Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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ヴァルキリートレース……戦乙女の移し身かBy夏姫     大凡、真面なプログラムではないわねBy楯無


Break34『戦乙女の幻想を砕き黒兎を救出せよ』

Side:一夏

 

 

散のプラスチック爆弾を喰らったラウラは、機体が解除されたが、その直後に正体不明のドロドロがラウラを取り込んじまった……でもって、そのドロドロが形になって現れたのが『其れ』とは、幾ら何でも他に姿があったんじゃないのか?

 

『暮桜』――千冬さんが現役だった頃の姿って、流石に如何なんだ?

まぁ、ラウラはドイツで千冬さんの手解きを受けていたみたいだから、尊敬や憧れの念を持ってもおかしくないから、その感情が暮桜の姿となったってのは分からなくもないが……

 

 

 

「テメェ……其れは千冬姉のモンだ!勝手に真似してんじゃねぇ!!」

 

「其れは万死に値する!!」

 

 

 

一秋と散には分からねぇよな……まぁ、一生かけても理解出来ないだろうけど。

ってかよ、生身で正体不明の機体に向かってくとか阿呆かアイツ等?……否、確認不要だろうな――アイツ等は、常に自分に都合のいい様にしか物事を考えてない。

 

きっと今だって、『暴走した機体を鎮圧すれば、ヒーローだ』位に思ってて、ドレだけ危険な相手なのかってのを全く考えてねぇ……本当に、なんであんなのが千冬さんの弟で、束さんと箒の妹なんだろうな。

 

 

 

『ガァァァァァァァァァァ!!!』

 

「ひでぶ!!」

 

「たわば!!」

 

 

 

速攻でブッ飛ばされて、頭からアリーナのフェンスに突っ込んで、ゲームオーバーだしな……痙攣してるから生きてるんだろうが、完全に意識は飛んでるだろうな。

 

……だが、これで邪魔者は居なくなったから、思い切り戦う事が出来る――返してもらうぜ、お前が取り込んだラウラをな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break34

『戦乙女の幻想を砕き黒兎を救出せよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

ラウラが黒いドロドロに取り込まれ、現れたのは暮桜――千冬さんが現役だった頃の愛機だ。

単一仕様をあんな様なモノに設定していた可能性が無くは無いが、そうであるならラウラが其れを拒絶するのは些か不自然だ――己の機体の単一仕様は分かってる筈だしな。

だから、アレは単一仕様じゃない別の力なんだろうが……さて、その正体は何とやらと言う所だな。

 

 

 

「アレは、VTシステム――ヴァルキリー・トレース・システムと言う最強にして最悪のプログラムよ。

 搭乗者を取り込み、モンド・グロッソ優勝者の動きを完全に再現すると言う、狂気のシステム……余りにも非人道的だと言う事で、計画はドイツ政府によって凍結された筈なんだけど、如何やら研究を続けていた残党が居た様ね。」

 

「そいつ等が、何らかの方法でラウラの機体に其れを搭載したと言う事か……」

 

マッタク持って笑えん事だな其れは。

だが、先ずはあの偽暮桜を何とかしなくてはなるまい――一夏だけでも充分に立ち回れるだろうが、連戦故に万が一と言う事があるかも知れないから、楯無達は……そうだな、混乱が起きない程度にアレがアクシデントではなくタッグトーナメントのイベントか何かだと思わせてくれないか?

なんだったら放送部や薫子さんも使って、兎に角タッグトーナメントが中止にならない様にしてくれ。

 

 

 

「どうしてそんな事を……此処は緊急に避難させるべきじゃないの?」

 

「普通ならな。

 だが、ラウラの機体にアレを仕込んだ奴の目的が、アレが起動してタッグトーナメントその物が中止になると言う事だとしたら如何だ?」

 

「……IS学園の専用機持ちの機体に違法なシステムが搭載されており、其れが暴走して各国の要人が重大な危険に晒され、タッグトーナメントが中止になった事で、企業から視察に来ている人達は、将来自社に引っ張りたい人材を探す事が出来ずに無駄足を運んだ事になる……学園への批判は免れないわね。

 もっと言うなら、これを口実にIS学園を快く思わない連中が、難癖付けてきてIS学園その物を潰そうとしてくるかもしれないわ。」

 

 

 

正解だ楯無。

加えて、学園はクラス対抗戦の時にも襲撃を受けて、セキュリティ面の脆さを指摘された事があるから、それから大して時間が経ってないのに再び問題が起きたとなれば、学園の立場も危うくなる――だから、この事態は異常事態と悟られる事なく鎮圧しなくてはならないんだ。

 

 

 

「そう言う事なら任せなさい!!

 ま~~~って、ました!や~~っと始まったわね!!ったく何時始まるのかと思って、待ちくたびれちゃったじゃないのよ!!

 只試合を見るだけじゃ退屈だって言う事で、1回戦の最後の試合が終わった所で何かイベントをやるって楯姐さんから聞いてたけど、まさかラウラがメインとはね!

 どうやってあんな事をしたのかは知らないけど、これは差し詰め暴走したISに捕らわれたラウラを救出する小劇って所かしら?」

 

「お~!つまりイッチーは、ラウラウを助け出す正義の味方!言うなれば王子様!……でも、其れは良いのかスズリンーーー!!」

 

「一夏の嫁は私だけだから大丈夫!

 こう言ったら何だけどねぇ、アタシと一夏のラブパワーは他の誰の介入をも許さないのよ!!

 でも箒、アンタだけは一夏の2人目の嫁として例外的に認める事も吝かじゃないわ……初恋の人を、そう簡単に諦めきれる筈がないでしょう!」

 

「んな!?お前、何言ってるんだ鈴!!」

 

「良い男は、良い女を囲ってるモノだと言ってみる!!」

 

「お~~、イッチーハーレムだ~~♪」

 

「本音、其れはちょっと違う気がするんだけど……」

 

 

 

……うん、実に見事だな鈴。今ので観客の殆どがお前に注目したぞ。のほほんさんもナイスなノリだ。――が、其れはマジなのか冗談なのか判断に迷う所だな。

まぁ、たった1人しか愛してはいけませんなんて言う法律は無いから、一夏が本気であるのならばアタシは何も言わないけど。

 

 

 

『おぉっと!此れは一体如何した事だぁ?

 若しや此れは、ラウラ選手のISが篠ノ之散の爆弾攻撃を喰らった事で暴走したとでも言うのか!!――此れは、まさかの超展開だ!!

 蓮杖一夏君だけでは、この事態を打開するのは難しいかも知れない……だからこそ今こそ、この事態を打開できるヒーローを呼ぼう!!

 助けてフリーダム!!!』

 

 

 

放送部もノリノリだな?

だが、そう言われても、アリーナにはシールドがあるからカタパルトに行かないと出撃する事は出来ないぞ?――とは言え、此処で出撃が遅れたら興醒めだし、さて如何した物かな?

 

 

 

『蓮杖姉、一時的にアリーナのシールドを解除したから、その場からの出撃を認める――ボーデヴィッヒを、助けてやってくれ。』

 

「織斑先生……了解しました。

 蓮杖夏姫。フリーダム、行きます!!」

 

まさか、千冬さんがこんな事をするとは思わなかったが、こんな事をするほどまでに事態を重く見ていると言う事なのかも知れないな此れは……実際に、これは笑ってすます事が出来ない事態だからな。

さて、如何戦う一夏?

 

 

 

「夏姫姉か。

 アレが暮桜を模してる以上、恐らく武装は近接ブレード一本だと思うから、接近さえさせなければ怖い相手じゃない――んだけど、もし姿以外の事も再現されてるとしたらその限りじゃないと思うぜ。」

 

「お前の考えは、当たってるよ一夏。」

 

アレはヴァルキリー・トレース・システムと言って、過去のモンド・グロッソの優勝者の動きを再現すると言うモノらしい――つまりアレは、多少劣化しているかも知れないが、現役時代の千冬さん其の物と言う事だ。

生半可な遠距離攻撃では簡単に掻い潜って、強引に己の間合いにしてくる……ハッキリ言って、ブリュンヒルデが相手と言うのは、流石に少々厳しい物が有るな。

お前も、嘗ての姉を模した存在と戦うのは、少し辛いんじゃないか一夏?

 

 

 

「いや、全然平気。

 此れは確かに暮桜だけど千冬さんじゃない――ラウラの憧れとかを歪んだ形で再現しただけの劣化コピーにも劣る失敗作だ……寧ろぶっ壊してラウラを助け出す気持ちの方が強い感じだぜ。」

 

「成程、気持ちの整理は完全に出来ていると言う訳か。」

 

だが、其れならば遠慮はいらないな。

此処はオーソドックスに、前衛後衛のコンビネーションで攻める――一夏、お前がトップでアタシがバックだ。行くぞ!!!

 

 

 

「了解した。夏姫姉の、芸術的な射撃に期待するぜ。」

 

「ふ……ならば、その期待には応えねばな。」

 

先ずは先制のビームライフルと、レールガンの連続攻撃で、偽暮桜を牽制――この程度の攻撃が通じるとは思ってないが、この攻撃は言うなれば見せ技……本命の攻撃を隠す為のカムフラージュに過ぎん。

 

 

 

「どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

本命は一夏の攻撃だ。

シュベルトゲベールを連刃刀での連結状態にした上での、上空から落下速度も加えた強烈無比な兜割――だが、その頑丈さ故に倒れはしないみたいだが、一夏の攻撃は其処で終わりじゃないぞ?

 

 

 

「せい!!」

 

 

 

其処から今度は、剣を押し上げる形で顎を痛打し、更に今度は二刀流状態での乱舞攻撃を繰り出し、その〆としてアリーナの端まで吹き飛ばして大ダメージ――其れこそ、一撃でISが解除されるモノだと思ったが……

 

 

 

『ブワァァァァァァァァァ!!』

 

 

 

流石にそう簡単にはやられてくれないか。

いや、そもそもにしてレーゲンは軍が開発した機体だから、一般企業が開発したISよりも頑丈であるのは間違いない――其れが、強度に拍車を掛けているんだろうね。

と言う事は、アタシ達の攻撃でラウラが致命的なダメージを負う事は無いと考えられるが、寧ろ問題なのは偽暮桜が現役時代の千冬さんの動きをトレースしていると言う事だ。

 

あの動きは千冬さんにしか出来ないモノであり、体力面は兎も角としてラウラの身体であの動きをするのは体格的に可成り無理がある……戦いが長引けば、ラウラの身体への負担が大きくなって、下手をすれば無茶な動きをした反動で再起不能なんて事もあり得るかも知れん。

 

零落白夜があれば一撃で終わらせられるんだが、其れの持ち主は完全に伸びてるし、そもそも戦える状態であってもあのバカがアタシ達と共闘などする筈もない上に、戦闘力5では必殺の一撃を当てる事など出来ん――結局は、如何にかしてアレのシールドエネルギーを削り切る他ないか。

 

 

 

「クソ……この動き、マジで現役時代の千冬さんだぜ!

 こっちは束さんお手製の機体を使ってるってのに、性能差がマジでアドバンテージになってねぇってドンだけだよ――これで、零落白夜まで搭載されてたとか考えると、ゾッとするぜ!」

 

「マッタクだな……だが、無敵の機体など存在しない。

 零落白夜が搭載されていない以上は、ブレードでの物理攻撃のみだ……ならば、PS装甲の物理無効を最大限に利用して、偽暮桜の攻撃を防御する事を捨てて、全て攻撃に費やすだけだ!」

 

「其れで削り切るしかなさそうだ……被弾覚悟のインファイト、やってやるぜ!!」

 

 

 

――ドガァァァァァァァァン!!!

 

 

 

っと、此処で新たな攻撃が偽暮桜に炸裂しただと?

今のビームとプラズマバズーカ砲はカラミティ、静寐か!!――てっきり観客席で、鈴と箒とのほほんさんの漫才(?)に突っ込みを入れてるのかと思ってたんだが、来てくれたのか。

 

 

 

「そっちは、清香と癒子と簪に任せて来ちゃた。

 楯無さんは、今回の事態が生徒会の用意したサプライズだって言う事を説明してて手が放せないから、一番手の空いてる私が増援として来た訳なんだけど、邪魔だったかなぁ?」

 

「いや、邪魔どころか助かる。」

 

此方の攻撃の手が増えれば、偽暮桜は防御の比重が大きくなって、無茶な動きを極力減らす事が出来るからね――ラウラの身体へのダメージを最小限に抑える事が出来る筈だ。

 

だから、兎に角撃て!

反撃の暇を与えない程に撃ちまくれ、アタシも弾幕は切らさん――一夏も、リニアキャノンとビームライフルショーティで撃ちまくって、偽暮桜のシールドエネルギーを削れ!

 

 

 

「分かった!

 だけど夏姫姉、コイツのシールドエネルギーってゼロになるのか?そもそも、ラウラのレーゲンのシールドエネルギーは、あのクズ野郎が作ったプラスチック爆弾で尽きちまってたんだぜ?

 なのに、今はこうして動いてる……シールドエネルギーが無尽蔵状態になってる気がするんだけど如何よ?」

 

「その可能性はあるが、如何に無尽蔵でも攻撃された分だけは減っていくし、回復量を上回るダメージを与え続ければ何れはシールドエネルギーの残量をレッドゾーンにまで引き下げる事が出来る――其処を狙う!」

 

「作戦は良く分かったよ夏姫――なら、これを渡しておくね。

 シールドエネルギーがレッドゾーンになったら、突撃してアレの装甲を切り裂く心算だったんでしょう?」

 

 

 

静寐、お前は良く分かっているな――あぁ、その心算だ。

シールドエネルギーがレッドゾーンになれば、近接戦闘で装甲を切り裂いて、中に捕らわれたラウラを僅かでも露出させる事が出来るかも知れんからな……僅かでも露出すれば、後は引っ張り出せば良いし。

そういう意味では、ノーマルなビームサーベルよりも、レーザーブレード対艦刀の方がより威力が大きいから装甲を深く切り裂く事が出来る――有り難く使わせて貰うぞ静寐、此のシュベルトゲベールをな。

 

 

 

『おぉっと、此処で鷹月静寐が、近接用大型ブレードを蓮杖夏姫にパス!

 此れが意味する事は一体何なのか?……そして、此の3人はラウラ・ボーデヴィッヒを救う事が出来るのか?――さぁ、3人の勝利を信じて、コール行くぞ~~!!』

 

「「「「夏姫!夏姫!!」」」」

 

「「「「一夏!一夏!!」」」」

 

「「「「静寐!静寐!!」」」」

 

 

 

ふ、アリーナ全体が盛り上がっているな……ならば、此処でもう一押しと行っておくか!

 

「目を覚ませラウラ!

 こんな下らない力に屈するな……千冬さんに憧れていたのは良く分かったから、これ以上はもう良いだろう?……お前が望んだのは、こんな力じゃ無かった筈だ!!

 思い出せラウラ、お前は本当は、何が欲しかったんだ!!」

 

『アガ……私…は………私……は……』

 

 

 

偽暮桜の動きが鈍くなった……如何やら、今ので捕らわれたラウラの意識が僅かでも目覚めたみたいだな?

ならば、これが好機だ!!

 

イグニッション・ブーストを発動して突っ込みつつバラエーナを放つと言う、我ながら滅茶苦茶な方法で偽暮桜に近付き、シュベルトゲベールで袈裟切りを喰らわせ、更に逆袈裟二連斬へと繋いで渾身の切り下ろしでフィニッシュ!!

 

この攻撃の甲斐あって、装甲が切り裂かれ、ラウラの姿が顕わになった――ここまで来れば、もう大丈夫だ。

ラウラ、お前の居場所はこんな場所じゃない……お前は一人じゃなくて、アタシ達が居る――そして、お前ももうアタシ達の一部だ……お前が居ないと何となくつまらないんだ。

だからもう、戻って来いラウラ・ボーデヴィッヒ!!

 

 

 

――グバァァァァ!!

 

 

 

切り裂かれた装甲から腕を突っ込んで、中からラウラを強引に引き摺り出す……取り敢えず、ラウラに目に見える外傷などは無いが、完全に気を失ってるけどね。

 

そして、ラウラを引き抜かれた偽暮桜は、宿主を失って形を保つ事が出来なくなったらしく、ドロドロに溶けて消滅し、後には待機状態のレーゲンが残されているのみ……取り敢えず、レーゲンは千冬さんに渡して解析して貰った方が良いかも知れないな。

VTシステムが如何なる段階で搭載されたのかとか、調べれば色々出てくるかもしれないからね。

 

 

 

「ぐ……よくもやりやがったな!!――って、もう終わってるのか?」

 

「一秋……マッタク余計な所で目が覚めたか阿呆が――何か用か?」

 

「そのドイツの銀髪チビ、一発殴らせろ!!

 アレは千冬姉だけのモンだ!其れを勝手に真似しやがって……此のクソッタレは此の俺に、一発殴られるべきなんだ!!」

 

 

 

ヤレヤレ、そもそもの発端は、お前が作ったプラスチック爆弾だろうに……己の愚行が巻き起こした事態であると言うのに、そんな事を恥ずかしくも無く平然と言えるお前に驚きだ。

 

「大団円に水を差すな馬鹿者――お前は、もう少しだけ寝ておけ!!」

 

「ったく、少しは空気読めよお前……まぁ無理な相談かも知れないけどよ。」

 

「取り敢えず、貴方はとっても邪魔だから、大人しく寝ていてください。」

 

 

 

――バキィ!

 

――メキィ!!

 

――グサァ!!!

 

 

 

アタシのケンカキック、一夏のボディブロー、そして静寐の踏み込みからの肘打ちが見事にクリティカルヒットして、一秋は再び失神!!――だけじゃなく、失神と同時に漏らしたみたいだなコイツ。

公衆の面前で失禁したとなれば、最早致命傷だ……元よりマイナスだったが、お前の評価は今この瞬間にもう取り返す事が出来ない位の最低数値となった――精々、馬鹿にされる屈辱と言うモノを味わうが良いさ。

 

才能に胡坐をかいていたお前が、過去の一夏に散々やって来た事を、今度は其の身で味わえ――因果応報だよ。

 

取り敢えず、ラウラは無事に助け出したぞ。

 

 

 

『此れは見事!!

 飽和攻撃でシールドエネルギーをレッドゾーンまで持って行ったところで、カラミティからレーザーブレード対艦刀を借りたフリーダムが、レーゲンを切り裂き、露出したラウラを引っ張り出して救出したー!!!

 って言うか、助け出した瞬間に機体を解除して、ラウラをお姫様抱っこしてる夏姫ちゃんがめっちゃ絵になるわ!!

 馬鹿で阿呆が何かやってくれたみたいだけど、速攻で潰したから問題ないし!――此れは、最高のデモンストレーションだった!!

 其れを企画したアンタに脱帽だぜ生徒会長!!』

 

「ふふ、盛り上がるイベントを考えるのも生徒会長の務めなのよ♪」

 

――【大成功】

 

 

 

で、放送部と楯無のやり取りのおかげで、今回の一件は誤魔化す事が出来たみたいだ。

だが、レーゲンに搭載されていたVTは、ドイツが組み込んだ物じゃない――もしもドイツが組み込んだ物なら、ドイツから来てるお偉いさん達が驚くって言うのは不自然だからね。

 

――となると、考えられるのは外部からのハッキングによって、VTがレーゲンに組み込まれたと言う事になるが、そんな事が出来るのは世界広しと言えども束さん位なモンだが、束さんがそんな事をするとは思えない……だとしたら、犯人は一体どうやってラウラの機体をハッキングしたんだ?

 

大きな謎が残ってしまったが、レーゲンを解析すれば何か分かるだろうから、解析結果待ちと言う所だな――だが、兎も角ラウラが無事で良かったよ……此れなら数時間もあれば目を覚ますだろうからね。

 

 

 

『其れでは、この素晴らしいデモンストレーションを行ってくれた連城姉弟と、鷹月静寐と、ラウラ・ボーデヴィッヒに盛大な拍手を!!

 とっても白熱したバトルだったよ!!』

 

 

 

で、如何やらこの戦いは盛り上がった上でラウラのレーゲンに違法プログラムが搭載されていたと言う事実から目を逸らす事が出来たみたいだ……正直綱渡りみたいなモノだったが、巧く行ったのならば良かったよ。

 

 

 

「だな。

 時に、この馬鹿と阿呆は如何したもんだろうな?」

 

「えっと、放っておいていいんじゃないかな一夏君?

 此れだけの怪我をしたなら先ずは病院送りだろうし、流石に鈴への暴行と、今回の危険物使用は幾ら何でも見過ごす事が出来るモノじゃないから、取り敢えず学園で拘束した後に適切な治療を施した上で、厳罰って事になると思うから。」

 

「あぁ、そうなるか。

 まぁ、同情も出来ねぇな――所詮は自業自得の因果応報だからな。っつーか、アイツ等は存在その物が害悪だから、滅殺しても許される気がするのは俺だけか?」

 

「いや、アタシもだよ一夏。」

 

正直な事を言うなら、ラウラを抱えてなかったらあのバカに飛び蹴りかまして、着地と同時にウェスタンラリアットかました後にシャイニングウィザードをブチかまして、トドメにジャーマンスープレックスを叩き込みたかったらね。

 

取り敢えず、トーナメント中止は阻止できたが、一夏とラウラは此処で棄権と言う事になるだろうな――レーゲンは解析を行わなければならないだろうから、ラウラの機体は使えなくなってしまうからね。

 

ラウラのレーゲンにVTを仕込んだのは、恐らくは無人機を送り込んだ奴等なんだろうが……だとしたら、改めて恐るべき技術力だと認識せざるを得ないな――だからと言って、貴様等に屈する気は毛頭ないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:ラウラ

 

 

ん……此処は?

私は、確か篠ノ之散のプラスチック爆弾を喰らって、そして機体が解除されて……其の後は――そうだ、レーゲンから溢れ出したドロドロに捕まってしまい、ISに取り込まれたのだった。

 

だが、今私は此処に居る――と言う事は、取り込まれた私を誰かが助けてくれたと言う事か……感謝してもし切れないな此れは。

 

 

 

「そうだな……特に蓮杖姉には感謝しておけよ?――変異したお前の機体から、お前を引っこ抜いたのは、他でもない蓮杖姉なのだからな。」

 

「織斑先生……」

 

「ふむ、顔色は大分いい様だな……此れならば明日には平常運転になるだろうな。」

 

 

 

そうですか……あの、あの後は何があったのでしょうか?全く覚えていないのですが……

 

 

 

「お前は機体に乗っ取られていたが、お前の専用機を解析した結果、違法プログラムであるVTが搭載されていた――が、ドイツに問い合わせても知らぬ存ぜぬでな……だが、嘘を言っている様ではない事から、お前のレーゲンには後付的な形でVTが搭載されたようなんだ。

 そして其れが『機体が一撃で解除された』事を発動条件にしていたようで、織斑製のプラスチック爆弾を喰らった事で、発動条件が満たされてしまったと言う所だ。

 其れと、トーナメントだがお前と蓮杖弟のタッグは棄権扱いになり、2回戦最終試合は相手の不戦勝だ――他の生徒とタッグを組んで出場すると言う事も出来たんだが、『其れは俺をタッグパートナーに選んでくれたラウラに失礼だ』と言ってな……マッタク変な所で頑固な奴だよ。

 何にしても、お前が無事でよかったよボーデヴィッヒ……矢張り、教え子に目の前で死なれては寝ざめが悪いからな。」

 

「其れは、何となく分かる気がします。」

 

「ならば、今は無理はせずに体力の回復に務めろラウラ――現役時代の私を模した動きを無理やりやっていたお前の身体は、思った以上にダメージを受けているだろうからね。」

 

 

 

了解しました……本物のプロは、無理をせずに如何なる時でも100%のパフォーマンスを発揮してこそですので……ふふ、忘れていませんよ、貴女が教えてくれた事は。

 

 

 

「其れは、教官冥利に尽きる――ともあれ、直ぐに元気になってくれ。……お前が居ないと、些か授業が退屈になってしまうからね……其れと、此れはあまり関係ないかも知れんが、もしも何か気になる事があったら夏姫に相談しろ――良い解決策を思いついてくれる筈だからな。」

 

「了解であります!!」

 

蓮杖夏姫……よもやあれ程の力を秘めているとは思わなかった……まぁ、そのお陰で生き恥を曝さずに済んだのだがな。

 

だがしかし、蓮杖夏姫か……其の力は素晴らしい、暴走して暴れていた私を完全に完璧に止めてくれたのだからな――ふふ、お前の事がもっと知りたくなったよ蓮杖夏姫!!

 

お前は私の姉とする!!異論は認めんぞ――必ずやお前は私の姉にして見せるから、その時を待っておけ!!

 

 

 

「……其れだけの元気があれば大丈夫そうだな……まぁ、ゆっくり養生するが良いさ。」

 

「はい、そうしてみます。」

 

ふふ、思わぬ事があったが……私にとっては最終的にプラスになったから良かったな。――だが、今回と同じ事がもしも本当の戦場で起こったらと考えるとゾッとしてしまうな……完全な戦闘マシーンと化した私が、敵味方関係なく暴れるなど、冗談ではない。

 

何にしても、試合は終わったか……出来れば一夏と優勝したかったが、まぁ今回は諦めるとしよう。――そもそもにして正妻の鈴を差し置いてと言うのは少々気が引けるからな。

 

しかし私にプラスチック爆弾を喰らわせてくれた篠ノ之散と、爆弾を作った織斑一秋は厳罰は免れんだろうな――今更、奴等がどうなった所で、如何でも良い事ではあるが。

 

 

其れとは別に、蓮杖夏姫……お前に惚れた!!――今日今この時より、お前の事を『姉上』と呼ばせて貰う事にする!!異論は認めんからな!

そう言う事だから、覚悟しておいてくれよ、姉上!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 




機体設定


シュバルツェア・レーゲン・ヴァルキリートレース

・違法に搭載された『ヴァルキリー・トレース・システム』が暴走した『シュバルツェア・レーゲン』。
 その姿は現役時代の『暮桜を纏った織斑千冬』その物で、圧倒的な戦闘能力を誇るが、搭乗者への負担が大きいため長時間の駆動は死を意味する。
 誰が、何のためにこんな事をしたのかは、一切不明である。
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