Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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臨海学校2日目……さて、何が起きる?By夏姫      空からニンジンが降って来るんじゃないかしら?By楯無     つまり姉さんがやって来る訳か……By箒


Break38『臨海学校2日目の彼是らしい』

Side:夏姫

 

 

ふぅ……臨海学校とは言え、毎日の日課は欠かす事が出来ないので、早朝ランニングを終えた訳なんだが――朝一番で露天風呂を略貸し切り状態で使えるとは、何とも贅沢だと思わないか楯無?

 

 

 

「そうね?この広い露天風呂を、夏姫ちゃんと二人だけで使えるって言うのは確かに贅沢極まりないかも知れないわ。」

 

「矢張り、贅沢だよな。」

 

楯無も、アタシと一緒に早朝ランニングを行って、今は汗を流す為に一緒に露天風呂にだ。――因みに一夏も一緒にランニングして男湯にな。

弱炭酸と弱硫黄の温泉は、ランニング後の身体に染み渡る……比喩ではなく、筋肉の疲労が吹き飛んでしまう感じだ――此れは、入浴剤で再現した温泉では得られない効果だわ。

 

 

 

「マッタク持ってその通りね。

 時に夏姫ちゃん、今日あたり、束博士がこっちに来るんじゃないのかしら?」

 

「……何故、そう思う?」

 

「だって、今日は箒ちゃんの誕生日でしょう?

 束博士は箒ちゃんを溺愛してるみたいだから、誕生日プレゼントを渡す為に現れるんじゃないかなぁ~って思ってね♪」

 

 

 

確かにまぁ、その可能性は否定できないな。

束さんは、心の底から箒の事を愛しているから、誕生日にとっておきのプレゼントを用意して、其れを常人では思いも付かない方法で渡す位はするだろうからね。

 

 

 

「プレゼントは、最新鋭の機体かしら?」

 

「……何となく、束さんだと本当にやりそうな気がするぞ楯無。」

 

微妙にその可能性が否定できない訳だからね……尤も、箒ならば、束さんのお手製ISを十二分に扱う事が出来ると思うから、さほど心配はないのだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break38

『臨海学校2日目の彼是らしい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝風呂を浴びてサッパリして、自室に戻る途中だったんだが……箒、如何かしたか?

 

 

 

「夏姫か……否、如何したと言うか何と言うか――アレを如何思う?」

 

「アレって……アレか。確かに対応に困るな此れは。」

 

箒が指さした方向には、旅館の庭に深々と埋まったニンジン型の何か……ご丁寧に『引き抜いてください』って張り紙がしてある辺り、間違いなく束さんが寄越した物だろうね。

放置した所で実害は無さそうだけど、こんな物が庭に有ったら旅館に迷惑をかけてしまうよな?

 

 

 

「私もそう思っている……だからこそ、如何しようか迷って居るんだ。」

 

「成程な……ならば、即刻破壊の方向で行こう。」

 

恐らくアレの中に束さんは居ないだろうさ――あの人が、こんなに分かり易い登場をするとは思えないからね……まぁ、束さんの性格を考えれば愉快犯的な事をした可能性も否定はできないけどね。

束さんが現れるのは、多分訓練の最中なんじゃないかな――アタシの勘がそう告げているよ。

 

「仮にPS装甲が使われてるとしたら実弾じゃ意味ないから、ビームライフルでやるか。」

 

「だけど、若しも束博士が開発していた対ビーム装甲が使われていたら旅館に被害が出ちゃうわよね?」

 

「だったら、シュベルトゲベールでぶった切れば良いんじゃないのか?」

 

 

 

一夏、お前も風呂から出たのか。

ふむ、確かにお前の言う通りかもしれないな?レーザーブレード対艦刀ならPS装甲を簡単に切り裂けるし、対ビーム装甲が相手であっても実体刀部分で切断できるからな。

 

良し、叩き切れ一夏。

 

 

 

「おうよ!!必殺、アバンストラッシュ!!」

 

「今回はそう来たか。」

 

ともあれ、一夏の一撃でニンジン型の何かは真っ二つになり……ポンっと煙を吐くと大量の駄菓子に姿を変えたって、一体何がしたかったんだろうな束さんは?

箒、お前は妹として分かるか?

 

 

 

「いや、分からん。

 と言うか世界広しと言えど、姉さんの愉快犯的なイタズラに意味を見出す事の出来る人は極めて少ないんじゃないか?……下手したら存在しない可能性すらあるぞ。」

 

「その可能性は否定できないわね……」

 

でもまぁ、束さんのイタズラは殆ど悪意も実害もないモノが殆どだからあまり怒る気にはならないんだけどな。

今回の事だって、駄菓子が大量に出て来ただけで実害は皆無――お菓子の類だったら、最悪のほほんさんに押し付ければ笑顔で貰ってくれるだろうからね。

 

だがしかし、明太子味のう○い棒だけは譲らない。

 

 

 

「あら、夏姫ちゃんは明太派なのね?私は基本のチーズが好きなんだけど。」

 

「アタシもチーズは好きだぞ?

 だが、それ以上に明太味が好きなんだ――そして、コアな人気を誇る納豆味こそがうま棒の真骨頂だと思ってる。」

 

「ほっほ~う?納豆味の美味しさが分かるとは、中々のうま棒通ね夏姫ちゃん?」

 

「10歳でイギリスに渡航するまでは、近所の駄菓子屋によく通ってたからね。」

 

まぁ、うま棒談義は此れ位にして大広間に行こうか?

時間的にそろそろ朝食の時間だし、遅れて千冬さんにどやされたなんてのは笑い話にもならないからね――尤も、臨海学校中は、其れ程厳しい事は言わないだろうけどな。

 

そんな訳で朝食だったんだが、メニューは白飯に味噌汁と納豆、そして焼き魚と漬物と言う至ってシンプルな和食のメニューだった――アタシ的に、納豆におかかと海苔と卵黄がトッピングされてるのは凄く嬉しかったな。

 

因みに、メアリーは納豆は駄目だったみたいだが、ラウラは普通に食してたな?

若しかしたら、間違った知識の元である副官から『納豆は日本における食の基本です。』位は言われていたのかもな……だとしたら、よく頑張ったとしか言いようが無いな。

 

だがしかしだ、納豆飯に味噌汁をぶっ掛けるのは如何なものかと思うぞのほほんさん……まぁ、人の趣向に彼是言うのは間違いなのかも知れないが、其れでも流石に其れは無いだろう?

 

 

 

「納豆のねばねばと、味噌汁の味噌が良い相性なのだ~~♪」

 

「夏姫、本音の趣向には真面に付き合ったら負けだから諦めて……」

 

 

 

あぁ、其れが良さそうだな簪。――今更だが、のほほんさんは色々ぶっ飛んでるみたいだな。

 

 

 

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・・・

 

 

 

臨海学校2日目はISの訓練だ。

基礎的訓練から模擬戦までと幅広いカリキュラムなんだが――

 

「其処だ!!」

 

「相変わらず正確な狙いね夏姫ちゃん――流石だわ!」

 

 

 

アタシは只今楯無と模擬戦の真っ最中だ。

訓練を始める前に、千冬さんが『一流同士の戦いと言うモノを目に焼き付けておけ』言う事で、暫定でだが学園生徒トップ2であるアタシと楯無が模擬戦を行う事になった訳なんだが……矢張り楯無は強いな。

入学試験の時は、セーブモードだったとは言えアタシと互角に遣り合った訳なんだが、ジャスティスを受領した今は、互いに機体をフルモードで稼働して互角だからね……更識家の現当主は伊達ではないか。

 

射撃の腕はアタシの方が、近接戦闘に関しては楯無の方が夫々少しだけ上で、フリーダムとジャスティスの機動力は互角――ジャスティスにはファトゥム00を本体から分離しての波状攻撃が有るが、フリーダムにはジャスティスにはない一撃必殺の火力があるから総じて戦えば五分。

ミラージュコロイドを使った搦め手もあるが、光学分身なら兎も角、ステルスは一騎打ちではあまり役に立たないから使ってくる事も無いだろうしな。

 

 

 

――ギュオォォォォン……バチィィィ!!!

 

 

 

互いに高速で飛び回りながら、何度目になるか分からない切り結びも、互いに確りとシールドでガード……見切り辛い突きを放ったって言うのにガードするとはな。

 

 

 

「そう言う夏姫ちゃんこそ、斬り上げのフェイント入れたのに、切り下ろしに確り反応したじゃない?」

 

「二刀を連結させているからこそ可能なフェイントだからな……二択だったが、お前ならフェイクを入れてくるんじゃないかと思っただけだ。」

 

「ふふ、良いわねぇ?勘の鋭い子は大好きよ♪

 ねぇ夏姫ちゃん、この模擬戦に負けた方が、勝った方の言う事を可能な範囲で何でも聞くって言うのは如何かしら?」

 

「なんだ、勝つ自信があるのか?

 仮にお前が勝った場合、アタシに何をさせる心算だ?……ヌードデッサンのモデルは二度と御免だぞ。」

 

「そんなんじゃないわよ。

 臨海学校が終わったら、デート1回って感じかしら?」

 

「……女同士でデートって、色々おかしくないか?」

 

その辺は色々今更かも知れんがな――この間もフォルテの奴が『ダリルとデートしたいっすーー!』って絶叫してたし。

まぁ、その位なら構わん……但し、其れもアタシに勝てればの話だけどね?少し、ギアを上げるぞ楯無――高速の二刀流に付いて来れるか?

 

 

 

「おぉっと、順手と逆手の二刀流での高速剣技……此れは、こっちも少しギアを上げないとキツイかしら?」

 

「ふ、流石にこの程度には即座に反応するか。」

 

其処からはアタシの二刀流と、楯無の二刀連結サーベルによる剣戟――攻めるアタシと捌く楯無の構図だが、アタシは攻め切れないが、楯無も反撃出来ない……矢張り互角か。

 

 

 

 

「時間だ。ご苦労だったな、蓮杖姉、更識姉。」

 

 

 

っと、此処で時間切れか。

お前から生徒会長の椅子を奪うのは、またの機会に持ち越しになってしまったな?……如何やらお前との戦いは、時間無制限でなければ決着が付かないようだけど、だからこそ燃えてくるわ。

 

 

 

「入学の模擬試験に続き、また時間切れの引き分けだものね――だけど、時間無制限なら負けないわよ夏姫ちゃん。」

 

「其れは、アタシのセリフだ。」

 

取り敢えず、機体を解除して……こんなもんで良かったですかね織斑先生?

アタシも楯無も、途中から熱が入りまくって、他の皆に見せる為の模擬戦だって言う事をすっかり忘れて、可成りマジになってしまったんですけど。

 

 

 

「否、其れが逆に良かった。

 一流同士の本気がどれ程の物かと言うのが嫌でも伝わった様だからな――さて、見て貰った様に、学生の身であっても鍛錬を怠らなければ此の2人の様な実力を身に付ける事が出来る。

 其れを理解したら、本日の訓練は心して行うように!――特に、専用機を羨んでいた連中は、専用機を羨む前に己も専用機を持つに値する実力を身に付ける事を優先しろ。」

 

 

 

如何やら問題は無かったみたいだね。

しかし、千冬さんは流石と言うか何と言うか……アタシと楯無の模擬戦を評価しつつ、生徒の自己向上を促し、専用機を羨んでいる連中には確りと釘を刺すのだからな。

若しかしなくても、IS学園の教師と言うのは千冬さんの天職なのかも知れないわ。

 

「で、なんでアタシと楯無は注目されてるんだ?」

 

「今の模擬戦もだけど、機体を解除した夏姫姉と楯無さんの汗ばんで上気した姿が微妙にエロいからだろうな。」

 

「お姉ちゃんも夏姫も、何て言うか……その、凄いから。」

 

「いやん、一夏君と簪ちゃんのエッチ♪」

 

「何故女子校でそうなるのか……時に一夏、アタシは姉だから良いとして、お前は楯無には何も感じないのか?」

 

「夏姫姉、俺には鈴と箒が居るから。」

 

 

 

そうか……2人も嫁が居てこう言うのが正しいかどうかは分からんが、お前は純愛なんだな一夏――自分にはちゃんと彼女が居るから、他の女性には見向きもしないって、世の男共に聞かせてやりたいものだ。

 

取り敢えず今日の訓練なんだが……沖の方に、な~~んか見えるぞ?

 

 

 

「ねぇ、沖の方から何か迫って来るよ?――アレって、船?」

 

「船……違う、浮かんだ!飛空艇だあれ!!」

 

「空水両用とか、スッゲェ!!」

 

 

 

アレは、アークエンジェル……束さん、登場のインパクトを重視したみたいだね。

海中から船が現れ、其れが海面から飛び立ったとなればインパクトは絶大だからな――で、程なくアークエンジェルはアタシ達の真上まで来て停止して……

 

 

 

「とう!!」

 

 

 

其処から束さんが飛び降りてきてターンエンド。

尤も、ウィッグを付けてスーツを着込んだ、ISRIの社長である『東雲千鶴』として登場した訳だけどね。

 

 

 

「やあやあ、どうもこんにちわ!

 こうして直接会うのは初めてかなIS学園の生徒諸君。私はISRIの社長を務めさせて貰っている東雲千鶴って言う者だ――が、其れは世を忍ぶ仮の姿!

 その実態は、稀代の天才である篠ノ之束さんだったのだ~~~!!!」

 

「伏線も何もなくばらすなら、別に隠す必要はなかったんじゃないかと思う件について。」

 

「ふ、其れは言ったら負けだよ夏姫ちゃん。

 登場ってのはインパクトが大事なのさ――ぶっちゃけて言うなら、初対面のインパクトが強い程、相手の印象に残って忘れられない人になるからね……だから、派手にやってみただけだよ。」

 

 

 

「マッタク、お前は何時も相変わらずだな束?――ISRIの社長がお前だと言うのはある程度予想していたが、今日は一体何の用だ?」

 

「おぉ!久しぶりだねちーちゃん!!取り敢えずハグしよう!

 久しぶりに会ったんだから、愛を確かめ合おうじゃないか!さぁ、遠慮せずに束さんに抱き付くが良いよ!」

 

「……そうか、ならば抱き付いた後にSTOで強制ダウンをさせた上でアナコンダバイスで絞め上げるとしよう。」

 

「すみません、調子に乗りました。STOは兎も角、ちーちゃんに全力で毒蛇締めかまされたら流石の束さんも全身の骨がバラバラになっちゃうよ。」

 

 

 

如何やら千冬さんは、東雲千鶴の正体に薄々感付いていたみたいだが……何と言うか、このやり取りも懐かしいな?

束さんが調子に乗って、千冬さんが鉄拳制裁を行おうとして、束さんが泣きを入れて――其れでも止まらない場合は、アタシと一夏と箒で如何にか千冬さんを止めたっけかな。

 

 

 

「貴女は相変わらずですね姉さん?」

 

「お?箒ちゃん!こうして直接会うのは随分と久しぶりだね!元気してた?」

 

「はい、至って健康です。デュノアの一件の時に画面越しに会いましたが、直接会うのは6年ぶりです……息災のようで安心しました。」

 

「むぅ、相変わらず堅いなぁ箒ちゃんは?もっとフランクに行こうぜ!」

 

「……こういう性格なモノですから。」

 

「其れを言われちゃ、束さんも何も言えないなぁ。

 だけど箒ちゃん、色々成長してるみたいだねぇ?黒目黒髪の美しさは昔以上だし、そして何よりも素晴らしいのは、そのおっぱい……うん、実に良く育ってるね!――思わず揉みたくなっちゃうかも。」

 

「……殴りますよ?」

 

「さーせん、ふざけ過ぎました。」

 

 

 

そして、束さんと箒の関係も相変わらずだな?

箒を溺愛してるって事も有るけど、束さんは昔っから箒には頭が上がらなかったからね……まぁ、其れは其れとして、何用ですか束さん?――大方の予想は出来てますが。

 

 

 

「おぉっと、そうだった!

 実はね、箒ちゃんに誕生日プレゼントを持って来たんだよ!!――箒ちゃんのプレゼント、Come on!!」

 

 

 

矢張り箒への誕生日プレゼントだったか。

束さんの合図と共にアークエンジェルから投下されたコンテナは、着陸と共に展開し、その中から箒のプレゼントが出て来た訳なんだが……現れたのはフルスキンタイプの黄金のIS!

これはまた何とも弩派手な物を作ったな束さん?

 

 

 

「いやいや、これは束さんにも予想外だったんだよ。

 まさか開発してた対ビーム装甲が此処までの金色になるとは思ってなかったんだよ――正に、偶然の産物なんだよこの機体色は。」

 

 

 

束さんも予想外だった金色と言う訳か。――コイツは、何て言う機体なんですか束さん?

 

 

 

「形式番号『ORB-01』。機体名『アカツキ』。

 私が君だけのために開発した専用機だよ箒ちゃん。」

 

「私の為に?」

 

 

 

アカツキか……良い名前だ。

しかも、束さんが箒の為だけに開発したとなればその性能は凄まじいモノである可能性は否定できないからね……恐らくは、現行のISの世代で言え15世代クラスは間違い無いだろうな。

お前も晴れて専用機持ちだと言う事だな箒。

 

 

 

「身内だからって専用機ってずるくない?」

 

「流石は篠ノ之博士の妹……特別扱いされてるよね。」

 

 

「……面白い事言うね君達?

 言わせて貰うなら、有史以降人が平等だった事なんてただの一度も有り得ないんだよ――否、ある意味で平等だったさ。努力を重ねて来た人には、相応の結果を与えて来た訳だからね。

 だから、箒ちゃんにはこれを受け取る資格がる――箒ちゃんをやっかんでる暇があるなら、自分を磨くんだね。」

 

 

 

で、当然の如く一部の生徒から不満の声が上がったが、其れすらも束さんは封殺してしまうからね……マッタク持って本気で凄い人なんだな束さんは――流石は本物の天才だ、言う事が素晴らしい。

 

 

 

「此れが私の機体ですか?」

 

「そうだけど、気に入ってくれた?」

 

「気に入ったのは間違いありませんが……私なんかが専用機を受領して良いのでしょうか?――正直、私はまだまだ実力不足なのではないかと思っていますので……」

 

「なら、君は専用機を持つに値する人だって言っておくよ箒ちゃん――君はずっと努力して来た……剣道も、ISもね。

 だからこそ、私は君に此れを託したいんだ……受け取ってくれないかな箒ちゃん?」

 

「姉さん……」

 

 

 

まぁ、そう言う事だから貰っておけ箒。

束さんはお前の実力なら専用機を持つに値すると判断したんだ――ISの生みの親がそう判断したのなら間違いはあるまい?……実際にお前の力は、専用機を持つに値しているからね。

 

 

 

「夏姫……そう言う事なら、この専用機有り難く頂戴致します姉さん。

 黄金の機体に恥じないように、精進します……貴女の心遣いに反しないようにもね。」

 

「OK、それで良いよ箒ちゃん。其れじゃあ、早速フィッティングとフォーマットを済ませちゃおう!」

 

 

 

早速フィッティングとフォーマットを開始か――まぁ、箒の専用機として開発したとは言え、これを行わなくては真に箒の専用機にはならないからね。

まぁ、束さんだったら通常の3倍のスピードで必要な事を終えてしまうだろうから然程時間は掛からないだろうけどな。

 

 

 

「如何だい箒ちゃん、なんか変な感じとかしない?」

 

「いえ、大丈夫です。

 それどころかとても身体に馴染むと言うか、初めて乗った気がしない位です。」

 

「そりゃそうだよ。何たってアカツキは、箒ちゃんの最新のパーソナルデータを基に作ってある訳だからね。

 さてと、設定完了!此れでアカツキは、真に箒ちゃんの機体になったよ。――んで、何の用なのお前?束さんはお前に用は無いんだけど。」

 

 

アカツキは無事に箒の専用機になったが……束さんが絶対零度の視線を向けるのは散か――何かを期待していたみたいだが、何を期待していたんだコイツは?

 

 

 

「姉さん、私の専用機は!?頼んでおいたでしょう!!」

 

「専用機?あぁ、そう言えばそんな事があったね?

 だけどさ、お前は箒ちゃんの携帯勝手に使って、更には箒ちゃんに成りすまして専用機を強請って来たじゃん?――だから、私は箒ちゃんの専用機は作ったけどお前の専用機は作ってないよ。

 箒ちゃんに成りすませば自分の専用機が手に入るって考えたみたいだけど、世の中そんなに甘くないよ……まぁ、億の金を積んで頼まれたってお前に専用機なんて作ってやらねーけどね。」

 

「な、何故です?」

 

「はぁ?言わなきゃわからねーの?……自分の胸に聞いてみなよ。

 私が言って察するなら言う必要はないし、察しないならそもそも話すに値しないからね……まぁ、精々悩めよ愚妹が。悩んだ所で答えは出ないだろうけどね」

 

 

 

呆れたな……箒のふりをして専用機を束さんに強請っていたのか……マッタク持って怒りを通り越して呆れてしまうよ――尤も、その目論見は外れたみたいだけどね。

 

其れを聞いた散は激昂して、竹刀で束さんに殴りかかるも、木刀を取り出した箒に阻まれて返り討ちに遭い、砂浜に放置される事になったがな。

だが、取り敢えず此れで、さっき箒に対して『妹だから云々』言ってた連中も、束さんの妹だから専用機がもらえた訳じゃないってのは理解できただろうさ。

 

序に言っておくと、一秋の奴が束さんに機体を見て貰おうと近付いたけど、此方も速攻で一蹴されたみたいだな――まぁ、一秋の白式の稼働データなんてのは有ってないようなものだから見るに値しないけどもね。

因みに、アタシ達の機体の稼働率は束さんの予想よりも上だったらしく、束さんが言うには『この分なら近い内に二次移行するかもね』との事。

自分達でも思ってた以上に、機体を使って居たみたいだ。

 

其処からは、箒の機体の性能テストや、模擬戦形式の訓練が行われていった訳なんだが――其れで終わりにならないって言うのが、お約束だ。

 

 

 

「織斑先生、ミューゼル先生!!」

 

「如何した、山田君?」

 

「何か、起きたのかしら?」

 

「は、はい!先ずは此方を見て下さい!!」

 

「ん?……此れは!!!――スコール!!!」

 

「みなまで言わないで千冬……分かっているわ。」

 

 

 

何やら物々しくなって来たが、これはアタシと楯無の嫌な予感が当たったかな?――一体何があったんですか織斑先生?

 

 

 

「其れは此れから話す――諸君、本日の訓練は此れにて終了。

 専用機持ち以外の生徒は自室にて待機。織斑以外の専用機持ちは私の部屋に集まってくれ。」

 

「ちょ、ちふ……織斑先生、如何して俺は!」

 

「今の自分の立場をわきまえろ馬鹿者!」

 

「ぐ……」

 

 

 

態々専用機持ちを指名してとは、相当にのっぴきならない事態が展開されていると言う事か――そして、自分がその事態を如何にかする為に参加出来ると思ってた一秋は何と言うか……如何に専用機持ちでも、学園の監視下にある人間が、そんな事できる筈がないだろうに。

 

何にしても臨海学校の2日目は、平穏無事に過ごすってのは難しいかも知れないね。――若しかしなくても、アタシ達の予想を遥かに上回った何かが起きたのは間違い無いからね。

 

上等だ……何があっても、やるべき事をやるだけだアタシ達はな!!

 

 

 

「だよな……ガンガン行こうぜ夏姫姉!!」

 

「あぁ、勿論だ一夏。」

 

一体何が起こったのかは分からんが、何が起きてもアタシ達なら絶対に完璧に対処する事が出来るから不安は無いさ……未知の相手だが、負ける心算は毛頭ないからな。

 

何かトラブルが起きたのは間違い無いが、バッチリと解決してやろうじゃないか――尤も、この時はあんな事が起こるなんて事は夢にも思っていなかったのだけどね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 




機体設定



・アカツキ
形式番号『ORB-01』。束が箒の為に開発した最新のIS。
ストライクをベースに開発された機体である事から、フレームや装甲の一部にストライクと同様の意匠が見て取れるが、機体装甲に最新鋭の対ビーム装甲『ヤタノカガミ』を採用した事で、機体カラーが弩派手なゴールドメタリックとなっている。
全ての性能が、箒が搭乗する事を前提に設定されている為、箒以外の人間にはこの機体の性能を完全に引き出す事は出来ない。
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