ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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特訓

 皇女子高校との練習試合は大我は勝利した物の、他は実力差を見せつけられて完敗だった。

 その結果を受けて、それぞれが地区予選に向けて準備を進めていた。

 

「たく……何だよ。藤城の奴」

 

 龍牙はGBNにログインしてふて腐れてバトルカウンターへと歩いていた。

 

「弱い奴と戦ってもつまらんだよ……」

 

 龍牙は先ほどの大我とのやり取りを思い出す。

 実力不足を痛感させられて、龍牙は大我に頭を下げて練習相手を頼んだ。

 しかし、大我は龍牙に対して弱い奴と戦ってもつまらないと一蹴した。

 龍牙自身、実力不足を痛感して大我に頭を下げている以上、自分が弱いと言われても仕方が無いが、それを何とかする為に大我に頼んでいる。

 大我は取りつく暇もなく放課後には姿を消していた。

 

「良いさ……地区予選までに強くなって見返してやるからよ!」

 

 馬鹿にされた事は腹が立ったが、腐っていたところで今の実力不足は解消されない。

 ならば、その怒りを強くなる事に向けようと龍牙は切り替える。

 

「ん? あれって」

 

 バトルカウンターまで来るとそこには千鶴ころクレインもバトルをしようとバトルカウンターでメニューを見ていた。

 向こうも龍牙に気が付いたのか、メニューを閉じる。

 

「ども……」

「ジン君だったね。この間の練習試合でお世話になったね」

「俺達は手も足も出せなかったですけどね」

 

 龍牙にとっては苦い思い出だ。

 だが、龍牙はある事を思いついた。

 

「えっと如月さん」

「ここではクレインで構わない。それに同い年なんだし敬語も不要だ」

「じゃそうさせて貰うけど、今から時間があるなら俺の特訓に付き合って欲しいんだけどいいか?」

 

 今は少しでも実力者と戦う事が実力を付ける為の近道だと龍牙は思っている。

 だから大我に頭も下げた。

 その後、静流に相手になって貰おうともしたが、静流は部室にもおらずすでに下校していた為、相手をしてもらう頼みすら出来なかった。

 この際、いずれは大会で戦うかも知れない相手であろうと形振り構ってはいられない。

 千鶴は少し考え込む。

 

「そうだな。私も大会までに苦手な近接戦闘をある程度は出来るようにと先生から課題を出されていてな。丁度いい。相手をして貰えないだろうか」

 

 千鶴もまた大会までに自分の苦手分野をある程度は克服しかければならなかったらしく、快く相手をして貰える事となった。

 話しが纏まり、二人はバトルカウンターでフリーバトルをするのではなくオープンワールドの方に向かった。

 フリーバトルでは制限時間等の制限があるが、オープンワールドでなら他のダイバーの横やりが入る危険性はあるが、自由に練習をする事が出来る。

 

「では……よろしく頼む」

「いつもで」

 

 オープンワールドの草原で龍牙と千鶴は自分のガンプラに乗って対峙する。

 今回は千鶴も接近戦の練習を言う事もあって、フルシティは火器を装備せずに両手にはグシオンチョッパーを装備している。

 対する龍牙のバーニングデスティニーは拳を構えている。

 

「行くぞ!」

 

 フルシティが勢いよく飛び出して来てグシオントッパーを振り下す。

 それをバーニングデスティニーがビームシールドで受け止めながら蹴り上げて反撃する。

 フルシティも腕で蹴りをガードすると、バーニングデスティニーの足を払うともう片方のグシオンチョッパーを振るい、バーニングデスティーは飛び退く。

 

「まだだ!」

 

 伸び退くバーニングデスティーをフルシティは追撃する。

 グシオンチョッパーの攻撃をバーニングデスティニーは防ぐか避けるかして攻撃を凌ぐ。

 

「どうした! 遠慮はいらないぞ!」

「……遠慮なんてしてる余裕はないって!」

 

 龍牙も侮っていた訳ではない。

 千鶴は自分でも言っているように接近戦は得意ではない。

 射撃と比べるとだ。

 千鶴の言う苦手とされる接近戦だが、それでも龍牙を相手になら十分に戦えるレベルで、龍牙も攻撃を凌ぐので精一杯だった。

 それから休憩をはさみながら二人は何度も練習を繰り返す。

 やがてゲーム内での時間で日が落ちてくる。

 

「今日のところはそろそろ終わりにしようか」

「だな……良かったらまた相手をしてくれないか?」

 

 千鶴にとっては身になっているかは分からないが、龍牙にとっては千鶴との接近戦の練習は丁度良い相手だった。

 

「そうだな……取りあえずはフレンド登録と現実でのメールアドレスを交換しておくとするか。後日互いに都合の良い日を見つけては練習をしよう」

 

 千鶴の方も練習相手としては龍牙は合格点だったらしい。

 その後、二人はゲーム内でのフレンド登録を済ませて、互いの連絡先を交換してその日はログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 授業を終えた静流は部室に顔を出さずにGBNにログインしてロビーをうろついていた。

 少しあるているとダイバーの怒号が聞こえて、静流はその方へと歩いて行く。

 するとダイバー同士が揉めているらしく、静流は揉めているダイバーを見て自分の思っていた通りだとため息をつく。

 

「何で俺が謝る必要があるんだ? 馬鹿なのか?」

 

 揉め事は一人のダイバーと複数のダイバーとで、その一人のダイバーの方が静流の待ち合わせ相手である大我だった。

 静流も練習相手として大我を誘った。

 大我は龍牙の時とは違い、今日は時間があるからと静流の誘いに乗った。

 そして、放課後にGBNにログインして大我を探しているところにこの揉め事だ。

 静流は直感的に大我が関わっているのではないかと思って様子を見て見れば案の定だ。

 

「何やっているの」

 

 静流は行く先々で揉め事を作っている大我に呆れながらも間に割って入る。

 

「遅かったな。そのせいで変な奴らに絡まれた」

「絡まれたって貴方の方から喧嘩を吹っかけたんじゃないの?」

 

 静流の中では大我は相手が誰であろうと喧嘩腰で噛みつくイメージがある。

 今回も些細な事で大我が喧嘩を売るような言動を取って揉め事に発展したと思っていたが、どうやら違うようだ。

 

「関係ないダイバーはすっこんでろ!」

「そうだ! 俺達はリトルタイガーにこの前のフォースバトルで邪魔した事を謝らせようとしてるんだ!」

 

 向こうのダイバーの言葉で静流も状況は呑み込めた。

 彼らは自由同盟のダイバーなのだろう。

 この前の熱砂の旅団との戦いで大我が乱入して来た事を謝罪させようとしたが、大我は謝る気は無いらしく揉めていると言う事だ。

 状況が呑み込めたが、同時にバカバカしくも思った。

 確かに大我の言動には問題はあるが、オープンワールド内のフォース同士や個人でのバトルにおいて第三者の乱入は良くある事だ。

 それで一々文句を言うのであれば始めから乱入の出来ないフリーバトルをすれば良い。

 

「めんどくさいな。お前ら表に出ろ。お前らでも準備運動くらいにはなるだろう。静流。少し待ってろ。少し準備運動をして来る」

「……分かったわ」

 

 大我もこれ以上、話しをしたところで向こうは大我が謝るまで引く気はない。

 これ以上は面倒臭くなった大我は実力で排除しようとする。

 向こうも向こうで乗り気なようですぐにオープンワールドに移動する。

 

「この前は卑劣な策で後れを取ったが、今日はそうはいかないぞ!」

 

 大我のバルバトス・アステールを自由同盟のガンプラが囲む。

 彼らのガンプラはバクト、ゾノ、アルケーガンダム、ガンダムヴァサーゴ、ガンダム試作2号機MLRS仕様の5機だ。

 遠目で静流が見る限りではガンプラの完成度もそれ程高くは無く、5機では大我とはまともに戦いにはならないだろう。

 

「御託は良い。さっさと始めるぞ」

「待ちたまえ!」

 

 大我もやる気になっているところに上空からジャスティスガンダムが降り立つ。

 

「マサヨシさん!」

「マサヨシさんも加勢してくれるんですか?」

 

 ジャスティスガンダムは自由同盟の幹部であるマサヨシのガンプラのようだ。

 自由同盟のダイバーはマサヨシが加勢に来たと思っているようだが、ジャスティスガンダムは自由同盟のガンプラを制する。

 

「止さないか。寄ってたかって一人を大勢をリンチするなんて、幾ら卑劣な策を使った相手だろうと自分達が同じように卑劣な行動を取ってしまっては相手と同レベルになってしまう」

 

 どうやらマサヨシは彼らを止めに来たようだ。

 ダイバーたちもマサヨシの言う事なら素直に聞いて矛を収めるだろう。

 

「うちの者が失礼をした。だが、君もあのような行動を取る事は関心しないな、今日のところは自分の愚かな行動が招いた自業自得として……」

 

 マサヨシは大我にも説教しているが、その最中にバルバトス・アステールはバーストメイスをジャスティスガンダムに投擲する。

 戦う意志の無かったマサヨシは投げられたバーストメイスによりジャスティスガンダムの上半身が粉砕された。

 

「マサヨシさん!」

「まずは一人だ」

 

 マサヨシのジャスティスガンダムを破壊したバルバトス・アステールはバーストメイスを回収すると近くのバグトをバーストメイスの一撃で粉砕した。

 

「まぁ……そうなるわね」

 

 静流ももはや驚かない。

 マサヨシがダイバーたちを止めに来たとしても、大我にとっては敵が一人増えただけの事だ。

 それに気がつかず、大我を前に長々を高説を垂れていれば、大我にとっては格好の的でしかない。

 

「良くもマサヨシさんを!」

 

 ガンダム試作2号機がビームバズーカを放つが、バルバトス・アステールはかわして接近するとバーストメイスを突き出す。

 ラジエーターシールドで身を守るが、バーストメイスの先端が射出されてシールドを貫き、杭が本体まで達すると杭が爆発して試作2号機は撃破される。

 

「おのれ!」

 

 ガンダムヴァサーゴはストライククローを地面に突き刺すとメガソニック砲の発射体勢を取る。

 エネルギーをチャージしたガンダムヴァサーゴはバルバトス・アステール目掛けてメガソニック砲を放つ。

 バルバトス・アステールはテイルブレイドを使って退避しようとしていたゾノを捕まえると自分の方に引き寄せるとメガソニック砲の盾をする。

 見た目とは裏腹に威力はそれ程ないのかゾノは完全に戦闘不能にはならない為、ゾノを足のエッジを展開して蹴り飛ばして止めを刺す。

 

「……悪魔め」

「弱いんだよ。お前ら」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを投擲して、メガソニック砲を発射した直後のガンダムヴァサーゴを破壊する。

 

「後はお前だけだ」

「ちくしょぉぉぉぉ!」

 

 残ったアルケーガンダムは闇雲に突撃するとGNバスターソードを振り下す。

 それをバルバトス・アステールは易々と受け止めると、もう片方の手でアルケーガンダムの頭部を掴んで、胴体にドリルニーをお見舞いしてアルケーガンダムを倒す。

 

「さて……準備運動には物足りないが……始めるか」

 

 バルバトス・アステールはガンダムヴァサーゴの残骸に突き刺さるバーストメイスを回収する。

 大我も何事も無かったかのように静流とのバトルを始めようとする。

 静流もこの結果は始まる前から分かっていた事で、自分のガンプラを出す。

 アリオスガンダム・レイヴンはGNスナイパーライフルⅡを構えて静流の大我を相手にした練習が始まる。

 

 

 

 

 

 

 龍牙や大我たちがGBNで練習している頃、明日香は一人で部室に来た。

 明日香は龍牙に付き合いガンプラ部に入部した為、ガンプラにはさほど興味はないが、部員となった以上は一人でも顔を出すくらいはと部室に来た。

 部室には部長の史郎だけで史郎はガンプラを弄る訳でも無く備え付けのPCを操作している。

 

「今日は部長だけですか?」

「ああ清水さん。そうだね。黒羽さんはGBNで練習だって。神君は一緒じゃないの?」

「龍牙もです。藤城君は今日も授業が終わるとさっさと帰りました」

 

 大我は学校に来るようにはなったが、相変わらず部室に顔を出す事はない。

 

「部長は何を?」

「僕は地区予選に向けて資料作りをね」

 

 史郎は明日香にPCの画面を見せる。

 そこには皇女子高校を初めとした東京地区の学校の情報が大まかに書かれている。

 

「僕は直接バトルには出ないからね。部長として少しでも皆の役に立たないと」

 

 地区予選は最大3人までのチーム戦となっている。

 現在のガンプラ部の部員は5人で明日香はバトルしない為、バトルするのは4人だが、毎回1人はバトルには出られない事になる。

 実力で言えば大我と静流は確定で残り一人は龍牙か史郎のどちらかだが、史郎は自分ではなく龍牙を出させるつもりらしい。

 

「全部のチームのデータを詳細に纏める事は出来ないけど、地区予選で上位に入るようなチームの事ならある程度は僕でも纏める事は出来るからね」

 

 史郎は表だってバトルには出ないが、変わりに他の学校の情報をまとめてチームが少しでも戦い易い状況を作ろうとしている。

 自分達みたいな弱小校は公式戦のデータも少ないが、地区内でも上位の学校ともなると公式戦やGBNでのバトルの情報がある程度は見つける事が出来る。

 

「部長。私も手伝います。ガンプラの事は良く分からないですけど、私も部員ですから何か力になりたいです」

「分かった。お願いするよ」

 

 明日香も周り程大会で勝ち進むと言う事に拘りがある訳でも熱意がある訳でも無い。

 しかし、せっかくガンプラ部に入った以上は自分も何かやりたいと言う気持ちが無い訳でも無い。

 龍牙も今は大会に向けて特訓をしている頃だろう。

 明日香も史郎を手伝い、星鳳高校ガンプラ部は地区予選に向けてそれぞれが動き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれが大会に向けて動きだし、地区予選が始まる前に対戦の組み合わせ抽選会が行われる。

 授業後部の代表として部長の史郎が顧問の颯太と共に抽選会場へと向かい、他の部員は部室で待機していた。

 普段は部室に寄りつかない大我も今日はきちんと部室に来ている。

 尤も部室に来ても他の部員とは必要以上に口を聞く事は無い。

 

「ただいま」

 

 部室で待っていると史郎と颯太が戻って来る。

 史郎は部室のホワイトボードに大きな紙を張り付ける。

 

「これが組み合わせ表。僕達はAブロックだね」

「皇女子は?」

 

 大我は自分達の初戦の相手の事よりも皇女子高校といつ当たるかの方を気にしていた。

 大我にとっては東京地区で戦い甲斐があるのはそこくらいだ。

 

「えっと……皇女子高校はBブロックだね。僕達と当たるとすれば決勝戦かな」

「ちっ……沖田はくじ運ないな」

 

 大我はあからさまに不機嫌になる。

 抽選会場ではAブロックになった学校は喜び、Bブロックになった学校は落ち込んだ。

 その理由が去年の準優勝校である皇女子高校の存在だ。

 今年も皇女子高校は優勝候補の一校であり、Bブロックではその皇女子高校に勝って決勝まで残る必要がある。

 一方のAブロックは皇女子高校と決勝で当たっても決勝に残った時点で全国大会へは出場できる為、そこで負けても問題はない。

 その為、全国大会への切符はAブロックの方が難易度は低い。

 

「で、俺達は何回勝てば皇女子とやれるんだ?」

「今年の東京地区の参加校は128校だから……6回勝てば決勝だね」

「6回か……まぁ良い。それまでの奴らを全員ぶっ潰せばいいんだろ?」

 

 今までの星鳳高校の実績を見ればそこまで勝ち上がる事は不可能だっただろう。

 だが、今年はそうではない。

 超大型ルーキーの大我とランキング7位の静流がいる。

 龍牙も大我や静流の影に隠れているが、同年代ではある程度は戦える。

 今年は良いところはおろか全国も狙える布陣だ。

 

「余り先の事は考えても仕方が無い。まずは目の前の一勝から行こう」

 

 皇女子以外は眼中にない大我を颯太が悟す。

 幾ら大我が強くても予期せぬ事態で足元を掬われなけない。

 目の前の一勝を積み重ねていけばいずれはそこには辿りつける。

 

「初戦の相手は多田野高校。実績のない無名校けど、それはウチも同じ事。皆気を引き締めて行こう」

 

 最後に部長の史郎が締める。

 大会の組み合わせも決まり、星鳳高校の全国大会を目指して地区予選が始まる。

 

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