ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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採掘エリア攻防戦

 

 

 グレイズアーミィのリーダーであるザジと優人のバトルに割って入った諒真のガンダムクロノスXXは以前に諒真が使っていたガンダムクロノスXの強化ガンプラだ。

 細かい部分の作りこみによる基本性能の向上の他にはバックパックのクロノスキャノンがガンダムDXのツインサテライトキャノンを流用して作られたハイパークロノスキャノンになっている点だ。

 このハイパークロノスキャノンは砲身の伸縮機能によりある程度の連射速度と威力を持つ通常モードと砲身を伸ばして連射はできないが圧倒的な火力で砲撃ができるバーストモードを使い分けることが可能で砲身にはグレイズラグナのランスシールドにペイントされている「GB」の刻印が刻まれている。

 他にはミサイルの内臓しているドラドのシールドが両腕に追加され、肩にはビームキャノンが追加されより砲撃能力が強化されている。

 

「全く……ログインしてみたら何揉めてんの」

「……すみません」

 

 ザジのグレイズラグナはバトルブレードを仕舞う。

 突然の乱入だが相手からの敵意は感じないため、優人も一度引く。

 

「そっちも悪かったな。ウチの下の奴が」

「いえ……」

 

 意外な対応に優人も呆気に取られている。

 

「そっちの彼のガンプラの修理もこっちで持つからさ。一度、俺らのフォースネストに来る?」

「えっと……」

「応じておいた方が良いぞ。ユート。あのクロノスはタイガ団のナンバー2のリョウマだ。ああ見えて敵には容赦ないって話だ」

 

 ソラもガンダムクロノスXXと諒真のことは知っているようだ。

 タイガ団のリーダーのリトルタイガーは好戦的な人物として広まっているが、リョウマは逆に他のフォースとの交渉事を任されており、その言動には悪印象を持つダイバーは少ない。

 だが、一方でタイガ団の参謀として敵対する相手に対しては徹底的に叩き潰すことでも有名だ。

 そのやり方も大我のように圧倒的な武力で叩き潰すのではなく、武力だけでなく搦め手を使い搾り取る物は限界まで搾り取り追い詰めていくやり方を好む。

 今は敵対する意思はないが、対応によってはグレイズアーミィと戦うよりも不味い事態になる。

 

「分かった」

「決まりだな。ザジ、グレイズアーミィもフォースネストまで撤収させろ。それとすぐに動かせれる奴を可能な限り集めてくれ」

「分かりました」

 

 戦闘は完全に中断させられて、優人とソラは諒真の後についていく。

 2人が連れてこられたのはタイガ団のフォースネストだ。

 アナザーワールドではそれぞれのフォースがディメンジョン内にフォースネストを配置している。

 主に拠点型と母艦型の2つのフォースネストが使われている。

 拠点型はガンダム作品に出て来る基地や要塞を元にしたものや独自にデザインした物を配置するタイプで、一度設置するとその場所から移動させることは容易にはできないが、基地として母艦型にはない多才な機能の拡張が可能で周囲に防衛システムを配置することで防衛機能を高めることが出来る。

 移動ができないが、その分守りやすいフォースネストと言える。

 母艦型はガンダム作品に出て来る戦艦などをフォースネストにするタイプで拠点型とは違い戦艦であるため、フォースネスト自体がディメンジョン内の移動ができる。

 移動ができる反面、防衛機能は拠点型に比べると防衛機能の強化はやり辛く、一か所にとどまっての防衛は苦手となっている。

 主に小さい勢力では拠点型のフォースネストを配置しても、守り切ることは難しいため、移動できる母艦型を使うことが多く、規模が大きくなってくると拠点型のフォースネストを本拠地に据えて機能の拡張と防衛機能を強化しつつも、母艦型のフォースネストを使い部隊を遠出させて自分たちの領土の拡大や敵拠点への攻撃を行うというのがアナザーワールドによる基本的な戦い方だ。

 タイガ団も本拠地は火星に据えており、ベースは鉄華団の基地を使っている。

 基地の格納庫にはNPD用のガンプラであるプルーマが並べられている。

 アナザーワールドでは一般的なフォース同士のバトルよりも大規模になることが多く、大規模なフォースになればなるほどNPD用のガンプラを用意することが多い。

 NPD用のガンプラはダイバーポイントで揃えるかパーツデータを使ってくみ上げるか実際にガンプラを制作してスキャンして使うなどいろいろな手段がある。

 タイガ団ではダイバーポイントを使ってプルーマを多数そろえている。

 プルーマは戦車やモビルワーカーといった車両型に分類されMS型に比べると性能は低いが安く揃えられることが特徴でプルーマはその中でも最上位の性能を持つ。

 当然、性能が高い分、ダイバーポイントも他の車両型の中でも高く、プルーマを使うくらいなら安いMS型を使った方が良いともいわれているが、小さい分小回りも聞く。

 

「ガンプラは空いているハンガーにでも置いておいてくれ。こっちのメカニックが直しておくから」

「頼みます」

 

 言われた通りに優人とソラは格納庫の中のハンガーにガンプラを置くと諒真について基地の中に入っていく。

 2人は基地内の応接室らしく部屋に通される。

 備え付けのソファーに座り諒真と対面する。

 ソラはタイガ団の悪名はいろいろと聞いているため、緊張した面持ちだ。

 

「アイちゃん。お客さんに何か飲み物でも出して」

「いえ……お構いなく……飲み物?」

 

 優人は首をかしげる。

 GBN内では当然皆、アバターであるため、空腹にもならなければ水分の補給も必要ない。

 諒真の対応は現実世界と同じようだった。

 

「あれ、君初心者? まぁアバターだからあんまり意味はないけど味とかは分かるから気分だよ。気分」

 

 諒真も優人の反応から優人が初心者だと見抜いた。

 GBNを始めたばかりの初心者はGBNが仮想現実だからこそ、GBNでの飲食に違和感を持つことは珍しくはない。

 優人は何げない会話の中からもこちらのことを丸裸に見抜こうとされているのではないかと寒気を感じ。

 

「どうぞ」

 

 すると諒真にアイちゃんと呼ばれた女性ダイバーがティーカップを持ってきて優人とソラの前に置く。

 彼女はダイバー名「アイちゃん」数年前まではGBN内でガンプラアイドルとして活動していた諒真の高校時代の後輩で生徒会長時の副会長である縦脇愛依。

 諒真が卒業してから1年間は諒真に振り回されることもなく、平和な高校生活を送れると思った矢先、諒真の卒業式の日に普段とは別のアカウントでGBNでアイドル活動をしていたことを知っていたと暴露された。

 流石にリアルでその事実を知られていたと知ってからはアイドル活動は休止した。

 その後、諒真から副会長時の補佐能力の手腕を買われて高校卒業後に自分の右腕にならないかと誘われた。

 アイドル活動のことを出した直後の誘いは間接的に拒否すれば言いふらされる可能性を示唆しているため、芽衣は断ることは難しかった。

 最も、普通に高校を卒業して大学に進学するよりかは諒真の誘いに乗った方が将来的には有益になるとも考えて今に至る。

 

「アイちゃん。例の件のマップ出して」

「は?」

 

 芽衣はチラリと優人とソラの方を見る。

 諒真の言う例の件については芽衣も分かっているが、部外者のいるところで話す内容ではない。

 

「彼らに助っ人を頼もうと思ってね」

「はぁ」

 

 愛衣は納得しかねるが、モニターにマップデータを出す。

 

「これが現在、我らと交戦状態にあるフォース「紅蓮の牙」が占拠している採掘エリアのマップデータです」

「ここは資源採掘が可能なエリアでウチの上が目をつけてたんだけど、紅蓮の牙に先に抑えられたんだよ」

 

 採掘エリアでは継続的にダイバーポイントに変換可能な資源やパーツデータが採取できる。

 それを有効に活用できればフォースの懐がかなり温まる。

 どこの勢力も手に入れたい場所だが、タイガ団の本拠地からも比較的近い場所にあった採掘エリアが紅蓮の牙が押さえた。

 

「レギオンからも奪取のために部隊が派遣されたけど、ことごとく返り討ちにあってるのが現状だ」

「この採掘エリアは地上ルートは峡谷により大部隊による侵攻ルートはほとんどなく、守りやすい地形となっており、後から増設した対空システムにより上空からの降下作戦を行うのも難しいエリアとなっています」

 

 レギオンも採掘エリア奪取のために部隊を派遣したが初戦で撃退されて以降、何度も侵攻を試みるも撃退され、その都度貯められていったダイバーポイントと採掘エリアで取れる資源やパーツデータで防衛を強化していき、今では降下作戦や衛星兵器に備えて対空砲や対空ミサイルだけでなく、採掘エリア上空を覆える規模のビームシールドの発生装置まで完備されている。

 これ以上長引けばレギオン全体の戦力にも影響が出かねないと判断され、タイガ団にも採掘エリア奪取の要請が来て、現在は紅蓮の牙との小競り合いが続いている。

 グレイズアーミィが優人達に攻撃したのも、優人達が紅蓮の牙の手の者である可能性を考えていたからということだ。

 

「状況は分かったんですけど、なんで俺たちなんですか? タイガ団と言えばGBN屈指の武闘派フォースで有名なのに」

 

 ソラは素朴な疑問を口にする。

 いくら資源エリアが難攻不落と言ってもたまたま近くを通りかかった自分たちを助っ人を頼むというのは考えられない。

 タイガ団の構成員の数は少ないが、その実力はGBNの上位フォースの一つに数えられる。

 優人はGBNを始めたばかりで名も知れ渡っていないし、ソラもそこそこやりこんでいるものの上位のダイバーと比べると明らかに実力不足だ。

 

「確かにウチのフォースは実力者が揃ってる。それこそ団長一人を突っ込ませればそれで終わりだ」

 

 タイガ団の事前調査でも資源エリアの防衛能力であれば大我を一人突っ込ませるだけであとは陥落を待つだけで済む話だ。

 

「けど、ウチの団長は敵を潰すのもだけど、作るのも上手いからな。普段は俺が話をつけることも多いけど、俺が話をつけている間に話をつけた相手の倍の敵を作ってるようなこともよくある。今もいろいろと敵も多くてな。それの対応に追われてこっちに割ける人員がほとんどいないのが現状だ。そこでたまたまとは言え中々面白いダイバーが痛んで試しに助っ人として使ってみようと思った訳だ」

 

 諒真としても優人達を助っ人に使って採掘エリアを奪取が出来なかったら出来なかったらで、また別の手段を考えればいいという程度の考えて、偶然にもグレイズアーミィと交戦していた様子を見て使えそうだと思ったに過ぎないようだ。

 

「無論、報酬はきっちり出させて貰う。手を貸してはくれないか?」

「どうする? ヤガミ」

「少し考える時間は貰えませんか?」

「悪いけどこっちも悠長に構えているだけの時間はないんだ。返答は今ここでしてくれ。仮に断ったところで危害を加える気はないし、修理中のガンプラも直してこの辺りから離れてもらうだけだから無理なら断ってもらっても構わない」

 

 ほかの手段を考えるにしても時間の経過は向こうの防衛戦力を整えさせるだけだ。

 諒真はこの場での判断を強いる。

 

「ヤガミ。俺は困ってるんなら手伝ってもいいと思う。俺たちにどこまで役に立てるかは分かんないけどさ。困ってるなら放ってはおけないだろ?」

「……まぁユートはそういう奴だよな」

「助かるよ(なるほどな。そういう奴かウチの大我とは違って扱い易いタイプか)」

 

 諒真は感謝しつつも、このやり取りの中で優人を見極めていた。

 時間をかけて考えさせると自分たちの損得勘定も計算に入れて結論を出す事もあるが、時間を与えず自分たちが困っていることを見せることで損得関係なしに手を貸すのであれば、優人は基本的に困っている相手を見過ごせないタイプの人間で、逆に情に付け込めば扱い易く、我が道を突き進む大我とは対照的だ。

 

「そうと決まればさっそく作戦の準備に取り掛かる。アイちゃん。グレイズアーミィで出せる分だけの指揮は任せる」

「了解です」

 

 諒真の指示で愛衣はすぐに準備に取り掛かる。

 それから1時間程度で準備を済ませて行動に移る。

 攻略対象である採掘エリアの正面出入り口の周辺に10機程度のグレイズを従える愛衣が敵に気づかれないように陣取っていた。

 愛衣のガンプラはズゴックEをベースにしたズゴックEXだ。

 両腕のローゼン・ズールの物に変更し中央のビーム砲をビームガトリングに替えてローゼン・ズールのシールドが両腕に取り付けられている。。

 バックバックは水中のみならず、地上や宇宙でも使えるように改修され両肩にはフォノンメーサー砲が内臓され、バックパックには水中でも使用可能なレールガンが2門装備され火力を強化されている。

 

「各機配置に付きました」

「そろそろ向こうも到着している頃……攻撃を開始します」

 

 ズゴックEXは出入口を固めている敵ガンプラに対して先制攻撃のミサイルを撃ち込む。

 ミサイルは敵ガンプラに直撃することはなかったが、敵に襲撃を知らせることは出来た。

 

「突撃」

 

 愛衣の指示でグレイズが数機飛び出す。

 防衛のガンプラはグフやゲルググといったジオン系のガンプラだ。

 敵襲に気が付いたゲルググがマシンガンを向けるが、引き金を引くよりも早くグレイズがハルバートを振るい、ゲルググの体勢を崩すと胴体に一撃を入れる。

 

「敵襲だ!」

「正面からだと! ふざけやがって!」

 

 襲撃を知った敵が採掘エリアの中から次々と出て来る。

 

「思った以上に多いわね。NPDで数を水増しでもしているようね」

 

 増援はNPDを思われるザクやマゼラトップ、他にもドムも何機が出てきている。

 

「NPDは後回しで構わないわ」

「了解です」

 

 ズゴックEXの横に控えていたレギンレイズのレールガンを装備し、頭部をダインスレイブ装備型の物に換装した狙撃仕様のグレイズが出てきたドムを狙撃する。

 奇襲で混乱する戦場でNPDとダイバーを見分けるのは容易だ。

 NPDは操縦能力自体は高くはないが、ダイバーのように動揺で動きに影響することもない。

 

「私も出るわ」

 

 紅蓮の牙のガンプラの数が増えてきたことで愛衣も前に出ることにする。

 ズゴックEXは飛び上がるとシールドのビーム砲を撃ちながら戦場に飛び込む。

 戦場に着地すると両腕のビームガトリングを撃ちながらレールガンを前方に向けて展開して撃つ。

 

「こいつら!」

 

 ドムがバズーカを撃ち。グレイズがシールドで守りながらライフルで応戦していると左右からランスユニットを装備したグレイズが突撃し、ランスユニットを突き刺して損傷させると身を守っていたグレイズがライフルを何発は打ち込んだところに別のグレイズがバズーカを撃ちこんで破壊する。

 

「数ばかりいたってな」

 

 グレイズがワイヤークローでグフの動きを止めたところに両手にバトルアックスを装備したグレイズがバトルアックスで仕留める。

 数こそは紅蓮の牙の方が多いが、奇襲で混乱しているところに連携で確実に仕留めている。

 

「何だコイツ!」

「ザク? いやコイツ!」

 

 戦闘はグレイズアーミィの優勢で進んでいたが、バトルブレードを装備したグレイズが胴体から真っ二つにされて破壊された。

 

「そう。私のザクは違うのよね」

 

 グレーで塗装されたザクは宇宙世紀のザクではなくコズミックイラのザクがベースになっていた。

 レイ専用ブレイズザクファントムをベースにしたザクファントムソード。

 ダイバーは紅蓮の牙が雇った傭兵、ファントムレディ。

 クルーゼの仮面をつけた女性ダイバーだ。

 ザクファントムソードはレイ専用ブレイズザクファントムをベースに近接戦闘に特化した改造がされている。

 バックパックのブレイズウィザードには重力下での飛行用のウイングが増設しており、左腕にはザクのビーム突撃銃を直接取り付けた固定式の物を装備している。

 メインウェポンはジンクスⅡやジンクスⅣが装備しているGNバスターソードをベースにしたバスターソードを装備している。

 

「あのザクはデータにないわね」

 

 事前にある程度集めた情報の中に紅蓮の牙が傭兵を雇っているというのはあったが、使用するガンプラや実力までは把握してはいない。

 ザク・ファントムソードはバトルアックスを肩のシールドで受け止めるとバスターソードの一撃でグレイズを粉砕する。

 

「あのザクファントムは厄介ね。各機、あのザクファントムは私が対応するわ」

 

 ズゴックEXはザクファントムソードにレールガンを撃ち込む。

 

「おっと……一機だけグレイズじゃないってことは貴女が指揮官機よね」

 

 ザクファントムソードは左腕のビーム突撃銃を撃ちながらズゴックEXに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレイズアーミィが交戦を開始したころ、諒真たちも作戦行動に入ろうとしていた。

 作戦としては単純に愛衣が率いるグレイズアーミィが正面で派手に暴れて別動隊として諒真や優人、ソラ、ザジの4人で仕掛けて一気に採掘エリアを制圧するという物だ。

 

「良し、ここからはガンプラで一気に行くぞ」

 

 4人はトレーラーでガンプラを移送して配置に付く。

 アナザーワールドではガンプラを呼び出すのに制限が掛かっており、ポータブルエリアでしか自由に呼び出したりはできない。

 そのため、今回のような奇襲作戦ではダイバーだけを移送して敵の拠点内に侵入してガンプラを呼び出して襲撃するということは出来ない。

 タイガ団では独自に作ったガンプラ移送用のトレーラーを複数所持している。

 GBN内で購入できるトレーラーではレーダーに捕捉されてしまうが、タイガ団で使用しているトレーラーは極力レーダー類に捕捉されない物を作って運用している。

 

「奇襲作戦か……」

「気が進まないか?」

 

 優人は今回の作戦に思うところがあるようだ。

 

「まぁ……」

「これも作戦だよ。この前のようにバトルで疲弊したところに奇襲するのとは訳が違う」

 

 優人としては真向から挑むのではなく、囮を使って戦力を削ったところに奇襲を仕掛けるというのは卑怯ではないかと思うが、以前に戦ったペーネロペーのダイバーの一団のようにバトルで疲弊させたところを奇襲するといったやり方ではなく、拠点攻略において奇襲攻撃は正攻法の一つとソラは納得させる。

 

「分かってる。やるからにはしっかりとやってやるさ」

「おしゃべりはそこまでだ仕掛けるぞ」

 

 優人も頭を切り替える。

 優人達が現在いるところは愛衣が仕掛けている場所からは採掘エリアを挟んだ反対方向に位置する。

 正面から仕掛けたことで戦力と注意がグレイズアーミィに向いている隙をつく算段だ。

 

「向こうじゃ戦闘が始まってんだろ?」

「みたいだな。まぁ俺たちには関係ないだろ」

「まぁな。それでダイバーポイントの山分けにありつけるんだ。楽なもんだ」

 

 2機のザクⅡが背後の警戒に当たっている。

 戦場とは正反対ということで目に見えて油断している。

 採掘エリアに新たに配置された高性能レーダーには戦場以外にガンプラは補足されていない。

 レーダーに映らない以上は背後からの襲撃はないと高をくぐっている。

 だが、それが命取りとなった。

 隠密性の高いトレーラーでギリギリまでガンプラを運び、一気に攻撃を開始する。

 

「何だ……うあぁぁぁ!」

 

 グレイズラグナが最大出力で突撃してランスシールドでザクⅡの1機をしとめる。

 それに続き、エクシアアーマーのビルドナラティブがGNソードでもう片方のザクⅡを切り裂く。

 2機のザクⅡのダイバーは仲間に襲撃を知らせる間もなく落とされた。

 

「良し第一関門はクリアだ」

 

 過去の侵攻においても前面から仕掛けて背後を付くというやり方は行われている。

 今回もそれを警戒して全ての戦力を前面に回すことはなく、ある程度は周囲の警戒に当たらせることは考えられた。

 だからこそ、隠密性の高いトレーラーを使い背後からの接近をギリギリまで気づかせずに近づき、背後の奇襲の発覚を少しでも遅らせる必要があった。

 レーダーに反応がないと油断したところと友軍に奇襲を知らせる間もなく警備のガンプラをしとめることが出来たのは大きい。

 

「俺が前に出る。お前らはついてこい」

 

 諒真とソラが後から追いつき、諒真が前に出る。

 諒真を戦闘に4機のガンプラは採掘エリアの中枢を目指す。

 事前の調査で中枢までの最短ルートは把握している。

 敵とも遭遇することなく先に進んでいたが、先頭のガンダムクロノスXXにビームが飛んでくる。

 ビームをガンダムクロノスXXは小型シールドで防ぐ。

 

「そう簡単にはいかせてはもらえないか」

「たく……適当にサボってりゃ大量のダイバーポイントが貰えるおいしい仕事だと思ってなのによ」

「まぁ、雑魚を4機仕留めればいいんだからおいしいっしょ」

 

 別動隊の前にはオクト・エイプとガラの2機が待ち構えていた。

 

 


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