Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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此れもまた平和な日常かな?By夏姫      そうね、とても平和だと思うわBy刀奈     平和は金じゃ買えないから、其れは大事にしないとなBy一夏


Break107『更識家での一日は充実してる模様』

Side:一夏

 

 

レギオンの面子と、新たに編入して来た代表候補生は無事に学期末試験を突破して冬休みに入ったんだが、冬休みの初日に夏姫姉は、楯無さんと一緒に更識家に行ったんだけど、まだ帰って来てない。

夏姫姉の事だから、更識家に拒否されて監禁されたってのは考え辛い――ってか、現当主の楯無さんが其れを許すとは思えないしな。

此れはアレか?楯無さんの両親に気に入られてもう一泊以上して行く事になったって言う所か?

 

 

 

「その予想は多分間違ってないと思うぞ夏兄さん。

 今し方、LINEで夏姉さんから『楯無の家でもう一泊して来る』とメッセージが来たからな。」

 

「あぁ、アタシの方にも姫義姉さんからLINEが入ってたわ。」

 

「うむ、私の方にも義姉さんからLINEが来ているな。」

 

 

 

つまり、俺の予感は大正解だったって訳か――つか、何で俺にはLINE入ってない訳?……女子同士の秘密の何かがあるのか?分からないけど。

其れは別に良いんだけど、なんで鈴も箒も夏姫姉の事を『義姉さん』って呼ぶんだ?今までは普通に『夏姫』って呼んでだよな?

特に鈴、『姫義姉さん』って何で?確かに夏姫姉の名前には『姫』って入ってるけどさ。

 

 

 

「其れはアレよ、夏姫は一夏の姉でしょ?って言う事は将来的には、アタシと箒の義姉になる訳じゃない?だから、今から慣れとこうかなって。

 因みに姫義姉さんってのは、夏義姉さんだとマドカと被るからね。」

 

「私も鈴と同じ理由だ。

 しかし私の呼び方では姉さんと同じになってしまうな?……いっその事、『お義姉ちゃん』と呼ぶべきか。」

 

「止めれ、お前そう言うキャラじゃないから箒。どうしてもと言うのなら、束さんの事を『お姉ちゃん』って呼んでやれよ……多分だけど、お前にそう呼ばれたら、束さんは間違いなく狂喜乱舞すると思うぜ?

 尤も、狂喜乱舞するだけじゃなく、鼻から盛大に愛を噴出するだろうけどな。」

 

「其れは大丈夫なのか?」

 

「普通なら失血死するレベルでも大丈夫だろ、束さん人間辞めてるから。」

 

「其れで納得出来てしまうのが妹としては若干悲しい気がする。」

 

 

 

うん、その気持ちは分かるぜ箒……俺も戦闘に関してはどんな事をしても『千冬さんだから』で納得してしまう事に、同じ気持ちだからな――だが、其れは其れとして、ハイパーストⅡの対戦でダッシュベガはキタねぇだろ鈴!

ニープレスハメとかどうせいっちゅーんじゃいマジで!!

 

 

 

「無敵技で切り返せば?」

 

「そう来たかこの……俺のザンギエフの真髄を見せてやるぜ!」

 

ケンの強昇龍拳ですら吸い込むスクリューパイルドライバーと、ファイナルアトミックバスターでぶっ殺す!或いは、豪鬼を使って滅殺してやる……鈴、ターボ版ベガは俺を怒らせた。

次の対戦で絶対に倒す――俺が豪鬼を使ったその時は、スーパーコンボが無い事がせめてもの救いだと思うんだな。スーパーコンボが実装されてたら、俺は確実に瞬獄殺を叩き込んでただろうからな。

 

……時に鈴の理論で言うなら、楯無さんは将来的に俺の義姉になるんだよな?……って事は、楯無さんの事は『楯姉』とでも呼んだ方が良いのかな?

其れは、直接聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break107

更識家での一日は充実してる模様』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

アタシは一泊だけの心算だったんだが、翠さんから『折角だからもう少しゆっくりして行くと良いわ――更識の関係者にも、貴女の事を紹介しておいた方が良いと思うしね』と言われてもう一泊する事になった。……まさかこんな事になるとはな。

だが、考えようによっては更識の家の事をより深く知る事が出来るチャンスと言えるか――なので、アタシは布団から出て、シャワーを浴びて身嗜みを整えてから厨房に行って朝餉の用意の手伝いをしている。翠さんがアタシの事を紹介してくれたおかげで、厨房の人達も快く迎えてくれたのは嬉しかった。

しかし、結構な広さの厨房があって、しかも専属の料理人までいるとは想像以上だな更識家は?

 

……本当ならば刀奈と一緒に朝餉の準備をしたかったのだが、昨日は此れでもかと言う程にイカせたから、もう暫くは目を覚まさないだろうな多分……我ながらやり過ぎた気がしなくもないが、あんな方法で誘って来た刀奈の方が悪い。

あんな艶めかしい肢体を目の前に晒されたら我慢できる筈がないからな……アレを見て、劣情を覚えないのは只の不能者だと断言してやるさ。

 

 

 

「夏姫様、このハチミツは?」

 

「此れは玉子焼きに使うんだ。

 使い過ぎると甘くなってしまうが、適度に使えば出し巻きの渦が綺麗に出る上に、焼き上がりも黄金色に仕上がるんだ――その為の秘密兵器だよ。」

 

玉子焼きは、アタシの得意料理の一つだからね。

此れに加え、今日の朝餉は白米と焼き魚(鮭のハラスの塩焼き)、モヤシとほうれん草の中華風お浸し、豆腐とわかめの味噌汁と、日本人なら垂涎のメニューとなっているからな。

それにしても『夏姫様』か……何と言うか慣れない呼ばれ方だ。

 

さて、アタシはそろそろ刀奈を起こしに行くか。頭首様が朝食に遅れたと言うのは如何かと思うからね……そう言えば、家族だけでなく更識の関係者も一緒なのだろうか?

厨房で作ってた量を見る限りはそうなんだろうな……まさか、玉子焼きを十個も作る事になるとは思わなかったけどね。

 

で、当てがわれた部屋の前まで到着したんだが、何だろうこのまま障子を開けたら絶対に刀奈がお約束をかましてくるだけじゃ済まない気がするのは?

何と言うか、アタシとの関係が刀也さん(刀也殿では硬いと言われたので。)と翠さんに認めて貰た事で色々とメーターが振り切れてしまってるみたいだからな今の刀奈は……昨夜の事も其れが関係してるんだろうし。

 

とは言え、何時までも此処でこうしている訳にも行かないし、覚悟を決めるか……刀奈、そろそろ朝食の時間だから起きろ。

 

 

 

「「「「おはよう夏姫。ご飯にします?朝風呂にします?其れとも、ワ・タ・シ?」」」」

 

「此れは流石に予想外だったなぁ……うん、普通に驚いたぞ刀奈?」

 

「「「「お褒めに預かり、恐悦至極ね♪」」」」

 

 

 

障子を開けたその先には、四人の刀奈が居ましたとさ。流石に自重したのか、水着エプロンではなくて私服だったけどな。

分身の術……と言うのは少し違うな?此れは、ジャスティスのナノマシン精製能力を使って作った水の人形と言った所か?其れも只の人形ではなく、夫々がある程度の自立行動が出来るレベルの。

今回は刀奈の姿をしているだけだが、戦闘で使ったその時はクリアパッションの効果も付与した『触れれば爆発する爆弾人形』にもなるって感じかな?

 

 

 

「「「「はい、大正解♪」」」」――で、消す場合はナノミストにして空気中に散布すれば良いだけだから、室内で使っても水浸しにはならないと言う訳よ♪」

 

「一瞬で三体の刀奈が消えた。出し入れは自由自在か、流石だな。」

 

「ふふ、ありがと。

 朝ごはんの用意が出来たのだったわね?なら行きましょうか……シャワーも浴びてスッキリしたし、お腹も良い感じに空いて来た頃だしね――出来れば夏姫のご飯が食べたかったけど。」

 

「全部ではないがアタシも厨房を手伝ったぞ?本日のメニューの中で、玉子焼きはアタシが担当させて貰った。」

 

「あら、そうなの?其れは楽しみだわ♪夏姫の玉子焼きってスッゴク美味しいんですもの♪」

 

 

 

ま、アタシの得意料理だからね。

と言うか弟が、あ、一夏ではなくミツルの方な?家庭科の調理実習で覚えた玉子焼きを作ってやったら喜んで食べてくれてな……其れで、もっともっと巧く作れるようになりたいって、そう思って母さんに頼んで色々教えて貰いながら練習した結果、あの味に辿り着いた訳だ。

因みに母さんのレシピでは、入れるのは醤油とハチミツと粉末のダシだったんだが、醤油と粉末ダシを白だしに変える事で更に焼き上がりの美しさを強調したのがアタシの玉子焼きだ。

 

 

 

「そうなんだ……そう言えば、玉子焼きだけじゃなくてオムレツやオムライスも美味しいけど、其れもやっぱり弟君のせい?」

 

「正解だ。

 玉子焼きだけでは芸がないと思って、オムレツやオムライスにも挑戦したんだが、ミツルはドレも『美味しい!』って食べてくれたからな……弟の笑顔を見る為なら、姉と言うのは何処までも頑張れるものらしい。」

 

「私には弟はいないけど、その気持ちはスッゴク分かるわ夏姫!私だって簪ちゃんの笑顔の為なら幾らでも頑張れる……其れこそ三徹位は全然余裕で行けるわよ!」

 

 

 

うん、知ってる。そして、喜べ刀奈。将来的にはお前には一夏と言う弟が出来るから。……アタシには妹が多いが、一夏には姉が多いな?年上に気に入られるタイプなのかもしれん。

スコールさんもオータムさんもダリルもグリフィンも、一夏には恋愛感情は持ってないが、完全な姉貴分的な存在になっているからね。……五反田と交際していなかったら、虚さんも其処に参加していたかもだな。

 

そんなこんなで広間に行こうとしたら、簪が自分の部屋から出て来たか……そう言えばアタシが当てがわれた部屋の隣が簪の部屋で、その隣が刀奈の部屋だったんだな。

 

「おはよう簪。」

 

「おはよう簪ちゃん。よく眠れ……てはいないみたいね?」

 

「おはようお姉ちゃんと夏姫お義姉ちゃん……うん、あんまりよく眠れなかった。主に二人のせいで。」

 

「え?」

 

「あら?」

 

「二人とも恋人同士だし、とっても仲が良いからとやかく言う心算はないけど、もう少しだけボリュームを絞ってほしい……お父さんとお母さんには聞こえて無いと思うけど、隣の部屋の私には全部聞こえてたから。

 特にお姉ちゃんの嬌声は色々とヤバい感じだった……聞いてる私の方も悶々としてくる位だったから……出来ればもう少しボリュームを抑えて。」

 

 

 

――ボン!

 

 

 

はい、簪の告白を聞いた瞬間にアタシも刀奈も顔面赤面爆発しました……特に刀奈はアタシ以上にダメージがあったみたいだな?

アタシは基本タチだからあまり声を上げる事は無いが、刀奈はネコだからね……と言うか、防音じゃなかったのかあの部屋は?暗部故に、情報が外部に漏洩しない様に防音はバッチリだと思っていたのだが、客間はそうではなかったと言う事か。

済まなかったな簪、防音だと思っていたのでついやり過ぎた……今度からは気を付けるよ。

 

 

 

「ゴメンね簪ちゃん……でも、悶々としちゃったなら遠慮しないで来てくれれば良かったのに。そうすれば姉妹丼も出来たのに。」

 

「オイコラ刀奈、何を言ってるんだお前は?」

 

「……其れもちょっといいかも。ゴメン、今の無しで。」

 

「簪、お前は時々壊れるな。」

 

刀奈とはタイプが違うが簪も美少女なんだから良い相手が居ると良いんだが、生憎とIS学園には一夏以外の男子は居ないから出会いその物がないんだよなぁ……性別に拘らなければ相手は居ると思うんだがな。

まぁ、其れは簪自身が何れ自分で何とかするだろうから、アタシがとやかく言うモノではない――もしも、万が一にも一夏に思いを寄せていたとしても、鈴と箒ならば簪はOKするだろうから何の問題もないしな。

 

っと、そう言えば今日は未だしてなかったな?……おはよう、刀奈。

 

 

 

――チュ……

 

 

 

おはようのキスってな。……簪、お前にもしてやるか?頬へのキスなど、挨拶みたいなモノだからね?イギリスでストリートチルドレンやってた時には、マリアから結構されてからな。アタシからもしてたけど。

 

 

 

「キスよりもハグの方が良い。お姉ちゃんと夏姫お義姉ちゃんのダブルで。」

 

「……刀奈、目の前のこの可愛い生き物は何だ?何と言うかこう、庇護欲を駆り立てられると言うか、此れを傷つける奴は滅殺してやると言う気分になるぞ?冗談抜きでマジで。」

 

「ふふ、其れが簪ちゃんの魅力なのよ夏姫……色々と言いたい事はあるけど、私が簪ちゃんを語り出したら其れだけで一日潰せるから割愛するけど、簪ちゃんは可愛い!異論は認めないわ!!

 簪ちゃんを可愛いと思わない奴が居たら、更識流拷問術の中でも特にキッツイ『更識流四拾八の殺人技』を喰らわせてあげるわ♪」

 

 

 

お前の言わんとする事は分かるが、笑顔で空恐ろしい事を言わないでくれ刀奈……お前が言うと、冗談も冗談に聞こえないから普通に怖い――まぁ、此れ位の恐怖を感じさせる事が出来なければ暗部の長は務まらないのだろうけどね。

だけど簪が可愛いのは確かだから、刀奈が前から、アタシが後ろから簪をハグしてやってターンエンドだ――簪も満足したみたいだからな。

 

 

 

「うん、満足した。時に今日の朝ごはんのメニューって何?」

 

「ご飯とサケのハラスの塩焼きにモヤシとほうれん草の中華風お浸し、豆腐とわかめの味噌汁、そしてアタシが作っただし巻き玉子焼きだ。」

 

「其れは、とっても楽しみ。夏姫の玉子焼きは美味しいから。」

 

「そうよね?簪ちゃんもそう思うわよね?」

 

「うん。夏姫お義姉ちゃんの玉子焼きは世界一ぃぃぃぃ!」

 

 

 

『ドイツの科学力は世界一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!』のノリで言われても困るんだが、取り敢えず高評価なのは間違いないって事だなうん――簪の趣味の範囲は広いな本気で。

まぁ、アタシもアニメや漫画、特撮ヒーローは嫌いじゃないけどな……『RXロボ・ライダー』はカッコいいと思うし。

 

 

 

「束博士に、ライダーをモデルにした機体を頼んだら作ってくれるかな?」

 

「束さんだったら作ってくれるかもしれないが、そうなったらお前はどのライダーを選ぶんだ?」

 

「ウィザードかな?」

 

「なら、私はナイトにしようかしら?」

 

 

 

簪はウィザードで刀奈はナイトか……ならば、私は敢えてバイオ・ライダーを選択する。設定では高熱に弱いと言う弱点があったが、作中ではその弱点で窮地に立たされる事はなかった最強のライダーだからね。

身体の液状化と言うのは物理的に無理があると思うのだが、束さんならば何とか出来ると思ってるアタシが居るのは仕方ないよな……実際問題として束さんでもどうにもならないって事は、今の世界であっても片手の指で足りる位しかないからな。

まぁ、此れはあくまでももしもの話だから、其れ程真剣に考える事でもないさ。――流石に『バイオ・ライダーは汚い』と言われたけどな。

 

 

 

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朝食はアタシが予想した通り、更識の家族だけでなく、更識の実働部隊のメンバーも一緒に食事を摂る形態だったみたいだ。四十畳程の広間には、三十人分くらいのお膳が用意されてるからね。

昨日の夕食は更識家+アタシだけだった事を考えると、三食全部大所帯と言う事ではないのだろうけどな。

 

 

 

「そうね、大所帯なのは朝だけよ。昼と夜は皆夫々仕事があるモノ……私と簪ちゃんがIS学園の生徒であるように、暗部の人間とは言っても、それだけでは生活していけないから、表の世界での仕事もちゃんと持っているモノなのよ。勿論お父様とお母様もね。

 まぁ、暗部の仕事の為に今の会社に務めてるって人も居る訳だけどね――ブラック企業の闇を暴く目的とかで。」

 

「成程な。因みに刀也さんと翠さんは何の仕事をしてるんだ?」

 

「お父様が古武術の道場経営、お母様は華道、茶道、三味線の教室を開いてるわ。」

 

「因みにお父さんの道場に通ってた人の中には、現在プロ格闘家として活躍してる人も居る。個人情報の漏洩に繋がるかも知れないから誰なのかを言う事は出来ないけど。」

 

 

 

暗部だけでなく、表の仕事もしてると言うのは考えてみれば当然だな。スパイと呼ばれる人達だって其れだけで生活してる訳じゃないだろうし。

其れでだ刀奈、アタシ達の事は食事の後で話すのか?其れとも食事の前に話すのか?

 

 

 

「そうね、食事前に話しちゃいましょうか?『更識楯無』として話をすれば、多分皆納得してくれると思うわ――特に、私が夏姫には只の一度も勝った事が無いと言えば尚更ね。」

 

「……アタシもお前に勝った事ないんだがな?」

 

「ホホホ、物は言いようってね?『勝った事がない=負けた』って考えるのは個人の自由であって、私は嘘は言っていないモノ。」

 

「と言うか、お姉ちゃんと夏姫お義姉ちゃんに勝てる人なんて、多分現役時代の織斑先生位しか居ないと思う……後は、機体性能が同じって言う条件でミューゼル先生とオータムさんにワンチャンって言う所。

 私達の中だと、ドラグーン使えるマリアに可能性があるって所だと思う……因みに私は現在模擬戦でお姉ちゃんと夏姫お義姉ちゃんに十連敗中。」

 

 

 

簪、其れはあんまり気にしない方が良いと思うぞ?アタシは普通の人間よりも遥かに強く作られてるんだから仕方ないさ……寧ろ、そのアタシと互角に戦える刀奈の方がオカシイんだ。

若しかしなくても、刀奈は束さんと同様の『天然物のチートキャラ』なのかもしれないからな……ひょっとしたら歴代の楯無の中で最強なんじゃないか?

 

さて、話をしている間に配膳が全部終わったらしく、全員が自分の席に……虚さんとのほほんさんも居るみたいだな?

……そう言えば、前に虚さんが『お嬢様達が実家に居られる時は、私も本音も基本的には更識の家で暮らしています』みたいな事を言ってたな?と、言う事は、冬休みは昨日だけ布仏の家で過ごして、後は更識の家で過ごすのかもしれないわね?……従者と言うのも大変だな。

 

で、席に関してなんだが、刀奈が上座に居るのはまぁ当然だな?更識のトップである『楯無』な訳だし。

向かい合う形で刀也さんが居るのも、先代の『楯無』なのだから分かるんだが、なんでアタシの席が刀奈の隣なのだろうか?普通は此処は簪の席だと思うんだがなぁ……まぁ、刀奈にも何か考えがあるのだろうな。

 

 

 

「おはよう皆。今日も一日頑張りましょう♪

 さて、食事の前に大事な話があるから聞いて貰えるかしら?……私こと第十七代目更識楯無は、私の隣に居る蓮杖夏姫と現在絶賛交際中である事を皆に伝えておくわ。

 彼女は、先代の『楯無』であるお父様が、違法研究をしていた施設から連れて来た赤ん坊だと言えば、分かる人も何人か居るんじゃないかしら?」

 

 

 

食事前に伝えるとの事だったが、弩ストレートに行っただけでなく、アタシが何者であるのかと言う爆弾をも投下したか……尤も、アタシが何者であるのかを聞いた中には、驚いている人も結構いたみたいだから効果は抜群と言えるな。

 

 

 

「刀也様が連れて来た赤子と言う事は、失礼だが君はあの研究で生まれたスーパーヒューマンなのか?」

 

「あぁ、其の通りだよ。

 刀也さんに命を助けられ、蓮杖の家で育てられたスーパーヒューマンの完成体の蓮杖夏姫だ……女同士ではあるが、楯無と交際させて貰っている。」

 

「なんと、あの時の……だが、彼女は六年前に行方不明になって、親族が死亡届を出していた筈だが……」

 

 

 

あぁ、其れはアタシが遺産目当てのハイエナ共に嫌気がさして、奴等に食い物にされないように必要な物だけもって貿易船に忍び込んでイギリスに密航したから、居なくなったアタシの事を勝手に死んだ事にしたんだろうさ。

だが、アタシはしぶとく生き延びて、新たな戸籍を手に入れてISRIの企業代表をやっていると言う訳さ……マッタク、世の中分からないモノだよ。

 

 

 

「新たな戸籍を?一体どうやって……」

 

「簡単な事よ。夏姫は篠ノ之束博士とお友達なの。

 束博士ならば新たな戸籍を作り上げるのなんて余裕でしょう?其れこそ、更識が徹底的に調べ上げても、一切の不自然が出て来ないレベルで作ってしまうわよ。」

 

「束さんだからね。」

 

「束博士だから。」

 

「篠ノ之博士ですからね。」

 

「タバタバだからね~~♪」

 

 

 

束さんのあだ名が今この瞬間に『タバタバ』に決定されたとさ。のほほんさんのネーミングセンスは流石としか言いようがないわ。

こんな時でものほほんさんは平常運転だが、流石にアタシと束さんが知り合いだったと言うのには殆どの人が驚いてたな……アタシの事は最低限の調査はしていたけど、交友関係までは調べてなかったと言った所かな?

取り敢えず、アタシが無事に過ごせて居る事が分かれば其れで充分だったと言う事なんだろうな。

 

 

 

「思い出した!彼女、ISRIが男性操縦者の事を発表した時の記者会見に居た人だわ!

 襲い掛かって来た女尊男卑の女を拳銃で撃ち抜いたあの人だ……まさか、刀奈ちゃんと付き合ってるだなんて……」

 

「はーい、今は楯無って呼びましょうね和姫ちゃん?

 そう、夏姫はあの時の人よ……そして、その実力だって折り紙付きよ?……私は夏姫とISでも生身でも何度も戦ってるけど、私は只の一度も夏姫には勝った事がないのよ。」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

 

 

そして此処で二つ目の爆弾投下。

この場に居る全員が刀奈の実力は知ってる筈だから、その刀奈が勝てなかった相手となれば、其れは驚くだろうさ――まぁ、勝ってないと言うだけで、負けてもいないんだけどな。

 

 

 

「兎に角、そう言う事だから宜しくね?あぁ、跡継ぎ問題も、束博士が何とかしてくれるから心配しなくていいわ♪

 何よりも、私と夏姫の関係はお父様とお母様も認めてくれた事だから、此れはもう決定事項――異論があるのならば聞いてあげるから遠慮なく言って。

 だけど、『同性だから』とか、『あの計画の遺産だから』とかが理由なら、全部無視するから。」

 

「……先代の楯無である刀也様が認めたのならば、我等は何も言いますまい。

 跡継ぎも問題がないのならば同性が相手である事など些細なモノ……何よりも、今の楯無様が選んだ方ならば間違いはありますまい……我等は楯無様の部下に過ぎませぬ故、楯無様が決められたのならば、其れが絶対的に間違っていない限りは異は唱えません。」

 

「そうよね……楯無様が決めたのならば、私達にとっては其れが全て……楯無様が選んだ御方ならば、我等にとっても大事な御方ですもの。――異を唱えるどころか、祝福いたしますわ楯無様。」

 

 

 

此れは、アタシの予想に反して反対する者は居ないみたいだな?

刀奈が『同性だから』とかが理由で異を唱えるなら無視すると言った事も大きいのだろうが、『楯無』が決定した事であると言うのが最大の事だったんだろう――現当主が決めたのならば、余程の大間違いな事でない限りは異を唱える事も無いだろうからね。

だが、お陰でアタシは更識の皆に受け入れて貰う事が出来た……もう少し面倒な事になると思ってたんだが、スンナリと終わって良かったよ。

 

その後は皆で朝食を楽しんだ。アタシの作った玉子焼きは皆に気に入って貰えたようで良かったな。……刀奈が『はい、あーん♪』と来たのには少しだけ引いたがな。

まぁ、結局は其れを受け入れたアタシもアタシだと思うけどね。

そして、お返しに刀奈に『あーん』したアタシも大概だな……こう言うのを世間では『バカップル』と言うのかもしれない――まぁ、刀奈と一緒ならそう呼ばれても良いかもな。

アタシと刀奈がお互いの事を愛してるのは間違いないのだからね。

 

因みに刀奈が和姫と呼んだ人は『岬和姫(みさきかずき)』と言う名前で、刀奈の幼馴染なんだそうだ……なんでも、父親の後を継いで更識の一員になったのだとか。

ふむ、更識の構成員もバラエティに富んでるみたいだな。

 

 

 

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無事に朝食を終えたアタシは、刀奈と簪、そして虚さんとのほほんさんの案内で更識家の彼方此方を見て回らせて貰った――刀也さんが道場経営をしていると聞いたから予想はしてたんだが、本格的な道場が敷地内にあるとはな。

アレだけの立派な道場を有するのならば更識家の敷地面積が皇居に匹敵するのも頷ける……あの道場以外にも茶室なんかがあったからね。

 

道場の見学に行った時は、丁度実戦形式の練習――乱取りの最中で、刀也さんから『夏姫君も如何かね?』と誘われて乱取りに参加したんだが、まさか全勝してしまうとは思わなかったよ。

同世代ならば負けないとは思ってたが、大の大人にまで勝ってしまったからな……まぁ、リアルでキン肉バスターをかましたのはやり過ぎたかと思うけど。

 

道場での乱取りの後は、翠さんの茶道に参加したりととても充実した一日だった……そして夕食の後は、アタシと刀奈と簪と虚さんとのほほんさんで露天風呂を楽しんで、今は昨日泊った部屋よりも大きな部屋で五人が寝間着姿で一緒に居る訳だ。

昨日は刀奈と一緒だったが、こう言うのも良いモノだな?なんか、修学旅行の時みたいだよ。

 

 

 

「確かに人数的にも修学旅行っぽいかも知れないわね?……此れは、今夜はパジャマパーティかしら?」

 

「お姉ちゃん、其れはもう確定してる。

 だから、部屋からSwitch持って来た。スマブラなら皆で楽しめるから。」

 

「かんちゃんナイス~~!やっぱりパジャマパーティは楽しまないとだからね~~♪」

 

 

 

うん、その意見には諸手を上げて同意するよのほほんさん。

因みにアタシ達は現在のほほんさんが持参した着ぐるみパジャマに身を包んでいる――のほほんさんが狐、虚さんがカピバラ、刀奈が猫で簪が犬で、アタシは狼だ。

何と言うか、凄く合ってる気がするよ。

それじゃあ、パジャマパーティを始めようか?お菓子もジュースも沢山あるからね。

 

 

 

「そうね、イカレタパーティを始めましょう。」

 

「刀奈、此処でダンテのセリフは可成り間違ってると思うぞ?少なくとも、パジャマパーティはイカレタパーティではないと思うからね……寧ろ、最高のパーティだ。違うか?」

 

「違わないわね。

 まぁ、今のはアレよ、場を盛り上げるための演出みたいなモノ――さぁ、パジャマパーティを始めましょう!今宵は無礼講、主従関係なんて抜きにして思いっきり楽しみましょう♪」

 

「「「「おーーーー!!」」」」

 

 

刀奈の号令と共にパジャマパーティは開幕して、アタシ達はゲームやらカラオケマイクを使ってのカラオケなんかをして大いに盛り上がった。カラオケに関しては煩いんじゃないかと思ったが、其処は刀奈がジャスティスを使ってナノミストで水の防音壁を作ってくれた事で問題はなかったわ。

そして時間を忘れる位に楽しんだ結果、パーティが終わった時には時計の針が午前二時を指していた……結構飛ばしたものだな我ながら。

アタシ以外のメンバーは自然と寝落ちてしまい、其れは刀奈もなんだが、寝落ちしてもアタシの腕を離さないとは、相当に愛されてるみたいだねアタシは。

まぁ、アタシは刀奈の抱き枕になる事が多かったから、腕を抱きしめられてるくらい今更だけどな。

 

 

 

「夏姫……」

 

「マッタク、可愛い寝顔だな相変わらず。」

 

アタシの腕に抱き付いてる刀奈の額にキスを落とした後に、アタシも夢の世界にだ……色々な事があって目まぐるしい一日だったけど、其れだけに充実した一日だったのは間違いないと、胸を張って言う事が出来るよ。

本当に今日は良い一日だった――否、良い一日じゃなくて最高の一日だった。其れだけは、間違いない事だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 




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