ハイスクールBB -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs別史02- 作:龍牙
転生者と言う存在は『世界』を良くする事も有れば世界を殺す毒ともなる。
正確な未来を知り、その世界の運命を左右する事が簡単に出来る。
力など無くても知識だけで十二部にそれは出来るのだ。ほんの僅かな行動だけで世界を滅ぼす事も出来る。
……難しい話はこの辺にして一つ言い切ってしまおう。転生者が本来その世界を救う事になる人間の未来を歪めた為に世界は滅びました。
大した事はしていない。ただ彼が手にするはずだったとある募集に応募できないようにしてしまったからだ。
張り紙であるなら張り紙を剥がしてしまえば良い、チラシで有るなら全部持っていけば良い……。転生させた神様にでも頼んで自分が当選するようにしても良い。
その結果、その世界を救う事となる存在の未来は変わり、同時に転生者はその後不幸にも一人で勝手に死んで行ってしまいましたとさ。
結果、世界は滅びました。……平行世界と言う物が数多く有るなら、転生神の被害に有った不幸な世界と不幸な人類で片付けられる話だ。
……其処に超が付くほど善人な黄金の神様がお供を連れて通り掛って、その結果に頭を抱えている存在の相談に乗ってしまったことが全ての始まりだった。
その黄金の神様の名前は『黄金神スペリオルカイザー』で、お供は偶々付き合っていた『新世界守護騎士ゴッドガンダム』と言う。
訳を聞いたスペリオルカイザーはその世界を救う為に力を貸す事を快諾。己と己の仲間のSDガンダム世界の神々が力を与えた三人の少年達に力を借り、彼等の内の誰かをその世界を救う事になる者の代わりに送り込むことにする。
一人目の少年は、その存在が言う所の神秘が十分にある世界の人間だが、最年少で有る為に保留。
二人目の少年は、神秘の無い科学が発達した世界の十人で有る為に除外。
そして、最後にスペリオルカイザーが選んだ少年は、スペリオルカイザーが保護者を務める子供達の一人であり、黄金の神の眷属のリーダー格。
今回の権の最も最適な人材だろうと考えたスペリオルカイザーは、ゴッドガンダムと共に彼に会いに向かう。
義理とは言え、授業参観に行った以来の久し振りの親子の会話がそんな形と言うのには心苦しかったが、それでも彼はスペリオルカイザーの依頼を快諾した。
こうして、黄金龍の眷属のリーダーである黒野祐司は聖杯探索、
だが、祐司は常々こう思っている。義父は善人では有るが……過保護だと。子育てが初めてなのかもしれないが、聖杯探索に自分の力を与えたスダ・ドアカワールドの聖杯を貸し出したり、お守りにと頑駄無結晶を持たされたり。
「……みんなの力が不安定に……例外は騎士ウイング達だけか」
『しかも、今はオレ以外に自由に表に出れそうも無いな』
平行世界とも違う異世界への転移、元の世界との繋がりの為にレッドランダー達には残ってもらったが、スダ・ドアカワールドの騎士ウイング達五人以外の存在が不安定に感じられる。その騎士ウイング達も、今はウイング以外の四人が上手く表に出れそうも無い。現状で戦えるのは騎士ウイングだけとなる訳だ。
『頑駄無結晶と聖杯はこの為だったのかも知れないな、誰か一人でもお前と共に戦えるように、と』
「最大限の準備だったけど……もう手遅れかもな、これは」
周囲から感じられる熱量、あたり一面が火事に包まれて、多くの建物は崩壊している。どれほどの大災害が此処を襲ったのかは想像もできない。此処はこの世に顕現した地獄と読んでも過言では無いだろう。
……少なくとも、己の義父が自分を送ったのだから、此処には最低でも古代神バロックガン級の敵が存在していると考えるべきだろう。ならば先ずすべき事は、一つ。
「コール!」
意を決して騎士ウイングのカードを取り出し、コールの呪文を唱えるとカードから純白の鎧と真紅のマントを纏ったガンダム族の騎士、騎士ウイングが姿を表す。
「お前と分かれて戦うのも本当に久し振りだな」
「確かに」
マントを翻しながら大剣バスターソードを手に持ちながら何処か感慨深く告げる騎士ウイングの言葉にそう返しながら、祐司もまた自身の
二人が視線を向けるのは、自分達へと向かって来る武器を持った骸骨の群……。
「……『スケルトンドーガ』達の方が可愛げが有るな、これは」
『『ドーガ、ドーガ』と自己主張をしている分』と騎士ウイングが呟くと、祐司も同感と心の中で呟く。
「幸い炎は沢山有るしな……」
「先ずは軽い慣らしだ、強行突破と行くぞ」
「ああ」
常に一体となって戦っていた心強い相棒の存在を隣に感じながら、祐司は騎士ウイングと共に走り出す。共にスペリオルドラゴンより託された剣を振るいながら。
「っ!? 祐司、軽い慣らしの心算だったが、どうやら呑気な事を言っている暇は無いようだ」
「何か有ったのか?」
「ここから離れているが、生存者の気配があった。オレ達がこの世界で何をすべきなのか、それを知る手掛かりになるかもしれない。急ぐぞ」
「ああ。って、な、何を!?」
騎士ウイングの言葉に同意する。祐司としても、この状況での生存者との合流は急ぎたい。……だが、行き成り首根っこを掴むという騎士ウイングの行動には戸惑ってしまう。
「手を離すなと言うよりも、こっちの方が安心だ」
「安心って、もう少し……」
「行くぞ!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!?」
騎士ウイングに首根っこを捕まれたままの祐司の絶叫を残して、騎士ウイングは正面に居る骸骨を薙ぎ払いながら走り去っていく。その背中には真紅のマントと半透明の純白の翼を翻しながら。
「ちょっと待て、騎士ウイング! この扱いは無いだろぉぉぉぉぉぉ!!!」
「黙っていろ、舌を噛むぞ」
舌を噛む以前に命が危ない気がするのだが、眼をまわす程度で済んでいたのは、祐司が祐司たる由縁だろう。
(にしても、こいつ等。外見同様、知能は無さそうだな。骨で出来たゴーレムか、見た目どおりのアンデット系の怪物か)
騎士ウイングに引っ張られながらも冷静な部分でそう推測する。
「見ろ、生存者だ」
「本当か!?」
騎士ウイングの言葉にそう答えるが……体制的に騎士ウイングの言う方向は見えない。
「生存者は少女が二人。数は少ないが先ほどの骸骨数体と盾らしき物を持った少女が戦っている」
「っ!? 急ごう、騎士ウイング。見るからにやばい状況だぞ、それは」
「分かった」
そう答えた騎士ウイングは走る速度を更に上げ、近場に有った瓦礫を飛びながらショーカットして行く。ちょっとしたジェットコースター気分を味わいながら祐司は、
「と、取り合えず骸骨を倒してその女の子二人と情報を……交換してくれ……」
「任せろ!」
瓦礫を力強く蹴ってバスターソードを振り上げると、そのまま盾を持った少女と戦っていた骸骨を着地と同時に叩き切る。幻影の様に純白の翼を広げ、半透明の羽を撒き散らすその光景は……場違いながら幻想的なものが有るだろう。……片手に祐司を抱えてなければ。
「えぇ!?」
盾を持った少女の驚愕の声を今は無視して、残りの骸骨を一薙ぎで蹴散らす。
「あ、あなた方は?」
「オレは騎士ウイング。こっちは……祐司?」
盾を持った少女の言葉にそう答えながら、先ほどから何も言ってこない祐司を不審に思って其方へと視線を向けると……
「……」
眼を廻して気絶寸前の祐司の姿があった。
「お、おい、祐司!? しっかりしろ、眼を覚ませ!?」
「さ、流石に……あれは限界……」
『ガクッ』とでも擬音が付きそうな感じで意識を手放す祐司。
「ま、待て起きろ! しっかりしろ!!!」
そんな状態で騎士ウイングに前後に揺らされながら意識を取り戻す。
「な、慣れてると思ったけど、かなりきつい……」
「今更ながら、もう少し運び方を変えるべきだったと思った」
炎の剣を杖代わりに立つ祐司に対して流石に悪いと思ったのか、騎士ウイングもそう言って謝る。首を捕まれた状態で上下左右に揺らされるのはかなりきつかった様子だ。
「急ぐのは分かるけど、次は必ずそうしてくれ……」
若干調子が治ったのか、杖代わりの剣ももう必要ないと判断して炎の剣を消す。この状況での最初の被害が乗り物(仮)酔いと言うのは流石に情けなさ過ぎる。
だが、考えてみれば騎士ウイングは祐司にとって最も身近な相棒でありながら、こうして肩を並べて戦う事は一度も無かった相手だ。加減が分からないのも無理は無いだろう。
「あ、あの……」
そんな会話を交わす二人に先ほど助けた二人の少女の片割れ、盾を持った少女が話しかけてくる。
「っと、すまない、自己紹介が途中だったな。こっちは……」
「騎士ウイングの相棒の黒野祐司だ」
まだ微かに調子が悪そうな様子で手を上げながら自己紹介をする。
「は、はい。私は『マシュ・キリエライト』と言います。先ほどはありがとうございました」
「いや、別に気にしないでいい、あの程度の相手なら……」
頭を下げるマシュと名乗った少女にそう告げて、祐司は騎士ウイングへと視線を向ける。
「本当に危ないのは此処からのようだからな」
無言で祐司の言葉に頷いてみせる騎士ウイング。バスターソードを構えながら何処かへと視線を向け続けている。そんな彼の様子からまだ脅威が去ったわけではないと判断した。
(向かってきている気配は三つ。一つは遠距離からの監視か、まだ遠いな)
最後の気配の主がまだ戦う意思がないのか、此方の隙をうかがっているのかは分からないが、戦力としては己と祐司と先ほどマシュと名乗った少女……。いや、状況を考えると、己自身だけが戦ったほうが良いだろう。そう戦術を組み立てる。
「取り合えず、此処からは……」
「そんな事よりも、あなた達、何者!? 其処の『サーヴァント』もそうだけど、あなたよ!? 騎士ウイングなんて名前の英雄も聞いた事もないけど……」
先ほどまで震えていた銀ブロンドの女性……『オルガマリー・アニムスフィア』が騎士ウイングの言葉を遮って祐司へと問いかける。
「……無理も無いとは言えそう言われるのは少し傷付くな……一応、スダ・ドアカワールドじゃ、それなりに高名なんだが」
「オレ達の世界でも、結構な知名度だとは思うけどな」
その言い草に無理は無いがちょっと心外だと思う騎士ウイングと、一応フォローする祐司。
そして、古代神バロックガンと戦ったのだから、後年のスダ・ドアカワールドでは知らないものは居ないと言って良いほど高名な英雄だろう。祐司の世界でも相応の活躍を見せて名は轟かせているが、どちらかと言えば妙な方向性で騎士デスサイズの方が知名度が高かったりする。ハーデスからの勧誘やら、某魔王少女の番組に出てくる騎士デスサイズをモデルにしたお助けキャラとかで。
「改めて、オレは『黄金龍の眷属』の一人、黒野祐司。信じられないかもしれないけど、異世界人って所だな」
「『異世界人っ!?』」
「へ?」
何時の間にか現れた映像に映る男性と共に驚愕の声を上げる女性……オルガマリー。
「そんなに驚かれる事か?」
「普通は驚くだろう。……お前の周りが異常すぎるだけだ」
「異常すぎるだけって、どれだけ凄いんですか?」
「取り合えず、異世界人程度なら、『そうか』の一言で済みそうなメンバーだな」
マシュの問いに一人ずつ周囲の人材を思い浮かべながらそう思う。猫の妖怪やら魔王の妹が二人やら伝説のドラゴンを宿した変態やらと……極めつけはガンダム達。最早、個性で済まされるレベルではない人材が。
ハイスクールD×Dの世界は既に修学旅行が終わった後の時期です。三種の神器の同時展開も可能で禁手にも至ってます。当然、英雄派とも一戦交えてますよ。