Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

22 / 123
今回も出番なしかBy夏姫     今回は、私がメインですかからねByマリア


Break21『G・W其の弐~英国における一幕~』

Side:マリア

 

 

日本独自の5月の大型連休――通称ゴールデンウィーク。

『黄金週間』とは、何ともシャレたネーミングに日本人のセンスを感じるわ。

この大型連休を利用して実家に戻る生徒も多いみたいだけれど、日本以外の国から来ている生徒の中には、祖国に戻る人も多いみたいね?

 

まぁ、かく言う私もその一人であるのだけれど――貴女から共に祖国への帰国を誘われるとは思っていなかったわミス・オルコット。

其れだけなら兎も角、貴女の実家であるオルコット家に来て欲しいと言われるだなんて、流石に予想外だったわよ?

貴女からしたら、私はクラス代表決定戦で、貴女を完膚なきまでに叩きのめした怨敵とも言うべき存在……そんな私を誘うだなんて、如何言う心算なのかしら?

 

 

 

「う……クラス代表決定戦で、一方的に叩きのめされた事に関しては思う所が無くはありませんが、アレは全て私の実力不足が招いた結果なのですから、其れに彼是言う事はお門違いですわ。

 私は、ただ単純に同じ祖国を持つ貴女と共に帰国し、良い機会なので家の方にお招きしたいと思っていただけですわレインさん。」

 

「あら、そうだったの?なら、あらぬことを言ってしまって悪かったわ。」

 

「いえ……そう言われても仕方のない事をしてしまいましたので。」

 

 

 

……ふぅ、クラス代表決定戦以降、態度がガラリと変わったとは思ったけれど、これが本来の彼女の姿なんでしょうね――アレは、『セシリア・オルコット』の名を背負った事に依る緊張から来る、暴言だったと言う事なのかも知れないわ。

 

まぁ、クラス代表決定戦後に、潔く自分の非を求めて謝罪した事で、クラスの心象は余り悪くはないし、其れなりに友人も居る様だからね?……尤も、織斑一秋の酷さのせいで、彼女の愚行が帳消しにされている感じがしなくはないけれど。

 

だけど、6年ぶりの祖国ね……しかも、嘗ての私の名を名乗る子と一緒に帰国とは、何かの因縁を感じてしまうわ。

何が起きるかは分からないけど、事と次第によっては、今のオルコット家を滅ぼす事を念頭に置いていた方が良いかも知れないわね……そんな事態にならないのが一番だけど、恐らくそうはならないでしょうからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break21

『G・W其の弐~英国における一幕~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う事で、モノレールで本土までやって来て、其処からバスで羽田空港までやって来たのだけれど、一般の国際線で英国に戻るとは予想外だったわね?

オルコット家の財力を考えれば、自家用旅客機でお迎えが来るんじゃないかと思っていたのだけど……

 

 

 

「其れは其れで可能なのですが……少しプライベートで貴女と話したい事が有ったので、一般の国際線を使う事にしたのですわ……。

 こう言っては身も蓋もありませんが、プライベート機では、機内の会話は全て録音されていると言っても過言じゃありませんわ……其れを考えた上で、普通の国際線を選んだのですわ。」

 

「成程、其れならば納得できるわね。」

 

でも、貴女が私と個人的に話したい事と言うのは一体何なのかしら?――態々普通の国際線を選んでまで、オルコット家の者に聞かれたくなかったと言うのは相当な事なのでしょう?

 

 

 

「……はい。

 ですが、其れをお話しする前に、レインさんは6年前に起きた『オルコット家の奇跡』は御存知でしょうか?」

 

「オルコット家の奇跡?

 残念だけれど存じ上げないわ……6年前だと、その頃には既に日本で暮らしていたから。」

 

「そう、ですか。

 オルコット家の奇跡とは、両親を喪ったセシリア・オルコットが、齢10歳にしてオルコット家の当主となり、オルコット家を守り通したと言う話ですわ……英国では、奇跡の美談として語られていますのよ?」

 

 

 

そんな事が……其れを踏まえると、貴女はその奇跡の立役者と言う事になるわね?

 

 

 

「表向きにはそうなるでしょう……ですが、真実はそうでは無いのですわレインさん。

 何故ならば……私は、本物の『セシリア・オルコット』では無いのですから……」

 

「え?」

 

そんな事は知っていた――とは、言わない方が良いでしょうね此処は。

だけど、そんな重要な事を私にこうして漏らすとは……如何やら彼女は、私が思っている以上に『セシリア・オルコット』を演じる事に対しての重荷か、或いは罪の意識を持っているのかも知れないわ。

 

 

 

「私の家がオルコット家の遠縁であるのは間違いありませんが、其れは親戚と言うのも憚られる程の関係の薄さでした。

 ですが、6年前のある日……行き成りオルコット本家に近い親戚の方々がやって来て『オルコット本家の人間が全て死んだ。此のままではオルコット家は終わってしまう……せめて、セシリアだけでも生きていると言う事にしなくては拙い。――お前達の娘を新たな『セシリア・オルコット』にしてくれ。』と言って来たのです。

 勿論、両親は最初は断りましたが、度重なる要請に疲れ果て、半ば押し切られる形で私をオルコット家の養子に出し、私は新たな『セシリア・オルコット』となったのです。」

 

「なんともまた……英国パパラッチに売ったら、一財産出来そうなネタね其れは。」

 

私を殺そうとしただけではなく、全く無関係の少女を巻き込むとは……叔父様方には、プロヴィデンスでの裁きをブチかまさないといけないわね。

尤も、若しももう一度会う機会があったその時は、何らかの裁きを下す心算で居たから、これはある意味で良い機会なのかも知れないのだけど。

 

「でも、其れだけの事をよく私に言う事になったわね、ミス・オルコット?」

 

「……貴女だったからかもしれませんわ、レインさん……貴女ならば、全てを受け止めてくれると思って……そして、話してしまいました。」

 

 

 

其れは包容力があると思われたと言う事で良いのかしらね?……まぁ、其れだけの重大な事を話せる相手だと思って貰えたと言うのは光栄だと思っておくわ。

所でミス・オルコット、貴女の両親は健在かしら?

 

 

 

「……いえ、両親は私がセシリア・オルコットになった数日後に交通事故で他界してしまいました……兄弟も居なかったので、私は天涯孤独の身となってしまいましたわ。

 一応親戚の叔父様方は居ますけれど、あの人達は、私の事を己の道具としか見ていない気がしますので、孤独なのは変わりません。」

 

「成程ね……なら、私と友達にならない、ミス・オルコット?」

 

「へ?レインさん?」

 

 

 

親しい友人がいると言うのは、其れだけで気が楽になるものよ?――何よりも、本音を言う事が出来る相手が居ると言うのは貴重なモノでしょ?

本音を言い合える相手なんて、滅多に居ないわよ?

 

 

 

「其れはそうかも知れませんが……良いのですか、レインさん?」

 

「私が貴女と友達になりたいと思ったのだから、一切問題は無いわミス・オルコット――其れとも、私が友達と言うのは不満があるかしら?」

 

「いえ……そんな事は有りませんわ。

 寧ろ、私の方こそ恐縮ですわ……貴女ほどの方の友人になれるとは、恐悦至極ですわ。」

 

「ふふ、そう畏まらないで?私達は対等な友人なのだからね。」

 

「はい!!」

 

 

 

嘗ての私の名を騙っているとは言え、此の子は矢張り悪い子じゃないわね……黒幕は、私を殺そうとした連中なのは間違いないけれど、彼女の両親も、恐らくは彼等に消されたと見ていいでしょうね。

彼女が『セシリア・オルコット』となった直後に交通事故で他界していると言うのは、幾ら何でも都合が良すぎるもの。

 

――如何やら、今のオルコット家は、私が想像していた以上に腐り切ってしまっているみたいね……ならば、私は其れを正さなくてはならないわ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

羽田を出発してから十数時間……6年ぶりとなるロイヤルキングダムの空気……正直に言って懐かしいわ……子供の頃は何時も当たり前と思ってたけれど、一度離れるとその良さが良く分かるわね。

 

空港から直接オルコット家に向かうのかと思ったら、如何やら彼女は両親のお墓参りをする心算らしく、先ずは郊外の墓地に向かうとの事――私も両親のお墓参りをする心算で居たから丁度良いわ。

 

で、空港には迎えと思われる車が来ていたのだけれど……

 

「此れは何かしら?……可成りの高級車とお見受けするけれど。」

 

「此れは、送迎用のリムジンですわレインさん。」

 

 

 

送迎用のリムジンって……可成り奮発したモノね……私的には自転車があれば充分だから、こんな高級車に乗る機会が来るとは思ってなかったから、思わず驚いたのは仕方ないわよね。

私が『セシリア・オルコット』だった時でも、リムジンに乗った事はなかったわ……其れを踏まえると、これも初めての経験と言う事が出来るのかも知れないわね。

 

 

 

 

そんなこんなで、空港からリムジンに揺られる事およそ1時間で郊外にある墓地に到着。

私も両親のお墓参りと言う事で、一旦彼女とは別行動だったのけれど、彼女の両親のお墓と、私の両親のお墓が離れた場所に有ったのは僥倖だったわね?此れだけ距離が有れば、私がオルコット家の人間である事を悟られずに済むもの。

途中で花は買って来たけれど、線香の一本でもあればと考えてしまう辺り、私も随分と日本に染まっているみたいだわ。

 

今度来る時は線香を持って来るわお父さん、お母さん……あの香りは心が安らぐから、2人ともきっと気に入ると思うから。

 

お墓参りは此れでお終いね。

再びリムジンに乗って、オルコット家へと向かっている訳だけど――ねぇ、ミス・オルコット……いえ、友人に対してこの呼び方は無いわね?

セシリアと呼んでも良いかしら?或いは、貴女の本名でか……まぁ、貴女の本名知らないけれど。

 

 

 

「はい、セシリアで結構ですわレインさん。私も、マリアさんとお呼びしても?」

 

「えぇ、構わないわ。

 其れでセシリア、貴女の両親は他界したとの事だけれど、貴女の実家は今は誰も居ないのかしら?」

 

「いえ、叔父と叔母が住んでいます。其れからメイドのチェルシーが。」

 

 

 

チェルシー!……そう、貴女は無事だったのね……若しかしたら、私が殺されそうになった時に、貴女も屋敷で始末されてしまったんじゃないかって思っていたけど、生きていてくれたとは……流石ねチェルシー。

 

「叔父と叔母……失礼だけれど、2人の名は?」

 

「叔父が『チャールズ・オルコット』、叔母が『ダイアナ・オルコット』ですわ。」

 

「!!」

 

お母様の弟と妹……あの野心家の2人が――!

と言う事は、その2人が彼女を『セシリア・オルコット』に仕立て上げた黒幕と見て間違い無いわね……そして、6年前のあの日、私を殺す為にISを纏った暗殺者をけしかけたのも。

 

――更に、彼女の両親を事故に見せかけて殺したのも彼等と見て間違い無いわ。

あの2人の事だから、他の親戚には遺産の何割かを渡し、その代わりに彼女をセシリアに仕立て上げ、オルコット家の地位と財産を好き勝手にしているのでしょうね……マッタク持って許し難い事この上ないわね。

 

ねぇセシリア、貴女は叔父と叔母の事を如何思っているの?

 

 

 

「正直に言って好きではありませんわ。

 私の事をまるで『道具』であるかのように見てきますし、日本へ発つ前も『学園でオルコットの名を上げろ!』的な事しか言って頂けませんでしたから……私は、彼等の為にIS学園に行く訳では無いと言うのに、本当にウンザリでしたわ。」

 

「……其れは、普通に好きになる要素が何処にもないわね。」

 

何処までも最低な人間であるのは変わらない訳か……推測の域を出ないけれど、若しかしたら私の両親は彼等に殺されたのかも知れないわ。

お母さんは、何時も『弟と妹が財産目当てで近付いて来て困る』と零していたからね……此れは、何らかの裁きなんて生易しい物じゃなくて、本格的に彼等を滅する事を考えていた方が良いかも知れないわね。

 

 

 

「大凡好きになる事は出来ませんが、両親を喪った私にとっては今は親代わりですので、中々無碍にする事も出来ないのが辛いですわね。

 と、話し込んで居たら何時の間にやらですわね?到着しましたわよマリアさん。」

 

「もう着いたの?お喋りで過ぎる時間は早いと言うけれど、マッタク持ってその通りね。」

 

私にとっては6年ぶりの実家……悪趣味に作り替えられてるのではないかと思ったけれど、そんな事は無くて安心したわ。

其れと、庭の手入れも行き届いててあの頃のままね?――チェルシー、貴女がこの家を本当の意味で守って居てくれたのかしら……何にしても、本番は此処からね。

 

 

 

「叔父様、叔母様、セシリア・オルコット、ただいま戻りましたわ。」

 

「おぉ、戻ったかセシリア。」

 

「よく戻りましたねセシリア。時に其方の方は?」

 

「IS学園で出来た友人の、マリア・C・レインさんですわ。

 クラス代表決定戦で、私を圧倒して倒したISRIの企業代表の方ですの。彼女も、この国の出身ですのよ♪」

 

「マリア・C・レインです。

 以後お見知りおきを、ミスター・チャールズ、ミズ・ダイアナ。」

 

「セシリアの友人か……しかもセシリアを圧倒して倒すとはね?

 ISRIは最近業績を伸ばしているIS関連会社だが、其処の企業代表ともなると、国家代表候補をも上回る実力があると言う事か……まぁ、此れからもセシリアとよくしてやってくれたまえ。」

 

 

 

……と、言いつつあわよくばISRIに取り入って甘い汁を吸おうと言う魂胆が見え見えよチャールズ――マッタク、貴方が本当にお母さんの弟だったのか疑いたくなるわね?

まぁ、其れは織斑一秋や篠ノ之散にも言える事だけれど。

 

 

 

「其れにしてもマリアさんと言いましたか?

 貴女も英国人のようですけれど、その髪の色は一体……英国人でアッシュブロンドの髪は珍しいですけれど?」

 

 

 

其処に気付くとは、盆暗ではないようねダイアナ?

 

私の髪は元々はセシリアと同じようなプラチナブロンドだったのだけれど6年間に両親が事故で他界した時のショックで、一晩で色が抜け落ちてしまったのよ。

更にその後、殺されかけてね……その時のショックが重なって抜け落ちた色がこのアッシュブロンドに落ち着いたのよ――此の髪の色は、ある意味で彼方達から貰ったような物よ、ミスター・チャールズ、ミズ・ダイアナ。

 

 

 

「私達が与えただと?」

 

「如何言う事かしら?」

 

 

 

……鈍いわね?

なら、こう言えば分かるかしら――6年ぶりね、叔父様、叔母様……セシリア・オルコットが地獄から彼方達に会いに来たわ。

 

 

 

「「んな!?」」

 

「え……貴女が、本当のセシリア・オルコットですの!?」

 

 

 

まぁ、そう言う事になるけれど、名乗るまで気付かないなんて間抜けにも程があるわねチャールズ、ダイアナ?――そんな間抜けで、よくもまぁ今の今までオルコット家を牛耳る事が出来たモノだと、逆に感心するわ。

彼方達の様な無能では、物の数年で両親の遺産を食い潰すと思っていたからね……

 

 

 

「き、貴様、生きていたのか!!」

 

「馬鹿な、確実に始末した筈なのに!!」

 

「私の死の痕跡を残さずに殺すと言うのが仇になったわね?

 現場に私の血が残されていた事と、私の遺体が無かった事から私の死を断定したのでしょうけど、暗殺部隊が全滅していた事に注目すべきだったわ……そうすれば、現場の不自然さに気付いた筈だからね。」

 

そして、その反応で私を殺そうとした黒幕は彼方達で間違い無いわ……!

此の6年間、私は私を殺そうとした奴等への因果を応報させる事を目的にしてた……そして、今目の前にはその怨敵が居る……そして、狩らない理由は何処にもないわ。

 

覚悟は良いわね?

 

 

 

「く……まさか生きていたとは!!

 だが、貴様に殺される心算はない!!チェルシー!チェルシー・ブランケット!!」

 

「お呼びですか、旦那様?」

 

「おぉ、来たか!!」

 

 

 

此処で、チェルシーを呼ぶとは……私の相手をさせる心算ね?

チェルシーは子供の頃からメイドの作法を叩き込まれていた事で、家事に勉学に武道まで完璧に熟すスーパーメイドだから、屋敷のボディガードにもなるしね。

 

 

 

「奴を殺せチェルシー!アイツはオルコット家に仇なす敵だ!」

 

「左様でございますか……ならば始末しなくてはなりません――貴方をね、チャールズ。」

 

 

 

――ドス!!

 

 

 

と思ったらチェルシーがチャールズの胸を剣で貫いている?……如何やら貴女は、只生き延びただけじゃなくて、この愚かな叔父と叔母を始末する機会をうかがって居たみたいね?

 

 

 

「が!!……チェルシー、貴様!!」

 

「何時から私が彼方達の味方だと勘違いしていました?

 寧ろ私は狙っていたんですよ……お嬢様と、奥様と旦那様を殺した彼方達を始末するその時をね……精々地獄で、奥様と旦那様に詫びると良いわ。――其れが、貴方の人生の終着駅よ!」

 

 

 

実に見事ね。

心臓を貫きながらも意識を切らせずに、話すだけ話して置かせて、その上で止めを刺す……貴女はメイドとしてだけでなく、アサシンとしても一流みたいねチェルシー。

 

そして、貴方も此処で終わりよダイアナ。

 

 

 

「なんですって?」

 

「周囲を見てみなさい?」

 

「……な、これは!!」

 

 

 

チェルシーがチャールズを葬ったと同時に、プロヴィデンスのドラグーンだけを起動して貴女の事を囲わせて貰ったわ――少しでも動けば、ドラグーンのビームが発射される……此れが天帝の結界よ。

まぁ、動かなくても、貴女に待っているのはビームの雨なのだけどね……To be killed.(殺れ。)

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ふぅ……マッタク持って品のない断末魔ね?まぁ、貴方にはお似合いかもしれないれどね。

でも、其れは其れとして良い働きだったわチェルシー……って、私の事が分かるかしら?

 

 

 

「えぇ、良く分かりますよセシリアお嬢様。

 髪の色こそ変わってしまいましたが、あの頃の面影がありますから……お帰りなさいませ、お嬢様。」

 

「えぇ、ただいまチェルシー。」

 

実に6年ぶりの帰省で、過去の因縁を精算できるとは思わなかったけれど、これはセシリアを再起動しないとだわ……流石に予想外の連続でKOされたみたいだからね。

 

取り敢えず起きろ!

 

 

 

――スパーン!!

 

 

 

「ふぇぇ!?」

 

「何と言う物理的かつ攻撃的な再起動のさせ方……6年間で成長なさいましたねお嬢様……」

 

「此れ位は強くならないと、超人揃いのISRIでは生きていけないのよチェルシー。……さて、目が覚めたかしら?」

 

「へ?そんな、貴女が本当のセシリア様で……私は偽物……ちょっとビッグベンから紐なしバンジーに挑戦してきますわね――!」

 

「待てーい!!」

 

貴女の気持ちも分からないではないけれど、私もチェルシーも貴女を如何する気はないわ……寧ろ真実を知った事で、如何するかが一番大事な事だからね。

私が本当のセシリア・オルコットであるのは事実だけれど……私は既に実家を捨てた存在だから今はオルコット家とは無縁の存在よ。――だから、貴女の思い次第では好きなようにする事が出来るわ。

だから、此処からがスタート地点よセシリア――オルコット家の当主として、恥じない振る舞いをしなさい。

 

そしてチェルシー……セシリア・オルコットとして命じるわ――何があっても彼女を守りなさい。其れが、私からの最後の命令であり、友人である貴女へのお願いよチェルシー……頼めるわね?

 

 

 

「勿論ですわお嬢様!!」

 

「うん、良い返事ね。

 そしてセシリア……私の名を継いだのならば、その名に恥じないように振る舞いなさい?『セシリア・オルコット』は、もう私ではなく貴女なのだから――頑張りなさい?」

 

「セシリアさん……否、マリアさん……はい、はい……セシリア・オルコットの名に恥じないように励みますわ!!」

 

 

 

えぇ、それで良いわ。

だけど、最後に貴女の本当の名前を教えてくれるかしらセシリア?

 

 

 

「喜んで。

 『メアリー・オルコット』其れが私の本名ですわ、マリアさん。」

 

「メアリー……そう、良い名ね。」

 

なら、此れからは貴女の事はメアリーと呼ばせて貰うわ――ニックネームと言う事にすれば、多分クラスの全員が納得するだろうからね――本音さんが、クラスメイトに妙な渾名をつけているせいもあるけれどね。

其れでも良いかしらメアリー?

 

 

 

「光栄ですわマリアさん――否、マリアお姉様。」

 

 

 

誰がお姉様か!……否、其処まで慕われてるのは悪い気はしないけれど、一歩間違うと腐女子にネタを提供する事になりかねないから、その辺は上手く切り抜けないとだわ。

だけど、此れで6年前の因縁は全て清算出来たわ。――其れだけでも、この帰省には意味があったと言えるわね。

 

黄金週間で得たモノは、純金以上に価値のあるモノだった――其れを体感する事が出来たからね……此れは連休明けの学園が楽しみになって来たわ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 




キャラクター設定



・セシリア・オルコット

オルコット家の現当主だが、実はセシリア本人ではなくその存在をトレースした偽物。
本名は『メアリー・オルコット』。マリアには劣るモノの、実は地力は可成り高く、鍛えればかなりの実力を発揮する。
ゴールデン・ウィークを利用して帰省した際にマリアとオルコット家の真実を知るが、マリアから『貴女が本物のセシリアとなれ』と言われ、その名に恥じぬように努める事を決意する。
其れを機にマリアの事を『お姉様』と呼ぶようになるが、あくまでも敬意の表れであり、そっちの気は全くない。多分。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。