Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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『更に闘う者達』はRPG屈指のボスバトル曲だと思うBy夏姫      アレは燃えるわよねぇ♪By刀奈    正にボス戦って感じだからなBy一夏


Break119『最終決戦Ⅲ~更に闘う者達~』

Side:オータム

 

 

気のせいか、夏姫達がアーク・ジェネシスに突入してから雑魚共の動きがシャープになった気がするな?つっても、オレとタメ張るにゃまだまだ遠いレベルだけどなぁ!

ザクもグフも、有人機のライゴウとやらもハッキリ言ってオレの敵じゃねえってんだ!一度地獄に堕ちて出直して来いよ、やられ専門の経験値稼ぎにも使えねぇ雑魚共が!

って、此れは雑魚に失礼か?どんな雑魚でも、数匹を海苔で巻いて天婦羅にするか、小さな川海老と一緒にかき揚にすりゃソコソコ食えるからな!

テメェ等なんぞ、どうやっても食う事の出来ねぇゲテモノ未満って事か……ゲテモノの中にゃソコソコ旨いモノも少なからずあるが、クソ不味いゲテモノは喰う気すら起きねぇぜ――つーか、其れはもう普通に生ゴミだからな。

 

「そう言う事だから、汚物は……消毒だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

――バガァァァァァァァン!!

 

 

 

アグニの超威力ビームで雑魚共を粉砕!……フリーダムのバラエーナと同等の威力を誇るアグニを真面に喰らったら死体すら残らねぇだろうな。プラズマビーム砲は一瞬で有機体を蒸発させる力が有るからよ。

……若しかしたら、ライゴウの奴等はテメェが死んだ事にすら気付かなかったかもだぜ。――自分が死んだ事に気付いてない魂ってのは、成仏出来ずに浮遊霊ってのになるって聞いた事があるが、其ればっかりはオレには如何しようもねぇ事だ。

テメェ等の命を奪った者の責務として、最低限の供養はしてやるから其れで納得しろや。――つっても、此処は戦場だから、殺した殺されたで相手を恨むのはお門違いか。

戦場に出て来た時点で、テメェの命を捨てる覚悟は出来てるんだからな――尤も、其れ以上に大事なのは、どんなに無様な姿を晒しても生きる覚悟なんだけどな。

教授とか言うクソッタレの手駒にされちまったテメェ等にゃ、其れを言っても伝わらねぇだろうけどよ……束でも、お前等を救う事は出来ねぇらしい――だからせめてもの情けとして、痛みも苦しみも感じさせないで終わらせてやるぜ。

強制的に生ゴミにされちまったテメェ等が、せめて正しく地獄に行けるようにな。

 

 

 

「オータム、正しい地獄って何?」

 

「其れは突っ込まないでくれスコール。自分でも何言ってんのか若干訳分からなくなってんだオレ……だけどな、一つだけハッキリしてる事があるぜ?」

 

「へぇ?良ければ教えてくれない?――其れから、嘘は駄目よ?」

 

 

 

オレがお前に嘘を吐いた事はないだろスコール?オレは、意外と正直者だしな。

さっき言った一つだけハッキリしてる事ってのは、夏姫達は絶対に負けねぇって事だ――ぶっちゃけて言わせて貰うと、夏姫達の実力はモノクロームアバターに所属する隊員を遥かに凌駕してるからな。

詰る所、アイツ等の実力はオレ達を超えてたって事さ。――だから、夏姫達が負ける事だけは絶対にねぇ!オレ達は、アイツ等が安心して帰って来れる様にもう一頑張りするだけだってな!

この戦いが終わったら、学園に戻って祝杯上げようじゃねぇか!

 

 

 

「オータム……其れ盛大な死亡フラグだって知ってる?」

 

「……其れを言うなよスコール。オレだって若干やっちまったかと思ってんだ。」

 

「そうは言ってもねぇ……其れは『俺、帰ったらあの子と結婚するんだ』的な回避不能レベルの死亡フラグよ?

 ――物語の主人公だったら回避可能かもしれないけど、そうじゃない場合は回避略不可能ね。」

 

「だから言うなっての!

 だがなスコール、良い兄貴分なキャラは長生き出来ねぇ事が多いんだが、男勝りの姉貴分キャラってのはそう簡単には死なないんだぜ?死亡フラグの一つや二つ、バッキバキに圧し折ってやらぁ!」

 

「ふ、頼もしいわね。」

 

 

 

だったらもっと頼ってくれていいぜスコール?つーか、頼ってくれねぇと恋人として自信無くしちまうからよ――にしても、アイツ等が負けるなんて事は億に一つもねぇんだが、なんか嫌な予感がするぜ。

悪い事に、オレの嫌な予感ってのは大抵当たっちまうからな……今回ばかりは、外れてくれる事を願うぜマジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break119

『最終決戦Ⅲ~更に闘う者達~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

敗北を知って進化した教授の機体は、デストロイ並みに巨大化し全身が真っ黒になって凶悪さが増しただけでなく、ドラグーンも巨大化してビーム砲塔が倍に増えている……成程、中々ラスボスと言った風体になったが、だからと言って恐れるアタシ達じゃない。

盛大に挑発をかましてやったしな。

 

 

 

「この姿となった私を見ても恐れないとは……君達には『恐怖』と言う感情が欠落しているとでも言うのかね?

 人は皆、自分よりも遥かに巨大な存在に畏怖の念を抱くモノだ――だからこそ、世界的に巨人伝説が存在し、巨大生物伝説も存在しているのだが、君達は自分達よりも巨大な相手が恐ろしくはないのかね?」

 

「残念だが、巨大な相手と言うのは他ならぬお前が送り込んだデストロイで慣れているから今更驚く事でもない――其れに、巨大だとは言ってもゴジラに比べればマダマダ全然小さいだろう?

 だから驚くほどの事でもないさ……其れに、巨大化と言うのは敵にとっての敗北フラグでしかない。其れを自ら立ててくれるとは、随分優しいんだな。」

 

「巨大化が私の敗北に繋がると?」

 

「なんだよ知らないのか?敵が巨大化すると碌な目に合わないんだぜ?

 戦隊シリーズでは巨大化しても合体ロボに倒されるし、巨大化したピッコロやスラッグは悟空にぶっ飛ばされて、MAVERvsCAPCOMのバカでかいラスボスはリュウの極太真空波動拳でKOされるってな。

 つーか、巨大化するって事は其れだけ的がデカくなったって事に気付けよ……そんな巨体じゃ当て放題だぜ?其れとも、当てて欲しかったのか?」

 

「はぁ?其れって被虐趣味って事?……其れはちょっと引くわぁ。アンタ、脳味噌が逝っちゃってるとは思ったけど、まさか変態趣味だとは思わなかったわ。

 若しかして、イルジオンとSMプレイとかしてた訳?……だとしたらドン引きだわ。」

 

「レザーボンテージを纏って鞭を手にしたイルジオン。其れを夏姫に変換すると……うん、全然アリね。SMプレイって言うよりは、捕虜の拷問の方だけど。」

 

 

 

オイコラ、何を想像してるんだ楯無?アタシは絶対にそんな事はしないからな?拷問をするにしても、そんな事をするよりは鍛えても鍛えられない関節をガッチリ極めてやる方が効果的だと思うからね。

と言うか、拷問ならアタシよりもお前の方が得意だろ楯無?その道のプロなんだからな。……参考までに聞いておくが、更識流の拷問術は何手あるんだ?

 

 

 

「物理的なモノが四十八手、精神的なモノが五十二手……それ等を併せたモノが『更識流拷問術百手』。其の百手は楯無を継いだ者だけが知っている、一子相伝の百手。

 簪ちゃんが知っているのは物理的な四十八手のみよ。」

 

「四十八の殺人技と五十二の関節技からなる『カメハメ百の必殺技』みたいだな。」

 

 

 

「……随分と余裕みたいだが、此処が戦場であると言う事を忘れた訳ではないだろうね?」

 

 

 

ふ、忘れる訳が無いだろう教授?こんな馬鹿話をしながらも、アタシ達はお前への警戒はしているさ……と言うか、お前こそ此処が戦場だって言う事を忘れてるんじゃないのか?

アタシ達が馬鹿話をしている所に攻撃を行えば、倒す事は出来なくとも大ダメージを与える事が出来た筈だろうに……其れをしなかったのは、悪手としか言えないな――頭はキレても、実戦経験皆無ではこれが限界なのだろうな。

其れではアタシ達に勝つ事は出来ないさ……アタシ達はISRIの企業代表であると同時に亡国企業の実働部隊の一員でもあるから、此れまでに可成りの修羅場を潜って来たのでね。

 

ハッキリ言って貴様如きは敵ではないさ……無限の破壊者の名を冠する執行者の前に散るが良い。

 

 

 

「言ってくれるね……だが、進化したレジェンドを甘く見て貰っては困るなぁ?

 進化した事でレジェンドが生み出せる分身には上限がなくなった――つまり、私が健在である限りは無限に分身を作り出す事が可能なのだよ!君達の数を上回ってね!」

 

「其れが如何した?無限に作られると言うのならば、出て来た端から斬り捨てて行けばいいだけの事――そして、貴様が健在である限り分身が作られると言うのならば、貴様を滅せば良いだけだろう?

 やる事は至ってシンプルだ。」

 

「箒の言う事に賛成だわ!

 分身はアタシ等がぶっ倒すし、アンタの事は一夏と姫義姉さんと楯姐さんがぶっ倒す……IS学園トップ3の力をその身で味わうと良いわ!」

 

「え、学園のトップ3って、俺そんなに強いの?」

 

「一夏、近接戦闘に限ればIS学園で貴方の右に出る者は居ないわ。

 ……其れこそ、近接戦闘オンリーで貴方と互角以上に戦えるのは織斑先生とだけだと思うわよ?」

 

「そうねぇ、近接戦闘オンリーだとお姉さんも一夏君にはちょっと勝つのは難しいかなぁ?」

 

「楯無さんでも難しいってマジっすか?……でも、そう言う事なら悪い気はしねぇな?

 あぁ、悪い気はしねぇ――俺が千冬姉と同格に見られてるって事だからな其れは!……なら、その高評価に応えられるようにしねぇとだよな?――そう言う訳だから、ぶった切らせて貰うぜ教授?」

 

「やってみたまえ、出来るのならばね!」

 

 

 

其れを合図に再び戦闘開始だ。

教授は宣言通り無数の分身を作り出してくれたが、分身程度ではマリア達の相手は務まらないだろうさ――マリアと箒のドラグーンの多角的攻撃の結界に閉じ込められた所に静寐のカラミティの火力が炸裂し、何とか生き残ったモノも鈴がアロンダイトで一刀両断しているからな。

 

で、アタシと刀奈と一夏は教授と戦っているのだが……クソ、思った以上に堅いな?

PS装甲は搭載されているみたいだったから物理攻撃は完全に無効化出来るとしても、ビーム兵器はドラグーンを展開して、ドラグーンに搭載されている『陽電子リフレクター』を使って防御して来るのだから、攻撃する側としては決定打を与える事が出来なくて歯痒いんだが、アタシ達にはISバトルに於ける『究極の切り札』のある事を忘れるなよ?

 

「先ずは火力で圧倒する……行くぞ楯無!」

 

「えぇ、弩デカい花火を咲かせましょうか?……ミーティア起動!」

 

 

 

先ずは露払いだな……アタシと刀奈はミーティアを起動すると同時にマルチロックオンでレジェンドのドラグーンを全てロックオンする――可成り高い防御力を誇る陽電子シフレクターだが、ミーティアの飽和攻撃に耐えられるかな?

取り敢えず……喰らいやがれ。

 

 

 

――バガァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

アタシと刀奈のミーティアフルバーストが炸裂し、陽電子リフレクターが搭載されたドラグーンも一撃掃滅――陽電子リフレクターの防御力は確かに驚異的と言えるが、だからと言って無敵ではない。

リフレクターの許容量を超えた攻撃を喰らえばあっと言う間に瓦解すると言うモノだからな……無敵は存在しないと言う事だ。

 

 

 

「バカな、バリアが……」

 

「驚くのはまだ早いぞ教授……やれ、一夏!!」

 

「おうよ!喰らいやがれ……零落白夜ぁぁぁぁ!!」

 

「しまったぁ!!」

 

 

 

――ドギャァァァァァァァァァッァァン!!

 

 

 

そして晒されたレジェンドの本体に、一夏が零落白夜を発動したエクスカリバーの二刀流で連続攻撃を叩き込む……合計八発、全て的確に入ったのだから確実に機体は強制解除されるだろうさ。

 

 

 

「……なんてね。」

 

「……なに?」

 

「んな、機体が解除されてないだって?零落白夜は確実に叩き込んだって言うのに!」

 

「零落白夜はエネルギーを強制的に消し飛ばす、全てのISにとって天敵とも言うべき能力なのに、其れを八回も叩き込まれても機体が無事だなんて、一体どんな手品を使ったと言うのよ……!」

 

 

 

八発もの零落白夜を叩き込まれても無事だとは、楯無の言う様に一体どんな手品を使ったんだコイツは?零落白夜を喰らったら、核融合エンジン搭載型のアタシ達のISですら強制解除されてしまうと言うのにな。

其れに、よくよく見てみるとアタシと楯無がミーティアフルバーストで消し飛ばした筈のドラグーンまで再生してないか?

 

 

 

「クククク、驚いてくれたかね?

 確かに織斑一夏君の零落白夜は非常に強力であり、ISバトルに於いては当てる事さえ出来ればその時点で勝利が確定すると言う、一撃必殺のチートなモノだ。

 だが、零落白夜は機体エネルギーやビームやバリアと言ったモノを無効化する能力に過ぎない……であれば、其れをレジストする機能を搭載すれば良いだけの事だからね?

 無効にする能力を無効にすると言うのは、とても気持ちの良いモノだ――特に、相手の切り札を封じたと言うのは気分爽快な事この上ない。

 それと、ドラグーンが復活した理由だが、此れは一秋君が開発した『シールドエネルギーの自動回復』を私が更に昇華させたシステム――一言で言ってしまうと『自己再生』システムと言った所だ。

 此れは、第二形態になった場合にのみ発動する能力だが、この能力によって私は君達に幾ら攻撃されても、壊された部分が即時再生されると言う訳だ。

 そして当然シールドエネルギーの自動回復機能も搭載してあるから、私を倒す事は出来ない……五つのコアが搭載されている事で、レジェンドのシールドエネルギーは一万以上あったのだが、第二形態になった事でシールドエネルギーの総量は一千万となっているのだからね。」

 

 

 

零落白夜を無効化する機能だと?そんなモノを開発していたのかコイツは……しかも、機体の自己再生機能まである上に、シールドエネルギーの自動回復も搭載しているとかチートどころの騒ぎじゃないだろ此れは。

だが、だからと言って退く気はマッタクないけれどな?――確かにお前の機体は、限りなく無敵に近いのは間違いないと思うが、だがしかし本当に無敵ではないだろうから、必ず攻略法はあると思うからね。

其れに、シールドエネルギーの自動回復の弱点は、既に学年別タッグトーナメントで一夏が明らかにしてくれているからな……ダメージを受けた端から回復すると言うのならば、回復量を上回るダメージを与えてやれば良いだけの事。

チート機体を使った程度でアタシ達に勝てると思ったら大間違いだぞ教授……一夏、楯無、ギアを上げて行くぞ。この脳ミソに蛆とカビが湧いて、キノコが生えてる誇大妄想のズベ公を叩きのめす。

 

 

 

「OKよ夏姫!ギアをオーバートップに入れて行くわ!」

 

「超速ギアセットって所だな……テメェは絶対にぶった切る!!」

 

「ふふ、掛かって来たまえ……そして知ると良い、圧倒的な力の差と言うモノと絶望をね。」

 

 

 

ほざけ、ドレだけ強くなろうともお前なんぞは千冬さんの足元にも及ばんさ……そもそもにして、己に改造を施している時点でお前の実力は高が知れていると言うモノだ。

自分を改造しなければアタシ達には勝てないと思ったんだろ?だから自分を改造したんだお前は……そんなチキン野郎に負けるアタシ達じゃない。

チキンはチキンらしく、大人しくフライドチキンにでもなってるんだな――尤も、お前をフライドチキンにしたところで大凡食う事は出来ないだろうけどね。と言うか食べたら食当たり起こして腹下しそうだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

仕切り直しとなった戦いは、苛烈を極めるモノとなった。

夏姫と楯無はミーティアを解除し、夏姫はドラグーンを展開しての射撃戦、楯無はアンビデクストラス・ハルバードとビームブーメランのビームエッジを長くした状態でビームサーベルとして扱う変則二刀流で攻撃し、一夏はエクスカリバーの二刀流で教授のレジェンドを果敢に攻め立てる――並のISならば、此の波状攻撃の前に敢え無く撃沈していただろう。

だが、教授のレジェンドには機体の自己再生と、シールドエネルギーの自動回復と言う『テメェマジふざけんなよ?』と言いたくなるようなクソチートな性能があるので、此れだけの攻撃を受けてもマッタク問題はない……外道はやる事が流石に汚い。

 

 

「クッソ……ドレだけ攻撃してもすぐに再生してシールドエネルギーも回復するとかやる事が汚いだろ流石に!インチキ能力も大概にしろよこの野郎!!」

 

「いや、零落白夜搭載してるお前が言うな。特大のブーメランだぞ其れは。」

 

「あはは……確かに特大のブーメランね?クロウの『インチキ効果も大概にしろ』と同じ位のブーメランだわ。」

 

 

其れでも夏姫達は諦めずに攻撃を続けて行く……息も吐かせぬほどの波状攻撃を続けて行けば、必ずシールドエネルギーの自動回復を上回るダメージを与える事が出来ると信じているからだ。

破壊しても破壊しても再生するドラグーンはこの際無視して、夏姫達は徹底してレジェンド本体への攻撃を続けて行くが――

 

 

「温い。」

 

 

レジェンドが腕を一振りしただけで凄まじい衝撃波が発生し、夏姫達は後退を余儀なくされる……其れだけで、今の教授がドレだけの力を持ってるのか判るだろう。

無論、只吹き飛ばされるだけでなく、夏姫と楯無はビームライフルを放ち、一夏はビームブーメランを投擲したのだが、其れを喰らってもレジェンドは全然マッタクダメージは受けていない……シールドエネルギーの自動回復とは実に厄介な代物である。

更に恐ろしいは第二形態になったレジェンドの火力だ――第二形態になったレジェンドのビームライフルとドラグーンのビーム砲塔から放たれるビームは夏姫のフリーダムのバラエーナに匹敵する威力になっている……この火力は悪夢でしかない。

まぁ、如何に大きな力であっても当たらなければ意味はないのだが……実際に夏姫と楯無と一夏は、レジェンドのドラグーンからの攻撃は此れでもかと言う位に見事に回避して反撃を叩き込んでいた。

教授にはドラグーンの適性が無いので動きが単純だったのもあるが、普段から二十基以上のドラグーンを相手にする訓練をして来た夏姫達にとっては、此の程度のドラグーンの攻撃を回避するのは朝飯前だ。

 

だが此のままでは何方も決定打に欠けるのもまた事実。

教授の攻撃は夏姫達には当たらず、夏姫達はレジェンドのシールドエネルギーを削り切れない――加えて鈴達は倒しても倒しても『増殖するG』の如く次々と湧いて来る分身の対処に追われているので夏姫達に加勢する事も出来ない状況なのだ。

 

 

「ちっ……ったくクソチートだなマジで?

 一秋の野郎が開発したのよりもシールドエネルギーの回復がクッソ早いから回復を上回る攻撃ってのも難しいし……けど、手が無い訳じゃなさそうだぜ。」

 

 

此処で一夏が再び零落白夜を起動し、エクスカリバーの刀身に『エネルギー無効化』の力が現れ、全体が眩い輝きを放ち始める……が、零落白夜がレジェンドに対しての切り札にならない事は先刻証明されている。

にも拘らず起動したのは一体如何言う意図があっての事なのか……

 

 

「おやおや、私に攻撃が効かなくて自棄を起こしたかな織斑一夏君?

 零落白夜は我がレジェンドには通じないと言う事は、先程証明されたばかりだと思うのだがねぇ……レジストされてしまう力で一体何をしようというのか。」

 

「零落白夜がレジストされて効果が無いってんなら、そのレジスト機能を上回る出力の零落白夜をぶつけてやれば通じるって事だよな?」

 

「む……?」

 

「教授、アンタのレジェンドには五つのISコアが搭載されてるんだよな?其れのおかげでトンでもねぇ性能を得ている訳だが……俺のストライクも、二次移行した時に白式のコア人格が融合してるんだ。

 コア人格ってのは、言うなればコアその物だから、其れを考えると俺のストライクには二個のISコアが搭載されてる状態と言えなくもないって事だよな?

 しかも俺のストライクに元々搭載されてたISコアは、原初のISである白騎士のコアを束さんが再調整した物だ――白騎士と白式、その両方の力を全開にした状態で零落白夜を発動すれば威力は倍じゃなくて二乗になる筈だ。

 そうすりゃ、アンタ自慢の零落白夜無効化も突破出来るかも知れないぜ?」

 

 

一夏が考えたのは零落白夜の出力の底上げだった。

確かにカリバーンストライクには白式のコア人格が融合しており、そのお陰で零落白夜及び、白式が二次移行した際に発現する筈だった武装も搭載されているのだ。

そして其れは、疑似的にではあるが二つのISコアが搭載されている状態と言える……つまり、白騎士の力と白式の力を全開にすれば零落白夜の出力を底上げ出来ると考えたのだ。

言ってしまえば『相手の防御が堅くて攻撃が通らないなら、こっちは更に攻撃力を上げてブッ飛ばす』的な、可成り脳筋な考えではあるのだが、脳筋理論は中々に馬鹿に出来ないモノがあるので一笑に賦す事は出来ない。

現実に、エクスカリバーからは通常の零落白夜よりも更に激しい光が放たれているのだから。

 

 

「マッタク、そんな方法を考えるとはな……だが、其れならば行けるかも知れん。アタシと楯無がもう一度露払いをしてやるから、其れを確実に奴に叩き込ん

 で来い。」

 

「うふ、お姉さんもう一頑張りしちゃうわ♪任せたわよ、一夏君!」

 

「おう、任されたぜ夏姫姉、楯姉!零落白夜・フルドライブ!!」

 

 

眩い輝きを放つエクスカリバーを両手に持って一夏はレジェンドに向かってイグニッションブーストで突撃し、夏姫はドラグーンを展開してレジェンドのドラグーンを攻撃し、刀奈はナノミストで作り出した『触れれば爆発する分身』をぶつけてドラグーンを破壊して行く。

無論破壊されてもドラグーンは直ぐに再生するのだが、夏姫と刀奈の攻撃の苛烈さがドラグーンの再生数が撃破数を凌駕する事を防いでいた。

教授も一夏を近付かせまいと、ビームライフルや頭部のバルカン砲を連射するが、一夏はその攻撃を立体的な高速移動で回避して接近すると、一気にレジェンドの頭上を取り、其処から全体重を乗せた斬撃をお見舞いする。先程の様な連撃ではなく、今度は力任せの兜割りと言う訳だ。

エクスカリバーではオミットされていた連刃刀状態を、二刀を無理矢理両手で一つに持つ事で再現して斬撃の威力を高め、更にブースターを全開にして刃をめり込ませていく……攻撃が当たったにも拘らず機体が解除されていないのは、零落白夜がレジストされているからなのだが、先程とは違ってエクスカリバーのビームエッジはレジェンドの頭部に食い込んでいる。

零落白夜での一撃必殺には至らないモノの、威力を底上げした零落白夜ならばクソチートなレジェンドにもダメージを与えらえる事が証明されたのだ。

 

だが……

 

 

「小賢しい!」

 

 

――バキィィィィィィィ!!

 

 

「うわぁぁぁ!」

 

 

レジェンドの頭部に刃を突き立てている一夏を、教授は巨大化した拳で殴り飛ばす。

ドラグーンでの攻撃は自分を攻撃する事になるので使う事は出来ないが、己の拳で殴り飛ばす事ならば出来る……自分にくっついてる蠅に殺虫剤は使えないが、拳で潰すのは可能であるのと同じように。

 

殴り飛ばされた一夏はPS装甲のおかげで大ダメージには至らなかったとは言え、10m以上の高さから、其れも力任せに叩き付けられたら堪ったモノじゃないだろう。

 

 

「一夏……お前の打ち込んでくれた楔は無駄にはしないぞ。」

 

「先程までの戦いで既に仕込みは終わったわ……喰らいなさいな、クリアパッション・エクサドライブ!!」

 

 

だが、その攻撃を行った事で教授にも隙が発生し、その隙を逃すまいと夏姫はドラグーンフルバーストを、刀奈は最大出力のクリアパッションをレジェンドに叩き込む。

計二十七門の火器の一斉掃射と、水爆に匹敵する破壊力の水蒸気爆発を真面に喰らえば、如何にチートなシールドエネルギーの自動回復が有っても、其の回復力を上回るダメージを与える事は出来るだろう。

特に、威力が底上げされた零落白夜を叩き込まれてシールドエネルギーが大きく削られていたのならば尚更だ。

 

 

「ふむ、良い一撃だったが、この程度では私は倒せんよ。」

 

「なに?」

 

「うそ!」

 

 

だが、爆炎の中から伸びて来たレジェンドの手が夏姫と刀奈を掴むと、そのまま力任せに床にスラムダンク!――夏姫も刀奈も咄嗟にビームシールドを展開したので機体の損傷は無かったモノの衝撃を完全に殺す事は出来ない。

一夏同様に、10m以上の高さから力任せに叩き付けられたら堪ったモノではなく、その衝撃のせいで直ぐに動く事が出来ない――そして其れは、戦場では絶体絶命の状況でもある。

戦場で動く事が出来なくなったら、其れは即ち『死』を意味するのだから。

 

 

「いやぁ、実に楽しい時間だったよ蓮杖夏姫君、更識楯無君、織斑一夏君……君達の様な真の超人をこうして叩きのめした事で、私こそが超人を超えた神であったのだと実感した。

 君達は実に素晴らしい……君達には一度仮死状態になって貰うとしようかな?そして仮死状態の内に記憶を書き換えて私の忠実なしもべとして使ってあげようじゃないか。

 誇りに思いたまえ、君達は新たな世界の神たる私の尖兵になれるのだからね。」

 

「ふ、ざけんな……誰がテメェみたいな腐れ外道の駒になるかってんだ……そんなのは、あの糞馬鹿だけで充分だぜ。」

 

「そ、その意見にはお姉さんも同感かなぁ?……自ら堕ちる所まで堕ちて行ったお馬鹿さんと同じになるのは正直勘弁してほしい所ではあるわねぇ?と言うか、此れで勝った気になってるのかしら教授は?」

 

「そう……なんだろうなきっと……詰めが甘いな教授……勝ち誇るのならばアタシ達全員を戦闘不能にしてからにしろよ?……其れも出来てないのに勝ち誇るなんて言うのは二流のする事だぞ?

 い、いや……お前は二流どころか三流だったな……束さんの夢を穢し、束さんのISの猿真似品で此れだけの事を起こしたのだからな……お前では束さんを超える事は出来ないよ……束さんは、正真正銘の真の天才であり天災だからな。

 束さんを超えたいのならば、自分の事を『正義の極悪マッドサイエンティスト』と称せるようになるんだな。」

 

 

そんな絶体絶命の状況にあっても夏姫、刀奈、一夏は教授には屈さずに精一杯の悪態をついて見せる――夏姫は右手の中指を立て、刀奈は右手でサムズダウンをしているのだから相当だろう。

一夏だけは右手をサムズアップしているのだが、此れは中東のイランでは『クタバレ』の意味なのでしっかり挑発だ。物凄く分かりにくくて高度な挑発だけれどな。

 

 

「ククク……如何やら君達は死にたいようだね?

 ならば望み通りにしてあげようじゃないか……考えてみれば、君達が死んでしまっても遺伝子を採取できれば君達のクローンを作る事が可能なのだから君達を生かしておく必要は無かったか。

 君達を殺した後は篠ノ之箒君達も殺してクローンを作る事にしよう……では、死にたまえ。」

 

 

このあからさまな悪態に、教授も流石に頭に来たのか、夏姫達にドラグーンを向けて最大の攻撃を放とうとする――如何にビームシールドがあるとは言えども、バラエーナに匹敵するビームを目一杯に放たれたら防ぎ切る事は不可能だ。

 

 

「一夏!姫義姉さん!楯姉さん!!」

 

「一夏!夏姫義姉さん!楯無さん!」

 

「夏姫!一夏!ミス楯無!」

 

「夏姫!一夏君!楯無さん!!」

 

 

レジェンドの分身と戦っている鈴達から悲痛な叫びが上がるも、無情にもドラグーンに搭載されたビーム砲塔にはエネルギーが収束し……

 

 

 

 

 

 

『Frieze!』

 

 

 

 

 

 

其れがいよいよ放たれると思ったその瞬間に、夏姫のフリーダムから声が上がり、其れと同時にレジェンドがその動きを止めた。

 

 

「夏姫姉?」

 

「いや、今のはアタシじゃない……と言うか、此れはフリーダムへの通信?其れもプライベートチャンネルじゃなくてオープンチャンネルでの?……其れに今の声は、まさかイルジオンか?」

 

正解だ夏姫。ジェノサイドフリーダムでお前にオープンチャンネルで通信を入れさせて貰った。

 それと、私はもうイルジオンじゃないぞ夏姫……今の私の名は、桜に姫と書いて『おうき』だ。篠ノ之束が付けてくれた名だよ。』

 

 

その声の正体はイルジオン改め桜姫だった。

時が来るまで束とデュエルに興じているかと思ったが、此の絶体絶命の状況で介入して来た――無論戦局を見ていた訳ではないが、同じ遺伝子を持つ者同士の共鳴で夏姫の危機を知ったのだろう。

 

 

「イルジオンだと?

 馬鹿な、君は蓮杖夏姫君に殺された筈……!」

 

『あぁ、確かに私は夏姫に殺されたよ教授……だが、其れは私をバーサーカーシステムから解放する為だ。

 夏姫は私をチョークスリーパーで絞殺してバーサーカーシステムを解除した上で、電気ショックで蘇生させたのさ……全てがお前の思い通りに行くと思うなよ教授?

 それから、何故動けなくなったのか疑問だろうが、その答えは簡単だ――お前がジェノサイドフリーダムにバーサーカーシステムを組み込んで居た様に私もお前に私だけが使える『強制コード』を仕込んでいたのさ。』

 

「な……何時の間に!!」

 

『あの馬鹿共を外出させたとき、私が奴等を回収に行くと言ったら、お前はワインとチーズを買って来るように言っただろう?

 あの時のワインには超強力な睡眠剤を混ぜておいたんだよ……其れを飲んで完全に夢の世界に旅立ったお前に強制コードを仕込ませて貰ったのさ。』

「私を裏切る心算か……!」

 

『裏切る?悪いが私はお前の味方だった心算は無い……そもそもにして私達の関係は利害の一致に過ぎん。

 だが、その利害の一致もお前が私の記憶を書き換えた上での事なのでな……記憶を取り戻した今、私がお前に味方する理由は何処にも無い。

 偽の憎悪の記憶を植え付け、妹との殺し合いをさせたお前にはな。』

 

 

夏姫との戦いで偽りの記憶が破壊され、本来の記憶を取り戻した桜姫にとって、偽りの記憶を植え付けて夏姫との殺し合いをさせ、更には強制的にバーサーカーシステムを発動して己を狂わせた教授は敵以外の何物でもない。

なので、教授の妨害をする事に一切の躊躇は無いのだ。

 

 

『とは言っても、レジェンドのスペックでは強制コードで動きを止めていられるのは一分程度だ……だが、私がお前とレジェンドに組み込んだ強制コードはそれだけじゃない。

 此れでお前も終わりだよ教授……『Release』!』

 

 

此処でイルジオンが更なる強制コードと思われるワードを発する――モノのレジェンドに何か変化があったようには見えないが……

 

 

「アレ、分身が消えちゃった?」

 

「此れは一体……」

 

 

鈴達が戦っていたレジェンドの分身が突如霧散してしまった。如何考えても桜姫の放った『Release』が原因だろう。

 

 

「此れは一体……何をしたんだ姉さん?」

 

『『Release』は即ち『解除』。

 機体その物を解除する事は出来ないけど、レジェンドに搭載されている零落白夜のレジストやシールドエネルギーの自動回復、分身の生成に自己再生と言う腐れチートな機能を解除した。

 此れで、お前達の攻撃は奴に通じるようになった。』

 

 

そう、桜姫が行ったのはレジェンドのクソチートな機能の解除だ。

教授に強制ワードを設定する際に、レジェンドのスペックもチェックして、この機能を知って、其れを強制解除する為のワードを組み込んで居たのだ……教授にとっては寝耳に水だろう。

 

 

「姉さん……中々美味しい事をやってくれるじゃないか?」

 

『妹を助けない姉は居ないだろう?

 お前は私が望んで生まれた妹だからな……其れを殺そうとする奴に情けも容赦も必要ないさ――だから、お前達の全力を持ってして叩きのめせ。』

 

「あぁ、言われるまでもないさ。」

 

 

そしてクソチート能力の強制解除は教授にとっては最悪と言えるだろう。

其れが解除されればこれまで優位を保っていた要員の零落白夜のレジストと、シールドエネルギーの自動回復がなくなってしまい、自分は高火力を搭載しただけの巨大なISに成ってしまったのだから。

ドラグーンの数こそ段違いだが、高火力の巨大ISならばデストロイと大差ない……つまりは、火力頼みの木偶の棒になってしまったと同義なのだ。

 

 

「ふぅ……取り敢えず、おかげさんで回復したぜ。」

 

「そうね、もう普通に動けるわ。夏姫は?」

 

「姉さんと話していたアタシに其れを聞くか?」

 

「それもそうね♪」

 

 

そして、話をしている間に夏姫達は叩きつけられた衝撃から回復して臨戦態勢に!!――超人と言うのは、回復速度も並の人間を遥かに上回るらしい。

が、何にせよ此れで最大の仕切り直しはなった――チートが解除された教授と、SEEDに覚醒した七人の超人の戦いは、最終章の幕が上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

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