ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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皇帝

Gバシレウスの強力なビームがガンダムオメガバルバトスを飲み込む。

 幾ら表面を対ビームコーティングがされていたとしても防ぐことは出来ない威力だ。

 

「新手か」

 

 Gバシレウスの攻撃は確実にオメガバルバトスを捕えようとしていた。

 あの状況では自力でかわすことは不可能だ。

 第三者の介入が無ければ。

 

「……何の真似だ。レオ」

「昔の癖だよ。いつものようにやられそうになった大我を助けてやろうと体が勝手に動いたんだよ。癖って怖いよな」

 

 高出力のビームがオメガバルバトスを捕えるよりも先にレオのネビュラアストレイがオメガバルバトスをビームの射線上から退避させていた。

 そのお陰でオメガバルバトスは無事だった。

 

「そんな事実はねぇよ。バグじゃないのか?」

「都合よく記憶を消してんだろ」

 

 オメガバルバトスはネビュラアストレイの腕を振りほどく。

 

「……礼は言わないからな。俺一人で何とか出来たし」

「そうかよ。まぁ俺もアイツを一人で仕留めるのは厳しいからな」

「……勝手にしろ。足で纏いになっても助けないからな」

「上等!」

 

 オメガバルバトスとネビュラアストレイは二手に分かれてGバシレウスを挟み撃ちにしようとする。

 オメガバルバトスがソードメイスで殴りかかり、ネビュラアストレイはレールバズーカを可能な限り連射する。

 

「二人同時か……良いだろう相手をしてやる」

 

 Gバシレウスはネビュラアストレイの攻撃をかわしながらオメガバルバトスの一撃もかわす。

 

「ちっ……狙いが定まらない。コイツで当てるのは無理か!」

 

 ネビュラアストレイはレールバズーカの残弾を全て撃ち尽くすと捨ててビームライフルに持ち変える。

 

「行って来い!」

 

 ネビュラアストレイは5基のドラグーンをパージする。

 Gバシレウスを囲むように全方位からビームを撃ち、ビームの合間を縫うようにオメガバルバトスがソードメイスを振るう。

 それを大型ビームライフルで受けて流すと、肩と腰のトラックビットをパージする。

 トラックビッドはGバシレウスの周囲を飛び、フォトンシールドを張りながらネビュラアストレイのドラグーンの攻撃から身を守る。

 

「速いだけじゃなくてビッドで防御までして来るのか……大我! あのビット何とかしろ! 破壊はお前の領分だろ!」

「うるさい」

 

 オメガバルバトスがGバシレウスに突撃してソードメイスを振るうが、フォトンシールドを張ったトラックビッドで受け止められる。

 攻撃を防ぎ、Gバシレウスはオメガバルバトスに大型ビームライフルを向ける。

 

「大我!」

 

 トラックビッドが死角となり、大我はGバシレウスが大型ビームライフルを向けていることに気づくことが一瞬遅れた。

 Gバシレウスは大型ビームライフルを放つ。

 オメガバルバトスはギリギリのところで体勢を強引に変えて胴体への直撃だけは防ぐものの、左腕が肩から跡形もなく吹き飛んだ。

 

「ちぃ!」

「終わりだ」

 

 Gバシレウスは大型ビームライフルを向けるが、ネビュラアストレイがビームライフルを撃ちながら、ドラグーンも使いながらGバシレウスに接近する。

 トラックビットを使ってビームを防ぎ、ネビュラアストレイがシールドから出したビームソードを振るうが、Gバシレウスは易々と回避される。

 4基あったトラックビッドの中の2基がネビュラアストレイを挟み込みビームが放たれる。

 それをかわしながらビームライフルで応戦していたが、トラックビットのビームがビームライフルを掠り、ネビュラアストレイはビームライフルを手放すとシールドで爆風から身を守る。

 しかし、その間にGバシレウスはネビュラアストレイとの距離を詰めており、ビームサーベルを振るう。

 ネビュラアストレイのシールドはビームサーベルに切り裂かれ、ネビュラアストレイは地上に叩き付けられる。

 Gバシレウスは大型ビームライフルで追撃しようとするが、ドラグーンの攻撃で妨害されるが、ビームをかわしながら大型ビームライフルで正確にドラグーンを撃ち抜いて全滅させる。

 

「ここまで持った事は褒めてやろう。だが……ここまでだ」

 

 Gバシレウスは大型ビームライフルをネビュラアストレイに向ける。

 だが、引き金を引く前に片足が下に引かれるような小さな衝撃を受ける。

 

「……さっきから皇帝の分際で何見下してんだよ」

 

 Gバシレウスの片足にオメガバルバトスのテイルブレイドが絡まっていた。

 

「レオはともかく。いつまでも俺を見下ろしてんじゃねぇよ」

 

 オメガバルバトスはいつの間にか地上に降りており、ソードメイスを地面に突き刺してテイルブレイドのワイヤーを掴んでいた。

 そして、ワイヤーを思い切り引っ張る。

 Gバシレウスは抵抗する間もなく地上まで引きづり下される。

 

「俺はともかくって……まぁ良いか」

 

 ネビュラアストレイは立ち上がり腰のスレッジハンマーを手に取る。

 

「小癪な真似を」

「ぶっ潰す!」

 

 オメガバルバトスのツインアイが赤く発光し、リミッター解除状態となる。

 地面に突き刺していたソードメイスを引き抜くと大地を蹴りGバシレウスに突っ込む。

 オメガバルバトスのソードメイスをGバシレウスはトラックビットで受け止めると大型ビームライフルを撃つ。

 だが、リミッター解除により運動性能が極限まで高められたオメガバルバトスは飛び退き、テイルブレイドのワイヤーが足に絡みついている為、Gバシレウスは足を取られる。

 

「こっちだよ!」

 

 横からネビュラアストレイがスレッジハンマーで殴りかかる。

 Gバシレウスはビームサーベルで受け止めるが、ネビュラアストレイは膝の装甲に収納されているプリスティスを出そうとするが、Gバシレウスはネビュラアストレイの膝を踏みつけて大型ビームライフルで殴り飛ばす。

 

「くそ! 流石にそう簡単にはいかないか!」

 

 ネビュラアストレイは体勢を立て直す。

 幸いにも膝の装甲が踏みつぶされただけでフレームまでは損傷は達してはいない為、立つことは出来る。

 一度体勢を整えている間にオメガバルバトスはソードメイスを投擲する。

 ソードメイスはトラックビットに阻まれ弾かれるが、オメガバルバトスは弾かれたソードメイスを空中でキャッチしながら殴りかかる。

 オメガバルバトスのソードメイスをトラックビットで流し、ネビュラアストレイもオメガバルバトスに合わせてスレッジハンマーで殴りかかるが、その攻撃もトラックビットで受け止められる。

 

「ビットの耐久はどうなってんだよ!」

「関係ない。ビットが邪魔ならビットごとぶっ潰すだけだ」

 

 リミッター解除状態のオメガバルバトスは運動性能を最大限に活かしてあらゆる方向からソードメイスで殴りかかるが、トラックビットで防がれている。

 大我の動きに合わせるようにネビュラアストレイもスレッジハンマーで攻撃するが、全て防がれている。

 

「嘘だろ……あの2人を圧倒してる……」

 

 大我とレオの戦いを龍牙は遠巻きで見ている。

 オルゲルトとカティアはザクⅡの残骸に身を潜ませてアルゴスの戦闘データを集めている為、手を出す気はない。

 龍牙は大我の実力もレオの実力も知っている為、2人がかりでもアルゴスを倒すどころか圧倒されている事実は直接見ていても信じられない。

 オメガバルバトスがソードメイスを投擲して、Gバシレウスは大型ビームライフルでソードメイスを撃ち落して破壊するが、オメガバルバトスは飛び掛かり大型ビームライフルとトラックビットのビームを掻い潜り、懐に飛び込むとGバシレウスの胴体目掛けて爪を突き立てようとする。

 それをGバシレウスは蹴り飛ばす。

 

「ここまで完全に見切られているとへこむな……で、大我。そろそろ何か仕掛けるんだろ?」

「……うるさいな」

 

 大我がリミッター解除状態で何度もGバシレウスに向かって言っては攻撃が防がれることを繰り返していたが、レオには大我が意味もなく闇雲に攻撃していただけだとは思っていなかった。

 オメガバルバトスはテイルブレイドのワイヤーを一気に巻き戻す。

 先端のブレードは未だにGバシレウスの足に絡まっており、それによりオメガバルバトスとGバシレウスとの距離はワイヤーの長さ以上には離れる事が出来ないようになっていた。

 オメガバルバトスが戦いながらワイヤーをGバシレウスの周囲に張り巡らせていた。

 それを一気に巻き戻すことでワイヤーがGバシレウスの動きを拘束する。

 その時にトラックビットも巻き込まれてGバシレウスは完全に身動きを取れなくなる。

 テイルブレイドのワイヤーは細く肉眼では殆ど見えないが、強度はそう簡単には引きちぎれない程でGバシレウスのパワーをもってしても引きちぎる事は出来ない。

 

「成程な。ワイヤーで動きを止めたか。これなら無防備なところを思い切りぶん殴れるって訳か!」

 

 動きの封じられたGバシレウスにオメガバルバトスとネビュラアストレイは接近してGバシレウスを攻撃しようとする。

 しかし、Gバシレウスは全身から光を放つと全方位レーザーを発射する。

 

「まだやれたか」

「嘘だろ! おい!」

 

 ネビュラアストレイはスレッジハンマーを盾にして致命傷は避けたが、至近距離で全方位レーザーの直撃を受けて吹き飛ばされる。

 オメガバルバトスは防御する事すら出来ずに全方位レーザーの直撃を受けてネビュラアストレイ同様に吹き飛ばされた。

 

「今の攻撃は面白かったが、その程度では俺には届かない」

 

 全方位レーザーでテイルブレイドのワイヤーも損傷した事でGバシレウスはワイヤーを引きちぎり解放される。

 ネビュラアストレイはスレッジハンマーが使い物にならない損傷を受けて鞘の部分をパージしてブレイクアックスを構える。

 

「龍牙。お前は死ぬ気でここから離脱しろ。千鶴は援護を頼む」

「レオ!」

「皇帝の実力をここで実感できたのは大きい。後はお前らのどちらかが生き残ればチームとしてはポイントが貰える。俺は最後までアイツを戦って時間を稼ぐ」

 

 ワイヤーで拘束しての攻撃が完全に防がれた上でネビュラアストレイのダメージも限界に近づいている。

 全方位レーザーをまともに受けたオメガバルバトスも戦うだけの余力はないだろう。

 すでにレオは勝機がないと判断していた。

 それでも龍牙や千鶴が生き残れば日本代表チームとしてはポイントが入る為、ここでレオがやられたところで問題はない。

 だからこそ、レオは自身を犠牲にして龍牙と千鶴と逃がして、自分は少しでもアルゴスと戦い経験を積むこと方向に頭を切り替えた。

 

「……分かった」

 

 龍牙も大人しく従う。

 チームにポイントが入れば次に繋がる。

 次に繋がればリベンジの機会も出て来る。

 今、龍牙がすべきことは勝ち目のない敵に挑むのではなくチームとして次に繋げる事だ。

 

「……アイツ! まだやるのか!」

 

 龍牙が退避しようとしていると、オメガバルバトスが立ち上がる。

 全方位レーザーの直撃を受けて装甲に大ダメージを負い、ところどころが破壊され、立ち上がったことでフレームから装甲がいくつか落ちる。

 対ビームコーティングと頑丈な装甲のお陰でオメガバルバトスも致命傷を受ける事は無かったが、完全に満身創痍でまともに戦えるようには見えない。

 

「リヴィエールには絶対に使うなって言われていたけど、こんな状況だ。出し惜しみは出来ないな」

 

 大我がオメガバルバトスを受け取った時にオメガバルバトスの機能について説明を受けた。

 その時に特殊機能についても説明を受けていたが、その際にリミッター解除状態とは別の特殊機能があるがその機能は絶対に使うなと念を押された。

 リミッター解除状態の運動性能でもアルゴスを切り崩すことは出来なかったが、まだ大我の隠し玉を使えば勝機はあった。

 

「絶対に使うなはいざという時には使えって振りだろ。リヴィエール」

 

 オメガバルバトスのフレームが一瞬だけ赤く発光する。

 だが、発光するとオメガバルバトスは膝から崩れ落ちた。

 

「は? 何が起きた?」

 

 大我は操縦桿をガチャガチャと動かすがオメガバルバトスは全く動かない。

 ダメージがかなり負っていたが、戦闘は辛うじて可能だった。

 攻撃を受けてた訳でもない。

 

「……まさか。リヴィエールの奴!」

 

 大我はある可能性に思い至った。

 リヴィエールは絶対に使うなと念を押したものの状況によっては大我が使うと読んで、自分の言いつけを守らずに使った場合には強制的にガンプラの機能を停止するように仕込んでいたと言う可能性だ。

 それにより大我が絶体絶命のピンチになったところでリヴィエールは自分の言いつけを守らずに使った大我が悪いと悪びれもしないだろう。

 

「あの女!」

 

 ガンプラの機能が停止しただけで、撃墜判定にはなってはいない。

 だが、アルゴスも目の前で動けない敵を見逃す程甘くはない。

 Gバシレウスの大型ビームライフルの銃口がオメガバルバトスに向けられる。

 

「終わりだ」

 

 昨日の停止したオメガバルバトスにはその攻撃を避ける事も防ぐことも出来ない。

 レオも龍牙も自分の位置からでは大我を助ける事は出来ず、千鶴の狙撃でもGバシレウスが引き金を引くよりも早く撃ち抜くことは出来ない。

 オルゲルトとカティアは大我を助ける義理はない。

 大我はコックピット内のコンソールを弄り何とか再起動できないか試みているがオメガバルバトスは一切反応しない。

 もはや完全に打つ手もなく、後はGバシレウスに止めを刺されることを待つだけだ。

 アルゴスが止めを刺そうとしたその瞬間、バトルフィールド内にバトル終了のアナウンスが入った。

 

「命拾いをしたな」

 

 バトルフィールド内の他の場所でガンプラがやられた事で第一試合の規定である残り16チームとなった。

 バトルが終わったことでアルゴスは大型ビームライフルを下し、第一試合のバトルロワイヤルが終了した。

 

 

 

 

 

 

 バトルが終わりログアウトした大我は端末でバトルロワイヤルでの戦闘データの解析を始めていたリヴィエールに詰め寄った。

 

「どういう事だよ」

「どうも何も私は使うなって言ったよね? どの道、あそこで使って勝てたとしても意味ないでしょ」

 

 リヴィエールは端末から目を話さずに答える。

 大我の読み通りリヴィエールもあの場で隠し玉を使えばアルゴスのGバシレウスに勝てる見込みはあった。

 だが、あの場でGバシレウスを倒したところでギリシャ代表チームの他のガンプラが残っている以上は隠し玉を使ってまで勝つ意味はない。

 リヴィエールからすればあの場での勝利に拘るのは大我のエゴに過ぎない。

 

「そこまでにしときなよ。大我も。今回は皇帝を直に戦えただけでも十分な収穫だよ」

「レオと2人がかりでボッコボコにされたけどね」

「レオはともかく、俺は負けてないし」

 

 クロエの茶々に大我は反論する。

 客観的な事実としては大我とレオはアルゴスに一方的に追い詰められていた。

 しかし、大我の主観では勝負には負けてはいない。

 

「俺もバルバトスも本当の実力はあんな物じゃない」

「大我はともかく私のオメガバルバトスの真の力はまだ発揮されてないしね。オメガバルバトスの進化は後6回も残ってる。この意味は分かるわよね?」

 

 今回大我が使ったオメガバルバトスは本体が完成したに過ぎない。

 リヴィエールの中で今のオメガバルバトスはまだ完成系ではない。

 第一試合ではアルゴスとGバジレウスに圧倒されたが、リヴィエールの計算上では完成系となったオメガバルバトスの性能はGバシレウスはおろかGBNのガンプラの中でも最強だと自負している。

 

「それは頼もしい。それでリヴィエール。明日のバトルまでに大我のバルバトスの改修作業は出来そうかい?」

「もちろん。この私の手にかかれば一晩でやっちゃうよ」

 

 第一試合での戦闘データを解析してリヴィエールはオメガバルバトスの改修プランはすでにできている。

 後は事前に用意してたパーツを使い、改修するだけだ。

 

「私はちゃんと仕事はするよ? でも大我に扱えるかは分かんないけどね」

「上等だ。やってやるよ」

 

 リヴィエールの挑発に大我は容易く乗る。

 こうして大我を煽っておけば、明日の第二試合で改修されたオメガバルバトスを意地でも使いこなすだろう。

 リヴィエールも大我との付き合いは長い為、大我との付き合い方を心得ている。

 

「第一試合は無難に勝ち抜いたけど、油断は禁物だ。大我には明日も戦って貰うけど、他の皆にもいつ出番が回って来るか分からない。それぞれがコンディションを最高な状態を維持して全てのバトルに勝ちに行く」

 

 リーダーのルークが皆にそう言う。

 第二試合のバトル形式は当日の朝に各チームに公表される。

 どんなルールのバトルになろうともエースの大我は確実に戦う事になる。

 他のメンバーもいつ戦うかは分からない以上は常にガンプラの調整を万全な物にしなければならない。

 それは改めて言う事でも無く、全員が承知していることだ。

 ルークが締めてそれぞれが明日の第二試合に備える。

 世界大会の第一試合が終わり、大我たちアメリカ代表チームのみならず、代表選手それぞれがそれぞれの想いを胸に世界大会第一試合が終わった。

 

 

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