ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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キング

 全国大会準決勝第二試合は前回の優勝チームである仙水高校チーム闘魂と星鳳高校とのバトルとなる。

 すでに第一試合で皇女子高校チームアリアンメイデンが勝利して決勝戦へと駒を進めている。

 このバトルに闘魂が勝利すれば去年と同じ組み合わせとなるが、対戦相手の星鳳高校は岩龍を倒して準決勝まで勝ち進んでいる。

 準決勝はどちらが勝ってもおかしくは無く、注目を集めている。

 準決勝第二試合は月面での戦いとなる。

 月面が地上ステージと同じように重力があるものの、地上ステージよりも重力は軽く重力ステージと無重力ステージの中間に位置するステージだ。

 

「アレ? 藤城のガンプラが少し変わってないか?」

 

 バトルフィールドに入り、龍牙がふと大我のガンプラを見てそう言う。

 大我のバルバトス・アステールは今までとは所々が違っていた。

 

「待ち時間の間に改良を加えた」

 

 大我は準決勝までの間にレオと共にバルバトス・アステールに改良を加えていた。

 その設計データはバトル後にリヴィエールから送られて来た物で、それをレオと二人で完成させたのだ。

 元々、大我のバルバトス・アステールとレオのアスタロト・アステールの内部フレームは独自のガンダムフレームを使いフレーム自体は同じ物を使っていた。

 装甲や装備は戦闘中にどちらかに付け替える事も想定して互換性を持たせている。

 その上で、リヴィエールは2機のガンプラを一つにしたガンプラを設計して大我に送った。

 それが大我の新しいガンプラ、ガンダムバルバトス・アステール・アルファだ。

 ベースはバルバトス・アステールだが、機体のいたるところにアスタロト・アステールのパーツが使われている。

 サイドスラスターはアスタロト・アステールと同じようにシールドスラスターに変更されてショットガンと腕部に装備されていたブレードが装備されている。

 バックパックの太刀と滑空砲は外されて、アスタロト・アステールのフライトユニットを2つに分割してテイルブレイドが使えるようにつけられている。

 膝の増加装甲に更にサブナックルをかぶせて装甲が熱くなりサブナックルの裏側にはマニュピレーターが付けられており、アームで稼働する事でサブアームとしても使う事が出来る。

 頭部はバルバトス・アステールとアスタロト・アステールの2機の物を組み合わせており、アスタロト・アステールのバルカンが追加されている。

 肩のシールドスラスターにはそれぞれ太刀とブレイクアックスが装備されている。

 バルバトス・アステールの攻撃力を維持しながらアスタロト・アステールのパーツを使う事で重力下での飛行能力や機動力、攻撃の手数が増え元々持つ高い攻撃力を更に高める事になっている。

 

「リヴィエールの奴……バルバトスとアスタロトの装備を集約したせいでバランスが滅茶苦茶だ」

 

 アスタロトのパーツを使い強化したバルバトスだが、数値上では性能は格段に向上しているが、その反面機体のバランスは最悪で今まで以上に扱い辛い仕様となっている。

 設計の段階でリヴィエールも気づいていた筈だが、バランスを改善する事無く完成させたと言う事は大我に使いこなして見せろと言う事なのだろう。

 

「面白い。完璧に使いこなしてやるよ」

 

 大我はそう言い機体を一気に加速させる。

 機動力も大幅に向上している為、月の重力を簡単に振り切り単機で突撃して行く。

 

「ダイモン。分かっていると思うが……」

「分かってるってゴウキ。リトルタイガーとは単独で戦うなだろ?」

 

 闘魂もまたバトルフィールドに展開しつつある。

 ゴウキはバトル開始前から散々言っていた事を再度ダイモンに言っていた。

 星鳳高校の準々決勝で大我とレオのバトルを見てダイモンは大我とのバトルを非常に楽しみにしていた。

 だが、ゴウキはそのバトルで恐怖すら感じていた。

 今までは高い実力を持ったファイターと言う認識でしかなかったが、レオとのバトルを見て認識を改めた。

 大我は世界でも通用するレベルのファイターでダイモンが単独で戦えば負ける危険性が高いと。

 闘魂は個人の実力の高いチームだが、アリアンメイデンに敗れたブラッドハウンドのように個人での戦いに特化したチームと言う訳ではない。

 ゴウキはチームのリーダーとしてエースのダイモンを一人で大我と戦わせる訳には行かないと判断してダイモンにも絶対に単独で戦うなと言い聞かせた。

 ダイモンも不服そうだが、レオとのバトルを見ればゴウキがそう考えるのも無理はないと渋々了承した。

 

「ハチべ、キュータ、ジューゾー。俺に付いて来い」

 

 ダイモンのガンダムAGE-2 マッハにランキング8のダイバーであるハチベのジンクスⅣとランキング9位のキュータのビルゴⅡ、ランキング10位のジューゾーのガンダム試作1号機フルバーニアンが続く。

 ハチベのジンクスⅣはGNビームライフルに粒子増量タンク、右肩にGNバスターソード、左肩にGNシールドを装備して、アロウズカラーで塗装されれいる。

 キュータのビルゴⅡは両手にビームライフルを装備している。

 ジューゾーのフルバーニアンは手持ちの火器にマシンガンを持っている。

 二人を連れてダイモンは単機で突撃して来る敵機を迎え撃つ。

 

「AGE-2……ダイモンか」

「やっぱ単機で突撃して来たのはリトルタイガーか」

 

 大我の方でも3機の敵機を補足していた。

 バルバトス・アステール・アルファは減速する事無く、AGE-2 マッハに向かって行くとバーストメイスを振るう。

 だが、AGE-2 マッハは簡単にかわすと背部のツインドッズキャノンを前方に展開してライフルモードのハイパードッズランスと同時にビームを撃つ。

 

「嬉しいな。ガンプラを改造して来てくれて!」

「オマケに8、9、10位もいるのか。少々物足りないがまぁ良いだろう」

 

 バルバトス・アステール・アルファは腕部の200ミリ砲を撃つ。

 フルバーニアンはかわして、加速するとマシンガンを撃ち込む。

 

「キュータ。奴にビームは聞き辛い。防御に回ってくれ、ジューゾーは俺と機動力を活かしてかく乱、ハチベは隙を見て接近戦を……と言いたいんだが、リトルタイガーに接近戦は自殺行為だ。距離を取って援護してくれ」

 

 ダイモンが周りに指示を出す。

 本来なら指示を出すのはゴウキの仕事だが、大我を相手に個々で戦えばわざわざ上位ランカーを投入した意味はない。

 フルバーニアンはマシンガンを撃ちながらバルバトス・アステール・アルファとの距離を保つ。

 ジンクスⅣはGNビームライフルを撃つが、バルバトス・アステール・アルファの表面のビームコーティングに弾かれる。

 バルバトス・アステール・アルファはフライトユニットのガトリング砲を脇の下から前方に向けて連射する。

 アスタロト・アステールは逆手に持って使っていたが、バルバトス・アステール・アルファは腕部がパワーユニットで長くなっている為、ガトリング砲を保持する事が出来ない。

 そのせいでガトリング砲は発射時の反動で銃身がぶれて命中精度は大幅に落ちているが、大我は気にしない。

 ガトリング砲はビルゴⅡがプラネイトディフェンサーを展開して防がれる。

 

「ちっ……面倒だな」

「余所見するなよ!」

 

 ダイモンのガンダムAGE-2 マッハがハイパードッズランサーをランスモードにして突撃して来る。

 それをバーストメイスの柄で受け止めるとドリルニーで膝蹴りで反撃する。

 AGE-2 マッハは離れてドリルニーの間合いから離れるが、そこから膝のサブナックルが展開してマニュピレーターでAGE-2 マッハを捕まえようとする。

 

「マジか!」

 

 AGE-2 マッハはギリギリのところで捕まらずに済んだがが、バルバトス・アステール・アルファは腰のシールドスラスターに付いているブレードを射出する。

 アスタロトの時は腕に付いていたため、腕を振るう事で鞭のようにも使えたが、バルバトス・アステール・アルファでは腰のシールドスラスターに付いている事もありほぼ正面にしか使えないが、相手の不意を付く事が出来る。

 

「初見殺しかよ!」

 

 AGE-2 マッハはハイパードッズランサーでブレードを弾く。

 そこにバルバトス・アステール・アルファは200ミリ砲を撃ち込もうとするが、ビルゴⅡのプラネイトディフェンサーが間に入りAGE-2 マッハを守る。

 

「キュータ、ナイス!」

「邪魔だな」

 

 両肩のシールドスラスターの機関砲をAGE-2 マッハに撃ち込み、プラネイトディフェンサーで守らせている間にテイルブレイドをビルゴⅡの方に差し向ける。

 ビルゴⅡは両手のビームライフルを連射してその内の一発がテイルブレイドに当たって軌道を逸らせたが、左腕を肘から落とされる。

 

「こっちががら空きだぜ!」

 

 フルバーニアンがマシンガンを構えるが、バルバトス・アステール・アルファは膝のサブナックルに付いているマニュピレーターで腰のシールドスラスターに付いているショットガンを抜くとフルバーニアンに向けて放つ。

 フルバーニアンはシールドで防ぐが、シールドは耐え切れずに粉砕されてしまう。

 

「一端下がれ!」

 

 AGE-2 マッハがハイパードッズランサーとツインドッズキャノンを同時に放ち、バルバトス・アステール・アルファを抑える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大我とダイモン達が交戦している頃、星鳳高校と闘魂が本格的に交戦が始まっている。

 月面の岩場で双方は岩陰に隠れながら撃ちあっている。

 

「数はこっちが有利だけど、埒が明かないな……神、八笠。ちょっと仕掛けて来てくれ」

「会長は簡単に言ってくれる」

「けど、状況を打開するには俺達で突貫するしかないですよ!」

 

 岩陰に隠れていたバーニングデスティニーが飛び出す。

 それにドラゴンガンダムオロチが続く。

 バーニングデスティニーは両腕のビームシールドを展開しながら突撃して行く。

 

「隊長! 星鳳の連中が突っ込んできました!」

「俺が行きます!」

 

 突撃して来るバーニングデスティニーをスサノオが向け撃つ。

 バーニングデスティニーの拳を2本の実体剣でスサノオが受けとめる。

 後方からドラゴンガンダムオロチが飛び上がり、スサノオを目掛けてドラゴンヘッドを差し向ける。

 

「やらせん!」

 

 ドラゴンヘッドはゴウキの闘魂デュエルがビームライフルで撃ち抜くとリアアーマーの大型高周波ソードを抜いて切りかかるが、アリオスガンダムレイヴンがGNスナイパーライフルⅡで援護射撃を行い闘魂デュエルはシールドで防ぐ。

 その間にドラゴンガンダムオロチは残っているドラゴンヘッドを差し向けて自身も闘魂デュエルの方に向かう。

 闘魂デュエルは大型高周波ソードでドラゴンヘッドの一つを破壊し、もう一つを頭部のバルカンで牽制し、ドラゴンガンダムオロチの青竜偃月刀を大型高周波ソードで受け止める。

 

「流石にリンドウとレイヴンを二人相手にするのは厳しいか」

「龍牙!」

「はい!」

 

 ドラゴンガンダムオロチが闘魂デュエルを蹴り飛ばすと、そこに合わせてバーニングデスティニーが突っ込んで行く。

 

「やらせるかよ!」

 

 だが、岩陰に隠れていたシゲの高機動型ザクⅡが対艦ライフルでバーニングデスティニーを妨害する。

 

「助かった。シゲ」

「このくらいお安い御用ですよ」

 

 闘魂デュエルは着地して体勢を整える。

 

「黒羽、沖田、清水。援護は任せる。日永、川澄は俺に付いて来い!」

 

 諒真のガンダムクロノスXが岩陰から前に出て、ジムHSCと百騎士もそれに続く。

 岩陰からクラーフレジェンドがビームライフルで、ガンダムAGE-3 オービタルはシグマシスロングキャノンを撃って援護する。

 

「神と八笠は一度下がって体勢を整えろ。前衛は俺達に任せろ」

「会長。頼む」

「済みません」

 

 ドラゴンガンダムオロチとバーニングデスティニーの後退をアリオスガンダムレイヴンが援護する。

 

「来るか!」

 

 スサノオは向かって来るガンダムクロノスXにトライデントスマッシャーを放つ。

 

「やらせないよ」

 

 間にジムHSCが入りシールドで防ぐ。

 ジムHSCの後ろからガンダムクロノスXが飛び上がりビームバスターとクロノスキャノンをスサノオに放つ。

 スサノオは後ろに下がりながら回避すると、シグーディープアームズがスサノオと合流しビームを撃ちながら、ジムHSCをマシンガンで足止めをする。

 

「やるな」

 

 ガンダムクロノスXはビームをかわしながらクロノスビットを展開して殆ど狙いを付けずにスサノオとシグーディープアームズの方に向かわせる。

 クロノスビットがデタラメに狙いを付けている為、当たる事はないが月面に落ちて目暗ましとなる。

 百騎士もビームライフルを連射する。

 爆風の中からヘルムヴィーゲ・リンカーが飛び出してきてヴァルキュリアバスターソードでガンダムクロノスXに切りかかる。

 

「マジかよ」

 

 ガンダムクロノスXはクロノスキャノンで応戦するがヘルムヴィーゲ・リンカーの重装甲は貫けない。

 ヴァルキュリアバスターソードをクロノスアックスで受け止めるが、完全に受け止めきれずにクロノスアックスの柄が簡単に粉砕されて月面に叩き付けられる。

 

「なんつーパワーしてやがる」

 

 ヘルムヴィーゲ・リンカーはそのままガンダムクロノスX目掛けてヴァルキュリアバスターソードを振り下ろしながら落ちて来る。

 その一撃をガンダムクロノスXは何とか回避し、ジムHSCと百騎士はヘルムヴィーゲ・リンカーに集中砲火を浴びせるが、ヘルムヴィーゲ・リンカーの装甲にはびくともしない。

 

「あの装甲は大我じゃないと突破できそうに無いな……」

「会長!」

 

 後方に下がったバーニングデスティニーが戻ってきて回転して勢いを付けた回し蹴りを繰り出すが、ヘルムヴィーゲ・リンカーはヴァルキュリアバスターソードで受けめる。

 更にドラゴンガンダムオロチがヘルムヴィーゲ・リンカーの懐に飛び込んで青竜偃月刀を振るうが、ヘルムヴィーゲ・リンカーの装甲には傷一つつかない。

 

「コイツは俺と龍牙で抑える」

「任せた」

 

 一先ずヘルムヴィーゲ・リンカーは接近戦に強い龍牙と竜胆に任せる事にした。

 ヘルムヴィーゲ・リンカーを何とか抑えた矢先、スサノオがトランザムを使ってガンダムクロノスXに突っ込んで来た。

 

「ちぃ!」

 

 ビームバルカンを向けようとするが、すでに遅くスサノオの実体剣がガンダムクロノスXに迫ろうとしたが、それよりも先にアリオスガンダムレイヴンがトランザムを使って間に割り込んでGNビームサーベルで受け止める。

 

「相手がトランザムならこっちもトランザムで!」

 

 アリオスガンダムレイヴンとスサノオはトランザムを使いながら高速でぶつかり合う。

 後方からクラーフレジェンドのミサイルが降り注ぎ、シグーディープアームズは両肩のビーム砲とマシンガンでミサイルを迎撃し、その間に百騎士がナイトブレード改で切りかかり、シグーディープアームズはレーザー対艦刀で受け止める。

 シグーディープアームズは後ろに飛び退くとマックナイフが2機の間に入るとプラズマクロウで百騎士に切りかかる。

 

「マックナイフ! いつの間に!」

 

 百騎士はビームマントを展開する。

 プラズマクロウで攻勢に出るマックナイフとガンダムクロノスXとジムHSCがビームで牽制するが、マックナイフは軽やかビームをかわすと股間のフォトンボム百騎士に撃ち込む。

 百騎士はビームマントで身を守ったが、右腕が破壊されて苦し紛れにクレイバズーカを撃つが、運良くマックナイフの頭部に直撃する。

 頭部に被弾したマックナイフはビームバルカンを使って敵を寄せ付けないようにする。

 

「数では劣るが互角と言ったところか」

 

 ゴウキは時折ビームライフルで援護射撃を入れながら状況を把握していた。

 向こうは9機でこちらは6機と数では劣るものの静流や竜胆、諒真を除けば個人の実力では闘魂に分がある。

 

「ん? 8機だと?」

 

 ゴウキは相手のガンプラの数は8機しかいない事に気が付いた。

 それと同時にコックピット内に警戒のアラートが鳴り響く。

 

「隊長!」

 

 岩陰から単独で回り込んでいたシュトルゥムケンプファーがビームサーベルを手に闘魂デュエルに迫って来ていた。

 状況の把握に集中していた事もあり、ゴウキの反応は少し遅れて愛依もやれると確信したが、シゲが対艦ライフルを間に割り込ませてシュトルゥムケンプファーのビームサーベルは対艦ライフルを貫いて止まる。

 

「シゲ!」

「まだ!」

 

 シュトルゥムケンプファーは左肩の大型ミサイルポッドを闘魂デュエルに向けるが闘魂デュエルはビームライフルでミサイルポッドを撃ち抜き、シゲの高機動型ザクⅡがジャイアントヒートアックスをシュトルゥムケンプファー目掛けて振り下された。

 ジャイアントヒートアックスはシュトルゥムケンプファーの頭部をかち割り胴体まで達していた。

 

「助かったぞ。シゲ」

「隊長……下手打ったみたいです」

 

 シュトルゥムケンプファーは沈黙しているが、右手にはビームサーベルではなく膝に装備していたザクマシンガンが握られており、シゲの高機動型ザクⅡの胴体に弾痕が残されていた。

 愛依はやられる直前に最後の悪足掻きでビームサーベルを手放してザクマシンガンで高機動型ザクⅡの胴体を攻撃して相討ちに持ち込んだ。

 

「シゲ……良くやった。ここからはこちらも攻めさせて貰う!」

 

 闘魂デュエルは勢いよく飛び出す。

 

「隊長機! まずはアレを!」

 

 史郎のガンダムAGE-3 オービタルは闘魂デュエルにシグマシスロングキャノンを撃つが、シールドで易々と防がれてビームライフルで反撃する。

 ビームはAGE-3 オービタルの右肩と頭部に直撃して破壊する。

 

「部長! 大丈夫ですか?」

「……何とか大丈夫だけど……これじゃもう……」

 

 AGE-3 オービタルは岩陰に隠れる。

 右肩を撃ち抜かれて右腕を失っている為、AGE-3 オービタルでは援護射撃を行う事も出来ない。

 

「こんな時に……僕は何も……」

 

 闘魂デュエルからの追撃はない。

 右腕を失えばAGE-3 オービタルは何も出来ないと考えているのだろう。

 事実、史郎は岩陰に隠れて何も出来ずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 星鳳高校と闘魂の本隊同士の戦闘はやや闘魂有利で進む中、大我とダイモンの戦闘もダイモンが押しつつある。

 バルバトス・アステール・アルファの火器はビルゴⅡのプラネイトディフェンサーで完全に防がれており、4機ともが無暗に接近せずに戦っている。

 

「流石にランカーが連携して来ると面倒だな……」

「笑うが良いさ……だが、俺達もここで負ける訳には行かないからな」

 

 ダイモンとしてはこの戦い型は不服だが、チームが勝つ為にはこのやり方が確実である事は分かっている。

 全国大会優勝チームとしてのプライドを捨ててまで大我を倒さねばならないからだ。

 

「そろそろ仕掛けさせて貰う」

 

 バルバトス・アステール・アルファは一気に加速する。

 だが、バルバトス・アステール・アルファの進行方向には自分達のガンプラは存在しない。

 

「逃げる気か! リトルタイガー!」

「深追いは止せ! ジューゾー!」

 

 ダイモンも一瞬、大我は状況を打開できない為に離脱すると考えた。

 しかし、その考えはすぐに捨てた。

 初めて戦ったあの時、大我は熱砂の旅団と自由同盟の二つのフォースを同時に相手として、その後のEXミッションのEXボスガンプラを単機で仕留めた。

 その戦いでボロボロになっても尚、自分と言う新たな獲物を前に襲い掛かって来た。

 それほどの闘争心を持つ大我がこれしきの事で撤退するとはダイモンには考えられなかった。

 ダイモンの予測が正しかった事はすぐに証明される事となった。

 大我が逃げると考えて、それを追ったフルバーニアンだったが、バルバトス・アステール・アルファは反転すると急制動をかけた。

 突然の事態にジューゾーは対応しきれず、バルバトス・アステール・アルファは腰のシールドスラスターからブレードを射出してフルバーニアンの両肩に突き刺さる。

 そのまま、ブレードごとフルバーニアンがバルバトス・アステール・アルファに一気に引き寄せられていく。

 バルバトス・アステール・アルファはバーストメイスを振り上げてフルバーニアンを粉砕した。

 

「ジューゾーがやられた!」

「くそ! セコイ真似しやがって!」

 

 フルバーニアンがやられた事でジンクスⅣとビルゴⅡもバルバトス・アステール・アルファに向かって行く。

 

「ハチべ! キュータ! 馬鹿野郎が!」

 

 仲間がやられた事で二人は頭に血が上っているようでダイモンの指示を聞いていない。

 元々ハチベ、キュータ、ジューゾーはランキングでも8、9、10位と並んでおり、チーム内ではライバルでもあった。

 だが、一度バトルとなると、互いに戦い方を熟知しているが故にチーム内でも高い精度の連携を見せて来た。

 だからこそ、星鳳高校の中で最も警戒すべき大我を相手するのに3機を連れて来たが、逆効果のようだった。

 フルバーニアンを仕留めたバルバトス・アステール・アルファは向かって来る2機の方に向かって加速する。

 

「なっ!」

「さっきまでとは!」

 

 加速したバルバトス・アステール・アルファは先ほどまでとは比べものにならない速度で突っ込んで来てビルゴⅡにプラネイトディフェンサーで守る隙を与えずにドリルニーを胴体にぶち込む。

 それと同時にジンクスⅣが横からテイルブレイドに襲われて右腕のひじ関節を破壊される。

 

「馬鹿な! 俺達は王者!」

 

 バルバトス・アステール・アルファが腰のブレードを射出してジンクスⅣの頭部を左太ももに突き刺さって引き寄せると胴体に左腕を突き刺して止めを刺す。

 一瞬の内に2機を撃破されて流石のダイモンも助ける事は出来なかった。

 

「邪魔者は始末した。まだコイツの扱いにはなれていなくてな。丁度いい準備運動になった。来いよ。キング」

「全く……本来ならば良いようにやられて憤るところなんだろうな……けど、滾って来た!」

 

 ガンダムAGE-2 マッハは最大加速でバルバトス・アステール・アルファに向かって行く。

 それをバルバトス・アステール・アルファは迎え撃つ。

 

「こうでなくちゃな! 余計な小細工なんてしないで本気で力と力がぶつかり合う! それが俺の望むガンプラバトル! お前もそうだろ! リトルタイガー!」

「さぁな」

 

 2機の機動力はほぼ互角だった。

 機動力が強化されているバルバトス・アステール・アルファならば、MS形態のAGE-2 マッハとも機動力では引き離される事はない。

 

「なら本気にさせてやる!」

 

 AGE-2 マッハは左腕の装甲からビームサーベルを出して切りかかる。

 バルバトス・アステール・アルファは回避するとガトリング砲を前方に向けて連射するが、AGE-2 マッハはストライダー形態に変形して加速してかわす。

 MS形態なら機動力は互角だがストライダー形態でなばら機動力はまだAGE-2 マッハの方が上だ。

 バルバトス・アステール・アルファの攻撃をかわしながら、更に加速するとAGE-2 マッハは背中のツインドッズキャノンを前方に向けて撃ちながら突っ込む。

 200ミリ砲で迎撃するがAGE-2 マッハの速度は緩まず、バルバトス・アステール・アルファに突っ込んで横を通り過ぎる。

 その際にバルバトス・アステール・アルファの頭部にAGE-2 マッハの可変翼が掠り、頭部のV字アンテナの片方が切れる。

 しかし、大我も大人しくはやられてはいなかった。

 すれ違う直前にバルバトス・アステール・アルファはAGE-2 マッハの可変翼の一つをもぎとっていた。

 

「転んでもただでは起きない……それでこそ倒し甲斐があると言うもの!」

「知るか。生憎とこっちは転んでいる暇はないんだがな」

 

 AGE-2 マッハはMS形態に戻ると反転してストライダー形態に再度変形すると真っ直ぐバルバトス・アステール・アルファに向かって行く。

 最大ませ加速するAGE-2 マッハにバルバトス・アステール・アルファは4枚のシールドスラスターの機関砲を使って迎撃する。

 それでも進路は変えないAGE-2 マッハは被弾するが、それでも止まらない。

 

「多少の被弾は覚悟の上だ!」

「ちっ」

 

 バルバトス・アステール・アルファは迫るAGE-2 マッハにカウンターでバーストメイスを振るう。

 タイミングは完璧だったが、AGE-2 マッハはギリギリのところでMS形態に変形してかわす。

 

「何?」

「コイツでぇぇぇ!」

 

 MS形態に変形したAGE-2 マッハはハイパードッズランサーをランスモードで突き出す。

 渾身の一撃はシールドスラスターで受け止める事が出来たが、そこからハイパードッズランサーのドッズガンを連射して月面まで突っ込む。

 勢いを維持したまま、バルバトス・アステール・アルファとAGE-2 マッハは月面に激突する。

 2機が激突した衝撃で土煙が舞い上がり、煙の中からAGE-2 マッハが飛び出て来る。

 その手にはハイパードッズランサーがない。

 

「このくらいでやられてくれるなよ」

「当たり前だ」

 

 煙の中には立ち上がるバルバトス・アステール・アルファのシルエットが見える。

 バルバトス・アステール・アルファは片手でバーストメイスを振るうと、周囲の土煙を風圧で吹き飛ばす。

 煙が晴れて姿を見せたバルバトス・アステール・アルファの左肩にはシールドスラスターを貫通してハイパードッズランサーが肩に突き刺さっている。

 

「左腕は駄目か……それにバックパックもか……やっぱ俺とレオが組み立てたんじゃこの程度か」

 

 大我がガンプラの状態を確認する。

 ハイパードッズランサーが突き刺さる左腕は完全に使い物にならない。

 バックパックもテイルブレイドは問題ないが、フライトユニットはガトリング砲ごと月面に叩きつけられた衝撃で異常が出ているようだ。

 リヴィエールが送って来た設計図に書かれている想定スペックではこの程度の衝撃で異常が出る事は無かったが、取りつけた大我とレオのビルダーとしての実力はリヴィエールと比べれば劣る。

 その為、今のバルバトス・アステール・アルファは本来の性能を出し切れてはいない。

 

「まぁ良い」

 

 大我は使い物にならなくなった左腕をフレームごとパージしてバックパックのフライトユニットもパージして身軽となる。

 同時にバーストメイスの柄も短くして片手でも十分に触れるように調節する。

 AGE-2 マッハも両手にビームサーベルを持って臨戦態勢を取る。

 

「だが……少し認識を改めないといけないな。キング……いやダイモン。お前は俺が全力でぶっ潰すに値するファイターであると」

「……それは光栄だな」

 

 大我もここから本気で来るとダイモンは直感的に感じており、無意識の内に操縦桿を強く握る。

 すると、岩龍戦で見せたようにバルバトス・アステール・アルファの両目が赤く光る。

 ダイモンが身構えた瞬間にバルバトス・アステール・アルファは一瞬の内に視界から消えると強い衝撃が走る。

 バルバトス・アステール・アルファは一瞬の内に距離を詰めるとAGE-2 マッハを蹴り飛ばしたのだ。

 

「これがリトルタイガーの本気……面白い! これとやりたかった!」

 

 AGE-2 マッハは体勢を整えるが、大我の猛攻は止まらない。

 バルバトス・アステール・アルファは追撃してバーストメイスを振るう。

 AGE-2 マッハは左腕の装甲で受け止めるが、片手で振っている為、威力は落ちているものの左腕の装甲は完全に潰されてしまった。

 それでもダイモンは臆する事無く前に出る。

 バルバトス・アステール・アルファは膝のドリルニーを突き出すが、ギリギリのところでかわされて脇腹を抉られるもバルバトス・アステール・アルファに頭付きを食らわせる。

 怯んだところに辛うじて動く左腕でハンドガンを抜くと至近距離で撃ち込む。

 以前に戦った時はハシュマルとの戦闘でビームコーティングの効果が殆ど失われていた為、効果はあったが、今のバルバトス・アステール・アルファには意味はない。

 それでもAGE-2 マッハは撃ち続ける。

 

「もっとだ! もっと早く!」

 

 ハンドガンを撃ち続けていたが、真横からテイルブレイドが飛んでくるがAGE-2 マッハは肩の可変翼を当てて防ぐ。

 だが、その隙を付いてバルバトス・アステール・アルファはバーストメイスを真横から古い、AGE-2 マッハの左腕を潰して吹っ飛ばす。

 

「左は駄目か……だが! まだだ!」

 

 左腕が使い物にならない状態のAGE-2 マッハを畳み掛けるようにバルバトス・アステール・アルファはバーストメイスを振るう。

 しかし、ダイモンは全神経を集中して大我の攻撃をギリギリのところでかわす。

 

「反応速度が上がっているのか」

「これだからやめられないな! ガンプラバトルは!」

 

 ダイモンは大我との戦いの中で更に強くなっている。

 攻撃をかわしながら大我の僅かな隙を付いてビームサーベルをバルバトス・アステール・アルファの右腕に突き刺す。

 すぐに大我は右腕のパワーユニットをパージする。

 

「ちっ……やってくれるな」

 

 バルバトス・アステール・アルファは頭部のバルカンを撃ちながら一度飛び退く。

 バルカンを無視しながらAGE-2 マッハは追い打ちをかける。

 ここまでのダメージでバルカンで装甲にヒビが入り、破壊されるが、ダイモンは引かない。

 今引いてしまえば、勝つチャンスが失われる。

 それを本能的に気づいているからだ。

 

「俺は……勝つ! キングとしてチームを勝利に導くためにも!」

 

 AGE-2 マッハはバルバトス・アステール・アルファに追いつきビームサーベルを突き出そうとする。

 ダイモンもこの一撃で勝負を付けに行こうとしていた。

 しかし、テイルブレイドがAGE-2 マッハの手に当たりマニュピレーターを潰してビームライフルを手放してしまう。

 

「いや……勝つのは俺だ。ダイモン」

 

 バルバトス・アステール・アルファは右肩のシールドスラスターに付いているブレイクアックスを手に持ち、腰にブレードを射出して、AGE-2 マッハの右肩と左膝に突き刺し、ブレイクアックスを振り下ろす。

 まともに防御の取れないAGE-2 マッハだが、とっさに背部のツインドッズキャノンの砲身をパージしてビームサーベルを展開しながら脇の下から前に伸ばす。

 十分にバルバトス・アステール・アルファの胴体まで到達するだけの長さのビームサーベルを出せたが、バルバトス・アステール・アルファの膝のサブナックルで守られてサブナックルを切り裂くが、バルバトス・アステール・アルファを切り裂く前にブレイクアックスがAGE-2 マッハの胴体に深々と突き刺さる。

 

「大した奴だよ。アンタは」

 

 AGE-2 マッハは完全に沈黙して動かない。

 双方のエース同士の戦いは大我に軍配が上がった。

 そして、バトル終了のアナウンスが入る。

 

「……そうか。アンタがフラッグ機だったのか」

 

 闘魂のフラッグ機はダイモンのガンダムAGE-2 マッハだった。

 それが撃墜された事でバトルは星鳳高校の勝利となった。

 大我が勝ったものの少し驚いていた。

 闘魂のフラッグ機はダイモン以外だと予測していた。

 大我を相手にフラッグ機を当てるのは万が一の事を考えればリスクが大きすぎる。

 バトル前はゴウキも同じ理由で自分をフラッグ機にする予定だったが、ダイモンの強い要望があった。

 自分が大我と戦い負ければそこで終わる。

 だからこそ、自分をフラッグ機にする事で絶対に負けられない状態に追い込んで大我に挑んだ。

 自分の敗北はチームの敗北。

 だからこそ、ダイモンは土壇場で更に強くなったのだろう。

 

「やったな! 藤城! 俺達去年の優勝チームに勝ったんだぜ!」

 

 GBNからログアウトすると否や、龍牙が大我に駆け寄る。

 誰だけ拒絶しても龍牙は気にした様子も見せていない。

 

「当然だ」

 

 岩龍に続き去年の全国優勝のチームである闘魂にまで勝利した。

 もはや会場の誰も星鳳高校を弱小チームだとは思っていない。

 星鳳高校が勝利した事で決勝戦は星鳳高校と皇女子高校との対戦となる。

 どちらも東京代表のチームであり地区予選では一度ぶつかっているチームでもある。

 

「やっぱ強いな。リトルタイガー」

「ダイモンか。アンタも少しはやるようだ」

 

 ログアウトして声をかけて来たダイモンに対して相変わらずの態度で龍牙も苦笑いをしている。

 ダイモンも余り気にした様子はない。

 

「今日は俺の負けだが、次にバトルする時はもっと強くなって俺が勝つ!」

「何度やっても俺は負けない。だが……次に戦う時はこんな小さな大会ではなく、もっと大きな舞台でなら相手をしてやる」

「……言ったな? ならすぐに駆け上がってやるさ。次は世界で挑戦してやるよ」

 

 ダイモンはそう言いチームメイトの方に向かって行く。

 それを見て龍牙は余計なトラブルにならずに一安心する。

 

「ほら、行こうぜ。皆お前を待ってるからな」

「……ああ」

 

 龍牙に言われて大我も歩きはじめようとするが、自分の携帯にメールが入っている事に気がづくと歩き出しながらメールの差出人と内容を見ると大我は思わず立ち止まる。

 

「藤城?」

「……何でもない」

 

 大我が形態をしまうと星鳳高校の面々の方に向かう。

 龍牙は気づいてはいないが、この時の大我はいつも以上に険しい表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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