Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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40話まで来たかBy夏姫      その記念すべき話がこうなるとはね……By楯無


Break40『堕とされた自由―福音戦の想定外―』

Side:夏姫

 

 

暴走した銀の福音を制圧すべく、アタシ達は出撃――相手は無人機との事だったが、軍事用として開発された機体となれば、可成りのハイスペック機である事は間違いないだろうね。

束さんが開発したアタシ達の機体と比べれば大幅に劣るだろうが、其れでも現行のISを上回る性能を備えているのは間違いないだろうさ。

 

 

 

――ギュオォォォォン……ガシィィィィン!!

 

 

 

束さんが開発した追加武装ユニット『ミーティア』を装備して、福音に向かってるんだが、どうにも嫌な予感が拭えないな?

此れだけの戦力が有れば、福音など脅威ではない筈なのに、如何してこうも嫌な予感が浮かぶんだ?……アタシの予想を超えた事態が起こる可能性が有るとでも言うのか?

 

 

 

「己の予想を超えた事態が発生するなんて言うのは、ある意味で当然の事よ夏姫ちゃん……戦場は、常に目まぐるしく変わるのだからね。」

 

「其れは……確かに其の通りだな楯無。」

 

ならば、此の『嫌な予感』は、アタシの胸の中にしまっておいた方がいと言う事だな――其れに気を取られてしまって致命傷を被った等と言う事は、笑い話にもならないからね。

 

今は、福音の暴走を止める事が最優先か――楯無!!

 

 

 

「了解!

 ミラージュコロイド散布。ステルス迷彩シールドを展開――此れで、私達が福音に探知される可能性は略無くなったわ。」

 

「流石に速い……だが、此れで銀の福音に奇襲を仕掛ける事が出来るな。」

 

暴走した福音は、恐らく完全な戦闘マシーンと化しているだろうから手加減は出来ないだろうな――尤も、手加減をする心算は毛頭ない。

初っ端から全力で行かないと、此方がやられてしまうかもしれないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break40

『堕とされた自由―福音戦の想定外―』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミーティアを装備して、一夏と鈴以外のメンバーはミーティアに乗っかる形で目的に向かって驀進!

超スピードで福音に接近していく――のだが、福音に探知されなかったのはジャスティスのミラージュコロイドステルス迷彩があってこそだと言っても過言ではないな。

実際にミラージュコロイドステルスが無かったら目視可能な距離まで近づく事なんて出来なかっただろうからね。

 

取り敢えず福音を射程範囲内に捉える事が出来たから作戦の第一段階は成功と言った所だな――そして、此処からが本番の第二段階……全ては、アタシと楯無によるファーストアタックに係ってる訳か。

 

「此方蓮杖夏姫、福音を目視で確認。此れより戦闘行為に入ります。」

 

『了解した。

 相手は暴走している事で、恐らくは生半可な攻撃では止める事は出来ん――出来る限り機体を回収しろとの事だったが、場合によっては破壊を許可する。

 コアが無事ならば、アメリカとイスラエルも納得するだろう。と言うか、これ程の面倒事を押し付けたのだから納得させる。』

 

 

 

……千冬さん、場合によってはブリュンヒルデの雷名を使う事も視野に入れてそうだな。

ブリュンヒルデの称号そのものは、あまり好きではないみたいだけど、使うべき時には確りと使う位の事はするんだよなあの人は――兎に角、正式に破壊許可が下りたから気兼ねなく出来るわ。

 

 

 

「そうだな……って、夏姫姉、センサーが複数の機影をキャッチしてるぜ?

 1体は福音だけど、残りは……分からないけど凄い数だ!20、30……は、反応が100を超えた!!」

 

「フリーダムのセンサーも其れをキャッチしているが、姿を目視する事は出来ないとなると……光学迷彩か!」

 

だが、あまり高性能ではないな?

肉眼では捉える事が出来なくとも、ISのセンサーには引っ掛かるのだから、見えないだけでレーダーに対してのステルス機能は備わってないと言う所か……だが、尋常じゃない此の数、一体何者だ?

 

 

 

『ヤッホー、皆聞こえるかい?束さんだよ~~。

 えっとさ、多分そっちでも複数のISの反応をセンサーでキャッチしたよね?』

 

「姉さん。はい、確認しました――ざっと100を超える数が。」

 

『正確な数は110体。

 そんで、此れからそいつ等の正体暴くから。分かり易く言えば、遠隔操作でそいつ等の光学迷彩引っぺがしてやるからね~~♪』

 

 

 

如何やら旅館の方でも謎の機体の存在を感知したみたいだな?……そして流石は束さん、仕事が早い。

遠隔操作で光学迷彩を引き剥がすだなんて、普通なら如何やってやるのか非常に気になる所だけど、束さんだったら外部からハッキングを仕掛けて光学迷彩を停止させるくらいの事は朝飯前だろうからね。

だけど、謎の機体の機能停止まではしないんだろうなぁ……『此れ位の戦力差があっても全然問題なく勝てるし、数多の敵を鎧袖一触したって言うのはネタとして美味しいからね』って理由で。まぁ、実際負ける心算は無いけどね。

 

 

 

――ヴゥン……

 

 

 

そして、束さんが光学迷彩を解除したらしく、正体不明の機体の姿が明らかになったわね?

モノアイタイプの全身装甲の機体……緑色のと青色は別の機体みたいだけど、緑の方は略同じ機体に見えるが、肩のシールドの数や、頭部アンテナの有無などの違いがあるみたいだな。

緑の方は、バックパックもそれぞれ違うみたいだしね……一体何者なのか。

 

 

 

『光学迷彩引っぺがすのと同時に、機体情報も丸裸にしてやったぜい!

 緑の角なしの方は『ザクウォーリア』、緑の角ありは『ザクファントム』、青いのは『グフイグナイテッド』って機体みたいで、全部無人機。

 緑の方のバックパックは『ウィザード』って言うみたいで、高機動型、砲撃型、近接格闘型があるみたい。ぶっちゃけストライカーパックのパクリ。

 しかも生意気な事に、そいつ等の形式番号には、束さんが考えた形式番号である『ZGMF』が使われてるんだよね……喧嘩売ってるのかな?』

 

「間違いなく売ってると思うよ束さん。」

 

「姉さんに喧嘩を売るとは、命知らずな奴が居たモノだな……」

 

 

 

マッタクだな。

だがしかし無人機となると、此れまでIS学園を襲撃してきた何者かが寄越した可能性が高いな?

IS学園の生徒がいる旅館を襲撃するためか、其れとも銀の福音を如何にかするためかのか……目的は分からんが、野放しにする事も出来ないから、奴等も纏めて殲滅するぞ。

 

 

 

「そうね、当初の予定とは変わっちゃったけど、大凡見過ごす事は出来ないモノ……オープンコンバットと行きましょうか♪」

 

「あぁ!先ずは一発かますぞ楯無!」

 

「了解よ夏姫ちゃん!」

 

 

 

――ガシャン!ピピ、ピピ、ピピ……

 

 

――ギョォォォ……バガァァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

マルチロックオンで、福音を含めた敵をロックオンして、ミーティアフルバーストをブチかます。

この攻撃でミラージュコロイドステルスは意味をなさなくなるが、そもそもファーストアタックが成功したらミラージュコロイドステルスは解除する心算だったから問題ないわ。

 

今の一撃でザクとグフは減らせたけど、福音はまだ健在みたいだし、ザクとグフもマダマダ可成りの数が健在だからな……此れは、対福音部隊と対ザク&グフ部隊に分けた方が良さそうだ。

 

となると、福音部隊を一夏と鈴と箒とマリアにメアリーとラウラにして、対ザク&グフ部隊を残りのメンバーにするのがベターだろうね。

 

 

 

「夏姫姉、なんでその分け方なんだ?」

 

「グゥルを装備している機体ならば福音の機動力に付いて行く事は出来るが、ボード状の機体に足を固定されるため動きの自由度がやや下がる。

 だが、お前と鈴はストライカーパックにブースターを追加しただけだから、動きが制限される事も無いので、福音と本来の力で遣り合う事が出来るだろう?」

 

それと、箒のアカツキならヤタノカガミで福音の切り札である全方位へのビーム攻撃を略無効化出来るし、マリアのドラグーンとメアリーのブルーティアーズは福音の動きを制御出来る上に、ラウラのAICならば福音の動きを完全に止める事も可能となる。

以上の事から、この状況では此れが一番バランスのいいチーム分けになるんだ。――他に質問は?

 

 

 

「ねぇよ夏姫姉。

 そう言う事なら、福音の方は俺達に任せて貰うぜ?……だけど、夏姫姉達も気をつけろよ?ザクとグフは、クラス対抗戦の時に来た無人機よりも強いと思うからな。」

 

「かも知れんが、負けはしないさ。雑魚共はアタシ達に任せて、お前達は全力で福音の処理に当たってくれ。」

 

「了解したぜ!」

 

 

 

福音の方は一夏達に任せておけば大丈夫だろう――一夏と鈴のタッグは天下無双レベルだからね。

だから、アタシ達はアタシ達の仕事をしようか?アタシと楯無のミーティアフルバーストで数を減らしたとは言え、ザクとグフはまだまだ沢山居るみたいだからね。

 

楯無、ミーティアをパージするぞ。

此処からの戦いは、火力よりも機動力が重要になって来るから、細かい動きが出来なくなってしまうミーティアは切り離した方が良い。

 

 

 

「其れはそうだけど、パージしたミーティアはどうなるのかしら?」

 

「心配しなくて束さんが回収するさ。

 束さんの事だから、ミーティアを遠隔操作する位は雑作もない事だからね――下手したら、ミーティアを遠隔操作して戦闘に参加しかねんよ。」

 

「束博士だと、其れが否定できないのよねぇ……」

 

 

 

あぁ、否定できないな。

だが、お喋りは此処までだ――無数のザクとグフがアタシ達の前に現れてくれたからな……態々やられに来てくれるとはご苦労な事だなマッタク。

 

まぁ、アタシ等と遊びたいと言うなら相手にはなってやるが、決してアタシ達は安くないからな――アタシ達と遊ぶのならば、貴様等の存在を賭けて貰うぞ?

貴様等は、存在してはいけないモノなのだからね。

 

「個人的な恨みがある訳では無いが、目障りなのでな――破壊させて貰うぞ。」

 

「折角の臨海学校に水を注してくれたんだから、相応の報いは受けて貰うわよ?」

 

 

 

アタシは腰のマウントからライフルを取り出し、楯無もビームサーベルを連結させて戦闘準備は万端だ。

いや、アタシと楯無だけじゃなく、静寐と清香と癒子と乱も準備完了だ――折角の楽しい時間にふざけた事をしてくれたモノだが、喧嘩を撃った相手が悪かったと、後悔させてやるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

突如現れた大量の無人機のせいで、当初とは予定が狂っちまったが、夏姫姉の機転で部隊を二つに分けての作戦決行って事になったぜ。

戦力が半減して大丈夫かと思わなかったかと言われれば嘘になるが……

 

 

 

「このビームの結界から抜けられる物なら抜けてみなさい?」

 

「貴女の動きは、完全に制御させていただきましたわ!」

 

 

 

夏姫姉の言う通り、このチームは福音の処理に当たるには最高のチームだったぜ。

マリアとセシリアのドラグーン――セシリアのは正確には違うけど、めんどくさいから俺はドラグーンって呼んでる――が福音の自由な動きを制限してるからな。

動きが制限されるって事は、最大の武器の一つであるスピードが発揮できない訳だから逃げられる事は無いぜ。

でもって、碌に動けないなら其れは良い的だってな!!

 

「オォォラァァァァァ!!!」

 

「落ちろぉ!!」

 

 

 

シュベルトゲベールを連刃刀にした俺の攻撃と、鈴の攻撃が福音に対して炸裂!

何とかガードした福音だが、俺達の攻撃をガードした事で出来た隙に、ラウラのワイヤーブレードと、箒のビームサーベルの攻撃が叩き込まれ、福音のシールドエネルギーは可成り減った筈だ。

 

つっても、軍事用に開発された機体って事だから堅さはハンパないんだろうけどな。

 

 

 

『ガァァァァァァァァァァァァ……!』

 

 

 

やっぱ、そう簡単には落とされてくれないよな?

此れは、福音の最大の攻撃が来るか?ドラグーンで動きを制限されていても、多少の被弾を覚悟すれば攻撃をする事は可能だが……そうは問屋が卸さないぜ!!

 

「頼んだぜ箒!」

 

「あぁ、任された!!」

 

 

 

放たれた福音の全方位へのビーム攻撃に対して、箒が前に出てビームを受け、そして反射!ヤタノカガミ……マジでスゲェなオイ。

ビームを反射するだけでも凄いってのに、跳弾を何処に飛ばすかまで設定できるみたいだからな……福音に反射するんじゃなくて、ザクとグフに反射したのは、箒なりの夏姫姉達への援護って感じだろうな。

 

だが、まさかのビーム反射は予想外だったのか福音の動きが完全に止まった――貰ったぜ!!

 

ビームブーメランをショートビームブレードにして……その首貰った!!

 

 

 

――バリィィィン!!

 

 

 

『ぐが……』

 

「避けられちまったか。

 ったく何つー反応速度だよ?幾らAI制御の無人機だからって程があるだろ其れは?――まるで、考えるよりも先に身体が反応して攻撃を回避したみたいだったぜ今のは。」

 

『アガ……』

 

 

 

余程高度なAIが搭載されてるんだな福音は……って、ちょっと待て!!

首を落とす為の一撃は避けられたが、ビームブレードは福音の顔の左を薙いでいた……当然その部分はビームブレードで装甲が剥がされた訳なんだが、其処から見えたのはちょっと待てとも言いたくなるぜ!

 

剥がれた頭部装甲の中から現れたのは、カメラアイや回路じゃなく、ハニーブラウンの髪と、深いアイスブルーの瞳だったんだからな。

 

「アレは……クソッタレ、福音が無人機ってのはデマかよ!

 立派に有人機じゃねぇか……アメリカもイスラエルも、自分達の失態を隠す為に、俺達にパイロットごと始末させる心算だったのか!!」

 

「はぁ!?其れって、アタシ達に人殺しをさせる心算だったての!?……ふ、ふざけんじゃないわよ!!」

 

「自己保身の為に人の命を斬り捨てる……反吐が出る外道の所業だな。

 だが、有人機とあっては破壊する事は出来んだろう?如何にか福音を無効化してパイロットの安全を確保しなくては……一気に作戦の難易度が上昇してしまったな。」

 

「あぁ、絶対に負けないボス戦から、止めを刺したらゲームオーバーのボス戦になっちまったぜ。」

 

パイロットの身の安全を確保した状態で福音を無効化しろってのは可成り難易度が高くなるからな……織斑の零落白夜が有れば楽勝なのかも知れないけど、無い物強請りをしたって仕方ねぇ。

 

なら、俺達のやり方で福音を無効化してパイロットを救い出すだけだ――人の命が、勝手な都合で斬り捨てられるなんて事は、絶対にあっちゃダメな事だからな!!

 

 

 

「そう言う事を、自然にサラッと言えるのよね一夏って……まぁ、アタシはそんな一夏に惚れたんだけどね!」

 

「ほう、気が合うな鈴……私も、一夏のそんな所が好きなのだ。」

 

「あの~、鈴さん、箒さん、微妙にこっぱずかしい事をナチュラルに言わないで頂けますかねと、彼氏としては思う所なのですが、如何なモノです?」

 

「「一夏の言う事は一理ある。だが、断る!!」」

 

 

 

うわお、言いきられちゃったよ此れ!

でも、ふざけてる場合じゃなくて、ガチで福音のパイロットは助けないとだ――って言うか、若しかして福音は自分のパイロットを守る為に暴走したのかもしれないな。

アメリカとイスラエルが共同開発した機体は、パイロットに可成りの負担が掛かるもので、其れを回避する為に福音がパイロットを守る方法として暴走って言うか、自立稼働した可能性も考えられる。

束さんが言うには、ISのコアには意思が有るって事だからない事じゃないしな。

 

福音……お前が暴走した理由が分かったよ――大切だったんだな、お前にとってそのパイロットは。

だが、安心しろ……パイロットは死なせないし、お前も死なせない!お前を無力化した上で、お前もパイロットも助ける……だから、少しだけ荒っぽくなっちまうが、其処は許してくれよ?

 

 

 

――バッ!!

 

 

 

「シュベルトゲベールの二刀流……本気ね一夏。」

 

「俺は、ハナッから本気だぜ鈴!」

 

連刃刀よりも、こっちの方が得意ってだけだ。

まさかの展開になったが、俺達のやる事に変わりはねぇ――さぁ、第2ラウンドと行こうぜ福音!……尤も、此れがファイナルラウンドだけどな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:千冬

 

 

予想外の無人機、其れは良いとして……一夏から、福音が有人機だとの通信があった時には、思わず手にしていたボールペンを粉砕してしまったよ――有人機を無人機として扱うとは、アメリカもイスラエルも相当に腐っているな。

 

事が済んだら、この事実を国際IS委員会に提出してやろうか?ブリュンヒルデの雷名を使えば、其れこそ鶴の一声で片が付くだろうしな。

 

 

 

「おぉう、容赦ないねちーちゃん?」

 

「己の失態を隠す為に、命を斬り捨てる輩に、容赦は必要ないだろ束?」

 

「まーねー。」

 

 

 

事と次第によっては、アメリカとイスラエルから国際社会での発言権を奪い去る事も厭わん――奴等がやったのは、其れ程の所業なのだからな。

私が現役だったら真っ先に飛び出している所だが、教師と言う立場では其れは出来ん……少し歯がゆい気分だな此れは。

 

 

 

「お、織斑先生、大変です!!」

 

「む、如何した山田先生?」

 

「お、織斑君と、篠ノ之さん――散さんが脱走しました!!」

 

 

 

……は?

一秋と散が脱走だと!?――アイツ等の部屋には、監視の教師がいた筈だろう?簡単に脱走など出来るとは思わんが……如何言う事なんだ?

 

 

 

「監視員の先生が言うにはフードを被った男が現れたかと思った瞬間に強烈な眠気に襲われてしまったらしいんです――織斑君と篠ノ之さんは其の隙を突いて逃走したのかと。」

 

「そうだと見て間違いないだろうが、他に問題はないか?」

 

「織斑君が白式を持って行ったのは当然なんですけど、如何やら散さんも打鉄を勝手に持ち出して行ったみたいです。」

 

「ガッデム!!」

 

クソ、何処の誰からは知らんが余計な事をしてくれたモノだ!

一秋と散は、私から見ても人間の悪辣な部分をこれでもかと集めて凝縮したような奴だから、アイツ等が自由を得たら何をするか分かったモノではない――下手をしたら、己がのし上がる為に人の命をコストにする事すら平気でやるだろうからね。

 

私に出来るのは、一秋と散が脱走したと言う事を伝える事だけか……マッタク持って不甲斐ない事この上ないな。

 

どうにも嫌な予感が拭えんよ……必ずや全員無事に帰還してくれ――私が望むのは、只それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

福音は一夏達が抑えているし、ザクとグフもアタシ達が略完封状態で、負ける要素は何処にもないんだが、其処で千冬さんから気になる連絡を受けた――内容は一秋と散が脱走したとの事。

 

まぁ、アイツ等が脱走できた時点で可成り運が良かったんだろうけど、脱走した以上はこの一件に関わって来るのは間違いないだろうね……

 

と言うか、来たみたいだな。

 

 

 

「お前は俺が倒す!!お前は俺の獲物だ~~~!!」

 

「一秋の敵は私の敵!!……貴様等に死をくれてやる!!」

 

 

 

厨二病なセリフどうも……悪いがお前達如きにやられる身体ではないのでな、全力で相手をさせて貰うさ。

何処からでもかかって来るが良い!!

 

 

 

「「殺す!!」」

 

「そう言うセリフは易々と吐くモノじゃない――弱く見えるぞ。いや、お前達は実際に弱いか。」

 

まぁ、貴様等如きは瞬殺だけどな!

 

 

イグニッションブーストで近付いて、ビームサーベルを一閃!!――したんだが、其れを避けただと!?……今までの一秋ならば確実に喰らっていた攻撃を避けただと!?

しかも避けただけじゃなくで、即座に反撃して来るとは……散共々、何か強化が施されたのは間違いないだろうな……クソ、徹底してアタシを狙って来てるとなると少々きつい物が有るな。

 

 

 

「夏姫ちゃん!!」

 

「大丈夫だ楯無、少し強くなってるみたいだが此の位なら対処出来る!お前達は、ザクとグフを頼む!」

 

「夏姫ちゃん……分かったわ。

 でも、無理だけはしないで……何か、とても嫌な予感がするから。」

 

 

 

なら、その嫌な予感ごと吹き飛ばしてやるさ。

喰らえ、ハイマットフルバースト!!!

 

 

 

――ドッガァァァァァァァァァン!!

 

 

 

良し、此れでザクとグフは可成り落としたが、福音と織斑と散は落とせなかったか……なら、落ちるまで徹底的にやってやるだけだ。

 

 

 

「そうは行くかよ……お前が目障りだったんだ。お前さえいなければ、俺と散がこんな不当な扱いを受ける事は無かった。

 俺の思い通りにならないのは、全部お前のせいだ!だから……此処で死んでくれよ。」

 

「貴様は存在が目障りだった……正直、何度も殺してやりたいと思っていたが、其れが叶った。」

 

 

 

そう思っていた所で、織斑と散が現れて……ブレードをアタシの胸と腹に突き立てていた……馬鹿な、全く見えなかっただと?

コイツ、一体何処で此れだけの力を短時間で身に付けたんだ?……動きが、此れまでと全く別人じゃないか……!

クソ、全く持って最悪だ……まさか、貴様のような奴に遅れを取るとはな……此れは、完全にしてやられたよ……力が入らない――織斑は零落白夜を発動してたらしく、フリーダムも解除されてしまったからな。

 

どうやらアタシは此処までみたいだ――後は任せたよ楯無……如何か福音を救ってやってくれ……其れがアタシの望みだ。

 

 

 

「夏姫ちゃん?」

 

「悪いな楯無……如何やら此処までみたいだ――じゃあな。」

 

「夏姫ちゃん……そんな、嘘よね?夏姫ちゃん。夏姫ちゃん……夏姫ーーーーーーーー!!」

 

 

 

アハハ……お前に泣き顔は似合わないよ――だから笑っていてくれ。

――如何やら、此処までみたいだ……ありがとう――此れまで楽しかったよ皆――アタシは此処までみたいだから、後の事は頼んだぞ。

 

如何か、必ず福音を救ってやってくれ……

 

 

 

「夏姫姉!!」

 

「一夏……」

 

なんて顔をしているんだマッタク……まぁ、こんな事になってしまっては仕方ないか――一夏、お前と姉弟になれて本当に良かったよ。

 

 

 

此処でブレードが引き抜かれた――アタシが最後に見たのは、邪悪な笑みを浮かべる織斑と散の姿だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:楯無

 

 

織斑一秋と篠ノ之散が脱走して、この戦場に乱入して……そして、夏姫ちゃんが刺された――其れが、今私の目の前で起こった事。

何で、あの二人が脱走したのかとか、夏姫ちゃんの攻撃を避ける事が出来たのかとか、疑問は色々有るけど、其れは大した問題じゃない――夏姫ちゃんが刺されて、機体が解除されて海に落ちて行った事に比べれば!!

 

勿論、直ぐにでも助けに行きたかった。

でも、まだ残っていたザクとグフに阻まれて、誰一人として落ちて行く夏姫ちゃんを助ける事が出来なかった……!

 

 

そして、夏姫ちゃんが落ちた海面には血が広がって行って……

 

 

 

「そんな……嘘だろ夏姫姉……」

 

 

 

誰一人、何も出来なかった。

そして不思議な事に、夏姫ちゃんが落とされたのと同時にザクもグフも撤退して、その隙に福音も戦場を離脱……作戦は完全に失敗ね此れは。

 

でも、だけど……作戦の失敗なんかよりも、夏姫ちゃんが落とされた事の方が大問題よ!!

直ぐに助けに行かなきゃ!……お願い、如何か無事でいて夏姫ちゃん……夏姫……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

 




機体設定



・ザクウォーリア
形式番号『ZGMF-1000』。
モノアイタイプの無人ISで、此れまで現れた無人機と比べると人間サイズまで小型化されており、機体構造も人間の身体と同じ構造になっている。
ビームライフル、ビームトマホーク、シールド、手投げ式のグレネードと一通りの武装を備えており、更に『ウィザードシステム』と呼ばれるバックパックパックを換装する事であらゆる状況に対応する事が可能となっている。
間然に束が開発した『ストライク』のシステムを流用した機体で、形式番号も束が付けた『ZGMF』を冠しているが、其処にどんな意図があるのかは不明である



・ザクファントム
形式番号『ZGMF-1001』。ザクウォーリアの上位互換版で、頭部にブレードアンテナが追加され、ザクウォーリアでは左肩のみだったシールドが右肩にも搭載されている。
それ以外の武装は全く同じで、ウィザードシステムによる武装の換装が可能なのも同様である。



・グフイグナイテッド
形式番号『ZGMF-2000』。
ザクシリーズとは違い、バックパックの換装は出来ないが、背部に固定装備されたフライトユニットは主翼部にもブースターを備えている為、高い機動力を有している。
武装に関しては両前腕に搭載された4連ビーム砲、両前腕部に収納されたスレイヤーウィップ、シールドとシールドに収納されたビームソードと、近距離戦闘に特化しているが、高い機動力のおかげで中距離戦闘も行う事が可能となっている。

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