Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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全勝は鈴か簪で間違い無いだろうが……どうにも嫌な予感がするな?By夏姫      其れ、フラグよ夏姫ちゃんBy楯無


Break17『クラス対抗戦~起こる襲撃~』

Side:一夏

 

 

つー訳でやって来たぜクラス対抗戦当日!!

組み合わせは当日発表するって事だったが、発表された組み合わせは、ハッキリ言って誰かが介入したんじゃないかって思う位のモノだったぜ。

だって試合の組み合わせは。

 

 

 

・第1試合:1組vs2組

・第2試合:3組vs4組

・第3試合:1組vs4組

・第4試合:2組vs3組

・第5試合:2組vs4組

・第6試合:1組vs3組

 

 

 

って感じだからな。

最終戦である第6試合を務めるのが一秋ってのは如何かと思うが、最終戦を飾るってのはインパクトに残るから、其処で大負けしたら大恥なのは間違い無いし、ギリギリの試合だったら『最終戦に相応しくない泥仕合』って酷評されるだろうからな……其れを考えると、若しかしなくてもこの対戦順には楯無さんが一枚噛んでるよなぁ。あと、生徒会役員になった夏姫姉も。

 

 

 

「まぁ、間違いなく夏姫と楯姐さんが一枚噛んでるっしょ?

 ぶっちゃけ、この組み合わせだと、アタシと簪が無敗でぶつかるのは間違い無いしね――無敗同士が直接対決ってのは、リーグ戦では最も盛り上がる要素だから、絶対に外せないし。」

 

「まぁ、一理あるかもな。」

 

だけど、もう2勝した気でいるのか鈴?

何よりも初戦の相手は、世界最強の弟である天才だぜ?……少なくとも、並の生徒よりはやれるんじゃないかと思うから、油断すると足元を掬われちまうぜ?

 

 

 

「一夏、アンタ其れ本気で言ってる?」

 

「んな訳ないだろ?……何処をどう考えても、鈴がアイツに負ける要素はねぇよ。――だから、徹底的にブッ飛ばしてやれ。俺が許可するから!」

 

「やっぱり思ってなかった。

 でも、徹底的にブッ飛ばせって言うなら、遠慮なくそうさせて貰うわ……99ヒットの10割コンボを叩き込んでやるわ!!――で?」

 

「で?とは、何じゃらほいな鈴?」

 

「出撃前のチューは無いの?」

 

 

 

……あぁ、それね……頑張って来い鈴――あいつに格の違いを見せつけてやれ。

 

 

 

――ちゅ

 

 

 

「うん、行ってくるわ一夏!!あのクソッタレをフルボッコにしてやるわ!!」

 

 

 

お~~、行って来い鈴!!精々、奴をフルボッコにしてやれ!!――一秋は、一度徹底的に叩き潰さない限り、変わる事は無いだろうからな。

尤も、其れでも変わらない可能性の方がデカいのが否定できないけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break17

『クラス対抗戦~起こる襲撃~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

クラス対抗戦当日……アリーナは思った以上に大入りだな?

矢張り4クラス中3クラスが専用機を持っているのだから仕方ない――しかもその3人はISRIの企業代表と、日本の代表候補生と、二番目の男性操縦者なのだから、注目はされて然りか。

 

「これ程の大入りなら、人も多いだろうが……静寐、この大会のオッズはどうなってる?」

 

「一番人気はやっぱり鈴さんかな?次いで人気なのが簪さんで、織斑君の人気は最低……織斑君の優勝に掛けられた賞金は基本賞金×100倍の倍率が入るくらいの大穴だから。」

 

 

 

つまりは全く期待されてないと言う事か…まぁ、アイツの此れまでの素行を見ている限り、期待しろと言う方が無理かも知れないがな――クラス代表決定戦の時から全く成長が見られないからなアイツには。

 

 

 

「因みに織斑君に賭けたのは……散さんだけ。

 1組の生徒としては、私達は織斑君を応援すべきなんだろうけど……応援する気にならないよ。」

 

「其れは仕方ないよしずしず~~?

 オリムーってば、自分を天才とか言ってるけど、その実はナッキーとマリリンに瞬殺された上に、訓練も真面目に行ってないでしょ?授業態度は真面目かも知れないけど、IS操縦者を育成するIS学園に於いて、ISの訓練をしてないって言うのは良くないよ~~。

 何よりも、かんちゃんの専用機の開発を凍結させてまで開発された専用機を殆ど使ってないとか、私的はその時点でオリムーを滅殺したい感じだから~~。」

 

 

 

……さらりと恐ろしい事を口にしないでくれのほほんさん。――まぁ、アイツを滅殺したくなる気持ちは分からんでもないがな。

まぁ、其処はアレだ、あの救いようのない馬鹿のおかげで、簪は本来よりも高性能で強力な専用機を手に入れる事が出来たと考えるんだ――そうすれば、少しは殺意も治まるだろう?

 

 

 

「其れはそうかも知れないけど~~……やっぱり許せないかなぁ?

 なんていうか~、馬乗りになってマウントパンチを力の限り、可能な限り喰らわせたい気分~~?容赦無用のフルボッコなのだ~~!!」

 

「其れを直接やる機会は無いだろうが……お前の望みは鈴が叶えてくれる筈だ。

 鈴は一秋の事を心の底から嫌っているからね……恐らく、否略間違い無く、一秋の事を徹底的に、力の限り思い切りフルボッコにするだろうさ。

 しかも、圧倒的な力の差を見せつけた上でな。」

 

お前もそう思うだろ、楯無?

 

 

 

「そうねぇ?鈴ちゃんが織斑君に負ける要素は何処にもないもの♪

 まぁ、其れは簪ちゃんも同じだけどね――クラス代表戦は、事実上の鈴ちゃんと簪ちゃんの直接対決の場と言ってもいいかもしれないわねぇ。」

 

「「「!?」」」

 

「あ、お嬢様~~♪」

 

「気配を感じさせずにとは……見事ですね、楯無さん。」

 

「流石は生徒会長……やる事がハンパない。」

 

 

 

まったく、いい加減気配を殺して背後に現れるのは止めないか楯無?――アタシは慣れたから良いが、慣れてない生徒に対しては、インパクトが大きすぎるからな。

 

 

 

「善処するわ♪

 其れは其れとして、此の試合は鈴ちゃんの勝ちで確定でしょ?――鈴ちゃんの反応速度の良さは常人を遥かに上回っているのだから、織斑君の攻撃なんて攻撃される前に対処出来ると思うわ。」

 

「其れは、決して間違いじゃないよ楯無。」

 

鈴の反射神経はISRIの企業代表の中では最も早い上に、アイツは勘も良いからな……鈴を相手にしたら杓子定規な攻撃じゃあ、シールドエネルギーを1%を削る事すら出来ないだろうからね。

 

何にせよ、クラス対抗戦の第1試合は、どんな形であっても鈴が圧勝するのは確定している――まぁ、精々圧倒的な実力差と言うモノを、自称天才君に喰らわせてやれ。

アイツの自信を、徹底的に粉砕してやると良いさ……高慢ちきな自称天才には徹底的な敗北を喰らわせてやるのが最大の屈辱だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

遂に幕を上げたクラス対抗戦――その初戦を戦うのは1組の代表である織斑一秋と、2組の代表である凰鈴音だ。

大会開始のブザーと共にカタパルトから射出された両者は空中に留まり、互いに相手を睨みつけている――一秋は、自分の方が強いと思い込んでいる驕った目だが、鈴の瞳に宿るのは『冷たい炎』と称すべき『冷たい闘気』。

激しい闘気を宿しながらも、強靭な精神力でその闘気を爆発させずに押さえつける事が出来た者だけが到達出来る究極の闘気、其れが鈴の瞳には宿っていたのだ。

 

 

「鈴、気は変わらないか?……前にも言ったが、アイツと一緒に居る位なら俺と一緒に居ろよ。

 あんな出来損ないよりも、俺と一緒に居た方が万倍得だぜ?……今からでも遅くないから、俺の元に来いよ。もう、照れる必要もないだろ?」

 

「アンタのそのおめでたい脳味噌に感服するわ。

 って言うかだ~れが出来損ないよ、このスットコドッコイが!――悪いけど、アタシに言わせて貰うなら、一夏はアンタの1000億倍は良い男よ。

 自分の才能を鼻にかけて、周りを見下してたアンタとは比べ物に成らない程ね。

 何よりも、アタシの身体と心は既に一夏のモノ……アンタが入り込む余地なんて無いのよ、自称天才のシスコン野郎!!」

 

「お前……俺を罵倒した事を後悔させてやるぜ!!」

 

「はん、やってみなさい!アンタじゃ出来ないと思うけどね!!」

 

 

そして、互いに挑発をしている中で試合開始!!

 

 

「この前のクラス代表決定戦は俺も見てたし、どっかの誰かがネットに上げてたんだろうな、お前の中国でのIS起動時の映像と、入学試験の実技の映像もバッチリ見たから、お前の戦い方は分かってるんだよ!

 お前は先ず、近接にしろ遠距離にしろ高威力の一発で機先を制してから自分のペースに持ち込み、そのまま勢いで押し切るタイプだ。

 なら、先制攻撃である高威力の一発さえ出させなければ如何って事ないんだよ!!」

 

「あっそ。説明くさいセリフをどうも。でも、残念でした。」

 

 

恐らくは研究していたのだろう、一秋は鈴に先制させまいと突撃して来るが、鈴は其れをバックステップで難なく躱すと、ビームライフルを放って一秋の突撃を止める。

ギリギリで回避した一秋だが、その顔は驚愕に染まっている……当然だろう、一秋が考えていた鈴の得意パターンであるなら、近距離ならシュベルトゲベール、遠距離ならゲイボルグを使って来る筈なのだから。

だが、此の2つは大型武器であるが故に取り回しが悪く、その隙を突けば――そう考えていた一秋にとって、初撃を躱されたのは兎も角として、ビームライフルで反撃して来たのは予想外だったのだ。

 

 

「確かにアンタの言った戦い方が、アタシの最も得意なパターンであるのは否定しないけど、アタシが其れしか出来ないと思ってたとしたのなら、アンタ相当の馬鹿よ一秋。

 自分の得意パターンが研究されてるなんてのは当然考える事じゃないの?アタシが、得意パターンを潰された時の対処法をしてないとでも思った訳?ハッ、流石天才は考える事が違うわねぇ。」

 

「ぐ……馬鹿にするな!!」

 

 

そして、鈴の指摘は図星だったのだろう、一秋は再び突撃して来る――余りにも単純な戦法だが、ブレオンの機体では速攻で近付いて斬る以外の戦術は難しいので仕方ないのかも知れないが――が、その突撃を止めるかのように、鈴がビームライフルの精密射撃で一秋に当たらないギリギリを撃って近寄らせない。

結果として、一秋は何度も鈴のビームライフルで突撃を止められる事となり、その様はまるで踊らされているように見えたせいか、アリーナの客席からは失笑する声も聞こえてくる。

誰がどう見ても、一秋が鈴に遊ばれているのは明らかだった。

 

 

「はぁ……こんな奴が天才とか呼ばれてたって本気かって思うわね?

 一夏だったら、この程度の射撃は簡単に躱して、とっくにアタシに一太刀入れてるわよ……ったく、アンタ相手にフルモードで戦うなんて、只の弱い者苛めだわ。

 だから、此処からは此れで相手をして上げるわ。」

 

 

そんな一秋の様子を見て、鈴は呆れ、突如ISを解除……したのではなく、拳と脛部分だけの部分展開状態となってファイティングポーズを取る。

この状態では使える武装は決定打にはなり得ないワイヤーアンカーのみだが、その状態で一秋と戦う心算なのだろう。

 

 

「鈴、何の心算だい?」

 

「見て分からない?ハンデよハンデ。

 この状態で攻撃を喰らったらシールドエネルギーは大幅に減るし、使える武器はワイヤーアンカーだけだから、直接アンタを打ん殴らないと決定打を与える事が出来ないからね――其れなら、アンタも攻撃を当てる事が出来るかも知れないでしょ?」

 

「な、舐めるなぁ!!」

 

 

一秋からしたら、余りにも屈辱的な鈴の態度に、遂に頭が沸騰し怒りの形相で斬りかかって来る。其れも必殺の零落白夜を発動した状態でだ。

此れを喰らったら一撃必殺だが……雪片を振り下ろそうとしたその瞬間に鈴が消え――

 

 

――ガスゥ!!

 

 

「がっ!?」

 

 

強烈な衝撃が一秋を襲った。

攻撃を受ける瞬間に、鈴が機体のパワーアシストを使って高速移動し、一秋のがら空きの腹部に強烈なボディブローをブチかましたのだ。

 

 

「ボディがお留守だぜ!ってね!」

 

 

更に其処からアッパーカット→横蹴りのコンボで一秋をアリーナの壁まで吹き飛ばすが、其れで終わる鈴ではない。

一秋が吹っ飛ぶのと同じスピードで移動すると、アリーナの壁にぶつかって跳ね返って来た一秋に飛び蹴りを喰らわせ、再び壁にぶつけてバウンド……させた所を、今度は空中アッパーカットで拾い、サマーソルトキックで吹き飛ばす。

そして、跳ね返って来た所を、裏拳×2→ストレート→肘打ち→回し蹴りのコンボで拾って浮かせたところをジャンプして掴んで、空中で1回転してからのパワーボム『イズナ落とし』で地面に叩き付ける。

この時点で白式のシールドエネルギーは残り30%まで減っていた事と、地面に叩きつけられた事で、このコンボも終わったと、殆どの観客が思っただろうが、甘い。

強烈に叩きつけられた事でバウンドした一秋を、鈴は蹴り上げ、其処から壁バウンドを利用して、飛び蹴り→空中カチ上げアッパー、空中ストレート、飛び蹴り上げとダウンすら許さないお手玉コンボを繰り返して行く……幾らISのパワーアシストがあるとは言え、此れだけの事が出来る鈴の身体能力の高さは推して知るべしだろう。

しかも、確りと全段顔面を狙っているのだから恐ろしい事この上ない。

 

 

「あら~~……コンボ入っちゃったわね此れ?」

 

「夏姫さん、此れって……」

 

「99ヒットの無限コンボだな……ダウン判定になって無い上に、ISも強制解除されてないからシールドエネルギーが0になっても試合が終わらないと言う悪夢のコンボだよ静寐。」

 

「正に『ずっと俺のターン!』……定番の処刑BGMである『クリティウスの牙』流そうか?」

 

「良いぞスズリン、もっとやってしまうのだ~~!!」

 

 

余りにも一方的なフルボッコ劇場に、多くの観客が引き気味な中、夏姫達は結構余裕だった……此れもまた、鈴の実力を知っているからだろう。

そのコンボも彼是10分ほど続き、何故か電光掲示板に表示されているヒット数が93になった所で、鈴が動いた。

 

 

「必殺!でや、せい、ふ、は、エイヤー!!」

 

 

浮かせた一秋に対して、ジャンプ裏拳→空中ボディブロー→空中肘打ち→飛び前蹴り→サマーソルトキック→空中回し足刀蹴りのコンボを叩きこんで、ループコンボを締めて見せたのだ。

 

 

『白式、シールドエネルギーエンプティ!勝者、凰鈴音!!』

 

「其れがアンタの実力よ……月を見るたび思い出せ!ってね。」

 

 

そして、このコンボがトドメとなり、第1試合は鈴の圧勝!

決めゼリフも鮮やかに、左手を腰に当て、右手は人差し指を立てて空を指さした決めポーズも様になっている。

尚、一秋は以降の試合は可能ではあるが、若しも白式の絶対防御が無かったら、整形手術が必要な位の顔面崩壊を起こしていた事は、略確実であっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

続く第2試合、3組vs4組の試合は、特に記述する事も無く簪が圧倒して勝利した。

相手が一般生徒で、使用機体も訓練機と言う圧倒的に有利な状況ではあったが、其れでも慢心しなかった簪が、バスターの火力にモノを言わせた飽和攻撃で完全勝利をもぎ取ったのだ。

 

そして続く第3試合は、1組vs4組……つまりは一秋vs簪と言う、ある意味では因縁の対決だ。

 

 

「鈴にはまさかの負けを喰らったけど、君には負けないよ更識さん……君に恨みは無いけど、俺の踏み台になって貰うからその心算でいてよ?」

 

「……悪いけど、彼方の踏み台になる心算は毛頭ない。

 顔は一夏君に似てるけど、貴方は実力もないくせに過去の栄光に縋って驕っているだけの只の下衆……貴方には、織斑先生の弟である資格は無いと思う……寧ろ、貴方は織斑先生の汚点でしかない。」

 

「へぇ?君が其れを言うのかい……専用機の開発が凍結された、間抜けな代表候補さん?」

 

「…其れは貴方のせいだから、私の能力は関係ない。

 と言うか、貴方がISを偶然起動させたせいで私の専用機は開発が凍結された……尤も、そのお陰でより高性能な私の専用機が出来たけど、其れでも、貴方の事は許せない。

 だから、叩きのめす。」

 

 

一秋からしたら分からないだろうが、簪は一秋のせいで己の専用機の開発が凍結されたのだから、一秋に対して良い感情など持っている筈がない――夏姫とマリアがフルボッコにし、さらに第1試合で鈴がループコンボでボコってくれたとは言え、矢張り簪的には己の手で断罪の斧を振り下

ろさねば気が済まないのだろう。

 

 

 

『其れでは、試合開始!』

 

 

 

「喰らえ!!」

 

 

其れを示すかのように、試合開始直後に、簪はバスターの六連装ミサイルポッドを4連射し、48発のミサイルを一秋に向かって掃射!!

正に圧倒的な弾幕攻撃であり、此れを喰らったら一溜りも無いと判断した一秋は、弾幕を回避するが、その回避行動は完全に読まれていた。

 

 

「攻撃も単純なら、回避も単純だね。」

 

「な!?」

 

 

回避先には簪が先回りしており、35mmガンランチャーを一秋に向けており、略ゼロ距離で其れを発射!!

この近距離での砲撃を受けたら、普通はシールドエネルギーが大幅に削られるものだが、白式のシールドエネルギーは殆ど減っていない……当然だろう、簪が放ったのは特殊弾であるHESH弾(粘着弾)だったのだから。

HESH弾は威力は殆どない代わりに、被弾した相手を粘着質の物質で絡め捕って、その動きを制限する……つまり、一秋は防御も回避も完全も封じられたのだ。

となれば、其れはもう只の的でしかない。

 

 

「此れで終わらせる。」

 

 

そんな一秋に対して、簪はバスターのメイン火器を、ガンランチャーを前に、火線ライフルを後ろに直列に連携させた『対装甲散弾砲』にすると、そこからレールショットガンを至近距離でぶちかまして、白式のシールドエネルギーをゼロにする。

鈴がコンボで倒したのなら、簪は一撃必殺と言う所だろう。

 

 

『白式、シールドエネルギーエンプティ。勝者、更識簪!!』

 

「この程度が織斑先生の弟だなんて聞いて呆れる……所詮貴方は、生まれ持った才能に胡坐をかいて、才能を腐らせた下衆だった訳だね。」

 

 

正に圧巻の勝利!!

尚、此の試合を見た4組の生徒は、簪への評価を改める事になったのだが、簪の真の実力を示すには充分な試合だっただろう。

 

 

 

そして第3試合は、2組vs3組だったのだが、3組の代表が機体の修復が済んでない事を理由に試合を棄権した事で、鈴の不戦勝と言う事になったのである。

此れで、鈴と簪は共に2戦全勝でトップ……つまり、此の直接対決で何方がトップになるかが決まるのだ。

 

 

「出来ればメインイベントで戦いたかったけど、其れは仕方ないわよね……だけど簪、アンタとは思い切り戦いたかったから、手加減はしないわ。」

 

「其れは私も……貴女とは本気でぶつかり合いたかったから。」

 

 

そして、鈴も簪も、此の試合は全力全開で行く心算だったのだろう。

鈴からは赤い龍のオーラが、簪からは白い虎のオーラが沸き上がってるんじゃないかと思う位に闘気が高めらているその様は、『龍虎の対決』其のものだ。

 

 

「簪……炎が、アンタを呼んでるわ。」

 

「なら燃え尽きろ鈴……潔くね。」

 

「行くわ!!」

 

 

『其れでは2組代表凰鈴音vs4組代表更識簪……試合開始!!』

 

 

 

そして、その闘気が弾けると同時に放たれた試合開始のコール。

其れを合図に、鈴はゲイボルグを、簪はガンランチャーを展開して放つが……

 

 

 

――バリィィィィィィン!!

 

 

 

其処に突如何者かが乱入して来た――アリーナの外壁やらシールドやらを突き破ってだ。

こんな破天荒な登場は兎も角、IS学園のアリーナのエネルギーシールドを突き破って来るとは半端な機体ではない――最低でも束が試作機として開発した前期GATシリーズを上回る性能を有してるのは間違い無いだろう。

 

 

――シュゥゥゥ……

 

 

そして、土煙が晴れた事で顕わになった姿に、アリーナに居た鈴と簪は驚愕するしかなかった……何故なら、其処の現れたのは、並のISの倍はあろうかと言う超巨大な存在だったのから。

 

 

「な、コイツは一体……!?」

 

「少なくとも、味方じゃないわね……なら、ぶっ壊すだけでしょ?――行くわよ簪!!」

 

「分かった……行こう、鈴!!」

 

 

だが、其れだけの巨大な敵にも怯まずに挑まずして何とすると言うかの如くに、鈴と簪は謎の乱入者へと向かう。――未知の相手であるとは言っても、行き成りアリーナのシールドを破壊して現れた相手を捨て置く事は出来ないのだから。

何よりも、最高の試合をしようとしてた所に水を差してくれた相手を、許す理由は何処にもないのである。

 

 

「アンタが何処の誰で、何の目的で来たのかは知らないけど……アタシと簪の試合をぶっ潰したのは許せないから、覚悟しなさいよ!!」

 

「何よりも、アナタのような存在は他の生徒に危害を加える可能性も大きいから、私達が排除する。」

 

 

瞬間、鈴と簪は乱入者に向かって突進!!

 

クラス対抗戦は、謎の襲撃者の乱入によってテロリスト(と呼んでも差し支えない相手)との戦闘の場へと姿を変えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 




キャラクター設定




・鷹月静寐
夏姫のクラスメイトで、箒の同室の生徒。1年1組の確り者トップ3の1人。(残る2人は夏姫とマリア)クラス代表決定戦で夏姫の実力を知り、相川清香、谷本癒子等と共に夏姫にISの事を教わるようになる。
真面目な性格だが其れとは裏腹に、ジョークが満載のコメディ本を好んで読む傾向にあり、好きなテレビ番組もお笑い系のバラエティ。……にも拘らず、仕入れたジョークやネタを人前で披露しないのは性格がなせる業なのだろう。
尚、箒が散を成敗する際に使う凶器は、高確率で彼女が何処かから持って来て手渡す場合が多いのだが、一体何時何処でその凶器を入手して来たのかは全くの謎である。(竹刀や木刀は兎も角、バットや角材、果ては鉄パイプにトンファーとか何処から持って来てるのだろうか……。)



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