Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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雑魚共が、道を開けろ!By夏姫      悪いけど、雑兵に興味は無いわ!By刀奈


Break113『Infinite never Battle Fighting』

Side:一夏

 

 

先ずは先発隊として夏姫姉と楯姉がミーティア装備で出て、其の後でラウラ率いる黒兎隊が出て行った訳なんだけど、ぶっちゃけ戦いになってねぇな此れは……まぁ、無人機如きが夏姫姉と楯姉に適うとは思ってないけど其れでも此れはスゲェわ。

フリーダムとジャスティスのミーティアフルバーストで無人機の大半を片付けてる上に、フルバーストから逃げる事が出来た奴は、黒兎隊がキッチリと後始末してるからなぁ……マジで無人機如きは敵じゃないか。

 

 

 

「良い働きをするじゃないかドイツの黒兎は。此れも、ちー姉さんの教えの賜物か?」

 

「私が教えたのは、あくまでも戦いの基礎に過ぎん。

 其れをあそこまで昇華させたのは、アイツ等だ……尤も一年間アイツ等の教官を務めた身として、此れだけの成長をしてくれたと言うのは、教官冥利に尽きると言うモノだがな。

 とは言え、教え子達だけに戦わせておく訳にも行くまい。

 無人機では如何にも敵わないと言う事は、幾ら奴等が阿呆だとしてもこの戦いを見て理解した筈だろうさ……いい加減、無人機以外の連中が出て来るだろうからな。」

 

「千冬義姉さんの言う通りね、アタシ達も出ましょうか一夏?」

 

「だな。楯姉の思惑はバッチリハマったみたいだから、今度は俺達も出てライブラリアンの本命の戦力を叩き潰してやるとしようぜ。」

 

ライブラリアンだけじゃなく、其れに付いた国や企業の連中もだけどな。

何を考えてライブラリアンに付く事を決めたのか其れは知らないし、知ろうとも思わない……だが、平気で国一つぶっ壊して脅しを掛けて来るような連中と手を組んだ奴等には容赦しないぜ俺達は。

 

 

 

「うんうん、その勢いは大事だよ!

 なっちゃんとたっちゃんと、黒兎の皆がド派手な先制パンチをブチかましてくれたから、追撃に強烈なマシンガンパンチをお見舞いする事にしよう、そうしよう!

 と、言う訳で、戦闘要員の皆は一人残らずカタパルトにゴー!準備が出来た人から順次出発進行ーって事で!出たら、手加減とかそう言うのは一切考えないでやってくれて良いよ!

 仮に機体が破損しても、その時はアークエンジェルに帰還してくれれば直ぐに補修しちゃうしね♪」

 

「乱戦、混戦が予想される戦場では、絶対に機体が破損しないとは言い切れませんからね。もしもの時は、頼りにしてますよ……お姉ちゃん。」

 

「ゴフアァァァ!?……やべーよ、電話越しとは比べ物にならねーよ。生箒ちゃんの『お姉ちゃん』とか……ガハッ!!」

 

 

 

おぉっと此処で、箒の束さん限定の一撃必殺技がクリティカルヒット!束さんはそのままダウンして動けない!

っとぉ、カウントを取る前に此処でレフェリーの簪が腕を交差させてから振り下ろした!ダウンカウントを取るまでもなく、束さんは箒の一撃で完全なまでにTKOされてしまったようだ~~!!

 

 

 

「……此れから戦場に出るってのに、余裕だなお前等?」

 

「秋姉知ってるか?戦いってのは、どんな時でも心に余裕のある奴が最終的に勝つ事が出来るんだぜ?って言うか、俺にそう教えてくれたのって秋姉だったと思うんだけど?」

 

「おうよ。だからお前は正しいぜ一夏。

 其れにオレは『余裕だな』って言っただけで、『緊張感が足りねぇ』って咎めた訳じゃねぇんだぞ?余裕が無くてカッツカツな状態じゃ勝てるモンも勝てねぇからな。

 余裕持って、冷静な思考を維持出来りゃ、後は気合と根性があれば大抵の事は何とかなるってモンだからな……ま、所詮相手は誇大妄想のクソったれと、其れの脅しに屈したチキン共だからオレ等の相手じゃねぇ。

 だから、お前等は何も気にせず思い切りやれ!気合入れて行くぞガキ共!!」

 

「「「「「「「「「「おーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」(鍵カッコ省略)

 

 

 

でもって、流石は秋姉、姉御肌の人は年下を乗せるのが巧いよな。――だが実際に、秋姉の号令で皆の士気が上がったのは間違いねぇ。

……ライブラリアンに個人的な怒りを持ってるコメット姉妹とブリーズからは、気合の他に若干『黒い何か』が沸き上がった気がするけど、見間違いだと思う事にするぜ流石に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break113

『Infinite never Battle Fighting』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ISスーツに着替えて、カタパルトデッキに。って、俺が一番乗りか。まぁ、男性用の更衣室は俺しか使ってないから当然か。

女性用の更衣室は全員が一度に入る事は出来ないし、そもそもにして女性は野郎よりも着替えに手間取るだろうからな……箒曰く、ISスーツに着替える際には突っかかるらしいからな、胸が。

其れが本当だとしたら、マドカとコメット姉妹と乱とクーは着替えるのが楽そうだな。突っかかる物なさそうだし。……逆に言うと、箒と山田先生は他の人よりも時間かかるかもだな。

 

 

 

「ナツ兄さん、若干不愉快な事を考えてなかったか?」

 

「考えてないぞマドカ。

 只、大きいからと言って興奮している巨乳好きと言う馬鹿共に、大切なのは大きさではなく形の良さだと言ってやりたくなっただけだ。デカいだけじゃダメなんだよ、形が良くないと。

 巨乳よりも美乳なんだ、分かるかマドカ?」

 

「ほう?そうなると箒姉さんは如何なる?」

 

「美乳の魔乳は最高だぜ。」

 

「そうか、なら其れをそのまま伝えておくとしよう。」

 

「さーせん、調子に乗りました。其れだけは止めてくれマドカ。其れが箒の耳に入ったら、俺は三枚に下ろされて『一夏の活け造り』にされちまうって。」

 

「ナツ兄さんの活け造り……わさび醤油が合いそうだ。」

 

「まさかのカニバリズム!?って言うか、若干ヤンデレ入ってねぇかオイ!?」

 

「どいてお兄ちゃん、そいつ殺せない。」

 

「ネトゲのヤバ気の執着ストーカー来ちゃった此れ!」

 

我ながら、出撃前にアホな事やってんなぁ……其れだけ心に余裕があるって事なんだろうけどさ。……俺の言っていた事には、若干の本音が入ってたのは秘密だけどな。

にしても、女性の一番乗りはお前だったかマドカ。

 

 

 

「早着替えは私の特技なんだよ。

 ジャンク屋のギルドに居た時に、緊急時に直ぐに出撃出来るように如何に素早くISスーツに着替える事が出来るのかを練習したからな。

 それと、この決戦はナツ兄さんと一緒に出撃したかったから余計にね。」

 

「俺と一緒にって、何で?」

 

「この戦いは、私とナツ兄さんとちー姉さんにとっては己の因縁との決着を付ける戦いとも言えるだろう?

 ライブラリアンには、一秋のバカをはじめとした織斑計画で生まれた、ちー姉さんの成り損ないにしてナツ兄さんの成り損ない共が居るからな……計画の失敗例である奴等は私達の手で始末しなくてはだろう?

 その為の戦いは、ナツ兄さんと一緒に出撃したかったんだ……ちー姉さんではなく、ナツ兄さんとな。」

 

 

 

因縁の戦いか……確かにそうかも知れないな。

織斑計画で誕生した千冬姉と、そのスペアであるマドカ、そして量産型のプロトタイプである一秋と、量産型の一号機である俺と、俺以降の量産型の成れの果ては、成功例である俺達が始末しないといけないのかもな。

特に一秋……アイツだけは絶対に俺の手で叩きのめしてやる……鈴をリンチした事や、夏姫姉を殺そうとした事、俺は未だ許してねぇからな?……アイツの機体も近接戦闘に特化したストライクだったが、性能が略同レベルの機体だったらどっちが上かってのを教えてやるぜ。

 

「其れは光栄だぜマドカ……なら、行くとしようぜ!」

 

「了解だ!」

 

 

 

――ピピ

 

・Generation

・Unsubdued

・Nuclear

・Drive

・Assault

・Module

 

――G・U・N・D・A・M

 

 

 

俺はストライクを、マドカはテスタメントを起動してカタパルトに足を固定してスタンバイOKだ。

 

 

 

『システムオールグリ~~ン。進路クリア~~。イッチー、マドマド~、発進OKだよ~~~♪』

 

 

 

……発進シークエンスはまさかののほほんさんでしたとさ!……いや、緊張しなくて良いんだけど、逆に何か力が抜けるって言うか――でも、其れがのほほんさんの魅力なんだよな。

おかげさんで、最後の緊張も解れた……行くぜ、マドカ!

 

 

 

「あぁ!織斑マドカ。テスタメント、出るぞ!」

 

「蓮杖一夏。ストライク、行くぜ!!」

 

先ずは、ライブラリアンの雑兵狩りだが、お前は出て来るんだろ一秋?

俺だけじゃねぇ、箒にとってもこの戦いは自分の因縁に決着を付ける為の戦いだ――俺はクソッタレの元兄の一秋、箒は一秋の金魚の糞に成り下がった元妹の散……どっちも自分の手で決着を付けなきゃならない相手だからな。

 

だから、覚悟しておけよ一秋……倒すなんて事は言わねぇ、俺はこの戦いでお前をぶった斬る。

元々救いようがないない奴だってのは分かってたが、ライブラリアンの手駒になったってんなら、本当に救いようがないぜ、兄上様よ?……尤も、テメェは自分がライブラリアンの手駒になったなんて認識は毛の先程も無いんだろうけどな。

哀れとしか言いようがないが、嘗ての弟として、せめて引導くらいは渡してやるぜ一秋……俺達の因縁、此処で終わらせてやる。俺が、この手でな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

一夏とマドカが出撃したのを皮切りに、アークエンジェルからは次々と専用機を纏った精鋭達が出撃して行く。

箒もまた、自身の専用機である、黄金のIS――アカツキを纏ってカタパルトデッキで発進の準備を完了していた。

 

 

大将、バックパックはどっちで行く?』

 

「敵の方が数は多い……オオワシの機動力で攪乱するのも良いが、此処はシラヌイで行く。

 ドラグーンは元々、単騎で複数の敵を相手にする事をコンセプトにした装備だから、絶対数で劣る私達にとっては有効な武装だからな――とは言っても私は夏姫やマリアの様にドラグーンを操作する事は出来ないから、ドラグーンの操作は任せたぞアカツキ。」

 

アイサー!任せとけ!!』

 

 

そんな中で、箒は戦場の状況を鑑みてドラグーンが使えるシラヌイストライカーを選択する――機動力ではオオワシストライカーに劣るが、ドラグーンの多角攻撃が此の状況では有用だと判断したのだろう。

まぁ、その選択は間違ってない。ドラグーンが搭載された機体は、そもそもにして一対多数を想定して開発されているのだから。

 

 

「篠ノ之箒。アカツキ、発進する!」

 

 

そして箒は発進し、見るモノを圧倒する黄金のISが戦場に降り立つ……束が愛する妹の為に持てる技術の全てを駆使して、更に開発費ってモノを完全に度外視して作られたアカツキの存在感はハンパなかった。

 

 

 

「一夏達が出て来たか……なら、此処からが本番だな。刀奈!」

 

「えぇ、分かってるわ夏姫。」

 

 

「「ミーティア、オフ。」」

 

 

一夏達の出撃を確認した夏姫と刀奈はミーティアを解除する。

敵の数の方が多いのだから、圧倒的な殲滅力のあるミーティアを装備しておいた方がいいのではないかと思うだろうが、ミーティアはその大きさ故に、細かい動きは不得手だ。

無人機の様な雑兵ならば兎も角、拉致されたゴーストの隊員、ライブラリアンに下った国の軍人、代表候補生、企業代表を相手にする場合には、ミーティアは逆にデッドウェイトになってしまい、致命的な隙を曝しかねない。だからこそ、夏姫と刀奈はミーティアを解除したのだ。

同時に其れは、ミーティアと言う強力ではあるが動きを制限してしまう枷を外したのと同じであり、寧ろミーティアを解除した方がフリーダムもジャスティスも本来の性能を十二分に発揮出来ると言えるだろう。

 

 

「さて、本番は此処からだ。」

 

 

戦場にはレギオンIB、後発組の代表候補生、IS学園教師部隊、ドイツの黒兎隊とIS学園の全戦力が出撃して進軍し、遂にライブラリアンの本隊とエンカウント!

ドローンの映像で見た通りの数々の輸送機に、黒いアークエンジェル――ドミニオン。そして、それらから次々と出撃して来る無数のIS。

ザクやグフではない。ツインアイに、額のブレードアンテナが特徴的なトリコロールカラーの機体だ。

 

 

「アレは、ストライクか?」

 

「いや、似てるがアレはストライクじゃねぇ。

 まぁ、ストライクのパクリだろうが、アレがライブラリアンの拵えた量産機って奴なんだろうさ。」

 

 

オータムの言う様に、その機体はストライクに酷似しているが、ストライクではない。

ストライクEタイプではなく、旧ストライクに似てはいるのだが、フェイスプレートのスリット(通称ヒゲ)が二本ではなく一本で、額のブレードアンテナも四本ではなく二本となっている。

だが、その背部に搭載されているのは紛れもなくストライカーパックであり、エール、ソード、ランチャーを進化させたような形をしているのだ。

此れこそが教授が開発したライブラリアンの量産機である『ライゴウ』――ストライクのデータを徹底的に解析し、その利点を極限まで追求して高めたと言うトンデモナイ機体だ。

量産機なのでPS装甲こそ搭載されていないが、高性能であり、束をして『傑作機』と言われたストライクの究極型がロシア、中国、南北の朝鮮の軍人分+ライブラリアンに付いた企業分、そして拉致されたゴーストの隊員分だけ存在すると言うのは驚異だろう。

IS学園側にも『量産型ストライクの最終形態』であるウィンダムがあるとは言え、その数の差は圧倒的で、数の暴力には勝てない……と言うのは、量産機だけでぶつかった場合の話だ。

IS学園側には、量産機を遥かに上回る性能を有した専用機が多数ある事を忘れてはならない。

そもそもにして、量産機と専用機では基本性能に大きな差があるが、束が全能力を駆使してパイロットの力を120%発揮出来るように作り上げた専用機と量産機では最早その差は月と鼈。

もっと言うなら、量産機であるウィンダムも、真耶の機体は専用のストライカーパックを搭載して半ば専用機と同じ状態になっているので、並の量産機とは一線を画す存在だ。

付け加えるのであれば、その専用機を操るパイロット達も超一流揃いであり、全員がモンド・グロッソで上位を狙える程の実力者だ。と言うか、其のモンド・グロッソで二連覇した千冬が居る時点で数の差なんぞ有って無い様なモノだろう。

 

 

「わずか一週間で此れだけの機体を作ったのは見事だが、その程度でアタシ達を倒せると思ったら大間違いだ。」

 

「観測者風情が執行者に勝てると思ったら大間違いよ?……何よりも、私達は敵対する相手に情けを掛けてあげるなんて事はしないし、出来ないわ。

 だから、落とさせて貰うわよ。」

 

 

で、先制攻撃とばかりに夏姫と刀奈はイグニッションブーストを使ってライゴウの集団に突撃すると、ビームサーベルを一閃して夫々二機ずつ、計四機のライゴウを撃沈する。

其れもただ斬り付けるのではなく、確実に首を斬り落としたのだ――無人機ならばいざ知らず、有人機が首を落とされたら、即死の行動不能は免れない。

確実に相手の命を狩る攻撃を、しかし夏姫と刀奈は一切の戸惑いをなくやってのけたのだ――夏姫は亡国企業のエージェントとして、刀奈は暗部の長として、汚れ仕事は此れまでにも何度も経験しているので今更戸惑う事なんて無いのだ。

 

いや、夏姫と刀奈だけではなく、この場に居る全員が『相手の命を奪う覚悟』は出来ている。

レギオンIBのメンバー、スコールとオータム、黒兎隊のメンバーは勿論、後発組の代表候補生や真耶をはじめとした教員部隊も、『ISは兵器である』と言う認識は持っている。自分達は兵器を扱っていると言う自覚もだ。

教員部隊は有事の際の学園防衛を任されており、その為の戦闘訓練を行っているが、その訓練の中には当然『人を殺す手段』も含まれているし、射撃訓練でも確実に急所に当てられるようにしており、シミュレーションマシンを使っての対人戦闘経験も積んでいる為、戦場で如何動けば分かっている。

代表候補生の場合は、有事の際の国防にも駆り出されるので、訓練の質で言うのならば教員部隊よりも、より軍事的な訓練を受けている――ラウラの様に生粋の軍人ではなくとも、国家代表や代表候補生と言うのは、少なからず軍隊経験があると言う訳だ。そう言う意味では、教員部隊よりも、敵を葬る事に関しては戸惑いが無いとも言えるだろう。

この場に居るのは『ISバトルの競技者』ではなく、全員が『ISを駆って戦う戦士』。故に、戦場での甘さなど微塵も無いのである。

 

 

「ったく、ライブラリアンの狗になっちまうとは、情けなさすぎて涙も出ねぇとはこの事だぜ。

 しかもテメェ等、命の遣り取りをした経験はねぇだろ?……其れじゃあオレには勝てねぇよ。この亡国企業最恐って謳われた、オータム様にはなぁ!!」

 

「ライブラリアンに付くとは、何とも愚かな選択をしたモノだと思うが、そのお陰でお前達は私と戦う事が出来るのだから、此れはある意味で『良い選択だった』と言えるのかもしれんが、私の前に立つのならば無事で済むと思うなよ?

 来い、跳ねっ返りの小娘共。世界最強の特別授業を受けさせてやろう。」

 

 

夏姫と刀奈の先制攻撃で始まった戦いは、数で勝るライブラリンと、質で勝るIS学園の戦いであり、IS学園側の専用機持ちは、其の力を如何なく発揮して戦果を上げているのだが、生徒ではない『大人組』で最大の戦果を上げているのがオータムと千冬だ。

新たに『マルチプルアサルトストライカーパック』を装備したデュエルの性能は凄まじく高く、オータムは複雑化した装備を見事に使い熟してライゴウを撃破して行き、千冬もタイガーピアスとガーベラストレートの二刀流でライゴウを次から次へと斬り捨てて行く。

 

 

「やるじゃねぇか千冬?世界最強の称号は伊達じゃねぇなオイ?」

 

「お前も大したモノだと思うぞオータム。

 私の現役時代にお前のような奴が居たら、さぞかし楽しめた事だろうさ……流石は、亡国企業『最恐』と言われるだけの事はある。――だからこそ、頼りになると言うモノだ。」

 

「おぉっと、予想以上の高評価だな?なら、その評価に見合うだけの働きをしねぇとな!」

 

 

世界最強と亡国企業最恐のタッグ、此れだけでも敵対する者達からしたら最悪過ぎる組み合わせであり、恐怖を覚えて怯みそうなモノなのだが、ライゴウ達は怯む様子もなく千冬とオータムに向かって来る。味方が次々と撃墜されているにも関わらずだ。

恐怖を感じないのだろうか?……実際に感じてないのだ。

ライゴウのパイロット達は皆、教授によって脳を弄られ、『恐怖』と言うモノを一切感じない様にされ、更に『闘争本能』を並の人間の数倍に高められた狂戦士に変わってしまっているのである。

加えて、肉体にも強化改造が施され、最早ISのパイロットではなく、ISを動かすための生体パーツと言った方が正しいかも知れない……序に、自我も殆ど消してしまっていると言うのだから、教授の悪辣さは此処に極まれりだろう。

 

 

「恐怖を感じない様に改造されたか?

 ふん、そうであるならちー姉さんに無謀に向かって行くのも納得出来るが、恐怖を克服したのではなく、恐怖を感じなくなっただけの、其れも猪武者にも劣る戦闘人形では私達の敵ではないな。」

 

「そのフェイスマスクの下には、さぞ美しい華が隠されているのかと思うと、其れを自らの手で折らなければならない事に心が痛むけれど、もう可憐な華として生きる事が出来なくなってしまったのならば、醜態を晒し続ける前に終わりにして上げるのも優しさか……」

 

「……戦いながら何を言ってるんだお前は?」

 

「嗚呼、気にしないでおくれマドカ。此れが私なのさ。」

 

「……お前は、ある意味で間違いなく大物だと思うぞロラン。九十九人も百合の恋人が居る時点で、大したモノだとは思うがな!」

 

 

戦場に於いても通常営業なロランは大したモノだが、其れは其れとして、マドカの言ったように、ライゴウのパイロット達は戦闘人形――それも、狂戦士の戦闘人形だ。

恐怖を感じず、只目の前の敵を倒そうとするだけの狂った戦闘人形だが、その程度ではIS学園のメンバーには遠く及ばない……何も考えず、只攻撃してだけの相手など恐れるに足りないのだから。

 

 

「纏めて、打っ飛べぇ!!」

 

「死神の鎌からは逃れられないよ!」

 

「静寐、合わせて。」

 

「了解よ簪!」

 

 

癒子がスーパーミョルニルを振り回してライゴウを力任せに粉砕すれば、清香はデスサイズでライゴウの首を狩り、簪と静寐はバスターとカラミティに搭載されている火器を全開にして多数のライゴウを大爆殺!!

数では圧倒的に上回る筈のライゴウの集団であるが、数の差では質の差を覆す事は出来ないらしい。……確固たる自分を持って居る者と、自我を失った者では、そもそも勝負にならないのかも知れないが。

 

 

「ミツケタぞ……鈴音!!」

 

「その声……アンタ若しかして、香龍!?」

 

 

だが、ライゴウのパイロットの中には僅かに自我を残された者もいるらしい。

其れが、四月に行われた二組のクラス代表決定戦で一夏と鈴のタッグにフルボッコにされた元中国代表候補生の李香龍をはじめとした中国のISパイロットの少女達だ。

香龍は親のコネで代表候補生の座に就いたのだが、クラス代表決定戦でボロ負けし、更にその裏工作が暴露された事で中国に強制帰国となり、代表候補生の座を剥奪された事で、鈴に一方的な恨みを抱いていたのだ。

完全に逆恨みでしかない上に、先に鈴からコネにモノを言わせて代表候補の座を盗んだ奴が何を言っていやがるなのだが、香龍は自分がやった事は綺麗に忘れる都合の良い脳ミソをしているのだろう。

だが、その恨みの感情は教授からしたら良い道具であり、香龍はその恨みの感情を増幅させられ、鈴への殺意にまで高められているのだ。

そして他の中国のISパイロット達も、自分達をぶち抜いてトップの成績を叩き出した鈴への嫉妬の感情を、教授によって憎悪に書き換えられ、鈴への殺意を持たされたのだ。

 

 

「オマエのセイで私ハ……オマエノセイデェェェェ!!!」

 

「鈴音……オマエガニクイ……お前がイナケレバ、私達はァァァァァァァァッァ!!」

 

「香龍、アンタは自業自得でしょうに……逆恨みにも程があるっての。

 其れに、他の連中だって、単純にアンタ等よりもアタシの方が優れてたからトップの成績を出せたに過ぎないでしょうが!自分の力が及ばなかった事でアタシを恨むのはお門違いよ?

 って言っても通じないか……良いわ、その恨みとやらをぶつけて来なさいよ。其れで、アタシを倒せると思ってるならね!」

 

 

だが鈴は、その憎悪の感情を一身に向けられても臆する事無く、ストライカーパックからアロンダイトを抜刀すると、其れを正眼に構えると同時に翼を展開して、更に巨大な光の翼を出現させる。

 

 

――パリィィィィィン!!

 

 

同時に鈴の頭の中で何かが弾ける感覚が起こり、思考がクリアーになる。

其れは、夏姫と刀奈と一夏が発現させた『SEED』の力……この決戦の最中に、鈴もまた其の力を覚醒させたのだ。その証拠に、今の鈴の瞳からはハイライトが消え、瞳孔が極端に収縮した状態になっているのだから。

 

 

「何この感覚?何だか何時もよりも思考がクリアになってる様な……若しかして、潜在能力が解放されたとか?

 まぁ、何でも良いわ……今のアタシはさっきまでのアタシの倍は強いって自覚出来るからね。――運が悪かったわね香龍+α?こう言ったら何だけど、今のアタシは阿修羅をも越える存在みたいよ!!」

 

 

鈴はアロンダイトを振りかざすと、イグニッションブーストで香龍に肉薄し、袈裟切りで香龍を斬り付けると、その身体を掴んでパルマフィオキーナの一撃を喰らわせて爆砕!

其のまま他の中国のISパイロットもアロンダイトで斬り捨て、パルマフィオキーナで粉砕して鎧袖一触!

『怒りや憎しみを束にしても俺には勝てないぜ!』とは、某王様の有名なセリフだが、鈴は見事に其れを証明したと言えるだろう……ライブラリアンをブッ飛ばしてやると言うシンプルだが強固な意志のある鈴と、教授によって鈴への恨みを増幅された、或いは嫉妬を憎悪に書き換えられた連中では、最初から勝負にはなっていなかったのだ。

 

 

「先に地獄を楽しみなさい。

 アンタ達をぶっ殺した、人を殺めた罪でアタシも地獄行きは確定してるから、死んだら顔くらいは見に行ってやるわ。」

 

 

自分が葬った相手を冷めた目で見やり、鈴は戦場を駆ける。

同郷の者達だったと言う事に思う事はない――鈴からしたら、中国は金に目がくらんで自分の努力を否定した国でしかないのだから、其処のISパイロットが生きようが死のうが知った事ではないのだ。

薄情と思うかもしれないが、先に中国の方が鈴を切ったのだから、鈴が今更中国を切った所で文句を言われる筋合いはないのである。

 

まぁ、何にせよ、此処で龍の潜在能力が解放されたのは喜ぶべき事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ……ライゴウの集団がマッタク敵わないとはね?……私の予測ではもう少し粘れる筈だったのだが、織斑千冬君が参戦した事で、私の予想は覆されたと言う事か。

 此れは、彼女が参戦して来る事を予測していなかった私の失策だが……まぁ良い。

 ゲームと言うのは予想外の事が起きるからこそ楽しいモノだからね。」

 

 

ライブラリアンの総帥である教授は、モニターに映し出される戦況を見て、自分の予想通りにはならなかった事に驚きつつも、その事態を楽しむかのように口元に歪んだ笑みを浮かべる。……この場にイルジオンが居たら間違いなく容赦ない突っ込みを入れていた事だろう。多分伝説の100tハンマーで。

 

 

「だが、我々の力はこんな物ではない……では、そろそろお目に掛けるとしようか、私が作り上げた最高傑作の姿を!」

 

 

教授は手元のコンソールを操作して何かを解除する。

そして――

 

 

『!?なっちゃん、たっちゃん!前方に巨大な熱反応!……此れは、ミラージュコロイドで隠れてたのか!……こりゃ、束さんでも気付けなかったね。』

 

「此れは……?」

 

「何て大きさよ此れ……!」

 

 

現れたのは、アークエンジェルが小人に思えてしまう位に巨大な物体……最早、航空戦艦と言うカテゴリからも逸脱した、航空要塞とも言うべき超巨大な建造物だ。

教授が設けた一週間と言う期限は、此れを完成させる為に必要な時間でもあったのだろう。

 

 

「IS学園の諸君は驚いてくれたかな?

 此れこそが私が一週間と言う猶予の中で完成させた最強の航空要塞である『アーク・ジェネシス』だ。残念ながら、主砲のガンマ線砲は完成させる事が出来なかったが、陽電子砲や各種ビーム兵器は完成しているからね。

 ……この要塞を落とせる物ならば落としてみたまえ。そして、私を倒せる物ならば倒して見せたまえ!――神への階段を登り始めた、私を倒せると言うのならばな!」

 

 

そのアーク・ジェネシスのコントロールルームで、教授は一人高笑いを上げる……そして、手摺の火器のスイッチをオンにすると同時に、その火力を解放して戦場を薙ぎ払う!

瞬間、戦場は爆炎の閃光に包まれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

アーク・ジェネシスとか言う奴をミラージュコロイドで隠して居やがったか教授の野郎……しかも、姿を現すと同時に搭載された火器でのフルバーストをブチかましてくるとかやってくれるぜ。

まぁ、その攻撃も俺達からしたら余裕で避けられるものなんだが、避ける事が出来なかったら必殺は間違いねぇ……ったく、トンでもないモノを作ってくれたモンだぜマジで。

あの要塞を落とさないとヤバいんだが……如何やら、そうも言ってられないみたいだな?

 

 

 

――キュピィィィィン!

 

 

 

「あぁ、如何やらその様だな一夏。」

 

「箒も感じ取ったか……ま、当然だよな。」

 

双子だからこそ感じ取る事が出来る特別な感覚……やっぱり出て来やがったか一秋。其れと金魚の糞の散。――ったく、散々っぱら実力差を示してやったってのに、懲りずに来るとか、ある意味で感心するぜ。

『あきらめの悪い奴コンテスト』ってのがあったら、結構いい所まで行けるんじゃないのかお前等?頑張れば金メダルも夢じゃないと思うぜ俺は。

 

 

 

「何好き勝手言ってやがる一夏……テメェは今日ここで俺に殺されるんだ!それがテメェの運命なんだぜ?俺はテメェと違って天才なんだからな!!」

 

「一秋の敵は私の敵……お前等は殺す!特に箒、お前だけは必ず!!」

 

「うっわ~~、コイツ等完全にぶっ壊れてますよ箒さん?如何したもんでしょうね?」

 

「そうだな……最早コイツ等を救う術はない――ならば、徹底的にぶっ壊してやるしかあるまい?圧倒的な実力差を以ってな……可成り力を増したようだが、私とお前の敵ではあるまいよ。」

 

「だよな。」

 

箒の言う様に、可成り力を増したみたいだが、お前等は俺と箒の敵じゃねぇよ。――だから、汚いケツ見せてさっさと帰れ。今なら許してやるからよ……まぁ、死にたいってんなら話は別だけどよ。

さて、如何する?

 

 

 

「出来損ないの分際で粋がるんじゃねぇ一夏!テメェは俺がぶっ殺してやる!!」

 

「舐めるなよ箒!私は既にお前を超えているんだ!!」

 

「……何処を如何やったらそうなるのか甚だ謎なのだが、退かないと言うのならば、相応の対応をするだけの事――一秋、散、貴様等の命は後八ターンだ。」

 

 

 

おおッと、カッコいい事言うじゃん箒?

お前の命は残り八ターンか……確かにそうかもな。――しかしまぁ、其れは其れとして、又しても俺の前に現れるとは、一秋、テメェは余程俺に殺されたいみたいだな?

本当ならテメェの望みなんぞ聞きたくもねぇが、其れが望みだってんなら叶えてやるぜ。

 

 

 

「一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「さんを付けろよ、このクズ野郎!」

 

テメェとの因縁は此処で終わりにさせて貰うぜ一秋……エクスカリバーで、テメェとの繋がりも、過去も全部全て切り刻んでやる――覚悟するんだな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

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