ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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再開の友

 龍牙達も元々は大我が利害の一致でガンプラ部に入っていると言う事は分かっていた。

 それでも普段は別行動であっても、地区予選では共に戦った事で少なからず仲間意識は持っていた。

 だが、それは龍牙達の一方的な思いでしかなかった。

 それを全国大会の最中に思い知られる事になった。

 それでも大会の進行は待ってはくれない。

 大会2日目は午前中に2回戦があり、午後からは3回戦が行われる。

 それによりベスト8が出そろう。

 3日目には4回戦と5回戦の準決勝戦が行われて4日目に最後の決勝戦が行われる予定となっている。

 星鳳高校も大我の発言で2回戦が始まる前以上に重い空気の中での3回戦となる。

 対戦相手は宮崎代表のチームZ魂だ。

 相手チームは全機をジオン系のガンプラで統一したチームだ。

 バトルフィールドはジャブローで星鳳高校は苦戦を強いられている。

 

「うぉぉぉ!」

 

 バーニングデスティニーがグフに殴りかかりグフはシールドで防ぐ。

 グフが後ろに飛び退くとザクがマシンガンを連射する。

 

「くそ!」

 

 ビームシールドで身を守っていると百騎士がビームライフルで援護する。

 ザクⅡはビームをかわしていると岩陰からアリオスガンダムレイヴンがGNスナイパーライフルⅡで狙撃してギリギリのところでかわされるがマシンガンを掠めて破壊する。

 ザクⅡはマシンガンを捨てるとバズーカに持ち変える。

 

「神君。出過ぎよ。下がって」

「っ了解」

 

 百騎士の援護の元、バーニングデスティニーは下がるが、隠れていたアッガイがロケットランチャーを撃ち込む。

 

「ちぃ!」

 

 バーニングデスティニーはバルカンを撃ちながらアッガイに向かって行く。

 アリオスガンダムレイヴンが狙撃でアッガイの片腕を撃ち抜き、バーニングデスティニーの拳がアッガイをぶち抜く。

 

「ようやく1機……」

「向こうはゲリラ戦慣れしているようね」

 

 相手側は密林だと言う事を活かしてゲリラ戦を仕掛けて来ている。

 星鳳高校も分断されている。

 別の場所でも竜胆のドラゴンガンダムオロチがギャンと近接戦闘で切り合っている。

 接近戦ではドラゴンガンダムオロチが優位だが、ギャンの後方からゲルググとゾックが援護をしている。

 

「ここまで勝ち抜いて来ただけあって3機相手は厳しいか」

 

 ギャンのビームサーベルの突きを青竜偃月刀で受け流してギャンを蹴り飛ばす。

 8基のドラゴンヘッドを展開して3機同時にビームを撃つ。

 ギャンは軽快なステップでビームをかわし、機動力の低いゾックをシールドで守りゾックはビーム砲で応戦する。

 ゾックのビームがドラゴンヘッドの1つを破壊し、ギャンがミサイルを撃ちながら接近して来る。

 それを駆けつけたガンダムクロノスXがクロノスキャノンで迎撃する。

 

「間に合ったな」

「会長。助かる」

 

 ガンダムクロノスXはビームバルカンでギャンの足を止めると、ドラゴンガンダムオロチが青竜偃月刀を振るい、ギャンのシールドを切り裂く。

 ギャンはシールドを破壊されながらもビームサーベルを突き出すが、ドラゴンガンダムオロチは後ろに飛び退きながらドラゴンヘッドを差し向ける。

 ギャンもビームサーベルでドラゴンヘッドを2基までは破壊するが、残りの5基を防ぎ切れずに喰らい付かれる。

 後方のゲルググがビームライフルを向けるが、ガンダムクロノスXがクロノスキャノンを撃って妨害する。

 

 

 

 別の場所では史郎のガンダムAGE-3 オービタルと岳のジムHSCがドムの機動力に翻弄されていた。

 AGE-3 オービタルはシグマシスロングキャノンを撃つが、ドムには当たらない。

 ドムは2機からの攻撃をかわしながらバズーカで反撃する。

 バズーカの砲弾をジムHSCはシールドで受けるが、衝撃で体勢を崩してしまう。

 

「川澄君!」

「この程度大丈夫です」

 

 そこに近くの川からズゴックが飛び出してくる。

 ズゴックはジムHSCに接近すると胴体目掛けてアイアンネイルを突き出す。

 ズゴックの一撃がまともに入りジムHSCは尻餅をついて倒れる。

 

「ちっ! 意外と頑丈に出来てやがる!」

 

 ズゴックがジムHSCに追い打ちをかけようとするが、シュトルゥムケンプファーがビームマシンガンを連射して援護する。

 そこにジムHSCがビームスプレーガンを撃ち込む。

 シュトルゥムケンプファーの攻撃は大して事は無かったが、ジムHSCのビームスプレーガンの攻撃でズゴックの装甲にダメージを受けている。

 そこにAGE-3 オービタルがビームサーベルで切りかかり、ズゴックは川に飛び込んで逃げる。

 

「大丈夫?」

「なんとか」

 

 ズゴックは水中に逃げるが、ドムの脅威は去らない。

 機動力のあるシュトルゥムケンプファーがビームマシンガンを撃ちながらミサイルでドムを追いかけるが、ドムはミサイルを易々とかわしてヒートサーベルを抜いて切りかかる。

 ビームマシンガンを向けるシュトルゥムケンプファーだったが、直前で拡散ビーム砲で目暗ましを食らうが、何とかドムの攻撃をかわす事に成功した物のビームマシンガンが破壊されてしまう。

 

「流石全国いつものようには……」

 

 すぐさまバズーカで応戦するが、ドムのバズーカがシュトルゥムケンプファーの頭部を吹き飛ばした。

 AGE-3 オービタルがシグマシスロングキャノンで援護射撃を入れるが、ドムの機動力を前には意味をなさなかった。

「お待たせしました!」

 

 そこに明日香のクラーフレジェンドも到着する。

 

「清水さん。助かるよ」

「まずは足を止めます!」

 

 クラーフレジェンドは全身のミサイルを一斉掃射する。

 ドムもバズーカでミサイルを迎撃するも、バズーカの連射速度ではミサイルの全てを迎撃しきれない。

 機動力を活かしてミサイルを避けているが、AGE-3 オービタルとジムHCSが集中砲火を浴びせる。

 2機の集中砲火をかわしていたが、脚部に被弾してホバー移動に支障が出たのか、ドムは地に足を付ける。

 そこを逃さずにシュトルゥムケンプファーはヒートソードでドムに切りかかる。

 ドムもヒートサーベルで応戦するが、片足に不調を抱えているドムではまともに応戦しきれずに腕が切り落とされて、AGE-3 オービタル、ジムHSC、クラーフレジェンドの集中砲火で撃破される。

 

 

 

 

 

 

 川に入り離脱したズゴックは川から顔を出す。

 周囲を見渡して安全を確認しようとしていると頭上に影が出来たと思うと頭部が何かが突き刺さる。

 それはバルバトス・アステールの腕部だった。

 ズゴックは頭部を貫かれたまま川から引きづり出されるとバルバトス・アステールは腕を振るってズゴックを投げ飛ばす。

 頭部を貫かれたもののズゴックはまだ戦闘不能にななっていなかった為、バルバトス・アステールは200ミリ砲で止めを刺す。

 

「コイツも外れか。まあいい。手当り次第潰して行けばその内フラッグ機に当たるだろ」

 

 前回とは違い今回の敵の動きからはどのガンプラがフラッグ機であるかを判別する事は難しい。

 その為、大我は敵を見つけ次第に仕留めて行く事にした。

 敵の数は10機である為、10機を全てを仕留めればその内1機はフラッグ機になると言う計算だ。

 ズゴックを撃破した大我は次の獲物を見つけた。

 龍牙達と交戦して一時後退中のザクⅡとグフだ。

 新しい獲物を見つけた大我はガンプラをその方向に向けて進ませる。

 

「レイヴンがいたとはいえ意外になるな」

「ああ……向こうのフラッグ機はリトルタイガーだろうけど、とにかく今はゲリラ戦で消耗させるしか……」

 

 ザクとグフが移動をしていると突如、後方からバーストメイスが飛んで来てグフを後ろから吹き飛ばす。

 

「なんだ! まさか!」

 

 ザクⅡのダイバーもバーストメイスが飛んできたと言う事はバルバトス・アステールが来たと確信する。

 確信すると同時にバルバトス・アステールはグフを破壊したバーストメイスを回収する。

 

「クソ! こんなところでやられて堪るか!」

 

 ザクⅡはバルバトス・アステールにバズーカを撃つ。

 だが、バズーカの砲弾はテイルブレイドによって弾かれて接近するとバーストメイスを振るおうとする。

 ザクⅡのダイバーもやられる事を確信したが、突然後ろに何かに引かれてバーストメイスは空振りに終わる。

 同時にバルバトス・アステールを強力なビームが呑み込む。

 

「……やったか?」

 

 ザクⅡを助けたのは友軍である足の付いたジオングだった。

 ジオングは有線アームでザクⅡを後ろに引き寄せて、もう一機のMSサイズに小さくしたビグザムがビームを撃った。

 ビームの掃射が終わるとそこには無傷のバルバトス・アステールが佇んでいた。

 表面を対ビームコーティングで覆われているバルバトス・アステールにその程度のビームではダメージを与える事は出来ない。

 

「足つきのジオングと小さいビグザムか……先に仕留めておくか」

 

 バルバトス・アステールはビグザムの方に突っ込んで行く。

 ビグザムは胴体部のビーム砲でバルバトス・アステールを寄せ付けないようにするが、最低限の動きで接近するとバーストメイスでビグザムの足を潰す。

 足をやられて体勢を崩したところを膝蹴りと共にドリルニーでビグザムの胴体をぶち抜く。

 

「……成程。そう言う事か」

 

 ビグザムを破壊したバルバトス・アステールはジオングの方に向かって行く。

 ジオングは両腕を飛ばす事無く両手の指のビームと腰と頭部のビームを使ってバルバトス・アステールを迎える。

 肩のシールドスラスターで身を守りながら距離を詰める。

 ジオングは10本の指のビーム砲からビームサーベルを出すとバルバトス・アステールに覆いかぶさるように襲い掛かる。

 

「邪魔だ」

 

 バルバトス・アステールは退く事無く前に出て、ドリルニーでジオングの頭部を潰しながらバーストメイスを逆手に持ち直す。

 

「お前がフラッグ機だな」

 

 大我はそう確信していた。

 大我がビグザムを狙うと同時にザクⅡは一目散に後退し始めた。

 ジオングも腕部を飛ばせばビグザムの援護は出来たはずだ。

 だが、ジオングはそれをしないで後退するザクⅡを守るように位置取りとしていた。

 幾らバルバトス・アステールに対してビーム兵器よりも実弾系の武器の方が効果的とはいえ、この状況でビグザムよりも後退するザクⅡを優先して守る理由は一つしかない。

 そのザクⅡこそが相手チームのフラッグ機だからだ。

 フラッグ機さえ生き残っていればまだ負けではない。

 わずかな勝機を残す為にも相手チームはザクⅡを優先して守ったのだろう。

 しかし、その行動で大我も相手のフラッグ機を見抜く事が出来た。

 尤も、その前に邪魔なビグザムとジオングを始末し、ザクⅡも逃がす気はない為、今更見抜いたところで意味は無かった。

 バルバトス・アステールはバーストメイスを投擲すると、ザクⅡに吸い込まれて行くかのように直撃して破壊する。

 その後、大我の推測が当たっていた事を証明するかのようにバトル終了のアナウンスが入る。

 

 

 

 3回戦を突破した星鳳高校だが、その空気は勝利者の物とは思えなかった。

 その大本は大我の言動だが、竜胆も文句を言おうにも本人が自分達と仲間である事を否定している。

 その上、大我が結果を出している事も文句を言いにくい空気となっている。

 全国大会もすでに3戦目だが、その戦果を見ると3戦ともフラッグ機は大我が仕留め、撃墜数も大我が圧倒的だ。

 GBN内でも星鳳高校はランキング上位の静流と竜胆を除けば大我のワンマンチームだと言う認識が広がっている。

 実力で言えば諒真も静流や竜胆と肩を並べるだけの実力があるものの、全国大会では周囲の指揮を執ったりフォローに回る事も多く結果を出していない為、実力者として認識はされていない。

 3回戦も終わると他のチームの結果もいくつか出ているようだ。

 AブロックとBブロック、Cブロックは順当にアリアンメイデン、ブラッドハウンド、闘魂が勝ち抜いているようだ。

 星鳳高校のDブロックのもう1戦はまだ決着が付いていないようで、星鳳高校の面々は明日の準々決勝に向けてバトルを観戦する事となった。

 バトルをしているのはランキング2位のコジロウ率いるチーム岩龍だ。

 バトルフィールドは市街地のようでモニターには岩龍のリーダーでエースのコジロウのガンダムX斬月が相手チームのGバウンサーと交戦する様子が映されている。

 Gバウンサーは腰がビームサーベルではなく、Gサイフォスの高出力ヒートソードを2本装備している。

 GバウンサーのドッズライフルをガンダムX斬月は籠手で弾くと大太刀で切りかかる。

 それをGバウンサーは一閃目はかわして後退する。

 後退するGバウンサーを追うガンダムX斬月だが、左右から2機のGエグゼスがビームサーベルで挟み込む。

 1機のビームサーベルをかわして蹴り飛ばすと、もう1機のGエグゼスの斬撃をかわして大太刀を振るい、Gエグゼスをシールドごと一刀両断にする。

 

「アレが2位のコジロウか……近接戦闘だけならダイモンを凌ぐとも言う実力は伊達ではないな」

 

 一連の動きから近接戦闘に自信を持つ竜胆もその実力を認めざる負えない。

 龍牙達も分かっていた事だが、改めてランキング2の実力者の力を目の当たりにしている。

 蹴り飛ばされたGエグゼスがビームライフルを構えるが、上空から弾丸の雨が降り注ぎGエグゼスは一瞬の内に蜂の巣となった。

 そして、上空から1機のガンプラが市街地に降り立つ。

 

「アスタロト……だが、似ている」

 

 降り立ったガンダムアスタロトの改造機を見て岳はそう呟きながら大我の方を見る。

 岩龍のアスタロトは同じ鉄血のオルフェンズのガンダムフレーム機だと言う事を除いても改造の癖等が大我のバルバトス・アステールに良く似ていた。

 大我も岳が何を聞きたいのか分かったようで口を開く。

 

「当然だろ。あのアスタロト・アステールはリヴィエールが俺のバルバトス・アステールと組ませる為に制作した、いわば兄弟機だ。似ているのも当然だろう」

 

 大我は淡々と言うが、その事実は衝撃的だ。

 アスタロトの改造機、ガンダムアスタロト・アステールは大我のガンダムバルバトス・アステールの兄弟機だと言うのだ。

 アスタロト・アステールはベース機のアスタロトとは違い左右対称で腕部はサブナックルのある左腕で統一されている。

 肩と腰にはバルバトス・アステールが装備している物と同じ機関砲の内蔵されたシールドスラスターが内蔵されており、裏側には肩にはスラスターが付けられ刃が超振動している斧、ブレイクアックスが、腰にはアスタロトオリジンのショットガンがそれぞれつけられている。

 両腕のサブナックルには蛇腹剣としても使える腕部ブレードが付けられており、未使用時には邪魔にならないようにスライド機構によりサブナックルに収容されている。

 バックパックにはアスタロトオリジンの物をベースに重力下でのフライトユニットとなるウイングとアームにより脇の下から逆手で保持して使うガトリング砲が装備されている。

 頭部にもバルカンが追加され、兄弟機のバルバトス・アステールが一撃での攻撃力に特化したガンプラならアスタロト・アステールは手数に特化したガンプラと言えるだろう。

 

「まさかこんなところにいたとはな」

「知り合いなのか?」

 

 龍牙は大我の言い方からダイバーもまた知り合いなのだろうと言う疑問を持ち大我にぶつける。

 

「ああ。南雲レオ。昔、ウチのチームに居た奴だ。何年か前にチームを抜けてガンプラもその時に持ち逃げしてる」

 

 大我のチームビッグスターの元メンバーと言うだけで、相当な実力者だと言う事は事実だろう。

 自称大我の舎弟であるジョーですら相当の実力者だった事からもそれは間違いない。

 そして、世界的なビルダーであるリヴィエールが制作したアスタロト・アステールの完成度もバルバトス・アステールと同等と見て良い。 

 アスタロト・アステールは両肩のシールドスラスターに装備されているブレイクアックスを両手に持つとGバウンサーに向かって行く。

 Gバウンサーもドッズライフルで反撃するが、ビームはアスタロト・アステールに直撃するが弾かれる。

 アスタロト・アステールもまたバルバトス・アステールのように表面に対ビームコーティングがされている為、並のビームでは傷一つつかない。

 接近して来たアスタロト・アステールにバウンサーはシールドのシグルブレイドを振るう。

 それを左腕のサブナックルで止めてブレイクアックスを振るう。

 Gバウンサーはドッズライフルを捨てて後退すると腰の高出力ヒートソードを抜いて反撃する。

 アスタロト・アステールがブレイクアックスを振るい、高出力ヒートソードとぶつかると高出力ヒートソードの刃が砕け散る。

 更にもう片方のブレイクアックスを振るい、シールドで防がれるがシールドが一撃で粉砕される。

 シールドが破壊されたGバウンサーはもう一本の高出力ヒートソードを抜こうとするが、それよりも早くアスタロト・アステールは加速して距離を詰めるとブレイクアックスでGバウンサーの腕を切り落として蹴り飛ばす。

 蹴り飛ばされて仰向けに倒れたGバウンサーは何とか起き上がるとアスタロト・アステールはブレイクアックスをシールドスラスターにしまい、ガトリング砲を前方に向けていた。

 両手のガトリング砲と両肩と腰の4つのシールドスラスターの機関砲、頭部のバルカンの全門からの一斉掃射がGバウンサーを襲う。

 シールドを失いまともに回避行動の取れないGバウンサーはアスタロト・アステールの集中砲火を前に成す術もなく銃弾の嵐を受ける。

 やがて、Gバウンサーは原型をとどめない程に蜂の巣となり撃破される。

 Gバウンサーがフラッグ機だった為、バトルは岩龍の勝利で終わった。

 

「次の対戦相手はレオか。ようやく少しは骨のある相手と戦える」

 

 大我はそう言うが、他の部員は何も言わない。

 元々、次の対戦相手は岩龍になる可能性が高く、岩龍にはランキング2位のコジロウがいる。

 始めから次のバトルは今まで以上に厳しい物になる事は分かっていたが、ここにきて岩龍にはエースのコジロウの他に大我と同等の実力者と思われる南雲レオの存在が出て来た。

 コジロウ一人ならまだやりようはあったが、そこにもう一人圧倒的な実力者がいるとなると話しは別だ。

 ただでさえ、大我の問題もある中、星鳳高校の次の戦いは一層厳しい物になる事を誰もが思い知る事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 3回戦を勝ち抜いた岩龍のダイバー達はGBNからログアウトする。

 3回戦も苦戦する事なく勝ち抜いたが、岩龍のダイバー達は互いの健闘を称えあう。

 勝っても空気の重い星鳳高校とは正反対の雰囲気だ。

 

「隊長」

「ん? どうした」

 

 ログアウトすると岩龍のリーダーのコジロウこと、湖侍路右京はチームメイトの一人に軽く肩を突かれて指を差す方向を見る。

 そこには次の対戦相手の大我が岩龍のダイバー達がログアウトするのを待っていたようだ。

 星鳳高校も岩龍のバトルが終わりホテルに帰り明日のバトルに備える事になったが、大我は一人別行動を取っていた。

 右京もDブロックで警戒すべき相手として大我の事は認識している。 

 そんな大我が自分達を待っていた為、少なからず警戒している。

 

「大将。俺が相手しときますよ。どうせ俺に用があって来たんだから」

 

 大我を見てダイバーの一人がそう言う。

 そのダイバーこそが大我の元チームメイトである南雲レオだった。

 レオも大我が自分に用事があるのだと思い相手を買って出た。

 

「南雲。分かっているとは思うが、試合前にトラブルを起こすなよ」

「分かってるって。大我もそこまで馬鹿なないって」

 

 圭も大我ことリトルタイガーが日本サーバーで色々と話題に事欠かない事は知っている。

 下手にトラブルになれば大我だけではなくレオも試合に出れなくなるかも知れない。

 今年はレオを入れて本気で全国制覇を狙っている。

 それを目前にレオが試合に出れなくなる訳には行かない。

 だが、レオは余り気にした様子もない。

 本人が大丈夫だと言う以上はレオを信用するしかない。

 レオはチームに加入した当時は自信家で生意気な1年として、チーム内でもレオの事を快く思っていないダイバーもいたが、今では実力で信頼を勝ち取り岩龍のエースの片割れであると認められている。

 そんなレオが大丈夫だと言えばチームのリーダーとして信じるしかない。

 

「大我。ここじゃ何だからちょっと面貸せよ」

「ああ」

 

 大我も愛想こそないが、レオ以外に興味はないのか素直にレオに従う。

 二人は会場の人気のないところに移動する。

 

「久しぶりだな。大我」

「そうだな。お前がチームを抜けて以来だからな」

 

 レオとはレオがビッグスターを抜けてから一度も顔を合わせてはいない。

 大我も日本にいる事くらいしか知らなかった。

 

「まぁ大我は相変わらず敵を作るのが上手いから合わなくても色々と耳に入って来たけどな」

 

 大我と会うのは久しぶりだが、レオの方は大我が日本で活動している事を知っていた。

 自由同盟を初めとして大我の行く先々で色々なトラブルが起きては掲示板や噂で話しが入って来るからだ。

 

「まぁ、お前が日本で活動しているって聞いた時は驚いたけどな。まさか、お前もチームを見限っていたなんてな」

「俺がここにいるのはチームの為だ。こんな大会に出るハメになったのは想定外の事だけどな」

「変わらないな。お前は。まだあのチームに拘ってんのかよ」

「お前も相変わらずだな」

 

 大我の自分を見透かしたような態度はレオにとっては非常に癪だった。

 

「俺は変わったさ。チームを捨てて俺は強くなった。もう昔の俺じゃない!」

 

 レオの言葉が少し強くなる。

 だが、大我は顔色一つ変えない。

 

「変わってないさ。お前はあの時のままだ。ただひたすら強くなろうとしたあの時のな」

 

 レオはビッグスターに居た頃から人一倍向上心が強かった。

 大我と何度もエースの座を争いぶつかりあった。

 お互いに勝ったり負けたりしたが、どちらも負けるとまずは負けた理由の良い訳や、相手の戦いの貶し合いから始まり自分を正当化して激しい口論に発展する。

 チームにとっては日常的な事で他のチームメイトからは口論になる度にまたかと生暖かく見守られ次第には今回はどちらが勝つかを賭けていたくらいだ。

 しかし、ある時レオは更なる強さを求めてチームを抜けた。

 あのままチームに居ても自分はこれ以上強くはなれ無いと悟ったからだ。

 大我にとってはレオはあの時から何も変わっていない。

 チームを抜けてでも強さを求めたあの時のままだ。

 

「だが、今のレオは俺の敵だ。分かっているよな。俺は敵が誰であれぶっ潰す」

「だろうな。そう言う所も相変わらずで懐かしいな……けど、勝つのは俺だ」

 

 レオはそう言い切る。

 チームを抜けてからレオは一人で上を目指した。

 あの時よりも強くなったと言う自信がある。

 

「いや、勝つのは俺だ」

 

 だが、大我も負けてはいない。

 レオがチームを抜けてから大我も強くなった。

 更なる高みに上る為に今はチームを離れている。

 そんな大我も負けるつもりは毛頭ない。

 それは互いに分かっていた事だ。

 昔から相手は誰であれ大我もレオも勝ちを譲る気はない。

 

「お互い譲る気はなしか」

「当然だ。勝つのは俺だからな」

 

 大我もレオもこれ以上は何も語る事はなさそうだ。

 互いに自分の勝利を確信している。

 後はどちらが正しいかと明日のバトルで証明するだけだ。

 大我も用事が済んだのかホテルに帰って行く。

 全国大会準々決勝にてかつてのチームメイトとのバトルが始まる。

 

 

 

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