ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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変則チームバトル

 第一試合のバトルロワイヤルが終わり、翌日には第二試合の形式が公表されることとなる。

 日本代表チームにとってはレオが撃墜寸前まで追い詰められることはあったが、概ね問題なく第一試合でポイントを取る事が出来た。

 朝食を済ませて日本代表はブリーフィングルームに集まり発表された試合形式に各々が目を通している。

 

「3対3のチーム戦。バトルロワイヤルの次にしては普通ですね」

「形式はな」

 

 ルールに軽く目を通した龍牙はそう言う。

 第二試合の形式は3対3のチーム戦。

 各国の代表チームは代表1名を出してランダムで3人のチームを作ってのバトルとなる。

 対戦相手とチームメイトはバトルの直前なって発表される為、どこの国の代表とチームを組んでも対応できる柔軟性が必要となる。

 龍牙はルールは非常にオーソドックスな物だと思っていたが、諒真が釘を差す。

 

「第二試合のポイントの振り分けを見てみ? 第二試合なのにずいぶんをえげつない事をして来たぞ」

 

 龍牙は大まかなところしか見ていなかった為、改めて諒真の言う第二試合のポイントの割り振りを見る。

 そこには第二試合では勝利チームはそれぞれ、そのバトルでの撃墜数×10ポイントをと書かれている。

 それを見た龍牙も諒真の言いたいことは何となくわかった。

 

「チーム戦ならチームで力を合わせれば格上の相手にも勝てるかも知れない。けど、このポイントの割り振り方は始めから連携をまともに取らせる気はないな。このルールを考えた運営は相当性格が悪い」

 

 このポイントの振り方ではバトルに勝利しても1機も撃墜出来なければ0×10で0ポイントがもらえる事となり、勝利の意味はない。

 それぞれ仲良く1機づつ撃破すれば平等にポイントがもらえるが、元々チームは第二試合限定の物でどのチームも自分達のチームが敵を3機とも撃墜すれば自分達は30ポイントが貰えて同じチームの国にはポイントを取らせずに済むと考える事は確実だ。

 そうなればどこの代表もいかに自分の撃墜数を稼ぎ、いかに他のチームメイトに撃墜数を増やさないかを考える為、このバトルはチーム戦でありながらチームで協力し合うものではなくチームで足を引っ張り合い自分が得するかと言う事を考える事が重要なルールと言える。

 

「それで済めば良いのだけれど」

 

 その話しを聞いていた麗子はポツリとつぶやく。

 公表されているルールを見る限りでは諒真の考え以上に厄介な事になる可能性がある。

 それが麗子の考え過ぎなのかは現状では確かめる術はない。

 基本的に公表されたルールに対して運営に問い合わせる事は出来ない。

 公表されたルールをどう捉えるかはそれぞれのチーム次第となっている。

 試合形式をルールが公表されると組み合わせの抽選が始まる。

 第二試合の一戦目の組み合わせが発表される。

 そこにはアメリカ代表チームも入っていた。

 

「おっいきなり大我の出番か」

 

 ルールに不安要素がある上に1戦目からアメリカ代表が出て来る。

 アメリカ代表からは確実にエースである大我が出て来るだろう。

 大我が何をしでかすかは完全に予測は出来ない。

 大我のバトルが無難に終わってくれることを麗子は願うしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1戦目に決まったチームから出場するダイバーがログインしてバトルの準備が終わるとモニターにバトルの様子が映される。

 モニターには大我のオメガバルバトスの姿が映されているが、第一試合の時とは少し違っていた。

 両肩が一回り大きくなり、肩にはテイルブレードの刃を流用した新装備のブレードプルーマがそれぞれ2基つづ計4基増設された。

 リヴィエールが一晩かけて制作したパーツを装備したガンダムオメガバルバトス(第二形態)で第二試合に大我は望む。

 大我と同じチームになったガンプラはハイぺリオンとゼータプラスの2機でバトルフィールドは宇宙空間となっている。

 バトルが始まりハイぺリオンとゼータプラスは周囲を警戒するが、突如ソードメイスをゼータプラスに振るう。

 ゼータプラスのダイバーは事前に撃墜数の奪い合いになる事は覚悟していたが、まさか開始早々友軍機からの攻撃を受けるとは思っておらず抵抗する事無く撃墜された。

 

「大我の奴、やりがやった!」

「まぁライバルを先に蹴落とした方が確実だけどね」

 

 その様子を見ていた日本代表の面々も少なからず驚いている。

 撃墜数を奪い合う第二試合において確実に撃墜数を奪われなくなる手段として敵の前に味方機を始末すると言うのがあるが、それを行えば自分一人で3機を相手にしなければならない。

 向こうも撃墜数の奪い合いである以上は残った1機をわれ先にと撃墜しようと躍起になるリスクがあるが、大我は躊躇いなく友軍機を始末した。

 

「……撃墜数」

「最悪ね」

 

 大我が開始早々友軍機を始末した事に目が行っていたが、珠樹と麗子はある事に気が付いた。

 モニターにはそれぞれの撃墜数が表示されているが、大我の撃墜数が1になっていたのだ。

 それは麗子の想定していた最悪の事態を裏付ける事にもなった。

 

「友軍機をやっても撃墜数がカウントされるのか?」

 

 大我の撃墜数が増える要素は一つしかない。

 ゼータプラスを撃墜した事と言うのはすぐに想像がつく。

 麗子が考えていた最悪の事態とはルールにある撃墜数が敵機にのみ適応されるか否かだ。

 通常、ポイントとなる撃墜数とは撃墜した敵機と捉えるが、そこまで書いていないのは普通はそうだから敢えて書かないのか、書いてある通り敵も味方も関係なく撃墜した数が撃墜数となるのかのどちらかだろう。

 大我が友軍機を撃墜した事で撃墜数には味方機も含まれると証明された。

 そうなると撃墜数を奪い合い足の引っ張り合いが前提の第二試合は大きく変わって来る。

 自分で敵を3機撃墜した場合のポイントは30ポイントだが、友軍機も2機撃墜した上で敵を全て倒せば5機撃墜した事となりポイントは50ポイントとなる。

 まだ、世界大会は序盤ではあるがここで50ポイントを稼いでいれば後々有利になる事は明白で、どのチームも最大ポイントを狙い味方同士でも争う事となる事は明らかだ。

 

「あ? 撃墜数が増えてる。まぁ良い。お前も先にぶっ潰す」

 

 現在バトルをしているダイバーには現在の自分の撃墜数しか分からないようになっている為、大我は自分の撃墜数が増えたとことを知る事になる。

 事前にルークからの指示では確実に撃墜数を増やす為に邪魔な友軍機を始末するように言われたが、友軍機も撃墜数にカウントされると言う事はアメリカ代表にとっては嬉しい誤算だ。

 

 オメガバルバトスは肩のブレードプルーマを射出する。

 ブレードプルーマはテイルブレイドとは違いワイヤーで本体とは繋がれてはおらず、ファンネルやビットのように無線遠隔操作に武器となっている。

 ハイぺリオンはアルミューレ・リュミエールを展開して身を守ろうとするが、ブレードプルーマには対ビームコーティングがされている為、アルミューレ・リュミエールを易々と貫通してハイぺリオンを切り刻む。

 

「これで邪魔者はぶっ潰した。後は残りをぶっ潰すだけか」

 

 ゼータプラスとハイぺリオンの2機を始末した大我はようやく敵チームの捜索に入る。

 捜索を始めてすぐに敵影を補足した。

 向こうは仲間割れをする事無く3機とも健在のようだった。

 

「見つけた」

 

 相手チームのガンプラはジェスタキャノン、ヴァイエイト、ヤークトアルケーガンダムの3機だ。

 向こうは友軍機の撃墜数もポイントに含まれることを知らない為、足並みを揃えていたが、オメガバルバトスを補足するとわれ先にとビームを撃って来た。

 

「コイツを使って見るか」

 

 オメガバルバトスの両肩からGN粒子が放出されオメガバルバトスの周囲を覆いGNフィールドが形成される。

 第二形態となったオメガバルバトスの大型化された両肩にはGNドライヴが内蔵されており、ツインドライヴシステムによるGN粒子を扱う事が出来るようになっていた。

 そのGN粒子を火器や自身や武器に纏わせたり、推力として使う事もなくGNフィールドを張る事にのみ使っている。

 そうする事で高い防御力を持つGNフィールドとなり、元々の防御力と合わせてオメガバルバトスは鉄壁の防御を会得した。

 

「GNフィールドだと!」

「ならば俺が貰った!」

 

 ヤークトアルケーはGNバスターソードを持って接近戦を仕掛ける。

 GNバスターソードをGNフィールドで受け止める。

 

「ちっ! 硬いな! ならトランザム!」

 

 ヤークトアルケーはトランザムを使い赤く発光する。

 しかし、オメガバルバトスのGNフィールドはびくともしない。

 

「GN粒子を纏った実体剣にトランザム。その程度で俺のバルバトスには届かないいんだよ」

 

 オメガバルバトスはGNフィールドで攻撃を受け止めながらソードメイスをヤークトアルケーの胴体にぶち込む。

 一撃でヤークトアルケーは粉砕されると、オメガバルバトスはヤークトアルケーのGNバズターソードを掴むとヴァイエイト目掛けて投擲する。

 GNバズターソードはヴァイエイトのビームキャノンに突き刺さり、体勢を崩したところをブレードプルーマによる切り刻まれて撃墜された。

 

「なんなんだよ! あの化け物は!」

 

 ジェスタキャノンは持てる火力を全て使ってオメガバルバトスを攻撃するが、オメガバルバトスのGNフィールドを破る事は出来ない。

 GNフィールドを展開しながらオメガバルバトスはジェスタキャノンに突っ込んで行く。

 ジェスタキャノンは逃げ切れずに観念してビームサーベルで応戦する。

 しかし、ジェスタキャノンのビームサーベルはGNフィールドに阻まれて、オメガバルバトスに届くことはない。

 

「お前で終わりだ」

 

 オメガバルバトスがソードメイスを一振りすると、ジェスタキャノンは粉砕されてバトルは終了する。

 

「GNフィールドとかなんでもありだな」

 

 大我のバトルを見ていた龍牙はそう呟く。

 今までは表面の対ビームコーティングによるビームに対する高い防御力に加えてガンプラ自体の高い完成度による強固な装甲を持っていた。

 そこにGNフィールドが加わる事で更なる防御力を得た。

 ただ単に防御力の高いガンプラなら攻略の糸口も掴めるが、大我のバルバトスの最大の長所は圧倒的なパワーから繰り出される大抵のガンプラを一撃で葬り去る攻撃力だ。

 その攻撃力を様々な防御能力とリミッター解除による高い運動性能にオメガバルバトスには高出力のスラスターによる機動性能も加わっている。

 更には超強力な攻撃を確実にぶち込む為に使われるテイルブレイドも背部のワイヤー付きに4つの無線式のブレードプルーマが増えたことで厄介になっている。

 しかし、今はそれを考えていても仕方がない。

 1戦目が終わり、次の組み合わせが決まり2戦目が始まる。

 1戦目で友軍機も撃墜数に含まれることが分かり、他の代表チームは敵だけでなく味方をも狙いそれ以降のバトルも大荒れだった。

 上手い具合に味方機を落として撃墜数を2機しても、敵チームを倒せずにやられて勝利したチームも最後の1機を仕留めたチームが10ポイントを何とか手に入れて他はポイントを貰えないケースや味方同士の戦いで相討ちとなり全滅し勝利チームも全機撃墜数ゼロで誰もポイントを貰えないケース等、纏まったポイントを取れずに終わるチームがいくつもあった。

 そんな中、イギリス代表は自分に攻撃して来た友軍機を1機仕留めて、敵を3機とも仕留めて撃墜数は4で40ポイントを獲得し、ドイツ代表は圧倒的な火力で友軍機ごと敵を殲滅して50ポイント、ギリシャ代表チームは友軍機が敵と協力してまずは優勝候補のギリシャ代表を仕留めようとしたものの圧倒的な力で返り討ちにされてギリシャ代表は5機撃墜の50ポイントを獲得した。

 大荒れとなりながらも第二試合が進み、遂には日本代表の出番をなる。

 

「第二試合は神君に行って貰うわ」

「俺ですか?」

「そうよ。まだ主力は温存しておきたいし、中学時代の貴方のバトルから全国大会を経て今の実力の伸び具合はチームでもトップクラス。少しでも経験を積んで後の戦いに備えるわ」

 

 麗子がチーム全体の過去のバトルデータを分析したところ、龍牙は中学生時代のバトルの成績は同年代では良くて並だった。

 星鳳高校に入学してからの地区予選や全国大会では大我の圧倒的な実力が目立っていたが、確実に龍牙は成長し、世界大会までの練習では接近戦ではチーム上位の光一郎や右京、レオと比べるとまだ頭一つ劣るものの単純な殴り合いなら貴音や源之助とは十分に戦えるレベルまで成長している。

 総合的に見ると龍牙の成長率はチームでもトップクラスだと言うのが麗子の龍牙に対する評価だ。

 だからこそ、積極的に使って世界の実力に揉まれて更なる成長を望んでいる。

 

「今回のバトルでは友軍機を撃墜する必要はないわ。幾ら友軍機を撃墜して撃墜数を稼いでも自分がやられてしまえば意味はないわ。最低でもポイントがもらえるように1機は撃墜しなさい。可能ならば2機。無理に3機目を狙う必要はないわ」

「了解です!」

 

 これまでの代表チームは何とかして撃墜数を稼ごうと欲を出して失敗している。

 ここで高ポイントを取っておけば後々楽になる事は確かだが、後半になればなるほど貰えるポイントも上がる為、序盤は無理にポイントを稼ぐこともなく確実にポイントを稼ぎ決勝トーナメント出場県内に入っていれば十分だと麗子は考えている。

 龍牙も仲間を倒してまでポイントが欲しいとは考えてはいない事も麗子が龍牙を第二試合に使う理由の一つだ。

 龍牙はガンプラをセットしてGBNにログインする。

 

「神龍牙。バーニングドラゴンデスティニー! 行くぜ!」

 

 バトルが始まり、龍牙は友軍機のガンプラを確認する。

 1機は第一試合で龍牙が交戦したロシア代表のカティアのガンダムマークⅡメェーチで、もう1機はクロスボーンガンダムX2だ。

 

「さてと……敵はどこかなっと」

 

 周囲を警戒してると、警報が鳴り、横を見ると友軍機のX2がビームザンバーを抜いて接近していた。

 明らかなに敵意を持っており、バーニングドラゴンデスティニーはビームシールドを展開すると、X2のビームザンバーを受け止める。

 

「何すんだ! 俺は敵じゃない!」

「どうせ日本は雑魚なんだ。俺のポイントになりやがれ!」

 

 龍牙にその気は無かったが、向こうは龍牙を倒して撃墜数を稼ぐつもりのようだ。

 バーニングドラゴンデスティニーはX2を蹴り飛ばすとバルカンで牽制する。

 

「監督には友軍機を倒す必要はないって言われているけど……」

 

 X2はバルカンを避けながら加速して接近する。

 麗子には友軍機を倒す必要はないと言われているが、向こうが向かって来るなら仕方がない。

 バーニングドラゴンデスティニーはビームナックルを展開して迎え撃つ構えを取る。

 

「死ね!」

「貴方がね」

 

 X2はバーニングドラゴンデスティニーに突っ込もうとするが、いつの間にかX2の背後にはカティアのマークⅡメェーチが回り込んでいた。

 マークⅡメェーチのビームソードがX2を両断する。

 

「……助けて貰ったと思って良いのか?」

「貴方を助けたつもりはないわ。彼が余りにも隙だらけだっただけのことよ」

 

 龍牙をカティアの間に緊張が走る。

 カティアとは第一試合で戦っている。

 ここでカティアと戦えば龍牙も無傷では済まない。

 友軍である以上はここで互いに潰し合っていても得をするのは敵チームになる。

 龍牙としては協力とまでは行かなくてもここで潰し合う事だけは避けたい。

 

「敵が来たようね」

 

 龍牙にとっては幸いな事に敵チームが接近して来たようだ。

 カティアも敵よりも優先して戦うつもりはないらしく、マークⅡメェーチは敵の方を向く。

 それに合わせてバーニングドラゴンデスティニーも敵の方を向いて敵を確認する。

 敵は同士討ちをする事もなくこちらに向かって来ている。

 モニターに敵のガンプラが映される。

 敵チームはウイングガンダム、ペイルライダー、ジャスティマの3機だ。

 向こうもこちらを確認したらしくウイングガンダムが変形してバスターライフルを撃って加速する。

 

「来るぞ!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーとマークⅡメェーチは散開すると敵チームもウイングガンダムがバーニングドラゴンデスティニーに向かい、残り2機がマークⅡメェーチへと向かって行く。

 

「2機は撃墜しておきたかったんだけどな」

 

 ウイングガンダムはMS形態に変形するとバスターライフルを撃つ。

 龍牙はビームをかわしながら懐に飛び込むタイミングを見計らう。

 ウイングガンダムのダイバーもバーニングドラゴンデスティニーに接近戦を挑むつもりはないらしくバスターライフルでの射撃で攻めて来る。

 

「そりゃご丁寧に3発しか撃てないって事もないか……」

 

 タイミングを見計らっていたが、そう簡単には隙を見せてはくれない。

 このまま長期戦にもつれ込んだ場合、カティアの方は2機を相手に戦っている。

 カティアがそう簡単にやられるとは思えないが、相手の実力次第では楽観は出来ない。

 仮にカティアが2機を仕留めてこっちに来てウイングガンダムを倒してしまえば、バトルそのものには勝利しても龍牙の撃墜数は無く勝ってもポイントは貰えない。

 最低での目の前のウイングガンダムだけは自分で倒さなければいけない。

 

「こうなったら多少危険だがやるしかないか」

 

 龍牙もこれ以上戦いを長引かせる事を危険だと判断して覚悟を決める。

 ウイングガンダムは狙いを定めてバスターライフルを撃つ。

 今度はバーニングドラゴンデスティニーはかわさずに両手にビームナックルを展開して真っ向から迎え撃つ。

 

「やったか!」

 

 ウイングガンダムのダイバーはバスターライフルのビームが直撃した感触があった。

 しかし、バーニングドラゴンデスティニーはビームを真っ向からビームナックルで殴り受け止めながら突っ込んで来ていた。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

「馬鹿な!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーは4枚の炎の翼を広げてビームを弾きながら加速する。

 

「ドラゴンファング!」

 

 龍の形をした炎を纏いバーニングドラゴンデスティニーの拳がウイングガンダムを打ち砕く。

 

「ふぅ……何とかなったか。けどゆっくりもしてられないな」

 

 これで撃墜数を1にしたが、バトルに負けてしまえば意味はない。

 龍牙はすぐにカティアの方に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 3機の内、2機の相手をしていたカティアは予想以上に手こずっていた。

 実力はカティアの方が上だが、相手もそれを理解している為、どちらか一方がやられるとそのまま自分もやられるので足の引っ張り合いをする事なく互いを援護している。

 カティアのマークⅡメェーチは近接戦闘に特化している為、常に距離を取りながら攻めて来ている。

 ジャスティマはファンネルミサイルを撃つと、マークⅡメェーチはギリギリまで引きつけるとビームソードで切り払う。

 その間に回り込んだペイルライダーがハイパービームライフルを撃ち、マークⅡメェーチはビームソードで弾く。

 

「常に距離を取って接近戦はしないつもりなの? 面倒ね」

 

 距離を詰めようとしてもビームを撃ちながら後退し、もう一機が牽制のビームを撃つ為、距離を詰める事も難しい。

 

「向こうはやられたらしい!」

「ならこっちはさっさと仕留める!」

 

 ペイルライダーの目は赤く発光し、HADESが起動する。

 それにより機体性能が一時的に向上し加速する。

 

「HADES? そんな物まで持っていたのね」

 

 ペイルライダーのはビームサーベルを抜きマークⅡメェーチに襲い掛かる。

 マークⅡメェーチはビームソードで攻撃を受け流す。

 

「いつまでも続く訳でもないでしょう」

 

 機体性能を向上させるシステムは持続時間が尽きればシステムは停止する。

 それまで耐える事が出来れば形勢を逆転する事が出来る。

 ペイルライダーのビームサーベルをビームソードで受け止めるが、パワーで押し切られて弾き飛ばされる。

 

「貰った!」

 

 それを逃さずにジャスティマがビームをマークⅡメェーチに向かって撃ち込む。

 致命傷は避けられそうだが、直撃を覚悟したカティアだったが、間に龍牙のバーニングドラゴンデスティニーが入りビームシールドでビームを弾く。

 

「大丈夫か?」

「……何の真似?」

「何のって今は仲間だからな。それに助けられた借りも返さないとな」

 

 第二試合自体、味方同士の潰し合いを誘発させるルールがあり始めからそうさせる事を前提になっている。

 それでも龍牙は一時的とはいえ、同じチームである以上は仲間で仲間のピンチを助けるのは当然の行為だ。

 

「変な人……まぁ良いわ。貴方はジャスティマを仕留めて。ペイルライダーは私がやるから」

「おう! 任された」

 

 龍牙はそう言うとジャスティマの方に向かって行く。

 龍牙は素直に自分の指示に従ったことにカティアは少なからず驚いている。

 このバトルにおいては同じチームとはいえ、本来は敵同士である為、カティアからの指示に対して龍牙が素直に聞くとは思っていなかった。

 向こうにも向こうの思惑があり、カティアの指示はカティアにとっての都合の良い思惑が優先されている為、多少は自分達の思惑を優先するかも知れない事や、場合によっては面倒を押し付けて利用するだけ利用して最後に敵もろとも倒そうとするなど、そう簡単には信用等出来る筈もない。

 だが、龍牙はカティアが土壇場で裏切る事等全く考えてはおらず、恐らくは同じ日本代表と同等に信頼して背中を任せている。

 

「龍牙とか言ったわよね」

「後ろががら空きだ!」

 

 いつの間にかペイルライダーはマークⅡメェーチの背後に回り込んでおりビームサーベルを振るう。

 だが、ビームサーベルはマークⅡメェーチを捕える事は無かった。

 

「何!」

「遅いわね」

 

 攻撃を回避したマークⅡメェーチはビームソードを振るいペイルライダーのシールドを両断する。

 ペイルライダーはすぐさま距離を取ろうとするが、マークⅡメェーチとの距離は殆ど離すことは出来ない。

 

「引き離せない!」

「2人がかりならともかく、貴方1人なら何の問題はないわ」

 

 今までカティアが手こずっていたのは2機が互いを援護しながらも、自分が絶対にやられないように動いていたからだ。

 それを片方の相手を龍牙がすることでカティアはペイルライダーのみに集中する事が出来る。

 2対1なら厄介な相手でも1対1で戦えるのであればカティアにとっては苦戦する程の相手ではない。

 何とか逃げていたペイルライダーだが、遂にはHADESの持続時間が無くなると機体性能は元に戻り機動力も戻る。

 今まではHADESで強化された機動力で何とか逃げていたペイルライダーだが、HADESの効果が切れてしまえば逃げる事も出来ない。

 

「終わりね」

 

 マークⅡメェーチはビームソードでペイルライダーを胴体から真っ二つに両断し撃破する。

 

「これで撃墜数は2機。後2つは行けそうだけど」

 

 龍牙はカティアから攻撃を受ける事等考えてはいない。

 ジャスティマのダイバーも龍牙の相手で手一杯でどちらもその気になれば仕留める事は出来そうだった。

 

「無理に狙う必要はないわね」

 

 龍牙が勝てば自分達のチームの勝利でロシア代表チームは20ポイントは獲得できる。

 仮に龍牙が負けたとしてもその後にジャスティマを始末すればいいだけの事だ。

 下手に相応を倒そうとして欲を出せば最悪の場合、返り討ちにある可能性もある。

 そのせいで龍牙もやられてチームが敗北すればロシア代表にポイントははいらない。

 そう考えるとここは手を出さずに静観して決着がつくのを待つべきだとカティアは判断した。

 自分では合理的に判断したと納得させるが、最初に倒したX2のダイバーとは違い龍牙が自分を信じて背中を任せた。

 龍牙からの信頼を裏切りポイントを集めたところでバトルに勝っても、仲間割れを誘発させるルールの中、友軍を信じた龍牙に負けたような気になるからだと言う事にはカティアは目を逸らして気づかないようにする。

 

「そっちは任せたんだから、しっかりと仕留めて来なさい」

 

 ジャスティマはビームライフルを連射するが、バーニングドラゴンデスティニーはビームをかわしながら接近する。

 

「ちぃ!」

 

 ジャスティマはビームライフルを捨てて大型ビームサーベルを抜いて振るうが、バーニングドラゴンデスティニーはビームシールドで防ぐとビームナックルで殴る。

 何とか肩のビームバリアで防ぐが、完全に受け止めきれずに体勢を崩す。

 ジャスティマは残っていたファンネルミサイルを全て撃ってバーニングドラゴンデスティニーを牽制する。

 

「このまま突っ込む!」

 

 だが、龍牙はそれで臆する事もなく前に出る。

 バーニングドラゴンデスティニーは炎の翼を展開し、バルカンを撃ちながらファンネルミサイルを減らし両腕のビームシールドで身を守りながら突っ込む。

 自身の間合いに入りバーニングドラゴンデスティニーはビームシールドをビームナックルに切り替える。

 バーニングドラゴンデスティニーの左の拳をビームバリアで防ぐが、すかさず右の拳がジャスティマの胴体に撃ち込まれる。

 ビームナックルを展開している為、バーニングドラゴンデスティニーの拳はジャスティマの胴体に穴を空けるとジャスティマは爆散する。

 それにより敵チームは全滅した。

 最終的な撃墜数は龍牙とカティアは共に2機づつ撃墜しそれぞれ20ポイントづつ手に入れる事となる。

 その後も仲間割れが続き、第二試合は大きく荒れて幕を下ろした。

 

 

 

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