Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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一流同士の戦い……瞬き厳禁だな此れはBy夏姫      一瞬たりとも見逃せないわね?By楯無      一夏、負けるんじゃないわよ!By鈴


Break11『一流剣士の戦い~一夏vs箒~』

Side:夏姫

 

 

午後の授業も全て終わり、今は放課後。

普通なら此のまま寮に帰ってフリータイムなんだが、アタシ達は今日に限っては道場に来ている……言わずもがな、一夏と箒の剣術勝負を見る為にだがね。

 

しかしまぁ、大凡学校の道場とは思えない大きさだな此れは……普通に、大会が出来る位の規模があるんじゃないか?正直驚いたぞ……

まぁ、其れは良いとして、なんでお前まで居るんだ楯無?

 

 

 

「あらぁ、いちゃ悪いかしら夏姫ちゃん?

 世界初のIS男性操縦者と、去年の全国覇者の一騎打ちなんて、早々見れるモノじゃないでしょう?

 そんな試合を見逃す理由はないもの♪……だから、観戦させて貰う事にしたのよ――何よりも、一夏君と箒ちゃんの実力は、学園側として把握しておく必要があるモノ。」

 

「成程、理由としては充分だな。」

 

とは言え、お前の事だ……単純に一夏の実力が知りたかったのかもしれないがな――正解ではなくとも、あながち間違っても居ないだろ?

 

 

 

「そうね、大正解の100点満点ね。

 私は一夏君の剣の力も知りたいの……此処で彼がIS以外の力を示してくれれば、学園にとっても良い意味での起爆剤になってくれるんじゃないかと思うの。」

 

「成程、そう言う事か。」

 

確かに一夏の力が示されるのは悪くない――此処で力を示す事が出来ればIS学園にとっての『異物』とも言える『男子生徒』の存在を認めさせる事が出来るだろうしね。

尤も、昼休みの時の話を聞く限り、2組では好意的に受け入れられているようだけれどね。

まぁ、取り敢えずは一夏と箒の戦いを見る事にしよう――一流の剣士同士の戦いなど、滅多に見れるモノではないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break11

『一流剣士の戦い~一夏vs箒~』

 

 

 

 

 

 

 

 

道場に入る前には一礼するのが礼儀だ。

マリアはイギリス人だから馴染みが無かったみたいだが、アタシや一夏がやるのを見てそれとなく真似していたな……中々様になってたぞ?

 

それで、部長さんに許可を貰ってから一夏と箒の試合を始める予定だったんだが……まさか、一秋と散が先に道場に来ていたとはな――恐らくは、散が一秋を引っ張って来たのだろうな……昼休みに食堂で『先ずはドレだけ腕が鈍ってないか見てやる』とか言ってたし。

 

 

 

「ねぇ部長さん、織斑君と、篠ノ之散さんは何で剣道場に居るのかしら?」

 

「生徒会長!

 何でと言われましても、練習を始めようとしたら行き成り乗り込んできて、此方に許可も取らずにずかずかと……私が何を言っても、ヒステリックに返すだけで会話が出来ないので困ってるんですよ。

 織斑君は織斑君で、止める気はないみたいですし、もう此処を使うのが当然みたいに思ってますし……」

 

 

 

……行き成り剣道場に許可もなく入り込んでとは、本気でアイツには常識と言うモノが欠如しているらしいな?……それ以前に、今の話を聞く限りでは、道場に入る前の一礼もしてないだろう……矢張り散に『武』に身を置く資格は無いな。

そして一秋の方も論外だな……大凡『自分は天才だから、天才に場所を貸すのは当然』とか考えてるんだろうね……傍迷惑な連中だ。

何にしても邪魔だから駆除するか……特に散は、感情のままに竹刀を振り回す危険人物だからな。

 

先ずはお前からだ……織斑!!

 

 

 

「え?呼んだ?……何だよ、夏姫。」

 

「呼んだ。だが気安く名前で呼ぶな。お前に名前で呼ぶ事を許可した覚えはない。」

 

こんな所で何をしている?

クラス代表決定戦があると言うのに、ISの訓練もせずに剣道場にくるとは随分と余裕があるみたいだな?……まぁ、其れは良いが、道場を使わせて貰う事を、部長さんに頼んだのか?

 

 

 

「え?頼んでないけど。

 って言うか、てっきり散が事前に許可取ってたんだと思ってたんだけど。」

 

「阿呆、あの馬鹿がそんな殊勝な真似をする筈がないだろう。

 行き成りズカズカ入り込まれて、剣道部の皆さんが迷惑して居るんだ……アタシが静かに言ってる内に、大人しく道場から出て行け。

 そもそもにして、道場に入る前の礼を欠く様な奴に、此処に居る資格はないぞ。」

 

「……俺に向かってそんな口を利くなんて良い度胸だな?

 良い機会だ、代表決定戦前にどっちが上なのか思い知らせてやるよ。」

 

 

 

ヤレヤレ、意外と沸点が低いなお前?天才が聞いて呆れるぞマッタク。

それ以前に、そんなノロいパンチがアタシに当たると思ってるのか?……まぁ、一般人の其れと比べれば早いのかも知れんが、アタシからしたら蠅が止まりそうなくらいだ。

だから、その拳を受け止めて関節を極めるくらいの事は雑作もないんだよ、天才君。

 

 

 

「いだだだだだ!!く、放せよ!」

 

「放したら暴れるだろ?自力で抜け出してみろ――無理だろうがな。」

 

と言うか、此れで終わりだ。

 

 

 

――トンッ

 

 

 

頚椎に手刀を叩き込んで意識を刈り取ってやったからね――まぁ、軽い当身だから長くても1時間も有れば目を覚ますだろうさ。

大人しく道場の外でくたばってろ……運が良ければ千冬さんが回収してくれるだろうからな。

残るは散の方だが、考えてみればアイツに関しては、アタシが手を下す必要はないか。

 

 

 

「散……人様に迷惑を掛けるなと何度言えば分かるんだお前は!

 大体部長さんの許可も得ずに道場に押し入って勝手に使おうとするなど言語道断……おまけに人の話を聞かんとは、酌量の余地はない!

 まして、道場に入る前に礼もせんとは、道場に入っている事自体が烏滸がましい!」

 

「なに!私と一秋が此処を使うと決めていたんだ!ならば、許可を取る必要などないだろう姉さん!」

 

「まともな会話すら出来ないのかお前は!!」

 

 

 

――メキャァァァァァァ!!

 

 

 

アタシが手を下さずとも、箒が制裁するからな。

と言うか、散の奴はホントに子供の頃から精神がまるっきり成長してないな……自分勝手に行動して人に迷惑を掛け、其れを咎められると我儘上等と言わんばかりにヒステリックに喚き散らして……アイツ、本当に束さんと箒の妹なのか疑いたくなるぞ?

 

結局今回も、箒に咎められた所で喚き散らし、最終的にはアイアンクローで絞め上げられた上で、頭から床に叩き付けられてKOされたからな。

そして、KOされた散は荷造り用のビニール紐(何で有ったんだ?)で手足を縛られた上で道場の外に放り出された……容赦ない措置だが、愛しの一秋と一緒なんだから本望だろうさ。

 

 

 

「私の妹が迷惑をかけてしまいました……姉として、謝罪します――すみませんでした。」

 

「そんな、顔を上げて頂戴篠ノ之――だと、あの子も篠ノ之だから……箒さん。

 彼女の行動には困ったけど、其れは貴女のせいではないでしょう?……だから、謝る必要はないわ。――それで、如何して此処に?

 若しかして入部希望かしら?」

 

「……其れもありますが、少し道場を使わせて頂きたいと思いまして。」

 

 

 

アタシが馬鹿を沈め、箒がアホをKOして道場の外に放り出した後で、箒が部長さんに謝罪し、そして道場を使わせてほしいと言う旨を伝えたか。

普通は、剣道部の練習場を使わせて貰うんだから、許可を取るモノだと言うのに……あのお子様精神のアホと、自称天才の馬鹿には本当に困ったモノだ。

 

 

 

「ふぅん?噂の男性操縦者と……ならOKよ、好きに使ってくれて良いわ――私も、蓮杖君の力を見てみたいし♪」

 

「へ?あ、ありがとうございます。」

 

「思った以上にアッサリと許可が下りたな。」

 

で、箒が頼み込んだら、アッサリとOKと。

其れだけ中学の全国大会を制した箒と、世界初の男性操縦者である一夏の戦いと言うのは話題性があると言う事なんだろうな――実際に、戦う事が決まって、一夏と箒が畳の上に立った瞬間に、道場に居た全員が注目したからね。

 

此れだけの注目を集める中で負ける事は出来ないよな一夏?――箒にだけでなく、剣道部の連中にも見せてやれ一夏、お前の剣をな。

時に楯無、スマホで誰と話してたんだ?

 

 

 

「織斑先生に連絡入れて、織斑君と篠ノ之妹さんをね?

 流石に生徒会長として、部活動の妨害行為とも言える今回の件を黙って見過ごす事は出来ないモノ。」

 

「成程……取り敢えずよくやってくれた楯無。」

 

如何考えてもあの2人は、千冬さんからの説教コース待ったなしだろうな――まぁ、自業自得故、同情はしないがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

道場に押しかけてきていた一秋は夏姫が、散は箒が一発かまして退場させたが、だからと言って一夏と箒の試合が影響を受ける訳では無い。

畳の上で精神を統一するのは同じだが、両者の出で立ちは異なっている。

 

 

「やっぱり黒髪の美人には袴が似合うよな?」

 

「おま、自分の嫁の前でそう言う事を言うな!!」

 

「あ~~……別に其れ位気にしないから大丈夫よアタシは?」

 

 

箒は黒い袴に、白の胴着――要するに剣道の試合で使われる全ての防具を外した状態であるのだ今の箒は。

対する一夏は、特に着替えてはいない……制服の上着を脱ぎ、ソックスを脱いで素足になっただけ――まぁ、元々『IS学園』が女子校だった事を考えれば、男子用の防具など置いていないのでこのスタイルも仕方ないのだろう。

 

 

「時に一夏、此れは剣道ではなく剣術なのだろう?……ならば、此れでの勝負と行こうか?」

 

「良いな……寧ろこっちから言いたかった位だぜ!!」

 

 

と言う事は互いに準備は出来ているので、後は戦うだけなんだが、その直前で箒が使う武器を聞いて来た。

普通ならば木刀や竹刀を使う所なのだが、箒が持ち出して来たのは模造刀。

其れも只の模造刀ではなく『刃を潰している以外はすべて本物の刀と同じ』と言うレベルのモノなのだ。

 

つまり、2人とも文字通りの『真剣勝負』を行うと言う事だ。

 

一夏の答えを聞いた箒は、満足そうに頷き、二振りの刀の内、一振りを一夏に投げて寄越す。

箒から投げ渡された模造刀を受け取った一夏は、鞘に何かを付けると、そのままベルトに刀を引っ掻ける……そう、フックを鞘に取り付けてベルトに引っ掛け、疑似的に『帯刀状態』を再現したのだ。

帯に固定するよりは鞘が動くとは言え、此れならば抜刀した状態で両手が使えるので、条件は略同じと言う事になるだろう。

 

 

「さて、準備は出来た……そろそろ始めようぜ、箒?」

 

「あぁ、やるか一夏!」

 

 

準備が整った一夏と箒は、互いに構える。

箒の方は、抜刀した刀を両手で持ち、己の正面に構えるオーソドックスな『正眼の構え』だが、対する一夏は抜刀した刀を持つ右腕は力を抜いた状態で切っ先を下げて斜に構え、身体を軽くテンポを取るように揺らしている独特の構えだ。

一見すると一夏は隙だらけに見えるが、相対する箒には一夏は一切の隙が見て取れなかった。……我流故の独特の構えだからこそ、隙らしい隙が無い、そう見えていた。

 

剣道ではなく剣術の試合だけに、この戦いに審判は無い――つまり、2人が構えた瞬間に勝負は始まっているのだが、一夏も箒も動かない。

気組みとでもいうのか、先ずは互いに闘気をぶつけあう気合の勝負……実力差が大きい場合、此処で勝負が決まる事すらあるのだが、何方も退かない――つまり闘気は互角。

 

其れはつまり、此処からが本当の意味での勝負開始なのだ。

 

 

「覇ぁ!!」

 

 

先に動いたのは箒だった。

一足飛びかと見まがうほどの、鋭い踏み込みから袈裟懸けに斬りつける――が、一夏は其れを避けずに、後に下がりながら受ける事で威力を受け流し、逆に弧を描く様な斬り上げで反撃!

箒は其れをバックステップで避けると、今度は踏み込みからの片手平突きを繰り出すが、一夏は其れを身体をずらす事で避ける。勿論、派生技である横薙ぎを喰らわない様に、向かって右側にだ。

 

 

「やるな、一夏!」

 

「箒もな。剣道が強いのは知ってたが、剣術が此処までとは予想外だったぜ!」

 

 

両者は再び切り結び、其処からは時代劇もビックリレベルの剣術アクションが展開される……下手をしたら、スターウォーズのルークvsダースベイダーの戦いよりも凄いかも知れない。

箒が唐竹割を繰り出せば一夏は其れを的確にガードし、一夏が逆袈裟の二連斬を繰り出せば箒は其れを円運動で捌く。

正に映画のアクションシーンを見ているかのような戦いに、観戦していた剣道部員達も目を丸くしている……否、剣道部員達だけでなく、何時の間にか増えていたギャラリー全員がだ。

 

此のまま、乱激戦が続くのかと思われたが、其れを破ったのは一夏だった。

 

 

「く……!!」

 

「貰った!!」

 

 

箒の袈裟切りを捌いた一夏は、箒に肉薄すると胸の辺りに肘打ちを喰らわせ、其処から斬り下ろし→斬り払いへと繋ぎ、締めにアッパー掌打でカチあげる。

剣道ならば完全にアウトな攻撃だが、剣術は何も剣だけの勝負ではない――必要ならば体術だって使うし、鞘ですら武器として使うのが『実戦剣術』なのだから、一夏の攻撃は全然OKなのである。

 

何にせよ、最初にダメージらしいダメージを入れたのは一夏の方であり、逆に箒はダメージを喰らってしまった訳なのだが、一連の攻撃を喰らった箒の顔には笑みが浮かんでいた。

強者と戦える事への歓喜と、己の初恋の人は、矢張り強かったのだと感じられた事が混ざった笑みが。

 

実の事を言うと、初めて一夏達が篠ノ之道場に来た時には、箒も一秋は凄いと思っていた……天才が来たと。

だが、そう思ったのは最初の何回かだけで、回を重ねる毎に実は本当に強いのは一夏の方だと気付いた……一秋が道場に来た時から略変わらないのに対して、一夏は目に見えてレベルアップしていたから。

そして、そんな一夏に興味を持って、勝負を挑み、結果は敗北……だが、その時に箒は一夏に恋心を抱いたのだ。

結局その思いは実らなかったとは言え、自分が嘗て惚れた相手が強いままだったと言うのは、『武人』である箒にしてみれば『嬉しい』以外の何物でもないだろう。

 

 

 

「(一夏……お前は矢張り凄い……私が惚れた時と同じ――否、其れよりもずっと強くなっている。ならば――!!)」

 

 

 

其の一夏の強さに応えるべく、箒は再び刀を正眼に構え、対する一夏も独特の構えで其れに相対する。

そして――

 

 

 

「疾!!」

 

「んな!速い!!」

 

 

此れまでとは比べ物に成らない程の踏み込みから箒は凄まじい乱撃術を繰り出して一夏を攻め立てる!

一夏からすれば見えなくはない攻撃だが、その速度と鋭さに反撃は出来ず、防御するので手一杯……とは言え、此の連続攻撃を受けてなおノーダメージなのは驚きだが。

 

 

だが――

 

 

 

「がっ……クソ……どうなってんだよその攻撃は!!」

 

「ふふ、悪いが企業秘密だ。」

 

 

箒に押し切られる形で一夏が吹き飛ばされた――箒の乱撃術が、一夏の防御を抜いたのだ。

 

 

 

「ちょっと待って!なんで一夏が押し負けるの!?乱撃術って、体格が大きい方が有利なんでしょ?前に漫画でそんなのを見たわ!」

 

 

其れに驚いたのは鈴だ。

漫画知識とは言え、乱撃術は体格の大きい方が有利と知っていたので、体格で勝る一夏が押し負けたのが不思議でならなかったのだ。

 

 

「確かに鈴の言う通りだが……如何やら箒は乱撃術の弱点を自己流で克服したらしい。

 箒は昔から乱撃術を得意としていたが、其れだけに乱撃術の弱点も分かっていた……己よりも体格が勝る相手には通用しないと言う事を。」

 

「弱点を克服って、どういう事かしら夏姫ちゃん?」

 

 

其れに答えたのは夏姫だ。

箒が乱撃術の弱点を自己流で克服したらしいと言うと、どういう事かと言う楯無に答える形で、己の考えを述べて行く。

 

 

「体格の差と言うのはどうしようもないが……だからと言って、其れを技術で埋める事が出来ない訳じゃない。

 恐らくだが箒は、あの乱撃術に自分の体重を可能な限り乗せたんだろう――箒の体重がドレ程かは知らないが、仮に50kgだとしても、その半分が攻撃に乗っていれば25kgだ。

 如何に鍛えていたとしても、25kgの鉄棒での攻撃を完全に捌くのは難しい……と言うか普通なら一撃目を防いだ時点で腕が痺れてしまう。

 つまり事実上の防御不能技であり、箒の剣の速度を考えれば回避も事実上不可能……正に最強の攻撃だアレは。」

 

 

乱撃術の弱点を補うために箒が選んだのは『体重の乗せ方』だと言うが、其れは間違いではない。

実際に箒は、自身の得意技である乱撃術の弱点である体格差をカバーする為に、技に自分の体重を乗せる事を思いついた――流石に高速の乱撃なので全体重を乗せる事は無理だが、それでも己の体重の半分を乗せる事は出来るようになった。

それ程の重い乱撃術を防ぐ術はない――今の攻撃を一夏が受けきれたのだって、ちょっと奇跡的な事なのだ。

 

だが同時に、次に同じ攻撃が繰り出された一夏に残されてるのは敗北のみ。

普通に考えれば絶体絶命だが……此処で一夏は、フックでベルトに固定されていた鞘を外して納刀し、少し腰を落として構える――そう『居合』の構えをだ。

 

 

「居合か……まぁ、其れしか手はないか。」

 

「如何言う事、夏姫?」

 

「箒の乱撃術は防御も回避も略不可能……ならば、己の最速の剣を持って、相手より早く攻撃する以外に手はないと言う事だ。」

 

「成程、居合――抜刀術は、あらゆる剣技の中でも最速とされているモノね。」

 

 

一夏の此の選択を夏姫と楯無は納得し、説明を受けた鈴とマリアはどうなるのか興味津々と言った風に見入り、ギャラリーの連中は一体如何なるのかと固唾を飲んで観戦している。

 

 

「居合……其れがお前の最高の技か一夏。」

 

「お前の最高の一撃を見せて貰ったんだ……なら、其れには応えないとだろ箒?

 見せてやる、そして魅せてやるよ、俺の最高の剣をな――!!」

 

「良いだろう、受けて立つ!!」

 

 

暫しの静寂。

 

 

「疾!!」

 

「覇ぁ!!」

 

 

そして、次の瞬間、裂帛の気合と共に一夏と箒は踏み込み――一瞬の閃光が起きたかと思った次の瞬間には、一夏は刀を振り抜いた姿勢で、箒は乱撃術の最後の一撃を放った姿勢で交差していた。

誰もが相討ちかと思ったが……

 

 

「俺の……勝ちだ。」

 

 

先に体勢を立て直した一夏が刀を一振りし、鞘に納めた瞬間に、箒の体勢は崩れ膝をつく――相討ちに見えた攻防は、実は一夏の方が勝って居たのだ。

其れを示すように、膝をついた箒の胴着は左側が完全に消し飛び、ブラジャー……ではなく、試合前に巻いていたサラシが顕わになっている。

一夏の抜刀術は、模造刀であっても確かな破壊力があるらしい――此れが真剣で放たれていたら、箒は左腕を失っていた筈だ。

 

 

「あぁ……今回は、私の負けだな。」

 

 

箒も其れを悟ったらしく、己の負けを認める。

 

 

「あぁ、そうだな。

 だけど箒、久しぶりに楽しい剣での勝負が出来たぜ……もしも機会があれば、また勝負しようぜ?」

 

「無論だ。だが、次は負けんぞ一夏?」

 

「其れは如何かな?次にやる時でも、勝つのは俺だぜ?――つーか、鈴が観客に居る以上は、俺は負けねぇ!」

 

「……其れは否定出来んかもしれないが、嫁の応援で強くなるって、此れはある意味のドーピングじゃないのか?」

 

「かもな?」

 

 

そして、試合が終われば其処からは親友同士に戻る物であり、軽口の応酬が交わされる――一夏も箒も笑みが浮かんでいるのは、このやり取りが本当に楽しいからだろう。

 

 

「こらぁ!2人だけで楽しんでないでアタシも混ぜなさい!」

 

 

更に其処に鈴が乱入し、道場は此れまで一流の剣士同士の戦いが行われていたのが嘘のように、和やかな雰囲気になる。

 

だが、それでも一夏と箒の激戦にはギャラリーから惜しみない拍手が送られ、同時に此の試合で、一夏の生身での実力はIS学園全体に伝わる事となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

一夏と箒の戦いは一夏に軍配が上がったが、ギャラリーからは両者に惜しみない拍手が送られていたから、一夏と箒の実力を示す事は出来ただろうな。

逆に、道場の外に転がってた一秋と散の評価はダダ下がりだろうがな。

 

その日は其のまま流れで部活動見学を行う事になり、色々見て回った結果、一夏と箒は同じ剣道部に入部する事を決め、マリアは悩んだ末にテニス部に、鈴とアタシは軽音楽部に入部する事にした。

ギター演奏が趣味だからって事じゃないが、一度バンド演奏と言うのをしてみたかったからね。

 

其れは其れとして、クラス代表決定戦の為にISでの訓練もしていたが、嬉しい誤算として、楯無がアタシ達のコーチを買って出てくれた。

スコールさんやオータムさんにも負けず劣らずの実力を持つ楯無がコーチとしてついてくれるのは正直言って有難かった――千冬さんやスコールさんに頼んでも『公平性を欠く』って言う理由で断られていただろうからね。

 

だが、楯無のコーチのおかげで、更にレベルアップ出来たのは間違いないだろうな。

マリアは『ドラグーンを操作中は無意識に本体の射撃が単調になりがち』を克服し、一夏は得意の間合いに引き込むためのパターンが増え、鈴は防御に回ると戦い方が大雑把になるって言うのを改善出来たからね。(尚、この訓練中に親睦を深めたのか、鈴は楯無の事を『楯姐さん』と呼ぶようになっていた。)

 

尤もアタシは何も言われる事は無かったがな……まぁ、攻守速を高い水準で纏め、あらゆる距離で戦う事が出来るのがアタシのフリーダムだから、弱点らしい弱点やクセは無いんだけどね。

 

 

 

「本当よマッタク……夏姫ちゃんを手取り足取り指導したかったのに!!」

 

「そんな望みなど、犬に食わせてしまえ。」

 

とは言え、楯無との模擬戦で、アタシの地力が底上げされたのは間違いないだろうがな……まぁ、其れは楯無もだろうけどね。

何にせよ、此れでアタシ達がクラス代表決定戦で負ける事は無くなった――アタシとマリアの試合と一夏と鈴の戦いは別としてな。

 

「一夏、鈴、マリア……クラス代表決定戦、勝ちに行くぞ!!」

 

「言われなくてもその心算だぜ夏姫姉!!」

 

「傲慢な英国代表候補と、自信過剰なな天才擬きに、力の差を見せてあげましょう夏姫。」

 

「あの裏金野郎は、アタシと一夏で叩きのめしてやるわよ!!」

 

「アラアラ、凄い気迫ね?此れは、凄い事になりそうだわ。」

 

 

 

扇子に『激闘必至』か……だが其れは間違いだぞ楯無――正しくは『速攻滅殺』だ。

織斑もオルコットもアタシとマリアの敵ではないし、2組の中国代表候補とやらも、一夏と鈴の実力と比べたらハナクソに等しい――下手したらハナクソに失礼極まりないレベルかも知れんからな。

絶対的な格の違いと言うモノを、奴等に見せてやるさ。

 

 

 

「絶対的な格の差……期待してるわよ夏姫ちゃん、一夏君、鈴ちゃん、マリアちゃん♪」

 

「任せておけ。」

 

「うっす!頑張ります!」

 

「期待には応えて見せるわよ楯姐さん!」

 

「天帝の力、見せてあげるわ。」

 

 

 

アタシも皆も気合は充分――負ける要素は何処にもない。

 

そして翌日、遂に1年1組のクラス代表決定戦の日がやって来た――なら、先ずは自由と天帝による蹂躙劇を楽しんで貰うとしようかな?

主役はアタシとマリア、そして敵役は一秋と偽シリアだ……完膚なきまでに叩きのめしてやるから精々たのしみにしておくが良いさ。

 

 

行くぞ、フリーダム……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

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