Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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Break104『Love&Purge:終章、そしてフィナーレ』

Side:夏姫

 

 

――【最終章。戦う白雪姫】

 

 

今日も今日とて真っ白な空間にそんな事を見た瞬間に、アタシは目を覚ましたんだが、最終章と言う事は、今回で刀奈の記憶を取り戻した上で千冬さんを倒してゲームクリアをしなければ、また最初からと言う事になるんだろうな――周回プレイは嫌いじゃないが、強くてニューゲームがあるかどうか分からないのであれば、一周目でクリアしたい所だね。

 

刀奈はまだ寝てるみたいだから、起こさないように気を付けて毛布から抜け出してと……

 

 

 

「ん……すう……んん……」

 

「刀奈……良かった、眠れたみたいだな。」

 

千冬さんから何とか逃げ延びて戻って来たが、可成りギリギリだったからな――刀奈は何時も通りを装ってはいたが、本当は相当に怖かったんだろう。

昨日はベッドに入ってからも、風が木々を揺らす音にすら怯えていたからね。

此処に居るのは、飄々として悪意のない悪戯が大好きなアタシの恋人じゃなくて……死の恐怖に怯える一人の女の子なんだな。

 

 

 

「ん……夏姫……」

 

 

 

昨日の事は、相当に堪えたのかもしれないな。

刀奈は暗殺者を返り討ちにする事に関しては絶対の自信を持っていたみたいだからな――あわよくば、此の悠々自適の生活を生涯続けられたらとか考えていたのかも知れない。

でも、そんな希望は千冬さんの登場で無に帰した……さて、如何したモノか――一刻も早く現実世界に戻るのが最善の解決策なんだが、刀奈の記憶を取り戻す方法が分からない。

が、其れを考えるのはひとまず置いておこう。

今は刀奈を休ませる事の方が大事だからな――今のアタシに出来る事は、目覚めた刀奈に美味しい朝食を提供する事かな?腹が減っては何とやらだからな。

食材は戦闘報酬なんかで豊富にあるから、今日は少しばかり豪華な朝食にしてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break104

『Love&Purge:終章、そしてフィナーレ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ……此れでフィニッシュ。うむ、我ながら良く出来たな。

今日の朝食の献立は、トーストと中にイノシシ肉の燻製を閉じ込めた半熟フワトロのオムレツに、トマト入りのコンソメスープと小さなグリーンサラダだ。

まぁ、見た目も味も城で食卓に並んだモノとは比べ物にならないだろうが――現実世界でも刀奈はアタシの作った物は何時も笑顔で『とっても美味しい』と言ってくれるからな。……少しでも喜んでもらえると良いんだが――

 

「刀奈、そろそろ起きろ……え、居ない!?」

 

其れだけじゃない!シーツが乱れてるし、毛布も床に落ちてる――まさか千冬さんが!?……でも、物音一つしなかったが――逆に千冬さんだからこそアタシに気付かれずに刀奈を攫う事位は雑作もない事だ――!

クソ、目を離すべきじゃなかった!!アタシならばまだ追い付けるかもしれん――探しに行かなくては!!

 

何にしても先ずは小屋の外にだ――……え?

 

 

 

「あ……」

 

 

 

小屋を出て街への最短ルートを突っ切ろうと、小川の方に進んだアタシの前には、水浴びをしている刀奈が居ましたとさ……また、このパターンかい。

今更かもしれないが、現実世界ではこの光景を見せまいと、鈴と箒が一夏に目潰しとかしてないよな?……毒霧による一時的な目潰しはエンターテイメントの範囲だとしても、ガチの目潰しは駄目だからな。

 

「あ~~……まぁ、なんだ……アタシは何も見てないと言う事にしてくれ。」

 

「そう……」

 

 

 

 

なんだ?何か反応が……てっきりお約束的に頭の上に何かが降って来るか、或いは刀奈にシバかれるんじゃないかと思ってたんだが……大丈夫か刀奈?無理してないか?

 

 

 

「えぇ、大丈夫よ。……ゴハンが出来たの?」

 

「そうだが……急に居なくなるから心配したんだぞ?――なんで水浴びなんてしてるんだお前は?そんなに寝汗を掻いた訳でもないだろうに……」

 

「稽古をして汗を掻いちゃったから、其れを流していただけよ――最近サボり気味だったから稽古にも熱が入っちゃって汗びっしょりになっちゃって。」

 

 

 

そうか……そう言う事ならば安心したよ。てっきり暗殺者にやられてしまったのではないかと思ったからな――じゃあ、アタシは中に戻ってるよ刀奈。

 

 

 

「待って。」

 

「……如何した?」

 

「此処にいて。」

 

「え?だけど、アタシが居たら……」

 

「良いから……お願い。」

 

 

 

……何処か不安そうな顔で言うなよ……そんな顔で言われたら断る事なんて出来ないじゃないか――分かった、お前が其れを望むのならばアタシはここに居ようじゃないか、

アタシが此処に居る事で少しでもお前の不安が紛れると言うのならば、其れはアタシとしても嬉しい事だからね。

 

 

 

「ねぇ、夏姫は怖くないの?」

 

 

 

怖い?……昨日の千冬さんの事だよな間違いなく。

正直な事を言わせて貰うのならば、怖くないと言えば嘘になるがだからと言って、恐れていて何がどうなると思っているアタシが居るのも否定はしない。

女王が放った最強最悪の暗殺者は驚異ではあるが、此れがゲームである以上は倒せない敵ではない筈――必ず攻略法はあると、アタシは思ってるからな。

 

 

 

「夏姫は強いんだね――心が。

 こんな状況でも平静を保って居られる――とても尊敬できるわ……其れに比べて、私はあの暗殺者に怯えてばかりだった。

 そして、こんな無駄な努力をして現実との差に打ちのめされている――」

 

「現実との差、だと?」

 

「私は如何足掻いても、昨日の刺客の殺気には耐えきれない、勝つ事が出来ない――次にあの殺気に当てられたら、私はただ無抵抗に首を斬り落とされるだけだわ……そして其れが現実だって言う事が嫌でも分かってしまうのよ。」

 

 

 

そんな事はない!と言いたいが、あの千冬さんの事を考えると刀奈の言う事を否定する事が出来ない――だが、其れが如何した?

ラスボスが激強でクリア不可能かもしれないだと?――あぁ、確かに千冬さんがラスボスであるのならばその時点でクリア不可能の無理ゲーだと言うのを否定する気はないが、だからと言って諦めると言う選択肢はそもそも存在していない。

何度も言うが、アタシはお前を現実世界に取り戻す為に此処に来た。其れがアタシのこの世界での存在理由だからな。

 

 

 

「でも……」

 

「デモもストもない。

 落ち込もうが怯えようが、アタシの前だったら弱い刀奈をいくら見せてくれても構わない。だが……生きるのを諦める事だけは絶対に許さないからな。」

 

「やっぱり心が強いね、夏姫は。」

 

「アタシの心が強い、か。お前の心だって十分に強いと思うよ刀奈――死の恐怖に潰される事なく、鍛錬を行って何とか抗おうとしていたのだからな。

 其れでも一人で立つ事が出来ないと言うのならば手を貸すぞ?」

 

「……其れは遠慮しておくわ。」

 

「え……この流れで断るか普通?」

 

「だって……この状況で手を出したら見えちゃうでしょ?もしかして其れが目的?」

 

 

 

精神的な方じゃなくて物理的な方の話か。

いや、そんな目的は無いと言うか、アタシとしては見えてしまっても今更と言うか……そもそもにしてお前ちゃんと隠してないだろと言うのと、一体何処から突っ込めば良いのか分からん。

 

 

 

「冗談よ……ありがとう、少しだけ元気になった気がするわ。

 さて、何時までもこんな格好で居たら、風邪を引いちゃうわね――悪いけど、背中を向けて居てくれるかしら?」

 

「分かった。」

 

だが、なるべく手早く済ませてくれよ?朝食後もやる事があるからね。

 

 

 

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・・・

 

 

 

服を着た刀奈と小屋に戻って朝食タイム――刀奈は笑顔で『美味しい』と言って食べてくれてた……矢張り『美味しい』と言って貰えると作った甲斐があったと感じるわね。

 

 

 

「ふぅ、ごちそうさま♪」

 

「おそまつさま。

 さてと刀奈、朝食を終えたばかりで悪いんだが、ちょっと提案があるんだけど良いかな?」

 

「えぇ、構わないわよ。」

 

「考えたんだがな、アタシの仲間――森に棲む小人達に協力を仰いでみてはどうだろうか?」

 

「……悪いけど、其れは受け入れられないわ。」

 

 

 

だろうな。

刀奈は余計な人を巻き込まないように一人で暮らす事を選んだのだから、当然と言えば当然だが――悪いがアタシとしては、この提案は絶対に受け入れて貰わないとだ。

昨日の千冬さんをアタシと今の刀奈の二人で倒すのは不可能に近い――が、此れがゲームであるのならばゲーム内に攻略法がある。

アタシと今のお前の二人では無理でも、皆の力を合わせれば勝つ事が出来るかも知れない……と言うか、恐らくだが小人の協力を得られるか否かが此のゲームをクリア出来るかどうかに掛かって来るんじゃないかな?

 

 

 

「だとしてもダメよ……私とあの子達は無関係なんだから、暗殺者の刃を向けさせる訳には行かないわ。」

 

「無関係ではないだろう?森の小人の一人であるアタシがこうして確りと関わってしまっているのだからね。

 ……恐らくだが、千冬さんはアタシがお前と一緒に居た事で、更に複数の仲間が居る可能性を考えている筈だ――となれば、森の小人達には確実に暗殺者の魔の手が伸びて殺されるだろう。

 お前からしたら不本意極まりないだろうが、アイツ等ももう巻き込まれているんだ――急を要する事態だと言う事を伝えた方が良いと思わないか?」

 

「そうかも知れないけど、だけど……」

 

「此処まで来たら迷っていても始まらないだろう?其れに、小人達だって意外と頼りになるんだぞ?

 ツインテールとサイドポニーの奴は拳法やら功夫が得意だし、銀髪眼帯のはナイフを使わせたら可成り強いし、黒髪ショートヘアーのは徒手空拳だろうと武器戦闘だろうと何でもこなせるし、青髪眼鏡のは情報処理能力が高いから戦局の把握に長けているからな――小人達が、夫々モデルになった現実世界の人物の能力をそのまま受け継いでいればの話だがな。」

 

「あの小人達って、実は凄い人だったりする訳ね?

 ところで夏姫、今のアタシでは勝てないって、如何言う事かしら?」

 

 

 

それはな、今のお前には現実世界の記憶が無い――身体が覚えているから戦う事は出来るが、記憶が無い事が影響して、反応がアタシの知ってる刀奈と比べると僅かに鈍いんだ。

其れは本当に僅かなモノで、昨日森で倒した暗殺者程度なら返り討ちに出来るが、千冬さん相手だとその僅かな差は致命的だからな――お前の記憶が戻ってくれればその僅かな鈍さもなくなるから、あの千冬さんとも遣り合えると思うんだが、現状ではお前の記憶を取り戻す方法が分からない。

だから、此処は小人に協力を仰ぐのが最善策なんだよ。

さぁ、アイツ等の意志を確かめに行こう。

――腹は括ったか、お姫様?

 

 

 

「えぇ、行きましょう夏姫。覚悟は出来たわ、私の騎士様。」

 

「……そう返してくるとは思わなかったよ。」

 

「ふっふ~ん、私だってやられっぱなしじゃないのよ♪」

 

 

 

こう言う所は、現実の刀奈と変わらないな。

 

 

 

 

で、小人達の小屋までやって来たアタシと刀奈は事の経緯を全て話した。

ここ数日、アタシ達が如何して来たのか、そしてどれ程の敵に狙われているのかを――アタシは白雪姫を絶対に死なせたくない……だから、力を貸してくれないか?

 

 

 

「ふ……何を当然の事を言っているのだ?仲間の頼み、まして命が掛かっているのならば断わる理由はないだろう姉上!!

 何よりも、強敵と知り慄く我々ではない!」

 

「寧ろ燃えてくるわね?……返り討ちにしてやるんだから!」

 

「取り敢えず罠を……奈落の落とし穴?万能地雷グレイモヤ?此処はやっぱり、最強のミラーフォースを仕掛けておくべき?相手が一人なら破壊輪(エラッタ前)でも良いかも。」

 

「武器の手入れもしておくか……ふふふ、久々に愛用のナイフとボウガンの出番だな……」

 

「その暗殺者がドレだけ強くても、この弓矢が当たれば一撃だね。」

 

 

 

……協力してくれるのか、ありがとう。

だが、簪とマドカと乱がちょっと怖い。先ず簪は仕掛ける罠が容赦ない。エラッタ前の破壊輪とか極悪や凶悪を通り越して普通にえげつないから。如何して禁止カード指定されたのか考えようか?

其れとマドカ、そのナイフは如何考えても某ハンターな漫画に出て来たベンズなナイフの後期型……毒ナイフだよな?そのボウガンも毒矢だろ?

其れから乱、其の弓矢の矢の矢尻の構造は古代中国の時代に使われてた二段構造の奴だよな?厚さ三mmの鉄板を貫通し、更に人体をも軽く貫通したって言う……何だって小人がこんなに危険なモノを持っているのか。

此れは、如何考えても小人達が最終決戦に参加するのはゲーム的に決まっていたのだろうな。

 

 

 

「森の小人達って、もっとこう大人しい感じだと思ってたんだけど、随分とイメージが違うのね?……思ってた以上に逞しいわこの子達。」

 

「だから言っただろう?意外と頼りになるってな。

 其れに、アタシだって森の小人の一人なんだぞ?アタシみたいのが居る時点で、森の小人達が普通である筈がないだろう?小人最強はアタシだけれど、マドカ達だって並の暗殺者よりは遥かに強い。

 此れだけの戦力があれば、千冬さんとも遣り合う事が出来る筈だ。」

 

「うん……皆、ありがとう。」

 

「礼は全てが終わってからだ白雪姫殿下……全てが巧く収まった暁に、改めて礼を言ってくれ。」

 

「そうね……未だ、何も終わってないのだから、お礼を言うのは全部が終わった後ね。

 其れで夏姫、何か作戦があるのかしら?」

 

 

 

相手はこの国最強――否、もしかしなくても全世界の人間の中でも最強と言っても過言ではない相手だ……非常に残念だが、個々の能力では圧倒的に相手の方が上だと言わざるを得ないだろう。

だが、一+一は三にも四にもなるし、幸いな事に地の利はこの森の事を知り尽くしているアタシ達の方にあるから、其れを活かすべきだろう。

 

 

 

「地の利か……では、こんな作戦は如何だろうか姉上?

 先ずは標的を近くの洞窟に誘い込み、入り口を爆薬で崩す。あの洞窟は入り口が一つしかないから、閉じ込められたら自力で脱出するのは不可能。

 あとは餓死するのを待てばいい。」

 

「悪くない作戦だと思うが、恐らくそれは時間稼ぎにしかならないだろう――なんせ相手は世界最強だからな……だから簪、この作戦が成功して相手を洞窟に閉じ込める事が出来たら、塞いだ入り口にありったけの罠を仕掛けておいてくれないか?

 そうすれば、洞窟から何とか抜け出した暗殺者にカウンターの一発をお見舞いできるしね。」

 

「分かった。」

 

 

 

其処からはトントン拍子に話が進み、暗殺者を洞窟まで誘導するのをラウラが、爆薬を仕掛けるのが簪に決まり、夫々が持ち場に着いてスタンバイOKと言った所だな。

アタシと刀奈は小屋に残ってるんだが、此れは鈴の提案で『お姫様は最後まで隠れてて。夏姫はお姫様の護衛よ!』って事でこうなった。

さてと、作戦が始まったら簪が爆薬を一発爆発させて合図をくれる事になってるんだが……今の所はまだ何もないな。

 

 

 

「ねえ、まだ何もないわよ?もしかして、皆やられちゃったんじゃ……」

 

「其れは考え辛いな……大丈夫、信じて待とう。お前の妹は、お前が思っている以上に頼りになるからな。」

 

「私の……妹?」

 

 

 

……スマン、お前は其れすら覚えていなかったんだな。――青髪眼鏡の小人は、頼りになるって事だ――

 

 

 

――ドォォォン!!

 

 

 

!!今の音は、合図か!

だが、此れは千冬さんにも聞こえているだろうから、何かの合図だとは気付かれているだろうが、皆が企んでいる事までは推測できない筈だ……と言うか、推測されていたら本気で勝つ事が出来なくなってしまうからな。

……ラウラの声が遠くなっていく。洞窟まで誘導しようとしてるんだろうね。

 

 

 

「……如何なってるのかしら?今の合図の音の大きさを考えると、洞窟は本当に直ぐ近くに有るのだと分かるけど……」

 

「だが、洞窟を破壊する程の爆発音はしていないから、未だ誘導している真っ最中と言う所なんだと思う。

 如何せん状況が分からないな……ちょっと見て来るよ。」

 

「夏姫、危険だわ!」

 

「そんな事は百も承知だ……でも、最悪の事態が起きる前に動かないと――」

 

 

 

――ガタン……

 

 

 

「!!今の音は……」

 

「えぇ、入り口の扉を開けた音ね。」

 

「あの扉は、風で開くほど軽くはなかった筈だ……此れは、完全に此方の思惑を読まれてしまったか――刀奈、何か感じるか?」

 

「……えぇ、あの刺客が来たわ――此の部屋に向かって来てる……ゆっくりとだけど確実に。

 この分だと、最長でも二分もあれば此の部屋に辿り着くでしょうね。」

 

「最長で二分とは短いな……」

 

さて、如何したモノか?

ISを展開すれば遣り合う事も出来るだろうが、この世界ではセーブモードでしか起動出来ない上に、起動したら何が起こるか分からないのだから、下手に展開する事は出来ない。

クソ、八方塞がりか!

 

 

 

「ねぇ、夏姫……私の記憶が戻れば、あの人に勝つ事が出来るのかも知れないのよね?」

 

「その可能性はあるんだが、如何すればお前の記憶が戻るのか、皆目見当が付かん……だからこそ、小人達を頼ったのに、作戦が全く役に立たないだなんて、理不尽すぎるだろ流石に。」

 

「でもね……思い出せそうなの。もう少し、後何か一押しあれば。」

 

 

 

本当か?その一押しとは一体何なんだ?

 

 

 

「そのヒントは、貴女が教えてくれてたわ夏姫……記憶を取り戻す手伝いをしてくれるかしら?」

 

「其れは良いが、アタシが記憶を取り戻すヒントをお前に与えていたとは、如何言う事だ刀奈?アタシはお前の記憶を取り戻す手段を一切知らなかったんだぞ?」

 

「うん、そうでしょうね。

 だけど、この世界が白雪姫って言う御伽噺の世界である事がヒントだったの……そして、其れが私に答えをくれた。……御伽噺の白雪姫は毒リンゴを食べて命を落とし、そして王子様のキスで復活した。

 其れをこの状況に置き換えると、私は現実世界での記憶を無くしてしまった――記憶的には死んだ状態にある訳よね?なら、死んだ状態にあると言える私の記憶はキスで蘇る可能性があるのよ。」

 

「つまり?」

 

「キス、してくれる?」

 

「はい?」

 

「だからキスよキス。現実世界での私と貴女は恋人同士だったんでしょう?なら、キスなんて普通にしてたんじゃないの?」

 

 

 

うん、其れは否定しない。

だが、其れで本当に記憶が戻るかどうかは分からなくとも、僅かでもその可能性があるのならば其れに賭けるのも一つの手か……刀奈、行くよ。

 

 

 

「うん……ん……」

 

「ん……は……」

 

はぁ、学園祭の時に刀奈が公衆の面前でやらかしてくれたとは言え、モニターされている状況でキスをすると言うのは流石に恥ずかしい――せめて、此の場面のCGは実際にはキス直前のものである事を祈りたいな。

其れで、如何だ刀奈?

 

 

 

「ふふ……夏姫の唇は『何時も』柔らかいわね。」

 

「そんな事を言ってる場合じゃ――って、『何時も』だと?刀奈、お前記憶が戻ったのか?」

 

「えぇ、バッチリと戻ったわ!真実の愛のおかげね。――真実の愛のこもったキスは、あらゆる魔法に対抗できる唯一の手段なのだから。」

 

 

 

真実の愛がこもったキスか……まさか、其れが本当に記憶を取り戻すためのトリガーだったとはな……あらゆる魔法に対抗できると言うのならば、真実の愛のこもったキスは、最強の魔法カウンタートラップになると言う事か。

だが、記憶が戻ったと言うのならばお前も十全の力を出せるだろう刀奈?――アタシとしては、もう少しキスの余韻を楽しみたかったんだが、如何やらそうも行かないみたいだ――千冬さんの殺気はすぐそこにあるからな。

刀奈、森に出るぞ!此処は地の利を生かす!

 

 

 

「えぇ、其れが上策ね!」

 

 

 

千冬さんの殺気が近付いている事を感じたアタシと刀奈は小屋を放棄して森に入って地の利を生かして千冬さんを仕留めようと思ったのだが、相手は世界最強を現すブリュンヒルデの名を冠する人だ……だから一筋縄ではいかないとは思っていたが、アタシと記憶を取り戻した刀奈でも此処まで苦戦するとはな。

……この世界は刀奈の記憶も反映されてるから、千冬さんも現実よりも強いのかも知れないな……ちぃ、喰らえ!!

 

 

 

――バン!バン!!バン!!!

 

 

 

ハンドガンを放っても、其れを全部避けるとは本当に人間か千冬さんは!?……いや、ビームを斬るアタシが言っても説得力の欠片もないかもしれないけれどな?

 

 

 

「弓矢やボウガンとは違う奇妙な武器だな……尤も私には通じんが。」

 

「この世界で明らかに場違いなボディスーツを身に纏って、更に刀を――より正確に言うならばIS刀を振り回す貴女に言われたくはないわねぇ。」

 

「あぁ、その意見には同感だ。

 幾ら世界最強とは言っても、限度があるだろこのチートバグが。人間辞めてるのは間違い無いから新たな種族として登録申請した方が良いんじゃないかと思うよマジで。」

 

とは言っても、現状では千冬さんを倒す手が見えない――せめて、一瞬でも隙が作れればと思うんだが、其れは可成り難しいだろうからね。

 

 

 

「一瞬の隙……なら、夏姫!!」

 

「なんだ刀奈?……って、んむう!?」

 

「あ……はぁん……」

 

 

 

此処でカウンターで刀奈にキスされましたとさ……何でさ?意味が分からん。

でも、普通に考えれば此れは完全に無防備な姿だから千冬さんからしたら攻撃し放題な筈なんだが……一切の攻撃は無かった――如何やら、行き成リ目の前で展開された百合キスに硬直してしまったみたいだな?

其れがお前の狙いだったのか刀奈……ならば、この好機を逃す手はない――此れで終わりだ……キン肉バスター!!

 

 

 

「しまった!……だがこの技は両腕が自由になるし、首のフックも意外と甘い――ならば返す事は雑作もないぞ?」

 

「でしょうね、此れがタイマンならね……この技は、ツープラトンになる事で完全無欠の必殺技になるのよ!!」

 

「な、此れは!?」

 

 

 

キン肉バスターは、単体では不完全で未完成な技だが、其処にパートナーの一撃が、変形OLAPが加わる事で完全無欠の必殺技になるんだ。

自由な両腕はOLAPでチキンウィングに極められてしまうし、首にフックの甘い点も、刀奈の体重が加わる事で解消されているからな――そして喰らえ!

此れがアタシと刀奈の最強攻撃!!

 

 

「「NIKU→LAP!!」」

 

 

 

――バアァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

「ゲパァ!!」

 

 

 

アタシと刀奈の合体攻撃を喰らった千冬さんの身体が塵となって消えていく……此れで一件落着、ゲームもクリアって事なのかな?――アタシと刀奈の周りに光が溢れ出し、其れが周囲の色を奪って行ってるからね。

 

「ゲームはクリアできたしお前の記憶も取り戻せた……帰ろう刀奈、アタシ達の世界に。」

 

「うん……帰りましょう、夏姫。」

 

 

 

徐々に白くなって良く世界――そして、アタシ達の存在はこの世界から消えた。

 

 

 

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此処は……学園のコントロールルーム?そうか、現実世界に戻って来たんだな――うん、身体の方も違和感みたいなモノは感じないし、幻想世界の影響なんかはないみたいだ。

何と言うか、最後が物凄くハードモードだったな。

 

 

 

「そうね……でも、偽物とは言え世界最強と生身での戦闘を体験出来たのは貴重な事だと思っておきましょうか?」

 

「そのポジティブシンキングには敬意を表するよかた……楯無。」

 

「モニタリングされてた世界で散々あっちの名前で呼んでたのだから、今更だと思うけどね。」

 

 

「良く戻ったな蓮杖姉。ご苦労だった。」

 

「「「「「「「「「「ゲーム攻略、お疲れ!!」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)

 

「ただいま、皆♪」

 

「織斑先生。蓮杖夏姫、任務完了しました。」

 

「『織斑先生』?オイオイそれは違うんじゃないか?私は、人間を辞めたチートバグなんだろう?」

 

 

 

織斑先生が一応労ってくれたが、目が笑ってない。と言うか、さっきまで戦ってた暗殺者と同じ顔してるなぁ……人間辞めてるチートバグだなんて言われたら、こうもなるか。

アレは千冬さん本人じゃなくて、あの暗殺者に言ったんだと弁明しても納得しないだろうなぁ……

 

 

 

「ま、まぁまぁ!蓮杖さんも必死だったんですから、その辺で。」

 

「あら~~、こっちのお母さまは優しいわね~~♪」

 

「うわぁぁぁぁ、其れは言わないでくださいぃぃぃ!

 モニタリングしてて、色んな意味で生きた心地がしなかったんですから!アレは永遠に黒歴史として封印して、皆さんの記憶から抹消したいですよ!」

 

「いやぁ、アレは強烈だから忘れろと言われても忘れられないっしょ?」

 

「あぁ、ある意味で暗殺者よりもインパクトは上だったかもしれないしな。」

 

「普段優しい人が闇落ちすると、あそこまで恐ろしいモノなのだと思ったからな……」

 

 

 

山田先生、心中お察しします。と言うか、其処は抉ってやるなよ楯無。鈴と一夏と箒もな。

あの暗黒面に堕ちた山田先生は、色んな意味でヤバいから、データに多重ロック掛けて電脳世界の最深部に封印した方が良いと思うわ。――他のメンバーは如何なったんだ?

束さんは一人のシナリオだけでもクリアしてしまえば全員が解放される筈だと言っていたが……

 

 

 

「其れに関しては大丈夫よ。

 貴女達二人が暗殺者を倒した瞬間、他のワールド・パージも解除されて、全員無事に帰還したわ。」

 

「スコール先生……そうですか、良かった。」

 

「うんうん、此れで万事解決ね?

 で、束博士は何をしてるんですか?」

 

「此のギャルゲーのアンストと、電脳ダイブ機構のセキュリティ強化とプログラムの正常化。

 二度と同じような事が起きないように、他のプログラムに侵食されないようにしとかないとだからね?束さん特製のファイヤーウォールを三重掛けにしといちゃうよ!」

 

「姉さんのファイヤーウォールの三重掛けならば安心ですね。」

 

 

 

全員無事帰還で取り敢えず今回の事はお終いと言う所だな――束さんがゲームをアンインストールしてくれた上に、セキュリティを更に強化してくれたとの事だったから、そっちも安心だしね。

其れで、当然と言えば当然だが、ギャルゲー事件のせいで電脳ダイブ訓練は中止となり、アタシ及び電脳空間に捕らわれたメンバーは、軽く検査を受けた上で解散となった。

まぁ、アタシのゲーム攻略には結構な時間が掛かってたらしく、検査を受けたのはもう日が沈みかけていた頃だったけどね。

 

そんな訳で、検査を終えたアタシと刀奈は自室に。

土曜日だから食堂も休みなので、軽めの夕食を取って、風呂も今日はシャワーで済ます事にした。

先に刀奈が使って今はアタシがシャワーの真っ最中だ……色々と疲れた気がするから、少し熱めのシャワーが気持ち良いな――高級ホテル並みのシャワールームを毎日の様に使えると言うのは贅沢極まりないわ。

 

 

――キュ

 

 

ふぅ、良い気持ちだったな。

シャワーの後は確りと髪を乾かして、そして新しい下着と長めのシャツを着て終了だ――後はもう寝るだけなんだから、こんな軽装でも問題はないだろうさ。誰か来るとしても、高確率で同性だし、一夏は弟だから間違いは起きようもないしね。

 

「刀奈、出たぞ……って、何をやってるんだお前は?」

 

「準備は出来てるわよ?さ、存分にマッサージして頂戴な♪」

 

 

 

で、シャワーを終えて部屋に戻ったら、刀奈が全裸でベッドにうつ伏せになってた……腰から下はタオルケットで隠されてるけど、此れはアレか?ゲームでの『コミュニケーションモード』なのか?そうなのか?

お前、もうゲームは終わったんだぞ刀奈?

 

 

 

「あら、良いじゃない?マッサージくらい何時もやってる事でしょう?」

 

「そうだな。何時もは服着てるけどな。」

 

「そうなんだけど、あっちの世界で直に肌に触れて貰うマッサージの気持ち良さに目覚めちゃったのよ♪だ・か・ら、この状態でお願い出来るかしら?」

 

「はぁ……そう来たか。先に言っておくが、そんな格好で居たお前が悪いんだからな?」

 

そう言ってアタシもベッドに乗って、刀奈の事を後ろから抱きしめてやる……望み通りマッサージをしてやるよ刀奈。最高に気持ち良くしてやるから楽しみにしておけよ?

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って夏姫!それって違うマッサージじゃないの!?」

 

「誘って来たお前が悪い。

 水浴びで三回、マッサージで三回、計六回もあの世界でアタシはお前の裸体見る事になったんだぞ?モニタリングされてるから平静を保つ事が出来て居たが、作られた存在とは言えアタシだって人間でな、性欲だって人並にあるんだよ。

 普通に何時も通りのマッサージならばなんて事なかっただろうが、そんな姿を見せられては我慢も限界を超えるってモンだぞ?――其れに、刀奈も期待してたんじゃないのか?そうじゃなかったらそんな格好で待ってないだろ?」

 

「えぇと……はい///……その、優しくしてね?」

 

「心外だな?アタシは何時もお前には優しい心算だぞ?」

 

「ふふ、そうだったわね。」

 

 

 

刀奈に軽くキスを落とし、そのまま夜のISバトルに突入した。結果はアタシの六勝三敗だった。

 

 

 

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アタシ達が現実世界に戻って来てから数日が過ぎて、此れまでのように皆と授業を受け、放課後は訓練に励むと言う平和な毎日を過ごしている。

あの後、誰が何の目的であのゲームを学園のサーバーにインストールしたのかが調査されたが、結局は何も分からなかった――束さんが調べても何も分からなかったと言うのだから、データの海を彷徨っていたゲームの没データが偶々学園のサーバーに寄生したのかもしれないな。

まぁ、其れは其れで恐ろしい事ではあるけどね。

 

で、今日はある頼み事を受けている――依頼主は新聞部の副部長である黛薫子先輩だ。

なんでも、IS雑誌の副編集長を務める姉が居て、アタシと刀奈をモデルにして学園内で撮影をって事らしいんだが……

 

 

 

「はいはーい、夏姫さん笑って笑って~~♪」

 

 

 

――パシャ!

 

 

 

「うん、良い感じになって来たわね?本番もこの調子でよろしく~~!」

 

「あ、あぁ……」

 

「じゃあ、私は撮影準備の様子を見て来るから、二人は此処で待っててね。」

 

 

 

まさか、その撮影がこんな物だとは思ってなかったよ……今アタシの隣に居るのは、ドレス、其れもウェディングドレスに身を包んだ刀奈が居るんだからな――そして何でアタシは白のタキシードなのか。

『夏姫さんはドレスよりこっちの方が似合う!』との事だったが、其れは果たして女子として喜ぶべきか悲しむべきか悩むな。

 

 

 

「夏姫、大丈夫?もしかして練習で疲れちゃったの?」

 

「少しだけ、な。」

 

「夏姫、さっきから視線を合わせてくれないのはどうして?

 おねーさん、こんなに気合い入れてドレスアップしたのに……もっと夏姫に、身体の隅々まで舐めるように見て欲しいなぁ?」

 

「女性としての品位を疑われるから、そう言う言い方は止めようね?」

 

「ほら、また目を逸らした。ねぇ、如何したの?もしかして、怒ってる。」

 

「いや、怒ってる訳じゃない。」

 

「なら、何でこっちを見てくれないよ?」

 

 

 

綺麗すぎて直視できないだなんて事、口が裂けても言えるか。

正直、刀奈のドレス姿が此処までの破壊力があるとは思わなかった……白雪姫のドレスはコスプレレベルだったが、ウェディングドレス姿はアレとは比べモノにならないレベルだからね。

 

「……照れ隠しだ。」

 

「あら、私に見惚れちゃったの?」

 

「……好きに解釈してくれ。」

 

そう言うのが精一杯だ。

 

 

 

「お待たせ!準備、あと少しで終わるそうよ。」

 

「あ、はい。」

 

「今日は引き受けてくれてありがとう!

 二人のおかげで良い特集を組めそうだって姉さんも言ってたわ。」

 

 

 

其れは良かったが、本当にアタシ達で良かったのか?今回のテーマは確か……

 

 

 

「『御伽噺のハッピーエンド』よ。二人にはお似合いだと思うけど?」

 

「ふふん、薫子もそう思うんだ?やっぱり、そう言う雰囲気的なモノが出ちゃってるの?」

 

「そりゃもうバッチリと!……たっちゃん、もしかしてあの噂って本当なの?」

 

「うん、私が夏姫に求婚されてるって言う噂なら本当だよ。」

 

 

 

オイコラ、平然と何を言ってるんだお前は?アタシが何時お前に求婚したんだ楯無?生憎とアタシにはそんな記憶はマッタク全然ないんだけどな?

 

 

 

「アハハ、其処までぶっ飛んだ噂は入ってないけど、似たような話は耳にしてるわよ。」

 

「若干聞くのが怖いが、それはどんな……ですか?」

 

「キス魔になったたっちゃんが、夏姫さんに迫ってるって噂。」

 

「私が夏姫に?

 まさか!幾ら私でも、そんなはしたない事しないわよ。」

 

 

 

どの口が言うかこの。

人目の居ない所にアタシを誘って、昼夜問わずにキスを求めて来るのは一体何処の誰だったっけか?

生徒会室、放課後の教室、夕陽に照らされた屋上、トイレ、更衣室、そしてロッカーの中……あらゆる場所でアタシにキスをねだって来る……アタシだって刀奈とキスをするのは良いんだが、こうもぐいぐい来られるとな。

 

 

 

「夏姫ー?何を考えてるのかなぁ?もしかしてキスしたくなっちゃった?」

 

「いや、違う。」

 

「あぁ、そうだ!折角だしキスシーンも撮って貰おうか?」

 

「おっと、良いわね!それこそ今回のテーマにピッタリだし!」

 

「待て。そんなシーンを雑誌に載せたら先生達に怒られるだろう。」

 

「あーーー、確かに。やりすぎって言われちゃうかぁ。

 あ、ゴメン、呼ばれてる。もうちょっと待っててくれる?」

 

 

 

あぁ、分かった。

で、何か言いたい事があるのか刀奈?

 

 

 

「夏姫、ウェディングドレス姿の私を見ての感想、まだ聞けてないんだけどな?

 どうかな?似合わないかしら?やっぱり和装の方が好き?」

 

「いや、凄く綺麗だと思う。」

 

「あは、ありがと。スッゴク嬉しい。

 ……アレ、夏姫。胸元に何かついてるよ?」

 

「え?胸元?」

 

「隙あり!」

 

 

 

――ちゅ……

 

 

 

「な!?」

 

「ん……やっぱりいいね、キス。」

 

 

 

お前、誰かに見られたらどうするんだ?薫子先輩に見られたら、その瞬間にドレだけの質問攻めにあうか分からないだろう!軽率な事はしないでくれ。

 

 

 

「そうねぇ。じゃあ、邪魔が入らない所でしましょうか?

 部屋に帰ったら、何百回でも、飽きるまで……ね?」

 

 

 

はぁ、その笑顔は反則だぞ刀奈?

そんな顔で言われたらダメだなんて言えないじゃないか……でも、其れは悪い気はしない――はぁ、アタシの負けだ。何百回もは無理だが、部屋に戻ったらな。

 

 

 

「ふふ、分かったわ。」

 

 

 

きっと、此れからもアタシと刀奈の関係はこんな感じで続いて行くんだろうな……其れもまた、悪い事ではない、寧ろ最高な事だとアタシは胸を張って言う事が出来るよ。

もう、刀奈の居ない日常など、考えられないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:イルジオン

 

 

よーし、暗殺者を倒して白雪姫ルートクリア。此れで全部のルートをクリアしたんだが、何と言うか突っ込みどころ満載のゲームだったな此れは……教授は一度御伽噺と言うモノを学び直してこいと言いたい。

かぐや姫は剣道なんてやらないし、人魚姫の足の生える薬が臨床試験済みとか現実的過ぎる、シンデレラと仲良くしたいと思ってる継母と姉なんてのは普通に有り得ないし、不思議の国のアリスの登場人物の九割がアリスって舐めてるのか?

そして極めつけはこの白雪姫だ……こんな武闘派な白雪姫が居て堪るか!

 

取り敢えずこのゲームは駄作に認定……よって、このゲームのデータは完全にこの世から抹消する!!レッツ完全デリート!!

 

 

 

「イルジオン、何と言う事をしてくれたのかね……私の力作を!!!」

 

「余りにも内容が酷かったのでデリートした。こんな物を作ってる暇があるなら、あの馬鹿共の更なる改造を行え。あのままじゃ、ハッキリ言って蓮杖一夏や篠ノ之箒には勝てんぞ。」

 

「其れは勿論行っている……ゲーム作りは只の趣味だと言うのに、せっかく作ったデータをデリートするとか、君は鬼かねイルジオン!!」

 

「いや、私は悪魔だ。」

 

そう言えば、私が誤って外部インストールしてしまったこのゲームは、一体何処のサーバーにインストールされたんだろうか?……まさか、IS学園になんて事はないだろうな?

まぁ、IS学園のサーバーにインストールされていたとしても、多分大した問題にはならないだろうから、特に気にする事も無いか――まぁ、仮にインストールされていたとしても、オリジナルが居れば何とかしてしまうだろうからね。

まぁ、もしもの時は頑張ってくれよオリジナル。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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