ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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意地

日本代表の策はすでに破られた。

 5機でも待ち伏せも残るは珠樹のウイングゼロエトワールだけだ。

 ウイングゼロエトワールはツインバスターライフルを時間差で撃ち、わずかな隙をマシンキャノンで補う。

 対する大我は近接戦闘に持ち込もうと試みている。

 

「ちっ……相変わらず嫌らしい攻めを……けどな」

 

 オメガバルバトス・アステールはGNフィールドを展開して突っ込む。

 

「……強引に」

 

 常に相手の動きの先を読みながら先手を打つ珠樹だったが、大我はそんなことは関係ないとばかりにGNフィールドの防御力に物を言わせての強引な攻めをする。

 だが、その強引な攻めは珠樹にとっては有効なやり方でもあった。

 接近するオメガバルバトス・アステールはバーストメイスカスタムを振るう。

 その一撃をウイングゼロエトワールはかわすと背後を取る。

 

「確かに強引な攻めは有効……でもそれだけ」

 

 ウイングゼロエトワールは背後から至近距離でツインバスターライフルを連結させてオメガバルバトス・アステールに撃ち込む。

 その距離であればGNフィールドは張れず、ピンポイントでGNフィールドを張って防ごうにもそれでは強度が足りない。

 表面に対ビームコーティングがされているが、至近距離でもツインバスターライフルを対ビームコーティングだけでは長時間防ぐことはできない。

 ビームはオメガバルバトス・アステールの背部のシド丸に直撃する。

 シド丸の対ビームコーティングで少しは耐えるが、すぐに限界を迎えビームはシド丸を貫く。

 シド丸が爆散する前にオメガバルバトス・アステールはシド丸をパージしていたようで爆発の中からオメガバルバトスがバーストメイスカスタムを突き出してくる。

 

「貰った」

「……それだけでも貰う」

 

 ウイングゼロエトワールは再びツインバスターライフルを発射する。

 ビームとバーストメイスカスタムはぶつかり合い爆発を起こす。

 爆発の中からオメガバルバトスとウイングゼロエトワールが飛び出してくる。

 互いに手持ちの武器を失っている。

 オメガバルバトスは両腕のチェーンソーブレードをブレードモードに切り替え、ウイングゼロエトワールも両手にゼロソードを持つと2機は近接戦闘を仕掛ける。

 

「……機体が重い。こんなだったか?」

 

 オメガバルバトスの攻撃をひらりとかわすとウイングゼロエトワールはゼロソードを突き出す。

 ゼロソードはオメガバルバトスの装甲に直撃するが、強固な装甲を持つオメガバルバトスにはまともなダメージを与えるほどではなかった。

 

「……固い」

 

 ウイングゼロエトワールはマシンキャノンを撃ちながら距離を保つ。

 シド丸とバーストメイスカスタムを失っているとは言え、オメガバルバトスの攻撃力は一撃で勝負をつけてしまうほどだ。

 一方の大我はシド丸を失ったことでガンプラが今まで以上に重く感じていた。

 シド丸は火力強化だけでなく重武装かで低下した機動力を補う役割を持っていたため、シド丸とドッキング状態の機動力に慣れていたせいでそう感じるのだ。

 オメガバルバトスは肩のブレードプルーマを射出する。

 

「来る」

 

 ブレードプルーマをゼロソードで弾きながらマシンキャノンで撃ち落としていると、オメガバルバトスは腰のワイヤーブレードを射出し、ウイングゼロエトワールはかわす。

 

「これは囮。本命はこっち」

 

 攻撃をかわした先の死角からテイルメイスが飛んでくる。

 ブレードプルーマとワイヤーブレードは攻撃中に射出していたテイルメイスで死角から一撃入れるための布石だった。

 それを読んでいた珠樹はテイルメイスをかわす。

 

「……と見せかけて」

 

 攻撃をかわした先にはオメガバルバトスが迫っていた。

 ブレードプルーマとワイヤーブレードを布石に使ったテイルメイスでも一撃も更なる攻撃のための布石だった。

 布石として使ったワイヤーブレードは小惑星に刺さり、ワイヤーを回収しようとした勢いでオメガバルバトスは加速していた。

 ウイングゼロエトワールは加速するオメガバルバトスに合わせるようにゼロソードを振るう。

 

「流石珠ちゃん。読みあいでは勝てないな」

「当然……読みあいで負けたら私の立つ瀬はない」

「だよな。まぁ俺もはなっから読みあいで勝とうだなんて思ってないけどな」

 

 ゼロソードがオメガバルバトスに当たる直前にオメガバルバトスはその機動を少し変えてギリギリところで攻撃をかわした。

 大我と珠樹の読みあいでは珠樹が勝利した。

 しかし、始めから大我はこの読みあいでは負けることを想定していた。

 オメガバルバトスの頭部のヒートホーンはナイトロシステムの起動により青い炎を纏っていた。

 ナイトロを起動させて反応速度を高めてカウンター攻撃をギリギリのところで回避したのだ。

 そして、オメガバルバトスはウイングゼロエトワールの頭部を掴む。

 

「捕まえたよ。珠ちゃん。俺の勝ちだ」

 

 何とか逃れようとするウイングゼロエトワールのゼロソードをもう片腕のチェーンソーブレードで受け止めると、ドリルニーをウイングゼロエトワールの胴体にぶち込む。

 その衝撃で頭部がもがれる。

 

「球ちゃんもフラッグ機じゃなかったか。まぁ俺にぶつけて来る奴をフラッグ機にするなんてリスクをあのババァが負う訳もないか」

「そっちは片付いた?」

 

 5機目を撃墜したタイミングでリヴィエールから通信が入る。

 リヴィエールの方でも大我の状況はリアルタイムで把握していたのだろう。

 

「ああ。思った以上に消耗したけどな」

 

 日本代表の半数を単機で仕留めたが、メインウェポンのバーストメイスと支援機のシド丸を失い、それ以外にも少なからずダメージを負っている。

 

「あっそ。なら、早くこっちに戻ってきて、こっちは結構面倒なことになってるから」

 

 それだけ言うとリヴィエールは大我の返事を待つこともなく通信を切る。

 

「おい。人の話を聞けよな」

 

 大我は文句を言うが通信は繋がっていないため、リヴィエールに届くことはない。

 

「たく……まぁ向こうには諒ちゃんに姉ちゃんもいるから簡単にはいかないか」

 

 オメガバルバトスは掴んでいたウイングゼロエトワールの頭部を手放すと友軍の戦闘宙域を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 残る日本代表のガンプラとアメリカ代表のガンプラの戦闘は日本代表が優位に進めていた。

 すでに4機が撃墜されているアメリカ代表は数の上でも不利だ。

 

「クロエ。こっちの援護はできるか?」

「無理!」

 

 クロエは貴音と交戦中で互いに相手をするのに精一杯でクロエはルークの援護に向かえそうにはない。

 ディランのZガンダムシュテルンも闘魂デュエルとAGE-3 オリジンを相手に苦戦を強いられている。

 ルークのソルエクシアはスローネジーニアスを守るようにGNフィールドを張りながらバーニングドラゴンデスティニーとデュナメスXペストにGNビッグキャノンを撃つ。

 2機は素早く散開する。

 

「ルーク。近づけさせないでよ」

「分かってるけどさ」

 

 ソルエクシアはGNソードのライフルモードで粒子ビームを連射する。

 

「おら!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーのビームナックルをGNフィールドで受け止めるとGNソードを振るう。

 軽く引いてかわすと今度は蹴りをGNフィールドに入れられる。

 バーニングドラゴンデスティニーがソルエクシアを攻撃している間にデュナメスXペストが肩のGNロングキャノンでスローネジーニアスを攻撃するが、粒子ビームはスローネジーニアスをすり抜けるだけでダメージを与えているようには見えない。

 

「聞いてはいたがどうなってんだ?」

「格闘戦ならいけるかも知れません」

「だな。試しだ。そっちは俺が引き受けた」

 

 デュナメスXペストはGNソードⅡをソードモードに切り替えてGNロングキャノンを撃ちながらソルエクシアの方に向かい、バーニングドラゴンデスティニーはスローネジーニアスの方に向かっていく。

 

「くっ! アイツを接近させるのは不味い!」

 

 ソルエクシアはバックパックをパージしてセラヴィーⅡに変形するとバーニングドラゴンデスティニーを追いかけようとするが、デュナメスXペストのGNミサイルによりセラヴィーⅡは撃墜された。

 ソルエクシアの背部のGNシールドがアームで左肩に移動し、デュナメスXペストのGNソードⅡをGNソードで受け止める。

 

「お前の相手は俺だよ。お互い大我に振り回されている同士仲良くしようぜ」

「生憎だけど、そんな暇はないな。どうしても仲良くしたいなら僕たちが優勝した後にして貰いたいね」

 

 ソルエクシアを抑え言えいる間にバーニングドラゴンデスティニーはスローネジーニアスに迫る。

 

「まずはコイツで!」

「やっば」

 

 バーニングドラゴンデスティニーは全身に炎を纏い突撃する。

 炎はスローネジーニアスを飲み込む。

 

「やったか?」

「……そんなのアリか」

 

 炎の中からスローネジーニアスが出て来る。

 その姿に龍牙も諒真も驚いていた。

 ダメージを受けていないことに驚いた訳ではない。

 スローネジーニアスの姿が一回り以上小さくなりSDガンダムとたいして変わらないサイズとなっていた。

 

「まさかこんなところでこの姿を晒すことになるなんてね。ちょっと油断してたわ」

 

 スローネジーニアスの本来の姿はSDサイズだった。

 それをGNフィールドを一般的な球体上ではなく本体と同じ形状で通常サイズのガンプラと同じサイズになるように展開し、光学迷彩によりGNフィールドにスローネジーニアスの姿を投影することで自身のサイズを誤魔化していたのだ。

 だからこそ千鶴や諒真の攻撃が直撃していても何のダメージもなかった。

 しかし、龍牙の攻撃でその姿を晒さざる負えなかった。

 

「ルーク。ネタばバレた以上はこの場に留まるのは危険だから逃げさせてもらうわ」

「ああ。構わない」

「でもその前に憂さ晴らしさせてもらうわ」

 

 姿を晒したスローネジーニアスは腕のGNランチャーをデュナメスXペストに向ける。

 するとデュナメスXペストの肩のGNロングキャノンが内部から爆発を起こした。

 

「今のは……」

 

 以前の戦闘でも同じことが起きていたが諒真は今ので何が起きたのか理解した。

 スローネジーニアスのGNランチャーがわずかだか、GNロングキャノンが爆発する直前に動いていた。

 恐らくはその時に粒子ビームを撃っていたのだと諒真は推測した。

 そして、それは正解だった。

 スローネジーニアスは無色透明のGN粒子を散布できる。

 その透明な粒子をビームに転用した見えない無色のビームを撃つことも可能だった。

 そのサイズにGNサーチフィールドや量子跳躍、GNフィールドを球体状ではなく人型に展開して自身の姿を投影するなど様々な並みのガンプラでは使えないような特殊機能を詰め込んでいるがゆえに攻撃力は低く、GNランチャーの火力でも装甲を貫くことはできないため、砲門の中を狙ってでもなければまともにダメージを与えられない。

 普段はGNフィールドで投影した偽物のビームを目くらましに使っている。

 スローネジーニアスが完成した時の試しのバトルで大我は無色のビームを事前情報もなしの初見で砲身のわずかな動きから見切ってかわして見せたため、無色のビームは世界レベルの相手には見切られてしまうからだ。

 諒真も大我のように事前情報なしでは厳しいが次からは何とかかわせそうだ。

 

「そんじゃ私は逃げさせて貰うけど、そろそろ戻ってくるから」

 

 リヴィエールがそういうとスローネジーニアスはトランザムを使い量子跳躍でどこかに逃げ去った。

 

「逃げたのか?」

「スローネの真の姿を見せたのは想定外だけどまぁいい。十分に時間は稼げたんだからね」

「会長!」

「ああ。状況は最悪のようだ」

「ずいぶんと盛り上がってるみたいじゃん。俺も混ぜろよ。諒ちゃん。ルーク」

 

 珠樹たちを突破した大我がルークたちと合流する。

 それは龍牙達にとっては珠樹たちが全滅した事を知らせる物でもあった。

 だが、それに絶望している暇はない。

 選ぶことのできる選択は諦めるか、この場で大我を倒すかしかない。

 幸いにも大我は無傷という訳でもなく、例え無傷だろうとここで諦める訳にもいかない。

 バーニングデスティニーがビームナックルで殴りかかる。

 それをチェーンソーブレードで受け止める。

 

「すぐに突っ込んでくるお前はフラッグ機ってことはないんだろ?」

 

 オメガバルバトスはもう片方のチェーンソーブレードを突き出すが、バーニングドラゴンデスティニーは機体をひねりかわすとそのまま蹴りをオメガバルバトスの顔面に入れる。

 

「邪魔だ」

 

 オメガバルバトスは少しよろけるも、ダメージを受けた様子もなく、腰のワイヤーブレードを射出する。

 ワイヤーブレードを拳で弾きながら、バーニングドラゴンデスティニーは前に出る。

 

「ビビんな! 俺! ようやく大我と面と向かってぶつかれてんだ! ここで引けるかよ!」

 

 オメガバルバトスの懐にバーニングドラゴンデスティニーは飛び込む。

 オメガバルバトスはドリルニーを突き出すも、バーニングドラゴンデスティニーはオメガバルバトスの膝のしがみ付く。

 片腕で膝にしがみつき、もう片方の腕で何度もオメガバルバトスの胴体を殴る。

 

「ちっ」

 

 バーニングドラゴンデスティニーは炎の翼を展開しながらオメガバルバトスの足にしがみ付きながらも加速しようとする。

 

「くっ! 重てぇ!」

 

 だが、オメガバルバトスの重量は重く、思うように加速はできなかった。

 

「いい加減に」

 

 オメガバルバトスはバーニングドラゴンデスティニーの翼を掴むと引きちぎる。

 そして、胸部装甲をパージして装甲をぶつけるとバーニングドラゴンデスティニーを蹴り飛ばす。

 

「しつこいんだよ」

「まだ……終わってたまるかよ! 俺たちの世界大会はまだ終わらない! 終わらせない!」

 

 バーニングドラゴンデスティニーは体勢を整える。

 4枚の内2枚の翼はもがれているが、残る2枚の翼を展開する。

 

「このダメージならまだ……俺のありったけをこの一撃に!」

 

 ビームナックルの出力を最大限まで上げる。

 ダメージは戦闘可能なレベルではあるが、長期戦はできそうにない。

 オメガバルバトスも消耗しているとは言え、生半端な攻撃では通用しないだろう。

 オメガバルバトスは両腕のチェーンソーブレードをブレードモードに切り替えて迎え撃つ構えを取る。

 

「大我……」

 

 迎え撃つ構えを見せたことで龍牙はにやりとする。

 始めて戦ったあの時から龍牙は大我と同じチームで戦っていても常に大我は龍牙の先を行き同じステージには立っていなかった。

 日本代表となり予選を勝ち抜き強敵ドイツを破りここまで来た。

 そして、今、大我は龍牙を真向から迎え撃つ構えを見せている。

 龍牙はようやく同じステージに立てた気がした。

 

「行くぞ!」

「龍牙! 避けろ!」

 

 バーニングデスティニーが加速しようとした瞬間、諒真が叫ぶ。

 だが、全ては遅かった。

 真横からいつの間にか射出されていたテイルメイスがバーニングデスティニーに直撃したのだ。

 テイルメイスが直撃したバーニングドラゴンデスティニーは撃墜こそされなかったが、機体の右半分がつぶれて体勢を崩しながら吹き飛んでいく。

 オメガバルバトスの迎え撃つ構えは、龍牙の注意を自分に向けて周囲への警戒を緩めるためであった。

 

「そういやそういう事もやって来るんだったよな」

 

 龍牙は初めて大我と戦った時も視線を逸らしたところをやられたことを思い出す。

 以前からテイルブレイドを死角から攻撃するというのは大我が良くやる戦い方でもあった。

 そんなことにも気づかないのはそれだけ熱くなっていたということなのだろう。

 しかし、龍牙に後悔はなかった。

 周りが見えなくなるほど、熱くなることが出来た。

 それだけ本気で戦うことが出来た。

 それでもなお届かなかったが、届かないのであれば更に強くなれば良いだけのことだ。

 

「いつか絶対、そこまで行ってやる」

 

 飛び去るオメガバルバトスを見ながら龍牙はそう誓った。

 

「あのデスティニーのダイバーは思った以上になってくれる」

「だろ? うちの隠し玉だったんだけどな」

「けど、うちのエースには届かない」

 

 ソルエクシアとデュナメスXペストは何度も切り結ぶ。

 

「ルーク。そいつは俺がやる」

「分かった。僕はディランの援護に向かわせて貰うよ」

 

 龍牙を倒した大我がルークと合流する。

 諒真の相手は大我に任せると2体1で苦戦しているディランの元にルークは向かっていく。

 

「ちょい待ちってうわっと!」

 

 クロエと交戦していた貴音のキマリス・トライデントがオメガバルバトスの方に向かおうとするが、クロエのFXエステレラのDファンネルが邪魔をする。

 

「せっかく、姉弟の再開なんだから邪魔すんな!」

「知らないわよ。そんなの」

 

 キマリス・トライデントの進行方向を遮るようにFXエクテレラが立ちはだかる。

 

「うるさいのが来る前に始めようか。諒ちゃん」

「だな。ここは男同士、拳で語り合おうや。お前に言いたいこともあったしな」

「何だよ。それ?」

「内緒。俺に勝ったら教えてやる」

「あっそ」

 

 オメガバルバトスはチェーンソーブレードを構えて突撃する。

 対するデュナメスXペストは赤く発光を始める。

 

「初手からトランザムか」

 

 トランザムを起動したデュナメスXペストは一瞬の内に加速するとオメガバルバトスの背後を取り、GNソードⅡを振るう。

 ギリギリのところでチェーンソーブレードでガードするが、ここまでの戦闘で消耗していたのか、チェーンソーブレードは砕けて破壊される。

 

「ちっ」

「悪いな。大我。今日の俺は本気だ。本気と書いてマジって奴だ」

 

 デュナメスXペストはオメガバルバトスのレールガンを回避しながら接近する。

 それに合わせてドリルニーを突き出すが、デュナメスXペストは回避するとGNソードⅡをライフルモードに切り替えてドリルニーに粒子ビームを撃ち込む。

 ドリルニーは膝の装甲ごと破壊される。

 

「くそ。半端に装備を失ったせいでバランスが最悪だ」

 

 オメガバルバトスは重装甲、重武装ではあるがリヴィエールが重量のバランスを緻密に計算して作られているが、ここまでの戦闘で装備を失ってきたせいで計算されたバランスが来るって来ている。

 それでも大我は機体を完全に制御している。

 

「たく……なんで今日はそんなにマジになってんの?」

「俺にだって兄貴としての意地があるってことだ!」

 

 デュナメスXペストの粒子ビームをGNフィールドで防いでいたが、接近してGNソードⅡでGNフィールドを切り裂くともう一本のGNソードⅡをオメガバルバトスの肩に突き刺す。

 それによりオメガバルバトスはGNフィールドが使えなくなる。

 

「何それ?」

「末っこには分かんないだろうさ。兄貴ってのは常に弟よりも前にいなくちゃいけないってことだ」

 

 諒真はチラリとトランザムの残り時間を確認する。

 限界時間まではまだ余裕は残されている。

 とは言えトランザムが切れてしまえば機体性能は一時的にダウンして手負いとは言えオメガバルバトスには勝てない。

 

「だから今日はダサくても本気でやらせて貰うぞ! 大我!」

 

 デュナメスXペストは残っているGNミサイルを一斉掃射する。

 GNミサイルはオメガバルバトスに直撃して内部から破壊していく。

 すぐに外装をパージして内部のフレームまでダメージはなかったが、左腕のパワーユニットがチェーンソーブレードが破壊されユニットそのもも損傷している。

 デュナメスXペストは更に加速する。

 

「俺は世界で一番のファイターになるんだ。その前に立ちはだかるなら、例え神様だろうと皇帝だろうと……諒ちゃんだろうと全てをぶっ潰す!」

 

 デュナメスXペストのGNソードⅡの一撃をオメガバルバトスは破損していた左腕のパワーユニットでガードしていた。

 GNソードⅡの刃はフレームで止められ、オメガバルバトスは肩に突き刺さっていたGNソードⅡを強引に抜くとデュナメスXペストに突き刺す。

 

「……だっせぇな……久しぶりの本気を出してこれか……」

「諒ちゃんがダサいのはいつものことでしょ。本気を出せば強いってのにいつも斜に構えて余裕ぶってさ」

「分かってないな。普段から本気を出してちゃただの暑苦しいやつだろ。今時そんなの流行んないんだよ」

「そこだけは永遠に分かり合えそうにないな」

 

 オメガバルバトスは両腕のパワーユニットをパージするとテイルメイスの柄を伸ばすと手に持たせる。

 

「それで俺の勝ちだけど言いたいことって何? 冥途の土産にくだらない事じゃなければ聞くけど?」

 

 オメガバルバトスはメイスを振り上げる。

 デュナメスXペストはトランザムも解除されてもはや戦う力は残されてはいない。

 

「大我……妹が欲しかったら、俺をたお……」

 

 諒真が言い終わる前にオメガバルバトスはメイスを振り下ろしデュナメスXペストを破壊した。

 

「……諒ちゃんらしくて下らない。さて、後は……その必要はないか」

 

 大我は次の獲物を探そうとするが、バトル終了のアナウンスが入る。

 どうやら日本代表のフラッグ機は諒真のデュナメスXペストのようで、諒真がやられたことでバトルはアメリカ代表チームの勝利となった。

 

「……次で最後か」

 

 大我は勝利を喜ぶこともなくぽつりと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

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