Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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白雪姫は武闘派だったか?By夏姫      何処を探してもその記述はないわね?By刀奈     後付け設定バリバリすぎだろ……By一夏


Break101『Love&Purge:此れが刀奈の白雪姫?』

Side:夏姫

 

 

白雪姫が暮らしているであろう小屋を目指して夜の森を進んでいる最中に、まさか襲撃を受けるとは思ってなかったよ――しかも、其れをやって来たのがお前だとはね。

さて、状況はアタシが有利だからやろうと思えばお前にトドメを刺すのは雑作もない事なんだが、其れでもまだやるか刀奈?

 

 

 

「……降参よ――まさか暗殺者に負けるとはね……此れまでは何とかやって来たけど、其れも此処までか……貴女もお母様が雇った暗殺者なのだろうけど、まさか此処までとは思わなかったわ

 ……既に覚悟は出来ているから、トドメを刺しなさいな。」

 

「だが、断る!!」

 

トドメを刺せだと?寝言は寝て言え、戯言はラリってから言えだ。

お前の予想を裏切って悪いが、アタシはあの人格破綻者が雇った暗殺者ではない……少なくともアタシは、お前の味方だよ刀奈。

アタシは、お前を助ける為に此処に来たんだからな。

 

 

 

「俄かには信じられないけど、貴女はこんな夜中に何処に行こうとしていたのかな?」

 

「……森の奥のログハウスを目指してたんだよ。」

 

「森の奥のログハウス?……あそこは空き家の筈だったけど、そんな所に用があるとは、益々怪しいわね?」

 

 

 

確かにそうかも知れないが、しらばっくれるなよ刀奈、其処にはお前が住んでいたんだろう?既にネタは割れてるから誤魔化そうとしても無駄だぞ。

 

 

 

「その事を知っていたとは予想外だったわね……貴女、何処で其れを知ったの?答えによっては貴女を生かして帰す事が出来なくなるのだけどね?」

 

「恐ろしい事を言わないでくれ。

 何処で知ったかと言われれば、仲間が教えてくれたと答える事になる。アタシの仲間と言うのは、向こうの小屋で暮らしている小人達だよ。」

 

「……成程、彼女達の。

 話をした事はないけど見た事はあるわ……その時、街に行商に行ってる子がいると言っていたけど、君が其の子だと言う訳ね……彼女達とは服装が違うけれど敵意は無さそうだし、良いわ信じてあげる。」

 

「そうしてくれるとありがたい。……其れでだな刀奈――」

 

「ちょっと待ってくれる?さっきから言ってるカタナってなんなの?」

 

 

 

……え、其れを聞くのか?

なんで自分の名前を覚えていないんだ?簪達は自分の名前が分かっていたのに――若しかして、小人には個別の名前が設定されてないから現実世界の名前を名乗っているだけだったのか?

だけど、刀奈は白雪姫の役で、白雪姫と言う名前が設定されているから本来の自分の名前を覚えていないと、そう言う事か……これは、少し面倒な事になったかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break101

『Love&Purge:此れが刀奈の白雪姫?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀奈と言うのが何か、其れを説明すると長くなるんだが、その前にお前がこの世界で何者なのか教えてくれないか?……略間違いなくアタシの予想通りだとは思うんだが、一応確認の為にな。

 

 

 

「この世界?其れって如何言う事?」

 

「其れについてもちゃんと説明するから、先ずは刀奈が何者なのかを教えてくれないか?」

 

「……その前に、私の事を私が知らない名前で呼ぶのは止めてくれない?正直気持ちが悪いわ。」

 

 

 

そう言われると如何呼べばいいのか悩むんだがな?刀奈で通じないとなると、楯無だって通じないだろうしな――と言うか、今更だけど此れってモニターされてるんだったっけ?

さっきから刀奈と連発してるけど大丈夫だろうか?暗部の長の真名はそう簡単に明らかにしてはならないモノだと思うからな……まぁ、その辺りは現実世界に帰還出来たら刀奈が何とかするだろうきっと。多分。

 

「お前の言う事は分からんでもないが、だったら一体何と呼べばいい?呼び名がないのでは、アタシだって困るんだけどな?」

 

「……やっぱりカタナでいいわ。そのうち慣れるだろうし、どうしてかは分からないけれど、貴女もそっちの方が呼びやすいみたいだしね……」

 

「……其れは、刀奈以外の名前で呼ばれると都合が悪いと言う事かな?」

 

「…………」

 

 

 

無言は肯定と受け取るぞ?……つまりは、そう言う事なんだな白雪姫殿下?

だが、名前を隠すよりも先に、その格好を何とかすべきではないかと思うぞアタシは……森の中で、そんなドレスに身を包んで居たら目立つ事この上ないからね?自ら暗殺者に居場所を知らせているようなモノだ。

 

 

 

「其れは、他に服がなかったら仕方ないのよ――でも、其れは兎も角としてやっぱり私の事は知ってたんだ……やっぱり口を塞いでおこうかしら?」

 

「如何せ口を塞がれるなら、愛のあるキスで塞いでほしいモノだが、今はそんな事を言ってる場合ではないな。

 確かにアタシはお前の事を知っていたが、もしもアタシがお前の命を狙う暗殺者であるのならば、知らない振りを貫くだろうな……そうして油断した所を後ろからザックリ行く方が確実だしね。」

 

「言われてみれば確かにそうね――なんて、納得すると思ってるのかしら?」

 

「いや、思ってないよ?」

 

如何やら今のお前は、マッタク全然アタシの事を覚えていないみたいだし、完全に白雪姫になっているみたいだから――此れからアタシが知る真実の全てを話す。

お前からしたら大凡信じられない話かもしれないが、先ずは黙って聞いて貰いたいんだが、良いかな?

 

 

 

「貴女が知る真実?……良いわ、聞いてあげる。

 話を聞くだけならタダだし、話を聞いた後でも貴方を如何するかを決める事は出来るからね……だけど、貴女が話をしてる最中に、私が貴女に襲い掛かるかも知れないわよ?」

 

「其れは無いな。

 もしお前にその気があるのならば、今こうして話をしている間にもそのナイフで襲い掛かって来るだろうし、何よりも今のお前からは敵意も殺気も一切感じないからな。

 其れに、一度は自分を組み伏せた相手に下手な真似をするほど阿呆では無いだろうお前は。」

 

「あら、そう言われたら何も言えないわ。……其れじゃあ、話して貰えるかしら貴女の知る真実とやらを。」

 

「了解だ。」

 

まず大前提として、この世界は現実では無く、お前も白雪姫ではない。

本来のお前は此処とは別の現実世界に存在している『IS学園』と言う学校――学び舎の生徒であると同時に、全生徒の頂点に君臨する生徒会長であり、そしてアタシの彼女の更識刀奈だ。

 

 

 

「ちょっと待って行き成り突っ込みたい。

 私が貴女の彼女って如何言う事!?私も貴女も女同士でしょう!?……行き成り話を盛大に盛ってるんじゃないでしょうね貴女?」

 

「残念ながら一切盛ってない真実なんだよな此れは。

 そもそもにして、告白して来たのはお前の方からだからな?……まさか、アタシだって同性から告白されるとは夢にも思ってなかったから相当にビックリしたさ。」

 

「……マジなのね?」

 

「大マジだ。」

 

そう言えば名乗ってなかったな、アタシの名は蓮杖夏姫。お前の彼女にしてIS学園の生徒会副会長だ。

さて、取り敢えず話を続けるぞ?

この世界は、言ってしまえば限りなく現実に近い虚構の世界であり、お前はその世界に捕らわれているんだ――なんでそんな事になってしまったのかと言うと、IS学園で電脳ダイブを用いた『ワールド・パージへの対抗措置』と言う特殊な訓練を行っていてな。

その訓練に第一陣として参加したのがお前だったんだが、訓練終了間際になって何時の間にやら学園のサーバーにインストールされていた正体不明のギャルゲーが起動して、疑似ワールド・パージを侵食してしまったんだ。

その結果、お前をはじめとした第一陣は電脳空間の幻想世界に捕らわれてしまった――そして、アタシは其処に捕らわれた仲間を取り戻す為に此の世界に来たんだ。

助け出す対象は他に四人居たんだが、お前の所に行く以外の選択肢は思い浮かばなかった……矢張り、自分の大事な人は真っ先に助けたいって事なんだろうな。

 

そんな訳で今アタシは此処にいる。大体そんな感じだ。

 

 

 

「更識刀奈ねぇ……其れが私の名前で、IS学園だっけか?其処で生徒会長をしていて尚且つ貴女の彼女であると……そして、この世界は現実じゃなくて一種の夢みたいなモノなのね?」

 

「あぁ、其の通りだ。」

 

「貴女は、レンジョウナツキちゃんだったわよね?」

 

「夏姫で良い。向こうではそう呼ばれていたからな。」

 

「じゃあ夏姫、これ以上私に関わるのはやめなさい。」

 

 

 

……そう言われて、『はいそうですか。』と行くと思ってるのかお前は?

大体にして何故お前と関わるのをやめた方が良いと言うんだ?明確な理由が無いのならば、アタシは其れを受け入れる事は出来んぞ――まぁ、どんな理由があるにしても、お前との関わりを断つ気はサラサラないけどね。

 

 

 

「貴女に事情を話すいわれはないわね……其れに、其処まで信用できる要素がない。」

 

「ふむ、そう言われるとぐうの音も出ないな?三幻神と究極竜とブラパラが眼前に現れた位にぐうの音も出ない、正に諸手を上げて降参、問答無用のサレンダーだよ。」

 

「そう、物分かりが良くて助かるわ。」

 

「物分かりが良い、ね……何を勘違いしているんだ?アタシはお前に関わる事をやめるとは一言も言ってないぞ刀奈?――と言うか、とことんまで関わらせてもらうからな?

 悪いがお前に拒否権はない。アタシがやると言った以上、其れは絶対だし、お前を取り戻さない事にはこの世界から出る事すら出来ないからね。」

 

……ふむ、セリフだけ聞くと悪役全開だな此れは。

『お前に拒否権はない』とか、何処の独裁者だマッタク……アタシも何だかんだで、この世界を楽しんでいるのかも知れんな――普段なら、こんなセリフは絶対に言わないだろうからね。

 

 

 

「色々突っ込みたい所はあるけど、なんで私に関わる事をやめないの?私と関わる事で貴女にメリットがあるとは到底思えないのだけれど……」

 

「愚問だな刀奈。

 お前ならば、自分の大切な人が何者かに命を狙われていると知って、其れを損得勘定をして放っておくことが出来るか?――少なくともアタシは無理だよ。

 だから、アタシはお前に関わるんだ。」

 

「成程ね……其れは、無理だし、貴女の言う事も理解出来るわ。」

 

 

 

つまりはそう言う事だ。この先、お前にどんな危険が降りかかるか分からないと言うのに、其れを黙って見過ごす事は出来ないわ。

アタシにとって、お前は誰よりも大事な人なんだ……其れが、何処の馬の骨とも知れん奴に命を狙われている状況を黙って見過ごす事など出来る筈がないだろう?

愛する相手を見殺しにしたら、最悪過ぎるし、人として終わっているとしか言えないからな。

 

 

 

「成程……貴女はこの先何が起きるのか、其れを全部知ってるのね?」

 

「何が起きるかを全部知ってると言うのは語弊があるかな?アタシが知ってるのは大体の流れだけと言う感じさ。細かい事までは流石に分からない。

 まぁ、そう言う訳だからだから、今日からお前の暮らしてるログハウスで世話になるぞ刀奈?……こんな言い方もオカシイかも知れないが宜しくな。」

 

「待ちなさい、何を言ってるのか分からないわ!先ずは説明しなさいな!!」

 

 

 

考えるんじゃない、感じるんだ刀奈。

……アタシもお前と同じ小屋で暮らすって事さ、そうすれば何かあった時に一緒に戦えるだろう?――お前一人では出来る事にも限界があるが、二人ならばその限界も突破できるからな。

 

 

 

「貴方、其れは本気で言ってるの?何が有っても責任は取れないわよ?」

 

「其れに関しては大丈夫だ……自分の尻くらいは自分で拭くさ。――何よりも、自分で何とか出来ないのであればこんな事は言わないし、お前が一緒なならば、大概の事は何とかなるんじゃないかと思ってるからなアタシは。」

 

「信頼されているって事なんでしょうけど――はぁ……なんだか頭が痛くなって来たわ。」

 

「頭痛か?其れは良くないな……バファリン要るか?」

 

「ナロンエースの方が良いわ。」

 

 

 

現実世界の事は一切覚えてないのに、バファリンとナロンエースが分かると言うのはどういう事なのか、このゲームを作った奴に小一時間ほどみっちりと問い詰めたい気分だ。

だが、取り敢えず刀奈を見つける事が出来て、共に生活する事になったから一歩前進だな。

此処から、この白雪姫の物語がどうなっていくのか……少なくとも原作通りに進む事だけは無いだろうが、アタシは刀奈を助け出す為に全力を尽くすだけだ。

 

 

 

――ギュゥゥゥゥン……

 

 

 

っと、場面が変わったな?

真っ白な空間に現れた選択……『コミュニケーションモードのチュートリアルを見ますか?』――当然迷わず『チュートリアルを見る』だな。

 

 

 

「其れでは、此れからコミュニケーションモードの説明を行いますね?」

 

 

 

って、またまた場面が変わって、IS学園の教室に山田先生か……白雪姫の母親や、ゲームのナビゲーターと、出番が多いですね山田先生――取り敢えず説明をお願いします。

……白雪姫の女王と言う強烈なキャスティングのせいか、この山田先生はとても新鮮な感じがするな……現実世界の山田先生其の物だからな、此のナビゲーターは。

其れじゃあ、コミュニケーションモードの説明をお願いしても良いかな山田先生?生憎と、マニュアルを読む時間も無かったのでね。――出来れば分かり易い説明をお願いするけどね。

 

 

 

「疑似ワールドパージに囚われてしまったヒロイン達との親睦を取り戻す為に、蓮杖さんお得意のマッサージで癒してあげましょう♪」

 

「分かり易い説明を求めるとは言いましたが行き成りですね?しかもマッサージ、ね。」

 

マッサージで癒して如何にかなるのかとも思うが、此処はギャルゲーの世界だから、マッサージにも大きな意味があるのだろうな……ならば、其のマッサージでヒロインとの親密度を高めろと言う事なのだろうね。

取り敢えずは、山田先生の解説を聞くとするか。――なので、やっちゃってください山田先生。

 

 

 

「了解です。其れじゃあ一気に行きますよ~~!ちゃんと授業を聞いて下さいね♪」

 

「……さっきの女王の事があるせいか、その笑顔が逆に恐怖だな。」

 

 

 

 

 

 

 

――山田先生説明中だ

 

 

 

 

 

 

 

「では、授業は此処までです!蓮杖さん、頑張って下さいね。」

 

「分かりました、頑張ります山田先生。」

 

要するに的確なマッサージをして刀奈との親睦度を上げろと言う事だろ?……その程度は雑作もない事だ、刀奈へのマッサージは何時もやっているから、パーフェクトに決めるなど造作もない事だ。

 

で、また場面が変わったのだが……まさか、こう来るとは思わなかったな。

刀奈がベッドにうつ伏せになっているのは良いんだが、只うつ伏せになってるだけじゃなくて、一糸纏わぬ姿で、腰から下の部分だけがタオルで隠されてると言うのは如何なんだ?

『健全なコミュニケーションです』と書かれたウィンドウが出ているが、健全か此れ?

 

 

 

「期待しても良いのかしら?マッサージの為なら、幾らでも肌を見せてあげるわよ♪」

 

「……そう来たか。ならば期待には応えねばなるまいな?……アタシのゴッドハンドで最高の気分にしてやるから、身体の力を抜いてリラックスしてろ。」

 

幸いな事に、お前が何処を如何マッサージしてもらうのが好きなのかは熟知しているのから、アタシのマッサージで天にも昇る心地を味わうと良い。

そして、其の中で思い出してくれるとありがたいな、アタシとお前の関係をね。

取り敢えず、お尻の所から解して行くぞ刀奈。

 

 

 

「うん、お願いするわ夏姫♪」

 

「ふ、任されたよ刀奈。」

 

先ずは、最高のマッサージを堪能して貰おうか?……マッサージの中で思い出す事が出来れば御の字ではあるけれどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

夏姫姉は順調にゲームを進めてるみたいなんだが、コミュニケーションモードとやらに入った瞬間に、鈴に目を塞がれましたとさ……如何して俺は目隠しをされてるんでしょうかねぇ鈴さんや?

 

 

 

「コミュニケーションモードの楯姐さんはアンタには見せられないわ……セクシーにも程があるからね――全裸にタオルが一枚ってのは刺激的過ぎるわよマジで。」

 

「其れは、確かに刺激的だな……って、なんでそんな状態になってんだよ楯無さんは?チュートリアルでマッサージだって言ってなかったっけか!?

 ぶっちゃけマッサージをするだけなのにそんな格好になる必要なくないか?」

 

「……そうとも言い切れないのよ一夏。

 男性である貴方には無縁の世界かも知れないけど、エステなんかは服を脱いで施術して貰うから、アレもあながち間違いでもないのよ……まぁ、普通のマッサージだったら、あの格好になる必要はないんだけど。」

 

 

 

エステなら其れもアリなのか……でも、エステじゃないんだろ?

ゲームでのマッサージって言うと、何かコマンドアイコンみたいなモノが出てる筈だけど、其の中にエステっぽいコマンドってあるのか?

 

 

 

「ないな。

 『圧迫』、『叩打』、『軽擦』、『問いかけ』の四つだ。『問いかけ』で何処をマッサージして欲しいか確認して、後は他の三つのコマンドで効果が異なるんじゃないか?」

 

「おう、画面が見えない俺に変わって説明ありがとうな箒。」

 

 

 

『あん……んん……夏姫の押し方、スッゴクいいわぁ……はぁん、声が出ちゃう♡』

 

 

 

「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」

 

 

 

ななな、何だよ今の無駄に色っぽい声は!?否、楯無さんが出したもんだってのは分かるんだが、幾ら何でも色っぽ過ぎやしませんかね此れ!?つか目隠しされてるせいで、逆にエロさを感じてしまうんですけどねぇ俺は!

鈴、目隠しをやめるか、若しくは一緒に耳も塞いでくれ!視覚情報がない状態で、この声を聞かされるってのは健全な男子にとっては精神的に毒だ!

 

 

 

「ふ~ん?……なら、楯姐さんの声が聞こえないように、アタシと箒が耳元で色っぽい声出してあげようか?」

 

「魅力的な提案だけどやめい!

 お前は公衆の面前で、俺のエクスカリバーを零落白夜させる心算か!俺の学園人生を終わらせる気かオイ!!俺は変態扱いされたくねぇぞ!!!」

 

「や~ね、冗談よ。

 ま、アンタの精神衛生上良くないってんなら、視覚情報をオープンにした方が良いわね。アタシが目隠しして、箒が耳塞いでるとか、絵面が可也微妙な感じだし。」

 

 

 

解放してくれてありがとよ……ふぅ、視覚情報が有ればまだ何とか大丈夫そうだ。

……にしても、夏姫姉は凄いな?只の一度も『問いかける』のコマンド使わないで、的確に楯無さんをマッサージしてるぜ……俺も鈴や箒にマッサージしてやる事はあるけど、何処をやって欲しいかは聞かなきゃ分からないってのに。

もう聞く必要もない位に楯無さんのマッサージをしてるって事なのか夏姫姉は?

コミュニケーションゲージが凄い勢いで上がって、あっという間にレベル3かよ――否、此れはもうすぐ最高レベルに達するな。……尚、その間も画面内からは楯無さんの色っぽい声が聞こえてた訳だが、画像付きだと案外平気なもんなんだな?

『見えない事』ってのは、思った以上に自分の想像力が働くもんだって事を学んだぜ……学ばなくても良かった事かもしれないけど。

 

 

 

――ヴ~ン!

 

――コミュニケーション成功。ご褒美イベント発生。

 

 

 

『んん、此れが夏姫のマッサージなのね……クセになっちゃいそうだわ♪』

 

 

 

で、あっという間に最高レベルに達してコミュニケーション成功か……で、コミュニケーションに成功するとご褒美イベントが発生か――どんなご褒美が出て来るのやらだな。

……ご褒美も気になるけど、チュートリアルで触れられてた、失敗時のお仕置きイベントってのにも興味はあるな?……楯無さんのお仕置きイベント、どんなお仕置きが発生するのやらだぜ。

 

 

 

「更識流拷問術かな?

 生爪剥がしに、五寸釘蝋燭、尖った板の上に正座させて足の上に石畳重ねる、致命傷にならない場所に小刀を刺す、麻酔なしで背中に入れ墨、同じく麻酔なしで歯を工業用の電動ドリルでガリガリ削るそれから……」

 

「簪、その辺で勘弁してくれ。想像するだけで鳥肌立って来るから!

 どれも此れも、拷問の最中に相手がショック死しかねないからな?って言うか、そもそもお仕置きのレベルじゃねぇし!」

 

「だけど普通のお仕置きが夏姫に通じるとは思えないから。」

 

「其れは……微妙に否定出来ねぇな。」

 

ビンタやチョップだと普通に切り返すだろうからな夏姫姉は。

でもまぁ、コミュニケーション成功ってのはゲーム的には良い事なんだろうな――ギャルゲーに於いて、ヒロインとの親密度は高いほど良いらしいしな。

 

取り敢えず、さっさとクリアして皆を解放してやってくれ夏姫姉。

 

 

そう言えば、夏姫姉はゲームの中で楯無さんの事を『刀奈』って読んでたけど、其れって一体如何言う事なんだ?……楯無って言うのは、本当の名前じゃないのかな?

簪、その辺は如何なんだ?

 

 

 

「其れに関しては黙秘権を行使するよ一夏――刀奈の名はお姉ちゃんにとって大切なモノだから、妹の私でもとやかく言う事は出来ないんだ ――何よりも、刀奈の名を知るのは、お姉ちゃんの伴侶となる人だけだから。」

 

「はぁ、マジか!?」

 

「マジ。本気と書いてマジだよ一夏。だから、この場に居る全員、今すぐ『刀奈』って言う名前を聞かなかった事にしてくれると助かるかな?」

 

 

 

簪さん、その笑顔がとっても怖いです……教師陣を除いたこの場の全員が首を縦に振るしかないってマジで。……大抵の事にはビビらないマドカですら首を縦に振ってるからなぁ?……簪も暗部の一家の一員だったってのを改めて認識したぜ。

にしても刀奈の名は家族以外では伴侶になる人だけが知ってるか……って事は、夏姫姉は楯無さんから刀奈と呼ぶ権利を与えられてるって訳だな?

……相変わらず、我が姉ながらトンでもないぜ夏姫姉は。

千冬さんと比べても、トンでもねぇレベルがハンパないぜマジで……だけど、だからこそ何の心配もいらないってな――改めて、速攻でクリアして楯無さん達と一緒に戻って来いよ夏姫姉!!

俺達は、其れを待ってるんだからな。

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

コミュニケーションモードをノーミスのパーフェクトクリアした事で、ご褒美イベントとやらが解放されたか……場面はマッサージの時から一転して、小屋の中――此処が刀奈が暮らしてる小屋って事か。

で、目の前には白雪姫の衣装を纏った刀奈が……さっきまではタオル一枚だったのにこの早着替え、ゲームならではだな。

 

 

 

「……さっきは御免ね?行き成り斬りかかっちゃって。」

 

「気にするな。分かってくれたのならばいいさ。」

 

「其れじゃ、私の気が治まらないわよ……お詫びに何か私に出来る事ない?」

 

「そうは言われても、直ぐには思いつかないな……」

 

お詫びと言っても、何かしてほしい事がある訳でもないから答えに困るな?……かと言って、アタシが何も提案しなかったら、自分で勝手にお詫びの何かを決めてしまうだろうからね……此処は、当たり障りがなく、かつ刀奈が納得するモノを選ばないとだわ。

 

 

 

「何やら悩んでるみたいだけど、何か思いついた?」

 

「そうだな……なら、膝枕をしてくれるか?」

 

「膝枕って、そんな事で良いの?」

 

「良いんだよ。其れが望みだしね。」

 

「あらそう?其れなら良いけど、どさくさに紛れて変な事したりしないでよ?」

 

 

 

安心しろ、そんな事はしない。

と言うか、そんな事をする気があるのなら、マッサージの時にとっくにお前に『夜のマッサージ』を施しているからな……色々あり過ぎて、流石のアタシも疲れたから、少し癒されたい。其れだけだ。

 

 

 

「そうなのね……ふふ、素直な子は好きよ?」

 

「そうか……その辺の対応は、アタシの知ってる刀奈と変わらないんだな……なぁ、本当にお前はアタシの事を覚えていないのか?其れは、アタシには可成りキツイ事なんだがな。」

 

「……ゴメンね、何も分からないの。

 貴女が説明してくれた現実世界とやらに関しても、私は何も分からない――だから、貴女が言った事を全て信じる事は出来ないのよ。」

 

「まぁ、其れが当然だとは思うけどね。」

 

アタシだって、立場が逆だったら『ハイ、そうですか』と受け入れる事は出来ないだろうからな……まぁ、その辺はゲームを攻略しながら信じて貰えるようにして行くだけだ。

ゲームはまだ始まったばかりで、お前との親密度も40%未満だが、必ずお前の記憶を蘇らせてゲームをクリアしてやるよ刀奈。――それが、アタシがここに来た理由でもあるのだからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:刀奈?

 

 

お母様が放った暗殺者から逃れる為に入った森で出会った、小人の一人である夏姫――私よりも背が高いのに小人って言うのは矛盾してる気がするけど、まさか私を組み伏せるとは思わなかったわね。

幸いにして夏姫は暗殺者では無かったから命拾いしたけど、もしも暗殺者であったのなら、今頃私は土の下に眠っていたのは間違い無いわ。

 

だけど、其れ以上に驚いたのは、夏姫が言った事よ――この世界は現実ではなく夢のような物と来たからね……何よりも、夏姫の言う現実世界の私は『IS学園』とか言う学校の生徒会長だったと言うのに驚いたわ。

名前から察するに、可成りの立場だったのは予想出来るけど、夏姫は生徒会副会長って言う、会長を補佐する役職とも聞いたし、何よりも私の彼女だと言うのには更に驚いたわ。

 

……だけど、其れに驚きつつも、夏姫が彼女だと言う事を聞いて嬉しいと思ってしまった私が居るのもまた事実だわ――夏姫ってば切れ長の目が魅力な美人さんだからね。

 

其れに、私の闇討ちに対応したと言うのは、相当な実力者であるのは間違い無いしね。

だけど――

 

 

 

「すぅ、すぅ……」

 

「こうして私の膝枕で寝る君は、年相応の女の子にしか見えないのよね。」

 

マッタク、あどけない寝顔しちゃって……私が髪を撫でても目を覚まさないとは、相当に疲れていたのかな?――なら、今は私の膝枕でゆっくりと寝なさいな。

少なくとも君が私の敵でない事は分かったから、膝枕くらいなら幾らでもして上げるわ♪

 

 

でも、其れとは別に、この世界が君の言う通りの偽りの世界だと言うのならば、其処から私を連れ出してくれるかしら?……実感は湧かないけれど、嘘の世界で生きると言うは御免こうむりたいからね。

 

 

 

あふ……だけど、私もなんだか眠くなって来たわ。

夏姫を膝に乗せたままだけど、このままじゃ寝られないから、夏姫をベッドに移動して、そして私もベッドによね……こんな事をするのは初めての筈なのに、何だか懐かしい感じがするわ。

 

もしかしたら、夏姫の言う現実世界では私と夏姫はこうやって寝ていたのかも知れないわ。――真相を確かめる術はないのだけれどね。

 

「取り敢えず、お疲れ様夏姫……今日は互いに色々あったから、一晩ぐっすり寝て英気を養いましょう?」

 

夏姫の左腕を腕枕にして、私も夢の世界にね……ふふ、お休みなさい。――明日も良い日になると良いわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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