レギオンの王武に対する参加に入るか否かの最後通告が行われ、その解答時間と同時に戦端が開かれる事となった。
「レギオンの奴ら! もう話し合う気もないって事か」
王武側の回答を待たずの攻撃にレンジは憤りの声を上げ、周囲のダイバー達も動揺を隠せない。
「狼狽えるな。こんな通告をして来るんだ。俺たちが降る気がない事は向こうも分かってる」
ジードの言葉で周囲も落ち着きを取り戻す。
最後通告の内容は明らかに王武に断らせて攻撃の口実を作らせる事を目的にされている。
ならば、王武側の回答を待たずとも攻撃してきてもおかしくはない。
「ジードさん!」
「どうした?」
再び城壁に何ががぶつかる音と振動と共に指令室のモニターが切り替わる。
「あのガンプラは……」
モニターには最初の攻撃で開けられた穴を更に大きく広げガンダム・オメガバルバトスアステールが要塞内に突っ込んでくる様子が映されている。
「……向こうも本気という事か。各員は速やかに戦闘体勢に入り迎撃を始めろ。同時に他のフォースのダイバー達をフォースネストの外に退避させろ」
「よろしいので?」
「ああ。これは俺たちの行動で起きた戦いだ。無関係のダイバーを巻き込む事は出来ん」
ショウゲンは要塞内のダイバー達に協力要請を出せば大半は手を貸してくれるが、それでも逃がしても構わないのかと聞くが、ジードは他のフォースのダイバーの手を借りるつもりはない。
元々、レギオンの勧誘を断り続けてきたことで起きた戦いだから、無関係のダイバーの力を借りる訳にはいかない。
「承知」
「ジードさん。俺らも出ます」
「ああ。任せる」
レンジとショウゲンをはじめとしたダイバーの何人かは敵を迎え撃つために指令室を出ていく。
大我が攻撃を始め、それに続き龍牙とカティアもそれぞれ要塞に向かった。
芽衣も必要な指示を出すとズゴックEXに乗り込むと湖に入る。
「さて……ガク。準備は良いな?」
「もちろん。この日の為にウチのビルダーたちにも何日も徹夜させてますからね」
「ご苦労さん。んじゃ初めてくれ」
諒真はガンダムクロノスXXに乗り込むと通信で離れたところで待機していたビルダーズギルドのギルドマスターである岳に指示を出す。
すると湖の周囲を囲うように砲台やミサイルポッドが現れる。
戦闘になることを前提にすでに湖を囲うように配置し、シートで遠目では見つからないようにしていた。
その中には数基のバリスタのような物が配置されている。
王武のフォースネストへの進行はかなり限られてくる。
周囲を湖と城壁に囲まれているため、基本的には上空から攻める事になるが、向こうも対空防御はきっちりと固めている事は容易に考えられる。
城壁は大我が正面からぶち抜いて内部に入ったが、本来は並の攻撃では突破は難しい。
そこで諒真は城壁を突破し、要塞内部への侵攻ルートを確保するためにビルダーズギルドに用意させたのがダインスレイヴを撃ち込むバリスタだ。
ビルダーズギルドに所属するダイバーの高い制作技術で作られたバリスタは要塞の城壁をぶち破るのには十分な威力を持つ。
もっとも、バリスタは単発で数も10基にも満たないが、今回はそれで充分だ。
「ダインスレイヴ……撃て!」
要塞の周囲から一斉にダインスレイヴが放たれた。
同時に要塞の遥か上空の宇宙にもダインスレイヴを装備したグレイズアーミィのグレイズが待機しており、宇宙からも数発のダインスレイヴが撃ち込まれた。
宇宙で待機していたグレイズのダインスレイヴの威力はそこまで高くはなく、要塞に大打撃を与えるほどではなかったが、城壁を破壊するために撃ち込まれるダインスレイヴをより確実に打ち込めるように宇宙からも撃たせたに過ぎない。
バリスタから撃たれたダインスレイヴは城壁に直撃すると貫通し、大きな穴をあける。
「良し……グレイズアーミィは全機出撃。ビルダーズギルドも援護を頼む」
続いてグレイズアーミィのグレイズも身を隠していたシートを振り払うと事前に用意していたボードに乗ると湖の上を疾走する。
これもビルダーズギルドが用意したもので、水上の方が空中から進むよりも迎撃が弱いと判断し、グレイズ自体に追加装備として追加するよりも戦闘能力を落とさずに機動力を上げる事が出来た。
「ダインスレイヴが撃たれたか……俺たちも遅れてられないな」
「そうね。このままじゃアイツ一人に好きにさせることになるわ」
上空から接近していた龍牙とカティアもダインスレイヴによる攻撃が行われた事で加速して要塞に向かう。
対空攻撃が始まったが大我の襲撃とダインスレイヴの攻撃で向こうも浮足立っているのか事前情報ほどの抵抗はない。
要塞の周囲からグレイズが水上を進み、同時にこの日の為に数を揃えていたNPDのプルーマも大量に水上を進んでいる。
その後方からはビルダーズギルド所属のダイバーが用意してきたミサイルポッドや砲台から要塞目掛けて攻撃を始めてた。
「ここから先は競争だな」
「ええ。どちらが先に大将を討ち取れるかね」
龍牙とカティアは二手に分かれた。
対空攻撃を掻い潜りカティアのヨーシエピオンは要塞内に入り込むと迎撃のNPDアストレイをビームソードで切り裂く。
1機目を撃墜すると、シールドを掲げてビームサーベルで接近してきたNPDアストレイをシールドごと切断する。
「まずは内部に入るルートを確保しないと……」
味方の砲撃に当たらないように注意しながら周囲を確認すると宇宙からのダインスレイヴで運よく要塞の外壁に穴が開きそこから内部に侵入する。
「手当たり次第に破壊するのは気が引けるが……」
城壁の中に入り込んだブレイジングデスティニーはビームライフルを向けてきたガンキャノンに接近する。
ビームをかわし、ブレイジングナックルでガンキャノンを破壊した。
「攻撃してくるってなら、気も咎めないな」
背後からビームナギナタを振り下ろすディジェの一撃をかわし、蹴り飛ばすと頭部のバルカンを撃ち込み、ブレイジングナックルを射出してしとめる。
「近くに入れそうなところはないけど、探してたら大我の奴に先を越されそうだしな」
ブレイジングナックルを回収するとブレイジングデスティニーは要塞の壁を殴る。
その一撃で中に入るのには十分な穴を開けて中に入る。
戦闘が始まり、海上を疾走するグレイズアーミィもダインスレイヴにより破壊された城壁を超えて城壁内に次々と入り込む。
「各機、敵を見つけ次第に排除。一人残らずだ」
「了解」
ザジのグレイズラグナを先頭に多数のプルーマを引き連れたグレイズが要塞内部を目指す。
「これ以上進ませるか!」
王武所属のダイバーも迎撃を始める。
ガンダムキュリオスがGNサブマシンガンを連射してプルーマの進行を防ぐが、2機のグレイズが左右から飛び掛かり、バトルアックスとバトルブレードで撃破される。
「こいつ等!」
「雑魚をいくら集めても!」
グフカスタムとヘビーアームズがガトリングでプルーマを一掃するが、グレイズラグナが懐に飛び込みべロウズアックスでヘビーアームズを仕留め、ガトリングシールドの砲身をパージし、ヒートソードを抜こうとしたグフカスタムに別のグレイズがライフルを撃ち込む。
「この辺りは無効化したか……これより要塞内部に侵入する。迎撃システムを破壊しながら、敵を殲滅する」
ザジは要塞内部に侵入する。
内部ではすでに迎撃システムが起動し、隔壁が下ろされて侵攻を防ぎ、バリケードや機銃で侵入者を迎え撃つ構えが取られていた。
「迎撃システムは想定の範囲内か」
侵入したザジ達を上から機銃を狙うが、大型シールドをはじめとしたシールド持ちのグレイズが身を守りながら囮となり機銃の注意を引き付けて、火器を装備したグレイズが機銃を潰していく。
「お前たち! 俺たちのフォースネストに土足で踏み込んだんだ。タダで帰れると思うなよ!」
陸戦型ガンダムがマシンガンを撃ちながらザジ達を迎え撃つ。
その横からピクシーがビームダガーを持ち突撃してくる。
ピクシーのビームダガーを大型シールドを装備したグレイズが受け止めると、横に飛び退き後ろに控えていたグレイズがマイニングハンマーを装備したグレイズがピクシーを叩き潰す。
「ここを通させるな!」
「押し通る」
グレイズラグナが銃撃をかわしながらシールドランスで陸戦型ガンダムを取ら抜き破壊する。
残るガンプラもグレイズの連携に対応しきれずに破壊されていく。
迎撃のガンプラと機銃を一通り破壊し、グレイズが隔壁に集中砲火を浴びせる。
やがて隔壁は耐え切れずに破壊された。
侵攻ルートを確保し、ザジ達は先を目指す。
攻撃を受けている王武のフォースネストからの脱出ルートとしては輸送機による空輸があげられる。
だが、周囲を敵に囲まれフォースネストの遥か上空の宇宙にも敵が配置されているこの状況で空輸は敵に狙ってくれと言っているようなものだ。
もう一つの脱出ルートとしては潜水艇による水中ルートだ。
フォースネストの周囲は湖に囲まれているため、いざという時は水中からも脱出ルートが確保されている。
王武から退避するために潜水艇にダイバー達は自分のガンプラと共に脱出の準備が進められていた。
1つ目の潜水艇の定員が一杯となり、潜水艇は潜航を始める。
脱出するダイバー達はようやく脱出できると安堵するが、次の瞬間水中から爆発音と共に水柱が上がる。
「何だ!」
「まさか!」
突然の事態にダイバー達は驚き立ちすくむ。
そして、水中から芽衣のズゴックEXが飛び出すと、レールガンで潜水艇を破壊する。
「悪いけど誰も逃がすなという言われているの」
ズゴックEXの後からプルーマが水中から出てきて脱出しようとしていたダイバー達を襲う。
そのほとんどがここから逃げるつもりで戦う意思はなかったが、そんなことはお構いなしにプルーマは敵を蹂躙していく。
ズゴックEXも全火器を使い敵を殲滅していく。
「ユート! やっぱレギオンが攻めてきたみたいだ!」
先ほどから幾度も起こる爆発や衝撃は明らかに訓練とは思えず優人達も何が起きたのか状況を確かめていた。
ソラが王武のダイバーからレギオンが攻めてきた事と無関係のダイバーには退避するように言われてきた事を説明する。
「聞いた話ですよ、タイガ団みたいです」
ライトの方でも敵がタイガ団であることを掴んできたようだ。
「うわ……最悪の最悪じゃん」
「だとしたら落ちるのも時間の問題ね」
「土下座でもしたら見逃してもらえるかなぁ」
「無理ね」
相手がタイガ団だと分かり、女性陣の方ではすでに王武が負ける事を前提に話を進めていた。
王武がいくら高い戦力を保有していたとしても今回ばかりは相手が悪い。
ソラもライトも口にこそ出さないが、二人と同じ考えだ。
そんな中、優人は一人考え込んでいる。
「俺たちにも何かできないかな?」
「まさか、ユート……戦う気か?」
「レンジさんとかショウゲンさんにはいろいろと世話になったんだ。危険だからって逃げる訳にはいかないよ」
その言葉にソラは言い返す事は出来ない。
ここにきていろいろとアドバイスを貰っている。
それなのに戦場となり無関係だからと自分たちだけ逃げるというのは恩を仇で返すような物なのかも知れない。
「そんなこと言ったって相手はマジもんの化け物だよ。私らが加わったところで意味なんかないわよ!」
「それでも何もしないで逃げるよりかは良い」
ファントムレディの反論に対しても優人は意見を変えるつもりはなかった。
実際、相手の実力を考えると今の優人の実力ではできる事は限られている。
優人が加われば勝てる見込みもない。
それでもここで逃げるくらいなら戦って玉砕した方がマシだった。
「まぁ……それもそうだよな」
「僕もです!」
優人の言葉にソラとライトも同調する。
最後の頼みとファントムレディはチラリと千鶴の方を見るも千鶴はファントムレディに対して軽く肩をすくめる。
「……危なくなったら私は逃げるからね。こんなところでやられたくないわ」
「入って早々面倒に巻き込んでごめん。その判断は任せる」
ファントムレディは完全には納得はしていないが、話は纏まる。
「で、具体的にどう動く?」
「俺は先行して敵を叩くから、ヤガミ達は王武の防衛線に合流してくれ」
「一人で大丈夫なのか?」
「機動力のあるウイングアーマーを使って前に出るからそれについてこれるのはヤガミくらいだけど、ヤガミの機動力は守りにも必要だからな」
優人が前に出て敵の数を削りに行くとなればついてこれるのは変形機構を持つエアブラスターくらいしかいない。
だが、王武の各防衛線に合流するのであれば、エアブラスターの機動力は防衛線の間を移動するのに役に立つ。
「分かった。あんまり無茶はすんなよ」
「善処する」
優人はそう言いウイングアーマーに換装するとバード形態に変形する。
バード形態で通路を進んでいると開けた空間に出る。
「ウイング? 違う……あれは」
「あのグレイズ……」
グレイズを引き連れたザジと優人は遭遇した。
ここまでの道中で分散し、ザジが引き連れているグレイズは2機だけだ。
ビルドナラティブはすぐさまMS形態と変形するとバスターライフルを撃ち、グレイズを1機しとめる。
「相手は1機か……油断するなよ」
「分かってる」
残るグレイズはマイニングハンマーを装備したグレイズだ。
着地したビルドナラティブはバスターライフルを向けるも、2機は速やかに射線上から退避したため、優人は引き金を引かなかった。
「後2発しかないんだ。無駄弾は撃てない」
ビルドナラティブはバルカンで応戦しながらバスターライフルを撃つチャンスをうかがっていたが、後ろからプルーマが飛び掛かり、とっさにバスターライフルを盾にした。
数機のプルーマがバスターライフルに群がり、ビルドナラティブはバスターライフルを手放すとバルカンを撃ち込み誘爆させた。
「くっ! ライフルが!」
「隙あり!」
その間に回り込んでいたグレイズがマイニングハンマーを振るう。
シールドで身を守るがシールドは粉々に破壊された。
「まだ!」
シールドが破壊されながらも破壊されたことでシールドに内臓していたビームサーベルが外に飛び出しており、空中で掴むとビーム刃を形成し、グレイズを一刀両断にする。
「ちぃ」
「ストライク!」
バスターライフルとシールドを失ったビルドナラティブはすぐにストライクアーマーに換装する。
アーマーを換装しビームライフルでグレイズラグナをけん制し、突っ込んできたプルーマをシールドで弾きバルカンで破壊する。
「ザジだけじゃない。小型の奴も面倒だな」
「余り時間をかけるつもりはない」
グレイズラグナは離れたところからべロウズアックスを振るう。
べロウズアックスの刃をシールドで弾くと刃と刃の間をビームライフルで狙いべロウズアックスを破壊する。
「前よりも腕を上げているのか!」
「いつまでも昔のままじゃないんでね」
以前、採掘エリアをめぐっての戦いでは仲間として戦ったが、あの後から何度もバトルを行った。
特に宇宙海賊クロスボーンハウンドとの戦いではキャプテンネロの実力を身を持って体験した。
そのキャプテンネロと比べるとザジは怖くはない。
「見せてやるよ。ここで得た新たな力を!」
王武に来てからの戦いで優人は新たな力を会得した。
ビルドナラティブのストライクアーマーがパージされると前後にランナーが形成される。
全身に新たなアーマーが装着されていく。
「新たなアーマーだと!」
「これが王武で得た力……ガンダムビルドナラティブ・シャイニングアーマーだ」
ビルドナラティブの新しいアーマーはシャイニングガンダムの力を持ったシャイニングアーマー。
タイタスアーマーと同じ素手での格闘戦に特化したアーマーだが、格闘能力の中でもパワーと装甲に特化したタイタスアーマーとは違いシャイニングアーマーはバランスの取れた格闘能力にを持つ。
「ふん。だからどうしたというのだ。新たなアーマーを使ったところで、それごと粉砕するだけだ!」
グレイズラグナは加速するとシールドランスを突き出す。
シャイニングアーマーを装備したビルドナラティブは腕でランスシールドを受け流すと拳をグレイズラグナに入れる。
「うっ!」
「はぁ!」
体勢を崩したところに連続攻撃を繰り出し、グレイズラグナはランスシールドで何とか防ぐが、ビルドナラティブの強力な蹴りでシールドが飛ばされる。
一度、グレイズラグナは距離を取るとバトルブレードを抜いて構える。
「ちっ……」
「俺の方も時間をかけるつもりはない」
ビルドナラティブはスーパーモードとなり金色に輝く。
「スーパーモードか……だが、我らグレイズアーミィは決して退く事はない!」
ザジは怯む事も無く突撃する。
「レンジさんはこういう時は言わないといけないって言ってたよな……」
優人は軽く深呼吸をする。
「お……俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと轟き叫ぶ!」
シャイニングアーマーが使用可能となり、レンジと共に使い勝手を確認した時にレンジからあることを言われていた。
シャイニングガンダムの機能を持つシャイニングアーマーで必殺技を使う時には必ずこの口上を入れなければならないと。
流石に恥ずかしかったが、口に出してみると心なしかテンションが上がったような気がした。
「シャイニングゥ! フィンガァァァァ!」
ビルドナラティブのシャイニングフィンガーがグレイズラグナのバトルブレードを砕き頭部を鷲掴みにする。
そのまま、前進してグレイズラグナを壁に叩きつけた。
壁はその衝撃で崩れ、グレイズラグナの頭部は完全に潰され、壁に叩きつけられた衝撃で力なく項垂れる。
「ふぅ……」
グレイズラグナはこれ以上は戦えない事を確認するとスーパーモードを解除する。
「良し……このアーマーもバトルでちゃんと使える。確実に強くなれてる」
前に戦った時は苦戦したザジを相手に勝利した事は優人の自信に繋がった。
「さてと……俺もそろそろ前に出るか」
戦闘が開始され諒真の想定した流れになっている。
用意してきたプルーマも全て投入し、周囲を囲んでいるビルダーズギルドのダイバーは絶え間なく長距離砲撃を行っている。
後は諒真も要塞に向かい戦闘を始める頃合いだ。
「リョーマさん!」
「どうした? 何かあったのか?」
「宇宙から何か来ます!」
そういわれてモニターを要塞の上に向ける。
「何だ? 降下攻撃は予定にないが……」
宇宙から多数の何かが要塞目掛けて落ちて来ていた。
要塞の上は抑えており、宇宙で王武に味方しそうなフォースはすでにけん制してある。
敵の増援である可能性は低い。
「よう。腹黒参謀さんよぉ」
「……キャプテンネロ」
突如、キャプテンネロから通信が入る。
諒真もその時点で大体の事情は呑み込めた。
「ずいぶんと面白そうな事してんな。仲間外れはないだろ」
「アンタらのフィールドは宇宙だろ?」
「んなこと関係ねぇよ。最近お前らばかり面白そうな事ばかりしてんな」
諒真は面倒ごとを押し付けられているだけだと反論したいが、キャプテンネロにとってはレギオンの思惑には興味はなく、ただ自分が暴れられればそれでいいため、言っても無駄だと我慢する。
「で、降下してきてるのはおたくら?」
「そういうこった! 俺らも混ぜて貰うからな!」
キャプテンネロはそう言って一方的に通信を切る。
「……たく、大我の奴と言い最近の若い奴は好き勝手にやって……」
ここで宇宙海賊クロスボーンハウンドの介入は想定外だったが、少なくとも敵ではない。
「大我……頼むから先にジードを仕留めてくれよ」
ここで大我より先にキャプテンネロがジードを仕留めるなんてことになれば、ここまでの段取りの苦労が水の泡となる。
いくら王武を落とせたとしても、その功績は宇宙海賊クロスボーンハウンドに根こそぎ持っていかれるだろう。
余り楽観視が出来る状態でもなくなり、諒真は急いで要塞に向かう。
「野郎ども! 宇宙じゃねぇか、思いきり暴れてこい! 王武の奴らを根絶やしにする気でなぁ!」
「カシラ、根絶やしにしてどうするの……」
「姉御! カシラが!」
先陣を切って降下していくキャプテンネロのクロスボーンガンダムX91の速度が上がっていく。
「好きにさせなさい。私たちは1機でも多く降下を成功させることを考えるの」
宇宙から降下する敵の存在に気づいたのか、要塞内から陽電子砲が何基かむけられていた。
陽電子砲と対空攻撃を掻い潜りながら宇宙海賊クロスボーンハウンドは要塞に取りつこうとする。
一足先にクロスボーンガンダムX91が要塞に突っ込む。
「何だ……何かが落ちて来たのか」
ザジに勝利したのもつかの間、優人の前に天井を突き破り何かが落ちてきた。
落ちてきた時の衝撃で砂煙が舞う。
「よぉ……また会ったな」
「……アンタは」
砂煙も落ち着き優人は落ちてきた相手が誰だかわかると操縦桿を強く握り締める。
ここに来るきっかけともなり、宇宙で大敗したキャプテンネロのクロスボーンガンダムX91が瓦礫を押しのけて姿を現した。
「今日はウィルの奴も邪魔はしてこないから、とことんやろうや……どっちかがくたばるまでなぁ!」
キャプテンネロが吠えるとクロスボーンガンダムX91はビルドナラティブに襲い掛かった。