Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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最強の刺客……うん、確かに最強だな此れはBy夏姫      まさか、ブリュンヒルデが直々に現れるとはねBy刀奈     ゲーム終盤の難易度がぶっ壊れレベルだなBy一夏


Break103『Love&Purge:現れた最強の刺客』

Side:夏姫

 

 

――【第三章。お転婆な白雪姫】

 

 

今回もまた真っ白な空間にそんな事を見た瞬間に、アタシは目を覚ました――コミュニケーションモードをクリアし、ご褒美イベントを経て次章に進んでくと言った感じなのかなこのゲームは?

と言う事は、コミュニケーションモードが章の終わりを意味してると言う訳か。

で、昨日は刀奈に腕枕をして寝たのだが……現状身体を動かす事が出来ません。

身動きが取れなくなってるアタシの前には、幸せそうに寝息を立ててる刀奈の姿が……そして、如何やらアタシは刀奈に両腕でガッチリとホールドされちゃってるみたいだな?

其れだけならばまだ何とかなるのだが……足も絡められて、完全に身動きを封じられてしまっているな此れは。

 

刀奈に抱き付かれると言うのは嫌な気分ではないから構わないのだが、だからと言って動く事が出来ないのは困るからな……オイ、起きろ刀奈。

 

 

 

「ん~~……後五分。」

 

「テンプレ通りの返しだな。」

 

だが、だからと言って睡眠時間の延長は認められないんだよ……マッタク動けない状況と言うのは良くないからな――もしもこの状況で女王が放った暗殺者が襲撃して来たらアタシもお前も纏めてデッドエンドだからね。

だから、起きろ刀奈。

 

 

 

――ペチ、ペチ!

 

 

 

腕枕をしてはいるが、肘から先は動かせるので、右手で刀奈の頬っぺたを軽く叩いてやったが起きる気配は全く無いか……さて、如何したモノだろう?

 

 

 

「夏姫がキスしてくれたら、目が覚めるかも知れないわ……」

 

「そうか、アタシがキスすれば良いのか……って、本当は起きてるだろ刀奈ぁ!!」

 

「えへ、バレた?」

 

 

 

寝たふりをしてるだけなら未だしも、そんな事を口にすればバレて当然だろう、阿呆かお前は。――取り敢えず起きてるのならばその腕と足をアタシから離せ。

抱き付かれたままと言うのは、思った以上に動き辛いのでね。

 

 

 

「良い抱き心地だったから残念ね。」

 

「アタシは抱き枕じゃないからな?」

 

とは言っても、現実世界では刀奈に抱き枕にされるのは割と日常茶飯事だから、其処まで咎める事でもないのだが、この白雪姫の世界では、何時刺客が襲って来るか分からないから、即座に動けないと言うのは致命傷になりかねないからね。

取り敢えず今日もまた、ゲームクリアを目指して頑張るとするか――しかし、こうしてゲームの中で何日も経過するのを経験していると、日付の感覚がおかしくなって来るな?

ゲーム内では既に三日が経過してる訳なんだが、現実世界ではドレだけの時間が経過しているのか……現実世界に戻ったら、ログを確認しておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break103

『Love&Purge:現れた最強の刺客』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日はどう過ごしたモノだろうな?

アタシとしてはとっととお前の記憶を取り戻した上でゲームをクリアして現実世界に帰還したい所なんだが、お前が現実世界の記憶を取り戻していない以上、其れは中々難しいだろうな。

 

 

 

「いっその事、頭に強い衝撃を与えたら失われた記憶が戻ったりするのかしら?」

 

「その可能性もゼロではないが、打ちどころを間違えればさらに記憶が飛んでしまう可能性がある上に、最悪の場合は死に至る事があるから、頭への強い衝撃はNGだ。」

 

「やっぱりそうよねぇ……でも、如何やったら貴女の言う現実世界での記憶を取り戻せるのかしら?」

 

 

 

其れが分かれば苦労はしない。

ゲームをクリアすると言うのが最も可能性が高いが、其れも確実とは言えん――其れでも、共に現実世界に戻ればお前の記憶も戻ると思うが、アタシだけが現実に帰還して、お前は記憶が戻らずにこの世界に留まったままと言う事も考えられる。

だから、何とかしてゲームクリア前にお前の記憶を取り戻したいんだが、現状では良い手が全く思いつかない。

 

 

 

「其れは困ったわね?

 此れが貴女の言うように創られた世界で、其れも御伽噺をモチーフにしているのだとしたら、其処に何かヒントがありそうだけど……確か『白雪姫』のお話では、私は毒リンゴを食べて死んじゃうのよね?

 で、其の後で王子様にキスされて目を覚まして、王子様と結ばれてハッピーエンドになるんだったわよね?」

 

「あぁ、其の通りだが、其れが如何かしたか?」

 

「ちょっと考えたのだけど、毒リンゴとキス、此れが私の記憶を取り戻す為に必要な物だったりするんじゃないかしら?」

 

「……と言うと?」

 

「私が毒リンゴ食べた後で王子様にキスされれば記憶が戻ったりするんじゃないかなぁって♪」

 

「いやいやいや、ザックリしすぎだろそれは。そもそもなんでわざわざ毒リンゴを食べる必要があるんだ?」

 

「だって、毒リンゴを食べれば王子様が来てくれんでしょう?」

 

「違う。毒リンゴを食べたから来てくれるんじゃない――メタフィクショナリな事を言うのならば、白雪姫の所に王子様が来るのは必然だったんだよ。

 毒リンゴを食べなかったとしても王子様は白雪姫と会う運命にあったとでも言えば良いのか?……兎に角、自ら毒リンゴを食べるなんてのは止めておいた方が良い。

 あくまでもアレは御伽噺の世界での話なのだからな。」

 

「でも、夏姫の言う事を信じるのならば、此処は御伽噺の世界なのよね?なら大丈夫よ、私って胃は丈夫な方だし♪」

 

 

 

此処は御伽噺をモチーフにした世界で、此処にいるアタシもお前もデータで構築された精神体――言ってしまえば魂みたいなモノだが、毒を喰らったらどうなるか分かったモノではないだろうに。

そもそも、毒は胃が丈夫だからで何とかなるモノではない。胃が丈夫で毒が大丈夫なら、大概の人間は毒を喰らってもキャベ○ンを飲めば何とかなると言う事になるだろうが。

 

 

 

「あ~~……でも、毒リンゴを持って来た怪しいのはこの間撃退しちゃたのよねぇ……仕方ないわ、毒リンゴを探しに行きましょう!」

 

「刀奈、お前人の話聞いてたか?

 毒だぞ毒。其れも、一口齧っただけで即死するような青酸カリやフグ毒なんか目じゃないレベルのヤバすぎる毒だぞ?そもそもにして、探しに行くって何処に行く心算だお前は?」

 

「其れは勿論、人が多そうな街。」

 

 

 

刀奈、もとい白雪姫殿下、貴女は今自分が如何言う立場に居るか理解しておられるのでしょうか?理解しておられるのならば、簡潔かつ分かり易く仰って頂けますでしょうか?

出来れば四百文字以内で。

 

 

 

「勿論分かってるわ――命を狙われる悲劇の身の上ね。

 でも大丈夫!寧ろ街の方が安全だって思えない?人が多いし、此の格好なら私が白雪姫だと気付く人も少ないんじゃないかしら?――お母様の嫉妬のおかげで、私が民衆の前に姿を現す事は、城を追放されるまでの十七年間で片手の指で数える位しかなかったから。

 木を隠すなら森の中って言うでしょ。」

 

「見事に四百文字以内だな。そして木を隠すなら森の中か……其れも言うと思ったよ。」

 

だが、隠しても見つかる事だってあるんだぞ?

民衆はお前の顔を良く知らなくとも、女王が雇った暗殺者ならばその限りではないからね……寧ろ、女王以外では誰よりもお前の事を知っていると言える存在だからな。

そんな奴にあったらどうする心算だ?

 

 

 

「勿論返り討ちにしてやるわ――貴女が調達して来てくれた武器もあるしね。」

 

「人ごみの中では、何処に敵が潜んでいるか分からないのにか?もしも、背後から襲い掛かられたらどうする?」

 

「平気よ。今に私には背中を守ってくれる人が居るモノ。」

 

「……其れは、もしかしてアタシの事か?」

 

「そうよ?

 貴女と出会ってまだ二日だけど、貴女の実力は良く分かったし、何よりも貴女と一緒に居るととても心が安らぐって言うか、安心出来るのよ――結構頼りにしてるのよ夏姫?」

 

 

 

アタシを頼りにしてくれてるのか……だとしたら嬉しい事この上ないが、そうであるにも拘らず刀奈の記憶が戻らないと言うのは、記憶を取り戻す為には何かが必要なんだろうな。

マッタク手掛かりがない以上、出来る事を一つずつやって行くしかないか。

 

 

 

「夏姫如何かした?」

 

「……いや、何でもない。

 アタシを頼りにしてくれるのは嬉しいし、確かにアタシとお前が一緒ならば相手が余程の相手でない限り――其れこそHP9999万でその他のステータスが999でない限り如何にかなるだろうな。

 だが、流石に毒リンゴは容認出来んぞ?」

 

「まぁ、そうよねぇ?美味しくないでしょうし、其れに毒だしねぇ?」

 

「美味しくないって……だが、毒だから美味しくないと言うのは間違いだぞ刀奈?

 前にキノコと木の実の図鑑で見たんだが、猛毒で有名なベニテングダケは、『致命的な毒だが、困った事に美味である』と書かれていた……此れを踏まえると毒のある物は実は美味いんじゃないかと言う可能性があるのだが……」

 

「え?何それ怖い。」

 

 

 

猛毒のフグの卵巣も実は美味だと言うからな――尤もフグの卵巣は、完全養殖のフグなら一切毒が無いらしいけれどね……もしも完全に毒のないフグの卵巣が出来たら、酒の肴として千冬さんにプレゼントしても良いかもな。

で、其れは其れとして、お前は街に行く気満々なんだよな刀奈?

 

 

 

「勿論よ♪

 だから朝ごはんお願いね?お腹を満たして街へ繰り出しましょう♪」

 

「了解した。」

 

刀奈は自分でこうだと決めたら梃子でも動かないが、其れは記憶を失って白雪姫になっても変わらないか……ならば、街に行って其処で何か起きた時にその都度対処する方が面倒は無いしね。

取り敢えず朝食を作るか。――何時の間にやら入手していたパンと玉子があったから、今日は目玉焼きトーストが出来そうだな。

それにしても、何時の間に手に入れていたのか……若しかして、コミュニケーションモードの成功報酬だったりするのだろうか?だとしたら若干謎過ぎるんだがなぁ……本気で訳が分からんな。

 

 

 

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で、朝食を終えて街を目指して外出したんだが、移動中に女王が雇った暗殺者とエンカウントだ――まぁ、此れはゲーム的なイベントバトルだな?

アタシの前には敗北条件として『白雪姫が戦闘不能になる』と言うウィンドウが出ているからね……だが、白雪姫が戦闘不能になるのが敗北条件だと言うのはベリーイージーでしかない。

だって、この白雪姫はアタシと同程度の戦闘力を秘めているのだからな……此れで極めるぞ刀奈!!

 

「火事場のクソ力&マッスルスパーク地!」

 

「メイルシュトロームパワー&ビッグベンエッジ――其れを合体!」

 

 

「「マッスル・キングダム!!」」

 

 

――バギャァァァァァァン

 

 

「「ブベラッパァァァァッァ!?」」

 

 

 

キンニク星三大奥義の中でも最高峰であるマッスルスパークと、ロビン家の最高奥義であるビッグベンエッジが融合した最強のツープラトンであるマッスル・キングダムを喰らったら、相手が千冬さんと束さんのコンビでない限りは確実に戦闘不能だ。

実際に暗殺者二人は光となって消えたからね。

 

 

・主人公の衣装『聖騎士の装束』を入手しました。

・装備品『エンド・オブ・ハート』を手に入れました。

・戦闘報酬として十万円手に入れました。

 

 

そしてドロップアイテムが豪華だな?

主人公の衣装と言うのはアタシ専用なのだろうが……聖騎士の装束を装備したら、よるのないくに2のアルーシェ衣装になってましたとさ――此れもまた何とも露出の多い衣装だな改めて?

ブーツに手甲は兎も角、それ以外はミニスカートと左右非対称のソックス、上半身に至っては略胸を隠してるだけと言うレベルだからなぁ?ある意味で全裸よりもエロチックかもしれん……だがまぁ、IS学園の制服と比べると、相当に防御力が上がっているから其れは嬉しい事だが。

更に、エンド・オブ・ハートと言うロングソードも入手出来たから攻撃面も問題なしだ……戦闘がより楽になった――で、何をそんなに見てるんだ刀奈?

 

 

 

「シックスパックな腹筋にヘソピアスのエロさが鼻血ぶー。萌えたよ、真っ白に萌え尽きたよ。」

 

「『もえてる』の字が違うって事には、突っ込んだら負けなんだろうなきっと……だが、現実世界のお前は既にアタシの全てを見ているんだから、それこそ今更だよ。

 其れとも何か?惚れ直したか?」

 

「メロメロにされました!!」

 

 

 

そうか、其れはアタシにとっても嬉しい事さ。

お前がアタシに惚れてくれたのならば、記憶を取り戻すための一手になるかも知れないからね――それにしても、本気で訳が分からないわね此のゲームは……白雪姫の登場人物を使っておきながら、内容は本来の白雪姫から可成り逸脱してしまっているのは間違いないし。

もしかしたらだけど、最後の最後で凶悪なラスボスが待ってたりはしないよな?……何となく、本当に何となくだがそんな気がしてならないんだよなぁ。

如何かアタシのこの考えが杞憂であってほしいモノだわ……尤も、悲しい事にこう言う嫌な予感程当たるのが世の常と言うモノなのだけれどね。

 

「其れよりも刀奈、良く分かったなマッスル・キングダム。と言うかメイルシュトロームパワーとビッグベンエッジ。」

 

「ん~~……記憶には無かったのだけれど、身体が勝手に動いた感じだったわ?身体が覚えていたと言う事なのかしらね。」

 

「多分、そう言う事なんだろうな。」

 

白雪姫の戦闘力があり得ない位に高かったのは、刀奈の記憶が無くとも身体の方は覚えていたからと言う事で如何やら説明が付きそうだ……尤も、実際に身体を動かしている訳では無いこの状況に於いては、深層記憶が作用したと言うのが正しいのかも知れないがな。

さて、さっさと街に行くか。

 

 

 

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さてと、そんなこんなで城下町にやって来た訳なんだが、市が開かれている広場は特に賑わっているな?――生鮮品に始まり、魚の干物の様な物を扱う屋台に、屋台飯を売っている屋台と様々だがな。

因みに、街に到着する間に更に五回の戦闘を行った結果、新たな装備品や衣装は手に入らなかったモノの、回復系のアイテムが大量に手に入り、所持金も大幅に増えた。

現在所持金ザッと六十万……此処で可成り高額な買い物をしても大丈夫な気がするわ。

 

 

 

「へぇ、城下町ってこんな感じなのね。」

 

「初めて見るのか?……いや、十七年間で民衆の前に姿を現した回数が片手で足りると言うのならば、城下町をじっくり眺める機会はなかったと言う所かな?

 其れを考えると、白雪姫であるお前は可成り窮屈な生活を強いられていたと言う事なのか?」

 

「そうね……今思えば窮屈な生活だったのかもしれないわ。

 日常生活では全く不便はしなかったけど、お母様は兎に角マナーとかに煩い人だったから、正直な事を言うのなら、城に居た時は毎日が冗談なしでストレスマッハだったわ!

 あのまま城に居たら、アタシは間違い無くお母様の脳天を鉈でカチ割ってたんじゃないかしら?」

 

「其れをやったら大問題ではあるが、逆に色々と平和になる気がするんじゃないかと思ったアタシが居るのが否めない。」

 

「あら、言われてみれば確かに其の通りね?

 お母様が居なくなっちゃえば、少なくとも私が命を狙われる事もなくなるし、お母様が目を付けてしまったお母様よりも若くて美しい女の子が犠牲になる事もなくなるし、そもそも自分の美貌にしか興味がない女王なんて居てもしょうがないモノね?」

 

「仕方ないとは言え、自分の親に容赦がない……そう言えば、お前の父親であるところの王は何をしてるんだ?」

 

「あ~~……お父様はお母様にべた惚れだからハッキリ言って役に立たないわよ?私が城を追放されたのがその証拠。

 何て言うか、娘である私から見てもアレは引くレベルだわ……いや、寧ろ結婚して二十年近く経ってるのに、未だにあれだけべた惚れ状態を維持出来ていると言うのは逆に感心すべき事なのかしら?」

 

「いや、知らないよ。」

 

思った以上に、白雪姫一家が歪んでるなぁ……って言うか、城の政を行う王と女王がそんな状態だと言うのは不安しか感じないぞ?普通だったら、民衆が革命起こしてる案件だろうに此れは。――ゲームの世界だからと言われれば其れまでなんだけどね。

其れで刀奈、街に来た目的は何だ?

 

 

 

「毒リンゴ売ってないかなって♪」

 

「いや、売ってる訳ないだろ。

 そんな物を売ったら普通に捕まるぞ?……いやまぁ、確かにゲームによっては店で相手を毒状態にするアイテムとか売ってる事もあるけれども……。」

 

「うふふ、冗談よ冗談。街に来た目的ねぇ……デートってやつかしら?一度やってみたかったのよねぇ♪」

 

「デートと言うのだろうか此れは?」

 

単純に街に買い物に来ただけのような気がするが、今の刀奈は白雪姫だからデートと言うモノが今一よく分かってないのかも知れないな――本人がデートだと思ってるなら其れでも良いか。

 

 

 

「そうだ、折角のデートなんだから腕でも組みましょうか?」

 

「……其れは、今は遠慮しておく。」

 

腕なんて組んでいたら、何かあった時に咄嗟に動く事が出来ないからな……お前が街で買い物をするのを止めたりはしないが、その代わり、背中はしっかりと守らせて貰うからな?

 

 

 

「あ、はい……。宜しくお願いします……。」

 

「何で、其処で顔赤くして敬語になるんだ?」

 

「な、なんでかしらね~~?あははは~~……そ、其れじゃあ張り切って行きましょうか?レッツゴ~~~~!!!」

 

 

 

……不意打ちを喰らうと真っ赤になるのは変わってないんだな。或は、記憶が戻ってきている予兆なのか……取り敢えず、街の何処から見て回るか?

出てきた選択肢は――

 

 

 

→市場

花屋

肉屋

食品店

 

・残り移動回数:二回

 

 

 

……何で肉屋と食品店を分けたし。其処は食品店と雑貨屋とか、肉屋と魚屋とかで分けるべきなんじゃないだろうか?

取り敢えず、市場から行ってみるか。選択すれば、一瞬でその場に移動出来るのは本気で便利だな。

 

「流石に市場はモノが豊富だな?山の幸は勿論、魚介類もあるし、見た事のない食材も多い……このカラフルな魚は本当に食用なのだろうか?」

 

「キョロキョロしちゃって、そんなに珍しい?」

 

「あぁ、初めて見るモノが多いな……特にこのレインボーカラーの魚とかな。逆に刀奈はそうでもないのか?」

 

「えぇ、此れ位は普通ね。寧ろ物足りないわ。

 因みに夏姫が持ってる其れはレインボーキングサーモンって言うの。身は生でも焼いても美味しいけれど、その卵もまた美味で、身に対して採れる量が少ない事と、その美しさから虹色の宝石と呼ばれているの。」

 

「七色に輝くイクラなんぞ食べる気がしないがな……と言うか、此れで物足りないのか?」

 

「えぇ。自慢じゃないけど、私の実家の食卓には山海の珍味が所狭しと並んでたもの。

 あら?でも此れは初めて見るわね……黒いバナナって、何処の珍味かしら?」

 

 

 

いや、其れは珍味じゃなくて普通に腐ってるだけだ。まかり間違っても食べたりするなよ?幾らお前の胃が頑丈でも、腐ってる物を食べたら腹を下してしまうのは避けられないからな。

 

 

 

「そうね。

 あら、可愛い売り子さん!ねぇ君、此処は何を売ってるのかな?」

 

「果物だよ。お姉さん達みたいに、ドレも甘いんだ!」

 

「へぇ~~?

 ねえ、私達は傍から見たらそう言う関係に見えるらしいわよ?……現実世界で私と貴女が恋人同士だったと言うのは、本当の事だったみたいね?」

 

「だから、本当の事だと言っただろう?」

 

「眼鏡のお姉ちゃんは、青髪のお姉ちゃん一筋なんだね?」

 

「当然だ。最早コイツの居ない日常など想像出来ないからな。」

 

「~~~~!!//////

 

「あれー?お姉ちゃん、お顔が真っ赤だよ。リンゴみたいだね♪」

 

 

 

いやほんとに、見事なまでに真っ赤だな?

取り敢えず戻って来い刀奈。売り子の女の子が不思議がってるから。それから、自分で呼び止めたんだから、この子から何か買ってやれよ?子供が売り子をやってるなんて、この子の家はきっと経済的に厳しいのだろうからね。

 

 

 

「え?えぇ、そうね。

 其れじゃあお嬢ちゃん、其のリンゴを一山貰えるかしら?一個や二個って言う単位で買うのは性に合わないから、一山マルっといただくわ。」

 

「えへ、ありがとう。

 私、お姉ちゃん達の幸せをずーーーっと祈ってるからね。」

 

「あら、ありがとう。可愛い天使さん。」

 

 

 

はい、此処で場面転換で選択肢の画面に。

残る選択肢は花屋、肉屋、食品店か……取り敢えず食品店は除外だな。恐らくだが市場と大差ないだろうし。

となると、残るは花屋か肉屋になる訳だが……此処は肉屋にしておくか。肉屋の方が食材アイテムを入手出来そうだから、刀奈が行き成り『ステーキ食べたい』とか言って来た時にも困らなくて済むだろうしね。

では、肉屋に突撃だな。

 

 

で、場面は肉屋なんだが……此れは何とも良い匂いがするな?食欲中枢にダイレクトアタックして来る肉の焼ける匂いが……

 

 

 

「この匂いは反則よね……お腹が減って来ちゃったわ。さっき朝ごはん食べたばかりなのに。」

 

「ホントにな。

 だが、空腹を感じたのならば何か買って行くか?リンゴを一山買ってもまだ余裕はあるからな。ステーキぐらいなら全然問題なく買う事が出来るから遠慮しなくて良いよ。」

 

「そう?ならお言葉に甘えて……小母さん、この『厳選ビーフの串焼き』と『鳥ハラミの塩焼き』と『豚カルビのスパイシー串焼き』を二本ずつ頂ける?」

 

「はいよ。……って、あら、あんた、もしかして白雪のお姫さんじゃないのかい?」

 

「あら?如何して知ってるの?私って、そんなに表に顔を出してないし、国事行為はお母様の担当なのに……」

 

「何でって、アンタの手配書が出てるんだよ。

 罪状は国家転覆で、結構な懸賞金が掛けられてるんだ。」

 

「「!!」」

 

 

刀奈の手配書が出回ってるだと?其れも国家転覆罪で結構な賞金が掛けられてるとは……成程、考えたモノだな女王も。自分が雇える暗殺者には限界があるが、こうして罪人として手配してしまえば、賞金目当てのハンター達が刀奈を狙うようになるのだからね。

 

 

 

「其れよりもお姫さん、国家転覆を謀ってるって言うのは本当なのかい?」

 

「そんな事をしても私に得がないわ……この国は、今の所はお母様の統治で安定してるでしょ?」

 

「そうだよねぇ……だったらどうして……?」

 

「王家も一枚岩じゃないって事ね……はぁ、マッタク持って嫌になっちゃうわ。」

 

「アンタ、何呑気な事言ってんだい!国中に手配が出てるんだから早くお逃げ!!」

 

「平気平気。こう見えて結構やるのよ、私。刺客だって何人も返り討ちにしてるんだから。」

 

 

 

肉屋の小母さんの心配を他所に自信満々な刀奈だが、刀奈の実力ならばそんじょそこ等の刺客では敵ではない――何よりも、今はアタシも居るしな。

アタシが居る限り、コイツには指一本触れさせん。

 

 

 

「そういや、アンタは何者なんだい?」

 

「白雪姫の守護騎士だ。

 アタシは何があっても刀奈――もとい白雪姫を護る。其れがアタシの役目だからね……白雪姫に仇なす者は、このエンド・オブ・ハートで斬るだけだ。」

 

「おやまぁ頼もしい騎士さんだね?

 ……でも、其れは其れとして早くこの街から離れな。忠告はちゃんとしたからね?」

 

「ありがとう。で、注文した品物は?」

 

「危険だってのに、食う気かい?……マッタク、その神経の太さには呆れを通り越して感心しちゃうよ――お代は良いから、此れをもって早く街から離れるんだよ。

 アンタ、お姫さんをちゃんと守ってあげなよ。」

 

 

 

あぁ、其れに関しては任せておけ……と言うか言われるまでもない事だからな――

 

 

 

「「!!」」

 

 

なんだ、今の全身を突き刺すような感覚は……刀奈、お前は感じたか?

 

 

 

「えぇ、感じたわ……この殺気、此れまで私に送られてきた刺客とは一線を画すレベルだわ――しかも、其れだけの殺気を私にだけ向けて居る。夏姫が感じ取る事が出来たのは、私の側にいたからでしょうね。」

 

「……だろうな。

 感覚の鋭い人間ならば気付きそうなモノだが、アタシ達以外に気付いた人はいないみたいだからな……たまたまお前の隣に居たから、アタシもお前に向けられた殺気を察知出来た訳か。」

 

この殺気は間違い無く女王からの刺客なのだろうが、この気配は只者じゃない――街に来るまでにアタシと刀奈で撃滅した敵を百回り程大きくしたレベルの強さであるのは確実と言った所かな?

此れは、アタシの嫌な予感が的中してしまったかもしれないわね。

しかも、その殺気はこっちに近付いて来てる……ご丁寧に挨拶でもしてくれるのか?……って、ちょっと待て、アレはまさか……

 

「よりによって千冬さんか……!!」

 

髪をポニーテールにして、白雪姫の世界観ガン無視の黒いボディアーマーに身を包んで、腰には六本の刀を下げた暗殺者な千冬さんって、最悪過ぎるだろ流石に。

此れがゲームじゃなかったから敵前逃亡したい気分だ。

 

 

 

「夏姫、知り合いなの?」

 

「知り合いと言うか……現実世界ではIS学園の教師であり、アタシの友人でもある。」

 

「夏姫の友達なの?」

 

「あぁ、そうなんだが……敵なんだよな、この世界では。」

 

「其れは間違いないでしょうね……殺意を隠そうともしてないわ――私を殺したくてしょうがないみたい。……物騒なラブコールはお断り願いたいわ。」

 

 

 

何時ものように軽く言ってるが、刀奈の頬が引きつってるな?

流石は世界最強、学園最強にしてロシア代表のIS操縦者を殺気だけで戦慄させるくらいは出来る訳か……

 

 

 

「一つ聞く。白雪姫で間違いないな?」

 

「あら、先ずは自分から名乗るのが礼儀じゃないかしら?」

 

「死にゆく者に名乗って何の意味がある?」

 

「ふふ、自信満々ねぇ。」

 

「……もう一度問う。白雪姫で間違いないな?」

 

「違う……と言ったら?」

 

「如何するのか、見せてやろうか?」

 

 

 

で、千冬さんはこっちに来てしまった訳だが、生憎と見せて貰わなくて結構だ。

刀奈が違うと言ったら、貴女は無差別に殺気を撒き散らすんだろう?……アタシや刀奈ならば貴女の殺気にも耐える事も出来るだろうが、耐性がマッタクない一般人がこの殺気を喰らったらその時点で人生のエンディングだ。

 

 

 

「ほう?賢明な判断だが、貴様は何者だ?知らん顔だな。」

 

「アタシは白雪姫の騎士だ……彼女に仇なすと言うのならば、其れが誰であっても斬り捨てる。其れが例え世界最強であってもな。」

 

「成程、白雪姫には護衛が居たか……だが、白雪姫に関わる者は全て殺せと命じられている。」

 

 

 

此れは、何ともすさまじいプレッシャーだな?

普通に戦ったら現時点では絶対に勝てないだろうが、此処はゲームの世界なのだから、現時点でガチで遣り合う必要はない――となれば、アタシの選択に掛かってる訳で……此処は、逃げるぞ刀奈!

 

 

 

「無理。背中を見せたら斬り付けられて終わるわ。」

 

「大丈夫だ。

 言っただろう……お前の背中はアタシが守るって。」

 

「夏姫……ありがとう、何とか動けそうだわ。」

 

 

 

なら大丈夫だな?アタシの合図で――今だ、全力で走れ!!

 

 

 

――ダッ!!

 

 

 

合図と同時にアタシと刀奈は走り始めた。

振り向く余裕なんて無い――後ろから斬られないようにと祈りながら人ごみを掻き分けて走り続け、そして日が傾く頃に森に戻って来る事が出来た。

 

「はぁ、はぁ……振り切れたか?」

 

……振り返っても、人影は見えない……如何やら巧く撒けたみたいだな……はぁ、良かった。

 

 

 

「そう……ね。まさか、お母様があれ程の手練れを用意していたとは思わなかったわ。……ゴメンね夏姫。」

 

「……如何して、お前が謝るんだ刀奈?」

 

「私と関わらなければ、命を危険に晒さずに済んだでしょう?」

 

 

 

何を馬鹿な事を言ってるんだ?

それを承知でアタシはお前と一緒に暮らし始めたんだ――詰まる所は自己責任、全ての責任はアタシにあるんだから気にするな。こう言っては何だが、お前が責任を感じるのは筋違いと言うか筋違いと言うモノだ。

 

 

 

「……夏姫は、優しいのね?」

 

「アタシが優しいのかは兎も角、一刻も早く此処を離れよう。足跡を辿って来る可能性もあるからな。」

 

「夏姫、一人で行って。私の側に居てはいけないわ。」

 

 

 

馬鹿を言うな。

アタシはお前の背中を護ると約束した。お前が動かないのならばアタシも此処に残るぞ。

 

 

 

「バカ……」

 

「バカで結構だ。其れに今のアタシにとって馬鹿は最高の褒め言葉だよ。さぁ、行こう。」

 

わざとらしく明るく言って刀奈の手を取って引っ張るように歩き出したが、実際此れから如何したらいいんだろうな?

女王を説得する道はないに等しい――ならば千冬さんを倒すか現実世界に戻るかの二択なんだが、現実世界に戻るにしても刀奈の記憶が戻らなければ其れも難しい。

記憶を取り戻すためのトリガーが見つかってないのも辛い所だな。

 

だが、其れとは別に、千冬さんは刀奈に関わる全ての人間を殺すって言ってたよな?……この件は、小人の皆にも伝えておいた方が良いかもだな。

 

 

 

で、此処でコーヒーブレイクか!

はいはい、さっさとコミュニケーションモードに行くぞ。……この状況でマッサージとか、緊張感と危機感が大分足りないけどな。

 

 

 

「さ、マッサージの時間ね?待ってたのよ?宜しく♪」

 

「あぁ、任せておけ。」

 

其れじゃあまずは足からだな……両足を指で圧迫してやる。どうだ、痛くないか刀奈?

 

 

 

「ん、最高よ夏姫。もっと強く押してくれるかしら?」

 

「了解だ。……で、次は首だ。此処を軽く摩って貰うの好きだったよな?」

 

「ん……気持ちがいい。夏姫の温もりが伝わってくるわ。」

 

 

 

そうか。

其れじゃあ最後は背中を軽く叩いて行くからな?痛かったら我慢しないで言ってくれ。強過ぎる刺激と言うのは、かえって身体にはマイナスだからね。

 

 

 

「あん……良いわよ夏姫。良い気持ち……良い感じだわぁ。」

 

 

 

――コミュニケーション成功。ご褒美イベント発生。

 

 

 

で、今回もコミュニケーションモードはパーフェクトクリアだ。

果てさて、今回のご褒美イベントは一体何のやらだな?……モニターされてるから、R-18な展開だけは勘弁願いたいんだが、さてどうなるか……

 

 

 

「な、夏姫……」

 

「刀奈?如何したんだ、具合が悪そうだぞ?」

 

「うん……何だか妙に寒くって……」

 

「え、寒いのか?」

 

アタシは別にそんな事ないんだが、もしかしたら風邪の引き始めなのかもしれない――だったらちゃんとしないと……先ずは温かくして……と、アタシが言うと思ってるのか?

 

 

 

「へ?」

 

「甘いな刀奈。」

 

体調不良は只の口実で、只アタシに抱き付きたかっただけだろうお前は……マッタク、その程度ならば拒否する理由は何処にもないんだから、ストレートに言ってくれていいんだぞ?

 

 

 

――ギュ……

 

 

 

「え、あ……夏姫?」

 

「心配しなくとも、アタシは何が有ろうともお前の側から離れない……だから、もっとアタシを頼ってくれ刀奈。アタシは、お前のパートナーなんだからな。」

 

「うん、そうだったわね……ねぇ、今夜はこのままで寝ても良いかな?」

 

 

 

其れは是非もない。

其れに、こうしてお前を抱きしめて寝るのは今更だからね……お前の不安は全てアタシが払ってやるから、せめてゆっくり眠れ――恐らく、明日は千冬さんとのバトルが待ってるだろうからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

はい、嫌な予感的中!

女王の用意した最強の暗殺者は千冬さんでしたとさ!はい、この時点でこのゲームはクリア不可能の無理ゲーだと判断した人は正直に挙手!!

 

 

 

「はい!」

 

「「はい!はい!!」」

 

「「「はい!はい!!はい!!!」」」

 

 

 

はい、全員が全力で挙手したので、千冬さんが満場一致で、ゲームバランスを度外視した極悪チートキャラに認定されました!現時点をもって千冬さんを『全てを超えし者』に認定します!!

 

 

 

「誰が最大HP1000万で、固定ダメージ99999の全体攻撃持ちの隠しボスだと。」

 

「ゴメン、最大HP1200万で固定ダメージ99999+MP0の全体攻撃持ちのデア・リヒターだったな。」

 

「ようし、少しばかりO・HA・NA・SHIと行こうか蓮杖弟?そう言えば、お前とちゃんと話すのも大分久しぶりだから、良い機会だから腹を割って話をしようじゃないか、なぁ一夏?」

 

「千冬姉、俺に逃げ場はないんだな?」

 

「あると思っていたのか?」

 

 

 

思ってないでーす。

って言うか、千冬姉に目を付けられたら最後、HPが0になるのは避けられないからな――だからこそ、夏姫姉がダイブした世界に千冬姉が暗殺者として存在してるってのが最悪極まりねぇぜ。

ぶっちゃけて言うと、千冬姉の強さは、ハンパないからIS無しじゃ夏姫姉と楯無さんがタッグを組んで全力を出しても勝てるかかどうかだぜ。

ISバトルなら、夏姫姉や楯無さんなら、タイマンで千冬姉に勝つ事も出来るかも知れないけど、生身での戦闘だと話は別だ……生身でISと遣り合える千冬姉とIS無しでのバトルってのは、可成りの無理ゲーなのは間違いないだろうからな。

だけど、ゲームの千冬姉は本物には劣るだろうから、夏姫姉と楯無さんならきっと何とかして、そんでもって現実世界に戻って来てくれる筈だって、そう信じてるぜ夏姫姉、楯無さん!!

 

 

 

因みに、この後千冬姉に可成り本気の拳骨を喰らいました。……頭蓋骨割れたかと思ったぜマジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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