ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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ビッグスター

 

 

 

 ギリシャとイギリスとのバトルが決着から翌日、決勝戦の当日を迎えていた。

 ここまでいきなり大我の宣戦布告から始まったものの、大きな問題もなく大会は順調に進んだ。

 そして、決勝戦はここまで敗れてきたダイバーのみならず、ライブ中継され、ジュニアクラスのダイバーやオープンクラスのダイバーも注目している1戦だ。

 組み合わせは順当に勝ち進んできたギリシャと今大会のダークホースであるアメリカとなった。

 決戦の朝を迎え、アメリカ代表メンバーは皆緊張した面持ちだ。

 皆、世界大会で優勝するつもりでここまで戦って来たが、いざ優勝に王手をかけた実感が沸いてきたのだ。

 そんな中でいつも通りなのは大我とリヴィエールくらいだ。

 もっとも、リヴィエールは準決勝第二試合が行われた昨日は丸一日一人で部屋に籠り大我のオメガバルバトス・アステールを弄っていた。

 まともに寝ていたのかリヴィエールは今にでも眠そうにしている。

 

「泣いても笑っても今日のバトルで終わりだ」

 

 ルークは皆に声が震えそうなところを見せないようにいつも通りを装う。

 

「あんまり気負う名よ。ルーク。今日もいつも通りに敵をぶっ潰して終わりなんだ」

「……今日ばかりは大我の図太さがうらやましいよ」

 

 相手がアルゴスだろうと大我はいつも通りに戦えるのだろう。

 そこは誰もが心配はしていない。

 

「ルーク。最強ってのは最も強いやつを指すんだ。つまり最強は皇帝よりも強い。そして、最強の俺がいるチームは最強。つまりは俺がいるイコール勝利。ガキでも分かる理屈だ。ルークは頭が良いんだ。そのくらいわかるだろ?」

 

 大我の無茶苦茶な理屈も決戦を前に頼もしく感じる。

 これまで大我は大口を叩いてきたが、常に相手をねじ伏せてきた。

 大我にとっては相手が誰であれいつも通りに戦い勝つだけだ。

 そうすることで大我の目的である世界で一番強いファイターに近づくからだ。

 

「それに私が更に改良したバルバトスはすんごい事になっちゃったから。もうマジ凄い。マジ最強! ってなるわよ」

 

 徹夜のテンションなのか、リヴィエールは普段よりもテンションが高い。

 そんな二人を見てルークや皆の緊張も解れたようだ。

 

「まったく……みんな、ここまで来るのは長いようで短かった。思えば、僕と大我が初めて会ったあの時から、こうなる定めで運命は動き出したの……」

「長い」

 

 ルークの言葉を遮り、大我はリヴィエールからガンプラを受け取り、GBNにログインする。

 他のメンバーたちもルークの話をスルーしてログインを始める。

 最後にルークも話しを切り上げてGBNにログインする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決戦の舞台はアムロ・レイとシャア・アズナブルが最後に戦った地球に降下するアクシズの周辺。

 アメリカとギリシャのガンプラが出撃した事でバトルが開始される。

 

「先陣は!」

「俺たちに!」

「任せて! えぇえ!」

 

 アメリカ代表チームの先陣を雷邪、スタークアデル、ハンブラビボードが切るが、ギリシャのGケラノヴィスの長距離ビームによる先制攻撃でハンブラビボードに直撃して撃墜される。

 そして、5機のジャハナムの連隊が迫る。

 

「やってくれたな。リヴィエールは索敵。敵の位置を把握する」

「分かってるって」

 

 リヴィエールのスローネジーニアスはバトルフィールドの端っこに陣取るとGNサーチフィールドを展開して敵の位置を把握しようとする。

 

「クロエとジェイクはGルシファーとジャイオーンを叩いてくれ。ここは僕とディランを中心に抑える。大我は皇帝を!」

 

 ルークはすぐに指示を出す。

 FXエステレラとスターユニコーンが離れ、オメガバルバトス・アステールはバルバード形態に変形するとアクシズの方へと向かっていく。

 

「来るぞ!」

 

 ソルエクシアはGNビッグキャノンを撃って、5機のジャハナムを散開させる。

 すぐにZガンダム・シュテルンとスタークアデルがビームを撃つ。

 それをかわしながら雷邪が突撃する。

 

「皇帝だか何だか知らないが! 大我さんの敵じゃないんだよ!」

 

 雷邪がヘビークラブを片手に持ちべヨネットライフルを連射しながらジャハナム・ロハゴスに突っ込んでいく。

 

「勢いだけではな!」

 

 ジャハナム・ロハゴスはヘビークラブの一撃をかわすと雷邪にビームライフルを連射する。

 雷邪はビームに掠りながらも攻撃をかわす。

 すぐにジャハナム・ロコスの1機が雷邪にビームマシンガンを向けるが、ソルエクシアのGNビッグキャノンの餌食となり消滅する。

 

「3番機がやられたか」

「あなたは隊長機のようで」

 

 Zガンダム・シュテルンがロングメガライフルを撃ちプロトフィンファンネルを射出する。

 

「隊長機は僕が押さえます」

「ウス」

 

 ジョーはジャハナム・ロハゴスから離れると他のジャハナムの元に向かう。

 射出されたプロトフィンファンネルの攻撃をかわしていたが、Zガンダム・シュテルンのグレネードランチャーがビームライフルに直撃する。

 

「アメリカ代表は大我だけでないところを見せてあげますよ」

 

 Zガンダム・シュテルンのビームサーベルをジャハナム・ロハゴスはビームナギナタで受け止める。

 

 

 

 

 

 別動隊をして離れたFXエステレラとスターユニコーンはリヴィエールから送られてきた情報をもとにGケラヴィノスとGファンタズマを補足していた。

 スターユニコーンのメガビームライフルがGファンタズマのトリッキーパックを撃ちぬく。

 

「んだと! なんでこっちの位置がばれてんだよ!」

「俺に聞くなよ」

 

 向こうはジャミングを使っていたため、自分たちの位置がこんなにも早くバレて攻撃されることなど思ってもいなかったようだ。

 並のガンプラならGファンタズマのジャミングで位置を特定されることはないが、相手が悪かった。

 リヴィエールのスローネジーニアスのGNサーチフィールドの索敵能力の前ではGNファンタズマのジャミング能力など意味を成さない。

 Gファンタズマは破壊されたトリッキーパックをパージするとビームライフルで応戦する。

 同時にGケラヴィノスもビームとミサイルで応戦する。

 

「そっちは任せたわ。私はあっちを黙らせる」

「ちっ……今日のところは獲物を譲ってやるよ」

 

 スターユニコーンはビームを回避しながらGファンタズマに向かう。

 

「皇帝直属の三銃士とか言われてるけど、隠れてないとその程度かよ!」

「ふざけやがって! 雑魚の癖に!」

 

 ビームライフルを連射するが、スターユニコーンには当たらず、逆にスターユニコーンのメガビームライフルにGファンタズマは撃ちぬかれた。

 

「ニキアス!」

「仲間の心配してる余裕はないでしょ」

 

 FXエステレラはDファンネルを射出する。

 Gケラヴィノスは加速してDファンネルの包囲から逃れようとするが、FXエステレラは先回りしてスタングルライフルⅠBをアサルトパックに売り込む。

 すぐにアサルトパックをパージし、ビームサーベルを抜いて接近戦を仕掛けようとするが、Dファンネルの全方位攻撃を受けて撃墜された。

 

「これで砲撃支援はなくなったな」

「すぐにルークたちのところに戻りましょう」

 

 2機を撃墜し5機のジャハナムと交戦しているルークの元に戻ろうとするが、スターユニコーンの左腕がビームに撃ちぬかれる。

 

「くっ! まだいたのか!」

「あのガンプラは……最悪な状況は回避出来たけど、最悪ね」

 

 モニターには対艦ライフルを構えながら接近してくるアルドラのGバシレイアが映されている。

 現状で最も最悪な状況はアルゴスとアルドラがともにいることだ。

 大我がアルゴスを仕留めに向かっているが、アルドラがアルゴスとともに待ち受けていれば勝算は一気に絶望的になる。

 

「行けるわね。ジェイク。アイツはここで抑える」

「だな」

 

 ジェイクのスターユニコーンは左腕を失っているが、クロエのFXエステレラは無傷だ。

 それでもアルドラを相手に勝てる見込みはない。

 だが、勝てずともここで足止めをして大我がアルゴスに勝つまでの時間稼ぎが出来ればそれで十分でもある。

 

「アイツにビームは効かない。なら!」

 

 スターユニコーンはメガビームライフルを捨てると背部のハイパーバズーカに持ち替える。

 そして、腰と脚部のグレネードランチャーを発射する。

 

「温い」

 

 Gバシレイアは対艦ライフルでグレネードランチャーを撃ち落とすとスカートファンネルを射出する。

 それに合わせてスターユニコーンはデストロイモードとなる。

 

「あのバルバトスがファンネルジャックを使えるというのだ。対策をしていない訳がなかろう」

 

 前回のイギリス戦にななかった機能として、スカートファンネルは本体とファンネルをビームワイヤーでつないだ有線仕様となっていた。

 ビームワイヤー同士は干渉しないようになっているため、オメガバルバトス・アステールとスターユニコーンのNT-Dによるファンネルジャックの対策だけでなく、ビームワイヤーによる攻撃まで可能となっていた。

 

「ちぃ!」

 

 スターユニコーンはハイパーバズーカを連射するがビームワイヤーを使って防がれる。

 スターユニコーンもフィンファンネルで対応するが、本体にはリフレクターパックでビームは吸収されてしまうため、迂闊には狙えない。

 スカートファンネルを狙うが、ビームワイヤーで次々と破壊され、ついには自身の逃げ場すらビームワイヤーに阻まれてしまう。

 それをFXエステレラがスタングルライフルⅠBで逃げ場を作ろうとするが、間にGバシレイアが入り、リフレクターパックでビームを吸収する。

 

「邪魔!」

 

 FXエステレラはビームサーベルを抜き接近戦を仕掛け、Gバシレイアは対艦ソードで受け止める。

 

「先に手負いの方を仕留めさせて貰う」

 

 GバシレイアはFXエステレラを弾き飛ばすとバルカンでけん制を入れる。

 その間にもスターユニコーンはハイパーバズーカを失い、最後の抵抗として右腕のビームトンファーを最大出力で展開して被弾覚悟でGバシレイアに突っ込んでいく。

 

「腕の一本でも!」

「気迫だけではどうにもならんな」

 

 Gバシレイアは対艦ライフルでスターユニコーンの右腕を撃ちぬくとスカートファンネルからのビームがスターユニコーンを撃ちぬいてやがて爆発を起こす。

 

「……ジェイク」

「さて……」

 

 GバシレイアはFXエステレラの方を向く。

 2体1でも勝ち目がなかった相手に1対1ではどうにもならない。

 だが、ここで撤退されてアルゴスと合流されたり、ルークの方に行かれる訳にはいかない。

 

「やるしかないわね」

 

 クロエはバーストモードを起動させる。

 普通にやっても勝てないが、バーストモードを使えば少しはマシな戦いにもなるだろう。

 バーストモードを起動させ、2機は対峙する。

 するとGバシレイアの背部で爆発が起こる。

 

「何!」

「……へっ。無防備なところに一撃入れればダメージも入るだろ」

「……まだやれたのか」

 

 そこには大破しながらもフレームを緑色に輝かせるスターユニコーンが漂っていた。

 スターユニコーンはGバシレイアの攻撃をサイコフィールドを使って撃墜だけは回避して何とか大破で持ちこたえていたようだ。

 そして、背を向けたところを残っていたグレネードランチャーをGバシレイアに撃ち込んだ。

 

「……私にも油断はあったようだな」

 

 Gバシレイアは大破したスターユニコーンに対艦ライフルを撃ち込んで今度こそ確実に仕留めた。

 ジェイクの最後の一撃によりリフレクターパックに異常が発生していたため、Gバシレイアはリフレクターパックをパージする。

 

「ジェイク……アンタやるじゃない。でかい図体の癖に手先が器用なだけの奴じゃなかったのね。少し見直したわ」

 

 リフレクターパックを失ったことでビーム兵器が普通に使えるようになったのはクロエにとっては優位に働く。

 その代償としてアルドラには一切の油断がなくなったが、流れはクロエに向いて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アメリカとギリシャが交戦している宙域から少し離れた位置にあるアクシズの表面にアルゴスのGバシレウスは立っていた。

 戦闘の光は見えるが、アルゴスは戦闘に参加することなくアクシズに立っていた。

 まるで何かを待っているかのようにも見えた。

 

「来たか。余程優秀な目を持っていると見える」

「よう……」

 

 Gバシレウスの前に大我のオメガバルバトス・アステールが降り立つ。

 特段隠れていた訳ではないが、何のヒントもなくここまでたどりつくにはもう少し時間がかかるとアルゴスは考えていたが、スローネジーニアスの索敵能力はアルゴスの予測を超えていた。

 

「まさかここまで来るとはな。あの時の言葉は妄言ではなかったという訳か」

「御託はいいよ。こうして俺とお前、遭遇したんだ。やることは一つだろ」

「……確かにな。ならばファイター同士語り合おうではないか」

 

 オメガバルバトス・アステールがバーストメイスカスタムを構える。

 そして、Gバシレウスが発光すると全方位レーザーを発射する。

 Gバシレウスの周囲には巧妙に隠していたが、すでにオメガバルバトス・アステールの胞子ビットが大量に配置されていた。

 大我はリヴィエールからアルゴスの位置情報を聞いてすぐに胞子ビットを展開すると、ばれないように展開していた。

 その後に何食わぬ顔をしてアルゴスの前に姿を現していたのだ。

 だが、アルゴスも周囲にすでに胞子ビットが展開されていたことに気づいていたようで胞子ビットを全方位レーザーで一掃する。

 それが合図となり、大我とアルゴスの頂点を決める戦いの火蓋が切って落とされる。

 

「その程度のことに気づかないほど間抜けじゃなくて安心したよ」

 

 オメガバルバトス・アステールが一気に加速してバーストメイスを振るう。

 大我もアルゴスが気づくことを想定し、アルゴスに初手で胞子ビットを処理させることで、自分の得意な間合いに持ち込むことが狙いであった。

 バーストメイスカスタムをGバシレウスはビームサーベルで受け止める。

 2機のぶつかりあった衝撃は凄まじく周囲に衝撃波を発生させるほどだ。

 

「そうでないとぶっ潰し甲斐がない!」

「残念だがそれは不可能だ」

 

 バーストメイスカスタムを弾くとGバシレウスは至近距離から高出力ビームライフルをオメガバルバトス・アステールに撃ち込む。

 それをGNフィールドで防ぎながら、更に前に出てドリルニーを繰り出すが、Gバシレウスは距離を取る。

 

「逃がすかよ」

 

 オメガバルバトス・アステールはシド丸のビームライフルを一斉に撃つ。

 追尾するビームはGバシレウスを襲うが、アルゴスはかわしながら高出力ビームライフルでビームを迎撃する。

 

「行け」

 

 Gバシレウスは肩と腰のトラックビットを射出する。

 GバシレウスのトラックビットもまたGバシレイアのスカートファンネル同様にビームワイヤーによる有線仕様となっていた。

 

「有線? ビームか……面倒な」

 

 オメガバルバトス・アステールは両肩のブレードプルーマを射出する。

 ブレードプルーマでビームワイヤーを切断しようとするが、切断した瞬間にビームワイヤーは結合し意味がない。

 

「無駄か」

 

 トラックビットの攻撃をかわしながら、背部レールガンを撃つ。

 

「やっぱ撃ち合いは性に合わない。ぶっ潰しに行く方が俺らしいか」

 

 オメガバルバトス・アステールはGNフィールドを展開しながら加速してGバシレウスに突っ込む。

 高出力ビームライフルを撃つもGNフィールドで強引に接近してバーストメイスを振るう。

 その一撃をかわして背後を取り高出力ビームライフルを構えるが、背後に向けてミサイルを撃つ。

 ミサイルはバルカンで迎撃するがその間にオメガバルバトス・アステールは距離を詰めてバーストメイスを突き出してくる。

 

「どうした皇帝? そんなもんかよ!」

「まさか……小手調べに過ぎん」

 

 バーストメイスカスタムをギリギリまで引き付けて回避してビームサーベルを振るう。

 それをGNフィールドで受け止めるが、すぐにGNフィールドは切り裂かれるがその間に回避し、胸部の大口径バルカンを連射する。

 Gバシレウスはトラックビットを戻して高出力ビームライフルで反撃する。

 

「ちっ……」

 

 大我とアルゴスの攻防は一進一退でほぼ互角だ。

 Gバシレウスのトラックビットをバーストメイスカスタムで弾くが、高出力ビームライフルの一撃をGNフィールドで受け止める。

 そのままビームを掃射し続け、オメガバルバトス・アステールはアクシズの表面に叩きつけられる。

 

「その程度では落ちんか」

「当然だ。俺はお前をぶっ潰すためにここにいる」

 

 オメガバルバトス・アステールはアクシズの表面に立ち上がる。

 叩きつけられたダメージは特にないようだ。

 オメガバルバトス・アステールはシド丸の頭部を前方に展開し、アステールキャノンの発射体勢を取る。

 同時にGバシレウスもトラックビットを機体に戻すと前方に向けて高出力ビームライフルを構える。

 

「戯言を……誰であろうと立ちはだかるのであれば排除する。我が名に賭けても!」

「これが最後なんだ……だからさ、皇帝の分際で邪魔すんなよ!」

 

 2機から放たれた高出力のビームが真向からぶつかり合う。

 ビームの威力は互角でどちらも譲らない。

 そして、ぶつかり合うビームは閃光となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 大我とアルゴスの戦闘が一進一退で繰り広げられているころ、ルークたちの戦闘も動き始めていた。

 ソルエクシアのGNビッククローがジャハナム・ロコスを捕らえると至近距離から粒子ビームを撃ち込み撃破する。

 その間にもソルエクシアはGNフィールドで身を守りながらGNソードでジャハナム・ロコスのシールドを切り裂く。

 

「流石に簡単には落とさせてはくれないか……」

 

 GNビッグクローを戻し、GNビッグキャノンを放つ。

 散開したジャハナム・ロコスの内、シールドを失っている機体に雷邪がべヨネットライフルを撃ちながら突っ込む。

 べヨネットライフルで頭部が破壊されるも、ライフルの残弾が尽きて、そのままジャハナム・ロコスの肩に突き刺すとヘビークラブで止めを刺す。

 

「これで2機目……ディランの援護に行きたいが……」

 

 戦場にはディーナのGカタストロフィーが合流し、現在はディランのZガンダム・シュテルンと交戦中だ。

 すでにグングニルを失っているが、Zガンダム・シュテルンもプロトフィンファンネルを失っている。

 ツインメイスを持ち、接近しようとしているGカタストロフィーに何とか距離を取りたいZガンダム・シュテルン。

 だが、思うように距離を取れずに攻撃をかわすので精一杯だ。

 

「余所見をしている余裕があるのか?」

 

 ジャハナム・ロハゴスがビームナギナタで接近戦を仕掛けて来る。

 それをGNソードで受け止める。

 

「コイツも厄介だ」

「ルークさん! コイツは俺が!」

 

 ライアンのスタークアデルがシールドライフルを撃ち、ジャハナム・ロハゴスをソルエクシアから引き離す。

 シールドライフルからビームサーベルを出すとジャハナム・ロハゴスに切りかかる。

 

「その程度の実力で!」

 

 ジャハナム・ロハゴスはビームナギナタでスタークアデルの左腕を切り落とす。

 

「腕の一本や二本はくれてやる!」

 

 腕を切り落とされながらもスタークアデルはジャハナム・ロハゴスに体当たりをして、スラスターを最大出力で使い、ジャハナム・ロハゴスをその場から引き離そうとする。

 

「くっ! 小癪な真似を!」

 

 ジャハナム・ロハゴスは自身のスラスターで速度を落としながら膝蹴りでスタークアデルの体勢を崩すと至近距離からバルカンを撃ち込みながらビームナギナタで右腕も切り落とす。

 

「大我さん! 後は頼みます!」

 

 スタークアデルの胴体をビームナギナタのビーム刃が貫き爆散する。

 

「やってくれたな」

 

 スタークアデルが時間を稼いでいる間にソルエクシアはZガンダム・シュテルンの方に向かっていた。

 位置的に追いかけたところで時間がかかりそうだった。

 

「仕方がないか」

 

 セルジオスはソルエクシアの追撃よりも残る2機のジャハナム・ロコスと交戦している雷邪を先に仕留めるために機体をそちらに向けた。

 

「いい加減にしてほしいですね」

「ちょこまかと!」

 

 Gカタストロフィーの攻撃をかわしてZガンダム・シュテルンはロングメガライフルを撃つ。

 だが、Gカタストロフィーは推力に物を言わせて的を絞らせないようにしている。

 

「ディラン。待たせた」

 

 そこにルークのソルエクシアが到着する。

 

「ルーク。助かります」

「援護する」

 

 ソルエクシアはGNビッグキャノンを撃つ。

 

「っ! 何なの!」

 

 動きの先を読んだ砲撃にGカタストロフィーは足を止めざる負えなかった。

 足を止めたところをZガンダム・シュテルンがロングメガライフルで狙い撃つ。

 ビームは直撃したもののGカタストロフィーの装甲に弾かれてダメージは与えらない。

 

「固いですね」

「確かにな。だが、ウチの大我に比べるとマシだと思えばどうということはない」

 

 ルークの言葉にディランは思わず苦笑いする。

 比較対象としてはおかしいが、大我のオメガバルバトス・アステールの防御力と比べれば大抵のガンプラの装甲は紙装甲と言ってもいい。

 実際のところはそう単純ではないが、そう考えるとGカタストロフィーの防御力も大したことはないように思えて来る。

 

「さて、大我が皇帝を倒すまでの間、持ちこたえるぞ」

 

 ソルエクシアとZガンダム・シュテルンはそれぞれの武器を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オメガバルバトス・アステールとGバシレウスの攻防に決着がつくことはなかった。

 オメガバルバトス・アステールが仕掛ければGバシレウスが完全に凌いで見せる。

 逆にGバシレウスが隙をついてもオメガバルバトス・アステールは確実に防ぎ反撃する。

 それの繰り返しだ。

 

「よもやここまでやるとはな! 姉上とてここまでやれはしない!」

「知るかよ」

 

 バーストメイスの突きを高出力ビームライフルの銃身で受け流す。

 

「このままではお互い決定打に欠ける。ならば、こちらから切り札を切らせて貰う。これを見せるのは父上と2人目だ」

 

 アルゴスはこれ以上の攻防で大我が勝敗を決めるミスを犯すことはないと判断した。

 ならば力を持ってねじ伏せるしかない。

 Gバシレウスの4つのトラックビットが羽のように展開されるとGバシレウスは白く輝き始める。

 大我は全方位レーザーを警戒するが、次の瞬間Gバシレウスはオメガバルバトス・アステールの背後に回り込んでいた。

 

「後ろか!」

 

 反射的に背後に振り向きざまにバーストメイスを振るうが、すでにGバシレウスはそこにはいない。

 

「ナイトロを使わずともその反応速度は賞賛に値する……が、しかし!」

 

 再び背後に回り込んでいたGバシレウスがビームサーベルを振り下ろす。

 オメガバルバトス・アステールは左腕のチェーンソーブレードで受け止めようとするが、チェーンソーブレードは一撃で破壊される。

 すぐに腰のワイヤーブレードを射出するが、Gバシレウスに当たることはない。

 

「ちっ」

 

 この状態のGバシレウスはアルゴスの切り札であるフォトンモードだ。

 フォトンモードになったGバシレウスの機動性能はオメガバルバトス・アステールを遥かに凌駕する。

 アルゴスとGバシレウスの元々の圧倒的な戦闘能力からフォトンモードを使ったのは以前に父親と本気のバトルをしたとき以来だ。

 アルドラとの本気のバトルですら、フォトンモードを使う必要はない。

 今こうしてフォトンモードを使ったのも、大我にはフォトンモードを使うに値し、使わねば勝てない相手だと認めたからに他ならない。

 オメガバルバトス・アステールは超硬ワイヤーブレードを全て射出するが、フォトンモードのGバシレウスの機動力の前ではあっさりと破壊されてしまう。

 

「厄介な物を……バーストモードを使うか? 駄目だ。あれでも追いつけない。ならナイトロでカウンターを狙うか? んなことが通用するかよ」

「考えている余裕があるのか?」

 

 Gバシレウスは至近距離から高出力ビームライフルを撃ち込む。

 GNフィールドを張って守るが、そのままアクシズに叩きつけられる。

 バーストメイスカスタムをアクシズに突き立ててようやく止まる。

 

「どうした? その程度か? 父上が唯一のライバルとして認めた男の息子の実力は」

「……うるさいんだよ。さっきから……俺はお前と舌戦をしに来た訳じゃないんだよ。お前をぶっ潰しに来たんだよ。俺たちビッグスターのバトルは最後だ。なら最後までチームを勝たせるのがエースである俺の役割」

 

 オメガバルバトス・アステールは立ち上がる。

 ところどころにダメージはあるが、まだ戦闘に影響はない。

 

「……とか考えていたけど、もう……どうでもいい。考えるのは止めた。そういうのはルークとか諒ちゃんとか考えるのが好きな奴らが考えればいい」

 

 大我も大我なりにチームのエースとしての役割を持ってここまで来た。

 チームのエースとしてチームを勝利させる。

 それが大我のチームでの役割。

 だが、大我はそんなことは全てどうでも良くなった。

 

「俺はお前をぶっ潰す。世界で一番のファイターになるため、俺自身が最強であることを証明し続けるために」

 

 チームのためではなく己のため。

 大我は今大会で初めてチームのためではなく自分のためだけに戦おうとしている。

 余計な事は一切考えず、ただ目の前の敵をぶっ潰すために。

 

「お前がそうさせたんだ。最後まで死ぬ気で付いて来いよ」

 

 大我がそういうとオメガバルバトス・アステールは金色に光り輝き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「何だあの光は?」

「金色の光……スーパーモードの光とでも?」

 

 アクシズから離れた宙域でもオメガバルバトス・アステールの輝きは見えた。

 ルークとディランとディーナの戦いはジョーやセルジオス達をも巻き込み激化していた。

 すでに全機が満身創痍でいつ誰が撃墜されてもおかしくはない状況だ。

 

「そんなちゃちな物と一緒にして貰ったら困る」

 

 後方から戦場の情報を逐一把握していたリヴィエールが通信に割って入る。

 金色の光からGガンダムのスーパーモードを連想したが違うようだ。

 

「あれはリミッター解除トランザムNT-Dナイトロバーストモード」

「それは一体?」

「だ~か~ら! トランザムバーストモードリミッター解除ナイトロNT-Dだってば!」

「先ほどとは変わってませんか?」

 

 リヴィエールはディランの突っ込みをスルーして話を進める。

 

「私がオメガバルバトス・アステールに搭載したリミッター解除にトランザム、NT-D、ナイトロ、バーストモードの5つの特殊システムを同時に使用した状態よ。あれは」

「全てを……それでどうなる?」

「相手は死ぬ」

 

 リヴィエールのこれ以上ない簡潔な説明だが、簡潔過ぎていまいち容量を得ない。

 分かっているのはオメガバルバトス・アステールに搭載された5つの特殊システムを全て同時に起動させた状態ということくらいだ。

 今までのバトルでは複数を同時に使用することはあっても全てを同時に使うことは出来なかった。

 決勝戦を決めてからの間にリヴィエールが奥の手として用意したものなのだろう。

 その輝きはクロエとアルドラのところでも確認できた。

 

「あれは……アルゴス!」

 

 アルドラもその輝きがまともな物ではなく、それが弟の危機につながると直感的に感じていた。

 だからこそ、すぐにでもアルゴスの元に向かわねばならないと焦りを募らせる。

 

「行かせないっての!」

 

 だが、クロエがその行く手を遮る。

 すでにバーストモードが終わり、機体はボロボロ、残るDファンネルも僅かと何とかここまでアルドラに食らいついて来た。

 対するGバシレイアはリフレクターパックを失った以外の損傷はない。

 流れを掴みバーストモードを使ってもクロエとアルドラの実力差は大きかった。

 

「そこをどけ!」

 

 アルドラは焦りから感情的になり、Dファンネルの攻撃を回避しながら対艦ライフルでDファンネルを撃墜していく。

 感情的になっても尚、正確な攻撃は衰えてはいない。

 

「嫌よ!」

 

 スカートファンネルをビームサーベルで切り裂き、Gバシレイアに接近する。

 対艦ライフルで迎え撃つが、ビームシールドで身を守る。

 数発でビームシールドが破られて、片腕を失うがGバシレイアに取りつくことに成功する。

 対艦ライフルを残っている腕と脇でしっかりと挟み込んで対艦ライフルを封じる。

 Gバシレイアは左腕のシールドでFXエステレラの頭部を殴る。

 FXエステレラの頭部はもげるが対艦ライフルを決して離しはしない。

 

「離れろ!」

「ここで離したら女が廃るでしょうが!」

 

 背後からスカートファンネルの攻撃を受けながらもクロエは必死にアルドラを足止めするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金色に輝くオメガバルバトス・アステールにアルゴスはバトルで初めて恐怖を感じていた。

 オメガバルバトス・アステールから感じられるのはただ相手を破壊することのみを考える純然たる暴力。

 今まで戦って来た相手とは全く違う。

 自身の理解の及ばない未知の存在にすら見えて来る。

 

「来る!」

 

 そう直感すると同時に回避行動をとる。

 その判断が少しでも遅れていたら今頃はバーストメイスの餌食となっていた。

 

「早い!」

 

 一瞬の内に距離を詰めて攻撃していた。

 その速度はフォトンモードとなったGバシレウスと同等かそれ以上に感じる。

 そして、Gバシレウスにはない一撃必殺の攻撃力をオメガバルバトス・アステールは持っている。

 Gバシレウスは高出力ビームライフルを向けるが、すでにそこにはオメガバルバトス・アステールはいない。

 

「何? そこか!」

 

 Gバシレウスは高出力ビームライフルを向けようとするが、すでに接近していたオメガバルバトス・アステールはGバシレウスを蹴り飛ばす。

 何とか高出力ビームライフルでガードできたが、アクシズの表面に叩きつけられる。

 

「パワーがこれまで以上だとでもいうのか……」

 

 銃身の強度の高い高出力ビームライフルだが、今の一撃で銃身が曲がって使い物にならなくなっていた。

 

「だが、そのパワーにも代償はある」

 

 オメガバルバトス・アステールの右足は蹴った時の反動で足のパワーユニットごと膝の関節が本来は曲がらない方向に曲がっていた。

 すぐに右足がパージされる。

 それを見ていたアルゴスは冷静さを取り戻していく。

 今のオメガバルバトス・アステールはアルゴスですら気圧されるほど圧倒的な戦闘能力を持っている。

 しかし、それ故に自身への負荷も尋常ではないのだろう。

 

「ならばやりようは……」

 

 Gバシレウスがビームサーベルを抜こうした瞬間にオメガバルバトス・アステールが目の前に現れる。

 そして、バーストメイスカスタムが振り下ろされた。

 ギリギリのところで回避し、バーストメイスカスタムはアクシズを一撃で粉砕した。

 

「出鱈目だな。だが……」

 

 アクシズを一撃で破壊する程の攻撃力を見せつけられてアルゴスは笑っていた。

 圧倒的な戦闘能力を前にアルゴスの王者としての肩書など意味はない。

 今のアルゴスは王者ではなく挑戦者。

 父親とのバトル以外に挑戦者として挑むのは久しぶりだ。

 ガンプラバトルを姉とともに父から教わり、強くなる実感に心が沸いたことがアルゴスにもあった。

 実力をつけていくといつの間にか忘れていた。

 自分の全てを出して全力で戦うバトルを。

 大我とのバトルはアルゴスが忘れていたあの頃を思い出させるには十分だった。

 だが、そんな感傷に大我は浸らせはくれない。

 今の一撃で左腕のパワーユニットに不具合が出たのか、左腕のパワーユニットをパージすると、バーストメイスカスタムを逆手に持ち帰る。

 振り被ったと思った次の瞬間にはバーストメイスはGバシレウスの横を凄まじい衝撃波とともに遥か遠くへと飛んで行った。

 アルゴスは完全に反応できなかったが、とんでもない速度でバーストメイスカスタムを投擲したのだろう。

 大我がバトル中にメイスを投擲することはよくあることだ。

 その精度は非常に高いが、今回ばかりはその勢いがゆえに精度が落ちて外れてくれた。

 

「……面白い」

 

 下手をすれば今ので負けていたかも知れないとアルゴスは感じるが、精神的にはまだ余裕がある。

 オメガバルバトス・アステールは右腕のパワーユニットをパージする。

 

「藤代大我。お前は強い。それは認めよう。だが勝つのはこの俺、アルゴス・アレキサンダーだ!」

 

 大我は何も答えずに突っ込んでくる。

 落ち着きさえすればフォトンモードのGバシレウスが機動力で遅れを取ることは早々あり得ない。

 オメガバルバトス・アステールのドリルニーをかわすと背後と取りビームサーベルを振るう。

 シド丸の翼の片方を切り裂くことに成功する。

 オメガバルバトス・アステールは残る片翼のビームライフルを撃つが、追尾したところでGバシレウスに届くことはない。

 攻撃を回避していると、オメガバルバトス・アステールはシド丸をパージする。

 パージされたシド丸は爆発を起こす。

 オメガバルバトス・アステールはオメガバルバトスとなり、Gバシレウスを追いかける。

 戦場に金色と白い光が幾度も交差する。

 

「何言ってんだよ」

 

 Gバシレウスの背後に回り込んだオメガバルバトスはGバシレウスのバックパックを強引にもぎ取ろうとするが、その前にバックパックをパージして振り向きざまにバルカンで自身のバックパックを爆発させる。

 爆発から飛び出てきたオメガバルバトスは左足のパワーユニットと胸部の追加装甲をパージする。

 

「勝つのは俺だ」

 

 不要となったパーツをパージした事でオメガバルバトスは更に加速する。

 Gバシレウスは頭部のバルカンを撃つが、バルカンがオメガバルバトスを捉えることはない。

 今度は両肩から煙が上がり、オメガバルバトスは両肩の装甲をGNドライヴごとパージした。

 

「そこまでになりながらも尚戦うか!」

 

 すでにオメガバルバトスの追加装備の大半を失っている。

 射出されたテイルメイスをGバシレウスはビームサーベルで切り裂く。

 オメガバルバトスは更に加速して真向から向かってくる。

 Gバシレウスはバルカンを撃ちながら迎え撃つ。

 バルカンでのダメージはないが、オメガバルバトスの装甲はとうに限界迎えて内部フレームから砕けて剥がれていく。

 ついにはオメガバルバトスの右腕が肩からフレームごと外れて飛んでいく。

 それでも大我が止まることはない。

 

「俺が……」

 

 Gバシレウスはビームサーベルをオメガバルバトスに向けて突き出す。

 オメガバルバトスも左手の爪を突き出す。

 2機がぶつかり合い、ルークたちのところまで見えるほどの光を放つ。

 

「あの光は……一体どっちが……」

 

 ソルエクシアはバックパックのセラヴィーⅡを失い、その周囲にはボロボロになり、ビームサーベルをジャハナム・ロハゴスの胴体に突き刺し、ジャハナム・ロハゴスのビームジャベリンが太ももに突き刺さっているZガンダムシュテルンに全身にGNソードビットが突き刺さり、GNソードが突き立てられたGカタストロフィー。

 少し離れたところには2機のジャハナム・ロコスにビームナギナタを突き刺されながら、ヘビークラブで1機の頭部を潰し、もう1機の胴体にナックルシールドをぶち込んだ雷邪が漂っている。

 戦場の端には戦闘には一切参加せずに戦場で唯一無傷のスローネジーニアスがいた

 

「そんなの決まってるじゃん」

「ああ。あれだけの巨大な星を見せつけることが出来るのはアイツに決まっている」

 

 その光景はアルドラも見ていた。

 GバシレイアはビームサーベルをFXエステレラに背中から突き出して止めを刺したが、クロエは決着がつくまでの間時間を稼ぐことには成功していた。

 

「……アルゴス」

 

 止めを刺していたものの、Gバシレイアはその場から移動することはなかった。

 すでにその決着を悟っていたからだ。

 その光の中心では決着がついていた。

 Gバシレウスのビームサーベルがオメガバルバトスの頭部を貫き、バックパックまで到達していた。

 そして、オメガバルバトスの左腕はGバシレウスの胴体を貫いていた。

 

「俺が……最強だ」

 

 Gバシレウスのツインアイから光が消える。

 損傷で言えばバックパックとライフルを失っただけのGバシレウスとボロボロのオメガバルバトスと大きな差はあるが、最後の一撃は大我に軍配が上がった。

 バトルに決着がつき、観戦していた観客たちは新たな王者の誕生に沸いた。

 

「負けたか」

「……アルゴス」

 

 ログアウトしたアルドラはアルゴスの様子を伺う。

 ここまで王者として君臨してきたアルゴスは敗北したが、その表情には悔いや後悔は見られない。

 むしろ、どこか清々しさすら見て取れた。

 

「姉上、アイツは強かったよ」

「……そうね。アルゴスが負けるくらいだもの」

 

 アルドラはそう優しく語りかけた。

 

「やりやがったな! コイツ!」

 

 静粛に敗北を受け入れていたギリシャ代表チームとは異なり、アメリカ代表チームは勝利に歓喜していた。

 ログアウトするとすぐにジェイクが大我に駆け寄りヘッドロックをかけて喜びを表す。

 

「……苦しい」

「マジで皇帝をぶっ倒しやがって!」

「大したものですよ」

「大我さん! マジパネェっす!」

 

 仲間たちが勝利した大我を称える。

 誰彼構わず喧嘩を売っていくスタイルの大我も珍しく照れながらそっぽを向いているが、見えないように拳を握りガッツポーズを取っている。

 

「言ったろ。俺は最強だって」

「まぁ私がアルドラを抑えたお陰でしょ。どっかのデカブツは早々にやられて一人で足止めをする羽目になったけどね」

「私のガンプラのお陰だから今日の勝利は私がMVPよね」

 

 皆が自分の想いを口にする。

 自身の活躍を主張する者、仲間の活躍を賞賛する者。

 誰かが常に口を開き言葉が途絶えることはない。

 まるでこの時間を永遠に終わらせたくはないかの如く。

 

「みんな、聞いてくれ」

 

 ルークの言葉に一同は口を噤む。

 始めこそはバトルの内容にかかわることだったが、話す内容がなくなってきたのか、最後はどうでもいいようなことばかりが出てきていた。

 

「僕たちビッグスターは元々は回りに馴染めなかった者たちが集まってできたチームだ」

 

 彼らのフォースであるビッグスターの始まりはそこからだった。

 皆が皆、それぞれの理由からリアルでガンプラを共に作り語り合い、GBNで遊ぶ相手がいなかった。

 

「でも僕たちはついにやり遂げた。僕たちの代では不動の皇帝を打倒した。僕たちの存在を誰も否定はできない。だからこそ、僕たちは今日この日を持ってチームビッグスターは解散する」

 

 ルークはそう宣言した。

 どのみち、ルークをはじめとした一部は来年からはジュニアクラスからオープンクラスへ自動的に変更されることとなる。

 このメンバーでこうして公式大会に出られる機会も少なくなる。

 世界大会で優勝した実績があればリアルでもGBNでも彼らを放ってはおかれない。

 この大会が終わると同時にチームを解散することは前から決まっていたことだが、いざその時を迎えてしまうとどうすればいいのか誰も分からない。

 ただ言えることは、ジュニアクラスの世界大会で優勝したと同時に解散した事でチームビッグスターはリベンジしようとするダイバーから永遠に勝ち逃げをすることとなり、GBNの歴史に大我たちの父親世代で伝説となったビルドファイターズと同様に新たな伝説として刻まれることとなるということくらいだ。

 この日、GBNに新たな伝説が生まれたのだった。

 

 

 

 

 

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