Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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どうも、ハーメルンでは初投稿になります。
頑張って書いて行きたいと思います


Break0『Prologue~全ての始まり~』

No Side

 

 

IS――インフィニット・ストラトス。

其れは天才科学者、篠ノ之束が開発した、現行兵器を凌駕する最強の兵器である。――否、ISは束が宇宙進出を目指して作ったパワードスーツであり、兵器ではない。

 

そのISは女性にしか扱えない。――此れは正解であると同時に間違いだ。

世界最初のISである白騎士は、実はまだ未完成であったために女性にしか反応しなかっただけであり、束自身も男性にも反応するように研究をしていたため、真に男性がISを扱うことが出来ないと言う訳では無い。

……尤も、束自身が白騎士事件の後に世界にISコアをばら撒いて行方を眩ましたせいで真相は闇の中だが。

 

白騎士事件は篠ノ之束がISの性能を世界に示す為に起こしたマッチポンプである……此れは否だ。

自身の開発したISが学会で否定されて束が憤っていたのは事実だが、束自身は否定された事で『だったら、否定できない位のモノを作ってやろうじゃないか!』と、ISの開発に情熱を燃やしていたのだ。

だが、束のIS発表の数日後に、その性能に目をつけた何者かが、世界の軍事システムにハッキングを掛けて、日本に向けて数万発のミサイルを発射し、其れを迎撃する為に、束と千冬に白騎士事件を起こさせた……此れが真相だ。

 

この白騎士事件における被害者は、政府の発表では0とされたが、実際にはそんな事は無い。

如何に数千発のミサイルを迎撃したとは言え、破壊したミサイルの破片をも完全に処理できたかと言われれば、其れは否だろう。――如何に天才が開発したISを、最強の人類が扱ったとしても、万を越えるミサイルの欠片まで完全に処理するのは不可能だ。

 

その結果、処理できなかった欠片は日本の各地に降り注ぎ……

 

 

 

「そんな……嘘だよね?お父さん、お母さん……ミツル………うあぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

欠片の幾つかは、人の命を奪い、家族を壊滅させる被害を出してしまった。

そして、嘆きの慟哭を上げる少女……蓮杖夏姫が家族を喪った所から、この物語は始まる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break0

『Prologue~全ての始まり~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

如何して、なんでこんな事になっちゃったんだろうね?

束さんは、宇宙進出を夢見て、その為のパワードスーツであるインフィニット・ストラトス――通称ISを開発した。だけど、其れは学会で『子供の机上の空論』と言われて一蹴された。

勿論束さんは其れ位じゃへこたれずに、石頭の脳足りん共を納得させるための理論を構築してたけど……その最中に、日本がミサイルで攻撃されて、束さんは千冬さんに白騎士を渡して、ミサイルの迎撃を行った……世に言う白騎士事件だね。

皮肉にも、この事でISの性能の高さが認められて、各国はこぞって其れを欲しがった――兵器として。

 

だけど束さんはISを兵器として開発した訳じゃない……だから、ISの『兵器』としての詳細を聞かれて、其れには応えずに全世界に467個のISコアを分配した上で、束さんは行方をくらました……当然と言えば当然だわ。

 

そして、白騎士事件が起きた時に、私は全てを失った。

――白騎士事件の際に、千冬さんが砕いたミサイルの欠片がアタシの家に降り注いで家は全壊し、お父さんとお母さん、そして弟のミツルは帰らぬ人となって、其処からアタシの放浪生活は始まった。

 

こう言っちゃなんだけど、お父さんとお母さんは可成りの資産家で、2人で数十億は下らない資産を築いていたのは間違いないわ――此処まで言えば分かるだろうけど、お父さんとお母さんが死んだ事を知った親族は、その資産を目当てにアタシに群がって来た。

中には、資産目当てにアタシと養子縁組をしようとする奴まで居た。

 

まだ子供だったアタシでも、その浅ましさには嫌悪感を覚えたわ……だから、アタシはそこから逃げた。

資産が欲しければくれてやる、その代わりアタシの自由は渡さないって言う心算で、両親が将来の為にって作っておいてくれた銀行のカードと瓦礫と化した家の中からかき集めた缶詰なんかの保存食を持ってね。

 

ハイエナ共の目をかいくぐって横浜まで辿り着いたアタシは、其処で貿易船に潜り込む事に成功した。

海外に逃げてしまえば、ハイエナ共を撒く事が出来るし、アタシが行方不明になれば、アイツ等は形だけの失踪届を出して……その上で可成り早い段階で捜査を打ち切らせる筈。

そうすれば合法的にアタシを『殺す』事が出来るし、アタシの死が法的に認められれば、父さんと母さんの資産を己の物とする事が出来るから。

 

まぁ、そうなったらそうなったで、遺産の分配で揉めそうだけど、そんな事はアタシの知った事じゃないわ。

 

 

 

で、潜り込んだ貿易船はイギリス行きだったみたいで、アタシは其の航路中ずっと船内の貨物室に留まってた……なんて言う事が出来る訳もなく、出向から2日目で船員に見つかって、船長の所に連れていかれた。

正直言うと、海に放り込まれる事も覚悟してたんだけど……

 

 

 

「ったく、ガキが1人で入り込むたぁどうなってんだろうなぁマッタク。

 普通に考えりゃ密航者だから大問題だが……仕方ねぇからイギリスまでは連れて行ってやる。其れから、少しばかり金もくれてやるが、後は自分で何とかしな。

 生憎と、俺は密航者の浮浪児を引き取ってやれるほど裕福でもねぇし、お人好しでもないんでな。」

 

「……ううん、其れで充分だよ船長さん。」

 

船長さんはアタシを見逃してくれるどころか、イギリスまで送り届けてくれた上に、お金まで渡してくれた。

お人好しじゃないって言ってたけど、見ず知らずの子供に此処までしてくれたって言うのは、充分お人好しだと思うよ?……そのお陰でイギリスまでやって来れた訳だから。

 

其の後は異国の地で放浪暮らしの始まり……束さんから英語を習ってたのが役に立った。――とは言え、見知らぬ異国で子供が1人で放浪暮

らしなんて出来る訳もなく、船長さんから貰ったお金はあっと言う間に底をついて、其処からはストリートチルドレンの仲間入り。

尤も、誰かとつるむ事は無かった……彼女と出会うまでは。

 

イギリスに到着してから2週間くらい経った頃、アタシが縄張りにしてる路地裏に、完全に場違いな格好の女の子が居た――マッタク、こんな所で何をしてるのかしらお嬢様?

此処は、貴女の様な子が来る所じゃない……家に帰った方が良いよ?

 

 

 

「帰る家は有りませんわ……両親は列車事故で死に、今やあの場所は両親の残した莫大な遺産に目の眩んだ親族達の遺産争いの場になってしまいました……。

 あの様な、浅ましい人達と一緒に居たくはないので、家を飛び出してきましたの……」

 

「あぁ……成程。」

 

その気持ちは、良く分かるよ。……アタシも白騎士事件で家族を喪って、遺産目当てで近付いて来る連中が嫌になって日本を飛び出して来た訳だからね。

アタシと貴女は、似た者同士って所かな?

 

 

 

「貴女もですの?……何処の世界にも浅ましい人と言うのは居るのですわね……失礼、名前を伺っても?」

 

「夏姫。蓮杖夏姫だ。」

 

「夏姫さんですか……良い名ですわね。

 私はセシリア・オルコットと申します。セシリアと呼んでください。」

 

「なら、私の事も夏姫で良い。序に言うなら『さん』はいらない。」

 

「分かりましたわ、夏姫。」

 

 

 

似たような境遇って事も有って、アタシとセシリアは意気投合して、其処から2人での放浪生活が始まった。――セシリアは服装が、如何にもお嬢様過ぎたから、アタシが着替えとして持って来てたジャージのズボンとフード付きの半袖シャツに着替えさせたけど。

 

そうして始まった2人での放浪生活は、意外と巧く行ってた。

セシリアはお嬢様だから喧嘩の経験なんて無いだろうと思って、他のストリートチルドレンとの小競り合いはアタシが引き受ける代わりに、セシリアは、大凡子供とは思えない話術でスーパーから期限切れの食品を貰ってきてくれたから。――お陰で、生きる為とは言え『盗み』を働かずに済んだのは有り難いわね。

 

尤も、余りにもアタシ達が巧くやるもんだから、手を組む事を提案して来たストリートチルドレンのグループもあったけど、その勧誘は全部蹴り飛ばしてやった。

アタシ達が巧くやる事が出来てるのは、アタシとセシリアの2人だからね……何処かのグループに所属したら、其処にだけ恩恵を齎す結果になるから、ストリートチルドレンの間での新たな火種になりかねないから。

余計な争いが生まれるくらいなら、何処のグループにも属さずに2人で居る方が良いからね……まぁ、断った後には必ず乱闘が起ったけど、アタシが負ける事は無かった。

日本に居た頃、箒を虐めてた連中を一夏と一緒に叩きのめした腕前は伊達じゃないのよ。(一夏と一緒に倒した数は、合計で20。)

 

そんなこんなで順風満帆な放浪生活を送ってた訳だけど……そんな時間は長くは続かなかった。

 

 

 

「はぁ、はぁ……クソ、行き成り撃って来るとか正気かアイツ等?――狙いは貴女みたいねセシリア?」

 

「如何やらその様ですわ夏姫……私を殺してまで、父と母が残した遺産が欲しいのですか彼等は……!!」

 

 

 

放浪生活を始めて1ヶ月が経った頃、アタシとセシリアは街中で、行き成りISを纏った連中に襲われた――この時初めて、ISが本当に兵器として使用されている事を知ったのは、トンデモない偶然だったけど。

幾らアタシが喧嘩に強いって言っても、ISを纏った大人数人に勝つ事なんて出来ないから、放浪生活の中で何かの役に立つかも知れないと思って作っておいた閃光弾を炸裂させて、逃げたんだけど……

 

 

 

「逃がすな!彼女の死の痕跡は残すな……だが、確実に仕留めるんだ。」

 

 

「く……もう追って来たか!」

 

流石にISのハイパーセンサー相手じゃ、閃光弾も思った程の効果はないか……

空を飛ぶと目立つからなのか、路地裏の鬼ごっこに付き合ってくれてるけど、子供の足とISじゃ速度は比べ物に成らないから、如何に地の利を生かして逃げた所で追い付かれるのは火を見るより明らかだったけど……

 

 

 

「見つけたぞ!撃て!!」

 

 

――パァン!!

 

 

「しまった!セシリア!!」

何とも運が悪い事に、入り組んだ路地を抜けた先で刺客とバッタリエンカウント!

咄嗟にセシリアを庇って突き飛ばしたけど……その代わりに銃弾はアタシの足にクリーンヒット!!……足を撃ち抜かれたくらいじゃ死なないとは言え、この痛みは尋常じゃない!!……気絶しなかった自分を褒めてあげたいわね。

 

 

 

「夏姫!!」

 

「に、逃げろセシリア……」

 

「お嬢様を守る為に自らが盾になるとは……女だが、貴女はナイトだねジャップのお嬢ちゃん。

 だが、余り苦しませるのも可哀想だからな……せめて、これ以上苦しまないように一発で終わらせてあげる――次はもっと、優しい世界に生まれて来れると良いね?」

 

 

 

く……此処までか?

財産目当てなら、行方知れずになったセシリアに捜索願いを出した上で、早期に捜索を打ち切らせて死亡判定すればいいだけなのに、態々ストリートチルドレンになったセシリアを探し出して殺しに来るとは……余程セシリアには生きていて欲しくないと見えるわ。

でも、だからと言って何が出来る訳でもないわ……右足を撃ち抜かれたアタシに攻撃の手段は残されていないし、セシリアは元々攻撃の手段を持ってないからね。

 

此処が私達の終着駅なのか……

 

 

 

「オイオイ、ガキを2人始末するにしちゃ、幾ら何でも過剰戦力じゃねぇか?

 つーか、良い大人が銃を片手にガキを殺そうとしてるってのは、胸糞わりぃなオイ。」

 

 

――ビシュン!!

 

――ジュゥゥゥ!!

 

 

「ギャァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「「え?」」

 

 

そう覚悟した次の瞬間、アタシとセシリアに銃を向けていた奴が肩を撃ち抜かれていた――其れもビームで。

只の銃弾が貫通しただけでも気絶しそうになるほど痛かったって言うのに、熱量を持ったビームなら貫通すると同時に傷口が焼かれる事になる訳だから、その激痛は半端じゃない筈。

でも、一体誰が?

 

 

 

「よう、ガキ共、無事――じゃねぇだろうが、取り敢えず殺される前に間に合って良かったぜ。」

 

「IS……ですの?」

 

「全身装甲のIS……貴女は?」

 

アタシとセシリアを守るように降り立ったのは、黒い全身装甲のISを纏った誰か。

顔は分からないけど、声の感じからして女の人――って、現行でISを起動させる事が出来るのは女性だけなんだから当然か……一体誰なんだろう?

 

 

 

「其れについては、コイツ等を何とかしてからだな。」

 

「き、貴様!行き成り現れて何の心算!邪魔だてするなら容赦はしないわよ!!」

 

「あぁん?如何容赦しねぇんだオイ?

 ISを纏ってはいるみてぇだが……テメェ等の実力なんざ、俺に言わせればハナクソみてぇなもんだ。

 んで、何の心算かと聞かれれば、テメェが足を撃ち抜いたガキの保護だ。序に一緒に居た、イギリス人っぽいガキも連れてくけどな。」

 

 

 

アタシを保護しに来た?その序でセシリアも?……如何して只のストリートチルドレンに過ぎないアタシ達の事を保護するんだろう?

意図が見えないわ――

 

 

 

「つー訳で、お前等こそ邪魔すんな。コイツ等を連れ帰る事が出来なかったら、俺が色々と怒られちまうんでな。

 ――どうしても、コイツ等を殺そうってんなら、相手にはなるぜ?」

 

「舐めるな!

 たった1人で5人に勝てるもんですか!!叩きのめせ!!」

 

「アホが……俺に挑んだ事を後悔しな!!」

 

 

 

って、考えてる間に戦闘が始まったわ。

だけど、それは戦闘と言うよりも、全身装甲のISによる一方的な蹂躙劇って言った方が正しいかもしれないわね――アタシとセシリアを襲って来た連中のISが放つマシンガンもライフルも、全身装甲のISには全く効かず、逆に全身装甲のISが放つビームは、容易く絶対防御を貫通して、パイロットにダメージを与えてたんだから。

 

 

そうして戦闘が開始されて5分が経つ頃には、アタシとセシリアを襲って来た連中のISは全て強制解除され、パイロットは全員が地に伏せてた。

圧倒的って言うのは、きっとこう言う事を言うんでしょうね……

 

 

 

「さてと、これ以上はテメェ等は戦えねぇだろうが……上からの命令で、テメェ等の事はぶっ殺せって言われてんだ。悪く思うなよ?」

 

「い、いや!止めて、殺さないで!!」

 

「嫌だ、死にたくない!!」

 

「ななな、何でも言う事聞くから、命だけは!!」

 

「黙れクズ共。テメェ等はさっき何をしようとした?丸腰のガキ2人をIS使って殺そうとしただろうが!

 そのくせ、テメェが殺されそうになった時には都合よく助けてくれだぁ?馬鹿も休み休み言えってんだ、このスットコドッコイ!

 誰かを殺そうとして、其れに失敗した時、『死』は自分に跳ね返って来るって事を知れよ……日本の言葉で言うなら『因果応報』ってやつだ。

 精々、テメェ等に殺しを依頼した奴を恨むんだな?Good-bye.I'll meet hellishly next time.(あばよ。次は地獄で会おうぜ。)」

 

「やめ……!!」

 

 

――ドバァァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

命乞いをして来た連中を切って捨て、全身装甲のISから放たれた大口径のビームは、アタシとセシリアを襲って来た5人を呑み込み、灰の一欠すら残さずに蒸発させた……一体どれだけの能力を持ってるのかしらねこのISは。

あの、アタシ達を保護って……

 

 

 

「ふぅ……ったく、殺される覚悟もねぇのに人を殺そうとするんじゃねぇってんだ。――さてと、ガキ共、俺と一緒に来て貰うぜ?

 俺は亡国機業のエージェントのオータムってんだ。蓮杖夏姫、お前の事を篠ノ之束博士からの依頼を受けて保護しに来た。――まぁ、副産物としてイギリスのガキんちょも守っちまったけどな。」

 

「篠ノ之束博士……ISの生みの親が夏姫をですの!?」

 

「束さんがアタシを……」

 

白騎士事件の後でどっかに行っちゃったって聞いてたけど、束さんは無事だったんだ……其れだけじゃなくて、アタシの事を探していてくれたなんて……マッタク持って、予想外だったよ。

其れからセシリア、アタシと束さんは知り合いって言うか、歳の離れた親友なの。アタシは束さんの事を姉のように慕ってたし、束さんもアタシを実の妹である箒と同じ位に可愛がってくれてたからね。

 

 

 

「予想外ですわ。」

 

「だろうね。」

 

「納得したかイギリスのガキんちょ?――そんじゃあ、此れから束の所にもどっから、暴れんなよ?」

 

 

 

この場を離れる前にオータムさんはセシリアの血と髪を現場にばらまき、セシリアの死を偽装した。(血は注射器で200mlほど採血して、髪は携帯してたコンバットナイフで少し切ってね。)

その後、アタシとセシリアは、オータムさんのIS『ブリッツ』の左腕のクロー(スレイプニルって言うらしい)に捕まれた状態で空中散歩を行い――

 

 

 

「此方オータム。

 対象を確保して帰還した。着陸用ハッチの解放を求む。」

 

『了解。ハッチ開放、着艦どうぞ。』

 

 

 

程なくして、現れた空中戦艦とも言うべき船に着艦。

アタシとセシリアもクローから解放された訳なんだけど………

 

 

 

「なっちゃーーーーーん!!」

 

「真・昇龍拳!」

 

「まさかの完全無敵スーパーアーツ!?」

 

 

 

突如突進して来た紫髪のうさ耳に、ストリートファイターな永遠の挑戦者の最強必殺技をかましたアタシは悪くない。

って言うか、同じような事をするたびに千冬さんからフリッツ・フォン・エリックもビックリのアイアンクローを喰らってるんだから、少しは学ぼうよ束さん……天才なんだから。

 

 

 

「いやいやいや、こうしてスキンシップを通してこそ、思いが通じ合うモノなんだよなっちゃん!」

 

「なら、瞬獄殺かましても良いですか?」

 

「あ、其れだけは止めて。殺意の波動の最終奥義を喰らったら、流石の束さんもお陀仏になっちゃうから!」

 

「束さんなら、あれ喰らっても生きてそうだけどね。」

 

それにしても、オータムさんから束さんが依頼主だとは聞いてたけど、この場所に束さんがいるとは思わなかったよ。

オータムさんは亡国機業所属って言ってたけど、亡国企業に束さんが力を貸すとは思わなかったからね……何を考えてるの束さん?

 

 

 

「ん~~……言うなれば、『ISを本来の目的の物に戻す』って所かな?

 私は、私とちーちゃんに白騎士事件を起こさせた犯人を捜してたんだけど、亡国企業の皆さんも白騎士事件の黒幕を追ってたみたいで、利害の一致から手を組む事にしたのさ。」

 

「成程……だけど、ISを本来の目的の物に戻すって言ってもどうやって?」

 

「偶然とはいえ、ISが兵器として利用されている片鱗を見た身としては、其れは難しいと思いますわ篠ノ之博士。」

 

「普通ならそうだろうね。

 だけど、ISは宇宙進出の為のパワードスーツとして開発したにもかかわらず、現行兵器を上回る戦闘力を有するに至った――なら、束さんが最初から兵器を開発したらどうなるんだろうね?」

 

「「!!」」

 

 

 

ISは束さんの意図しない形で、現行兵器を上回る最強の兵器となったけど、束さんが最初から兵器としての機体を開発したら、其れはISですら凌駕する最強の兵器になる!

束さん、まさか貴女は――

 

 

 

「そうだよなっちゃん。

 私はISの抑止力として『対IS用IS』を開発した――オーちゃんが纏ってたのは其の内の1機だよ。

 未完成のISコアが世界中に飛び散った事で、ISは兵器として利用され、世界は女尊男卑に傾いた……勿論その原因は、未完成のISコアをばら撒いた束さんにもあるさ。

 でも、だからこそ、私はこの世界を正したいんだ……その為だったら何だってしてやるさ!」

 

「束さん……」

 

其れが貴女の覚悟って訳ですか……でも、そう言う事ならアタシにも協力させてください。

アタシは束さんの夢が大好きだったから、宇宙進出用に開発されたISが兵器として使われてるのは我慢できないんです!……お願い束さん!

 

 

 

「私も夏姫と同じ思いですわ篠ノ之束博士……否、プロフェッサー束。

 夏姫が協力すると言うのならば私も力を貸しますわ!――何よりも、一番の親友が世界の改革に力を貸そうと言うのを、指をくわえて眺めていると言うのは性に合いませんわ!」

 

「セシリア……ありがとう。」

 

アタシだけじゃなくてセシリアもやる気だよ?――如何する束さん?

 

 

 

「ふぅ……まぁ、なっちゃんならこう来るのは予想してたけど、そっちのなっちゃんのお友達までこう来るとは予想外だったよ。

 本来なら、まだ子供のなっちゃん達が関わるのは駄目だって言うのが正しいのかも知れないけど、敢えて言うよ……なっちゃん、セっちゃん、君達の力を貸してくれるかい?」

 

「「勿論!!」」

 

「……ありがとう。」

 

 

 

そして、この日を境に、アタシとセシリアは亡国機業のエージェントとなった。――取り敢えず言える事は、亡国機業はハンパねぇって事ね。

アタシ達を乗せて来た空中戦艦にも驚いたけど、まさか巨大な無人島を、そのまま要塞として改造してるとは、幾ら何でも予想外だったわ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

で、あっという間に3年が経過。

此の3年の間に、束さんは要塞になってた無人島にビルを建設して、亡国機業のダミー会社である『ISラビットインダストリー』を設立。(手続きその他登記が面倒って理由で、日本の法務局のデータバンクをハッキングして、会社登記が済んでるようにしたのがとっても束さんらしいけど。)

 

セシリアはオータムさんが死を偽装した事で、束さんが新たな戸籍を用意して『マリア・C・レイン』として暮らしてる。……まぁ、アタシも束さんが嘗てのアタシの戸籍を抹消して、新たな『蓮杖夏姫』の戸籍を作って貰ったから、同姓同名の別人って事になってるんだけど。

序にマリアのお嬢様言葉は無くなりましたとさ。――どうにもこの面子の中で、1人だけお嬢様言葉ってのは違和感があったみたいね。

 

其れから、アタシとマリアにはISの適性がある事が判明して、束さんが開発した『対IS用IS』の試作機のパイロットも務めてて、アタシが『ストライク』、マリアが『バスター』って言う機体に乗ってる。

 

其れは其れとして、アタシとマリアとオータムさんを集めてどうしたの束さん。

 

 

 

「ぶっちゃけて言うと、第2回モンド・グロッソの会場でいっ君が誘拐されました。」

 

「彼の兄である一秋は無事だったみたいだけど、此のままでは一夏君が危ないわ。」

 

 

 

は?一夏が誘拐されたって、其れはマジなの束さん!――って、聞く必要もないか。束さんとスコールさんが言うなら、間違いないし。

一夏を誘拐した連中の目的は、千冬さんの大会2連覇阻止なんだろうけど、一夏誘拐の報が千冬さんにダイレクトに伝わってるとは思えない。

犯人グループが日本政府に脅しをかけたんだとしたら、政府は間違いなくそれを握り潰すわ……千冬さんが2連覇をすれば、日本の株は鰻上りになるからね。

そしてもう1つの可能性として、一夏誘拐の報を、一秋のクズが聞いた場合だわ。

アイツは自分の才能を鼻にかけて、努力の天才である一夏の事を見下してた……其れを考えると、千冬さんに一夏が誘拐された事を知らせてない可能性が高い……会う機会があったら、散共々ブッ飛ばしてやろうか。

 

で、一夏が誘拐されて、アタシ達に如何しろと?

 

 

 

「回りくどいのは嫌いだからハッキリ言うよ。なっちゃん、マリちゃん、オーちゃん――いっ君を助け出して!」

 

「是非もないよ束さん!」

 

「任せて下さいプロフェッサー……件の一夏さんは、必ず助け出すわ!」

 

「如何にも俺は、ガキの救出に縁があるみてぇだな?……OK、任務了解。やってやるぜ!!」

 

 

 

ま、答えは分かってたけどね。

其れにアタシにとっても一夏は弟分だったから、助けないって言う選択肢は存在してないからね――だから待ってろ一夏。必ずアタシ達が助け出してやるからな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To Be Continued… 

 

 

 

 

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