ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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アナザーワールド

 

 

 

 非公式ツール「ブレイクデカール」を使用するダイバーとの戦闘は優人にとってはGBNは楽しいだけではないことを教えた。

 同時にブレイクデカールを使用して強化されたガンプラを難なく倒す女性ダイバーユウリとの出会いは強力なツールに頼るだけでは勝てないガンプラバトルの奥深さを教えてくれた。

 それから数日、優人は毎日ソラとGBNに入り浸り、大学が休みである今日は朝からGBNにログインしている。

 

「ユートもだいぶバトルに慣れてきたよな」

「まぁね。それでもアーマーは増えないけど」

 

 あれから数日が経つがビルドナラティブのアーマーの数はストライクアーマーとエクシアアーマーの2種類のみだ。

 ストライクアーマーは機動力重視の中距離タイプでエクシアアーマーは近接戦闘タイプと2種類のアーマーの特性と使い方は分かってきた。

 アーマーの数は増えることはなかったが、そればかりに気を取られていてもつまらないと今は考えないようにしている。

 

「だったら少し向こうも覗いてみるか?」

「向こう?」

「今まで俺たちがバトルをしていたディメンジョンとは違うもう一つのディメンジョン。アナザーワールドだ」

 

 アナザーワールドとは去年の大型アップデートで追加された新しいディメンジョンの通称だ。

 

「アナザーワールドが作られたお陰でディメンジョンの治安もだいぶ良くなったんだよ。で、アナザーワールドは何でもありのまさにガンプラ戦国時代ともいえる危険な場所なんだよ」

 

 ソラは仰々しく言うが、あながち間違いでもない。

 アナザーワールドと呼ばれているディメンジョンは従来のディメンジョンとは違い制限が極端に少ない。

 従来では戦闘禁止区域や独占禁止区域、ガンプラの使用制限など、エリアによって一般的なマナー以外にも禁止事項がいくつか設定されている。

 だが、アナザーワールドではGBNの利用規約や現実世界での法律に違反しない限りはそのほとんどが禁止されていない。

 そのため、アナザーワールド内では日々腕に覚えのあるダイバーやフォースがエリアや施設の奪い合いを行う戦場と化している。

 アナザーワールドが作られたことにより、従来のディメンジョンで荒っぽいプレイをしていたダイバーたちの多くはアナザーワールドに向かい、結果として治安の回復にもつながっている。

 

「向こうで血で血を洗う戦いに明け暮れているダイバーたちの実力は今までの相手の比じゃないけど。どうする?」

「決まってる。俺の力がどこまで通用するのか分からないけど挑戦してみたい」

「よし! そんじゃ行ってみるか」

 

 優人はソラの指示のもと、アナザーワールドのポータブルエリアを選択する。

 一瞬でGBNのエントランスからアナザーワールドのポータブルエリアに到着する。

 

「ここがアナザーワールド。今は火星のポータブルエリアだな」

 

 アナザーワールドのポータブルエリアは全部で4つだ。

 それぞれ地球圏と火星圏に2つつづ配置されており、地上と宇宙に一つづつ配置されている。

 このポータブルエリアと周囲がアナザーワールド唯一の戦闘と独占が禁止されている。

 

「へぇ。ここが火星なんだ」

「アナザーワールドじゃ向こうのディメンジョンのようにエリア移動にも制限が掛かってるから初めて来る時は4か所のポータブルエリアのどこかになるんだよ」

 

 アナザーワールドのもう一つの特徴としてディメンジョン内の移動制限だ。

 従来ではエリアの移動はコンソール画面から選択してある程度は可能となっているが、ここではそれはできない。

 エントランスからアナザーワールドに来る時には4つのポータブルエリアかダイバーの所属しているフォースや個人がアナザーワールド内に所有しているフォースネストや拠点を選択して送られる。

 その後の移動は自力で移動しなければならず、一度アナザーワールドに入った後にログアウトもしくはエントランスに戻るなどしても数時間はその時に選択した場所以外から入ることもできない。

 

「で、火星を選んだのは比較的自由が利くからな」

 

 現在のアナザーワールド内での情勢は地球圏はアルゴスが率いるフォース「アルゴスヴァスィリオ」が一大勢力として君臨し大小さまざまなフォースが勢力を拡大しようと日々戦いを繰り広げられている。

 優人とソラは未だにフォースを組んですらいない弱小勢力であるため、地球圏で動くのは危険すぎる。

 一方の火星圏はリュウオウ率いる「レギオン」が傘下のフォースを含めて7割近くを勢力下においている。

 レギオンは基本的に自らの勢力下での行動を傘下のフォース以外にも寛大に認めており、明確な敵対行動を取らなければ早々攻撃を受けることも少なく、地球圏に比べると安全と言える。

 

「火星だとレギオンに喧嘩を売るような真似をしなければまず面倒ごとになることもないだろうしな。後は火星の厄災と遭遇しないことを祈るだけだな」

「火星の厄災?」

「さっき言ったレギオンの傘下のフォースの一つでレギオン四天王の一人にして最恐ともいわれている超武闘派フォース「タイガ団」のリーダーであるリトルタイガーの異名だよ。火星に拠点があって遭遇したら最後、大人しく倒されるかペナルティを覚悟して戦闘時ログアウトするしかないうえに命乞いを一切受け付けず徹底的に敵を叩き潰すことから火星で最も恐れられているダイバーの一人だ」

 

 

 レギオンには大小合わせて100近いフォースが傘下に入っている。

 リュウオウを除き、レギオン全体のダイバーの中でも特に実力の高い4人のダイバーをまとめてレギオン四天王と呼ばれている。

 その中でも大我がビッグスター解散後に新しく作ったフォース「タイガ団」は数は10人にも満たない少数のフォースだが、個々の実力はGBNの中でもトップクラスのダイバーで構成されている。

 特にリーダーである大我はレギオンの中でも特に危険人物として認知されている。

 3年前の世界大会で皇帝アルゴスに勝利してからも更に実力をつけて、今となっては現在のGBNの最強のダイバーは誰かという話題の中でアルゴスと共に候補に挙げられている。

 常に周囲に喧嘩を売っていくスタイルの大我がレギオンの傘下に入った時は当時のGBNを激震させ、歳を重ねて少しは丸くなったともいわれたが、丸くなるどころか遭遇したフォースやダイバーをことごとく叩き潰し、いつしか火星の厄災とも言われ災害扱いすらされている。

 

「まぁ火星も広いから早々出くわすこともないから、気にすることはないさ」

「だな。けどそんなに凄いダイバーなら一度会って戦ってみたい気もするけどな」

「怖い事言うなよ。ユート。ユートはリトルタイガーの怖さを知らないからそう言えるんだよ」

 

 ソラは身震いしながらそう言う。

 優人もソラがそこまで言うなら出会わないに越したことはないのだと納得する。

 ある程度の火星の状況を聞いて2人はポータブルエリアのカタパルトに移動する。

 

「ユート。ガンダムビルドナラティブエクシアアーマー。行きます!」

「ヤガミ。ガンダムエアブラスター。行くぜ!」

 

 カタパルトからビルドナラティブとエアブラスターが射出される。

 今回は長距離移動を行うため、飛行能力を持っているエクシアアーマーで出撃している。

 

「この辺りも最近戦闘があったみたいだな。ユート。油断するなよ」

「了解」

 

 ポータブルエリアから出撃して少しすると、戦闘禁止エリアから出る。

 火星の荒野にはいくつものガンプラの残骸があり、この辺りで戦闘があったと推測できる。

 

「それでどうするんだ? ヤガミ」

「そうだな。野良ガンプラでもいればそいつ等とバトルしてみるのもいいかもな」

 

 アナザーワールドにはNPDが操作している野良のガンプラが徘徊している。

 その野良ガンプラを倒すことでダイバーポイントやパーツデータを手に入れることもできる。

 

「野良ガンプラね……ヤガミ!」

 

 移動していると突如、アラートがなる。

 アラートがなり砲弾がエアブラスターに直撃して地上に降下していく。

 

「……大丈夫だ。ダメージは大したことはない」

「どこから!」

 

 優人が周囲を警戒すると今度はミサイルがビルドナラティブに飛んでくる。

 ビルドナラティブは頭部のバルカンでミサイルを迎撃しながら降下してエアブラスターと合流する。

 

「お前たち、どこの所属だ?」

「攻撃してきたのはアイツらか?」

 

 高台からバズーカを装備したグレイズが優人達にバズーカを向けている。

 

「……ユート。どうやら囲まれたようだ」

 

 優人達の周囲には数機のグレイズが展開されていた。

 グレイズはどれも微妙にカスタムがされている。

 装備もライフルやシールドといったスタンダードな物から火器は持たず近接戦闘用のバトルアックスやバトルブレード、ハルバートを持ったグレイズや、グレイズリッターの肩装甲やシュバルベグレイズのワイヤークローやランスユニットを装備したものまで多種多彩で同じカスタムをされたものはいないように見える。

 

「全機、グレイズでマグアナック隊みたく微妙な装備違い……ユート。こいつらグレイズアーミィだ」

「知ってるのか?」

 

 ソラはグレイズの装備の特徴からそう判断した。

 グレイズアーミィは40機のグレイズで構成されたフォースだ。

 40機が全てグレイズをベースに独自のカスタムがされ同一のカスタムがいないとされている。

 見たところ、グレイズの数は10機程度で全機揃ってはいないようだ。

 

「ああ。でもって最悪の一歩手前かも知れん。グレイズアーミィはタイガ団の下部フォースだ」

 

 グレイズアーミィが40機のカスタムグレイズで構成されていること以外にも有名な話としてレギオン傘下ではあるが、厳密にはレギオンの傘下であるタイガ団の傘下だということだ。

 タイガ団自体のメンバーは少ないが、その下に40機のグレイズを抱えており、大規模な戦闘には彼らを投入していることはGBNでも有名な話だ。

 グレイズアーミィが何故、自分たちを攻撃してきたのかは分からないが、下手をすればグレイズアーミィの上位フォースであるタイガ団とも敵対する危険性がある。

 もし、そうなれば優人とソラの2人では戦いにすらならない。

 

「まさか、奴らの手先か? だとしたら見逃す訳には行かない!」

「待ってくれ! 俺たちはただ散策で通りかかっただけだ!」

 

 ソラはとりあえず敵意のない事を説明しようとする。

 向こうの言葉から自分たちはグレイズアーミィかタイガ団と敵対するフォースの仲間だと疑われているらしい。

 

「この辺りを散策だと? この情勢下でだと? ますます怪しいやつらだ」

(やっべ……状況が変わるのはここでは良くあることだってのに!)

 

 ソラはこの周辺のリサーチ不足を痛感させられた。

 アナザーワールドでは日々状況は変化している。

 ここ数日は優人と共にGBNをプレイしてアナザーワールドやGBN全体の流れを把握することを疎かになっていたようだ。

 

「まぁいい。お前たちが奴らの手先かどうかはここで仕留めてしまえば関係ない!」

「ヤガミ! 来るぞ!」

「ああ! こうなりゃやるところまでやってやる!」

 

 向こうはこちらの疑いを晴らすよりも倒しておけば関係ないと結論付けたようだ。

 グレイズはバズーカを撃つ。

 

「前に出る!」

 

 ビルドナラティブはGNソードをソードモードに切り替えるとバズーカを装備したグレイズ目掛けて突撃する。

 ビルドナラティブのGNソードを間にハルバートを装備したグレイズが割込みハルバートの柄で受け止める。

 

「くっ!」

 

 攻撃を止められたビルドナラティブに横から両手にバトルアックスを装備したグレイズが切りかかる。

 グレイズの攻撃を回避すると、ハルバートを装備したグレイズが横に逸れると後ろにいたバズーカ装備のグレイズがバズーカを撃ちGNシールドで防ぐ。

 

「こいつ等……強い!」

「ユート!」

 

 エアブラスターは両手のビームライフルで応戦するが、グレイズはシールドで身を守りながらライフルで反撃してくる。

 攻撃を回避するのぜ精一杯でソラは優人の援護に向かえそうにない。

 

「こうも似たガンプラに入り乱れられると見分けが……」

 

 グレイズは装備や外装は違うが優人には瞬時に判別が付け難い。

 グレイズの連携攻撃を何とかかわしていたが、背後に回り込んだグレイズがハルバートを振り下ろしGNシールドで受け止める。

 

「貰った!」

 

 ビルドナラティブはグレイズのハルバートをGNシールドで受け止めていたが、バズーカ装備のグレイズがバズーカをビルドナラティブに向けて撃とうとしていた。

 

「そうはさせるか!」

 

 ビルドナラティブはハルバート装備のグレイズを足払いで倒すと飛び退いてバズーカをかわすが、すでにランスユニットを装備したグレイズが回り込んでいた。

 グレイズはランスユニットを突き出すが、ビルドナラティブは上半身を後ろに逸らして回避すると、そのまま一回転してGNソードでランスユニットを装備したグレイズを両断する。

 

「ようやく1機……」

「アイツ……意外にやるぞ」

 

 友軍機を撃墜されたことでグレイズアーミィのダイバーたちも優人を警戒して距離を取る。

 

「はぁはぁ……どうする?」

 

 優人も無理に突っ込むのではなく状況を打開するために考える。

 

「これは何の騒ぎだ」

 

 すると新たなグレイズが現れる。

 新たに現れたグレイズは今までのグレイズとは大きく違っている。

 そのグレイズはグレイズアーミィのリーダー機であるグレイズラグナだ。

 グレイズラグナはグレイズをベースにグレイズ系の外装をミキシングしたガンプラだ。

 頭部はシュバルベグレイズの物をベースにブレードアンテナをグレイズリッターのトサカに変更している。

 両肩には機関砲の内臓されたグレイズアインの装甲を、右腕にはワイヤークローが取り付けられている。

 下半身はシュバルベグレイズをベースにリアアーマーはグレイズ改弐の物を中心にフリックグレイズの腰部のブースターが取り付けられており、太もものブースターの裏にはバトルブレードが取り付けられて、足の裏には陸戦用のホバーユニットがついている。

 バックパックにはグレイズ改の物をベースに地上用のブースターユニットが取り付けられており、高い機動力を誇る。

 左腕にはグレイズシルトの大型シールドをベースに先端にはランスユニットが取り付けられ、シールドの表面には「BG」というペイントがされているランスシールドが、右手にはリーガルリリーのべロウズアックスを持っている。

 

「ザジ……」

 

 グレイズアーミィのリーダーであるザジは友軍機を一睨みする。

 

「大方、このダイバーたちを奴らの仲間であると考えたというところか」

 

 ザジもある程度の状況は把握しているようだ。

 

「奴らの使うガンプラにはガンダムタイプは確認できてはいない。だからこいつらが奴らの手先である可能性は低い」

 

 ことの次第を静観していた優人とソラだったが、ザジが潔白を証明してくれて疑いが晴れたと一息つく。

 

「……だが、どこの馬の骨とも分からないダイバーに友軍機がやられておきながらオメオメと引き下がるのはグレイズアーミィの名折れ。そして、タイガ団の座右の銘は一発撃たれたら殲滅しろだ。お前たちに恨みはないが、俺たちも引き下がる訳にもいかない」

 

 これ以上の戦闘は何とかなりそうな雰囲気だったが、グレイズアーミィも超武闘派フォースとして知られているタイガ団の下部フォースである以上はどんな理由で戦闘になったとは言え、バトルを途中で投げ出して引き下がることは出来なかった。

 

「ここからは俺とお前のタイマンで決着をつけるというのでどうだ?」

「……分かった」

 

 ソラと2人で戦うことを考えたら、ザジと1対1で戦った方が敵の数は少ない。

 向こうが本気でザジだけで戦うか、仮に自分が勝ったとして他のグレイズのダイバーたちが大人しく引き下がるかは分からないが、ここは乗るしかない。

 

「ヤガミも構わないな?」

「ああ。俺の方もそろそろ限界だから願ったりだ」

 

 ソラのエアブラスターも目立ったダメージはないもののこれ以上戦闘を継続するのは厳しかった。

 話がまとまるとグレイズラグナはべロウズアックスを構えると一気に加速する。

 

「っ! 早い!」

 

 グレイズラグナは距離を詰めるとべロウズアックスを振るう。

 ビルドナラティブは何とか回避するが、GNシールドを弾き飛ばされる。

 すぐにGNソードのライフルモードで反撃するが、粒子ビームはグレイズラグナの装甲に弾かれる。

 

「ビームが!」

「気を付けろ! そいつの装甲にはビームコーティングがされている!」

 

 グレイズラグナの表面装甲には対ビームコーティング処理がされており、GNソードのライフルモードではダメージを与えられない。

 

「なら接近戦で!」

 

 GNソードによる近接戦闘ならばビームコーティングの影響は受けない。

 だが、グレイズラグナの機動性能にはエクシアアーマーの機動力では全く追いつくことが出来ない。

 

「トランザムを使うか? 駄目だ。リスクが高すぎる」

 

 トランザムを使えば追いつけるかも知れないが一度使えば終了時に機体性能が大きく低下する。

 ここ数日の間にいろいろと試した中にトランザムを限界時間まで使って機体性能が低下しているときにストライクアーマーに換装してみたが、トランザムで低下した性能はストライクアーマーに換装しても引き継ぐことは分かっている。

 逆にエネルギーの切れたストライクアーマーからエクシアアーマーに換装したときはエネルギーは回復していた。

 そのため、トランザムを使った後にアーマーを換装してトランザムのデメリットを回避することは出来ない。

 トランザムを使い確実に倒しきれる状況でなければ、使うのはリスクが高い。

 

「なら……」

 

 優人はコンソールを操作する。

 エクシアアーマーはパージされ、ストライクアーマーに換装させる。

 ストライクアーマーはビーム兵器主体だが、機動性能はエクシアアーマーよりは高いため、グレイズラグナの機動力に少しでも対抗するためだ。

 

「外装を戦闘中に? だが!」

 

 グレイズラグナは肩の機関砲を撃ちながら突撃してくる。

 ビルドナラティブは後ろに引きながらビームライフルで応戦する。

 ビームをランスシールドで防ぎながらべロウズアックスを振るう。

 まだ距離があったため、優人は間合いに入っていないと油断するが、べロウズアックスはただの大型武器ではなく、刃が連結しており、展開することで間合いを大きく広げることは出来る。

 

「武器が伸びて!」

 

 ビルドナラティブはギリギリのところでシールドで防ぐが体勢を崩される。

 

「反応は良いが! その程度ではな」

 

 体勢を崩したところにグレイズラグナは加速してランスシールドを突き出す。

 ランスシールドの先端のランスがドリルのように回転する。

 ビルドナラティブはシールドで守ろうとするが、シールドは一撃で砕ける。

 

「この!」

 

 シールドを破壊されながらもビームライフルを至近距離で撃つが、グレイズラグナの頭部を掠めた。

 だが、掠めた頭部は少し焼け焦げていた。

 グレイズラグナの対ビームコーティングはライフルモードのGNソードの威力なら完全に無効化できるが、ストライクアーマーのビームライフルの威力であれば完全には無効化できないのだろう。

 

「外した!」

 

 ビームをかわしたグレイズラグナはべロウズアックスでビルドナラティブを突き飛ばす。

 ビルドナラティブはダメージはほとんどなかったが、突き飛ばされた衝撃でビームライフルを手放してしまった。

 

「ライフルが……シールドももうない。どうする?」

 

 ビームライフルを失った以上はビームサーベルで接近戦を仕掛けるしかない。

 しかし、グレイズラグナの機動力にはストライクアーマーでもついてはいけない。

 

「これはいつの間に……」

 

 優人はコンソールに新しいアーマーが出ていることに気が付いた。

 

「バルバトスって確か悪魔の名前だよな。大丈夫か……だが、コイツに賭けるしかない!」

 

 優人は新しく出ていたアーマーを選択する。

 ストライクアーマーがパージされて前後にランナーが形成されてビルドナラティブにアーマーが装着されていく。

 ガンダムバルバトス(第四形態)の外装を装着したビルドナラティブバルバトスアーマーとなる。

 バルバトスアーマーはビーム兵器を一切装備していない実弾、質量兵器に特化したアーマーだ。

 背部には滑腔砲と太刀が装備され、右手にはバルバトスの代名詞ともいえるメイスが握られている。

 

「何か凄い武器が出てきたな。こんなのもあるのか」

「エクシアにストライクに続いてよりにもよってバルバトスか……気に入らんな」

 

 グレイズラグナはべロウズアックスを振るう、それをビルドナラティブはメイスで弾くと前に出る。

 

「このメイスなら当てれば一撃だ!」

 

 ビルドナラティブはメイスを振るうが、グレイズラグナは易々とかわすとべロウズアックスで一撃入れる。

 

「遅い! それにその程度のメイスの使い方で俺をやれると思うなよ! 素人が!」

「武器が大きい分、重心が偏って思った以上に扱い難いぞ。この武器!」

 

 ビルドナラティブは体勢を持ち直して滑腔砲を構えて撃つ。

 グレイズラグナは攻撃を回避しながら肩の機関砲でけん制射撃を入れる。

 

「ユート! バルバトスは高機動の相手とは相性が悪い!」

「何だって! けど、今はコイツで何とかするしか……」

 

 バルバトスアーマーはメイスや滑腔砲で威力が高いが攻撃の隙も大きい。

 今の優人にはメイスによる強力な一撃をグレイズラグナに入れるだけの技術はない。

 

「メイスの他には……刀もあるのか。これなら」

 

 ビルドナラティブはメイスを手放すと太刀を構える。

 メイスよりも軽い分、優人には扱い易く思えた。

 

「バルバトス最大の武器を自ら捨てるか!」

 

 グレイズラグナはべロウズアックスを振るう。

 

「……そこだ!」

 

 優人は迫るベロウスアックスの刃を冷静に見極めて太刀を振るう。

 太刀はべロウズアックスの刃の連結部を正確に捉えべロウズアックスの連結を破壊した。

 

「ユートの奴! やりやがった!」

「なるほど……少しはできるようだな」

 

 グレイズラグナはべロウズアックスを捨てるとバトルブレードを抜いて構える。

 ビルドナラティブも太刀を構える。

 2機は同時に突っ込む。

 ビルドナラティブの太刀とグレイズラグナのバトルブレードがぶつかり合うその瞬間、2機の間に黒い影が割り込む。

 

「はい。そこまで」

 

 黒いガンプラはビルドナラティブの太刀を踏みつけて、グレイズラグナのバトルブレードを持っていた武器の柄で受け止めた。

 

「何だ……このガンプラは」

「……リョウマさん。どうしてここに」

 

 黒いガンプラの正体は如月諒真ことリョウマのガンプラ、ガンダムクロノスXX(ダブルエックス)だった。

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