決勝トーナメント一回戦第一試合のアメリカVSロシアの試合はアメリカの勝利で終わった。
そのバトルを見ていた日本代表はバトルが終わってすぐには言葉が出なかった。
「あんなの反則だろ」
一同が黙り込む中、諒真がぽつりとこぼす。
大我のオメガバルバトスは近接戦闘でのパワーと防御力に秀でたガンプラだったが、大会が進む中で強化されていき、パワーと防御力に加えて圧倒的な火力を得た。
パワーと防御力だけならやりようもあったが、火力に複数の特殊機能まで持っているオメガバルバトス・アステールはもはや手に負える相手とは思えない。
「大我の奴、何と戦う気なんだよ。あれだけの武装でさ」
「例え仲間が全滅しても自分一人で全ての敵を相手にして勝利する。自分さえ負けなければチームが負けることはない。あのガンプラはアメリカ代表を象徴するガンプラというわけね」
麗子がオメガバルバトス・アステールを分析する。
アメリカ代表にとって大我は絶対的なエースだ。
ロシアとの戦いに単騎で出たのは大我にならチームの命運を任せられ、仮に大我がオメガバルバトス・アステールを使いこなせずに負けたとしても構わない。
大我とともにチームが心中する覚悟があるからこそ、初戦を大我一人で戦わせたのであろう。
そして、大我は仲間の期待に応えてオメガバルバトス・アステールを使いこなして勝利した。
次のバトルはアメリカもフルメンバーで来ることは確実で、このバトルを乗り越えたアメリカは今まで以上の強敵となるだろう。
「みんな、アメリカ代表のことは忘れなさい。どのみち、私たちは初戦を勝たなければアメリカと戦うこともないのだから」
第一試合のバトルのせいでメンバーの意識は大我にばかり向かっていたが、アメリカと戦うには日本も第一試合を勝ちぬかなければならない。
そして、日本の最初の相手は強敵のドイツ代表チームだ。
ドイツ代表には予選第五試合で負けている相手でもある。
今回はお互いにフルメンバーでのバトルとなり、そうやすやすとは勝たせてはもらえない。
大我にばかり意識を向けていてはドイツには到底勝てない。
「気を引き締めなさい。今日のバトルに勝たなければ次はないのよ」
麗子の言葉で日本代表は気を引き締める。
麗子はこれまでのドイツ代表のバトルのデータを踏まえて初戦の作戦を伝えて、各々はドイツとの戦いに向けての最後の準備を始める。
初戦を勝利したアメリカ代表にとっても次の第二試合は注目すべき一戦だ。
このバトルの勝者が明後日の二回戦の相手となるからだ。
アメリカ代表がブリーフィングルームでバトルが始まるのを待つ中、チームの中でリヴィエールだけがこの場にいない。
一回戦のバトルでの大我のバトルには満足した様子だが、元々シド丸を制作する際にオメガバルバトスの方にも手を加えたかったが、時間の都合上シド丸を制作するだけしかできなかった。
一回戦を勝ち抜いたことで次のバトルは明後日になるため、明日丸一日を改修作業に使えると今からオメガバルバトスを弄っている。
「どっちが勝つと思う?」
「そりゃドイツだろ」
「日本もやるようですけど相手が悪い」
バトル開始時間が近づく中でクロエが話題として切り出す。
ジェイクとディランは迷わず答える。
「お前ら諒ちゃんと珠ちゃんに良いようにやられたからだろ」
大我の突っ込みにジェイクとディランは返す言葉もない。
これまでの実績的にドイツの方が勝つと予想することは当たり前だが、二人の場合は予選第四試合で諒真と珠樹にやられているのでドイツに勝って欲しいという願望もあるのだろう。
「なら大我はどっちが勝つと思うのよ?」
「決まってんだろ。強い方が勝つ」
大我はそう言い切る。
大我にとってはドイツが勝とうが日本が勝とうがそれは些細なことに過ぎない。
ドイツはギリシャに並ぶ優勝候補の一角だが、日本が勝てば日本にはそれだけの力があるということだ。
どちらが勝ち進んでいたとしても相手にとっては不足はない。
このバトルの勝者を大我がぶっ潰して決勝戦でギリシャのアルゴスを倒して優勝する。
「あ、そう」
「どっちが勝っても俺がぶっ潰すだけだ」
大我の言うように日本とドイツのどちらが勝ったところで、アメリカ代表は負ける気はない。
そして、日本代表とドイツ代表のバトルが始まる。
第二試合のバトルフィールドは宇宙空間でフィールド内にはいくつかのコロニーが配置されたステージだ。
「各機、一度は勝利したチームだが油断はするなよ」
バトルが開始されヘルマは改めて仲間の気を引き締めさせる。
日本代表チームとは一度は勝利しているため、少なからず油断が生まれやすい。
ギリギリとは言え日本も予選を勝ち抜いてきたチームである以上は禁物だ。
ドイツのガンプラは以前のバトルで出たガンダムZZフォートレス、ガンダムヘビーアームズ、ガンダムレオパルトデストロイ、ガンダムサバーニャ、漏影の他にローエングリンランチャーを装備したアストレイブルーフレームセカンドL、下半身をオービタルの物に替えたガンダムAGE-3 フォートレス、両肩にアビスのシールドを装備したカオスガンダム、ビームと実弾の2種類のカートリッチをつけているNGNバズーカと両肩にGNシールドと増加粒子タンクを装備したジンクスⅢ、ガンダム試作2号機で編成されている。
「……来るぞ!」
バトルが開始されると同時にコロニーとコロニーの間で一瞬光ものを見つけたヘルマが仲間に警告を出すが、遅くレオパルドデストロイの上半身が吹き飛ぶ。
ドイツ代表は浮足立つことなくすぐさま散開するが、ブルーフレームセカンドLの右半分とガンダム試作2号機のシールドが吹き飛ぶ。
「狙撃か。向こうにはこの距離で正確に狙えるスナイパーがいるのか」
日本代表は流れを引き込むためにバトル開始早々に千鶴のガンダムグシオンリベイクフルシティシューティングスターによる狙撃で先手を取った。
千鶴の狙撃のすぐあとに珠樹のウイングガンダムゼロエトワールのツインバスターライフルの最大出力のビームがドイツ代表チームを襲う。
手負いにセカンドLと試作2号機はよけきれずにビームに飲み込まれた。
「開始早々3機もやられたか。やるじゃないか日本代表も」
「どうする?」
日本の先手でドイツは3機撃墜されている。
幸いにも撃墜された3機の中にフラッグ機はいない。
「あの火力と狙撃だ。下手に集まっていれば砲撃で散らされて確固に狙い打たれるか……火力の主は藤代珠樹のゼロカスタムだろう。ゼロカスタムは私がやる。フリッツは後方で待機し狙撃支援だ。間違っても連中の狙撃兵と張り合おうとするなよ。狙撃の腕では間違いなくお前よりも上だ」
先手を取られたものの、ヘルマに動揺はない。
元々いくつかの策を考えており、その中に相手に先手を取られて自軍の戦力を削られることも考えている。
「各自散開して敵の戦力を分散させろ」
纏まっていては珠樹のウイングガンダムゼロエトワールの砲撃と千鶴のグシオンシューティングスターの良い的になる。
それを避けるためにヘルマはあえて散開して敵の戦力を分散させることにした。
「だが、相手の数次第では無理に単騎では戦うな。常に狙撃と砲撃に注意しつつ友軍とすぐにでも合流できるように位置を把握しろ」
ヘルマの指示が終わると、ドイツ代表はすぐさま行動に入る。
それを確認したヘルマは足を止めると全てのハイメガキャノンを同時に発射する。
「敵3機撃破」
「終わんないってことは全部外れかぁ……ちーちゃん。ZZは仕留めてないよね?」
「ZZは狙い辛い場所にいましたから」
日本代表の初手の狙撃は上手く行った。
それでバトルが終わってくれればよかったがそこまで上手くはいかない。
狙撃前に貴音はヘルマのZZフォートレスは自分でリベンジするから狙うなと言い。千鶴もヘルマは位置的に狙いづらいこともあり初手の狙撃では狙わなかった。
最初は予定通りに行き、一息つく間もなくZZフォートレスのビームが飛んでくる。
ビームは狙撃してきた方向を狙っており、すでに千鶴も移動しているため、射線上のコロニーを破壊するだけに留まった。
「うぁ相変わらずの出鱈目な火力してるな」
「でも当たらなければどうということはない。皆、作戦通りによろしく」
ZZフォートレスの火力は以前にも見ているが、何度見ても恐ろしいが以前のように何の策もない訳ではない。
「了解、千鶴にはビーム一つ掠らせないからな」
諒真のガンダムデュナメスXペストが足を止めてGNシールドビットを展開して千鶴を守るようにする。
「行くぞ。ダイモン」
「あいよ」
光一郎のガンダムAGE-2 マッハはストライダー形態に変形すると源之助の闘魂デュエルを載せて加速する。
「部長! 俺たちも負けてられませんよ!」
「神君、競争じゃないんだからね」
龍牙のバーニングドラゴンデスティニーと史郎のガンダムAGE-3 オリジンも2機で離れていく。
「俺たちもいくぞ」
「了解っす」
右京のガンダムX斬月とレオのネビュラアストレイも加速する。
日本代表は以前のバトルでヘルマ以外は単騎で挑んでも決して勝てない相手ではないことは分かっている。
初手の狙撃に成功すれば向こうは砲撃と狙撃を警戒して戦力を分散させる可能性が高いよ読み、各個撃破を狙っている。
それぞれが日本代表メンバーになる前からのチームメイトであるため、連携も容易で集まって戦闘をすればZZフォートレスの火力で一掃されないようにするためでもある。
「みんな気合十分だね。まぁ私もなんだけどね!」
「さっきのビームは炙り出しと同時に誘ってる」
「なら、お誘いに乗らない手はないよね」
コロニーを破壊するほどの火力を出せるのはドイツ代表の中でもヘルマくらいだ。
あの砲撃は狙撃手への攻撃の他に大火力による脅し、そして自分の位置を教えることで挑発しているのだろう。
珠樹は以前のバトルで負けたことを根に持っているため、今回のバトルでヘルマは絶対に自分が倒すと息巻いている。
「はじめからそのつもり」
「よっしゃ! なら藤代姉妹の真の実力を見せに行くわよ!」
貴音のガンダムキマリストライデントは一気に加速し、珠樹のウイングガンダムゼロエトワールもそれに続く。
すぐに千鶴も次の狙撃ポイントに移動し、諒真がその護衛につく。
今回のバトルのフラッグ機は千鶴のグシオンシューティングスターとしているため、万が一にも敵と遭遇したときに単騎では厳しいと麗子は判断した。
諒真のデュナメスXペストもGNロングキャノンがあるため、後方での支援を行っても不自然にはならない。
日本の先制攻撃から始まり、日本とドイツは本格的に交戦が開始される。
双方の一手から少し時間が経つと日本とドイツのガンプラが本格的に交戦を始める。
最初に敵と遭遇したのはストライダー形態で先陣を切ったガンダムAGE-2 マッハと闘魂デュエルの2機で向こうも先行してきたAGE-3 フォートレスだ。
「AGE-2! 日本のチャンプか!」
AGE-3 フォートレスはシグマシスキャノンを連射してAGE-2 マッハを攻撃する。
AGE-2 マッハは闘魂デュエルを下ろして加速してかわす。
「ちっ!」
AGE-3 フォートレスは砲撃を中止してAGE-2 マッハを追うもストライダー形態のAGE-2 マッハには追い付けない。
「俺を忘れてもらっては困るな」
闘魂デュエルがビームライフルを撃ちながらミサイルを撃つ。
AGE-3 フォートレスはシグマシスキャノンでミサイルを迎撃する。
「こっちがお留守だぞ」
ミサイルを迎撃している間にAGE-2 マッハはMS形態に変形するとハイパードッズランサーをランスモードに切り替えて接近していた。
AGE-2 マッハの一撃はAGE-3 フォートレスの左肩に突き刺さる。
そのまま、AGE-3 フォートレスの左腕ごと引きちぎると、左腕の装甲からビームサーベルを出す。
「コイツで終わりだ」
「ダイモン!」
AGE-3 フォートレスにとどめを刺そうとするが、源之助の言葉で光一郎はすぐさま回避行動をとる。
すると、高出力のビームがAGE-2 マッハを襲う。
「増援か?」
「ああ。そのようだ」
AGE-2 マッハは周囲から飛んでくるビームをかわしながら闘魂デュエルを合流する。
「ずいぶんとやられたな」
「ああ……日本のチャンプも伊達じゃなかったぜ」
カオスはAGE-2 マッハを攻撃していた機動兵装ポッドを改修すると両肩のアビスのシールドを広げると3連装ビーム砲を撃つ。
AGE-2 マッハはストライダー形態に変形してビームをかわしながらドッズガンを撃ちながら突撃する。
カオスとAGE-3 フォートレスは火力をAGE-2 マッハに集中する。
「狙いは俺か……けどその程度の砲撃など!」
AGE-2 マッハはビームをかわしながら反転する。
「ダインスレイヴの雨に比べたらな! 全部避けてやるよ!」
砲撃をかわしながらAGE-2 マッハはカオスの横を抜けるとAGE-3 フォートレスに向かう。
「狙いは手負いの俺か!」
AGE-3 フォートレスは残る右腕と右肩のシグマシスキャノンで迎撃するが、頭部に闘魂デュエルのグレネードランチャーが直撃して体制を崩す。
「ナイスだ。ゴウキ!」
AGE-2 マッハはハイパードッズランサーのランスモードでAGE-3 フォートレスの胴体を貫く。
「ちぃ! ならお前だけでも!」
AGE-3 フォートレスを貫いたAGE-2 マッハにカオスが3連装ビーム砲を向ける。
「後ろを取ったところで!」
AGE-2 マッハはAGE-3 フォートレスを突き刺したまま、背部のツインドッズキャノンを後方に向けて撃つ。
ビームはカオスの両肩を撃ちぬく。
「何ぃぃぃ!」
「ゴウキ!」
「ああ! 分かってる」
両肩を撃ちぬかれたカオスの背後にはすでに闘魂デュエルが回り込んでおり、闘魂デュエルはビームサーベルをカオスの後ろから突き刺す。
AGE-2 マッハと闘魂デュエルはそれぞれの武器を相手から抜くとAGE-3 フォートレスとカオスは爆散する。
「どっちも外れか」
「落ち込んでいる暇はないぞ。俺たちはこのまま後方のスナイパーを叩く」
「了解」
AGE-2 マッハはストライダー形態に変形すると闘魂デュエルを乗せて加速する。
光一郎たちが接敵した事で増援に向かおうとしていたジンクスⅢを龍牙達が補足し、史郎のAGE-3 オリジンがダブルシグマシスライフルで足を止めさせるとバーニングドラゴンデスティニーが炎の翼を展開して突撃する。
「仲間のところにはいかせない!」
バーニングドラゴンデスティニーのビームナックルをジンクスⅢはGNフィールドを使って受け流すとNGNバズーカの粒子ビームを撃ち込む。
それをバーニングドラゴンデスティニーはビームシールドで防ぐ。
「GNフィールドか……」
「邪魔だ!」
ジンクスⅢはNGNバズーカを今度は実弾にして連射する。
その間に友軍と合流しようと試みるがAGE-3 オリジンがバックパックのミサイルを一斉掃射してGNバルカンで応戦する。
「お前の相手は俺たちだ!」
再度、バーニングドラゴンデスティニーは加速してビームナックルで突撃する。
ビームナックルをGNフィールドで防ぐとジンクスⅢは左手でGNビームサーベルを抜きながら切りかかる。
GNビームサーベルを少し後ろに引いてかわしたバーニングドラゴンデスティニーはジンクスⅢの左手を蹴り飛ばしてGNビームサーベルを手放ささせる。
「ちぃ!」
だが、ジンクスⅢも怯むこともなく、NGNバズーカのビームを至近距離からバーニングドラゴンデスティニーに打ち込み、それをギリギリのところで腕でガードする。
「流石に一筋縄にはいかないか……」
「神君!」
AGE-3 オリジンがダブルシグマシスライフルでけん制を入れる。
ジンクスⅢはかわしながらNGNバズーカを実弾モードで撃つ。
その内の1発がAGE-3 オリジンの頭部を吹き飛ばし、体勢を崩したところを狙うが、バーニングドラゴンデスティニーが突っ込む。
「部長をやらせるか!」
「殴ることしかできない奴が!」
ジンクスⅢがNGNバズーカを向けるが、撃つ前に後方に控えていた千鶴のグシオンシューティングスターの狙撃でNGNバズーカが吹き飛ぶ。
「何!」
「うぉぉぉぉ!」
その隙にバーニングドラゴンデスティニーは最大出力で炎の翼を展開して突っ込む。
ジンクスⅢはGNフィールドを張って守る。
バーニングドラゴンデスティニーのビームナックルがGNフィールドに直撃する。
「俺はバトルに勝って先に進む! だからこんなところで立ち止まる訳にもいかないんだ! その先にはもっと固い壁がある! だから!」
バーニングドラゴンデスティニーの炎の翼が更に広がる。
次第にジンクスⅢのGNフィールドが押されていく。
「アンタのGNフィールドすら破れないんじゃ俺の拳はアイツには届かない!」
「馬鹿な!」
バーニングドラゴンデスティニーのビームナックルはジンクスⅢのGNフィールドを両肩のGNシールドごと粉砕する。
そして、左手のビームナックルがジンクスⅢの胴体を撃ちぬく。
「近くに敵影はなしか……神君。後方にも敵ガンプラが向かったみたい。僕たちはそっちの援護に向かうよ」
「分かりました!」
ジンクスⅢをしとめたバーニングドラゴンデスティニーはAGE-3 オリジンとともに後方に向かっていく。
同時刻、日本のガンプラと遭遇することのなかった漏影が後方から狙撃支援を行っている千鶴と諒真と交戦していた。
漏洩は2丁のアサルトライフルでグシオンシューティングスターを狙うも、デュナメスXペストのGNシールドビットに阻まれる。
「そう簡単に内の妹に手を出せると思ったら大間違いだよ」
デュナメスXペストはGNソードⅡのライフルモードで漏影にけん制射撃を入れる。
「コイツの狙撃は厄介だというのに!」
デュナメスXペストのGNミサイルを撃ち落とすがその隙にデュナメスXペストは回り込んでおり、GNソードⅡのソードモードでアサルトライフルごと左腕を切り落とされる。
「これ以上、単機で戦うのは厳しいか……」
漏影はアサルトライフルを撃ちながら後退を始める。
「逃げるようだけど先に落としておく?」
「その必要はないだろ」
デュナメスXペストは追撃することはなく、肩のGNロングキャノンを後退する漏影に撃つ。
「その先には逃げ場はないからな」
諒真の攻撃により漏影は後方の援護に来た龍牙と史郎の方に誘導されていた。
「手負いの相手を狙うのは気が引けるけど、アンタがフラッグ機かもしれないんだ。仕留めさせて貰う」
バーニングドラゴンデスティニーは炎の翼を展開する。
漏影はアサルトライフルを向けるが、下に回り込んでいたAGE-3 オリジンがダブルシグマシスライフルとバックパックのドッズキャノンを連射する。
それを回避していた漏影にバーニングドラゴンデスティニーは突っ込む。
「かわしき……」
バーニングドラゴンデスティニーのビームナックルが漏影の胴体にぶち込まれて漏影は撃墜される。
戦場の至る所で日本とドイツのガンプラが交戦する中、ドイツのガンプラの中でも宇宙での機動力の低いヘビーアムズ改がレオと右京と交戦を始めてた。
ヘビーアームズ改は動き回らずに全身の火器を使って弾幕を張って対処している。
「大した弾幕だ。これでは近づけん」
「近づかなきゃ元隊長は何もできないでしょ」
「言ってくれる」
ガンダムX斬月は大太刀を構えるとヘビーアームズ改に突撃していく。
ネビュラアストレイはドラグーンを展開するとガンダムX斬月に向かってくるミサイルを迎撃する。
迎撃されたミサイルの爆風からガンダムX斬月は飛び出すと大太刀を振るい、ヘビーアームズ改の右腕を切り落とす。
体勢を崩したヘビーアームズ改を四方からドラグーンの攻撃が襲う。
「させるか!」
ヘビーアームズ改はビームの直撃を受けながらも弾幕を張ってドラグーンを落としていく。
「その重装備じゃ地上の時のようには動けないようだな。でもってまともに弾幕の張れないお前はただの的だ」
ネビュラアストレイはレールバズーカをヘビーアームズ改に打ち込む。
数発撃ち込んだところでヘビーアームズ改は完全に撃破された。
「とは言えその装甲は厄介だったよ。ドラグーンもバズーカの弾も結構使ったしな」
「まだやれるなら他のところに援護に向かうぞ」
「了解」
ネビュラアストレイは残ったドラグーンを回収するとガンダムX斬月とともにその場を離れる。
日本の作戦がうまく決まる中、ガンダムZZフォートレスはその火力を発揮している。
しかし、貴音のキマリス・トライデントもその機動力を活かしてガンダムZZフォートレスの攻撃を掻い潜っている。
「宇宙なら地上のようにはいかないのよね!」
「相変わらず素早い」
ガンダムZZフォートレスは指のビーム砲を撃ちながらインコムを射出してキマリス・トライデントを囲もうとするが、一気に加速して囲ませない。
そこに後方から珠樹のウイングゼロエトワールがツインバスターライフルでインコムを一掃しながらガンダムZZフォートレスを攻撃する。
「今日は姉の方も一緒か」
「この前の借りは百億万倍にして返してあげる!」
キマリス・トライデントは3つの槍の火器を撃ちながら突撃する。
ガンダムZZフォートレスも肩のハイパービームガトリングキャノンで応戦する。
「おっと!」
「ちょこまかと逃げ回っていては勝てんぞ」
「それはどうかな!」
キマリス・トライデントを狙っている間にウイングゼロエトワールが接近しており、ツインバスターライフルを振るい下部についている実体剣で攻撃するが、腕部のダブルメガキャノンの砲身で受け止める。
「私を忘れてる」
「あの時の借りは藤代姉妹で返すわ!」
「気持ちだけで遠慮させて貰おう」
ガンダムZZフォートレスは全身の機銃を使ってウイングゼロエトワールを引き離す。
ウイングゼロエトワールはウイングバインダーで全身を守りながら後退する。
「全身の火器は厄介」
ある程度距離を取ったところでウイングゼロエトワールはツインバスターライフルを撃ち、ガンダムZZフォートレスはかわしながらサイドアーマーのビームキャノンと脚部のガトリング砲でけん制する。
「何とかならないの? お姉ちゃん」
「火力自体はどうにもならない。だけどあのZZには防御系の機能はない」
「つまりはガンガン押せ押せで行くってわけね」
珠樹はこくりとうなずくとキマリス・トライデントは加速して突撃する。
「臆せずに来るか」
「当然! ウチのママのシゴキより怖い物なんてこの世にはないからね!」
「ならば地獄を見せてやろう」
突撃してくるキマリス・トライデントに全6門のハイメガキャノンを撃つ。
キマリス・トライデントはその攻撃を回避するとビームは後方のコロニーに直撃し、コロニーの外壁に穴をあける。
「残念!」
「でもないさ」
ガンダムZZフォートレスはキマリス・トライデントの突撃をかわすと外壁に穴の開いたコロニーの方に向かっていく。
「逃げんな!」
キマリス・トライデントはすぐさま追撃し、ガンダムZZフォートレスは後ろにレールガンを撃ってキマリス・トライデントの追撃を少しでも遅らせる。
「迂闊に追っちゃダメ」
珠樹は貴音を止めようとするが、貴音は聞かずにガンダムZZフォートレスを追いかける。
貴音一人を行かすのは危険と判断して珠樹も追いかけようとするが、後方に控えていたサバーニャの狙撃で邪魔をされる。
「邪魔」
ウイングゼロエトワールは飛んでくる粒子ビームの方にツインバスターライフルを撃ち込む。
当たった手ごたえはないが、向こうもこれ以上の攻撃は自分の位置を晒しかねないと判断したのか狙撃は止む。
そして、その間にキマリス・トライデントの追撃に何とか追いつかれずにガンダムZZフォートレスは空いた穴からコロニーの内部に入り、キマリス・トライデントも追いかける。
「ありゃ?」
中に入り少し進むとそこは行き止まりだった。
「これ不味くない?」
貴音は自分の置かれた状況を把握すると軽口も叩かずにすぐにどうすべきか考える。
目の前は行き止まりでそこにガンダムZZフォートレスの姿はない。
ここまで来るのは一本道で道を間違えたということはない。
おそらくどこかに身を隠してキマリス・トライデントをやり過ごしたのだろう。
貴音は自分が追いかけているという優位感からそれを見過ごして来たのだろう。
そのままガンダムZZフォートレスはキマリス・トライデントをやり過ごして逃げてくれれば良かったが、そこまでヘルマは甘い相手ではない。
「そうでもない。私にとってはな」
「そりゃね」
キマリス・トライデントの背後にはガンダムZZフォートレスが立っていた。
貴音にとっては最悪の状況だ。
ガンダムZZフォートレスの大火力は開けた空間ならば避けることは可能だが、閉鎖空間でかわすのは不可能に近い。
「このままぶっぱしてもそっちにもダメージがあるかもしれないし、ここは痛み分けってことにしない?」
「お前が自爆でもして自分がフラッグ機ではないと証明したのであれば見逃してやろう」
「ですよねー」
貴音は覚悟を決めてガンダムZZフォートレスと対峙する。
ガンダムZZフォートレスは全身の火器をフルパワーで発射する。
その火力は内部からコロニーを完全に破壊する程だ。
「……たかが1機を仕留めるのにやり過ぎたな」
破壊されたコロニーの残骸が漂う中、ヘルマは自分のガンプラの状態を確認する。
コロニーを破壊する程の砲撃を行ったことでエネルギーゲージが半分を切っている。
「私にしては熱くなり過ぎたか……らしくないな」
消費したエネルギーは時間を使えば回復するが、問題はそこではない。
相手がフラッグ機かもしれないとは言え1機をしとめるのにここまでのエネルギーを使う必要もなかった。
貴音の勢いに乗せられたのか、ヘルマ自身自分で思っている以上に熱くなっていたようだ。
「これも経験か……ならばその経験を次に繋げればいい」
「次なんてあるわけないっての!」
突然の声にヘルマはそっさにその場を離れるとキマリス・トライデントのデストロイヤーランスがコロニーの残骸に突き刺さる。
「生きていたのか!」
「当然!」
ガンダムZZフォートレスの砲撃をキマリス・トライデントは何とか致命傷を避けていた。
それでも無傷とはいかなかず、ところどころにビームで装甲が焼かれ内部フレームがむき出しとなっている。
「藤代姉妹はしつこいのよ!」
「ならば今度こそ跡形もなく吹き飛ばしてくれる!」
ガンダムZZフォートレスはキマリス・トライデントに全砲門を向ける。
キマリス・トライデントもコロニーの残骸を避けながら右手にはグングニルと左手にはドリルランスを持って突撃する。
「捉えた!」
「こっちがね!」
ガンダムZZフォートレスが砲撃をしようとしたが、その前にキマリス・トライデントの背後の残骸が吹き飛ぶとキマリス・トライデントの横っ腹を2発の弾丸が掠めてガンダムZZフォートレスの両腕が肩から吹き飛んだ。
「何だと!」
「藤代姉妹にはもう一人の妹(仮)がいるのよ!」
ガンダムZZフォートレスの両腕を吹き飛ばしたのは後方に控えていた千鶴のグシオンシューティングスターだった。
一発目で邪魔な残骸を吹き飛ばして、残りの2発でガンダムZZフォートレスの両腕を吹き飛ばしたのだった。
キマリス・トライデントも上手く射線を合わせるように残骸を避けていた。
「しかし!」
不意打ちの狙撃で両腕を失ったもののガンダムZZフォートレスの火力はガンプラ1機を葬るのに十分だ。
額と腹部、脚部の4門のハイメガキャノンをキマリス・トライデントに撃ち込む。
キマリス・トライデントは構わず突っ込む。
ビームがキマリス・トライデントの頭部、右腕、左足を吹き飛ばすが止まらない。
「コイツで!」
バックパックに固定されているシールドで身を守りながら突撃するが、ガンダムZZフォートレスのレールガンの直撃で右側のシールドが吹き飛ぶ。
それでもなお、キマリス・トライデントは止まらず、ガンダムZZフォートレスの脚部のガトリング砲の集中砲火で装甲にダメージを負いながらも距離を詰めてドリスランスを突き出す。
「まだだ!」
ドリスランスの突きをギリギリのところで回避するがキマリス・トライデントとガンダムZZフォートレスは正面から激突する。
「っ!」
「消し飛べ!」
至近距離から腹部のハイメガキャノンを撃とうとするも、腹部にキマリス・トライデントのドリルニーが突き刺さる。
「そっちがね!」
ドリルニーが突き刺さったまま折れるが、キマリス・トライデントはドリスランスを逆手に持ち替える。
ドリスランスが高速で回転を始めてガンダムZZフォートレスの胴体目掛けて振り落とされる。
それに対してガンダムZZフォートレスは退くことなく前に出る。
ドリルランスはガンダムZZフォートレスのバックパックを抉り突き刺さり、ガンダムZZフォートレスはキマリス・トライデントにぶつかる。
「しぶとい!」
「負ける気はないんでな!」
キマリス・トライデントは左のサイドスラスターのキマリスサーベルを持つとサイドスラスターがスライドしてキマリスサーベルを抜く。
逆手で抜いたため、そのままでは使い辛いが持ち替える間も惜しく、逆手で握ったままでキマリスサーベルの柄でガンダムZZフォートレスの横っ腹を殴りつけた。
その一撃で2機の間に距離が生まれ、ガンダムZZフォートレスは額のハイメガキャノンをキマリス・トライデントに向ける。
ハイメガキャノンを撃つ前にキマリスサーベルを持ち替えて頭部目掛けて振るう。
キマリスサーベルはガンダムZZフォートレスの首に直撃し、首が損傷してメインカメラから光が失われた。
「ちぃ!」
ガンダムZZフォートレスはキマリス・トライデントを蹴り飛ばそうとするが、左腕のコンバットナイフを展開して脚部のハイメガキャノンに突き刺す。
同時に左肩のミサイルを至近距離からガンダムZZフォートレスに撃ち込む。
その爆発でキマリス・トライデントのコンバットナイフは折れてガンダムZZフォートレスから離れていく。
距離が生まれたことでガンダムZZフォートレスは脚部のガトリング砲でキマリス・トライデントに集中砲火を浴びせる。
もはやまともに回避することも出来ず、ガトリング砲の直撃を受けてキマリス・トライデントの装甲は破壊され内部フレームにもダメージを受けるが完全に破壊される前にガトリング砲の残弾が尽きた。
「球切れか! ならば!」
ガンダムZZフォートレスは残っている左足のハイメガキャノンをキマリス・トライデントに向ける。
「……流石にここまでか……でも勝ったのは私たちでしょ? お姉ちゃん!」
「うん」
ハイメガキャノンを撃つ前にガンダムZZフォートレスの上からビームが飛んで来て飲み込まれた。
「何!」
「言ったでしょ。藤代姉妹で借りを返すって熱くなりすぎて私にしか注意が向いてなかったでしょ?」
ビームはウイングゼロエトワールのツインバスターライフルから放たれた物だった。
貴音がヘルマと交戦し可能な限り消耗させて、珠樹はこのチャンスまで手を出さずに待っていた。
貴音の指摘通り、ヘルマは貴音との戦いに集中し過ぎたせいで珠樹の存在を今の今まで忘れていた。
完全な不意打ちで回避しきれずビームの直撃を受けてガンダムZZフォートレスは跡形もなく吹き飛ばされた。
「ふぅ……何とかなったけど、まだ終わんないよ?」
「当然。エースは敵と激しく交戦する可能性がある。フラッグ機はしない」
「それもそっかエース機とフラッグ機を同じにするとかよほどの馬鹿が自分の実力に自身がないとやらないわよね」
ヘルマのガンダムZZフォートレスは仕留めたがバトルは終わらない。
ドイツのフラッグ機はガンダムZZフォートレスではなかったということだ。
ドイツもエースであるヘルマが敵と交戦し最悪撃墜されたことを考えてフラッグ機にはしていなかった。
残るドイツのガンプラは後方で狙撃支援をしていたガンダムサバーニャのみで自動的にサバーニャがドイツのフラッグ機ということになる。
「ヘルマもやられたのか! 残るは俺一人……どうする? どいつを狙う……」
コックピット内でフリッツはモニターに映る日本代表のガンプラの中から自分が狙う相手を考えている。
すでに味方は全滅している。
ドイツに残された逆転の手段はフラッグ機を狙撃で仕留めることだ。
フラッグ機さえ仕留めてしまえば残りのガンプラの数は関係なく勝てる。
だが、問題はどれがフラッグ機かだ。
狙撃で仕留めるにしても何機も落とせるとは思えない。
撃てば撃つほど自分の位置を向こうに教えて敵が集まってくる。
そうなれば勝ち目はない。
そのため、最初の一撃でフラッグ機を仕留める必要がある。
「ちくしょう! 敵が近づいてきてる!」
モニターの端に闘魂デュエルを載せたガンダムAGE-2 マッハが見える。
このままでは捕捉されるのも時間の問題でそうなればドイツに勝ち目はない。
「AGE-2は日本のチャンプだったよな。なら一か八か……」
フリッツは賭けに出る。
光一郎は日本のランキングのトップだ。
フラッグ機である可能性は十分にあり得るかもしれない。
サバーニャはGNスナイパーライフルをAGE-2 マッハに向ける。
しかし、引き金を引くよりも早く、周囲に展開していたGNホルスタービットが撃ちぬかれる。
「何だ!」
GNホルスタービットが破壊された衝撃で飛び出たところをGNスナイパーライフルが右腕ごと撃ちぬかれて体勢を崩したところに胴体に弾丸がぶち込まれた。
フリッツが狙いをAGE-2 マッハに向けた瞬間にグシオンシューティングスターが狙撃したのだ。
サバーニャが撃墜されたことでドイツは全滅しフラッグ機も撃墜されてバトルは日本代表チームの勝利となった。