ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

48 / 66
ブレイクデカール

 

 

 

 初めてGBNでバトルをした翌日、優人はソラと共にGBNにログインしていた。

 ソラは今日も大学をサボるつもりだったが、優人は流石に二日連続で大学をサボるというのもどうかと思い授業が終わってからGBNにログインすることとなった。

 前回は宇宙でのバトルだったが、今回は地上ステージでバトルを行っている。

 フィールドは見渡しが良く、他のダイバーが近くにいればすぐにわかる草原エリアだ。

 ビルドナラティブは始めからストライクアーマーを装備した状態になっている。

 現在使えるアーマーはストライクアーマーのみでアーマーを装備していない状態と比べるとアーマー分の重量の増加はある物のそれ以外のスペックは全てストライクアーマーを装備していた時の方が高く、アーマーを装備しない理由はない。

 

「ユート! そっちに行ったぞ!」

「ああ! 任せろ! ヤガミ」

 

 ビルドナラティブはスラスターを全開にして飛び上がると降下しながらリーオーNPDにビームライフルの照準を合わせて引き金を引く。

 ビームは正確にリーオーNPDを撃ちぬき、ビルドナラティブは着地する。

 

「だいぶ地上戦も慣れてきたな」

「まぁな」

 

 ソラのエアブラスターもビルドストライクの横に着地する。

 

「けど、ストライクアーマーの背中にはでかいブースターがあるのに飛べないんだな。普通に飛べるヤガミのガンプラはずるくないか?」

「そうは言われてもな……エールストライカーはデスティニーのルージュのように改良型は重力下でも飛べるけどシードの時は滑空するのが精一杯だったからな」

 

 エアブラスターは重力下でも高い空戦能力を持っているが、ストライクアーマーでは長時間の飛行能力は持っていなかった。

 GBNのシステム上はベース機のガンプラが作中で飛行能力を持っていれば自動的に飛行スキルは所得される。

 作中で飛行できない機体も改造やダイバーポイントを使って飛行スキルを取得することで飛行は可能になるのだが、ビルドナラティブは飛行スキルなどのスキルを後付けできない仕様になっている。

 そのため、ビルドナラティブは飛行可能なアーマーが使えるようになるまでは空は飛べないということだ。

 

「それは置いておいて、新しいアーマーは使えるようにはなったのか?」

「いや……ストライク以外はまだだ」

 

 かれこれ2,3時間はバトルをしているが未だにアーマーはストライクアーマーのみだ。

 ソラの見立てではAGEシステムのように戦闘を繰り返せば新しいアーマーが解禁されていく仕様なのではないかと思っている。

 前回のバトルよりもはるかに長い時間のバトルを行っても新しいアーマーは使えるようにはなっていない。

 

「そっか。なら戦闘以外でも何か解放条件があるのかも知れないな」

「だな。まぁ楽しみは後にとっておくのも悪くないさ」

「ユートがそういうなら俺も焦って行動はしないけど、そろそろ休憩でもするか」

 

 GBNでのアバターは疲れることはないが、それでもダイバーの感覚的には一度休憩を入れておきたかった。

 優人とソラはコックピットのハッチを開けるとガンプラから降りる。

 

「にしてもこれも全部作り物とは思えないな」

「それは誰もが通る道だな」

 

 ソラはGBNの大地を見る優人を見て何度もうなづく。

 GBNの広大な大地は初めてGBNをプレイしたダイバーには作り物には見えない。

 

「で、感動しているところ悪いんだが、今後のことを話しとこうぜ」

「ああ。初心者でもできるような簡単なミッションから始めていくんだろ?」

「それもあるんだが、事前に落しえておいた方が良い事がある」

 

 ソラは珍しくまじめな表情をする。

 

「最近はこっちのディメンジョンでも使うダイバーがいるって聞くんだが、ブレイクデカール使いと戦うことは極力避けた方が良い。今の俺たちでは勝ち目は薄いからな」

「ブレイクデカール?」

 

 始めたばかりで初めて聞く単語の多い優人だが、ソラの言うブレイクデカールも初耳のようだった。

 

「まぁ平たく言うと自分のガンプラを一時的に強化したり特殊機能をつけることのできる特殊なツールの総称だよ」

 

 ブレイクデカールとはここ数年の内に出回るようになった非公式のツールのことだ。

 誰が作り広めたのは今となっては誰も知らず、それをガンプラに取り付けることでガンプラの性能を各段に上げたり、強力な能力を得たりすることが可能なツールでその是非に関してはGBNでも大きく荒れている。

 ガンプラを手軽に強化できることから一部のダイバーから努力もしないで簡単に力を得ようというのは虫が良くて卑怯なのではと批判を受けている。

 同時にダイバーポイントを使い他のダイバーや運営の公式ストアから強力なパーツデータを買うのと同じで、課金と同じで利用したいダイバーは使えば良いという肯定意見も出ている。

 それらの主張は掲示板やGBN内でも大きくぶつかりあって大炎上した時期もある。

 やがて否定派が論争に決着をつけるために中立を保っていた運営にブレイクデカールは不正にゲームデータを改ざんする類の不正ツールなのではと通報した。

 その結果、運営はブレイクデカールを調べた結果、ゲームシステム的には不正なパラメーター操作は行われてはおらず、ゲームシステムに乗っ取った物であると結論を出し、ブレイクデカールの使用はダイバー個人の采配に任せるとなった。

 それにより肯定派の意見が勝利した事になるが、否定派はそれでも付ければ用意に力を得ることが出来るという点は受け入れ切れずにブレイクデカールを使用するダイバーのことを侮蔑を込めてチートから取ってマスダイバーと呼ぶこともある。

 

「そんな物まであるんだな」

「ブレイクデカールを毛嫌いするダイバーも多いから今のところはユートも使わない方が賢明だな」

「分かった。それにまだビルドナラティブの力を全部引き出せてはいないんだ。だからそんなツールに頼るのは早いしな」

「だな。下手すりゃアーマーは全てのガンダムかモビルスールの数だけあるかも知れないしな」

 

 現在解放されているアーマーはストライクのみだが、解放可能と思われるアーマーの数は一覧の???の数だけある可能性が高い。

 数が多すぎて正確な数は分からないが軽く100以上はある。

 その数からソラは最低でもアニメ化されている本編のガンダムタイプかモビルスールの能力を持ったアーマーが使えて、外伝作品は有名どころは使えるかも知れないを見ている。

 そう考えるとビルドナラティブの可能性は無限大で、ブレイクデカールのような外付けのツールは必要ないのかも知れない。

 

「……ヤガミ。なんか向こうで爆発が起きてるみたいだけど?」

「本当だな。他のダイバーが戦闘してるみたいだな。行ってみるか? 他のダイバーのバトルを見るだけでもいろいろと勉強になるからな」

 

 ソラの意見に優人はうなづく。

 二人はガンプラに乗り込むと戦闘が行われている方向に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 優人達が向かった先には1機のガンプラを複数のガンプラを囲むようにして戦闘が繰り広げられていた。

 攻撃を受けているガンプラはストライクの改造機であるアーマードストライク。

 ストライクのストライカーパックはバックパックを中心に肩と腕に装備を追加するものだが、アーマードストライクは全身に専用のアーマードストライカーを追加できるようになっている。

 そのため、本体の装備はサイドアーマーに収納されているビームソードと頭部のバルカンだけだ。

 現在は高機動用装備であるアサルトアーマードストライカーを装備している。

 アサルトアーマードストライカーはシナンジュをモデルにしており、背中にはフレキシブルスラスターとプロペラントタンク、全身にはスラスターを内蔵した深紅の装甲が取り付けられている。

 追加の装備はストライクと同じシールドとビームライフル、シールドの裏にはビームアックスが装備されており、シナンジュと同じようにシールドに着けたままでも使用できるようになっている。

 

「これだけ数がいても実力は大したことはないようね」

 

 アーマードストライクのダイバーであるユウリは敵の実力をそう評価する。

 ユウリは長い髪を後ろで一纏めにしており、ゴーグルをつけていることが特徴だ。

 このゴーグルは高難度ミッションのクリアアイテムで外見を変えるアクセサリーアイテムというだけではなく、レンズには拡大機能を初めとして様々な情報を表示できるものだ。

 アーマードストライクはビームライフルでガルムロディを撃ちぬき、接近してきたスラッシュザクウォーリアをビームアックスで破壊する。

 

「相手は1機なんだぞ!」

「囲んでしまえば!」

 

 相手のダイバーたちは予想以上の相手に同様しながらも果敢に攻め込むが、数で囲んで叩くしか能がないのか各機の連携はお粗末でアーマードストライクは容易に数を減らしていく。

 元々、彼らは初心者が集まり易いエリアで、フォースに入る前の少数のダイバーを多数で囲んで倒しては少ないダイバーポイントをコツコツを集めるような連中だ。

 ユウリはたまたまミッションの関係で近くを通りかかったところを単機というところで狙われたが、数だけでどうにかできる相手ではなかった。

 

「あのストライクベースのガンプラ。強いな」

「ああ。俺でも分かる」

 

 戦闘から少し離れたところから優人とソラがその戦闘を見ていた。

 始めは数の差から優人が助太刀に向かおうとしたが、すぐにその必要はないと思うほどに実力差は大きかった。

 

「これで終わりか」

 

 戦闘は一方的に終わり、残っていたのはアーマードストライクだけだ。

 戦闘が終わったため、ソラは優人と共にその場を離れようとしたが、突然、ビルドナラティブは飛び出してビームライフルを撃つ。

 

「ユート!」

 

 ソラは戦闘が終わって気の緩む瞬間を狙って攻撃を仕掛けたと思ったが、ビームはアーマードストライクからそれで、倒れていたガンプラに向かっていた。

 敵の中には完全には破壊されておらず、やられた振りをして戦闘が終わったタイミングで不意打ちをしようと待っていたガンプラがいたようで、優人はそれに気づいて飛び出した。

 ビームは2発同時にやられた振りをしていたガンプラに直撃して今度こそ完全に破壊された。

 1発のビームはビルドナラティブだが、もう1発はアーマードストライクの撃ったものだった。

 ユウリもやられた振りをしていたガンプラに気づいていたようだ。

 

「誰?」

 

 飛び出してきたビルドナラティブにユウリは一定の距離を保ち明らかに警戒した様子を見せる。

 それを見た優人は敵対する意思がない事を示すためにビームライフルをリアアーマーにつけて両手を上げるしぐさをする。

 

「俺たちに敵対する意思はない。ちょっとバトルを見学させてもらっただけだ」

 

 後ろから同様にライフルを腰につけたソラのエアブラスターが到着する。

 ユウリも攻撃する気はないようだ。

 

「俺の助けは必要なかったようだな」

「そうね」

 

 ユウリはそれだけ言うとその場から離れようとする。

 

「あ! 待った! バトルが終わったばかりで悪いんだけどさ。俺ともバトルをしてもらえないだろうか?」

 

 優人の突然の申し出にユウリも足を止める。

 

「何で?」

「俺、この前、GBNを始めたばかりでまだNPDくらいとしかバトルをしたことはないんだ。さっきのバトルで君が強いのは良く分かった。だから一度、俺ともバトルをして欲しい」

 

 ユウリが強いということは十分承知だ。

 今の優人では勝つことが難しいところもだ。

 しかし、例え勝つことが出来なくても実力のあるダイバーとは直接バトルをしてみたくなった。

 

「私には何のメリットもないわ」

 

 ユウリはバッサリと切り捨てる。

 優人にとっては強い相手と戦うことは経験になるが、ユウリにとっては格下の相手と戦ったところで得る物は何もない。

 向こうからすれば意味もなく戦う理由はない。

 

「それでも戦いたいというのであれば、問答無用で攻撃してくればいいわ。それなら私も自分の身を守るために戦わざる負えないから」

「ゲーム的にはありかも知れないけど、そういうことはしたくないんだよな」

 

 ディメンジョン内ではバトルが禁止されているところ以外では相手の了承を得ずとも戦闘を仕掛けることは禁止されていない。

 それが初心者狩りなどに繋がるため、問題視されているがダイバー同士の戦闘で一々互いの了承が必要になれば拠点への奇襲攻撃等も出来なくなる。

 ルール上は禁止されていなくても、ユウリと戦うのは自分の都合である以上は相手の了承を得てから堂々とバトルを挑みたかった。

 

「じゃぁ諦めなさい」

 

 ユウリも優人からの挑戦を受ける気はないらしい。

 優人もこれ以上、粘っても受けてはもらえないと判断しようとしたとき、3機のコックピットに警告音が鳴り響く。

 そして、多数のミサイルが降り注ぐ。

 

「何だ!」

「まだいたのね」

「ユート! 囲まれてるぞ!」

 

 ミサイルによる被害はなかったが、周囲に多数のガンプラの反応があった。

 

「何だよ。もう終わってやがる」

「いきなり何をするんだ!」

 

 攻撃してきたガンプラの中でリーダー機と思われるペーネロペーを中心に10機近いガンプラに囲まれている。

 

「あなた達、さっきの連中の仲間なの?」

「はっ! 奴らは雑魚を囲んで叩くことしかできねぇ雑魚どもだ! だが俺たちは違う。俺たちには力がある!」

 

 ペーネロペーのダイバーがそういうと囲んでいたガンプラたちから次々と禍々しいオーラが発生する。

 

「力ね……要するに貴方たちはブレイクデカール使いって訳ね」

「ブレイクデカールってさっきヤガミが行っていた奴か」

「嘘だろ。ブレイクデカールにこの数は……」

 

 今度の敵は全機がブレイクデカールを搭載しているようだ。

 ユウリの表情はまだ余裕があるが、ソラは引きつっている。

 ブレイクデカールの能力を良く知らない優人は状況が追い詰められていることだけは分かった。

 

「やっちまえ!」

 

 リーダーの掛け声で一斉に攻撃が始まる。

 ビルドナラティブはビームライフルで迫るストライクダガーにビームライフルを撃つ。

 ビームはストライクダガーの肩に当たるが、一瞬よろける程度でダメージはまともに与えられてはいない。

 

「防御が強化されているのか!」

 

 ストライクダガーのビームをビルドナラティブはシールドで防ぐ。

 

「ユート! 無理に倒そうとはするな! ここは何とか離脱するんだ」

 

 バトル中にログアウトすることは基本的に認められてはいない。

 この場で撃墜されるか戦闘宙域から離脱するしか逃れる術はない。

 だが、撃墜されるとダイバーポイントがペナルティとして減るため、可能ならば離脱した方が良い。

 

「けど、いきなり攻撃してくるような奴らに……」

 

 ブレイクデカールによって強化されている相手のガンプラは優人が戦ったことのあるリーオーNPDとは性能がまるで違う。

 動きもNPDとは違う。

 状況的に離脱するのが最善ではあったが、いきなり攻撃を仕掛けて数で囲むようなやり方をするダイバーに背を向けて逃げたくはないというのが本音だ。

 

「何だ!コイツ!」

 

 苦戦する優人とソラだが、ユウリはまだ余裕を保っていた。

 ブレイクデカールを使っているイフリートとピクシーの攻撃を飛び上がって回避する。

 空中でバク転を一回決めて着地するとビームライフルをリアアーマーに着けると、サイドアーマーに収納されているビームソードを抜く。

 そして、バックパックのフレキシブルスラスターが最大出力で一気に加速すると一瞬の内に2機との距離を詰める。

 

「何ぃ!」

「遅い」

 

 距離を詰めるとピクシーを蹴り飛ばし、イフリートのヒートソードをシールドで受け止めるとビームソードでイフリートを両断する。

 蹴り飛ばされたピクシーが立ち上がり体勢を整える前にビームソードで仕留める。

 

「何だコイツ……こっちはブレイクデカールを使ってんだぞ!」

「ブレイクデカールを使ったとしてもガンプラの精度、ダイバーの実力が伴わなければその程度だということよ」

 

 ブレイクデカールで機体性能を向上させて格下ばかりを狙っていたダイバーたちからすればブレイクデカールを使っても勝てない相手に対する策など用意してはいない。

 完全に逃げ腰となっている。

 

「向こうは苦戦しているみたいね。初心者にしてはやるようだけど」

 

 ユウリは優人の戦闘を遠巻きに見る。

 ブレイクデカールを使っているガンプラを相手に善戦はしているが、次第に押されている。

 戦っているガンプラはストライクダガーとイナクトの2機のようだ。

 ユウリの実力なら助けに入れば余裕でどうにかできる相手だが、そこまでする義理もない。

 

「そら! どうした! ストライクもどきが!」

 

 ストライクダガーはビームライフルを連射する。

 それをビルドナラティブはシールドで身を守っているが、後方からイナクトがソニックブレーイドで切りつけて来る。

 

「後ろか!」

 

 すぐに後ろに振り向きビームライフルを撃つもイナクトのディフェンスロッドで防がれる。

 

「ライフルの残弾が……」

 

 ビームライフルの残弾が尽きた警告音がなると同時にストライクアーマーの色がトリコロールから灰色に変わる。

 本来のストライクならばフェイズシフト装甲の恩恵がなくなるが、ストライクアーマーはフェイズシフト装甲ではないため、単にビームライフルとビームサーベルが使えなくなるだけだ。

 

「スラスターもさっきに攻撃で……」

 

 エールストライカーもイナクトの攻撃で不具合が発生しているようでまともには使えない。

 

「ほかに武器は……」

 

 すぐに使える武器を探す。

 残されている武器は頭部のバルカンとサイドアーマーに収納されているアーマーシュナイダーだけだ。

 

「この装備じゃどうにも……」

 

 どちらもこの状況を打開できるだけの威力は期待できない。

 

「フェイズシフトが起きたストライクなど!」

 

 ストライクダガーとイナクトが前後から接近戦を仕掛けて来る。

 

「来る! こんな奴らに……負けるのか」

 

 反撃の手段もなく諦めかけていたその時、コンソールに光る物があることに気が付く。

 それはビルドナラティブのABシステムの一覧だ。

 そこにはストライクの他に「エクシア」と表示されているものが増えている。

 

「エクシア? 何だか分からないがこんなところで負けるくらいなら!」

 

 エクシアというのがモビルスーツの名であることは分かるが、具体的にどんな能力なのかは分からない。

 それでもこのままやられるよりかはマシだ。

 優人が新しいアーマーを選択する。

 

「貰った!」

 

 ストライクダガーとイナクトはビルドナラティブに止めを刺すために飛び掛かってくる。

 だが、止めの一撃を入れる前にビルドナラティブのストライクアーマーが勢いよくパージされると、ストライクダガーとイナクトにぶつかる。

 そして、ビルドナラティブの前後にランナーが形成される。

 

「戦闘中に装備を作っているとでもいうの?」

 

 アーマードストライクはビームソードでギラ・ズールを切り裂く。

 ユウリも戦闘中に新しい装備を作るビルドナラティブに驚いているようだ。

 形成されたパーツは次々とビルドナラティブに装着されていく。

 最後に背中にコーン状のGNドライブが装着され、左腕にGNシールド、右腕にはGNソードが付いたことでビルドナラティブ・エクシアアーマーは完成する。

 

「剣? 接近戦用のアーマーか。これなら!」

 

 優人は右腕のGNソードをはじめとしてGNロングブレイド、GNショートブレイド、4つのGNビームサーベルからエクシアアーマーは接近戦用のアーマーだと判断する。

 ビルドナラティブはGNソードを展開してストライクダガーに突っ込む。

 ストライクダガーはシールドを掲げるが、シールドごとストライクダガーをGNソードで切り裂く。

 

「凄い切れ足だな。この剣は……」

「よくも!」

 

 イナクトがリニアライフルを撃ちながら突っ込んでくる。

 ビルドナラティブはリニアライフルをかわし、ソニックブレイドを持つ腕をGNソードを振り上げて両断する。

 そして、GNソードでイナクトを胴体から真っ二つに切り裂いて破壊する。

 

「後は……」

「うぁぁぁぁ!」

 

 何とか2機を撃墜すると上空からエアブラスターが落ちて来る。

 ソラのエアブラスターは上空でペーネロペーを交戦していたが、やられたようだ。

 まだ撃墜判定とはいかないが、まともに戦闘ができる状態ではない。

 

「ヤガミ!」

「ユート? エクシア……新しいアーマーか。それなら上空の敵とも戦える」

 

 エクシアアーマーは近接戦闘用のアーマーだが、GNドライヴを搭載しているため重力下での飛行能力を持っている。

 

「悔しいが俺じゃアイツには勝てない。飛べ! ユート! 飛んでアイツをぶ飛ばしてこい!」

「ああ!」

 

 ビルドナラティブは上空のネーペロペーの方に向かっていく。

 

「ストライクもどきが、今度はエクシアもどきか。装備を変えたくらいでこの俺と戦えるとでも思ってんのか!」

「そんなことは関係ない。俺はこんな卑怯な戦い方をするお前たちには負けたくはない! 絶対に勝って見せる!」

 

 ビルドナラティブはGNソードをライフルモードにして粒子ビームを撃つ。

 ペーネロペーもビームライフルで応戦する。

 

「距離を取ったままじゃ駄目だ。接近しないと!」

 

 エクシアアーマーの火力はストライクアーマーよりも低い。

 だが、空中での機動性能はペーネロペーの方が上だ。

 距離を取ったままの撃ち合いでは勝ち目はないが、距離を詰めることが出来ない。

 相手もエクシアならば近接戦闘を仕掛け来ると読んでいるため、接近させないように立ち回ってる。

 

「さっきの連中とは違う!」

「当たり前だ! ブレイクデカールの力をまともに使いこなせない奴らを一緒にするな!」

 

 ペーネロペーのダイバーの実力は地上で戦ったダイバーとは明らかに違う。

 地上のダイバーたちはただブレイクデカールによって向上した性能でごり押ししてきたが、ペーネロペーのダイバーはペーネロペーやビルドナラティブの機体特性を理解した上でブレイクデカールで強化されたガンプラを完全に使いこなしている。

 

「ここまでの実力がありながらなんでこんな卑怯な真似をする!」

「はっ! 何も知らない餓鬼が! どんなに実力があっても理不尽な暴力の前じゃ無意味なんだよ!」

 

 ペーネロペーのダイバーも元々はコツコツと努力を重ねてきた真っ当なダイバーだった。

 だが、ある日、理解した圧倒的な暴力はただ理不尽だということをだ。

 彼らが何をした訳でもない。

 ただそこにいたからという理由で、たった1機のガンプラに全てをぶっ潰された。

 今まで必死に重ねてきた努力も仲間たちと気づきあげてきた物が全て巨大なメイスの一振りで破壊された。

 だからこそ、理解した真っ当なやり方ではどうにもならないことがあるのだと。

 それからは切り捨て前提の仲間を集めてブレイクデカールを使わせて格下のダイバーや戦闘で疲弊したダイバーを狙うようになっていったのだ。

 

「だからって人に理不尽を押し付けて言い訳がないだろ!」

 

 ビルドナラティブはファンネルミサイルを頭部のバルカンで迎撃するが、迎撃しきれずにシールドで身を守るがシールドは破壊された。

 

「力もない癖に!」

 

 ペーネロペーはビームサーベルを出して突撃してくる。

 

「ユート! トランザムだ! トランザムを使え!」

「トランザム? これか!」

 

 ソラの指示を受けて優人はトランザムシステムを起動させる。

 ペーネロペーの攻撃をビルドナラティブはかわす。

 攻撃をかわしたビルドナラティブは赤く発光している。

 

「トランザムだと! ふざけやがって!」

 

 ペーネロペーはビームライフルを撃ちながらファンネルミサイルを射出する。

 

「これがトランザム……これなら行ける!」

 

 トランザムで機体性能が向上したビルドナラティブはファンネルミサイルをかわしながら接近する。

 そして、GNショートブレイドとGNロングブレイドをペーネロペーに突き刺す。

 後方からファンネルミサイルが迫っていたため、一度離れるが、ファンネルミサイルは止めきれずにペーネロペーに直撃してしまう。

 

「例えゲームであっても人と人が関わる以上は理不尽なことはいくらでもある。でも、ここはそんな理不尽なことだけじゃない。楽しい事だってたくさんある! そんなことは始めたばかりの俺でも知っていることだ」

 

 ビルドナラティブは再び接近する。

 ペーネロペーが構えたビームライフルをGNビームサーベルで切ると、GNビームサーベルをペーネロペーに突き刺す。

 

「どんな始まり方とは言えこれがガンプラバトルだ」

 

 腰のGNビームダガーを抜いてペーネロペーに突き刺す。

 

「だから、俺は貴方を倒す。その後はこんなやり方から足を洗って真っ当なやり方をして欲しい。貴方はそれだけの実力があるんだから」

 

 ビルドナラティブはGNソードを展開すると振り上げる。

 そして、GNソードでペーネロペーに止めの一撃を入れてペーネロペーは上空で爆散した。

 

「これで……ほかの奴は」

 

 ビルドナラティブのトランザムが終了した事で機体性能は大きく低下する。

 周囲を見渡すが敵は残っていないようだ。

 

「地上の敵は私が仕留めたわ」

「そうか」

 

 ビルドナラティブは地上に降りる。

 

「それでどうする? 私と戦う? 貴方のガンプラには興味があるわ」

 

 このバトルでユウリもビルドナラティブに興味を持ったようで、バトルを受ける気になったようだ。

 

「いや……やめとくよ」

「その方がよさそうね」

 

 一緒にいたソラのエアブラスターもダメージが大きい。

 ビルドナラティブも戦闘でのダメージとトランザムの使用で万全とは言えない。

 

「今更だけど俺はユートでガンプラはビルドナラティブ。よろしく」

(ユートにビルドナラティブ……まさか)

 

 ユウリはダイバーネームとガンプラの名を聞いて内心驚くが顔には出さない。

 

「私はユウリ。縁があったらまた会いましょう」

 

 ユウリもつけてたゴーグルを外して名乗り、ログアウトする。

 

「ユウリか……こんな偶然もあるんだな」

 

 優人はぽつりと零す。

 GBNを初めてソラ以外のダイバーと知り合いとなったが、その名がユウリというのは優人にとっては奇妙な偶然であり、これからも顔を合わせることもあるという確信めいた物を感じていた。

 

「ユート。俺たちも帰ろうぜ。流石にいろいろなことがあったしな」

「ああ。そうだな」

 

 戦闘が終了した事で優人とソラもログアウトする。

 これが優人とブレイクデカールとの初めての接触となった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。