ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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バトルロイヤル

 

 

 

 懇親会でアルゴスに対する宣戦布告でつまみ出された大我はビッグスターのリーダーであるルークを呼び出しての厳重注意となった。

 運営から厳重注意を受けて大我とルークはアメリカ代表チームのブリーフィングルームに入って来る。

 すでにビッグスターのメンバーは全員揃っている。

 

「いや、参ったよ」

 

 ルークは余り反省はしていないようで笑ってそう言う。

 だが、フリーフィングルームの空気は重い。

 今回の一件は他のメンバーは何も聞かされてはいない。

 大我の事だから勝手にやったとも考えられたが、ルークの様子からルークは知っていたのだと誰もが思っている。

 

「まさか、あそこでやるなんて僕も想定外だったよ」

「半端にやっても意味はないだろ」

「まぁね」

 

 その会話から今回の事はルークの指示による物だった事は明らかだ。

 

「で、どういう事なんだ?」

 

 ジェイクが痺れを切らして問い詰める。

 

「簡単な事さ。今回の一件で僕達の立場は非常に危うい事になっている。それもそうだろう。大勢の代表たちの前で大我がああまで言ったんだ。これで優勝以外はあり得ない」

 

 大我は大勢のダイバーの前でアルゴスを倒すと宣言した。

 これでアルゴスに勝利する事はおろか、まともに結果を出せ無かったら、大我たちは良い笑い物になるだろう。

 

「これで僕達は前に進むしかなくなったと言う訳だ」

「成程な。それで大我にアレをやらせたって訳か」

「まぁね。まぁ、僕としては大勢の前でアルゴスに宣戦布告をすれば良いと思ってたんだけどな。まさか、ここまでするとは思って無かったよ」

 

 元々はアルゴスに戦線布告をして退路を断つ事を目的にしていた。

 その場は懇親会である必要は無かった。

 公式の場でやってしまえば、運営から目を付けられてペナルティを課せられるリスクもあるからだ。

 退路を断つにしてもそこまでのリスクを負う必要は無かったが、大我は気にする事無く実行してしまった。

 昔から大我はルークの想定の斜め上を行き、それまで自分の思い通りに無かった事の殆ど無かったルークにとっては貴重な体験となっている。

 

「結果としては十分と言えるからこの事は終わりにしよう。それよりも明日のバトルのルールが公表されたのは知っているね?」

 

 大我とルークが運営に絞られている間に明日のバトルのルールが各国の代表たちに告知された。

 試合形式はバトルロイヤル方式。

 各国の代表チームから各3人までを選びGBN内の特設フィールド内で戦う形式のバトルだ。

 各国のチームはそれぞれバトルフィールドの中にランダムで出撃する事となり、36チーム中16チームになるまで戦い16チームには各10ポイントづつ与えられる。

 一定時間を過ぎるごとに運営が用意したNPDが投入される等が主なルールとなっている。

 

「重要なのは誰を選ぶと言う事ですね。エースの大我は確定として初期配置がランダムである以上は単独で戦闘を行う事も考慮して単独でどんな相手でもある程度は戦えるダイバーとな

 

れば……」

 

 チームの中で司令塔のルークに次ぐブレインでもあるディランが自身の考えを述べるがそれをルークが止める。

 

「それに関してなんだけど、さっき運営の方から懇親会で騒ぎを起こしたペナルティとしてウチのチームからは次のバトルロイヤルは1人しか出せなくなったんだよな」

 

 ルークの言葉に事前に知っていた大我を除くチーム一同は唖然として言葉もない。

 大会運営は懇親会で大我が起こした騒ぎのペナルティとしてアメリカ代表チームは第一試合であるバトルロイヤルを他のチームは3機までのところを1機のみにすると決定した。

 ルールでは16チームに入るには3機のうち1機でも残っていれば良い為、1機しか使えないと言う事はその1機が落とされたら即第一試合を落とす事となる。

 

「俺一人でも出られるなら問題はないだろう」

「そうは言うけどね……」

 

 アメリカ代表からは1人しか出せないとなると大我が出る事には誰も異論はない。

 大我自身、自分が負けない限りはチームの敗北にはならず、負ける気は毛頭ないから問題はないと気にした様子はまるでない。

 大我が負けないと言う事はチームの誰もが思っているが、単体での実力に優れていても他のチームは友軍と連携を取って来られると流石の大我でも手こずるかも知れない。

 最悪の場合、初期から1機しかいないアメリカ代表は他のチームからすれば1チームを早々に脱落させられる恰好のカモになり、複数のチームから同時に狙われる危険性すらある。

 

「俺は誰にも負けない。フィールドに味方がいないのであれば目に付いた奴は全て敵だろ? なら目に付いた奴を全てぶっ潰して自分以外の107機を仕留めれば良いだけのシンプルな話だ

 

 

 例え一人で戦おうとも大我の絶対的な自信は揺るがない。

 その自信はチームに立ち込める暗雲を吹き飛ばすには十分だ。

 明日の第一試合でいきなり不利な状況で戦う事になり、バトルが始まってしまえば大我一人に頼らざる負えない不安ももはやない。

 それだけチームのエースである大我を信頼しているからだ。

 だからこそ、誰も大我には言わなかった自分以外のガンプラは105機で107機だと味方も入っていると言う事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一試合のルールが発表されて一晩が過ぎて、世界大会予選第一試合が始まろうとしている。

 各国は他のチームが誰を出して来るかは事前には知らされてはいない。

 それぞれは基本的に決勝トーナメントまではGBNにログインする時も別々で行われる。

 その為、誰が出るかはチームメイト以外は不正防止の為に各国に数人付き添っている運営の人間のみだ。

 アメリカ代表からは当然大我で決まっていた。

 

「まさかいきなり単機で戦う事になるとは思っていなかったけど、仕上げてはあるから」

 

 大我はリヴィエールからガンプラを受け取る。

 アメリカ代表を決める予選の段階からリヴィエールは大我のガンダムバルバトス・アステール・アルファの戦闘データを基に新たな大我専用のガンプラの制作に入っていた。

 そうして完成したのがガンダムオメガバルバトスだ。

 今までバルバトス・アステールとは異なり、オメガバルバトスは内部のガンダムフレームからリヴィエールが大我の操縦に合わせて1から設計して制作したFPガンダムフレームが使われ

 

ている。

 フレームには膝にドリルニーと背部にテイルブレイドに射出機構、足の裏にハンターエッジが標準的に内蔵されている。

 外装にはバルバトスルプスの元を使用し、外観からは殆どバルバトスルプスに見える。

 武器は手持ちのソードメイスと左腕に先端に射出は出来ないが、打撃用の杭の付いたパイルシールドが付けられている以外は、フレームに標準装備されているドリルニーとテイルブレ

 

イド、ハンターエッジのみとなっている。

 テイルブレイドと本体を繋いでいるワイヤーも極限まで細くした物を変えてワイヤーは肉眼では殆ど見えないようになっている。

 これまで通りに表面には対ビームコーティングと外装を薄いプラ版で2重装甲にする事による防御力と腕部のパワーユニットなしでも同等以上のパワーを持ちながらスラスターの推力だ

 

けで重力下での長時間の自由飛行を可能とする高出力スラスターによる機動性能を持っている。

 

「大我」

「分かってる」

 

 ルークに大我は短く答える。

 今更、細かい打ち合わせをする必要もない。

 後は新しいバルバトスで敵を全て粉砕して来るだけだ。

 大我はチームメイトに見守られながらガンプラをセットしてGBNにログインする。

 ログインするとすぐにアバターがガンプラのコックピットに転送されると出撃準備に入る。

 

「藤城大我。ガンダムオメガバルバトス。出る」

 

 オメガバルバトスがバトルフィールドに射出される。

 射出されたフィールドは宇宙空間だった。

 遠目には地球が見える。

 今回のバトルフィールドは宇宙や地上と幅広く作られており、その中でダイバー達はランダムに射出されている頃だろう。

 周囲に敵影は無く大我はオメガバルバトスを一気に加速させる。

 

「加速性能が今までとは段違いだな」

 

 大我はオメガバルバトスの加速性能を確かめながら敵を探す。

 やがて、センサーに他のガンプラの反応が現れた。

 アメリカ代表は大我しかいない為、味方ではない事は確実だ。

 モニターには戦闘をしているようには見えない。

 センサーに映るガンプラの数は3。

 恐らくは運良く味方が近くに居たのか、もしくは遭遇してすぐに戦うよりも生き残る事を優先して他国同士で一時的に徒党を込んだのかどちらかだろう。

 モニターに敵のガンプラが映される。

 映されたガンプラはドラド、クラウダ、リック・ドムの3機だ。

 

「見つけた」

 

 大我は一気に加速して見つけた敵機へと向かって行く。

 向こうも大我に気づき一斉放火を浴びせる。

 

「くそ! 早い!」

 

 オメガバルバトスは機体を左右に移動させて集中砲火をかわしながらソードメイスを逆手に持ち替えてドラド目掛けて投擲する。

 投げられたソードメイスは正確にドラドの頭部に突き刺さる。

 

「何!」

「遅いな」

 

 オメガバルバトスは素早くドラドに接近してソードメイスを回収すると近くに居たクラウダの方に向かう。

 クラウダはビームライフルで迎え撃つが、対ビームコーティングされているオメガバルバトスを止める事は出来ない。

 オメガバルバトスはソードメイスを振るい、クラウダはギリギリのところで腕で守り、腕にソードメイスがめり込み、オメガバルバトスはソードメイスを抜きながた同時に左腕のパイ

 

ルシールドの先端でクラウダの頭部を潰して体勢を崩したところをすぐさまドリルニーを胴体にぶち込む。

 

「2機をこうも……化物か!」

 

 残ったリック・ドムはバズーカを撃ちながら後退しようとするが、オメガバルバトスのテイルブレイドがバズーカを破壊して、リック・ドムの足に突き刺さる。

 テイルブレイドのワイヤーを撒き戻してリック・ドムを自分の方に引き寄せながらオメガバルバトスはソードメイスの一閃でリック・ドムを両断した。

 

「……こんな物か」

 

 リック・ドムの足に突き刺さったテイルブレイドをオメガバルバトスは回収する。

 3機を撃破するとすぐに新たな敵影の反応が現れる。

 今度の反応は2機。

 いずれもオメガバルバトスの方に向かって来ている。

 モニターに映されたガンプラはシナンジュとヘルムヴィーケ・リンカーだ。

 シナンジュは見た目は特に改造されている点はないようだが、ヘルムヴィーケ・リンカーはヴァルキュリアバスターソードを大剣の部分を2つ繋ぎ合わせたヴァルキュリアツインソード

 

を持ち、ブースターを大型化して機動力を高めている。

 先行するシナンジュがビームライフルを連射する。

 オメガバルバトスは一射目をかわして、二射目をソードメイスで弾くが、三射目が胴体に直撃する。

 

「さっきの雑魚とは違うか」

 

 ビームが直撃したが、表面に施されている対ビームコーティングでダメージはないが、少なくとも大我は当てられるつもりは無かった。

 それだけでも先ほど瞬殺した3機とはダイバーの実力が違うと言う事が分かる。

 

「面白い。少しはコイツのデータ収集の役に立って貰うとするか」

 

 オメガバルバトスはソードメイスを構えてシナンジュに突っ込む。

 シナンジュにソードメイスを振るうが、シナンジュはかわして追いついて来たヘルムヴィーケ・リンカーがヴァルキュリアツインソードを振り下ろす。

 それをオメガバルバトスは左手で軽々と受け止める。

 

「何!」

「大したパワーだ。前のバルバトスなら受け止める事で精一杯だったが、今のバルバトスなら問題はない」

 

 オメガバルバトスはソードメイスをヘルムヴィーケ・リンカーの頭部目掛けて突き出すが、ヘルムヴィーケ・リンカーはギリギリのところで間合いを取ってかわす。

 それを追撃しようとしたオメガバルバトスをシナンジュがビームライフルで牽制する。

 

「ちっ」

 

 オメガバルバトスはパイルシールドで身を守りながらテイルブレイドをシナンジュに差し向ける。

 シナンジュはシールドで弾くが、その間に間合いを詰めたオメガバルバトスがソードメイスを振り上げていたが、不意に攻撃を中断して、距離を取ると2機の間にビームが横切る。

 

「3機目か」

「不意打ちは好みではないが、仲間がやられるのを黙って見ている訳にはいかないのでね」

「クリフォードか……助かった」

「ダブルオーライザー。クリフォード・マーウッドか」

 

 横やりを入れて来たのはダブルオーライザーをベースとしたガンプラ、ダブルオーランサー。

 『神槍』の異名を持つイギリス代表チームのリーダーでもあるクリフォード・マーウッドの愛機だった。

 ダブルオーランザーはダブルオーライザーをベースとして手持ちの武器をGNソードⅡブラスターを柄の部分を延長して槍に改造したGNブラスターランス。

 背部にはオーライザーを取り払い、GNバスターソードをGNソードⅡブラスターのように槍へと改造し、未使用時には補助スラスターと背部の守りに使うGNバスターランス。

 腰にはGNカタールの刃を流用し、柄を繋げる事でGNツインランスとしても使える短い槍、GNジャベリンが、リアアーマーには予備の武器として柄を2つに折り畳んだGNグレイヴが装備さ

 

れている。

 四肢には青い増加装甲が取り付けられており、腕部にはガンダムエクシア同様にGNバルカンが増設され、脚部の増加装甲にはGNスラスターが内蔵されている。

 クリフォードが助けたと言う事はシナンジュとヘルムヴィーケ・リンカーはイギリス代表のガンプラだと言う事だろう。

 

「ここは私がやろう。手出しは無用だ」

 

 ダブルオーランザーはGNブラスターランスを構えるとオメガバルバトスに突撃する。

 オメガバルバトスもソードメイスで迎え撃つ。

 2機のガンプラはぶつかり合い鍔迫り合いとなる。

 鍔競り合いはオメガバルバトスに軍配が上がり、ダブルオーランサーは弾き飛ばされる。

 

「成程。パワーは噂通りと言う訳だ。なら……スピードはどうかな?」

 

 ダブルオーランサーは一気に加速するとオメガバルバトスの背後に回り込む。

 だが、それは大我も反応しており、背後のダブルオーランサーに回り蹴りと共に足の裏のハンターエッジを繰り出す。

 

「足癖も悪い」

 

 ダブルオーランサーはGNフィールドでハンターエッジを防ぐ。

 その間にオメガバルバトスはテイルブレイドを射出する。

 

「それも厄介だと聞いているよ」

 

 ダブルオーランサーは腰のGNジャベリンを取るとテイルブレイドに投げつけて弾くとGNブラスターランスの先端のビームを撃つ。

 それをかわしながらオメガバルバトスはソードメイスを振るい、ダブルオーランサーはGNブラスターランスで受け止める。

 オメガバルバトスとダブルオーランサーは何度も激しくぶつかり合う。

 それとシナンジュとヘルムヴィーケ・リンカーのダイバーは下手に出だしが出せないでいる。

 戦う前にクリフォードが手を出すなと言っていたが、一対一での戦いにクリフォードが拘っていた訳ではなく、単に足手まといになるからだったのだろう。

 少なくともイギリス代表メンバーのクリフォードと一体一でまともに戦えるダイバーはいない。

 

「大したものだよ。君の姉上の話しは父から聞いていたが、末の君もこれ程とはね」

「知るかよ」

「確かにね……ならば私も本気を出そう」

 

 真向からぶつかり合うが、このままでは決着をつけるには時間がかかり、決着が付く頃には自分も余力は残らない。

 そう判断したクリフォードは切り札を使ってでも早期に決着を付けようと考える。

 2機が離れ、オメガバルバトスがソードメイスを構えて突っ込もうとするが、横からヘルムヴィーケ・リンカーが突っ込んで来てオメガバルバトスを羽交い絞めにする。

 

「アーロン!」

「ちっ!」

 

 ヘルムヴィーケ・リンカーはオメガバルバトスを羽交い絞めにしながら地球に向かう。

 距離が近かった事もあり、ヘルムヴィーケ・リンカーは地球の重力に捕まりオメガバルバトスごと地球に降下して行く。

 

「お前にこれ以上クリフォードと戦わせる訳には行かない!」

「……アーロン。済まない。私とした事が、熱くなり過ぎていたようだ」

 

 クリフォードもヘルムヴィーケ・リンカーのダイバーであるアーロンの意図を理解した。

 このバトルで重要なのはいかに敵を倒す事ではなく、いかにして生き残るかだ。

 ここで大我を倒したとしてもチームのエースであるクリフォードが満身創痍になってしまえば、他のチームと遭遇した時にやられる危険性がある。

 それを避ける為にも自身が捨て駒になってもこれ以上、クリフォードと大我と戦わせるだけには行かないと判断してこの行動に出たのだ。

 

「邪魔だ」

 

 オメガバルバトスは強引にヘルムヴィーケ・リンカーの腕をこじ開けるとソードメイスで頭部に一撃喰らわせる。

 それだけでは致命傷にはならず、オメガバルバトスはヘルムヴィーケ・リンカーの潰れた頭部を掴むと胴体にドリルニーをブチ込み止めを刺す。

 

「流石にここまで降下すると戻れそうに無いな」

 

 大我も地球の重力を振り切って戻る事を諦めると仕留めたヘルムヴィーケ・リンカーを盾として使い大気圏を降下して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 バトルロイヤルが開始され、地上でも戦闘が始まっていた。

 地上ステージの荒野では乱戦が繰り広げられている。

 偶然にもある程度の数のダイバー達が近くから始まったことによる物だ。

 その中に龍牙のバーニングドラゴンデスティニーの姿もある。

 日本代表からは1戦目と言う事もあり、主力を温存して1年である龍牙、千鶴、レオの3人を出して世界レベルの相手との経験を積ませようとしている。

 

「これが世界か……中々減らないな」

 

 バーニングドラゴンデスティニーはマグアナックのヒートホークをかわして殴り飛ばす。

 戦闘状態に入ってから時間が経って入るが、撃墜されたガンプラの数は余り多くはない。

 そんな中、確実に撃墜数を増やすガンプラがいた。

 ロシア代表チームのカティアが狩るガンダムマークⅡミェーチだ。

 ガンダムマークⅡ(ティターンズカラー)をベースとして近接格闘戦に特化している。

 全身の装甲を最低限の物にして重量を軽量し、バックパックはエネルギータンクを内蔵した高出力の物に換装されている。

 武器は両手にバックパックからエネルギーケーブルが繋がっている高出力ビームソードと頭部のバルカンのみだ。

 マークⅡミェーチはビームソードでギラーガのギラーガスピアを切り裂くともう一本のビームソードでギラーガを両断して破壊する。

 

「調子に乗って! コイツで消し炭にしてやる!」

 

 近くに居たガンダムヴァーチェはGNバズーカをマークⅡミェーチに打ち込む。

 

「……その程度で」

 

 だが、マークⅡミェーチはビームソードでGNバズーカの粒子ビームを切り裂くとヴァーチェの腕をGNバズーカごと切り裂くとビームソードを胴体に突き刺して破壊する。

 

「次」

 

 ヴァーチェを仕留めたカティアは次の目標を龍牙のバーニングドラゴンデスティニーにするとガンプラを向ける。

 

「来るか!」

 

 龍牙もカティアを迎え撃とうと構える。

 バーニングドラゴンデスティニーはビームナックルでマークⅡミェーチを迎え撃る。

 バーニングドラゴンデスティニーの攻撃をかわして懐に潜り込み、ビームソードを突き出す。

 

「ちぃ!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーはギリギリのところでかわすが、もう片方のビームソードをマークⅡミェーチは振るう。

 龍牙はビームナックルをビームシールドに戻して受け止めようとするが、先ほどのヴァーチェがビームを切り裂かれたことを思い出す。

 マークⅡミェーチのビームソードの威力では早々真っ向から受け止める事は出来ないのだろう。

 龍牙はとっさに防ぐことを止めて後退する。

 その際にバルカンで牽制射撃を入れるとマークⅡミェーチは追撃せずにバルカンをかわす。

 

「少しはやるようね」

「アイツと同じで防御は出来ないってか」

 

 バーニングドラゴンデスティニーとマークⅡミェーチは互いに間合いを計りながらにらみ合う。

 すると近くで何かが落ちた音がする。

 

「何?」

「何か落ちて来たのか?」

 

 土煙が上がり、周囲の他のダイバー達も戦闘が止まり、何が起きたのか把握しようとする。

 土煙が収まり始めると中に人型のシルエットが映り、ツインアイが光ると近くに居たガンイージが土煙の中に引きこまれるとシルエットが何かを振るう動作と共にガンイージが真っ二

 

つに破壊されて爆発が起こる。

 爆発で土煙が吹き飛び、シルエットの正体が見えるが、その瞬間、それがビギナ・ギナの方に飛び出す。

 

「バルバトス! まさか……」

 

 ビギナ・ギナはビームバズーカを撃つが、落ちて来たオメガバルバトスはかわす事なく、ビームが装甲で弾かれる。

 大気圏をヘルムヴィーケ・リンカーをボード替わりに使って降下すると、降下しながら近くで戦闘が行われている事を見つけるとそこを目掛けて降りて来た。

 ビギナ・ギナはビームシールドでソードメイスを守ろうとするが、ビームシールドごとビギナ・ギナを粉砕する。

 

「あの戦い方……間違いない! 大我の奴だ」

 

 龍牙はオメガバルバトスの戦い方からそう判断する。

 ガンプラが以前とは違うが、相手をガードごと粉砕するその戦い方は大我そのものだ。

 

「先に仕留める」

 

 マークⅡミェーチはビギナ・ギナからソードメイスを抜くオメガバルバトスに背後から飛び掛かるとビームソードを振り下す。

 それをオメガバルバトスは振り向きながらソードメイスで受け止める。

 

「受け止めた!」

「ティターンズのマークⅡ。妹の方か……お前に用はない」

 

 ビームソードを受け止めたオメガバルバトスは易々とマークⅡミェーチを吹き飛ばす。

 

「っ! なんてパワーなの」

「馬鹿力も相変わらずって事か!」

 

 今度はバーニングドラゴンデスティニーが飛び出す。

 バーニングドラゴンデスティニーはビームナックルで殴りかかり、オメガバルバトスはパイルシールドで受け止めてソードメイスを振り下す。

 それをバーニングドラゴンデスティニーはバックステップでかわす。

 

「邪魔よ」

 

 マークⅡミェーチが体勢を整えてオメガバルバトスに向かう。

 ビームソードを振るおうとするが、オメガバルバトスのテイルブレイドでマークⅡミェーチの右腕を肘から切り落とす。

 

「しまっ!」

 

 そして、ソードメイスで止めを刺そうとするが、高出力のビームが2機の間を走り、オメガバルバトスは攻撃を中止して後退してかわす。

 

「大丈夫か。カティア」

「……兄さん」

「もう1機のマークⅡ。今度はエゥーゴの方か」

 

 攻撃の主はロシア代表のリーダーでもあるオルゲルトのガンダムマークⅡチシートだった。

 カティアのマークⅡミェーチと同じガンダムマークⅡの色違いであるエゥーゴカラーをベースにマークⅡミェーチとは正反対の重装甲化がされている。

 全身に装甲が追加され、頭部のバルカンポッド、両肩にアームで稼働するシールド、両腕にビームサーベル兼ビームガンが内蔵され、バックパックはマークⅡミェーチの物と同タイプ

 

の物に換装されている。

 高出力のバックパックと増加装甲に内蔵されているスラスターで機動力をある程度は補強されている。

 手持ちの火器としてバックパックからケーブルで繋がれているメガビームライフルを持ち、重装甲を高い火力を持つガンプラだ。

 

「さっきは取り逃がしたが、今度はぶっ潰させて貰う」

 

 オメガバルバトスはマークⅡチシートに向かって飛び掛かる。

 

「カティア。下がっていろ。お前の敵う相手ではない」

「……了解」

 

 カティアは渋々ながらもオルゲルトの指示に従い下がる。

 オメガバルバトスはソードメイスを振るい、マークⅡチシートは肩のシールドで受け止める。

 

「受け止めやがった!」

 

 龍牙はその様子を見て驚く。

 大我の一撃の威力は凄まじく、そう簡単に真っ向から受け止められることはない。

 だが、オルゲルトは真っ向から受け止めた。

 それだけではなく、マークⅡミェーチを軽々吹き飛ばすだけのパワーを持ってしてもマークⅡチシートはびくともしない。

 大我が圧倒的なパワーで敵を捻じ伏せるのに対して、オルゲルトは圧倒的なパワーで敵の攻撃を真っ向から受け止めて微動だにしない。

 それこそが、オルゲルトが鉄人との異名を持つ由来だった。

 

「噂に違わぬその力……だが!」

 

 マークⅡチシートはオメガバルバトスを蹴り飛ばす。

 オメガバルバトスは蹴りをまともに喰らってぶっ飛ばされる。

 

「……成程な。今のコイツのパワーじゃ押し切れないか……まぁ良い」

 

 オメガバルバトスは体勢を整えて、ソードメイスを構える。

 マークⅡチシートはメガビームライフルを撃って迎え撃つ。

 ビームをかわしながらマークⅡチシートに向かって行くが、突如軌道を変えると何もない場所でソードメイスを振るおうとする。

 大我にはある物が見えていた。

 オルゲルトと戦う中で大我を狙っていたスナイパーの存在に。

 そのスナイパーがタイミングを取ってオメガバルバトスを狙撃して来た為、大我はそれに対応した。

 銃弾にタイミングを合わせてソードメイスを振るったが、銃弾は軌道を変えると再び軌道を変えてオメガバルバトスのソードメイスの柄に当たって、ソードメイスを弾き飛ばした。

 

「……何が起きたの?」

「ずいぶんと腕の良いスナイパーがいるようだ。カティア。味方ではないだろうから油断するなよ」

 

 カティアにも何が起きたのか分からなかったが、オルゲルトには分かっているようだった。

 

「……こんなことが出来るのはアイツくらいか」

 

 大我も何が起きていたのか見えていた。

 大我が迎え撃とうとした銃弾に後ろから来た銃弾が当たって軌道を変えた。

 その後、別の銃弾により更に軌道を変えた銃弾がソードメイスを弾き飛ばした。

 2度の軌道変更で威力は大幅に落ちていた為、本体を直接狙わずにソードメイスの柄を狙ったのだろう。

 大我が気づき対応して来ることを見越して軌道を計算して狙撃出来るダイバーは世界にも早々いない。

 

「龍牙。大丈夫? あのバルバトスは……」

「ああ。大我だ」

 

 龍牙も何が起きたのかイマイチ理解出来てはいなかったが、千鶴からの通信で千鶴が狙撃したと言う事は分かり、何が起きたのか分からないがとんでもない狙撃をやったのだと千鶴が

 

味方で良かったと冷や汗をかきながら思う。

 武器を手放したオメガバルバトスにチャンスとばかりにジェガンとイナクト、百式が向かって行く。

 

「雑魚に用はない」

 

 ハンターエッジを展開しながら百式の胴体に蹴りを入れながら、百式を地面に叩きつけて胴体を踏みつけて破壊すると、イナクトのソニックブレイドをかわして百式の頭部を掴むと、

 

イナクトにフルスイングする。

 イナクトはかわし切れずに百式共々バラバラになって破壊される。

 

「ちっ……脆すぎるだろ」

 

 オメガバルバトスは掴んでいた百式の頭部をジェガンに投げつける。

 ジェガンのダイバーは完全にビビッており、何とかシールドで身を守り、投げつけられた百式の頭部を弾くが、すでにテイルブレイドでソードメイスを回収したオメガバルバトスが迫

 

っており、逃げる事も立ち向かう事も出来ずにソードメイスの一撃で破壊される。

 

「相変わらずのようね」

「だな。千鶴、そっちの場所を送ってくれ。大我と戦いたいのは山々だが、一度合流する」

「了解」

 

 千鶴はレーダーの有効距離の外にいるのか、龍牙にもどこにいるのか分からない。

 少しすると千鶴から自分の位置情報が送られて来る。

 一般的な狙撃可能距離から千鶴は狙撃していたようだ。

 龍牙も大我と戦えるチャンスだが、最も優先すべきことは生き残る事だ。

 千鶴も近接戦闘は余り得意ではない為、敵に囲まれると厳しい。

 自分と合流する事で自分共々、このバトルロイヤルに生き残る可能性は高い。

 龍牙にとっては悔しい事だが幸いにも大我は龍牙の事等眼中にはないようだ。

 今なら千鶴の支援で離脱する事は出来る。

 

「……地響き? 今度は何なんだよ」

 

 離脱しようとした矢先、何かが近づいて来るような地響きが起こる。

 

「兄さん」

「ああ。面倒なのが来た」

「デカいな」

「……嘘だろ」

 

 戦場に残る4人はそれぞれの反応する。

 戦場に現れた新たなガンプラは通常装備のザクⅡ。

 だが、そのサイズは桁外れだった。

 

「メガサイズかよ!」

 

 巨大なザクⅡはダイバーが操縦している物ではなく、運営側が用意した物でバトル開始から一定時間後にバトルフィールドの各地に投入されて、ダイバーの数を減らして行く。

 ザクⅡは巨大なザクマシンガンを戦場に向けて撃ち込む。

 

「龍牙!」

「デカいのは地区予選でも戦っているけど! こんちくしょう!」

 

 ザクマシンガンとはいえ、あの巨大なザクⅡが持っている為、通常サイズのガンプラでは直撃すれば一溜りもない。

 

「デカい的だ」

 

 マークⅡチシートはメガビームライフルをザクⅡに撃ち込む。

 スパイクアーマーに直撃したビームはザクⅡを撃ち抜かずに霧散した。

 

「ビームコーティングか。そう簡単には仕留めさせて貰えないか」

 

 直撃した場所は多少焼け焦げているが、ザクⅡの動きに影響はない。

 そこにすかさず千鶴が狙撃して銃弾は装甲を貫通するが、ザクⅡの装甲はすぐに修復されて焦げ跡一つ残されていない。

 

「自己修復機能まで……兄さん。どうするの?」

「メガビームライフルでダメージを与えられないのであれば、お前のビームソードでも厳しいだろう。ここは離脱して……」

 

 マークⅡチシートのメガビームライフルでもザクⅡの装甲は貫けなかった。

 そうなればマークⅡミェーチのビームソードでも致命傷を与えるのは難しい。

 

「逃がすかよ」

 

 離脱を考えていたがオルゲルトだが、オメガバルバトスがソードメイスを振るい、バックステップでかわしながら、左腕のビームガンを撃ち込む。

 

「糞!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーはフルパワーでザクⅡの足を殴るが体勢を崩すことすら出来ない。

 

「やっぱ無理か……コイツを何とかするには……」

 

 単機の能力でこのザクⅡを倒すことは難しい。

 このザクⅡから逃げる事も簡単ではない。

 生き残る為にはザクⅡを倒すことだが、単機で倒すことが出来なければ徒党を組んで戦えば勝てるかも知れない。

 

「つってもな……」

 

 ザクⅡの攻撃をかわしながらモニターの端ではオメガバルバトスの攻撃をマークⅡチシートが捌いでいる。

 大我はザクⅡを倒しても意味がないと判断し、ザクⅡからの攻撃をかわすが、倒す気はなく反撃もしていない。

 オメガバルバトスの攻撃からマークⅡチシートはカティアのマークⅡミェーチを庇いながら戦っている為、協力を頼めそうもない。

 

「まぁ彼が協力する事はないわ。龍牙、援護はするからそこから離脱した方が良いわ」

「……だな」

 

 大我を押し付ける形になったオルゲルトには悪いと思いながらも、今は自分が生き延びなければならない。

 龍牙が撤退しようとしようとすると、ザクⅡの上半身が吹き飛んだ。

 突然の事態に大我も手を止める。

 

「……今度は何だよ」

「あのガンプラ……」

 

 上半身が吹き飛んだザクⅡは流石に再生はしないで倒れる。

 そして、上空にはザクⅡを一撃で破壊したガンプラがいた。

 Gセルフをベースに改造された皇帝、アルゴスのガンプラGバシレウス。

 右手には大型ビームライフルを持ち、両肩と腰にはパーフェクトパックのトラック・フィンを改造したトラック・ビットが装備されている。

 両腕にはフォトンシールドの発生装置が組み込まれ、バックパックはパーフェクトパックにトラック・フィンの代わりに宇宙用バックパックのスラスターが取り付けられている。

 

「アレが皇帝のガンプラ……」

 

 ザクⅡを一撃で破壊した事だけではなく、アルゴスのGバシレウスは圧倒的な存在感を放ち、龍牙達はその場から一歩も動けないでいた。

 少しで動けば真っ先にGバジレウスのターゲットとなりやられるとファイターとしての本能が警告する。

 そんな中、大我だけは前に出た。

 

「なっ!」

「気が狂ったか」

「アンタはここでぶっ潰す」

 

 一気に加速したオメガバルバトスは一直線にGバシレウスに向かって行く。

 

「タイガ・フジシロか……やはり貴様は臆する事無く来るか」

 

 Gバシレウスは大型ビームライフルを迫るオメガバルバトスに向けて撃つ。

 オメガバルバトスはパイルシールドで防ごうとするが、ビームは易々とパイルシールドを貫通してオメガバルバトスの脇腹を掠める。

 それにより勢いが落ちたオメガバルバトスは速度が緩みやがて地上に落ちていく。

 

「それで終わりか?」

「……一発は一発だ」

 

 アルゴスはオメガバルバトスの動きに注意を払っていたが、すでに大我は攻撃を行っていた。

 死角からオメガバルバトスのテイルブレイドが回り込み、Gバシレウスの頭部に直撃する。

 

「ほう……この俺に一撃を入れるか……面白い。貴様はここで仕留める」

 

 Gバシレウスの全身が光ると全方位レーザーがオメガバルバトスを中心に戦場一帯に降り注ぐ。

 それを龍牙のバーニングドラゴンデスティニーや2機のマークも必死にかわす。

 

「龍牙!」

「大丈夫だ。このくらい、練習のダインスレイヴに比べれば!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーは何とか全方位レーザーをかわす。

 レーザーの雨の中、オメガバルバトスはソートメイスを投擲する。

 Gバシレウスは大型ビームライフルで弾くとオメガバルバトスは飛び上がって弾かれたソードメイスをキャッチするとGバシレウスの方に突撃する。

 

「口だけではないようだな」

「アンタも肩書だけじゃないようだな」

 

 ソードメイスを肩のトラックビットで弾くと至近距離から大型ビームライフルをGバシレウスはオメガバルバトスに向ける。

 ビームが撃たれるよりも早く、オメガバルバトスは大型ビームライフルを蹴り上げて射線を逸らす。

 射撃を逸らされるとすぐにGバシレウスはビームサーベルを抜くとオメガバルバトスに突き出す。

 オメガバルバトスはパイルシールドで身を守るが、ビームサーベルは易々とパイルシールドを貫き、Gバジレウスはビームサーベルを横に振いパイルシールドを切断する。

 

「ちっ」

 

 パイルシールドが使い物にならなくなり、大我はパイルシールドをパージするが、その間にGバシレウスは両肩と腰のトラックビットを前方に向けて大型ビームライフルもオメガバルバトスに向けていた。

 4基のトラックビットと大型ビームライフルの全5門から放たれるフルバーストは一撃でメガサイズのザクⅡを破壊する程だ。

 

「終わりだ。タイガ・フジシロ」

 

 大我はかわせないと判断してはソードメイスを盾する。

 そして、至近距離からGバシレウスのフルバーストが放たれてオメガバルバトスを飲み込んだ。

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