Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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さてと、軽く捻ってやるとするかBy夏姫      あらあら、余裕ね?By楯無      負ける要素がありませんのでByマリア


Break12『クラス代表決定戦~1組の場合~』

Side:夏姫

 

 

クラス代表決定戦の前日、束さんからのメールが来てて、偽シリアの正体が判明したんだが……思った通り、アイツはセシリアの戸籍をそのまま乗っ取った偽物だったか。

まず間違いなく、オルコットの親戚筋で最も力を持った縁者の娘と言う所か……アタシとマリアを襲って来た奴等が言っていた『彼女の死の痕跡は残すな、だが確実に仕留めるんだ』と言うのはそう言う事だったと言う訳だ。

本物のセシリアの死の痕跡を残す事なく殺す事が出来れば、偽物をセシリアとしても誰も疑わんからな……オータムさんが残した『死の痕跡』も連中が消したと考えるのが妥当か。

尤も、アイツ自体は詳しい事は知らされず、言われるがまま『セシリア・オルコット』になったみたいだが――だからと言って許されるモノではないだろう……と言うか、マリアは絶対に滅殺するだろうからな。

 

 

 

そしてクラス代表決定戦当日。

試合の組み合わせで、第一試合が『織斑vsオルコット』、第二試合が『アタシvsマリア』になってる事で、非常に不本意だがアタシと一秋は同じピットに居る……其れだけなら未だしも、金髪馬鹿まで居るとは……此処は関係者以外立ち入り禁止じゃなかったか楯無?

 

 

 

「そうねぇ?そう言う訳で即刻出て行きなさいな散ちゃん。」

 

「私は一秋の幼馴染だから関係者だろう!それ以前に、貴様こそ部外者ではないのか!!」

 

「口を慎めよ大馬鹿者が。

 彼女は更識楯無。IS学園の生徒会長にして『学園最強』とされている人だぞ?――其れに、楯無はアタシ達の訓練に付き合ってくれた人だ。

 少なくとも、お前と比べれば充分に関係者だよ。

 と言うか、幼馴染なんてものは、関係者とは言わんと知れ。分かったらさっさと客席に戻れ。」

 

「なんだと貴様ぁ!!」

 

「はい、其処まで♪」

 

 

 

……指摘してやったら何処からか木刀を取り出して殴りかかって来たが、其れは楯無が扇子でいなした上で拘束して外に放り出したか。

うん、実に見事な手際だったぞ楯無。流石は学園最強の生徒会長様だな。

一秋が何か文句を言ってくるかと思ったが、流石に生徒会長に逆らう事はしないか――若しかしたら、今のを見て恐れをなしただけかも知れないけれどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break12

『クラス代表決定戦~1組の場合~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず金髪馬鹿ポニテは放り出したが……織斑、お前の機体は一体何処だ?

確かお前には専用機が用意されるんだよな?そして、その専用機は今日にはお前の手に届いている筈だと聞いてたんだが……どう見ても来て無いよな此れ?

 

「もうすぐ試合が始まるのに、大丈夫か此れ?」

 

「おねーさん的には、『ダメだ、問題しかない』って言いたいわねぇ?」

 

 

 

お前だけじゃなく、大概の奴はそうなると思うがな……果てさて、これは如何した物かな?――お前の機体が来なかったら、普通に不戦敗と言う事になるな織斑?

まぁ、お前が勝とうが負けようがアタシには如何でも良いがな。

 

 

 

「ど、如何でも良いだって!?」

 

「あぁ、如何でも良いね。お前の専用機が何であるかも含めてな。

 ……何よりも、この程度の事で一々過剰反応するような奴は、アタシとマリアの敵じゃないのでね。

 そんな事よりも、自分の機体が来てない事について如何するかを考えろ。」

 

「く……最悪の場合は打鉄で出るしかないか……」

 

 

 

……はい、織斑一秋馬鹿確定。

コイツは本当に『神童』と言われていた天才なのか疑いたくなる考えだな?……ISの腕は素人同然にも拘らず、訓練機で専用機に挑んで試合になると本気で思ってるのか?

楯無、今のコイツの発言を聞いてどう思う?

 

 

 

「そうねぇ?」

 

――【稀代の天才(笑)】

 

 

 

的確だな。

そして、ぶつぶつ言ってる織斑に気付かれないように、扇子に表示するのもナイスだ。

 

 

 

「織斑君!織斑君!!織斑君!!!」

 

 

 

っと、何やら山田先生が慌てた様子で……如何したんですか山田先生?――織斑の事を呼んでいたみたいだけれど、何か用でしょうか?

そろそろ代表決定戦が始まるんですが。

 

 

 

「ギリギリで届きました!此れが織斑君の専用機『白式』です!!」

 

「白式……此れが、俺の専用機!!」

 

 

 

成程、馬鹿の専用機が来た訳か。

運び込まれたコンテナの中から現れたのは『白』……そう、全てが真っ白な機体だ――正直な事を言わせて貰うと、織斑のイメージとはマッタクもってあって無いがな。

 

まぁ、専用機が間に合ったのは良かったが……此のまま行き成り試合に出させたりはしませんよね織斑先生?

 

 

 

「あぁ、勿論だ……故に、試合の組み合わせを変更せねばなるまい。

 スマンが蓮杖姉、お前が先にオルコットと戦ってくれるか?――織斑の機体の一次移行が完了するまでの時間を稼いでほしい。」

 

「時間稼ぎか……あまり好きじゃないが、まぁ其れ位なら大丈夫だ――尤も、アイツには伝わってないみたいですがね。」

 

「時間稼ぎなんていらない!初期設定と最適化なんて試合の中でも出来る!だから、組み合わせの変更は要らないぜ織斑先生!!」

 

 

 

……はぁ、本気の馬鹿かお前?

戦いながら各種設定を行うだと?……馬鹿も休み休み言え。戦闘しながら詳細な設定が行える筈がないだろう?其れとも何か、お前は傷められるのに快感を感じるマゾヒストか?

そんな事が出来るのは創作の世界の主人公だけだ――と言うか、一次移行も出来てない機体で戦うなど、自殺行為に等しい上に、相手に対して失礼極まりないと言うのを理解しているかお前?

 

 

 

「悪い事は言わん、一次移行を済ませてから試合に臨め織斑。

 今日までの期間、お前を見ていたが、お前は篠ノ之妹と剣道をするばかりでISの訓練などしていなかっただろう?――そんな状態で、しかも一次移行が済んでない機体では試合にならん。

 ――其れとも、そんな状態で試合に出て無様に負け、私の顔に泥を塗るか?」

 

「ぐ……分かったよ。」

 

 

 

流石千冬さん、見事なモノだ。

一夏から一秋の真実を聞いた事と、IS学園でのコイツを見た事で此れまでコイツに対して持っていた物が色々と崩れて行ってるみたいだな?

対応がドライであるにも拘らず、コイツのシスコンを利用する為に自分の名を使うとはね――『自分の顔に泥を塗る気か』と言われたら従うしかない訳だなアイツは。

 

取り敢えず話は纏まった様なので、行かせて貰う――来い、フリーダム!!

 

 

 

「へぇ?其れが貴女の機体の本来の姿なのね夏姫ちゃん?……必ず勝って来なさいな。」

 

「無論だ。」

 

お前に訓練を見て貰ったのに、目の前で負けては恥どころではないからな。――さてと、カタパルトに入って……アタシの準備は出来たぞ?

 

 

 

『機体情報確認。機体番号『ZGMF-X10A』、機体名『フリーダム』、パイロット『蓮杖夏姫』。

 確認完了。進路クリア。フリーダム、発進どうぞ。』

 

「蓮杖夏姫。フリーダム、行きます!」

 

行くぞフリーダム、偽りのオルコット家当主様に身の程と言うモノを教えてやろうじゃないか……尤も、アタシの試合は裁判の始まりに過ぎないけれどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

アリーナの観客席は、既に大勢の生徒で埋め尽くされていた。

1組が代表決定戦をやると言う話は色々な生徒に伝わり、結果として1組の生徒だけではなく他のクラスや、果ては2年生や3年生の上級生まで観戦に来ているようだ。

もっとも其れだけ『織斑千冬の弟』が試合をする事が話題性があったのだろうが。――尤も、1組の生徒に関しては、今日までの日々で織斑一秋に対しての興味は薄れて行き、逆に文武両道でISの事を聞けば丁寧に教えてくれる夏姫とマリアの株が上がっていたのだが。

 

何にしてもアリーナは超満員札止め状態なのだが、アリーナのフィールドにはセシリアだけが居た。――第一試合と言う事を意識してなのか、変に気合を入れて試合開始10分前に出撃してしまったのだ。

その結果として待ちぼうけを喰らう事になったのだが、試合開始1分前になって、自分が出て来たのと逆側のピットのカタパルトから1機のISが飛び出して来た。

 

その機体はカタパルトから射出されると同時に見事なバレルロールを行い、バレルロールと同時にグレーだった機体に白と青と黒のカラーリングが成される――PS装甲が起動したのだ。

 

そしてその機体は、自分のピット側に止まると、バックパックの高機動翼兼放熱フィンを広げ、10枚の翼を展開する――その姿は、まるで機械仕掛けの天使の如しだ。

 

 

「待たせたなオルコット。」

 

「その声は蓮杖さん?……私の最初の相手は織斑さんだった筈ですが?」

 

「その筈だったが、アイツの機体は今し方届いて、一次移行が済んでないんでな……先にアタシがお前と戦う事になったと言う訳だ。

 要するに、織斑の機体の一次移行が済むまでの時間稼ぎ……ある意味で貧乏くじと言う訳さ。」

 

 

その機体からのオープンチャンネルでの通信で、セシリアは相手が夏姫だと知り、本来の相手と違うと言うが、其処は現場に居合わせた夏姫が説明を行い、自分が出てきた理由を伝える。

 

 

「一次移行にかかる時間は20~30分……私を相手にして、其れだけの時間が稼げると思いますの?」

 

「思わなかったら誰がこんな事やるか。

 出来るからこそだ。織斑先生も了承してくれたし、織斑弟の方も一応は納得してくれたからな?と言う訳で、アタシがお前の相手だ。

 尤も、此れから戦う相手を前にしても未だ実力を計れんとは、イギリスの代表候補生の実力もたかが知れていると言うモノだな?

 マッタク、お前は存在その物がイギリスと言う国の品位をガタ落ちさせていると言える……余程、代表候補選考試験で猫を被っていたらしい。」

 

 

其れに対して挑発するセシリアだが、夏姫は其れを軽く流し、逆にカウンターを叩き込む。

夏姫はフルフェイス故に表情は読めないが、セシリアが激高してるのは間違いなさそうだ……顔を真っ赤にして震えているのだから。

 

 

『其れでは蓮杖夏姫vsセシリア・オルコット、試合開始。』

 

 

そんな空気の中試合開始!

先ずはセシリアが先手を取ろうと、ブルー・ティアーズの専用ライフル『スターライトMk.Ⅱ』を放つが、着弾地点にフリーダムの、夏姫の姿は無い。

着弾する瞬間、夏姫はフリーダムの羽を広げたハイマットモード(大気圏内高機動形態)にすると、イグニッションブーストでその場を離脱し、結果としてノーダメージの完全回避をして見せたのだ。

 

 

「中々に正確な射撃だが……正確すぎて読みやすい――射撃とは、こうやるんだ!」

 

 

セシリアの初撃を躱した夏姫は、セシリアの頭部と、右肩と、左足に向かってルプスビームライフルからビームを放つ……そしてそれ等は頭部こそ直撃を免れたが、右肩と左足には命中し、ブルー・ティアーズのシールドエネルギーを大きく減らす。

 

 

「く……小癪な……負けませんわよ!!」

 

 

先手を取られた事でプライドが傷付いたのか、セシリアはライフルでの攻撃を連発するが、一発たりともフリーダムには当たらず、回避されるかシールドで防がれているのだ。

其れだけならば未だ良かったのかもしれない――

 

 

「アタシに限っては、本来は避ける必要が無いと言う事を知るが良い!!」

 

 

 

――バシュ!バシュ!!バシュゥゥゥゥゥ!!

 

 

 

「んな!?レーザーを撃ち落としたですって!?」

 

 

其処から夏姫はセシリアの放ったスターライトのレーザーをルプスのビームで相殺して見せたのだ。

スターライトMk.Ⅱは最新型のレーザー兵器だが、初期型との違いは取り回しやコストパフォーマンスが改善された程度で、レーザーの出力や弾速は初期型とはそれほど変わらないのだが、だからと言って、其れを目視してから相殺するのはまず不可能だろう。

――にも拘らず、夏姫は其れを平然とやってのけたのだ。

 

 

「驚いている暇があるのか?随分と余裕があるモノだ……流石、一国の代表候補生様は心構えが違うな。」

 

「く……馬鹿にして!その油断が命取りですわよ!!」

 

「油断?此れは余裕と言うモノだ。」

 

 

其れを皮切りに凄まじいまでの射撃戦が展開される。

夏姫もセシリアも正確な射撃で相手を攻撃し、正に一進一退の攻防――に見えるだろうが、実際にはそうではない。

 

 

 

「代表候補生と互角……アイツ、マジで強かったのかよ!?」

 

「互角……お前にはそう見えるのか織斑?

 ならば、もう少し見る目を養うべきだな。蓮杖姉は、恐らくは実力の半分も出してはいまい。」

 

「はぁ!?アレで本気じゃないのか!?」

 

 

ピットのモニターで試合を観戦していた一秋も互角だと思っていたようだが、それ以外の面子――千冬と真耶と楯無は、夏姫がマッタク本気を出していない事を見抜いていた。

 

 

「本気ではないでしょうね。

 更識さん、実際に戦った者として、如何思いますか?」

 

「そうですねぇ?……夏姫ちゃんの本気があの程度だったら、入試の実技試験は私が圧勝してましたよ山田先生♪」

 

――【圧倒的勝利】

 

 

 

特に実際に夏姫と戦った事のある楯無からしたら、今の夏姫は半分所か3割程度の力しか出していないのではないかと思う程だった。

それ程までにセシリアにレベルを合わせて戦っている(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のである。

 

 

「でも、セシリアちゃんが本物だったら遊ばれてる事に分かると思いますよ?……本当に強いのならば。」

 

「あぁ、お前の言う通りだな更識。」

 

「(アイツ……まぁ良い、お前を叩きのめして、俺が天才で最強であるって言う事を証明してやる!!

  この間の剣道場ではやられたが、ISでの戦闘なら、俺が勝ってやるぜ!!)」

 

 

夏姫が本気でないと言う事だけを言うと、千冬と真耶と楯無は再びモニターに目を移す――只一人、一秋だけが代表候補生と互角に戦っていても尚本気ではないと言う夏姫の底知れぬ実力に、勝手に対抗心を燃やしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

試合は傍目には互いに決定打を欠いたままのように続いていたが、決定打を与えられない事に痺れを切らしたセシリアが、機体名の由来ともなっているBT兵器『ブルー・ティアーズ』を展開し、4方向からのレーザーでの攻撃を開始。

 

 

「(なんだこの温い操作は?マリアのドラグーンの操作と比べたら欠伸が出る程だな。

  それ以前に、BT兵器を展開しているのに本体が攻撃を仕掛けて来ないとは……此れは間違い無く、空間認識能力は高いが並列思考は出来ないようだな。)」

 

 

だが、其れすらも夏姫は躱し、レーザーを相殺し……

 

 

――バシュ!ザシュ!ドシュゥゥゥ!!!

 

 

「そんな、レーザーを斬った!?」

 

「またつまらんものを斬ったか……」

 

 

挙げ句の果てにはラケルタビームサーベルでレーザーを斬って、弾いて、叩き落す!

レーザーを相殺する以上に難易度の高い事を平然とやっている辺り、夏姫の実力はどれ程なのか考えたくもない――尚、此処までやると、流石に夏姫が手を抜いてる事は観客席の生徒にも伝わったが、逆に其れが夏姫の実力の高さを示す結果になっていた。

 

 

『蓮杖姉、織斑の機体が一次移行を終えた……ご苦労だったな。』

 

「了解しました織斑先生。此処からは本気で行きます。」

 

 

そして、試合開始から25分が経過した所で、夏姫に千冬から『白式が一次移行した』との連絡が入り、その瞬間に夏姫はリミッターを解除!

アリーナの端まで移動し、ブルー・ティアーズのBT兵器の背後からの攻撃を封じると、全火器を解放したフルバーストを放ち、4機のBT兵器とスターライトを破壊する。

 

 

「んな!ティアーズとスターライトが!!」

 

「よそ見をしている暇があるとは、尊敬に値する。」

 

 

其れと同時に夏姫がビームサーベルを片手に突撃して来る。

ライフルとビットの両方を失ったセシリアに迎撃の手段は無い――

 

 

「く……ブルーティアーズは6機ありましてよ!!」

 

 

のではなく、切り札とも言えるミサイルビットを展開し、夏姫を狙う――この距離では回避は出来ないだろうが……

 

 

「そんな事は分かっている……小賢しい!!」

 

 

回避出来ないのならば迎撃してしまえと言わんばかりに、夏姫はビームサーベルでミサイルビットを斬り捨て、そのままセシリアに肉薄する。

セシリアも慌ててコンバットナイフ『インターセプター』を展開するが遅い。

 

 

「終わりだ。」

 

 

言うが早いか、夏姫はセシリアのインターセプターを斬り飛ばし、そのまま至近距離からバラエーナのプラズマ砲を叩き込む!!

束をして『ISに搭載できる兵器の中では現行で最強』と言わしめたバラエーナの威力はすさまじく、この一撃を持ってブルー・ティアーズのシールドエネルギーは0になり試合終了。

 

クラス代表決定戦の第1試合は、夏姫が圧倒的な実力差を見せた上での勝利となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

続く第2試合は、マリアvs一秋だ。

 

 

『機体情報確認。機体番号『ZGMF-X13A』、機体名『プロヴィデンス』、パイロット『マリア・C・レイン』。

 確認完了。進路クリア。プロヴィデンス、発進どうぞ。』

 

「マリア・C・レイン。プロヴィデンス、発進します!」

 

 

カタパルトを飛び出したマリアは、夏姫同様、見事なバレルロールを行ってPS装甲を起動するが、観客は現れたマリアの機体に、多少の差異はあれどどよめいていた。

 

原因はプロヴィデンスの異様な外見だ。

フリーダムが細身の天使とも言うべき外見だったのに対し、プロヴィデンスは重装甲であり、右手の肩掛け式のビームライフルと、左腕と一体化した兵器に加え、胴体には動力パイプの一部が剥き出しになっている。

其れだけでも可成り異質な感じなのだが、極めつけは円盤型のバックパックと、其れに搭載された円錐型とスクエア型の突起物だろう。

特にスクエア型に関しては、腰部のアーマーにも搭載されているのだから、異様と言うなと言うのが無理だ。

 

夏姫のフリーダムが『天使』だとしたら、マリアのプロヴィデンスは『モンスター』……そんな印象を与える機体だったのである。

 

 

「待たせましたね織斑さん……始めましょうか?」

 

「あぁ始めようか?だが、此の試合は俺の勝ちだ!!」

 

 

そして試合開始。

一秋は開始直後に白式のブースターを全開にして突撃するが……

 

 

「安直な……日本では、こう言うのを『猪武者』って言うのだったわね?

 織斑先生の弟と言う事で少しは期待したけど、如何やらそれは過大評価だったみたいだわ……如何やら貴方は『ISを起動出来た』だけね。

 己の実力不足を呪いなさい!!」

 

 

其れに対して、マリアは円錐型のドラグーンを展開すると、3方向から合計27本のビームを放って白式をカウンターする――そして、この一撃を喰らって白式はシールドエネルギーがエンプティーとなり、マリアの勝利が確定。

 

 

「私と戦うには、些か実力不足だったわね?」

 

 

正に圧倒的勝利と言える奴だ。

そしてこの試合の結果は、一秋の実力に疑問を持たせるには充分だった。――実際に観戦している1組の生徒の中には、一秋を推薦した事を悔いている者が何人か見受けられたから。

 

 

 

だが、其れは其れとして試合は続く。

第3試合はマリアとセシリアの試合だ――マリアは連戦になるが、総当たり戦では連戦は免れないので仕方ないだろう。

と言うか、そもそもインターバルが必要なほど疲れてはいないので、連戦であっても問題は無いのだが……

 

 

「今度は勝ちますわ……ご覚悟!!」

 

「いいえ、貴女では勝てないわ。」

 

 

其れを示すようにマリアはセシリアに対して余裕を持って対処していた……其れどころか圧倒していた。

そして同時に、マリアはセシリアの実力も見極めていた――目の前のセシリアに、オルコット家を背負う資格は無いと……故に、速攻で終わらせる事を決める。

 

 

「此れが避けられるかしら?行け、ドラグーン!!」

 

 

マリアはプロヴィデンスに搭載されている11機のドラグーンを全て展開し、セシリアを攻め立てる!

勿論セシリアもブルー・ティアーズを展開して応戦するが、6機と11機では数の差が2倍近くある上に、プロヴィデンスのドラグーンは1機に複数のビーム砲塔を搭載しているが故に火力が圧倒的なのだ。

 

 

その結果、ドラグーンは全てのブルー・ティアーズを破壊し、そして本体に向かって43発のビームを一斉掃射!!

この圧倒的な攻撃を耐える事は出来ず、ブルー・ティアーズはシールドエネルギーがエンプティーとなり、試合終了――此れでマリアが一歩リードとなったのだが……

 

 

「織斑先生、次の夏姫との試合、棄権します――夏姫とは戦う理由がありませんし、ドラグーンの操作を行った影響で物凄く眠いので、今すぐ寝たいんです……正直、立ってるのも辛いので。」

 

『ならば仕方あるまい……ソファーで休んで居ろ。』

 

 

そのマリアは、此処で次試合を棄権――ドラグーンの操作は、可成りの精神力が必要なのだろうが、この時点で夏姫とマリアの2勝は確定したと言ってもいいだろう。

結果として、マリアの2勝1敗(不戦敗)が確定し、夏姫の2勝も確定したのだが……第4試合は、終始夏姫が一秋を圧倒する展開となっていた。

 

 

「如何した天才君?もう少し本気でやって欲しいな……其れよりも此れで本気だったのか?

 だとしたら失礼な事を言ったな、謝るよ。」

 

「くそ……攻撃が当たればお前なんか!!!」

 

 

現状は夏姫のシールドエネルギーはフルであるのに対して、一秋のシールドエネルギーは残り100……如何考えても此処からの逆転劇などは不可能だろう。

 

 

「所詮はこの程度か……貴様に、千冬さんの弟を名乗る資格は無い。消えろ、痴れ者が!」

 

「んな!?」

 

 

そしてフィニッシュ!!

フリーダムは擦れ違い様に白式をラケルタの二刀流で切り裂き、シールドエネルギーを0にする。――正に圧倒的な勝利だったと言えるだろう。

 

 

此れで夏姫は3勝。

 

 

そして、この後で行われた一秋vsセシリアは、ギリギリの所で一秋が勝利し、辛うじて己の面子を保つ事は出来た。

 

 

最終的な戦績は

 

・蓮杖夏姫:3戦3勝(うち1試合は不戦勝)

・マリア・C・レイン:3戦2勝1敗(夏姫戦は不戦敗)

・織斑一秋:3戦1勝2敗(負け試合について何やら言っていたようだが全て黙殺された。)

・セシリア・オルコット:3戦3敗(一秋戦は運悪く零落白夜が当たってしまった。)

 

 

こうなったが、これは同時に夏姫とマリアの実力を示す事になったと言えるだろう。――夏姫とマリアが圧倒的な実力を持ってして英国代表候補生と男性操縦者を討ちたおしたのだから。

 

1組のクラス代表決定戦は、夏姫とマリアが圧倒的な力を見せつけた上での事実上の無敗を決めたと言うしかない結果となっているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

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