 空中で体勢を整えて着地するが、砂に足を取られて思うようには動けない。

 空中に飛べば何とかなるが、空中では3機の砲撃機の良い的で、得意の近接戦闘を活かす事も出来ない。

 サンドロックの攻撃をいなしている間にシュトゥルムケンプファーは砲撃機の方に向かって行く。

 先に後ろの3機を仕留めた方が、その中にフラッグ機が居れば御の字でいなくても、厄介な砲撃が止むだけでもサンドロックの相手がし易くなる。

 しかし、3機の砲撃機の弾幕を単機で破る事は難しい。

 攻めあぐねている間にサンドロックがドラゴンガンダムオロチを蹴り飛ばしてシュトルゥムケンプファーに追いつきヒートショーテルを振るう。

 ギリギリでシールドで身を守るも一撃でシールドが破壊されてしまう。

 

「シールド1枚で済めばマシよ」

 

 至近距離からビームマシンガンとザクマシンガンを撃ち込むが、サンドロックの防御力の前に意味をなさない。

 

「硬い!」

「下がれ!」

 

 ドラゴンガンダムオロチがドラゴンヘッドを差し向けてサンドロックを引き離す。

 だが、サンドロックが離れたとこで3機の砲撃機の砲撃が再開し、ドラゴンガンダムオロチとシュトゥルムケンプファーを襲う。

 

「流石は全国大会と言う訳か」

 

 ドラゴンガンダムオロチは砂漠で動きにくいものの砲撃を確実に回避しているが、シュトゥルムケンプファーは頭部に砲弾が直撃する。

 その後も立て続けに砲撃が直撃してダメージを負ったところにサンドロックがヒートショーテルで止めを刺しに来る。

 ヒートショーテルをビームサーベルで受け止めるが、パワーの差は明らかで次第に押され始める。

 

「縦脇!」

 

 竜胆が救援に向かおうにも砲撃の回避で思うようにはいかない。

 だが、ザウートの真上からバルバトス・アステールが落ちて来てバーストメイスでザウートを叩き潰す。

 

「バルバトス。藤城か」

 

 ザウートを潰すとすぐに近くのトラゴスの方に向かうとシールドごろトラゴスを潰し、残りのトラゴスがマシンガンを向けるが、攻撃する前にテイルブレイドがトラゴスの胴体を貫き破壊する。

 一瞬の内に3機の砲撃機を仕留めたバルバトス・アステールは次の獲物を隊長機のサンドロックに定める。

 すでにサンドスイーパーズは9機撃墜されている為、必然的に残りのサンドロックがフラッグ機で確定している。

 バルバトス・アステールはバーストメイスを逆手に持ち直すとサンドロック目掛けて力強く投擲する。

 シュトゥルムケンプファーを仕留めようとしていたサンドロックは高く飛び上がりバーストメイスを避ける。

 サンドロックに避けられたバーストメイスはシュトゥルムケンプファーに直撃して胴体が潰れる。

 

「ちっ……避けたか」

「藤城。お前」

 

 バルバトス・アステールはすぐさまバーストメイスをテイルブレイドを使って回収する。

 そして、サンドロックの着地を狙い再びバーストメイスを投擲する。

 今後は変わり切れずに両肩のシールドで防ぐが、シールドが破壊される。

 シールドが破壊されたところを竜胆は逃さずに青竜偃月刀で連続で突きを繰り出す。

 サンドロックはドラゴンガンダムオロチの突きをヒートショーテルで受け流す。

 そうしているうちにバルバトス・アステールは距離を詰めておりドラゴンガンダムオロチを踏みつけて前に出る。

 

「俺を踏み台に!」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを振るうが、流石のサンドロックも真っ向から受けようとはしない。

 踏み台にされたドラゴンガンダムオロチも立ち上がり、サンドロックの横から攻める。

 2機の攻撃を完全には触れぎ切れずにドラゴンガンダムオロチの青竜偃月刀がサンドロックのヒートショーテルを弾き飛ばす。

 

「ちっ……」

「邪魔だ」

 

 バルバトス・アステールが2機の間にバーストメイスを振り下ろす。

 2機は飛び退き回避する。

 バルバトス・アステールはすぐさまサンドロックを追撃する。

 サンドロックは迎え撃つ為にヒートショーテルを振るい、バルバトス・アステールはドリルニーでヒートショーテルを叩き割るとバーストメイスを突き出す。

 2本のヒートショーテルを失ったサンドロックはそれでも尚抵抗を止めない。

 バーストメイスの突きをサンドロックは受け止めるが、先端の杭が射出されサンドロックを貫く。

 胴体を貫かれるも重装甲で致命傷にはならず、バーストメイスを掴み、胸部のホーミングミサイルをバルバトス・アステールの顔面に撃ち込む。

 サンドロックの最後の抵抗の一撃が直撃するものの威力は大してなかったのか、爆炎が晴れてバルバトス・アステールの無傷の頭部が出て来る。

 そして、サンドロックを貫く杭が爆発し、サンドロックを内部から吹き飛ばした。

 フラッグ機のサンドロックが破壊された事でバトルの終了のアナウンスが入る。

 星鳳高校は全国大会1回戦を辛くも突破するが、まだ全国大会は始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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