世界大会第四戦で日本はついにポイントを取り逃してしまう。
日本にとって幸いだったことは四戦目のバトルでポイントを獲得した6チームはどれも元々上位に位置していたため、順位の変動はない。
そして、第五戦目のバトル形式とルールが各チームに公表された。
四戦目のバトル形式は拠点攻防戦だった。
GBNのバトル形式の中でもメジャーな形式の一つで、一つのバトルフィールドに攻撃側と防衛側に分かれて基本的に全滅すれば敗北で攻撃側は攻撃目標を破壊、もしくは特定の条件を満たせば勝利、防衛側は制限時間まで防衛目標を守り切れば勝利というのが一般的だ。
今回も同様のルールだが、攻撃側と防衛側の決め方に大きな特徴がある。
防衛側は現在の獲得ポイントの上位6チームとなり、他のチームは5チームが1つのチームとして攻撃側となる。
それぞれのチームは最大5機までガンプラを投入可能で、攻撃側は5チーム25機のガンプラで攻めて防衛側は5機のガンプラで拠点を守らなければならない。
そして、ポイントは攻撃側が勝利した場合は各チームに50ポイントづつ入り、防衛側のポイントが50ポイント減らされる。
尚、攻撃側が勝利した場合、自分たちのチームが全滅していてもポイントは入り、以前の第二試合のように仲間割れを誘発するようなことはない。
逆に防衛側が勝利した場合のポイントの変動はなく、この第四試合において防衛側はここまで稼いできたポイントの死守をするバトルで、攻撃側は上位チームとの差を大きく減らし、場合によってはポイント差を覆すことが可能となっている。
「これが次のバトルの主なルールよ」
麗子がブリーフィングルームで日本代表のメンバーに公表されたルールを説明する。
すでに組み合わせも決まっており、日本代表が出るバトルの防衛チームはドイツ代表になっている。
「防衛側はドイツか……ロシア辺りなら勝算も結構ありそうだったんだがな」
諒真は防衛側と攻撃側の代表チームを見てそう言う。
これまでのバトルで有力なチームの特色が見えて来ている。
アメリカやギリシャは圧倒的なエースを中心に攻めるチームでロシアは全体的にバランスが取れたチーム、イギリスは近接戦闘重視のチームで、ドイツはリーダーのヘルマを中心とした火力と機動力が高く殲滅力に長けたチームだ。
第三試合においてはその殲滅能力を最大限に活かしてギリシャ代表と並ぶ999機の撃墜数を叩き出している。
この第五試合では攻撃側には5倍の数の差があるが、ドイツ代表の前には5倍程度の数の差では心もとない。
それでも同じチームに上位6チームに入らなくても実力のあるチームがあれば多少なりとも勝算が出てくるが、一覧を見る限りでは日本代表が5チームの中で最上位のポイントを持っている。
「組み合わせが決まった以上は泣き言を言っても仕方がないわ。次のバトルに出るのは貴音、剛毅君、沖田君、南雲君、如月君の5人よ」
それが今回のオーダーだった。
25対5でのバトルとは言え、数の優位などドイツ相手にはないにも等しい。
そうなれば自分たちだけで勝つつもりで挑むしかない。
そのため、突破力のある貴音とレオを中心に指揮と単体での戦闘が可能な源之助と諒真、個人の技量は代表メンバーの中では劣るものの上手く立ち回り援護能力に長けている史郎でチームを組んだ。
「今回は数は多いけど、油断は禁物よ。自分たちだけで勝ちに行くだけの心構えで行きなさい」
「分かってるってどこのドイツか知らないけど、ここいらで上位チームだからって安心できないってところを見せて来るわよ」
貴音がそう意気込む。
貴音の常に自身に溢れているところは長所だ。
今回の相手はバトル形式のせいもあり前回のアメリカ以上に厄介な相手といえる。
貴音の臆することのない自身がこの状況を有利に運ぶことができると信じたい。
それぞれの準備が完了し、GBNにログインしてすべてのチームの準備が完了したところで第五試合が始まる。
第五試合はすべてが同時進行で行われる。
それぞれのバトルフィールドはランダムで決められる。
アメリカ代表のバトルフィールドは市街地となっている。
フィールド上は巨大な都市となっており、ガンプラよりも巨大なビルなどがいくつも建てられており、視界をふさぐ。
アメリカの防衛拠点はフィールド中央に建てられている巨大なタワーでここに敵チームのガンプラが到達すると拠点が制圧されたとみなされて敗北となる。
タワーの頂上にはルークのガンダムソルエクシアとリヴィエールのガンダムスローネジーニアスが陣取り、スローネジーニアスはすでにGNサーチフィールドを展開している。
「見~つけた」
GNサーチフィールドでリヴィエールは敵チームの動きをすべて把握した。
この第五試合は攻撃側に有利になるようになっているため、防衛側のレーダー機能はかなり制限されているため、ギリギリまで接近しないとレーダーは意味はない。
本来は防衛側はその状況を何とかすることを考えなければならないが、アメリカ代表のリヴィエールのスローネジーニアスのGNサーチフィールドならばバトルフィールドの大半をカバーすることができるため、意味をなさない。
敵は5機編成の隊で5方向から進軍している。
おそらくはそれぞれのチームが分散することでアメリカ代表の戦力を分散させるつもりなのだろう。
5機で行動していれば仮にアメリカ代表の最大数の5機と遭遇しても数の上では互角で戦え、その間はほかのチームががら空きとなった拠点に向かうこともできる。
「この位置だと大我が近いな。大我。すぐに向かってくれ。敵を見つけ次第殲滅して構わない」
「わかった」
大我は短く答えると通信を切る。
すると、大我のいる位置から補足した敵の位置の直線状にあるビルが次々と倒壊していく。
大我が敵のいる場所に最短距離で進行上のビルをガン無視しながら突き進んでいるということはスローネジーニアスから送られてくる情報と照らし合わせる必要すらない。
「分散して接近すればあの化け物じみたバルバトスと遭遇する危険性は少ないな」
「ほかの連中なら5機で囲んでしまえばいいだけだからな」
「けど……さっきから大きな音がするけど……」
「気にすんな。どうせ、こっちの位置が分からなくて適当に攻撃して炙り出してんだよ」
「だといいんだがな……気のせいか音が近づいている気がする」
ヴェルデバスター、ビルゴⅡ、アルトロンガンダム、ドラドL、ランドマン・ロディの5機編成の隊はビルを使いタワーからは死角に入りながら進軍していた。
しかし、アルトロンガンダムの後ろのビルが吹き飛び、そこからオメガバルバトスが出てくる。
オメガバルバトスはブレードモードのチェーンソーブレードを振るい、アルトロンガンダムを背後から両断する。
「なんだと!」
「見つけた」
オメガバルバトスはこれまでのバトルの時と同様に装備が強化された第五形態となっている。
第五形態は第四形態への改修時に重心の偏りでバランスが悪くなっていたところを改善してている。
両足には重量増加による下半身の関節への負荷を和らげながらも、脚部のパワーを強化する強化ユニットが増設された。
強化ユニットは足を覆うように取り付けられており、それに伴い、大型化されこれまでの改修により大型のガンプラとなった。
強化ユニットの足の裏と脹脛にはアデルマークⅡのように陸戦時の機動力を向上させる装輪ユニットが内臓されている。
脛の部分には高周波シザーブレードが取り付けられている。
これは2枚の高周波ブレードでできており、普段は普通の高周波ブレードとして蹴りの時に使われるが、同時にハサミのように稼働することで敵を挟んで切断することにも使える。
そして、内臓式スラスターにより宇宙空間での機動力の低下をある程度は補えるようになっている。
脚部の強化ユニットを装備したことで重心も安定した。
「散開だ! いくらアイツでも囲んでしまえば!」
撃破されたアルトロンガンダム以外の4機はすぐに散開して、集中砲火を浴びせながらオメガバルバトスを囲もうとした。
だが、オメガバルバトスは装輪ユニットを展開して陸上を蛇行しながら包囲させない。
「なんだアイツ! あんな図体して! うぁぁぁ!」
ビームバルカンを撃っていたドラドLの攻撃をかいくぐり、オメガバルバトスは接近すると高周波シザーブレードでドラドLを胴体から真っ二つに切断する。
「この化け物が!」
ヴェルデバスターは全火力をオメガバルバトスに集中させる。
オメガバルバトスはサイドスラスターのワイヤーブレードを正面のビルに打ち込むと、ワイヤーを回収することで自分をビルの方向に引き寄せると、そのまま装輪ユニットで重力を無視するかの如くビルを駆け上がり、ビルを飛び越してオメガバルバトスは宙を舞う。
その動きにヴェルデバスターのダイバーはついていけず、オメガバルバトスはヴェルデバスターの背後に落ちて来ると両腕のチェーンソーブレードでヴェルデバスターを切り裂く。
「バカめ! 後ろががら空きなんだよ!」
「バカはお前だよ」
ビルゴⅡがビームライフルをオメガバルバトスの背後から向けていた。
ビルゴⅡのダイバーは千載一遇のチャンスと思っていたが、オメガバルバトスの背部についているテイルメイスがないことにまでは気が付いていなかった。
そのことに気が付いた時にはすでに遅かった。
ヴェルデバスターの背後を取るためにビルを駆け上がり、宙を舞ったときにテイルメイスを射出していた。
重力下では重たいテイルメイスは使い辛いが、重いがゆえに落ちて来る速度も速く、それは真下にいたビルゴⅡを潰すには十分だった。
「こうなったら! 少しでも時間を稼いで!」
最近に残ったランドマン・ロディはサブマシンガンを撃ちながら後退を始める。
この状況では勝てるとは思えない。
このまま無駄に挑んでやられるくらいなら少しでも時間を稼いで大我を引き付けようと考えた。
だが、大我も長々と戦う気はなかった。
テイルメイスとは違い、重力下でも制限を受けないブレードプルーマがランドマン・ロディの四肢の関節を切り裂き、達磨状態となったランドマン・ロディは成す術もなく仰向けに倒れる。
「新しい装備は中々に良いな」
オメガバルバトスは右足の装輪ユニットを高速で回転させながら、ランドマン・ロディの胴体を踏みつける。
強化ユニットで脚力も強化され、装輪ユニットで装甲を削られていくランドマン・ロディはあっけなく胴体が踏みつぶされて破壊された。
「ルーク。こっちは片付いた」
「流石。ディラン達には別の部隊に向かわせた。次の情報を送るからすぐに始末してきて欲しい」
「了解」
アメリカ代表は今回は大我の他にルーク、リヴィエール、ディラン、ウィリアムの5人となっている。
すでに他の4隊の位置も補足しているため、ディランとウィリアムを向かわせているようだ。
大我もすぐに指定された隊の方に向かう。
バトルフィールドの市街地にはガンプラが移動するのに十分な深さのある運河が流れている。
攻撃側の隊の一つは水中用のガンプラを使い運河を移動して可能な限りタワーに接近する策を取った。
「良し、向こうも川を移動してくるとは思ってなかったようだな」
運河からグーンが顔を出して周囲を警戒する。
周囲に敵影はなく、安全を確認すると、グーンを先頭にズゴックE、ウロッゾ、カプール、アビスガンダムが出て来る。
「このまま、一気に本丸に……」
水中を移動してきた部隊がタワーを目指そうとしたとき、上空に影ができるとアビスガンダムがビームに撃ちぬかれて破壊される。
「なんだ!」
「水中を移動すれば見つからないというのは浅はかですよ」
上空からディランのZガンダム・シュテルンが下りて来る。
上空にはもう一機のガンプラ、ハンブラビボードが旋回している。
ウィリアムのハンブラビボードはハンムラビをベースに改造されている。
ハンムラビのMA形態をメインに使うことを前提にされ、その名が示す通り、ボード、サブフライトシステムとしての側面が強い。
脚部が大型化され、膝に高出力スラスターを内蔵し、MA形態での機動力を向上させ、脛の部分にガンプラが乗りやすいように改修されている。
ウイング部分も大型化され、下部には重力下でのホバーユニットが増設され、上部には取っ手がつけられており、SFSとして味方を素早く運搬することを役目としている。
装備は手持ちの火器は持たずベース機の腕部のビームガン兼ビームサーベルにテールランスの代わりにヴェイガン系のMSが装備しているビームライフルを流用したテールキャノンに変更され、背部のビームキャノンは外されている。
Zガンダム・シュテルンはハンムラビボードに乗りスローネジーニアスが補足した水中部隊の動きから上陸する場所を推測して先回りしていた。
「先手は取られたが、相手は1人。あのバルバトスじゃないんだ。囲んでしまえばこっちが有利!」
奇襲に動揺したもののすぐにZガンダム・シュテルンを取り囲む。
「ディランさん。こっちの援護は?」
「必要ないですよ。この程度、こちらで対処可能です」
背後に回り込んだウロッゾがシグルクローでとびかかる。
「確かに僕は大我やルーク、クロエと比べると操縦技術では劣る。しかし、それを自覚することで対応は可能です」
Zガンダム・シュテルンはウロッゾの攻撃をかわすとロングメガライフルを撃ちこんで破壊する。
ウロッゾの攻撃に合わせていたズゴックEの攻撃もかわすとロングメガライフルとシールドを捨てて両手にビームサーベルを抜くとミサイルで援護しようとしていたグーンを破壊する。
「動きが急に!」
Zガンダム・シュテルンの関節から青い炎が出て、動きが急によくなっていた。
Zガンダム・シュテルンに搭載されているナイトロシステムをディランが起動したからだ。
GBNではナイトロシステムを使うことで発動中はダイバーの反応速度を向上させる。
それによりディランは敵の動きに素早く反応し、対応することが可能となっている。
「ナイトロだと!」
「ふざけやがって!」
残っているズゴックEとカプールはZガンダム・シュテルンに集中砲火を浴びせるが、ナイトロで反応速度の上がっているディランはすべて見切り、ビームサーベルでズゴックEを撃破すると、すぐにカプールに接近してビームサーベルを突き刺す。
「ルーク。こちらの対処は完了しました」
「ご苦労さん。次を指定するからすぐに向かって欲しい」
「了解しました」
Zガンダム・シュテルンが高く飛び上がるとそれに合わせてハンムラビボードがZガンダム・シュテルンを載せて飛び立つ。
「これで2部隊、10機をしとめたことになる」
「ルーク、次は上空から来る部隊を叩いたほうがいいんじゃない?」
「確かに……とは言ったものの、大我もディランも別の部隊を叩きに行かせているからな……仕方がない」
残り3部隊ですでに大我とディランはそれぞれ指示を出して動いてもらっている。
上空からこちらに向かっている部隊はガンダムエアマスターを先頭にゾロ、ギャプラン、アヘッド、カオスガンダムの5機だ。
飛行しながらまっすぐにこちらに向かってきている。
「僕がやろう」
大我とディランを行かせると別の部隊を野放しにすることになる。
そのため、ルークは自分で何とかすることにした。
「トランザム、始動」
ソルエクシアはトランザムを起動してGNビッグキャノンとGNバズーカⅡを迫る上空部隊に向けて放つ。
トランザムで威力の上がった粒子ビームは上空の敵部隊が反応して散開するよりも早く部隊を飲み込み、跡形もなく消滅させた。
「これで良しと……」
上空からの部隊を消滅させている間にディランも敵部隊を交戦し、問題なく殲滅していた。
これで残る攻撃部隊は5機となった。
その5機の元には大我が向かっており、殲滅するのも時間の問題だろう。
「見つけた。あいつらで最後か」
大我の見つけた最後の部隊はガイアガンダム、グフ、グレイズシルト、スレイヴレイス、ディジェの5機だ。
オメガバルバトスのテイルメイスから内部に収納してある柄が出ると手持ちの武器となる。
テイルメイスは重力下では重くて扱いにくいため、内部に柄を収納しておくことで状況によっては手持ちのメイスとして使用することができる。
オメガバルバトスはビルを飛び越すとメイスを振り下ろしながらガイアガンダムを叩き潰した。
「敵襲か!」
大我の襲撃に残る4機は火器を構え、火器を持たないグレイズシルトはハルバートを構えてオメガバルバトスに接近する。
「くらえ!」
グレイズシルトのハルバートを左腕のチェーンソーブレードで受け止めると、チェーンソーブレードの刃が高速で動き、ハルバートを粉砕し、オメガバルバトスはメイスを振り落とす。
何とかシールドで受け止めようとするが、受け止めることもできるはずもなく、一撃でシールドごとグレイズシルトは粉砕される。
「後3機か」
オメガバルバトスはグフの肩にアンカーブレードを打ち込むと引き寄せながら胸部の大口径バルカンを打ち込む。
まともに防御態勢を取ることもなく、グフはハチの巣となる。
「後2機」
「ちくしょう! 撤退だ! 一度引いて体制を……」
ディジェはクレイバズーカをスレイヴレイスはビームライフルを撃ってオメガバルバトスから逃げようと試みる。
しかし、オメガバルバトスは装輪ユニットの機動力でかわしながら飛び上がり、ディジェの背後を取るとディジェが振り返るよりも早くメイスを振るい、ディジェはビルに叩きつけられて粉々になる。
残るスレイヴレイスはオメガバルバトスが狙いをディジェに向けた時点で一目散に逃亡を始めていた。
「逃がすかよ。お前でラストだ」
オメガバルバトスはメイスを逆手に持つと本体と繋がっているワイヤーを切り離すとスレイヴレイスの背中目掛けて力の限り投擲する。
メイスについているスラスターで更に加速するとメイスはスレイヴレイスの背中に直撃して破壊する。
それによりアメリカ代表は攻撃側の25機をすべて撃墜したことで勝利となった。
日本代表のバトルフィールドは巨大な島だった。
中央には巨大な山がそびえたち、周囲にはガンプラが隠れるには十分な大きさの森が配置されている。
中央の山の山頂に到達することが攻撃側の勝利条件だ。
日本代表はそれぞれ、貴音と諒真の2人と史郎、源之助、レオの3人が別行動を行い、他の代表チームと合流しながら山頂を目指すことにした。
幸いにも他の代表チームも日本代表チームと足並みをそろえることには異論はなく、全チームとまではいかないが、友軍として合流することができた。
「敵が来たら俺が前衛をやるからアンタ達は援護をしてくれればいい」
レオは合流した他のチームに敵と遭遇した時の対応を指示する。
合流したガンプラは∀ガンダム、V2アサルトバスター、ガンダムDX、キュベレイ、ジェスタキャノンの5機でレオ達を含めれば8機の隊になっている。
「相手は火力と機動力に長けている。油断するなよ」
隊の全体指揮は源之助が執り、史郎がサポートをしている。
目的の山に近づき警戒を強める。
すると各機のコックピットで警戒のアラートが鳴り響く。
「なんだ?」
「来るぞ!」
レオのネビュラアストレイは上空に向けてレールバズーカを撃つ。
「上からか!」
上空から多数のミサイルが山を中心に周囲の森に降り注ぐ。
それを地上から持てる火器をすべて使って迎撃する。
「ツインサテライトで一掃できないのかよ!」
「無理だ! チャージが間に合わない!」
ミサイルをすべて迎撃することができず、ミサイルが森を焼いていく。
「ミサイルの着弾を確認」
山頂ではドイツ代表チームが陣を構えていた。
チームの紅一点でありドイツ代表を率いているヘルマ・ディートリッヒのガンプラ、ガンダムZZフォートレスを中心にバックパックには大型ミサイルポッドをGNスナイパーライフルを装備した最終決戦仕様のガンダムサバーニャ、Gファルコンとドッキングしたガンダムレオパルトデストロイ、イーゲル装備のミサイルポッドとクローラーユニットを増設し両腕に2連装ビームガトリングを装備したガンダムヘビーアームズ改、アサルトライフル2丁に四連式ロケットランチャーを装備した漏影の5機だ。
隊長機のヘルマのガンダムZZフォートレスはフルアーマーZZガンダムをベースにしたガンプラだ。
下半身はガンダムAGE-3 フォートレスのものをベースにしたホバーユニットで全身に火器が増設されている。
ZZガンダムの代名詞ともいえるハイメガキャノンは額以外にも両肩の装甲と腹部、両足の6門に増設され、両腕部にはAGE-3 フォートレスのシグマシスキャノンを流用したダブルメガキャノンが装備されている。
バックパックのハイパービームサーベルはビームサーベルとしての機能をなくして4本を1つにまとめたハイパービームガトリングキャノンを2基装備し、バックパック下部には脇の下から前方に向けて使うレールガンが2基が装備されている。
両腕は手持ちの火器は装備されていないが、両手は大型化され指にビームガンが内臓され、ドーベンウルフのように腕部を有線で射出して使えるようにもなっている。
サイドアーマーにはビームキャノン、リアアーマーにはインコムが4基装備され、両足のサイドにはショートバレルのガトリング砲、バックパックと追加装甲にはミサイル、全身にはビームを打ち出す機銃が装備されるなど、全身に火器を装備したまさに要塞ともいえるガンプラだ。
「ブルーノは上空より爆撃を続け、敵を炙り出せ。ドミニクと私でミサイルの迎撃のあった地点を探り生存者を始末する。フリッツとルッツは拠点防衛でフリッツは狙撃支援、ルッツはフリッツの護衛をしろ」
ヘルマは素早く指示を出す。
今のミサイル攻撃は無差別に攻撃したが、自身の身を守るために森の中からミサイルを迎撃させて相手の位置を特定するためのものだ。
向こうも身を守るためにミサイルを迎撃したことでヘルマ達には敵の潜伏している場所が大まかにだが把握できた。
次の手をしてブルーノのレオパルトデストロイが上空から爆撃をして、敵を炙り出しながらドミニクのヘビーアームズ改とヘルマのZZフォートレスがミサイルの迎撃のあった場所を中心に生き残った敵を殲滅、拠点の防衛はフリッツのサバーニャとルッツの漏影が行う。
ドイツ代表はヘルマの指示に一切の意を唱えることもなく、それぞれの役目を理解している。
ヘルマを中心に統率の取れた戦いもドイツ代表の強みだ。
ヘルマの指示に従いレオパルトデストロイは飛行しながら森にミサイルを撃ち込みながら旋回を始める。
「行くぞ」
ZZフォートレスとヘビーアームズ改もそれぞれ、迎撃のあった地点を目指す。
3機が出撃し、サバーニャが敵の位置を探るために使ったミサイルポッドをパージするとGNホルスタービットを展開して狙撃体制をとる。
残る漏影もアサルトライフルを構え敵の襲撃に備えた。
「いきなりやってくれたな……生き残りはどれだけいる?」
「俺は無事だ」
「僕も何とかね」
ドイツ代表のミサイル攻撃から源之助の闘魂デュエルと史郎のガンダムAGE-3 オリジン、レオのガンダムネビュラアストレイは無事のようだがAGE-3 オリジンはダブルシグマシスライフルを失っている。
合流したほかのチームのガンプラはキュベレイのみが無事で他はミサイル攻撃でやられているようだ。
「4機か……すぐに離脱するぞ。奴らの狙いは恐らく……」
「そうもいかないようだ」
源之助も敵がただの無差別攻撃を行っただけではなく、迎撃させることで位置を特定することが目的だと気づいている。
ミサイルを迎撃したことでこちらの位置を特定されたとなると、次はそこを集中砲火するか敵が来るかのどちらかだ。
源之助の危惧したようにヘビーアームズ改がミサイルを撃って山の斜面を下りて来る。
ヘビーアームズ改のミサイルはキュベレイに直撃する。
「味方は俺たちだけか……どうする? 向こうは隊長機じゃないようだけど?」
「迎え撃つしかあるまい」
闘魂デュエルはヘビーアームズ改にビームライフルを撃つ。
ヘビーアームズは飛び上がり回避すると地面に着地して全方位にミサイルを撃つ。
「そうそう着地は狙わせてはくれないか!」
ネビュラアストレイはヘビーアームズ改にレールバズーカを撃つが、ミサイルの迎撃で弾数をほとんど使い切りすぐに弾切れとなり、レールバズーカを捨ててビームライフルに持ち帰る。
「敵は3機か……問題ない。ここで殲滅する」
ヘビーアームズ改は両腕の2連装ビームガトリングを闘魂デュエルとAGE-3 オリジンに向けて撃ちながら胸部のガトリング砲でネビュラアストレイを狙う。
「これだけ弾幕を張られると近づけないな」
「だが、奴には接近戦用の装備はない。接近戦を仕掛ける。沖田は俺に合わせろ」
「わかった。やってみる」
闘魂デュエルは両肩のミサイルを撃ち、AGE-3 オリジンもバックパックのミサイルを撃つ。
「こざかしい」
ヘビーアームズ改は両腕の2連装ビームガトリングでミサイルをすべて撃ち落とす。
「今だ!」
ヘビーアームズ改の両サイドから闘魂デュエルとAGE-3 オリジンがビームサーベルで接近戦を仕掛ける。
すぐに2連装ビームガトリングで対応しようとするが、ネビュラアストレイがビームライフルを撃って注意を引くと挟み込んだ2機がビームサーベルを振るう。
それをヘビーアームズ改は2連装ビームガトリングのシールド部分で受け止める。
「接近戦を仕掛ければ勝てると思ったか? 甘いんだよ」
ヘビーアームズ改は両腕の2連装ビームガトリングをパージする。
ヘビーアームズ改の両腕にはアーミーナイフが装備されている。
アーミーナイフを闘魂デュエルに振るい、闘魂デュエルが後方に回避すると、AGE-3 オリジンを蹴り飛ばす。
「だが、これ以上の戦闘の継続はリスクが高い。敵の戦力は十分に削り、残りの戦力も把握した。ここは一度後退し、隊長の指示を仰ぐか……」
両腕の2連装ビームガトリングはパージし、ミサイルやガトリング砲の残弾もあまり多いとは言えない。
数も向こうの方が多く、単機でこれ以上の戦闘行為は返り討ちに合うリスクがある。
ここで無理に戦う必要もなく、敵の戦力もはかれた。
ドミニクはこれ以上の戦闘は必要ないと判断して一時後退をはかろうとする。
しかし、ヘビーアームズ改の後方にはネビュラアストレイが回り込んでいた。
「ドンピシャだ!」
「何!」
源之助と史郎はただ挟み撃ちをしたわけではない。
もしも、挟撃に失敗した後に敵が大勢を整えるか後退するかするときに退避コースを限定させていた。
そこにレオがビームライフルを撃って注意を引いた後に自身への注意が薄れたところを見計らい先回りをしていたのだ。
ネビュラアストレイはヘビーアームズ改の背後からシールドの先端から出したビームソードを振るう。
ヘビーアームズ改は胴体カラオケ真っ二つに両断されてた。
「あちらさんはずいぶんと派手に爆撃してくれるな」
別動隊の貴音と涼真は木々に身を潜めて上空から森を爆撃しているレオパルトデストロイを見上げている。
諒真も敵の狙いが位置を特定することだということには気づいている。
その後に集中砲火や大火力で薙ぎ払ってこない辺り、向こうは直接叩きに来る可能性が高い。
ならば、無駄に動くよりも敵を待ち伏せして叩くことを選んだ。
近くには貴音たちと合流したガンプラであるガンイージ、ガンタンク、バクゥ、ノブッシが潜んでいる。
元々はもう少し数がいたが、先ほどのミサイル攻撃で数が減らされている。
「まだこっちまでは爆撃はなさそうだけど……どうするかな」
「連中の居残りにはスナイパーもいるぽいよ。ここからでも丸見えだし」
「恐らくはああやってスナイパーがいることを見せて動きを制限して時間を稼ぐつもりなんだよ。時間制限は向こうの味方だからな」
隠れている位置から山頂のサバーニャがGNスナイパーライフルを構えて狙撃体制をとっていることが分かる。
周囲にはGNホルスタービットで固められており、涼真のところから狙撃しても致命傷を与えることは難しく、逆に自分たちの位置を知らせてしまう。
それが向こうの狙いなのだろう。
不用意に攻撃してくれば位置を把握でき、攻撃しなくてもサバーニャに狙撃されないように慎重にならざる負えない。
そして、時間を使えば残り時間も減り、制限時間が尽きると防衛側の勝利となる。
「さて……どうするかな」
別れた源之助たちの方の状況は涼真達には分からない。
上手く足並みをそろえて仕掛けたいところだが、この状況ではそれも難しい。
諒真がどうすべきか考えていると高出力のビームが横切る。
「攻撃してきた!」
「落ち着け。適当に撃っただけだ」
このビームによりガンタンクとノブッシが巻き込まれて消滅した。
攻撃は出鱈目に撃って炙り出すものだろうと涼真は考えて無駄に動かないようにする。
すると山からZZフォートレスが下りて来る。
「ZZ……大将自らお出ましか……コイツは最悪と取るかチャンスと取るか……」
「チャンスっしょ。ここであれをしとめれば状況を変えることができるし」
ヘルマがドイツ代表の要であることは確実でそう簡単に仕留めれる相手ではない。
だが、ここで仕留めてしまえば勝利に大きく近づく。
この状況は最悪の事態なのか、流れを変える千載一遇のチャンスなのか涼真は決めあぐねている。
ZZフォートレスは右腕のダブルメガキャノンで森を薙ぎ払う。
「やっぱり、向こうはこっちの位置を完全には把握してないな」
「じゃぁチャンスじゃない」
「だな……いくら大火力でも奇襲で仕掛けて一気に決めれば何とかなるか?」
今の攻撃は明らかにこちらを狙ったものではなく、この辺りに敵が潜伏していることは分かっていても、位置までは完全には把握していないからこその攻撃だ。
そうなれば、うまく奇襲をかけて一気に攻めれば倒すチャンスも出て来る。
「貴音。仕掛けるぞ」
「がってん!」
諒真と貴音は息を殺してチャンスを待つ。
しかし、いつZZフォートレスの砲門が自分に向けられて葬られるのかという恐怖心に負けて、バクゥが飛び出す。
ビームサーベルを出してバクゥはZZフォートレスに飛び掛かる。
「おい! まだ!」
諒真の静止も空しくバクゥはZZフォートレスのダブルメガキャノンによって吹き飛ばされた。
「やばいな。仕掛けるしかないぞ!」
バクゥが飛び出したことで向こうもこの辺りにまだ敵がいる可能性を考慮して周囲を大火力で吹き飛ばしかねない。
そうなってしまえば防ぐ手段もない。
諒真のデュナメスXペストを先頭に残るキマリス・トライデントとガンイージも仕掛ける。
「3機か……まぁいいだろう」
ZZフォートレスはミサイルを多数撃ち込む。
3機は迎撃しながらZZフォートレスに接近しようとする。
だが、山頂からサバーニャが狙撃してデュナメスXペストの足を止めさせる。
そこをヘルマは逃すことはない。
ZZフォートレスのハイパービームガトリングキャノンをデュナメスXペストに向ける。
「諒ちゃん!」
「貴音!」
ZZフォートレスのハイパービームガトリングキャノンをまともに受けたデュナメスXペストは成す術もなく破壊された。
諒真までやられ、ガンイージのダイバーは足を止めたところをサバーニャの狙撃で撃墜される。
しかし、諒真がやられかけて一度は諒真のフォローに入ろうとしたが、貴音は諒真の声ですぐさま切り替えた。
諒真もあの状況では自分を助ける必要はないと貴音の名を叫び、貴音もすぐにその意図に気づいた。
キマリス・トライデントは脚部をトルーパー形態に変形させて突撃する。
キマリス・トライデントのデストロイヤーランスの突きをZZフォートレスはホバーで交代しながらかわす。
「逃がさない! アンタはここで仕留める!」
キマリス・トライデントは加速して距離を詰めると再び、デストロイヤーランスを突き出すが、ZZフォートレスはダブルメガキャノンの砲身で反らす。
攻撃を反らしたZZフォートレスは腹部のハイメガキャノンを至近距離から撃つが、キマリス・トライデントは後方に飛びのいてかわす。
距離をとるとZZフォートレスは両肩のハイメガキャノンで追撃する。
それをデストロイヤーランスで受けるが、ランスは耐え切れずに破壊される。
「まだ!」
キマリス・トライデントはシールドのグングニルを持つと投擲する。
グングニルは額のハイメガキャノンで撃ち落とされるが、その間にキマリス・ドライデントはキマリスサーベルを抜いて接近する。
「とことん食らいついてやるわよ!」
「なるほど、妹の方もやるな」
「カッチーン! そういう言い方むかつくんだけど!」
キマリスサーベルをダブルメガキャノンの砲身で受け止めるとZZフォートレスは膝のハイメガキャノンをキマリス・トライデントに向けて放つ。
「ちょ!」
キマリス・トライデントは至近距離から肩のミサイルを撃ち込み後退する。
ミサイルは機銃で撃ち落とされて直撃には至らない。
キマリストライデントはドリルランスを持って突撃する。
距離を取ろうとするZZフォートレスをキマリス・トライデントが追撃して距離を取らせない。
「姉の方もしつこい」
「だ・か・ら! 妹とか姉と喧嘩売ってんでしょ!」
貴音は基本的に珠樹の妹か大我の姉という認識が昔から強い。
それは珠樹は母麗子のスタイルを大我は父大護のスタイルを受け継いでいるが、貴音にはそのどちらも完全に受け継いでいるとは言えない。
だからこそ、珠樹の妹や大我の姉と見られそんな扱いは気に入らない。
キマリス・トライデントのドリルランスの突きをZZフォートレスはかわす。
勢い余ったキマリス・ドライデントはZZフォートレスから離れてしまう。
すぐに反転するが、そこにわずかな隙が生まれる。
そこにZZフォートレスはミサイルを撃ち込む。
ミサイルはキマリス・トライデントに直撃する。
「手こずったが片付いたか」
「まだって言ってんでしょうが!」
爆風の中からミサイルの直撃を受けたキマリス・トライデントが飛び出してくる。
ミサイルの直撃でボロボロになり、左腕を肘から下を失っている。
「まだ来るか」
ZZフォートレスはハイパービームガトリングキャノンを撃ちながら後退する。
「逃げんな!」
ビームの直撃を受けながらもキマリス・トライデントはバックパックのブースターを全開にして加速する。
「ちぃ!」
ZZフォートレスは腹部のハイメガキャノンを撃とうとする。
だが、キマリス・トライデントはリアアーマーの機雷を射出すると機雷を爆破させてリアアーマーを吹き飛ばされながらもさらに加速してドリルランスを突き出す。
完全に間合いに入られて振り切れないZZフォートレスの左肩のハイメガキャノンにドリルランスが突き刺さる。
「……真ん中、舐めんな!」
左肩に突き刺さったドリルランスの刃が回転してZZフォートレスの左肩を腕ごと吹き飛ばす。
それと同時に腹部のハイメガキャノンによってキマリス・トライデントの下半身が吹き飛ぶ。
「左腕を持っていかれてか」
「隊長! ドミニクが……」
上空から爆撃していたレオパルトデストロイがヘビーアームズ改がやられたことをヘルマに伝えに来たが、ヘルマのZZフォートレスの左腕が破壊されていることに驚き言葉に詰まる。
「そうか。ならばそちらは私が対処する。ブルーノは拠点に戻り守りを固めろ」
「ですが、隊長のガンプラも」
「問題ない。優先すべきは拠点の防衛だ」
このバトルにおいて攻撃側のガンプラを全滅させる必要性はない。
現状で最優先すべきことは敵の始末ではなく、拠点の防衛だ。
拠点さえ守り抜けば相手の残りの数は関係ない。
損傷しているZZフォートレスを下げるよりも弾薬しか消費していないレオパルトデストロイを戻した方が守りは盤石になるとヘルマは判断した。
「分かりました。隊長もご無事で」
ブルーノもヘルマの判断に従い拠点の防衛に戻っていく。
「藤代貴音か……」
ヘルマそうつぶやくとヘビーアームズ改がやられた地点に向かう。
ヘビーアームズ改を破り、レオ達は3機で山に接近している。
あのままあの場に留まれば敵の攻撃が来る危険性もあり、時間制限もあるため、少しでも目的地に近づく必要があった。
その道中で他のチームのガンプラと合流できれば良かったのだが、そこまでうまい話はなかった。
「僕たち以外に後、どれだけ残っているんだろうね」
「さぁな。あれだけ派手に爆撃を受けてはな」
「この際、俺たちだけで何とかしないとダメかもな」
事前に他のチームのことは当てにしないようにも言われている。
攻撃側の残存数が分からない以上は最悪の事態として、自分たち以外はすでに全滅していることも視野に入れて動かなくてはいけない。
「見つけたぞ」
3機の足を止めるようにビームが横切る。
そこには左腕を失ったZZフォートレスが砲門を3機に向けていた。
額のハイメガキャノンを撃ち、3機は散開する。
「ZZ!」
「片腕がないってことはすでに一戦交えて来たってとこだが、他にアイツに手傷を負わせられるのは」
攻撃側25機の中でヘルマを相手にまともに戦える相手はそうはいない。
レオ以外にいるとしたら別動隊の貴音や諒真くらいだ。
そして、手傷を負いながらも自分たちの目の前にいるということはヘルマが撃退されたか、敵を殲滅しかたかのどちらだろう。
片腕を失っているもののZZフォートレスにはそれ以外に目立った損傷はない。
この状況で撃退されてきたとは考えにくい。
となればヘルマは貴音と諒真と戦い2人を撃破してきたと考えなければならない。
「手負いとはいえ貴様らを始末することはできる」
ダブルメガキャノンを撃ち、闘魂デュエルはビームライフルで、AGE-3 オリジンは腕部のドッズガンで応戦する。
ZZフォートレスは下がりながら攻撃を回避すると、5門のハイメガキャノンを別々の方向に向けて放ち、接近させないようにする。
「なんて火力なんだ!」
「これまでのバトルで見てきたが、実際に戦ってみると相当だな」
「けど、片腕がないんだ。やりようはある」
ネビュラアストレイは腕のない左側から接近するとスレッジハンマーを振るう。
「甘いな」
ZZフォートレスは飛び上がって避けると下に向けて脚部のガトリング砲を撃つ。
ネビュラアストレイはシールドで身を守りながら後退する。
飛び上がったZZフォートレスにAGE-3 オリジンは額のハイメガシグマシスキャノンを撃ち込む。
「似せただけの紛い物の攻撃など」
ZZフォートレスは額のハイメガキャノンで応戦する。
2機のビームがぶつかり合うが、ZZフォートレスのビームが打ち勝ち、AGE-3 オリジンの頭部を破壊する。
そこに闘魂デュエルがビームライフルを撃ちながら間に入る。
「大丈夫か?」
「たかがメインカメラをやられただけだとは言いたいんだけどね……まだ何とかやれそう」
ZZフォートレスは全身の機銃を撃ちながら着地を狙わせないようにする。
そのビームが闘魂デュエルのビームライフルをかすめて爆発する。
「くっ!」
闘魂デュエルは爆発前にビームライフルを捨てて爆風からシールドで身を守るとリアアーマーの大型高周波ブレードを抜いて構える。
その間にネビュラアストレイはZZフォートレスの背後に回り込んでいるが、バックパックのレールガンを後ろに向けて放ちけん制される。
「ちっ! 片腕がないけど、死角もないのかよ」
ネビュラアストレイはドラグーンを射出するが、ハイパービームガトリングキャノンで弾幕を張られてほとんどが撃墜される。
「まだ諦めないか。残り時間も少ない。一気に決めさせてもらう」
ZZフォートレスは額、右肩、膝のハイメガキャノンのビームを収束して放つ。
超高出力のビームは射線上の物を容赦なく消滅させていく。
「まずい!」
闘魂デュエルをネビュラアストレイはすぐに射線上から退避しようする。
損傷していたAGE-3 オリジンだけは動きが遅れてビームに飲み込まれる。
ZZフォートレスはビームを掃射しながら砲身をずらして射線上のものを消滅させていく。
「くっ! 逃げ切れんか!」
闘魂デュエルは最大速度でビームから逃れようとしたが、逃げ切れずに片足がビームに触れて体制を崩す。
完全に飲み込まれる前にビームの掃射が終わり、闘魂デュエルは片足を失い、余波でバックパックも破壊されて倒れる。
すぐに状態を確認する。
幸いにも撃墜とまではいかなかったが、余波のダメージはバックパック以外にも至る所にダメージを受けている。
「おいおい……冗談だろ」
ZZフォートレスの砲撃は射線上の森だけでなく島そのもの抉り消滅させていた。
レオも第一試合で皇帝アルゴスのGバシレウスの砲撃を見ている。
その砲撃も相当な威力だったが、ZZフォートレスの砲撃はそれ以上だ。
レオは源之助とは反対方向に逃げたため、砲撃のダメージはない。
ZZフォートレスの砲撃に唖然するレオにヘルマは容赦ない追撃を加える。
ダブルメガキャノンをネビュラアストレイは回避する。
「あれだけの砲撃をしておいて威力が落ちないのかよ」
ダブルメガキャノンの威力はレオの言うように落ちてはいなかった。
大火力を持つガンプラの場合、最大火力を使えば一定時間火力が低下することが多い。
だが、ヘルマのZZフォートレスの場合、最大火力は全6門のハイメガキャノンに両腕のダブルメガキャノン、両肩のハイパービームガトリングキャノン、腰のビームキャノン、両手の指のビーム砲10門、インコム4基の計28門ので行われ、最大火力ならばこの島の一つや二つは容易に消し飛ばすことができる。
そのため、ハイメガキャノン5門で撃つ分にはパワーダウンを起こすこともない。
「皇帝といいコイツといい。俺らの世代にはバケモンが多すぎるだろ」
「この火力を見てもなお闘志を失わぬというのか、藤代貴音といい日本がここまで勝ち抜いてきたのはマグレというわけではないということか。だが」
そこで時間切れのアナウンスが入る。
制限時間が無くなったことで防御側の勝利となる。
防衛側の6つのチームのうち、アメリカ、ドイツの他のギリシャ、ロシア、イギリスの5チームは順当に勝利したが、1つだけ攻撃側の勝利となり、全体順位に変動が起きた。
上位5チームはこの時点で第六試合の勝敗にかかわらず決勝トーナメントに出場が確定し、日本はこの変動により、出場県内から外れてしまうことになる。
次の第六試合の結果によっては日本代表チームは決勝トーナメントに進むことができなくなるのだった。