ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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ダイバー連合VSBD同盟

 

 

 

 タイガ団と王武とのバトルにより王武のフォースネストは陥落した。

 その後、王武が正式にタイガ団の参加に入る事が公表されアナザーワールドの火星圏の勢力図が塗り替わる事となった。

 バトルの影響でフォースネストに大打撃を受けた王武だが、今までは基本的に誰でも自由に出入り出来ていたが、現在は王武所属のダイバーかタイガ団やその傘下のフォースのみが出入り可能で、それ以外のダイバーの出入りは禁止となっている。

 

「そういう訳だ。受け入れられない者はフォースを去るなり、今後の作戦行動を拒否することは了承させている」

 

 ジードは指令室だった部屋でフォースのメンバーに今後の身の振り方を問う。

 王武はタイガ団の傘下に入り、関節的にレギオンの傘下にもなった。

 今後は今までのように自らの実力を高めるだけでなく、レギオンからの指示で動かなければならない事もある。

 フォースのメンバーの中にはそれが嫌なダイバーもいるだろう。

 そんなダイバー達が王武を抜ける事も作戦内容によっては拒否できる事をジードはタイガ団の傘下に入る条件として出してタイガ団側からも了承を得ている。

 

「何言ってんすか。ジードさん。そりゃ奇襲みたいなやり方だったですけど、俺たちは真向から戦い、真向から叩きのめされたんですよ。まぁレギオンのやり方は気に入りませんけど、俺たちは皆、ジードさんについていきますよ」

 

 ナンバー2であるレンジがメンバーを代表して答える。

 レギオンは無駄な戦闘は避けるために圧倒的な武力をチラつかせて相手の戦意を折って傘下に入れる事が基本的なやり方だ。

 ダイバーによってはそのやり方は弱肉強食のアナザーワールドでは力ではなく対話により勢力を拡大させる平和主義として一定の評価をされている。

 だが、王武のダイバーからすればそんなやり方よりもタイガ団のように自分たちの力で相手をねじ伏せるやり方の方が好感を持てる。

 だからこそ、ジードを真向から実力でねじ伏せた大我に対しても遺恨はなく、むしろジードに勝った事で言動はともかくとして実力に関しては敬意すら持っている。

 

「お前ら……」

「レギオンの奴らに王武の実力を見せつけてやりましょうよ!」

「話しは纏まったか?」

 

 タイミングを見計らうかのように大我が入ってくる。

 

「ああ」

「んじゃジードは俺と共に宇宙に上がってもらう。なんかリュウオウの奴から呼び出しがあったから」

 

 すでに王武を傘下に入れたという事はレギオンのリーダーであるリュウオウに報告している。

 そのことで大我とジードはレギオンのフォースネストへ呼び出しを受けていた。

 

「分かった。レンジ、ショウゲン。留守を任せる」

「うす」

「心得ました」

 

 ジードもフォースネストの復興作業の指揮をレンジとショウゲンに任せた。

 その後、二人はガンプラでレギオンが確保しているシャトルの打ち上げ施設へと向かい宇宙に上がる。

 宇宙に上がるとシャトルから離脱し、レギオンのフォースネストへと向かう。

 

「あれがセカンドムーンか。実際に見ると相当な大きさだな」

「まぁ俺なら余裕で落とせるけどな」

 

 2機はレギオンのフォースネストであるセカンドムーンに接近する。

 ヴェイガンの本拠地のコロニーをレギオンはフォースネストとして使っている、

 

「タイガ団のリトルタイガーさんと王武のジードさんですね。リュウオウ様から話は受けています」

 

 セカンドムーンに接近すると、数機のダナジンが近づいてくるが、すでに大我とジードが来る事は聞いていたため、フォースネストへと案内される。

 二人は格納庫にガンプラを置いて降りて来る。

 そのまま、レギオンのダイバーにフォースネスト内の総司令部まで案内されて、その中のブリーフィングルームに通された。

 

「あ?」

「君が来るなんて珍しい」

 

 ブリーフィングルームの中央には円形の机が設置され、そこにはクロスボーンハウンドのキャプテンネロとエルダイバーズのウィルがいた。

 キャプテンネロは退屈そうに机に脚を載せた状態で座り大我を一瞥する。

 

「リュウオウから直々に来るように言われてるんだよ。俺だって面倒だから来たくはねぇよ」

 

 大我は空いていた席に座ると、ジードもそれに続く。

 

「やぁ待たせたね」

 

 少ししたことになるとレギオンのリーダーであるリュウオウがブリーフィングルームに入ってくる。

 リュウオウは少年型のアバターに白いローブと龍の手に赤い球体状の宝石のついた杖を持ったダイバーで、その容姿と言動から一部では神の如く崇められている。

 その後ろには女性ダイバーのシンディと大柄でスキンヘッドに顔や腕に無数の傷を持つ歴戦の勇士を思わせる雰囲気を纏ったダイバー、ダントンが控えている。

 シンディは大我、キャプテンネロ、ウィルと並ぶ、レギオンの四天王の一画で、ダントンはリュウオウの右腕であり、四天王には数えられてはいないが、かつては個人ランキングでトップになったこともある実力者だ。

 現在、ブリーフィングルームにはレギオンの最高戦力が揃った事になる。

 

「まずはリトルタイガー。今回の働きはご苦労だったね。まさかあの王武を仲間に引き入れるなんてね」

「そりゃどーも」

「それでジード。王武はいつから作戦行動に参加できるんだい? リョーマの報告だとすぐには無理だという話だけど?」

「さぁな。アンタらのせいでウチのフォースネストは滅茶苦茶になってるんだ。俺たちとしてはフォースネストの立て直しが最優先だ。メンバーもリアルやいろいろとやりたい事もあるだろうから何時になるかは分からん」

 

 ジードはここに来るまでに諒真から受けていた指示通りに答える。

 王武を傘下に入れたタイガ団だったが、レギオンの好き勝手に王武の力を使わせる気はなかった。

 タイガ団とのバトルで崩壊したフォースネストの修復を理由に本格的な参加を先延ばしにする算段だ。

 

「そうか。確かにそれは最優先事項だね」

 

 リュウオウもあっさりとジードの言い分を受け入れた。

 レギオンとしても強引に作戦行動に参加させてはいろいろと面倒な事になるから無理強いは出来ない。

 

「で、俺らまで呼んだ用はなんだよ? 俺らはアンタらと違って暇じゃないんだよ」

 

 キャプテンネロは皮肉交じりでそういう。

 リュウオウに心酔しているシンディはキャプテンネロに対する敵意を隠そうともしないが、リュウオウは気にした様子も見せない。

 

「ダイバー連合の事は君たちも知っているよね」

「ええ。ブレイクデカールを使うダイバーに対抗するためにいくつかのフォースが結託した奴ですね」

「ああ。あのくだらねぇ奴か」

 

 ウィルもキャプテンネロもダイバー連合の事は知っているようだ。

 大我はその話に全く興味を示そうともしない。

 

「くだらないかはさておき、最近のマスダイバーの悪質な行動は少々目に余る物がある。レギオン傘下のフォースにも被害が出ているようだしね」

「ブレイクデカールを使う連中もそいつ等にやられる連中も雑魚なだけだろ」

「彼らは我々のように力があるわけじゃないからね。けど、これ以上は僕たちも見過ごす訳にもいかない。そこでレギオンはダイバー連合への参加を決めた」

 

 リュウオウは最近増えているブレイクデカールを使い悪質なプレイをするダイバーをこれ以上は野放しにはできないと考え、レギオンはダイバー連合に参加してBD同盟と戦う事をm決めたようだ。

 

「そこで近々マスダイバーの大規模な掃討作戦が実行されることになった君たちにもその作戦行動への参加を頼みたい」

 

 リュウオウが大我たちを集めたのはジードとの顔合わせというよりもそれが本題だった。

 レギオンがダイバー連合に参加し、大規模なバトルを仕掛ける事が決まったが、戦力の確保としてレギオン傘下の中でも力のあるタイガ団やクロスボーンハウンド、エルダイバーズの参加を望んでいる。

 

「やだね。ンな事に興味はねぇし、俺らも王武との戦いで消耗してんだ。そんなくだらない事に参加する気はないね」

「王武もそんな余裕はない」

 

 クロスボーンハウンドと王武はすぐに拒否する。

 どちらも先のバトルでの損失が大きく立て直す時間が必要だという理由だ。

 

「エルダイバーズは問題ないですね。ただ、作戦の日時によってはフルメンバーでの参加は難しいかも知れない」

「俺らもリアルの事情で参加できるかは分からん。参加するとしても俺らは俺らのやりたいようにやるからそれだけは覚えておけよ」

 

 結局、参加する気のあるのはウィルのエルダイバーズだけのようだ。

 リュウオウも不参加を表明しているクロスボーンハウンドや王武に強制することはない。

 

「分かった。気が変わったらいつでも力を貸して欲しい」

 

 リュウオウはそう締めるとその日は解散となった。

 

「レギオンの加わったダイバー連合とRが集めたブレイクデカールを使うBD同盟……」

「ずいぶんとご機嫌ね。珍しい」

 

 話が終わり、セカンドムーンの裏路地を歩いていたウィルをファントムレディが呼び止める。

 

「ああ。君か、あの方の予測よりもかなり早いが計画は順調に進んでいるからね。それよりも彼の方はどうだ? この大規模バトルには彼も参加させて欲しいけど。あのガンプラの進化には更なる戦いが必要だ」

 

 余り表情を崩す事のないウィルだったが、想定よりも早く状況が動いている事で珍しく感情を表に出していたようだ。

 

「王武が落ちて少しは気落ちしてるけど、まぁ問題はないわ。それよりも大丈夫なの? あの方の計画ではこれだけの規模のバトルはもう少し先になるはずでしょ?」

 

 ウィルとは対照的にファントムレディは順調にいき過ぎている事の方が気がかりのようだ。

 

「心配性だな」

「当然でしょ。私たちは彼らとは違う。彼らは何度でもやり直せる。でも……私たちはそうはいかない。分かってるでしょ?」

「だからこそだよ。あの方も言っていただろ? 僕たちはここでは劣る存在だ。それ故に計画は一日でも早く実行に移さなければならない。取返しのつかない事になる前にね」

 

 ウィルとファントムレディは目的こそは一緒のようだが、考え方は違うようだ。

 失敗は許されないからこそ、慎重に事を運ぶべきだと考えるファントムレディに対して、ウィルは失敗が許されないからこそ、余計な邪魔が入る前に一気に最後まで突き進むべきだと考えている。

 

「まぁそれを考えるのは僕でも君でもないあの方だよ」

「分かってるわ」

「君はそのまま彼の監視と護衛を頼むよ」

 

 ウィルはそれだけ言うと人通りの多い表道に向かい人込みに紛れる。

 

「分かってるわ。私たちにはそれしかない事くらい。だからなんとしても実現して見せるわ」

 

 ファントムレディは自分に言い聞かせながら、その場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うぃーす」

 

 龍牙は都内にあるアーウィントイカンパニー日本支社を訪れた。

 龍牙は諒真たちとは違い、普段は大学に通いここではバイト扱いで出入りしている。

 

「何かいつもより慌ただしくね?」

「例の奴がそろそろ始まりそうなのよ」

 

 オフィス内ではワークスチーム以外の社員も普段よりも忙しそうに働いでいた。

 カティアに尋ねてみて龍牙も納得した。

 ここ数日の間でGBNではダイバー連合とBD同盟との間で緊張状態が強まりついに双方の間で大規模なフォースバトルが行われる事となった。

 それによりダイバー連合が勝った場合は今後ブレイクデカールの使用を全面的に禁止し、DB同盟が勝った場合はブレイクデカールの使用に口を出さないと取り決められた。

 龍牙はカティアと共にワークスチームのスタッフルームに向かう。

 

「また泊まり?」

 

 スタッフルームにはいくつかの寝袋が無造作におかれている。

 恐らくは諒真らがGBNで何か動きがあった時の為に会社に泊まり込んでいるのだろう。

 

「主任はね。他2人はもう住み着いているでしょ」

「確かに」

 

 諒真は普段は泊まり込みはしないが、大我とリヴィエールの2人は会社に住み着いていると言っても過言ではない。

 大我も今は実家を出て都内のアパートの諒真の隣の部屋を借りて一人暮らしをしていた。

 だが、いつの間にか社内の普段は使っていない会議室にいつの間にか大我の私物が増えていき、現在では半ば占拠して会社で寝泊まりしている。

 同様にリヴィエールも用意された自分の研究室で寝泊まりをしている。

 

「諒さん。ダイバー連合とGB同盟のバトルが始まりそうなんですよね? 俺らはどうします?」

「ああ……まぁ待機しといてくれ。今回ばかりは大我一人にやらせる」

 

 龍牙もタイガ団として今回の一件でどう動くかは余り聞いていない。

 分かっている事は表立っては不参加という事だ。

 

「流石にタイガ団全体で動く訳にもいかないし、この作戦は大我が出る事がベストだ。というかアイツにしか務まらん」

「……それだけで何となくわかりました」

 

 龍牙も大我にしかできない作戦という事でまともな作戦ではないという事は分かった。

 

「それよりもさ、龍牙にカティアはブレイクデカールを作ってばらまいた奴って何を考えていると思う?」

 

 諒真が話題を変える。

 今でこそは広まっているブレイクデカールだが、そもそも誰が作って何の目的で広めたかはいまだに分かってはいない。

 この場で結論が出る事はないが、空いた時間を潰す議論くらいにはなるだろう。

 

「そうっすね。やっぱ手軽さ的に初心者とか低ランクダイバーの支援目的とかですかね?」

 

 ブレイクデカールの開発者の目的として考えられている理由の一つはそれだ。

 使うだけで簡単にガンプラを強化できるブレイクデカールは始めたばかりの初心者ダイバーやいくら練習しても実力の付かない低ランクのダイバーにとっては簡単にある程度の力を得る事が出来る。

 

「けど、短絡過ぎない?」

「確かに簡単だが、簡単過ぎて長期的に見れば余り良いやり方とは言えないからな」

 

 ブレイクデカールは手軽に力を得られるが、手軽故にそれで力を得たダイバーは自らの操縦技術やガンプラの制作技術、高難度ミッションをクリアするための思考などの努力を軽視する傾向にある。

 それを使えばそんなことをする必要もなく力を手にれる事が出来るのであれば、わざわざ時間や労力を使ってまでそんなことをする必要はないと楽な方に行きがちだ。

 実際にそれで自分は強くなったと勘違いしたダイバーが高ランクのダイバーに挑み、手も足も出せずに負けて心が折れてGBNを止めるケースも少なくはない。

 支援目的と考えるなら手軽に力を得れるブレイクデカールは短期的に見ればある程度は有効的な手段かも知れないが、長期的に見ればそれだけではダイバーの成長にはつながらない。

 

「ですよね」

「ならさ、今のこの状況とか?」

 

 作業をしていたリヴィエールが手を止める。

 

「この状況?」

「そっ。今のGBNはブレイクデカールの事で割れてるでしょ。製作者はその状況を作りたかったんじゃないの?」

 

 リヴィエールの推測では今のGBNで起きている事が目的である可能性という事だ。

 ブレイクデカールは運営が違法ツールである可能性は極めて低いという見解を出した事で、肯定派と否定派の意見は大きく割れている。

 運営が禁止していなければ使っても問題はないと主張する肯定派と簡単に力を得る事の出来るブレイクデカールは使うべきではないと主張する否定派。

 どちらも譲る事も相手の考えを認める事も無く、大規模なバトルにまで発展している。

 

「けど、そんなことをするメリットはなんだ?」

「これ見て」

 

 リヴィエールはいくつかのデータを諒真たちに見せる。

 

「運営がまとめたデータだけど、ブレイクデカールが出回ってから新規で登録したダイバーが1週間以内にアカウントを削除した数と1か月以上ログインしなかったダイバーの数をまとめてるんだけど、ブレイクデカールが出回る以前と比べると倍以上も増えてる。同じように既存のダイバーが長期に渡るログインしないダイバーやアカウントを削除するダイバーの数もかなり増えてるわ」

 

 データを軽く見るだけでも素人の龍牙ですら、新しく始めたダイバーや既存のダイバーがGBNから離れていく数はそれ以前と比べて目に見て増えている事が分かる。

 アカウントの削除時には任意で削除の理由のアンケートが取られているが、その多くがGBNの治安の悪さが原因とされている。

 

「確かにデータとして見せられると納得できるけど、確実性に乏しくない?」

「こうなる確率としては1000%と言っても良いわね」

 

 ブレイクデカールを使ったGBNの治安の悪化説には確実性がないようにも見える。

 実際にGBNの治安が悪くなっているのは否定派と肯定派が互いの言い分を認めないからで、場合によってはどちらかの意見で纏まる事だってあり得た。

 しかし、それをリヴィエールは一蹴する。

 

「その根拠は?」

「そりゃGBNをプレイしているダイバーの大半がガノタだからよ」

 

 そう言い切るリヴィエールに諒真たちは呆気にとられるが、リヴィエールは止まらない。

 

「ガノタって生き物はね。自分の考えが絶対でそれに反するものは決して認めないのよ。自分の好きな作品は絶対で一切の批判は認めないし、嫌いな作品は決して駄作であること以外は認めない。普通のファンからすれば時には信者や作品やキャラを神格化し過ぎてあり得ないレベルで美化しキャラの設定や思考すらも捻じ曲げる。アンチも同様ね。徹底的に悪意的に解釈して批判する。そうして、自分の考えに賛同しない相手を徹底的にこき下ろして排除する」

 

 リヴィエールの言葉は極端すぎるが、納得できる部分もある。

 掲示板などでガンダムを語り合う時に必ず出て来るのが度を越した信者とアンチだ。

 数多くの作品の中で全ての作品を万遍なく受け入れ愛す事の出来るファンは稀で特にハマった作品や逆に自分とは合わない作品は必ず出て来る。

 そんな中でものめり込み過ぎて実際の作品とはかけ離れているレベルで美化する信者や異様なほど悪意を持って作品を見るアンチが存在する。

 普通のファンから見ればどちらの語る作品やキャラ、機体は一般的に認知されている実際の物とは大きくかけ離れてたものであることが大半だ。

 始めはそれは違うと反論するも、相手も自分の考えこそが正しいと異なる意見を認める事はない。

 そして、最終的に普通のファンは嫌気を刺して関わり合いにならないようになっていく。

 今のGBNもそれと同じような事が起きている。

 

「GBNだとアバターとは言え相手が見えるけど、相手の見えない掲示板だと面白いほどに醜い罵り合いになるからちょっと煽って燃料を投下してやればとんでもない勢いで燃え上がるわ。その炎がGBNにまで燃え移って今のGBNの状況に繋がっていると私は見るわね。実際に調べた限りでは議論の中で開発者かはともかく必ず煽り目的とみられる書き込みがあるもの」

「リヴィエールの考え通りならずいぶんと回りくどく陰湿だな」

 

 今のGBNの状況を作り出すためだとするなら、ブレイクデカールの開発者はとてつもなく陰湿な人物という事になる。

 この現状が続けばその先にあるのはGBNのダイバーの数が大幅に減少し、最後にはGBNのサービス終了だ。

 この状況が確実に起こると考えていても、回りくどく、GBNをダイバーたちの手でGBNを終了させようというのは真っ当な人間の考える事ではない。

 

「けど、なんでそんなことを?」

「ここまでするとなれば相当の恨みがありそうだな。その矛先がGBNやガンプラに対するものなのか、運営会社への物なのか、はたまた特に意味もない愉快犯なのか……どちらにせよ。いよいよ厄介な事になってきたな」

「まぁどっちにしろ、今はダイバー連合とBD同盟の一戦よ。最近は休暇も返上していろいろと仕込んだんだかね」

 

 現段階ではリヴィエールの意見が正しいかも分からない。

 これ以上は考えても答えにたどりつく事は出来ない。

 答えが出ない以上はここでの議論にこれ以上の意味もない。

 答えの出ない事で悩むよりも目先の戦いの事の方がよっぽど重要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ダイバー連合とDB同盟のバトルの当日、優人達トライダイバーズはダイバー連合の艦隊の中のミネルバの格納庫で待機していた。

 王武での戦いでは自分の無力さを痛感した。

 あの後、レンジから連絡があり王武が悪いようにはならないという事を知り一安心したところにファントムレディがダイバー連合への参加を進めてきた。

 優人としてもブレイクデカールに関してはまだ良くは知らないため、賛成も反対もできないが、ブレイクデカールを使った悪質なプレイをするダイバーに関しては野放しにする訳にもいかないという思いはある。

 ダイバー連合の思想に共感した訳ではないが、大規模なバトルに参加する事は実践経験を得る場という意味では参加することに意義はある。

 

「それにしてもレギオンの本隊も参加して総数は300機になるなんてな」

「ああ。向こうは多く見積もっても100機程度なんだろ? 俺たちの出番はあるのか?」

 

 ガンプラで待機しながら優人とソラはこのバトルの事前の戦力情報を話す。

 ダイバー連合はリュウオウ率いるレギオンの本隊が加わり、当初の戦力を大幅に強化しガンプラの総数は300機となった。

 対するDB同盟のガンプラは100機程度と見られている。

 DB同盟のガンプラは全機がブレイクデカールを使ってくる事を考えても戦力はダイバー連合の方が優位になっている。

 

「そろそろ第一陣が交戦を始めるころだ」

 

 ダイバー連合は300機のガンプラを100機づつの編成にしている。

 トライダイバーズは最後の第三陣であるため、出番があるかは分からない。

 時間的には第一陣がDB同盟と接敵するころだろう。

 

「不正ツールを使うマスダイバー達に正義の鉄槌を下すのだ!」

 

 第一陣ではダイバー連合の中心ダイバー達が出撃しDB同盟を打ち倒すために気持ちを高めている。

 第一陣は旗艦のアークエンジェルを中心にアーガマやラー・カイラム、ディーヴァなどで艦隊が組まれている。

 ダイバー連合も数の差に油断をしていた訳ではない。

 突如、ビームがアークエンジェルのブリッジを撃ちぬき沈められる。

 

「アークエンジェルが! くっ! 先手を打たれたか!」

 

 旗艦であるアークエンジェルが沈められたもののダイバー連合の動きに乱れはなかった。

 事前の作戦会議の段階でブレイクデカールを使い奇襲を受ける可能性は十分に考えられた。

 

「各機! 来るぞ!」

 

 アークエンジェルが沈められると次々とDB同盟のガンプラの反応が出て来る。

 ブレイクデカールを使って補足されないようにしてたのか、敵の反応はすぐ近くから出て来る。

 

「何だ……この数は! ブレイクデカールで誤魔化しているのか!」

 

 第一陣の小隊長の一人がそう判断する。

 レーダーには次々と敵ガンプラに反応が増えてすでに100機を超えている。

 事前の調査でDB同盟のガンプラは多くても100機程度だという結論が出ているが、その数を遥かに勝っている。

 

「馬鹿な……」

 

 ブレイクデカールを使って自軍の数を誤魔化しているとも考えられたが、モニターに映る敵の大軍はブレイクデカールによる誤魔化しには見えない。

 

「ありえな……」

 

 小隊長の乗るガンプラがビームによって撃ちぬかれる。

 

「こんな事が……」

「嘘だろ……」

 

 DB同盟のガンプラからの攻撃で次々とダイバー連合のガンプラが撃墜され、戦艦が沈められていく。

 

「指令! 第一陣が全滅です!」

「馬鹿な……」

 

 第二陣を指揮する指令の元に第一陣が壊滅させられたという報告が入ってきた。

 第一陣だけで100機のガンプラがいた。

 それが開始数分で全滅するなどありえない。

 

「第一陣からの最後の報告では敵の数はおよそ……1000機です!」

 

 その報告に指令は唖然として言葉が出なかった。

 当初の予想の100機とはまさに桁違いの戦力である1000機もの数をBD同盟は用意していたのだ。

 それに対してダイバー連合は第一陣が全滅して残りは200機、レギオンの本隊が第三陣にいるとしても絶望させるには十分な戦力差だ。

 だが、今更逃げる事も出来ない。

 ダイバー連合とBD同盟との戦いは圧倒的な戦力差から始まった。

 

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