このような稚拙な文章にお付き合いしてくださりありがとうございます。
「全く、近頃の若いモンは金も持ってねぇのか」
イラついたように咥えた葉を揺らし、屈強な男は商品棚を整理する。
その険しい顔立ちから粗雑な雰囲気を想起させるが、その手際はひどく丁寧なものであった。
商売人として奇怪だが一流の信念を持つ彼、カドモン・リッシュは不躾な一文無しにルグニカ王国の貨幣事情を厳しく突きつけてやった。あまりにも田舎者ばりの無知な様子に少々同情したが、商人たるもの去る者追わず。いなくなった客より新しく訪れる客の方が大事なのだ。彼の精一杯の営業スマイルにより、遠のいていく客足から学んだ商いの術である。
そんな彼に商いの神が憐れんだのか、新規のお客様がやって来る足音。
先ほどのような非常識田舎モンでないことを祈りながら、精一杯の強面スマイルで出迎える。
「あいよ、いらっしゃい。 何か入り用かい」
「あーいや、ちょっと聞きたいことがあるんスけど」
またもや不思議な格好をした客に再び出会い、さらには購入ではなく質問ときた。頼むから普通の客が来てくれねェかとカドモンは少しばかり失望する。
その様子を見て少しばかり不機嫌になる青年。自然と語調が強まる。
「あの聞いてんスか」
「はァーッ…、あぁ聞いてる聞いてる。で、何が知りたいんだ?」
非常に態度が悪い青年に溜息を漏らす。これならまださっきの田舎モンの方がまだマシだったぜ。と言うように。
「……ここどこだかわかりますか?」
「どこって兄ちゃん、この繁栄っぷりからしてわかんねェか? ルグニカだよルグニカ。一体どこから来たんだ?兄ちゃんといいさっきの田舎モンといい…」
そう言って頭をガシガシとかく。その言葉を受けて青年の目は一層細まる。
「留群尼…? あー、すんませんその、東京のどこスか、それ」
「トウキョウだぁ? 兄ちゃん何言ってんだ? どこも何もここはルグニカだ。俺がガキの頃も親父がガキの頃もそのまた親父がガキの頃もずっとルグニカって決まってんだよ。 トウキョウなんて聞いたことねぇ」
「……あんた何言ってんだ?」
青年が哀れみの表情を浮かべ商人を見つめる。しかしこの場では哀れみを向けられるのは彼の方だ。
「要領を得ねェな兄ちゃん。 ここはルグニカで兄ちゃんが言うトウキョウとやらはここにはねェし聞いたこともねェんだよ」
「あっそう。 じゃあここは日本のどこだよ」
「また知らん言葉を吐きやがる。 兄ちゃん正真正銘の田舎モンだな! 俺が知りたいぐらいだぜニッポンなんざ」
「あぁ? ふざけるのもいい加減に…」
青年が苛立ちを募らせ、怒号を上げようとした瞬間、後ろからヌッと大きなトカゲのような大男が現れた。
「いよおカドモンさん、儲かってるかい?」
「あぁ、まぁボチボチだな」
「カドモンさん、嘘は良くねぇなぁ」
トカゲの男は笑いながらリンゴに酷似した果実を手に取り、金を支払う。どうやらカドモンの上客のようだ。
「毎度あり。これァサービスだ、持ってけ」
そう言ってカドモンはもう一つ赤い果実を渡す。
「おぉっとすまねぇなぁ。こんなにサービス精神溢れた店、なんで客が来ないかねぇ」
「おかげで商売上がったりだ、おまけに妙な客までやってくるしよぉ」
「その妙な客ってのはこいつのことかい?」
妙な客呼ばわりされて些か不満を覚えた青年。しかしそれ以上に今現在目の前にいる生物の存在が信じられないのだ。
その黒い双眼は一直線にトカゲの亜人を捉える。
「どうやら辺境の田舎モンみてェでよ、亜人さえ見たことがねェそうだ」
「はぁ、道理で」
トカゲの亜人はニッと笑い、青年に近づく。
「よぉ 亜人をみた感想はどうだい? 田舎モンの兄ちゃんよ」
「…… どうやら夢をみてるらしいな、こんな悪夢はやく目覚めるに限るぜ」
「カッカッカッカッ! そうかい夢かい! そいつぁいいや! じゃあはやく目覚めるよう冷たぁい水をぶっかけてもらうってのはどうだい? え?」
そう笑うとカドモンに挨拶をし、去っていった。そうして呆然としたままの青年と水の用意をするカドモンが残った。
「で、どうだい。 夢は覚めたかね」
「……冷てぇ」
「そりゃよかった。一度頭の方も冷まさなきゃな」
肩まで伸びた長い髪の毛がびしょ濡れになっており、青年は冷ややかな目でカドモンを見つめる。まぁ悪かったとでも言うようにカドモンはタオルを渡し、青年は荒っぽい手つきで濡れた髪を拭いた。
「これでわかったろ? 夢じゃなくて現実だよ現実。 わかったらなんか買うかどっか行け」
「それが客に対する態度かよ…」
あまり人の事は言えない青年である。
「まぁリンガ買ってけよ、ここに来たんなら一度食っておくべきだぜ。安くしとくからよ」
「いらねぇ、てか金がねぇ」
「お前も一文無しかよっ!」
そうして彼は露天商を後にした。正確に言えば追い出されたのだが。
一文無しのこの状況、彼の荷物はポケットに入っていたガムの包み紙と物言わぬ鉄の大型二輪の鉄騎。そして…
銀の配色にSMART BRAINのロゴがデザインされたアタッシュケース。
思い返せば、いつのまにか妙な感覚に目を擦り、再び目を開けば自分がいた場所とはまるっきり異なっていた。
耳や尻尾の生えた人型の生き物。 髪や目の色が赤だったり黄色だったり、服装も現代には似つかわしく中世あたりのもので、極め付けに馬車馬の代わりに四足歩行の巨大なトカゲのような生き物を用いていた。最初こそ驚きはしたものの、すぐに現代のジャージを着た青年を見かけたため、なんらかのイベントだと判断し、とりあえず車道に出ることにした。しかしそのようなものは見つかるはずもなくかんかんと照りつける陽光に体力を奪われていくだけだった。
このイベントを考えたヤツはひどく悪趣味なヤツだと悪態をつきながら重い鉄の馬を引いていき、暇そうな屈強な男に道を尋ねた。さらにそこで偽物には見えない本物の亜人に出会い、さらにこれが現実であるということを無残に突きつけられた。
それから、涼しい日陰に座り込み、疲労した身体を休めた。頭の方もいくらか冷えたためゆっくり考えることができた。しかし考えれば考えるほど不可解と苛立ちが湧き上がるので、あまり頭を使わないように努める。
わかることは、ここが日本ではないということ。その理不尽な現実にどう対処していくか、それが青年の課題だった。
「ホンットになんでこうなったんだかさっぱりわかんねぇ」
再び湧き上がった苛立ちを隅に退け、彼は人通りが少ない道を歩んでいく。
「……なんか話違わね? 異!世!界!召喚じゃねぇーのかよッ!俺の主人公設定は何処に行ったんだよぉーッ!!ケータイも繋がんねぇし!!!俺を召喚した美少女はどこに消えたんだよーッッ!!!!」
哀しき獣のごとく咆哮をあげている田舎者、いや辺境の田舎よりもっと辺鄙なところから彼はやって来たのだった。
菜月スバル、17歳。平凡な顔立ちで体つきは良好。目つきが悪いのが特徴である。
何よりも彼は、日本出身である。
彼は現代の日本から異世界召喚されたごく普通の引きこもり青年だ。
ある日の夜にコンビニで夜食を買い、気がつけば異世界の街にいた。
最初こそ驚いたが、すぐに異世界だと判断し、大いに喜び散策を始めた。
途中で誰かの視線を感じたが異世界人の視線だと断定。この格好は異世界人にとって物珍しいものだから仕方がないと思い、本当に異世界なのだという認識に酔いしれた。
しかし、彼が思ったような召喚ではなかったらしく知恵を誰かに与えようとも、文化の水準レベルは程よく素人が口に出すべきものではなかった。
そうして彼は歩き疲れ、路地裏で座り込んでいた。
「だいたい初期装備が貧弱すぎだろ… 割り箸でどうやって戦えってんだよ…
ハッ!まさかこの割り箸で異世界を意のままに掴めという神のお達しでは⁉︎って納得出来っかァーッ!!」
こうして1人コントをすることでどの世界でも変わらない理不尽を嘆いていた。
そんな時、路地裏の奥から三人の人影が現れた。
「ぉやっときたかッ!俺のこと召喚した美少っ…女」
「テメェなに一人でブツブツ言ってんだァ?」
「痛ェ思いしたくなかったら金目のモン出すんだなぁ」
人影は容姿端麗美少女ではなく汚い身なりの男三人組だった。ギラついた目でこちら睨みつけており、下卑た笑顔からしてどう見ても話し合える性格ではない。1人の男がスバルの胸ぐらを掴む。
「やっべ強制イベント発生… いや、これでフラグが立った! この後の展開はずっと家に引きこもって異世界勉強しまくってたこの俺には簡単に予想がつく! 覚醒フラグ…いやいや覚醒にはまだ早すぎるな… そうだな!これは美少女に助けてもらえる救援フラグだ間違いねェ!!」
「だから何言ってんだよ!うるせえんだよ黙ってろ!!」
三人組の中で危ない雰囲気の男は殴りかかろうとスバルに拳を向ける。しかし
「ちょっとどけどけどけ! そこの奴ら邪魔だよ邪魔ァ!」
焦りに焦った声を上げて誰かが路地裏に飛び込んできた。
セミロングの金髪の小柄な少女だ。その疾風のような俊敏な動きで突っ込んできた少女は小汚い格好であったが強い瞳に覗く八重歯。主人公のヒロインに相応しい設定だ。そんなヒロイン(仮)がタイミングよく多分主人公であるスバルのピンチに駆けつけてきたかのように思えた。
スバルは心の中でガッツポーズを決める。やはりこれは救援フラグだったのだ。義侠心あふれる少女が悪党どもをバッタバッタとなぎ倒……
「なんかスゴイ現場だけどゴメンな! アタシ忙しいんだ! 強く生きてくれ!」
「でぇえッ!? ちょっ、マジですかあッ!?」
スバルの中の秒で組み立てられた設定は秒で崩れ去った。少女は申し訳なさそうに手を上げ、細い路地を駆け抜け、重力を感じさせない身軽な動きであっという間に壁を登り建物の上に消えた。
場に沈黙が続く。それはスバルの一声に破られた。
「今ので毒気が抜かれて気が変わった…なーんて…」
「あるわけねぇだろ。身包みまで剥いだらぁ」
状況が更に悪くなり、スバルは終わったなと諦めた。
このまま丸裸にされて、路地裏で1人寂しく捨てられるのだろう。何もなし得て無いというのに。
しかしその諦観の色に染まった眼に一つの光が差し込む。なんと三人組の後ろからまたもや人影が現れたのだ。スバルは今度こそ美少女が救援に来てくれたのだと思った、というかそうであって欲しかった。先程の経験からあまりいい思い出は無いが事態が好転してくれる最高にクールな一手を決めてくれ頼む!とばりに願った。
だが
「どけよ」
その声は美少女には程遠く。
同年代のような生意気さを持って、男たちに投げかけられた。
「邪魔だろうが」
「んだァ?テメェ!状況がわかってねぇみてーだなぁ」
「この場を見られちまったなら、テメェも出すモン出してもらおーか」
三人組は後ろから突然現れた青年に驚いたが、すぐに薄笑いを浮かべナイフをチラつかせて脅す。
(アイツナイフまで持ってやがったのか! はぁ〜…挑まなくて良かったぁ…)
スバルは血の気が引いていく顔を出来るだけ変えないようにする。自分がビビっていたということを悟られないようにするためだ。
あまり意味はないが。
(しかし男…か…。どうせなら女の子みたいに可愛い男の子だったらよかったんですけどうまく行かないモンだなぁ!異世界って!ってんなこと思ってる場合じゃねぇ!)
どうでもいいことに思考を移すのはやめにして、青年に呼びかける。
「おいっ!アンタ! ここは俺に任せて逃げてくれ! アンタの敵う相手じゃねぇっ!」
つい救援希望と真反対の声が出たが、漫画でよくあるこのセリフは一度言ってみたいと思っていた。願いは果たされ、俺って今メチャかっけぇ…と酔いしれる。
「そうか、頑張れよ」
「おぃよよよよよちょいちょいちょい!! ごめんなさい!嘘です助けてください!!なんでもしますから!! あっいやでもなんでもするってのはやっぱ勘べ…」
「だからうるせェんだよ! 黙ってろ!」
男がスバルの鳩尾に一撃お見舞いする。スバルは胃の内包物がせり上がってくるのを必死に抑え、代わりに渇いた声を吐く。
「逃げようったってそうはいかねぇぞ」
「お前も同じ目にあいてぇか? あぁ!?」
大柄な男がついに青年の胸ぐらを掴む。しかし青年は身じろぎもせず苛立ちながら言った。
「さっきからどいつもこいつも、誰が逃げるっつったよ」
その言葉を呟くと同時に大きく振りかぶり胸ぐらをつかんでいた大柄な男を殴りつける。
「グブァっ!」
男は体格の割に軽く吹き飛び壁に激突した。たったの一撃で青年よりも体格のデカイ男をのしてしまったようだ。
「すッ すげぇ…!」
「テメェ…覚悟はできてんだろぉーなッ!」
小柄な男が大きく息巻くと小柄さゆえの足元を狙った姑息な攻撃を繰り出そうと飛びかかる。青年の一蹴であっけなく落ちてしまったが。
「なっなっ、なんなんだテメェはッ!」
最後に残った男にゆっくり向く青年。その睨みは圧倒的に三人組のものより優っていた。
掴んでいたスバルの胸ぐらを放り投げ、咄嗟にナイフを取り出す男。男の生存本能がそうさせ、下卑た薄笑いを浮かべる。
「調子に乗りやがって、痛い目見てぇか! あぁ!?」
しかし青年の表情は変わらず、こちらに歩んでいく。
「テっメェ…このナイフが見えねぇのかよッ!」
次第にナイフの切っ先が震えだす。青年は手首のスナップを切ると。
「来いよ」
自暴自棄になった男はナイフを正確に心臓に向け突っ込んでいく。しかし落ち着いて見れば分かりやすいほど一直線の動きであり避けることは造作もないことであった。
ナイフが身体に届くより速く青年の左手が軌道をずらす。大きく外れたことに男が気づいた時にはもう拳が目前まで迫ってきていた。
「らぁッ!」
「ガぶっフ…」
容赦なく顔面にストレートをお見舞いした。ナイフを離し、向かった方向とは逆に吹っ飛んで行く男。男はスバルの前に倒れ込みそのまま気絶した。
とうとう青年は三人組をたったの一撃ずつで叩きのめされたのだった。
「やっべぇぇえ! アンタスッゲェェぇぇぇぇぇなぁぁぁぁ!!! こうアウトローっぽいラフなスタイルでビッシバッシと悪を倒すその感じ!俺ァ感動した!大胆かつ柔軟に!!!まぁ多分俺でもあんな小悪党の1人や2人軽々と倒せそうな気もするがアンタみたいに一撃でのしちまうのはちょっと難しいな…だからアンタのとこで修行つけて貰うってのもアリだよな!いやー楽しみだなぁ色々あったけど異世界で師匠作って最強になっていくって!! まるでベストキッド、いやベストスバルだなっ!うん!あのスナップもメチャカッコ良かったし、今度チンピラにあった時には 『かかってきな…(ピシャッ)』って痛ってぇぇぇぇぇ
「おい」
青年は苛立ちながらスバルに向く。
「ハイハイなんでしょーかお師匠様! 俺にできることがあったらなんなりとお申し付け「さっきからうるせえんだよベラベラベラベラと。 お前と俺はいつからそんなに親しくなった」
「そんなの決まってるじゃないっすか! あん時助けてくれたのを不肖菜月スバル、忘れてやいませんぜ! いやぁ異世界って悪いことづくしじゃないんだな!と!改めて痛感いたしやしたーッ!」
「うるせえ、喋んな」
「ヒドッ!?」
青年は一方的に会話を切り上げると隅に止めていたバイクを引き立ち去ろうとした。
「アレ!? それってまさかのもしやで! ば、ばいくでございましょーか?」
「あたりまえだろ。何に見えてんだお前」
青年は呆れながらバイクを押した。
いや待て。 先程このスバルとか言う奴はバイクと言った。通りすがる人と呼べるかわからない通行人たちが奇怪な目で見つめてきた中で。彼1人だけが、こいつの存在を知っていたのだ。
咄嗟に青年は振り向く。スバルは不敵に笑い語りかけた。
「フッフッフ… そうアンタとオレは同じ、異世界召喚されたんだよ」
「何馬鹿なこと言ってんだお前」
「いやちょっとぉ!? 今の流れでそれ言うかフツー!? そこは乗ってもらわないと俺が傷つく!」
スバルは不敵な笑みを一瞬で散らし、地面に膝をつく。あまりにも大袈裟な動きに青年は少し気味悪がった。
「どいつもこいつも妙な格好しやがって… ようやく出会えた事情を知ってそうな奴は思いっきりバカときた」
「いやーどうもバカです。 ですが役立たずではなく情報屋としての二面性も持ってるのですヨ?」
「そうか、じゃあ東名高速道路はどこに行きゃいいんだ」
「すんませんそのような情報は持ってないです!ごめんなさい!」
再び地に膝つけて土下座をする。しかしかなり不恰好なものだった。
「チッ、どうやって帰りゃ良いんだよ…」
「あ、あのー、多分帰れないと思いますハイ」
「なんでお前にそんなことがわかるんだよ」
「なんてったってここは異世界だからなぁっ!!」
スバルはドヤ顔で決めポーズをかます。昔読んだ漫画のポーズを参考にしたので完璧に決まったと思うが、そのポーズはイケメンにのみ許されたものである。
「またそれか。 ………お前、仮にここがその異世界だとして、なんでそんなに元気そうなんだよ」
青年が面と向かって問いを投げかける。
スバルはこれは一種の分岐ルートだな! 外すわけにはいかねぇ! まずは真実をきっぱり話し、好感を得る!そこから俺の異世界ライフは始まりを告げるのだっ!
と思い込み真実を話すことにした。
「まあ結構こういうのに憧れてたワケだし? 元の世界に戻ってもあんまし良いことねぇからここでなんか伝説作っていこうって思ったんだ! 現代の知識を使ってあらゆる世界で無双したりとか! 特殊能力を持って悪い奴らをぶっ倒してハーレム築いて! どれも元の世界じゃできないこと! 俺はそれをやりたいんだ!」
「それで、出来そうか?」
「さっぱりでございます… まあ俺たちを召喚した美少女さえ現れてくれれば今までの文句ぜーんぶナシになるんですけどぉー! どうなってんだぁ!異世界の神ィ!」
とスバルは悪態をつく。事も無げに告げたその言葉に青年は呆れていた。
「まあ俺はまだ17だしアンタも見た感じ同じ年齢かな? 先は長いことだし、この異世界ライフを一緒に堪能していきましょーよっ! 改めて俺の名前は菜月スバル! アンタの名はっ……!」
空気が読めないスバルでも察することができた。今明らかに空気が悪い。
一体どこで俺は選択を間違えた? 自分が言った言葉を一つ一つ脳内で巡らせるが気分を害させるような言葉は言ったつもりは一切無い。しかし目の前の青年はスバルの言葉に驚いたような複雑な表情を向けていた。
青年の目がスバルの目を捉える。
「あ、あの、なんか気分悪くするようなこと言っちまったか…? だとしたら、ご、ごめん…」
「いや… なんでもない」
そう言って青年は目を逸らした。
(いや絶対ぇ気にしますってその表情ーッ。 だれかこの状況変えてくれる誰かーッ 助けてーッ)
スバルは複雑な空気を壊してくれるだれかに助けを求めていた。
奇しくもその救いの手は差し伸べられることとなった。
「ーーーそこまでよ、悪党」
そこには美しい銀色の髪をもつ少女が紫紺の双眸を青年に射抜いていた。
つい熱がこもってたくさん書いちゃいました。
短い話数としたらいくらか気が持ちそうなので頑張っていきます。
最後のは青年の苗字とかけてるつもりってわけじゃあありません。