ハイスクールBB -レジェンド・オブ・BraveBattleHEROs別史02- 作:龍牙
驚きはしたものの、サラリと異世界人と隠すことも無く言ってくれた祐司と騎士ウイングと名乗る二人組み(?)について追求する事を今は止めた。
考えてみれば、自分達にとっては重要な事柄でも、異世界人と言う祐司の言葉を信じるのなら、向こうにしてみればその辺に落ちている石や砂程度の価値しかないのかもしれないし……。
(……オレが“元天使”と言うのは黙っていた方が良いだろうな)
(そうだな)
一瞬のアイコンタクトでそんな意志を交換する祐司と騎士ウイングの二人。それなりに長い間共に戦っていた者同士、その程度の事は僅かなアイコンタクトだけで理解できる。
元天使とか、元死神とか、元守護竜に守護獣、人造人間で全員が闘神に変身可能と騎士のウイングチームは妙に人材豊富である。取り合えず、目の前の人達に教えたら教えた出物凄く面倒な事になるのは間違いないと確信している。……知られたら元の世界でも面倒になったので……。
「まあ、驚いているのもその辺にしておいた方が良い。第一、異世界間の移動程度なら出来る奴はそれなりに居るだろう」
『いや、それなりに居るって、確認できるのは一人だけしか居ないからね!? そんなのは、魔法の領域だからね!?』
「? ……よく他の平行世界に移動する宇宙の
「ああ、確か前にドッチボールの大会で対戦したとか、よく後輩を助けに行っているとか」
二人の頭に浮かぶのは前に騎士ガンダムの姿で出会ったと言う、スペリオルドラゴンから聞いた『若き最強戦士』と謡われた光の戦士のこと。
『宇宙にはそんな英雄が居るの!? しかも、出会ったのがドッチボールの大会って何!?』
空中に現れた映像の男性がそんな叫びを上げるが、当の祐司と騎士ウイングは『そんなに驚く事か?』と言う顔である。……そもそも、元の世界でも平行世界間の移動など、十分に驚くべき事なのだが、身近にスペリオルドラゴンを初めとする異世界の神様が多いので、何処か感覚が鈍っている。
実際、スペリオルドラゴン、未来から騎士エックスを呼んできた事も有ったのだし。
「……ところで、あんた誰?」
「それに、雑魚を倒して確保できた安全は一時的な物だろう。要件は手短に済ませたほうが良い」
取り合えず、このままでは収拾が付き難いと判断した祐司と騎士ウイングがそう問いかける。内心、二名程が『お前らが原因だよ』と叫びたい気分を抑えつつ話を先に進めることにした。
『そう言えば、まだ名乗っていなかったね。……ぼくらは少し情報交換をする必要が有りそうだ』
「ああ、オレ達がこっちの世界に来た目的も、現状と関係有るだろうしな」
先ずは互いの世界の情報交換。少なくとも、先ほどの会話から次元移動がかなり希少な物だというのは理解したが、分かってない事が多すぎる。そう考えて、先ずは自分達の世界の情報を幾つか説明する。
「……それで、話を纏めると……貴方達は別の世界からやってきて、そっちの……ロボットみたいなのはスダ・ドアカワールドって言う世界の英雄(現役)……。しかも、同じ様なのを何人も元の世界じゃ従えてる……。……暮らしてる町のそこら辺に悪魔とか、ドラゴンとか、神霊が居る世界ってなんなの……?」
高校の教師に堕天使と戦乙女、高校の先輩には悪魔が居て、クラスメイトにも転生悪魔と転生天使とかが居てそのうち一人はドラゴンを宿した変態である。街角で召喚できるチラシを配っている時点で目の前の相手にしてみれば突っ込み所満載なのだろう……。
「そう言う世界だって思っておけば良いんじゃないか?」
「良い訳ないでしょう!? 次元移動とか、別の世界の英雄(生)を従えてるとか、どう言う事なの!? どうやって従えてるのよ!?」
「特に主従とか考えてないよな?」
「ああ」
従えてる訳では無く、飽く迄相棒と言う間柄である。仲間であって、部下では無い。先ほど聞いた聖杯戦争やら、此方の世界の魔術やら、サーヴァントやらの情報は理解したが、騎士ウイングは根本的にサーヴァントとは違う。
付け加えるなら……流石に祐司の地元の駒王町が異常なだけだとも付け加えておこう。……多分。日本の一地方都市で天使と悪魔と堕天使の聖書の勢力のトップが揃って和平会談して、魔王の妹が生徒会長している和平会談の会場となった学園が有る土地で、その後も様々な神話に属するモノがぞろぞろとやってくる場所が普通と扱われるわけがない。
この世界の魔術関係者が聞いたら絶叫するような場所である。
「……もう良いわ、あなた達の事はもうそう言う物だって思うことにするわよ!? 異世界なんだから、私達の常識なんて通用しないわよね!? 異世界なんだから!!!」
「……さ、流石にそう判断されるのもどうかと思うんだけどな……」
オルガマリーの妙な方向に悟ってしまったとしか思えない、自棄になっていると丸分かりに『異世界スゲー』と言う絶叫にそう返すが、彼女は祐司の言葉を無視してマシュへと言い放つ。
「……そっちの事は後で追求するとして……今は、マシュ、貴方の事よ。その姿、デミ・サーヴァントよね」
「はい」
「デミサーヴァント?」
「サーヴァントって何だ?」
『ああ、そう言えば君達には説明してなかったね。サーヴァントって言うのは……』
そんな会話を交わすマシュとオルガマリーの二人を一瞥しつつ、この世界の事情に詳しくない祐司と騎士ウイングは疑問の声を上げる。そんな二人へと映像の男性……『ロマニ・アーキマン』、通称『ロマン』はサーヴァントについての簡単な説明をしてくれた。
(……ちょっと待て、サーヴァントって言うのがスダ・ドアカワールドでの騎士ウイング達の事だとしたら……今の彼女は普段のオレ以上に強く融合してるんじゃないのか? それって……かなり危険な状況だったんじゃ……)
普段から騎士ウイング達と一体化しているから言える。それが出来る祐司が特別で異常なだけなのは理解している。だからこそ、それは危険だったと言い切れる。
そう思いつつも敢えて今すぐでの言及は避けた。
この場で長々と話している時間は無いが、それでも最低限の情報は知るべきと彼女等の現状を聞いた結果、彼女等の組織と協力することが最善……恐らく、スペリオルドラゴンから聴いていた本来の役割を成すべきものから奪った挙げ句に勝手に死んだ
だが、それを理解したとしても、優先してすべきことが一つだけ存在する……それは、
「あっ、じゃあこの契約書にサインと実印は、無理か」
「拇印で問題ないだろ?」
何処からとも無く書類と朱肉とボールペンを取り出してオルガマリー……と言うよりも彼女が所長を務める組織『カルデア』との契約を勧めている祐司と騎士ウイングの図。
『いや、なんで行き成り金銭契約!? 現実的過ぎないんじゃないかな、それ!?』
「……事件解決後に日本円で一億相当の宝石か貴金属って……なんでそうなるのよ!?」
「いや、異世界の金とか貰っても向こうで使え無いからな、最悪偽札扱いされるぞ」
「この世界での地位などもっと必要ないだろ……帰ったら意味無いだろうし」
妙に現実的な意見でオルガマリーの言葉にそう返す祐司と騎士ウイングの図。子供三人……義父からの金銭的な支援は有るが、基本的に生活費及び学費をはぐれ悪魔等の賞金でまかなっているのだから、考え方が現実的になるのも当然だ。
「あの、お二人とも、所長が言っているのはそう言う事じゃないと思いますけど」
「その通りよ!? なんでこんな……」
「多いんだよ……」
「「『え?』」」
遠い眼をしながら何処か死んだ魚のような目で遠くを眺める祐司。
「多いんだよ、迂闊に例外を作ると其処に漬け込んで、緊急事態とかいって無理矢理協力させかねない連中が!」
唖然とする三人を他所に、そう絶叫する祐司とその通りだと頷いている騎士ウイング。
「……部長さんの婚約の一件も結局まだ一銭も払って貰ってない上に、その後の和平会談のときも……あの赤毛兄妹」
『その後もゲームの試合観戦と言われて連れ出されて、緊急事態とかでテロリストとボランティアで戦う破目になるし』と付け加える。……ぶっちゃけグレモリー家からは未だに雇われて働いた分の額を一切払って貰ってない。闇の化身の相手については全面的に使命と割り切っているが、カオスな集団との戦闘については、その全てが半ば緊急事態と言われて無理矢理参加させられている。
『部長さんとか赤毛兄妹って何?』と言う疑問も浮かぶが、向こうの世界での知り合いだろうと納得する事にした。
まあ、本編で書くこと無い裏話だが……婚約破棄の後の事、流石に協力者として頼んだ祐司への報酬までは実家からは出してくれなかったらしい。
『ああ、もう』と叫びつつ引っ手繰るように受け取った契約書を一瞥して、サッサとサインと拇印を押して付き返すオルガマリー。
「これで良いんでしょ!? 貴方は兎も角、そっちの別の世界の英雄の……ウイングは現状で頼りになるのは間違いないわね!」
「祐司の方も含めて、実力は期待してもらって良い」
「そう。なら、期待させてもらうわ。今回の一件が終わった後にしっかりと報酬も支払う事は約束するけど……同時に全てが終わるまでの間は、貴方達も臨時とは言えカルデアのメンバーになって貰うわ」
「オッケー、右も左も分からない上に拠点も無いオレ達には、寧ろ好都合だ」
「宜しい、ただ今より貴方を臨時の四十九人目のマスター適正者として登録させて貰うわ」
契約書を受け取るとそんな会話を交わす。
「しかし、臨時のマスター候補にすると言ったが、祐司はその資格があるのか?」
先ほどのロマンからの説明で、マスターとサーヴァントの関係は大体理解できたが故の騎士ウイングの疑問だった。
『あー、それなら問題ないよ、どうやら彼にはマスター適正があるみたいだし。それに、最悪君がサーヴァントですと言い張れば問題なかっただろうし』
「オレはまだ生きているぞ」
ロマンの台詞に突っ込みを入れる騎士ウイング。一応まだ死んではいない。
『まあ、その辺は深く考えない方が良いんじゃないかな? それに彼の体には良質の魔術回路があるみたいだし』
「こっちの世界の魔術を使うのに必要なものか……」
そう言われても実感は湧かない。元の世界でも基本は騎士ウイング達に変身するか、仙術と魔術を身体能力を強化して
マスター適性の無いオルガマリーを除外してこの場で唯一マスター適性のある祐司がデミ・サーヴァントであるマシュとの契約を結んだ事が、カルデアとの正式契約の第一歩となった。
なお、改めてカルデアの状況を聞いた所、一命を除いて全員が重症、その内数人は危篤状態に有り……最後の一名は仕掛けられていた爆発物の一つが足元に有った為に死亡したそうだ。
不幸にもオルガマリーは本来の世界線と違い一人の命を背負ってしまったそうだ。なお、誰も知らない事だが、その一人が転生者に当たる人物である。