ハイスクールBB -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs別史02-   作:龍牙

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完成版の投稿です。


十二話目

「ガァッ!!!」

 

 草壁が軍団長達と戦っていた頃、一誠は一人魔殺駆へと果敢に立ち向かっていたが、その拳は魔殺駆に当たる事も無く、簡単に受け止められ手に持つ刀を使う事も無く素手で一方的に甚振られていた。

 

 魔殺駆の蹴りが腹部に打ち込まれた事で激痛と吐き気を覚えるが、それを自覚するよりも早く彼の頭が床に叩き付けられる。

 

「ふん、お前程度が持ち主ではその神器も、宝も持ち腐れだな。神を殺すほどの力を持った龍の帝王とやらの力の断片でも拝ませて貰おうと思ったが……これでは期待はずれも良いところだな」

 

 一誠と魔殺駆の実力差は歴然。烈光達三烈神、飛駆鳥と七人の超将軍、天零達と言った多くの武者達を三度に渡る大戦で苦しめ続けた強敵なのだ……これが初の実戦である一誠がどう頑張った所で勝てる相手ではない。

 残された希望は彼の神器である赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だが、当の一誠はその力の真価を何も理解していない。

 

「ちく……しょう……」

 

 己を見下ろしている魔殺駆の足を掴んで立ち上がろうとするがそれも許されずに蹴り飛ばされる。

 

「どうした、速く俺から神器を奪い返さないと、その娘は死ぬぞ」

 

 魔殺駆の言葉を信じるのならアーシアから奪った神器を取り戻せば助ける事ができるかもしれないのだ。だが……一誠には魔殺駆を倒すどころかただ一撃を当てる事すら出来ていない。『力が欲しい』と心の底から懇願する。

 

「なあ、あいつの言ってる事が本当なら……お前には神様を殺せるほどの力が有るんだろ……? オレ、あいつを許せねぇ……」

 

 ボロボロになりながらも立ち上がる一誠を嘲笑うように魔殺駆は眺めていた。

 

「……アーシアや夕麻ちゃんを殺そうとした事も、絶対に許せねぇんだ!」

 

「ふん、別に許さなくてもどうでも良いが、そこの小娘を殺そうとしたのはオレ様じゃなくて底に転がっている烏だぞ。それにオレ様はお前とその小娘の仇を討ってやったんだ、寧ろ感謝するべきじゃないのか?」

 

 一誠の怒りなど意に介する必要が無いとでもいう態度で嘲笑うように言葉を続ける魔殺駆。

 

 

《Explosion!》

 

 

 彼の怒りに呼応するように彼の神器が強烈な光が発光する。

 

「ほう」

 

「吹き飛べ……」

 

「そこそこの力が出せるようになったようだな」

 

「この……クソ野郎ォォォォォォォォォォォォォォォォオオ!!!」

 

 強者の余裕からか、彼の力の覚醒を感心するように無防備な姿を曝していた魔殺駆の顔面に一誠の渾身の右ストレートが直撃する。……その時の一誠の力は一気に上級悪魔クラスまで跳ね上がる……これが原作通りレイナーレが相手だったなら勝てていたであろう。だが、

 

「お前の力の程を考えれば期待以上だな。赤龍帝の力とやらは」

 

 魔殺駆の顔に出来た罅も直ぐに修復される。赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の力で強化された一誠の渾身の一撃も、一撃で魔殺駆を倒すには程遠い。魔殺駆の力は上級悪魔さえも凌駕している。……寧ろ、彼の怒りも魔殺駆に目的の武器の力を見せた程度に終ってしまった。

 

「ふはははははは! 中々良い恩返しだな。この力が有れば憎いガンダム共に勝つ事も出来る!」

 

 圧倒的なまでに格下である一誠の力でも己に傷を付けられるのだ。……強大な力を持った龍の帝王を、龍の帝王の宿命に翻弄された歴代の所持者達の怨念を取り込めば……復活等と言う範囲では収まらない。

 光の最強の武者、大将軍にさえ勝利できるだけの力を得れる、『紅の闇将軍』と言う異名に相応しいだけの力を得られると確信する。

 

 魔殺駆の意識の中に存在している敵は、一誠では無く新世大将軍や飛駆鳥大将軍と言ったコレまで己が戦ってきた天宮の国の大将軍二代。

 

「お前からの敵討ちの礼はありがたく受け取ってやろう」

 

 そう言って魔殺駆は一誠の籠手を着けた腕を掴む。必死に振り払おうとするが、赤龍帝

の籠手(ブーステッド・ギア)毎握りつぶしてしまう程の強さで握られているために振りほどけない。

 

「ちく……しょう……」

 

「くくく……赤龍帝等と言う異名もオレ様には安すぎるな。ガンダム共を始末した暁には、新しい名をこの世界に轟かせてやろう!」

 

「オレは……なんでこんなに……」

 

 空いた手で刀を振り上げる魔殺駆。その光景を、刀の刀身に映し出されるボロボロになった己を姿を目に焼き付けながら、

 

「……無力なんだよ……」

 

 神を殺せると言われている力を持っていながら女の子一人助けられない己の無力を、弱さを呪う。

 

「……神様、いや神様は何もしちゃくれない……。魔王様、あいつを、あいつを倒せるだけの……」

 

 

《いや、祈るのは無能な神様じゃなくて……》

 

 

 突然響く声に気絶している草壁以外の全員の意識が其方へと向かう。

 

「……この声は?」

 

 聞き覚えの有る声。それと同時に光の奔流が魔殺駆へと向かう。一誠を投げ捨てながら後ろに飛ぶ事で光の奔流を回避する。

 

 同時に四幹部に、大鎌(デスサイズ)を、曲刀(ショーテール)を初めとする各々の武器を振るう四人の騎士達。

 

「て、天使?」

 

 辛うじて生き残っていたハグレエクソシストが扉の元に現れた影へとそんな言葉を零す。

 

「常に命懸けで戦ってくれる、オレ達の神様(父さん達)にしといた方が、ご利益はあるぜ。なんて言っても……時にはモンスターさえ助けてくれるんだからな」

 

 其処に有るのは、騎士デスサイズ、騎士シェンロン、騎士サンドロック、騎士ヘビーアームズの四人を従え、小猫と蛍の二人と共に現れる騎士ウイングの姿の祐司だった。

 

「黄金龍の眷属……ここに参上、ってな」

 

 新たに現れた彼らに驚愕を浮べながら、魔殺駆は舌打する。

 

「お前達は。手下共を足止めに送り込んだはずだというのに、こんなに早く」

 

「ああ、そいつらならレッドランダー達に任せてきた」

 

 一誠を助けに行こうとしたとき、魔殺駆の手下に自宅が襲撃を受けた。まあ、その結果、レッドランダー達三人に任せて、教会に向かうのに小猫と蛍の二人まで一緒に来る事になったのだが……

 

 最初から魔殺駆が警戒していたのは祐司達黄金龍の眷属のみ。ガンダム達の力を警戒して復活するまでの間の手下を使い時間稼ぎを行なった。結果としてはレイナーレからアーシアから抜き取った神器の横取りには成功した。だが、それでも新たに見つけた一誠の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を奪うまでには至らなかった。

 

「チッ、役立たず共が。やれ! 奴等を始末しろ!」

 

 魔殺駆から放たれる闇色の光が無数の影を作り出す。魔殺駆と同じ顔をした黒い忍者姿のザク達……下忍が其処から現れる。

 

「「「「はっ!」」」」

 

 トドメを刺す寸前まで追い詰めた草壁を『邪魔だ』とでも言う様に壁に向かって投げ捨てると、四人の軍団長達と騎士デスサイズ達四人の騎士がぶつかり合う。

 

「さあ、道を……」

 

「……吹っ飛べ」

 

 騎士ウイングが動くよりも早く小猫が三人へと襲い掛かる下忍達を殴り飛ばす。一撃で吹飛ばされる下忍達。

 本来の世界軸とは違いこの世界では小猫の戦い方の師は騎士ガンダムの仲間の一人、『武道家ネモ』。後に『拳聖ネモ』と呼ばれるようになった武道家である。

 

「行って」

 

 蛍の周囲に舞う大量の剣、作り出されるのは聖のオーラを纏う剣と、魔のオーラを持った剣。彼女の神器(セイクリッド・ギア)によって作り出された剣群が一斉に下忍達へと襲い掛かる。

 

「聖を魔に貶め、魔を聖と称える」

 

 彼女の両手の動きに合わせて動き回る聖剣と魔剣の群。

 

「これが私の変異型神器(セイクリッド・ギア)。『反転する聖剣創造(ソード・ブラックスミス・リバース)』の力!」

 

 神器が思いによって力を高めるのならば、彼女の中の強い負の意識が彼女の神器は変異を遂げた。聖と魔の属性を反転させ、魔剣と貶めた聖剣や聖剣と称えた魔剣を操る“変異型”の神器(セイクリッド・ギア)、『反転する聖剣創造(ソード・ブラックスミス・リバース)』。

 

 彼女に戦い方を教えた師は騎士ガンダムの仲間の一人である『騎士セイラ』。付け加えるならば、彼女の戦い方は後に『魔法騎士メテオガンダム』の戦い方を見て大きく変化した。魔力によって操る剣、その機能を持たせて作りあげた魔剣と聖剣の群を自在に操れる様になった。

 

「白音、蛍?」

 

「祐司兄様、ここは私達に任せてください」

 

「うん、雑魚相手なら私達で十分」

 

 二人の言葉に頷くと騎士ウイングは魔殺駆へと視線を向ける。

 

『行くぞ、祐司』

 

「ああ! みんな、此処は任せた!」

 

 

「行かせは……」

 

「邪魔はさせん!」

 

 騎士ウイングの行く手を阻もうと冷気を放とうとする華紅羅(ガーベラ)を切り裂こうとする騎士デスサイズ、

 

 

「魔殺駆様の邪魔はさせんぞ!」

 

「悪いが……お前の相手はオレだ!」

 

 漸羅(ゼラ)の拳をグレイブで受け止める騎士シェンロン。そんな騎士シェンロンのグレイブの柄を蹴って距離を取る漸羅(ゼラ)

 

 

「お前の相手はオレだ」

 

「グハハハ!!! 先ずは貴様から捻り潰してくれるわ!!!」

 

 刃流刃浪(ヴァルヴァロ)の巨体が生み出すパワーを時に受け流しながら戦う騎士ヘビーアームズ。

 

 

「お前達の相手は私達だ! ヤツの助けには行かせない!」

 

「ならば、先に貴様を倒すまでだ!」

 

 刃流鋭(バルス)の刀と愛用のショーテールで切り結ぶ騎士サンドロック。軍団長達と四人の騎士達の戦いの構図が完成する。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

「ちぃ!」

 

 バスターソードを振り下ろす騎士ウイングの一撃を魔殺駆は後ろに跳ぶ事で避ける。最初から彼の狙いは一誠から魔殺駆を遠ざける事のみ。これで狙いは一応は成功した事になる。

 

「一誠、無事か!?」

 

「そ、その声……祐司、お前か?」

 

「ああ」

 

 立ち上がるのがやっとと言った様子で立ち上がる一誠。一誠の前に立って騎士ウイングは魔殺駆へとバスターソードを向ける。

 

「こいつはオレに任せて休んでろ」

 

「それはできねぇよ。あいつは夕麻ちゃんを殺そうとしやがった。それに……アーシアの神器を奪っていったんだ、それを取り戻さないと……」

 

(その夕麻と言う堕天使が一度お前を殺したんだろうに……)

 

 魔殺駆と同じ感想を持ってしまうが、それよりも今は魔殺駆の相手と、己の目の前の敵へと意識を向ける。

 

『妙だ。オレ達の知っている奴とは鎧が違う』

 

(違う?)

 

 武者ウイングゼロからそう言われ魔殺駆へと視線を向けると、魔殺駆の姿は以前聞いた話とは確かに纏っている鎧が違う様に見える。

 

「分かった。だけど、少し休んで……」

 

「「悪いけど、それは出来ねぇよ。あいつはオレがぶっ飛ばして、アーシアの神器を取り戻す!」

 

 騎士ウイングの言葉を断って、ボロボロでありながらも尚も立ち上がろうとする一誠。何度も痛めつけられていても、彼の中の意思は完全には折れていない。

 




今回登場のSDガンダム

・魔龍装・魔殺駆
 モチーフ:ザクアメイジング
 出展:オリジナル
  魔殺駆が復活の為に、レイナーレの行動に合わせてアザゼルの元に有る龍の手の亜種となる龍系神器の所有者から奪い取った複数の神器から龍の魂を吸収し、残った殻を己の鎧として強制的に禁手化させた鎧を纏った姿。鎧は分離して龍型の分身(アメイジングブースターのイメージ)として独立可動が可能だが、己の肉体の器としているために一種の変形に近い。
  レイナーレから奪ったアーシアの神器も取り込んでいるために回復能力も会得している。……なお、天零の時代に於いて単独での覇道武者への変身も可能としている為に、完全復活後は自力での巨大化が可能な、スーパー戦隊の幹部怪人状態。
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