Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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クリスマスパーティ……全力で楽しむぞBy夏姫      勿論、その心算よ♪By刀奈     


Break108『クリスマスパーティと、動き出す者達』

Side:夏姫

 

 

時は十二月二十四日、早い話がクリスマス・イブ。場所は織斑の家……なんだが、流石に此れだけの人数が集まると、リビングも狭く感じてしまうわね?

『クリスマス・イブの夜は織斑の家でパーティをやろう』と言う事で、虚さん以外のレギオンのメンバーにヴィシュヌ達を加えた二十四名が集まっているのだから当然と言えば当然なのだけれどね。

虚さんは五反田とのデートの予定が入っていて、此方に合流するのは夕方からになるんだそうだ――クリスマスデートを企画するとは、中々やるじゃないか五反田の奴も。

 

「しかし、この人数だとパーティは立食形式か?」

 

「そうじゃなきゃ無理だろ夏姫姉……此処に更に虚さんが加わって二十五人だろ?普通に一クラス分じゃねぇか。

 まさか全員参加するとは思わなかったぜ?レギオンの面子は兎も角、グリ姉達の中には欠席者も居るんじゃないかと思ってたからな……まぁ、ロランだけは確定してたようなモンだけどさ。」

 

「当然参加するに決まってるじゃないか弟君。

 愛しの夏姫とイブの夜を過ごす事が出来るとは、何とも甘美な事だとは思わないかい?……まぁ、彼女一人の為に、九十九の百合達とのパーティを断ってしまったのは心が痛むが……」

 

 

 

ロラン……コイツの脳ミソは本気で色々大丈夫だろうか?

アタシも同性愛者だから其処をとやかく言う心算はマッタクないが、流石に九十九人も恋人が居ると言うのは如何なモノか……九十九人全員を平等に愛しているのならば問題ないが、アタシは百人目になってそのハーレムに加わる心算はマッタクないからね?

そもそもにして、この間楯無の両親に挨拶に行って関係を認めて貰ったし、楯無とも正式に契りを交したからな。

 

 

 

「契り?」

 

「分かり易く言えばアタシと楯無は籍は入れてなくとも婚姻状態にあるのと同じと言う所かな?ん、ちょっと違うか?」

 

「婚姻状態だってぇ!?」

 

 

 

うん、そう。

日本では同性婚は認められてないから、『同性パートナー制度』を導入してる行政区に戸籍を移す以外はないんだけどね……尤も、そう遠くなく法改正が行われて日本でも同性婚及び多重婚が認められる可能性は極めて高いけどな。

 

 

 

「マジか?となると、ヤッパリ楯無さんの事は、楯姉って呼んだ方が良いんですかね?如何思います、楯姉?」

 

「ゴメ、此れは予想以上に破壊力が高いわ……一夏君みたいなワイルド系イケメンにそう呼ばれると、油断してたら鼻から愛を噴出しちゃうわ本気で。」

 

 

 

そして、一夏が楯無の事を『楯姉』と呼んで若干撃沈したか……そんなに来るもんかねぇ?

アタシには良く分からんが、子供の頃からの弟分であったかそうではないかで違ってくるのだろうか?オータムさんも良い意味での大ダメージを受けてたからね。

 

にしても、今年のクリスマスパーティは賑やかになりそうだ……参加者の事を考えると、十一ヵ国の料理が並びそうだしね。

其れじゃあ、夜のパーティに向けて準備と行こうか。――にしても、束さん『今日の買い物は全部これで払って良いから』って、会社のカードを置いてくと言うのは流石に太っ腹過ぎじゃないだろうか?

ブラックカードなんて物を初めて見たよ……実在してたんだな此れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break108

『クリスマスパーティと、動き出す者達』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:スコール

 

 

ふぅ、長期休みでも教員には仕事があるから、教師と言うのも存外楽じゃないわ……と言うか、クリスマス・イブの日にまで仕事入れなくても良いんじゃないかしら?

IS学園は特殊な場所だから、普通の学校とは違うのは理解しているけど、今日にまで仕事が入ってるのは正直嫌がらせであるとしか思えないわよ?

まぁ、せめてもの救いはその仕事は全部午前中で終わらせる事が出来る程度のモノだったと言う事かしら?……午前中で終わってしまえば、今夜のクリスマスパーティには参加出来るもの。

 

 

 

「ふぅ、お疲れ様ですミューゼル先生。」

 

「貴女もお疲れ様ね千冬。」

 

「……一応、学園内なのですが?」

 

「固い事言わないの。

 どうせ学園内の生徒なんて、自国に帰らなかった代表候補生位なのだから、プライベートモードでも問題ないわよ……其れに、こんな時まで教師モードじゃ精神的に疲れちゃうわ。

 真耶もそう思うでしょう?」

 

「はわわ?此処で私に振りますかぁ!?」

 

 

 

あらあら、本当に真耶は反応が一々可愛いわねぇ?……なんて言うかこう、意地悪したくなっちゃうわ。

 

 

 

「……スコール、山田君に弩Sな視線を向けるな。すっかり怯えているだろうが!」

 

「はわわ、怖い事しないで下さい!怖いの嫌です!!」

 

「あ、あら?ごめんなさい、そんなに怖かった?

 ……亡国企業のエージェントとして、捕らえた相手に情報を吐かせる為に拷問とかやってたから、無意識にサディスティックになってたのかしら?……オータムとSMプレイをした記憶は無いから、多分そうなんでしょうね?」

 

「何と言うか突っ込み所が多過ぎて何処から突っ込めばいいのか分からんが、言動には注意しろスコール。

 お前が亡国企業のエージェントだと言う事を知っているのは、教師陣では私と学園長と山田君だけなのだから。」

 

 

 

そうね、今後は注意するわ。

そうだ、話は変わるけど千冬も真耶も今夜暇かしら?特に予定がないのなら、ISRI本社で開催されるクリスマスパーティに参加しない?夏姫達企業代表を除いた社員全員が参加する結構大規模なパーティよ。

 

 

 

「む……其れは別に構わないぞ?山田君も今日の午後はオフだっただろう?」

 

「は、はい。午後はフリーです。」

 

「じゃあ、決まりね?

 誘えて良かったわ……束が『ちーちゃんとクリスマスパーティした~い!』って言ってたからね――そんな訳で、貴女が参加すると知ったら、束は色々と張り切ると思うからその心算で居てね千冬?」

 

「アイツが張り切るとか、嫌な予感二百十%だな。」

 

 

 

うん、そう思うのは分かるわ千冬。

束ったら、参加するかどうかも分からないのに『ちーちゃんが参加した時の為に!』とか言って、最高級のシャンパンとかワインとか純米吟醸とか、各種のお酒を準備していたからね。

 

 

 

「ほう?其れはとても楽しみだな?」

 

「千冬ってば結構イケるクチだものね……いっその事オータムも加えて飲み比べでもしてみる?私結構強いから、負ける気はないけど。」

 

「私に飲み比べを挑むとは……良いだろう受けて立つ。

 自慢ではないが、現役時代に酒の席で酒豪を自称する男共を二十人程潰した事があるぞ私は。」

 

「世界最強は、酒の強さも世界最強って事かしら?ふふ、楽しめそうね♪」

 

そう言えば、束って酒は強いのかしら?開発部に缶詰めになってる事が多いから普段は飲んでるイメージがないし、IS関連会社のイベントのパーティとかに参加した場合も、精々カクテル二杯程度しか飲んでないし。

……若しかしたら、今夜は束がドレだけ酒に強いのかを見る事が出来るかも知れないわね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

パーティは準備している時から楽しいモノだ、と言うのを何処かで聞いた記憶があるが、マッタク持ってその通りだな。

食材やパーティグッズなんかは午前中の買い出しで全部揃える事が出来たので、今は夜のパーティに向けて部屋の飾りつけや料理の真最中と言う所。

パーティグッズなんかはデパートの方が品揃えが良いので其方を使ったが、食材に関してはデパートの食料品売り場やスーパーを使うよりも地元の商店街の方が良いモノが安く手に入るので其方を利用した。

其れでも普通なら結構な出費になる所なんだが、束さんが置いて行ってくれたブラックカードを使わせて貰ったからアタシ達の出費はゼロ。……今度お礼に束さんに何かしないとな。デパートで買ったツリーとか、普通は学生が手を出せるモノじゃなかったしね。

 

さて、クリスマスパーティの主役メニューと言えば『ローストチキン』だが、アタシ達が肉屋で購入したのは骨付きの鶏もも肉でも丸鳥でもなく、牛の塊肉を二つと骨付きのラム肉(ラムチョップに加工されたのではなく、ブロックで売ってた)一つと丸ごとのアヒル肉を二つだ。

ローストチキンは確かに定番ではあるけど、定番でと言うのは面白くないのでこれらの肉を購入した次第だ。

で、アタシは現在骨付きラム肉を調理中。

敢えて切り分けずに、ブロックの状態のままでスパイスを擦り込んで、その周りを香草を混ぜた岩塩で固めて行く……後はこの巨大な塩の塊と化した肉を低温のオーブンで二時間ほどじっくり焼いてやれば『骨付きラム肉の塩固め焼き』の完成だ。

 

ラウラ、そっちはどんな感じだ?

 

 

 

「うむ、順調だぞ姉上。

 塊肉の一つはローストビーフにして、もう一つはスライスしてシュニッツェルにする心算だ――ローストビーフの本場はイギリスだが、シュニッツェルはドイツが本場だからな。

 皆に本場のシュニッツェルを堪能して貰おうではないか!」

 

「其れは、期待しているぞラウラ。

 で、そっちは如何だ鈴?アヒル肉はお前の提案で購入したんだが、アレをどう料理する心算なんだお前は?」

 

「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたわ姫義姉さん。

 其れに答える前に、アタシは何処の国の出身だったっけ?」

 

「何処って、中国だろ?正式に言えば中華人民共和国。」

 

「正解。

 で、その中国には世界に誇るアヒル料理があるでしょ?」

 

「中国のアヒル料理?……若しかして、北京ダックか?」

 

「大正解~~!今夜は本場の北京ダックをも超えた究極の北京ダックをご馳走してあげるわ!

 北京ダックって、本来はパリパリに焼いた皮の部分だけを薬味やタレと一緒に薄餅で包んで食べて、中の肉は捨てちゃうって言う贅沢極まりないモノなんだけど、そんなのはメッチャ勿体ないでしょ?

 だから、外側の皮だけじゃなく、中の肉まで美味しく食べられる北京ダックを作ってやるわ!」

 

 

 

……北京ダックの知りたくなかった真実だな……一番美味しい所だけを食べて後は捨てると言うのは確かに究極の贅沢かも知れないが、其れは絶対にやっては駄目だ。

そう言えば、豚の丸焼きも、中国では外側の皮だけ食べて後は捨てると聞いた事があるが……ドレだけ食品ロスが多いんだ中国は?

一部の富裕層が贅の限りを尽くして、多くの貧困層は今日食べるにも困っているとは……此れ、レギオン介入案件だと思うな普通に――だが、其れは何時かやるにしても、肉まで美味しく食べられる北京ダックには期待するよ鈴。

 

 

 

「まっかせなさい!外側の皮はパリパリサクサクで、中の肉はしっとりジューシーな北京ダックを作ってやるから!!」

 

 

 

うん、気合が入ってるな。

さてと、一夏の方は如何だ?魚屋で購入した生魚をカルパッチョにすると言っていたが……

 

 

 

「お~りゃりゃりゃりゃ!!はい、マグロの飾り切り一丁上がり!

 そして此れを中央に盛って、周りを鯛と平目の刺身で囲って、水にさらして辛みを抜いた玉ねぎのスライスとフライドガーリックを散らして、オリーブオイルベースのタレを掛けて、そんでもって最後に彩り鮮やかな刻みパセリを降ってやれば海鮮カルパッチョの完成だぜ!!」

 

 

 

うん、絶好調みたいだな。

取り敢えず、料理の方は順調に進んでると見て良い――ダリルはサラダの盛り合わせを作ってるし、乱も手軽につまむ事の出来るフライドポテトやゴボウスティックを作っているしな。

其れで、お前は何を作っているんだマドカ?

 

 

 

「ナツ姉さん、よくぞ聞いてくれた。

 私が作ってるのは漫画で見た『冷やしトマトのあん肝詰め』だ。アンコウは冬場が旬だから、其れを逃す手はないと思って魚屋で買っておいたんだ。

 海のフォアグラとも言われているあん肝の濃厚な味わいと、トマトの旨味が豊富にも拘らずサッパリとした味わいは相性が抜群だと思ったからな。」

 

「ミスター味っ子だな其れは。

 だが、其れ確かに美味しそうだ。一夏のカルパッチョと同様に、冷たい料理として良い感じだと思うぞアタシは?……マドカも、料理は得意だったんだ。」

 

「ジャンク屋のギルドに居た頃は、殆ど私が料理当番だったから、自然と料理の腕は鍛えられると言うモノさ。

 時にナツ姉さん、私は今は日本に住んでる訳だが、住む場所が変わってもサンタクロースは来てくれるだろうか?」

 

 

 

ん?料理の腕前云々は兎も角として、サンタクロースだと?……まさかとは思うが、マドカはサンタクロースの存在を信じてるのか?――アタシ達よりも年下とは言え十三歳だろ?

サンタクロースを信じる歳でもあるまいに……あのなマドカ、サンタクロースは――

 

 

 

「はい、其れ以上は言ったらダメっす夏姫!!」

 

 

 

サンタクロース事をマドカに説明しようとしたらフォルテからタックルかまされた……何でよ?

 

 

 

「(こっからは小声で頼むっす!マドッチにサンタクロースの真実は言ったらダメなの!

  ギルドのおっちゃん達のせいで、マドッチは未だにサンタクロースが存在してるって信じてるんすよ!)」

 

「(は?如何言う事だ?)」

 

「(ジャンク屋のギルドって女性も居るっちゃ居るっすけど、全員大人の技術者で、アタシが参加するまではマドッチ以外の女の子は居なかったんすよ。

  で、マドッチが保護されたのは十年前、つまり三歳だった訳で……要するに、ギルドの大人達に滅茶苦茶可愛がられてて、クリスマスの時には当然プレゼントも貰ってた訳っす。

  其れだけなら何の問題も無かったんすけど、誰かがマドッチに『クリスマスの夜に枕元に靴下を置いておくと、サンタクロースって言うお爺さんがプレゼントを入れてくれるんだ。但し誰にでもじゃない、良い子にだけな。』って言ったみたいで……其れを信じたマドッチは積極的にギルドの手伝いをしてサンタからのプレゼントを楽しみにするようになっちゃったらしいんす。

  まぁ、その『お手伝い』を続けた結果、マドッチはギルドで最強のIS乗りになっちまった訳っすけどね。)」

 

「(何だ其れ……)」

 

何と言うか、パーティの前に聞いちゃいけない事を聞いた気がする……まさか、マドカが未だにサンタクロースを信じているとは予想外にも程があるわ。

そうなってしまった理由も含めてな。――だけど、それはそれで困ったわね?

クリスマスプレゼントは普通に買ってあるが、サンタクロースからの贈り物用は買ってない――ならば、急ぎ用意するしかないじゃないか。

フォルテ、此れよりお前に最重要任務を言い渡す。

此のブラックカードを預けるから、今すぐマドカへの『サンタクロースからのプレゼント』を見繕って来てくれ。内容はお前のセンスに任せる――この面子の中ではお前が一番マドカの事を知ってると思うしな。

 

 

 

「(了解っす!報酬は?)」

 

「(ガッチリしてるなお前……駅前のラーメン店の『プレミアム濃厚塩トンコツ』で如何だ?)」

 

「(過不足ねぇっす!)」

 

 

 

頼むぞマジで。――マドカのサンタクロースの事は、スマホメールでマドカ以外に一斉送信と。

 

 

 

「夏姉さんとフォルテは何をやってるんだ?と言うか、何でフォルテは夏姉さんにタックルかましたんだ?」

 

「え~っと……夏姫の腰の辺りにメッチャでっかいムカデが張り付いてて、アレに刺されたらトンでもない事になると思って、タックルかましてムカデの野郎を強制退場させたんすよ!」

 

「あまりのタックルの衝撃に、ムカデは驚いてマッハ3の速度で逃げて行ったがな……何だあのムカデの大きさは?近くで放射能でも漏れてるのか?」

 

「そうだったのか?行き成りタックルをするから驚いたぞ。」

 

 

 

まさか誤魔化す事が出来るとはお姉ちゃんちょっとビックリだ……まぁ、誤魔化す事が出来たのならば良いか。

其れじゃフォルテ、追加の買い出し頼んだぞ。

 

 

 

「了解っす!」

 

「あ、フォルテ!買い出しに行くならどっかで生クリーム二つ買って来てくれる?

 本音がケーキ用に作った生クリームを『味見』って言って半分位食べちゃったからケーキに使う分が全然足りなくなっちゃってるの。出来れば乳脂肪分42%のをお願い。」

 

「分かったっす静寐!」

 

 

 

フォルテはサンタクロースからの贈り物を買いに行く序に生クリームも買う羽目になったか……と言うか、味見で半分近く食べてしまうと言うのは、其れはもう味見じゃなくて摘まみ食い――をも通り越した悪質な盗食だぞ?

普通なら盛大に説教を喰らう所なのだろうが、スウィーツ担当のマリアと静寐とメアリーが其れ程怒って居ない様に見えるのは、やったのがのほほんさんだからかな?……あの笑顔を見たら、本気で怒る気もなくなるからな。

 

 

 

「そう言えば夏姉さん、私の住む場所が変わったのもそうだが、煙突の無いこの家にサンタクロースは入って来れるのか?

 ギルドの拠点は暖炉があったから煙突もあったんだが、此の家には無いからな……サンタクロースは入って来れないんじゃないかと思うんだが……」

 

「え~と……其れはだな……」

 

「ふ、其れは心配無用よマドカちゃん。」

 

 

 

マドカからの素朴な疑問に如何答えようかと思ってた所で刀奈が来たか……割り込んで来たと言う事は、何か策があるのだと思うけど、一体如何説明する心算なんだ刀奈は?

 

 

 

「サンタクロースはたった一人で世界中の子供達に一晩でプレゼントを配ってしまう超人なの。――だから、彼には人知を超えた特殊能力が秘められてるのよ。

 昔は煙突から家に入っていたけど、今のご時世だと煙突付きの家なんて殆どないし、マンションやアパートも多い上に家のセキュリティも強固になってるから家の中に入るのは困難よね?

 だけど、サンタクロースは『壁抜け』『ステルス』『瞬間移動』の三つの特殊能力を持っているのよ。

 瞬間移動があるから一晩で世界中の子供にプレゼントを配る事が出来るし、ステルスと壁抜けの特殊能力で煙突のない家にも入る事も出来るし、防犯センサーをも潜り抜ける事が出来るのよ。」

 

「そうなのか?サンタクロースは凄いんだな。」

 

 

 

うん、可成り無理矢理な説明だったがマドカは納得したみたいだから良しとしよう……アレだけの出鱈目設定をスラスラと言ってしまう刀奈は流石と言った所だけどね。

そう言えばスープはお前が担当してたよな楯無?出来は如何だ?

 

 

 

「其れは当然最高よ夏姫♪

 牛テールのコンソメに、トマトの煮汁とダージリン紅茶を合わせたコンソメスープが完成してるだけじゃなくて、サーモンと玉ネギと白菜のクリームスープも完成しているわ。

 味の方は保証付きよ♪」

 

「其れは言われなくても分かってるさ……うん、コンソメの爽やかな香りと、クリームスープの濃厚な香りが食欲中枢をダイレクトに刺激して来るね。」

 

刀奈の料理の腕前は可成り高い事は知っていたが、まさか此処までだったとはね……コンソメスープは牛テールの他にも色んな具材を使っているにも関わらず、スープは物凄い透明感があるし、クリームスープの方は牛乳で煮込まれた白菜が溶けてしまいそうな位に柔らかくなっているみたいだし、サーモンの色どりも綺麗だしね――パーティで其れを食べるのが楽しみになって来たよ。

 

 

 

「ふふ、ありがと。可成り気合入れて作ったから貴女の期待には応えられると思うわよ夏姫。」

 

「ふ、益々楽しみだな楯無。」

 

お前が気合を入れたと言うのならば期待出来ると言うモノだからね。――まぁ、今はパーティの準備に集中だな。

準備がちゃんと出来てないと、パーティ其の物を開く事が出来なくなってしまうからね――さて、ラストスパートと行くか。

 

因みに、サンタクロースの贈り物を買いに行ったフォルテは三十分程で戻って来た……静寐に頼まれた生クリーム以外のモノは見えなかったけど、サンタクロースからの贈り物は、自機の拡張領域に量子化して収納したらしい。

……今更ながら何でもアリだなISは。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

料理も部屋の飾りつけも全てが終わり、現在十八時ジャスト。五反田とのデートを終えた虚さんも準備の終盤から合流して、此れで全員集合だ。

それじゃあ、皆のグラスに飲み物を注いで……

 

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「メリークリスマース!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

お決まりのセリフと共にグラスを掲げてパーティスタートだ。

流石にこの人数だと全員でグラスを合わせる事は出来ないから、乾杯はグラスを掲げるだけ。グラスを合わせるのは個人的にってやつだな。

尚、全員未成年なのでグラスに注がれたのはシャンパンではなく発泡ぶどうジュースなので悪しからずだ。

 

見事に装飾された室内に、電飾や綿、その他小物で飾り付けられてクリスマスツリー……天辺の星が何故『無敵スター』なのかが気になるが、其れは突っ込んだら負けなんだろうな。このクリスマスツリーは無敵か。

 

そしてテーブルの上には所狭しと並べられた料理の数々……アタシの『骨付き子羊肉の香草塩固め焼き』、鈴の『究極の北京ダック』、ラウラの『黒兎式ローストビーフ』と『本場のシュニッツェル&他の料理で出た野菜の余りで作ったフライの盛り合わせ』、一夏の『海鮮カルパッチョ』、マドカの『冷やしトマトのあん肝詰め』、乱の『手軽に食べられるスナックセット(フライドポテト、ゴボウスティック、イカのげそ揚げ等)』、ダリルの『思いつく限りのサラダを作った(シーザーサラダ、コールスローサラダ、タラモサラダ、春雨サラダ等々)』、刀奈の『至高のコンソメスープ』と『サーモンと霜降り白菜のクリームスープ』だな。

後はスウィーツ担当のマリアと静寐とメアリーによるクリスマスケーキ(ブッシュ・ド・ノエル&雪ダルマ型ケーキ)と、色とりどりなゼリービーンズ――ホテルのクリスマスパーティ並みの豪華さだな此れは。

 

其れじゃあまずは……鈴の北京ダックから頂こうかな?皮は見た目からしてパリッパリに焼けているようだが、果たして中の肉は如何かな?

……うん、美味しい。美味しいよ鈴。

皮はパリッパリだけど、その下のアヒル特有の脂身は不必要な脂が抜けててコクがあるし、中の肉もスッゴクジューシーで美味しいよ。

 

 

 

「あぁ、夏姫姉の言う通り此れは最高に美味いぜ鈴!ぶっちゃけこんなに美味い鳥料理って食った事ねぇよマジで!!」

 

「味付けは中華風だが、中華料理特有の脂っこさやしつこさは全く感じないどころか、素材の旨味を感じる事が出来る……此れは、焼き上げる前に肉を紹興酒を使ったタレに付けておいたのか?」

 

「ふっふ~ん、酢豚だけじゃないのよアタシは!

 で、箒は大正解!焼き上げる前に、紹興酒と塩とハチミツを混ぜたタレに二時間くらい漬け込んでおいたのよ――こうする事で素材の旨味が増して、更に肉もとっても柔らかくなるのよ!」

 

「へ~~?其れは知らなかった……ブラジルで肉と言えば普通に焼くだけだったからね。

 だから物によっては焼き加減を間違えると固くなっちゃうんだけど、夏姫の羊は全然固くないわ。それどころか羊特有の臭いもしないなんて驚きよ?」

 

 

 

あぁ、其れは塩釜焼の効果だよグリフィン。

周りを塩で固められているから、羊肉の水分が熱で蒸発しない為に肉本来の柔らかさが熱を通されても保たれているんだ。羊肉特有の臭みがマッタクないのは、肉を覆った塩の中に沢山の香草を刻み込んでおいたからだよ。

普通は肉に直接振り掛ける所なんだが、塩釜焼で其れをやると、香草の匂いが内部に籠ってしまって逆にきつくなるから、塩に混ぜ込む方が良いんだ。

 

 

 

「へ~~、塩釜焼は知ってたけど、こんなアレンジの仕方があるとは知らなかったわ……料理って奥が深いわね?

 時に夏姫、私が作ったスープは如何かしら?」

 

「ふ、美味しいに決まってるじゃないか楯無。

 コンソメは深いコクがある割にはスッキリと旨味のエキスを感じる事が出来るし、クリームスープの方は濃厚だけどしつこくなくて、サーモンの旨味と白菜の蕩ける食感と玉ネギの甘さが最高だ。」

 

「うふ、ありがと♪」

 

 

 

まぁ、此の場に並んだ全部のメニューが超一級品であるのは間違いないけどね。――のほほんさんは、完全に食べるのに夢中になってるみたいだしな。

あんまり急いで食べるなよのほほんさん?

 

 

 

「も?」(ハムスターほっぺ)

 

「あ~~……その、なんだ、美味しいかい?」

 

「♪」(コクコク)

 

 

 

そうか、ならば良かったよ。のどに詰まらせない様に注意だけはしてくれ。

 

 

 

そんな感じでパーティは進み、プレゼント交換ではアタシが刀奈に指輪をプレゼントした事で歓声が上がり、逆に刀奈は刀奈で自分の首にリボンを巻いて『プレゼントは私♡』とかやって別の意味で大歓声だった。

まぁ、流石に其れは冗談で、刀奈から貰ったのは革製の眼鏡ケースだった……しかも鰐皮の高級品だ。ありがとう、大切に使わせて貰うよ。

 

その後もパーティは盛り上がったんだが、十時を過ぎた所でマドカが退場――サンタクロースが来る前に寝てないとプレゼントが貰えないからと言うのは何とも可愛い理由だね。

で、マドカが完全に寝たのを確認した後に、フォルテがサンタクロースからの贈り物をマドカの枕元に置いてミッションコンプリートだ……フォルテがチョイスしたのが『1/4スケールDXくまのぷーさんぬいぐるみ』だったのには驚いたけどね。

 

そして、十一時を回る頃には宴もたけなわ……参加者の殆どが騒ぎ疲れて寝落ちしてしまったからな。――なので、アタシは庭に出て空を見てるんだが、どうせなら一緒に如何だ刀奈?

 

 

 

「そうね、御一緒させて貰うわ。」

 

「是非そうしてくれ……一人で空を眺めるよりも、二人の方が楽しいからね。」

 

「ふふ、其れは当然よ夏姫――一人よりも二人の方が楽しいのは当たり前の事だしね……其れよりも夏姫、頭上に注目!さて、上には何があった?」

 

「ヤドリギ?」

 

「正解。

 そしてクリスマスの時は、ヤドリギの下では……ね?」

 

 

 

ヤドリギの下ではキスが許される、か……マッタク持ってまどろっこしい、アタシ達にとってはキスなど今更だろう刀奈?キスして欲しいならそう言えよ?アタシが断る筈がないだろう?

公衆の面前では兎も角、今は誰も見ていないのだから断る理由もないさ。

 

 

 

「言われてみればそうね……其れじゃあ夏姫、今日は特別な日だから最高の祝福をくれるかしら?」

 

「お前が其れを望むのなら、アタシは其れに応えるだけだ……改めて、メリークリスマス刀奈。」

 

「うん、メリークリスマス夏姫。」

 

 

 

そしてアタシ達の距離はゼロになった……ふふ、聖夜のキスと言うのはまた特別な感じがするな――尚、如何やら一夏も鈴と箒と同じ事をしてたみたいだな……血は繋がってなくとも姉弟は似るのかも知れないな。

 

その後、束さんから写メで『ISRIのクリスマスパーティ』の有様が送られて来たんだが……完全に酔いつぶれたスコールさんとオータムさんを傍目に、ビールをラッパ飲みする千冬さんって、一体どんな状況だ此れは?

まぁ、取り敢えず危険性は無さそうだから愉快なクリスマスパーティだったのだろうが、あのスコールさんとオータムさんを酔い潰すとは、流石は千冬さんとしか言えないな。

まぁ、大人組は大人組で楽しんだみたいだから、無粋な突込みは入れない方が良いだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:イルジオン

 

 

さて、現時刻をもって境標準時で日付は十二月二十五日になった……其れじゃあ、始めようか教授?

 

 

 

「うむ……世界地図ルーレットスタート。」

 

 

 

そして、教授が放った矢が刺さった場所は……カナダか。まずまずと言った所だな?――最大の障害になりそうなコメット姉妹はIS学園に行っているから脅威となり得る存在は殆どない訳だから、あの馬鹿達を暴れさせてやるには丁度良いな。

 

「時に教授、太平洋のど真ん中とか南極や北極にダーツが刺さったら如何する心算だったんだ?」

 

「其れは勿論やり直しだよイルジオン……最初は、そう言う所に刺さった場合は、IS学園をターゲットにしようと思っていたのだが、其れでは後の楽しみが無くなってしまうと思ってね。

 君とて夏姫君とは前座ではなく、メインイベントで戦いたいだろう?」

 

「別に、私はオリジナルと戦えるのならば前座だろうとメインだろうと拘りは無いが……だが、楽しみは後に取っておくと言うのも一興か。」

 

取り敢えずカナダはクリスマスの夜に悪夢を見る事になる訳だな――此れより、血塗られたサンタクロースが最悪のクリスマスプレゼントをくれてやろう。

受け取り拒否など不可能な破滅と絶望と言う名のプレゼントをね。

 

さぁ、戦いの始まりだ。

プレゼントを受け取ったカナダの惨状を目にした時、お前がどんな顔をするか楽しみだよオリジナル――精々驚いてくれよ?私達の宣戦布告に、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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