新たにライトが加入した事でトライダイバーズの戦い方の幅は広がった。
新メンバーが増えた事で、連携の練度を高めるためにフォースネストでは現在受注可能なミッションを皆で探していた。
ミッションはガンダム作品に関連するものから運営が用意した物、GBNをプレイするダイバーが出した物まで様々だ。
ミッションごとに内容や報酬、難易度が異なるため、適当に選んで受けるよりも今の自分たちに必要で合う物を選んで受けた方が良いだろう。
「これなんてどうかしら?」
千鶴が一つのミッションを提示する。
「へぇ護衛ミッションね」
優人達も千鶴が選んだミッションの内容を確認する。
ミッションはアナザーワールドでの護衛ミッションで、とあるフォースからの依頼だ。
「目的地は火星圏の衛星軌道のステーションまでか」
「これには複数のフォースが参加するから他のフォースとの繋がりを作ったり、名を売る事も出来るわ」
ミッションによってはフォース単独で行う物以外にも複数のフォースが参加する場合もある。
その場合、複数のフォースでミッションのクリアを競う場合と協力する場合に分けられる。
今回は後者の共闘タイプであり、設立したばかりで他のフォースとの繋がりのほとんどないトライダイバーズにとっては他のフォースと関わり合いを持つ事も出来る。
また、現在のトライダイバーズは千鶴以外はほぼ無名であり、ミッションで活躍すればトライダイバーズの名前を売る事も出来る。
そうなればメンバー集めも少しは楽になる。
「バトル以外にもこんなミッションもあるのか……俺は良いと思うけど、ヤガミとライトはどう思う?」
「俺も異論はない」
「僕もです」
優人以外も2人も護衛ミッションを受ける事には異論はなかった。
フォースとしても意見もまとまった事で千鶴は護衛ミッションにエントリーする。
ダイバーやフォースからもミッションはエントリーしてすぐに開始するわけではなく、エントリーの締め切りをもって指定された日時に指定された場所に集まる事になる。
ミッションによってはエントリーから待たされる事も多いが、千鶴は締め切りの近い物を選んでいたらしく開始は数日後だった。
その日は解散し、ミッションの開始日に再びGBNで落ち合う事になった。
ミッション当日、GBNにログインするとアナザーワールドの地球圏の宇宙にあるポータブルエリアでミッションを依頼したフォースの代表者と待ち合わせとなっていた。
「あのクレインさんに護衛して頂けるとは心強いです」
「精一杯やらせてもらいます」
軽く自己紹介をするが、向こうは悪気はないのだろうが、千鶴の事をトライダイバーズの中で最も信頼しているようだ。
「では、事前に説明したようにトライダイバーズの方は4名なので、他のダイバーと一時的にですが組んでもらいます」
エントリーした時に参加するダイバーの数は事前に申告している。
その際に他に少数で参加しているダイバーとミッション中にチームを組む可能性があることは聞かされている。
優人達はポータブルエリアから宇宙港に案内されると数隻の輸送艦が停泊していた。
「トライダイバーズの方々は4番艦ですね。ガンプラもそちらに積んで下さい」
アナザーワールドではガンプラの出し入れできる場所は限られてくる。
ミッション中には輸送艦にガンプラを積んでおかなければいざという時には何もできない。
「分かりました」
優人達は指定された輸送艦に自分たちのガンプラで乗り込む。
格納庫のハンガーにそれぞれガンプラを入れて降りる。
「ヤガミ。あのガンプラって」
「ああ。装備は違うけどユウリのストライクだ」
格納庫のハンガーにはすでに2機のガンプラが収納されていた。
1機は優人達は知らないが、採掘エリアでタイガ団の陽動部隊と交戦したファントムレディのザクファントムソードともう1機は優人が初めてブレイクデカールを使ったガンプラと好戦した時に出会ったユウリのアーマードストライクだった。
アーマードストライクは以前の深紅のアーマードストライカーではなく今回は黒いアーマードストライカーであるガンナーアーマードストライカーを装備した砲戦仕様になっている。
ガンナーアーマードストライカーはクロノスをモチーフとしてバックパックには2門のビームキャノン、胸部装甲のビームバスターを高い火器を装備している。
また、両腕の肘から下も丸々換装され、電磁装甲を再現した装甲に掌にはビームサーベル兼ビームバルカンが内臓したものになっており、手持ちにはビームサーベルも出せる小型のビームガトリングガンが装備されている。
全身には光波推進システムの内臓した黒い装甲が取り付けられている。
「という事はユウリもこのミッションを受けているのか。心強いな」
優人もユウリの実力は良く知っている。
ブレイクデカールを使ったガンプラを何機も難なく倒していた。
「向こうのザクファントムは近接戦闘用ね。ストライクは砲戦用の装備だし、ウチとしてはありがたいわ」
アーマードストライクと並ぶ、ザクファントムソードは今のトライダイバーズにとっては必要な能力が揃えられている。
護衛を依頼してきたフォースもトライダイバーズと組ませるにあたり、ある程度はガンプラの特性を考えての事だろう。
ガンプラをハンガーに置くと優人達は輸送艦のブリッジで先に乗り込んでいたユウリやファントムレディと顔合わせをして護衛ミッションが開始される。
「何か拍子抜けだよな」
ミッションが開始してから1時間程度が経過した。
すでに輸送艦は地球圏から出ている。
その間に一度も戦闘は起きていないため、優人は気が抜けていた。
ミッション中は基本的に輸送艦内であれば自由に行動ができる。
始めはブリーフィングルームで待機してユウリやファントムレディと話しをするも1時間も経てば話題もなかなかでない。
もっともユウリは話す気があまり無いのか、優人が話題を振っても最低限の返答だけで今も周りの事など興味がないかの如く、輸送艦の航路の情報を見ている。
この輸送艦には護衛のダイバーは6人で千鶴とソラ、ライトの3人と優人とユウリ、ファントムレディの3人で分かれて交代でいつでも出撃できるようにしている。
「まぁそういってられるのも今の内だけだと思うわよ」
優人の一人ごとにファントムレディが返す。
ユウリもチラリを視線をファントムレディの方に向けるが、すぐに戻す。
「どういう事?」
「このミッションの報酬は結構良いし、ダイバーの数も相当数雇っているでしょ?」
「……確かにな」
優人もミッションの数をそこまでこなしてはいないが、千鶴やソラ、ライトは今回のミッションの報酬のダイバーポイントはかなり割が良いと言っていた事を思い出す。
そして、トライダイバーズ以外にも複数のフォースを雇っている。
「何か裏でもあるのか?」
ただの輸送ミッションではなく、ミッションを隠れ蓑にした何かがあるのではなないかと優人は勘繰る。
それを聞いたファントムレディはきょとんとしてユウリは大きなため息をつく。
「……バカなの?」
ユウリは心底呆れているようだった。
「まぁまぁ。今回の輸送ルートは地球圏ではある程度は安心できるけど、目的地に到着する前に確実に戦闘は起こるわ」
ファントムレディはそう言い切る。
ミッション自体、戦闘になれば雇われている優人達は防衛のために戦わなければならない。
だが、何事もなければ輸送艦に乗って目的地まで到着すれば報酬が貰える。
ファントムレディもユウリも確実に戦闘になるとみているようだ。
「根拠は?」
「宇宙海賊クロスボーン・ハウンド。火星圏の宇宙の大半は連中の縄張りなのよね。だからこの輸送艦がどのルートを通っても確実に連中の監視網に引っかかるわ。そうなれば向こうは確実に攻撃を仕掛けて来るわ。この輸送艦が運ぶ先が『王武』となればなおさらね」
宇宙海賊クロスボーン・ハウンド。
レギオン傘下のフォースの1つでその名の通り海賊プレイを専門に行うフォースだ。
主に火星圏の宇宙を活動範囲としており、火星圏の海賊プレイを行っているフォースの大半を手中に収める大海賊団でもある。
火星圏の宇宙ではレギオンの傘下に入っていないフォースは移動の時は彼らと遭遇しないことを祈りながら慎重に動かなければならない。
そして、今回の移送ミッションの届先はフォース『王武』であることは攻撃が確実にあると予測できる根拠でもある。
王武は火星に拠点を持つフォースで、勢力としては大きくはないが実力者が多いフォースだ。
レギオンの勢力が拡大する中でレギオンとは敵対こそしていないが、手を組む事も傘下に入る事もしないで中立を決め込んでいる。
最近ではその力を取り込みたいレギオンが傘下に入るように交渉しているが、王武は一切の交渉を拒否して勢力の拡大がしたければ勝手にやれと込めこんでいる。
噂では近々レギオンも武力行使を行うのではないかと言われている。
今回の移送ミッションで移送しているのは、王武宛ての物資で、王武もレギオンとの戦いに備えているのではないかとユウリもファントムレディも見ている。
そうなれば、それを阻止するためにレギオンが宇宙海賊クロスボーン・ハウンドを差し向ける可能性はほぼ確実だった。
「成程な。となると問題はいつ仕掛けて来るってことか」
「後はクロスボーン・ハウンドと言ってもいろんな部隊がいるからボスのキャプテンネロの本隊が仕掛けてこない事を願うだけね」
クロスボーン・ハウンドは全体で宇宙戦艦を数十隻は保有する大規模なフォースで襲撃もその全てで来る事はない。
襲撃があることはほぼ確定事項であるなら、後はタイミングを仕掛けて来る相手だろう。
クロスボーン・ハウンドのリーダーであるキャプテンネロはレギオン四天王の1人とされるだけの実力者だ。
そんなダイバーを相手に輸送艦を守りながら戦うのは厳しい。
襲撃してくる部隊が選べない以上は、キャプテンネロが出てこない事を祈るしかなかった。
輸送ミッションが開始され、輸送艦は無事火星圏に入り、後は王武に積み荷を引き話出すだけだ。
襲撃を警戒したものの、ここまで何事もなく平和な航海だった。
「もう少しでミッションクリアだけど襲撃はなかったな」
優人がガンプラのコックピット内でつぶやく。
当初は確実に襲撃があると予測してきたが、一度も襲撃はなく拍子抜けだ。
「まぁ楽にクリアできて良かったんじゃない?」
「それはそうだけど……ファントムレディが確実に襲撃されるとかいうからずっと緊張してたのにさ」
「いやぁ……そうだと思ったんだけどね。でもまぁ、せっかくのミッションなんだから記念に一度くらい襲撃したっていいじゃん。クロスボーン・ハウンドも気が利かないんだから」
後1時間もしないうちにミッションはクリアとなり、優人もファントムレディも完全に気が抜けており、ユウリは一人ため息をつく。
このまま、ミッションは楽に終わると思われたが、輸送艦内に警報が鳴り響く。
「え? 何! 何なのさ?」
「……お待ちかねの襲撃よ」
いち早く状況を把握したユウリが皮肉を込めてそういう。
ブリッジからの情報によれば所属不明のガンプラが編隊を組んで高速で接近してきているとの事だ。
相手の所属は分からないが、積み荷を引き渡す王武のダイバーでない事だけは確かだ。
「先に出るわよ」
「俺たちも出るぞ」
「げぇ……」
輸送艦の格納庫からすぐさま3人が出撃する。
「相手がどこの誰かは分からないんだろ?」
「まぁね」
「この状況で接近してくるなら敵よ」
まだ相手が敵だとは判断できないが、楽観視もできない。
モニターに接近中のガンプラが表示される。
「あのガンプラ……間違いないわ。敵よ」
ユウリが接近するガンプラを確認する。
全機が同型のガンプラで、クロスボーン・ハウンドで広く使われているローグ・ロディであることは一目で分かった。
ローグ・ロディはシャルドールローグをベースにしたガンプラだ。
シャルドールローグの全身にマン・ロディの装甲を取り付ける事で装甲を強化している。
脚部も通常の物からランドマン・ロディの物に換装し、右腕はドッズガンから通常の腕に替えてサブマシンガンが装備されている。
左腕にはシャルドール用のシールドが装備され、リアアーマーにはハンマーチョッパーが取り付けられている。
バックパックはクロスボーンガンダム等と同様にX字のスラスターが増設されている。
「先制攻撃を仕掛けるわ」
相手を敵と判断し、アーマードストライクは背部のビームキャノンを撃つ。
ローグ・ロディは散開し、戦闘が開始される。
「早い!」
ストライクアーマーを装備したビルドナラティブがビームライフルを撃つ。
だが、ローグ・ロディは回避しながらサブマシンガンで反撃してくる。
「この動き……手練れの多い部隊と当たったようね」
アーマードストライクはビームキャノンでローグ・ロディを撃墜する。
ローグ・ロディの動きは並のダイバーよりも高く、クロスボーン・ハウンドの中でも手練れの多い部隊が仕掛けてきていると推測できる。
「こりゃ下手をすると……」
ザクファントムソードがバスターソードでローグ・ロディをシールドごと切り裂き、腕部のビーム突撃銃でけん制射撃を行う。
戦闘が始まった事で他の輸送艦からも雇われたダイバー達が出撃している。
ビルドナラティブはシールドで身を守りながらビームライフルで応戦する。
「思った以上に対応が早いな」
「向こうもそれなりのダイバーを雇っているみたい」
戦闘宙域から離れた場所に黒いメガファウナを中心に数隻のバロノークがガンプラを出撃させていた。
黒いメガファウナは宇宙海賊クロスボーン・ハウンドの旗艦だった。
そのブリッジで眼帯に海賊ルックのダイバーが戦況の報告を受けていた。
彼こそが宇宙海賊クロスボーン・ハウンドを率いるキャプテンネロだ。
キャプテンネロに状況をまとめて報告している女性ダイバーは副官のノワール。
「中にはこの間グレイズアーミィとやり合ったナラティブもいるみたいね」
「ああ。ザジと互角にやり合ってリョウマの奴も使ったってダイバーか」
キャプテンネロの耳にも先日、グレイズアーミィをトライダイバーズ結成前の優人が交戦したという話と、その後の採掘エリアでの戦闘で雇ったという事も入っている。
「成程な。だとすればアイツらだけじゃ荷が重いな。おい。ノワール。ちょっとお前が出てってみろ」
「はぁ……了解」
キャプテンネロは新しい玩具を見つけたかのような笑みを見せると、ノワールはため息をつきながらも格納庫に向かう。
格納庫にはノワールのガンプラ、ローグ・ユーゴーが黒いユーゴーと共に置かれている。
ローグ・ユーゴーはユーゴーをベースにチームカラーの黒で塗装されている。
肩の装甲はスラスターが内臓されたものに換装され、背部にはローグ・ロディと同様にX字のスラスターが増設され機動力が強化されている。
脚部のクローにはマシンガンが内臓され、両手にはカットラス状のヒートソードを持っている。
「姉御! 俺たちの出番ですかい?」
「ええ。カシラが許可が出たわ」
「よっしゃ! 暴れて来るぜ!」
待機していたダイバー達が自分のユーゴーに乗り込むとノワールもローグ・ユーゴーに乗り込む。
「ノワール。ユーゴー隊。出るわよ」
ローグ・ユーゴーを先頭に黒いユーゴー達は出撃する。
襲撃が始まり、輸送艦からも護衛のガンプラが出撃し、応戦を始めるも様々な方向からローグ・ロディが攻撃を仕掛けている。
メテオイージスのビームがローグ・ロディを貫く。
「こうも出鱈目な方向から仕掛けてこられると母艦の位置も特定できない」
ロングビームライフルでローグ・ロディを撃墜しながら千鶴は敵の母艦の位置を探ろうとするが、仕掛ける前に輸送艦隊を包囲するかのように展開しているのか、母艦が複数の方向にいるのかローグ・ロディが来る方向からは母艦は見えない。
いくら狙撃能力に自信のある千鶴も狙撃対象の位置を全く把握できなくては狙撃もできない。
「つーか! ユート達はどこ行ってんだ!」
「どうやら分断されているみたいです」
エアブラスターがビームライフルを連射し、グレイズアステルがアサルトライフルを撃つ。
待機していた優人達は先に出撃して接近してきたローグ・ロディを迎え撃ったが、向こうは向こうで交戦を初めて輸送艦からはだいぶ離れている。
「とにかく耐えるしかないのかよ」
ローグ・ロディのサブマシンガンを回避しながらエアブラスターはビームライフルとビームガンを連射すると、ローグ・ロディのスラスターに直撃して速度が落ちたところにビームを撃ち込んで破壊する。
「ハァ!」
グレイズアステルはアサルトライフルをシールドで防いでいたローグ・ロディにレンチメイスで殴りかかるが、ローグ・ロディはかわすとハンマーチョッパーに持ち替えて殴り掛かるが、メテオイージスが頭部を撃ちぬき体勢を崩したところに続けてビームを撃ち込んで破壊する。
「前に出すぎよ。無理に前には出ないで」
「はっはい!」
グレイズアステルはレンチメイスを背部に戻すと大型レールガンを展開してローグ・ロディに撃ち込む。
ローグ・ロディはシールドで受けるが、防ぎきれずに体勢を崩したところをエアブラスターがビームサーベルで止めを刺す。
ロングビームライフルを構えるメテオイージスの背後からローグ・ロディがビームサーベルで切りかかるも、メテオイージスは振り返りざまに足のビームサーベルでローグ・ロディの腕を切り落とすとサブアームのビームマシンガンでローグ・ロディを蜂の巣にする。
「数が多い! 後、どんだけいるんだよ」
「全滅させる必要はないわ。護衛対象が安全圏まで離脱できれば良いのだから」
輸送艦に取りつこうとするローグ・ロディをメテオイージスが撃ちぬく。
エアブラスターとグレイズアステルも何とか取りつかせないように応戦するのだった。
「ようやく慣れてきた」
ビルドナラティブはビームライフルでローグ・ロディの頭部を撃ちぬき、続けざまに胴体を撃ちぬいて撃墜する。
始めはローグ・ロディの動きに翻弄されていたが、優人も動きに慣れてくれば対応もできる。
ビルドナラティブはビームサーベルを抜き、ローグ・ロディに切りかかる。
ローグ・ロディもビームサーベルで迎え撃ち、互いのシールドで受け止める。
「この!」
ローグ・ロディを蹴り飛ばすと至近距離から頭部のバルカンを撃ち込む。
装甲を強化しているため致命傷にはならないが、横からアーマードストライクがビームバスターでローグ・ロディを撃墜する。
「ちょいさ!」
ザクファントムソードがバスターソードでローグ・ロディをシールドごと破壊し、腕部のビーム突撃銃でけん制する。
3機を相手に中々攻めきれなかったローグ・ロディだったが、急に散開する。
「何だ? 撤退するのか?」
「そんな訳ないでしょ。新手よ」
「……黒いユーゴーの部隊って最悪じゃん」
ローグ・ロディでは手に負えず、新たなに出撃してきたノワールたちが担当し、ローグ・ロディ達は輸送艦への攻撃に向かったのだ。
そして、ノワール率いる黒いユーゴーの部隊はキャプテンネロのクロスボーン・ハウンドの本隊だという事になる。
「あれね。ストライクとザクは任せるわ。私はナラティブをやるわ」
「了解っす! 姉御!」
ローグ・ユーゴーは加速するとビルドナラティブに向かい、残るユーゴーはアーマードストライクとザクファントムソードに向かっていく。
ビルドナラティブはビームライフルを連射する。
「アイツ! 早い!」
「遅いわ」
ローグ・ユーゴーはビームを回避して距離を詰めると脚部クローでつかみかかる。
ビルドナラティブはとっさにシールドで身を守り、クローはシールドを掴むと至近距離からマシンガンを撃ち込みシールドを破壊する。
「っ!」
すぐにビームライフルを向けるが、すぐに距離を取って回避する。
「ストライクでも追いつけない!」
加速して追撃するが追いつく事は出来ない。
ローグ・ユーゴーは旋回するとヒートソードで切りかかる。
それに合わせるようにビームサーベルを振るうが、ビームサーベルは回避されてヒートソードの一撃を食らってしまう。
「装甲は厚いようね」
「姉御! 援護しますぜ!」
3機のユーゴーがマシンガンを撃ちながら接近してくる。
ビームライフルを応戦するが、散開し、2機がアンカーを射出してビルドナラティブの両腕を拘束する。
「しまった!」
残る1機が脚部クローでビルドナラティブの両肩を掴み動きを封じる。
「良くやったわ。そのまま抑えておいて。カシラには悪いけどここまでね」
ローグ・ユーゴーはヒートソードを構えて突っ込んでくる。
「やられて溜まるか!」
ビルドナラティブは装甲をパージする。
それにより3機のユーゴーからの拘束から逃れる事が出来た。
「バルバトス!」
ビルドナラティブはローグ・ユーゴーの攻撃を回避すると同時にバルバトスアーマーに換装する。
「装備を!」
「この!」
バルバトスアーマーに換装したビルドナラティブはメイスで近くのユーゴーを叩き潰す。
1機を撃墜し、すぐに別のユーゴーにメイスで殴り掛かるも、ユーゴーは回避される。
空を切るメイスの勢いにビルドナラティブは体勢を崩し、ユーゴーはその隙を付いてバスターソードを振るうが、メイスを手放して太刀を抜くとバスターソードの軌道を反らして滑空砲の砲身をユーゴーに突きつけると至近距離から打ち込む。
「これで2機……」
「思った以上にやるようね。でも、その程度で」
ローグ・ユーゴーと残るユーゴーは距離を保ちながらマシンガンを撃ち込む。
「くっ!」
太刀で切りかかるも、距離を取られて接近できない。
「何か向こうやばそうだけど?」
「そこまで面倒を見る義理はないわ」
アーマードストライクはビームガトリングガンでユーゴーを撃墜し、ザクファントムソードはバスターソードで円月刀を受け止める。
優人が劣勢だという事は分かっているが、自分たちも優人の援護に向かうだけの余裕もなければ無理をしてまで助けに行く義理もなかった。
むしろ、少しでも優人が時間を稼いでいる間に自分たちが相手にしているユーゴーの数を減らしておきたかった。
「ちょこまかと……」
接近できないため、バルバトスアーマーからユニコーンアーマーに換装するとビームマグナムを放つ。
だが、十分な余裕をもって回避されるとマシンガンで装甲を削っていく。
「装甲を換装されると削り切れない……厄介ね」
「姉御。どうします?」
「時間をかけすぎる訳にもいかないわね」
時間をかければビルドナラティブをしとめる事は可能かも知れない。
だが、時間をかけて輸送艦に逃げられては意味がない。
「仕方がないわね。先に輸送艦を叩くわよ」
「うす!」
ビルドナラティブを倒すよりも輸送艦を抑える方を優先して輸送艦の方に向かおうとする。
「輸送艦には向かわせない!」
ビルドナラティブはビームマグナムで妨害するが、2機のユーゴーは回避する。
「このアーマーでも追いつけないか……どうする? 何か新しいアーマーは」
現状の装備では打開策は見つからず、アーマーの一覧を確認しながら打開策を探す。
「何だ? 新しいアーマー……いつの間に? ウイング。翼か……これなら行ける!」
戦闘中に解放されたのか新しいアーマーが増えていた。
優人は迷う事なく新しいアーマーを選択する。
ユニコーンアーマーがパージされると、前後にランナーが形成されると装甲が装着されていく。
そして、ウイングガンダムの能力を持つウイングアーマーに換装された。
「変形? そうか、コイツはヤガミのガンプラと同じように変形ができるのか」
ウイングアーマーに換装したビルドナラティブはバード形態へと変形する。
変形が完了するとビルドナラティブは加速してノワールたちを追いかける。
「姉御! 何か来ます!」
バード形態のビルドナラティブは2機を追い越すとMS形態に変形するとバスターライフルを向ける。
「コイツで!」
ビルドナラティブはバスターライフルを撃つ。
ローグ・ユーゴーは回避出来たが、もう1機のユーゴーはビームに飲み込まれて消滅した。
「凄い威力だ。コイツなら距離があってもいける!」
ローグ・ユーゴーにバスターライフルを撃つが回避される。
再度撃つためにバスラーライフルを向けるが、撃つ前に警告音と共にバスターライフルの残弾が1発であると表示されている。
「残り1発? 3発しか撃てないのか……」
バスターライフルの残弾数が1発しかないため、無駄撃ちは出来そうにない。
ビルドナラティブはバスターライフルを左手に持たせるとビームサーベルを抜いて接近戦を仕掛ける。
「ウイングもどきね。面倒な」
ローグ・ユーゴーは頭部のミサイルを撃つが、バルカンで迎撃されてビームサーベルを振るう。
「振り切れないか」
ローグ・ユーゴーのヒートソードとビルドナラティブのビームサーベルで何度も切り合う。
ウイングアーマーならば簡単には振り切れそうにはない。
「行かせない!」
「邪魔を!」
ローグ・ユーゴーがビームサーベルを払い脚部クローで掴みかかろうとするが、後方からのビームがローグ・ユーゴーの足を撃ちぬいた。
「何が!」
「クレインか? 今だ!」
体勢を崩したローグ・ユーゴーにバスターライフルを向ける。
そして、ビルドナラティブはバスターライフルを発射する。
「やられて堪るものか!」
ギリギリのところでローグ・ユーゴーは機体を捻り射線から少しでも出ようとする。
ビームはローグ・ユーゴーの下半身を吹き飛ばし、上半身もビームの余波でボロボロになる。
ローグ・ユーゴーのコックピットは頭部にあるため、まだ撃墜にはならないが、もはやまともに戦闘は出来そうにはない。
「くっ……これほどとは」
「姉御!」
ユウリ達と交戦していたユーゴーの1機が大破したローグ・ユーゴーを回収すると別のユーゴーがロングライフルを撃ちながら後退していく。
「……何とかなったのか」
「深追いは無用よ。すぐに戻ってきて」
「ああ……分かった」
ローグ・ユーゴーを退けたことで優人達も輸送艦の方に向かっていく。
「ノワールがやられたのか……面白れぇ」
メガファウナのブリッジにはノワールのローグ・ユーゴーが大破して後退したとの報告が入っていた。
小手調べでノワールを差し向けてみたもののキャプテンネロもまさかやられるとはまでは思ってもいなかった。
ノワールを撃退したという事はキャプテンネロも退屈な戦いにはならない。
「リトルタイガーとやり合ってから雑魚ばかりでつまねぇと思ってたんだ。久しぶりに暴れさせて貰うぜ!」
キャプテンネロはブリッジを離れて格納庫に向かっていく。
強敵を退けたトライダイバーズだが、輸送ミッション最大の難関はこれからだった。