Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

47 / 123
期末考査ってのは、高校生の宿敵だと思う件についてBy夏姫      諸手を挙げて否定できないのが辛いわねぇBy楯無


Break46『1学期末の彼是。或は夏休み前の1幕』

Side:夏姫

 

 

臨海学校が終わって、何時もの学園生活が戻って来た訳なんだが、その学園生活の中に一秋と散の姿は無い――まぁ、当然の事だな。

福音事件の時に、命令違反の無断出撃をした上に、アタシを殺しかけた……否、フリーダムが無かったらアタシは確実に死んでいた事を考えるなら、実質的にはアタシを殺したに等しい――そんなアイツ等に、学園長から言い渡された罰はある意味では死刑以上だったよ。

言い渡された罰は、IS学園の地下にある懲罰房での懲役刑なんだが、此れまで千冬さんの弟、束さんの妹と言う事で見逃されていた分の罪を上乗せした結果、言い渡されたのは『懲役583年』……まぁ、生きて出てくる事は無いと思うわ。

序に言うと強制労働も課せられたんだが、これはアイツ等が起こした問題によって発生した金銭的な彼是を補填する為のモノだ……平たく言うなら『身体で返せ』と言うヤツだな――労働内容は知らんが、精々頑張ると良いさ。

 

まぁ、アイツ等がどうなろうと今更大して興味は無い……己の才能に胡坐をかいて鍛錬を怠った馬鹿と、その馬鹿を盲目的に慕っていた見る目の無い阿呆がどうなろうと、如何でも良い事だからな。

 

其れよりも問題なのは……

 

「刀奈、なんでアタシのベットに潜り込んでるんだ?」

 

「えっと、一緒に寝たくなっちゃって♪」

 

「成程。

 まぁ、アタシと一緒に寝たくなったと言うのは良いとしてだ……何で下着姿なんだお前は!!――いや、アタシだってタンクトップとホットパンツの組み合わせだから大差ないのかも知れないが、下着オンリーは無いだろ!!」

 

「あら、下着も無い方が良かったかしら?」

 

「違うわ、馬鹿者!!」

 

恋人同士になったのだから、お前の気持ちも分からないじゃないが、少なくともアタシは学園に在籍中は一線を越える心算は無いからな?

と言うか、一夏に一線を越えるなと言っているのに、アタシが其れを越えてしまったら全く持って何の説得力もないだろう?――今のお前とは、精々キスまでだ。

 

 

 

「むぅ……同性だったら妊娠する事も無いから良いと思うんだけど……まぁ、確かに一夏君の事を考えると私達だけと言うのはズルいわね。

 でも、其れならお休みのキスをお願いしても良いかしら?」

 

「其れ位ならば、喜んで。」

 

今更だが、刀奈と恋人同士になるとは予想もしていなかったが、なったらなったで此れはアリだと思えるのだから、アタシも大概だね――だがしかし、漫研にコミケのネタをくれてやる心算は毛頭ないがな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break46

『1学期末の彼是。或は夏休み前の1幕』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園もそろそろ夏休みが近づいて来てる訳なんだが、IS学園も性質的には一般の高等学校と同じ扱いだから、学期末ごとの期末考査と言うモノは外せない訳だ。

勿論、期末考査前の模擬試験的な小テストもあるんだが……皆の小テストの結果はどうだった?

アタシは6教科合計(基本5教科+IS総合科目)で590点だったが……

 

 

 

「590点ってスゲェな夏姫姉?

 間違いなく俺達の中ではトップだぜ……二番目は俺と鈴と箒とマリアとセシリアと静寐と簪と乱の576点、次いで癒子と清香とのほほんさんが573点だったからな。」

 

「つまり、ISRIの企業代表は全員が10位以内に入ってると言う訳か。」

 

まぁ、実技だけじゃなく座学の方も真面目にやっていたから当然と言えば当然だな。

そう言えば楯無、お前の小テストの成績は如何だったんだ?

 

 

 

「皆が居るから仕方ないけど……んん!何でもないわ。

 私の成績は……今回は600点満点よ?其れと、自慢じゃないけれど、去年は年間を通じて学年主席の座に君臨してたからね……此れ位の小テストなら恐れる事は無いわ。」

 

「600点満点って、マジか楯無さん!?」

 

「しかも去年は年間通じて学年主席って……流石だわ楯姐さん!」

 

「本気でお前は色々と凄いな楯無?

 容姿端麗、頭脳明晰、性格だって少し悪戯好きではあるモノの社交的で嫌味が無い……お前、中学の頃は男子共に告られまくってたんじゃないのか?」

 

「うん、お姉ちゃんはモテてたよ夏姫。

 中学の3年間でお姉ちゃんが貰ったラブレターは普通に3桁超えてるし、告白された回数も3桁は行ってる……でも、其れは同時にお姉ちゃんが断った回数でもある。

 多分あの学校で、お姉ちゃんが打ち立てた『告白して来た男子を100人斬りオーバー』の記録は未来永劫破られる事は無いと思う。」

 

「楯無、誰か一人くらい付き合おうと思った奴はいなかったのか?」

 

「居なかったわねぇ?

 何て言うかどの子も好みじゃなかったのよ……なんて言うか、悪い子達じゃなかったんだけど、ときめくような子が居なかったのよねぇ?

 まぁ、中学で告白100人斬りオーバーをしたおかげで、今こうして夏姫と結ばれた訳だけれど♪……此れ、運命の出会いって言うのかしら?」

 

「まぁ、ある意味では間違っていないかもな。」

 

そう言えば、話は変わるが、10位以内にラウラが居なかったが、ラウラの小テストの結果は如何だったんだ?

現役軍人って事を考えると、IS総合に関しては可成り高い点数だったんじゃないかと思うんだが……如何だった、ラウラ?

 

 

 

「う、うむ……その、6教科合計で420点だ。」

 

「と言う事は平均70点……悪くないじゃないか?」

 

「合計点数だけを見ればそうなのだが……点数にばらつきがあるのだ姉上よ。」

 

「得手不得手があるだろうから、点数にばらつきが出るのは当然だと思うが……よし、返って来た回答用紙を見せてくれるかラウラ?」

 

さてさて、どうなってるんだ?

うん、予想通りIS総合に関しては文句なしの満点だな。社会、英語、国語に関しても90点取っているのだから問題ないが……問題なのは数学と理科だな。

数学20点、理科30点は流石に不味いだろ此れは?

ラウラ、お前若しかして理数系は全くダメなのか?

 

 

 

「いや、分からない訳では無いのだが、どうしてそうなるのかが全く持って理解出来ん――と言うか、そもそもにして連立方程式とか二次関数とか言われても、軍隊で使う事は先ず無いからまったく学んでいなかったのだ。

 理科も、化学は兎も角生物はあまり必要ではなかったので殆ど覚えていない……細胞分裂とか光合成って一体何と言うレベルだ!!」

 

「いや、其れは堂々と言う事でもないと思うぜラウラ……」

 

 

 

マッタクだな。

流石に此のままでは、数学と理科は期末考査で炎上するのは間違い無いから、これは此れから毎日、入浴後から就寝時間までラウラの苦手分野の克服に当てる事になりそうだ……ラウラだけ夏休みに補習なんて言うのは避けたい所だからね。

 

ラウラ、お前の苦手分野は、期末考査までにアタシ達が何とかしてやるから、お前も頑張れよ?

 

 

 

「姉上……うむ、勿論だ!!

 姉上達が教えてくれると言うのならば、私も最大限の努力をするのが礼儀と言うモノだからな!――時に姉上、なぜ数学の方程式に使われる記号はxとyなのだろうか?」

 

「其れはアタシも分からないな。」

 

数学者の東大教授辺りなら分かるのかも知れないけどな。

取り敢えず、期末考査までにラウラの理数系の能力を底上げしなくてはだ……最悪の場合は、丸暗記で期末考査を乗り切る事も念頭に置いておくべきなのかもしれんな。其れは、本当に最終手段だけれどね。

 

 

 

で――

 

 

「ラウラ、其処は違う!此処はyじゃなくてxに代入するんだ!!!」

 

「あ~~……名前から騙されやすいんだけど、ユウガオとアサガオはマッタク持って花は似てないからね?ユウガオは総じて黄色い花なのよ。

 序に、ユウガオの身を細く切って乾燥させたものがカンピョウなのよ♪」

 

「カンピョウとは、日本を代表する料理の一つである、海苔巻きの代表的な具材とされている、あのカンピョウか!?」

 

「まぁ、お前の考えてるモノで間違い無いだろうな。」

 

時折脱線しながらも、アタシと楯無で徹底的にラウラの弱点を潰して行った――ラウラは、如何やら所謂一つの右脳人間だったらしく、理論じゃなくて感覚で覚える子だったから教えるのは楽じゃないが、まぁ丁寧に反復学習させていけば大丈夫だろう。

 

 

…………期末考査までもっと時間があったならばな。

 

ハッキリ言って期末考査は来週だから時間が無い。

そもそも期末前の小テストを試験一週間前に行うと言うのも如何かと思うが、その結果が出てから試験までが、土日を入れて四日しかないと言うのは、如何考えても時間が足りないから、反復学習してる暇はないわ。

 

 

 

「確かにそうだけどさ、でもだからって他に方法は無いぜ夏姫姉?

 使える時間の事を考えるなら、ギリギリ赤点にならないレベルまで引き上げるのが限界なんじゃないかと思うぜ?――其れとも、何か秘策でもあるのか?」

 

「ある。」

 

「あら、其れはどんな秘策かしら?」

 

「其れはアタシも聞きたいわ。ってか、この場に居る全員が聞きたいところね。」

 

 

 

秘策と言うよりは裏技だ。方法だけを言うのならば、ラウラが現役の軍人であると言う事を利用する。

 

 

 

「私が軍人である事を?如何言う事だ姉上?」

 

「ラウラ、お前はドイツのIS部隊『シュバルツェア・ハーゼ』の隊長だよな?

 作戦の立案なんかは副官と行っているんだろうが、出来上がった作戦行動はすべて頭に入っているんだよね?」

 

「無論だ。

 隊長たる者、作戦の全てを頭に叩き込んでいなければ現場で的確な指示を出す事など出来んし、己も最適な行動をとる事は出来ないからな。」

 

「つまり、其れと同じだラウラ。」

 

此れからアタシ達が教える事は、全て期末考査と言う名のミッションを遂行する為の作戦内容だと思って全て頭に叩き込め!

ミッションが失敗したら夏休みと言う報酬がなくなるだけでなく、補習と言う懲罰が待っていると考えれば出来るだろう?と言うかやれ。姉命令だ。

 

 

 

「姉上からの命令とあらばやるしかあるまい!

 確かにそう思えば全て頭に叩き込む事は出来るだろうからな!!――では、改めて宜しくお願いするぞ皆!」

 

「夏姫姉、巧く自分の立場を使ったな……ラウラに姉上と慕われてる事をこんな風に利用するとは思わなかったぜ?……まぁ、『姉命令』を普通に聞くラウラには驚きだけど。」

 

「ラウラは素直な良い子だと言う事にしておけ。」

 

尤も、それ故にシュバルツェア・ハーゼの副官から教えられた間違った知識を鵜呑みにしてしまう所があるようだがな――これ以上、ラウラに余計な間違った知識を植え付けるようだったら、一度ドイツに行って、副官殿とO・HA・NA・SHIする必要があるかも知れないけどね。

 

 

 

「夏姫、そのO・HA・NA・SHIは貴女じゃなくて、束博士の方が向いてるんじゃないかしら?主に中の人的に。」

 

「言ってからアタシも思ったが、メタいからそれ以上は言ったらダメだぞ楯無。」

 

兎も角、これで方針は決まった……試験まで残り四日!ギアを最大まで上げて行くぞ!!

 

 

 

「ナッキー、このお菓子食べても良い~~?」

 

「勉強が終わったらな。」

 

と言うか、のほほんさんも居るなら手伝ってくれ。教える人数が多いに越した事はないんだ、特に今回みたいな場合にはね。――自分でも可成り強引な裏技だとは思っているが、ラウラなら多分巧く行くだろうな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

で、期末考査が無事に終わって、結果が掲示板に張り出された……電光掲示板に結果が表示されるのを張り出したと言うのが正しいかどうかは知らないけどな。

その結果は……

 

 

・1位:蓮杖夏姫、鷹月静寐/600点

・3位:更識簪、マリア・C・レイン/586点

・5位:セシリア・オルコット、凰鈴音、凰乱音/580点

・8位:蓮杖一夏、相川清香、谷本癒子/578点

・11位:篠ノ之箒、布仏本音/575点

・13位:ラウラ・ボーデヴィッヒ、フォルテ・サファイア/570点

 

 

1位から14位までは専用機持ちがほぼ独占したな?……まぁ、専用機を持っているのならば此れ位でなくては駄目だろうな。

専用機持ちと言うのは一種のステータスではあるが、同時に非専用機持ちの生徒の模範にならねばならない所もある――専用機持ちが赤点で補習喰らったなど、笑い話にもならないからね。

しかしまぁ、14位までの平均点が95点オーバーと言うのは何とも……15位の6教科平均が80点台まで落ち込んだ事を考えると相当だな?否、80点平均も充分凄いけれどな。

 

因みに2年生は、刀奈が600点満点で文句なしの1位で、次いでダリルが599点で2位だった……599点って、1問だけ△判定を喰らうとかじゃない限りは見ない点数だからある意味レアね。

 

で、3年生は言うまでもなく虚さんが600点満点でぶっちぎりのトップだ。

2位以下に大分大差をつけていたみたいだが、これはまぁ虚さんがストイックに己を高めて行った結果なんだろうな……虚さんものほほんさんも知識も実力も確かだから専用機を持っていても良いと思うんだが――今度束さんに打診してみるか。

 

「それにしても、よく頑張ったなラウラ?

 お前ならば行けるだろうと思ったが、まさか小テストから150点も上げるとは思わなかったぞ?」

 

「ふふ、姉上の作戦が巧く嵌ったと言う所だ。

 そして、ISと理科と数学は見事に100点満点だ!!」

 

 

 

で、残りが90点で570点な訳か。

同じ570点でも、フォルテは100点の科目は1つも無いから、突出した教科がない代わりに、平均的に高い学力を持っているんだな――そう考えると、フォルテはラウラよりも総合能力で勝るのかも知れないな?……ラウラの特化能力がその上を行く可能性は否定できないけれど。

 

だがラウラ、国語――お前からしたら日本語のテストでこの回答は如何なんだ?

 

 

 

問:『疎んじる』の意味を答えよ。

答:『うどんつゆ』

 

問:『打って変わって』を使って文章を作れ。

答:『教官は薬を打って変わってしまった。だからよくない。ドラッグ、ダメ絶対。』

 

 

 

「此れはネタなのかマジなのか……」

 

「む、これが正解ではないのか?クラリッサからそう教わったのだが……」

 

「矢張り原因は副官か!!」

 

「その副官色々大丈夫か?と言うか、副官が其れって部隊ヤバくねぇか?

 つーか、そもそも千冬さんはドイツの教官時代にその副官の間違った知識を直す事はしなかったのか?……あ、しなかったんじゃなくて出来なかったのか?」

 

「多分そうだと思うぞ一夏……千冬さんは、文化的な所には疎い所があるからな。」

 

「そう言えばそうだったな。」

 

 

 

それ故に、副官殿のネタが分からず注意も是正も出来なかったんだろうさ……まぁ、その間違った知識がラウラの個性と魅力になって居る事を考えれば、特に実害も無いから問題は無いのかも知れないが、間違った知識だらけになってしまったら絶対に大問題だから、何処かで是正せねばならんだろうな。

だが、これでアタシ達は夏休みの補習は回避出来たんだ、ならば夏休みが始まったら思い切り満喫しないと嘘だ……お前達、元気とやる気の貯蔵は充分か?

 

 

 

「オウよ!」

 

「何ならお釣りが出るかも知れないわよ夏姫?」

 

「私も充分だな。」

 

「燃える、燃えるぞ!此の俺の魂が!とでも言えばいいのかな?」

 

「静寐……普段真面目な子が真面目にボケると威力がデカいと思わない清香?」

 

「うん、其れは私も思ったよ癒子。」

 

「しずしずはバーニングソウルの境地に至ったのだ~~~♪」

 

「うんうん、夏休みは楽しまないと損よね。――まぁ、終業式は五日後だけれどね♪」

 

――【夏休みは遊び倒すもの♪】

 

 

 

ふ、分かってるじゃないか楯無。

夏休みとは遊び倒すモノだと相場が決まっている……どこぞの忍者小説風に言うなら『古事記にだってそう記されている』と言った所だ。実際に夏休みは、他の長期休暇とは違って遊ぶ要素が此れでもかと言う位に有るからな。

此れは、夏休みの計画を立てておくべきかもしれないわね――まぁ、何処かで刀奈とデートをするのは確定だけれどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

そんなこんなで、やって来たぜ終業式!

学園長からの話が長くなるんじゃないかって覚悟をしてたんだけど、学園長からの挨拶は『皆さん、一学期はお疲れ様でした。無事に夏休みを過ごしてください。二学期にまた会いましょう』で終わったからな。

で、その瞬間に拍手が巻き起こったのは仕方ないと思う!中学時代に、拷問の様な校長の長話を聞かされてきた連中にとって、これ程簡潔で短い挨拶は拍手喝采もんだからな。

 

で、其の後は各クラスで通信簿が配られた後で解散になった訳なんだが……夏姫姉、一学期の通信簿は如何だった?

 

 

 

「愚問だな一夏。

 リバースカードオープン、マジックカード『オール5の通信簿』だ!」

 

「オール5ってマジか!?

 ……期末を600点満点だったのにも驚いたけど、その上通信簿がオール5ってドンだけだ夏姫姉!!俺も評価5の教科は3教科だけだったのに、全部5評価って凄すぎだろ!!」

 

「そうか?

 静寐も600点満点のオール5だし、多分楯無と虚さんだってそうだと思うぞ?……まぁ、アタシはお前の想像以上だったと言う事で納得しろ。」

 

「其れを言われたら何も言えねぇっての。」

 

実際、夏姫姉のスペックの高さは、現役時代の千冬さんに匹敵するか、或いはそれ以上かもだから、この成績にも納得しちまう感じなんだけど。

 

時に皆は夏休みはどう過ごすんだ?

 

 

 

「私は一度実家に帰る心算だ。夏祭りで神楽舞いを披露する事も有るから、その練習もしないといけないのでな。」

 

「私も実家にかな?」

 

「やっぱり一度家には帰っておきたいし。」

 

「私も、実家に……更識家に戻る心算。」

 

「『更識楯無』として、色々やらなきゃならない事も有るしね……まぁ、それ以外は結構自由だけれどね♪」

 

 

 

ヤッパリもう決めてあるんだな。

まぁ、俺達の予定が決まってない訳じゃないが、帰る場所が問題なんだよな……俺と夏姫姉と鈴とマリアには帰る家ってのがないし。

ISRIが帰る家とも言えなくもないんだけどISRIの本社に戻ったら、遊ぶにしても何にしても、一度本土に渡る必要が出てくるから、出来るなら本土で夏休みを過ごしたいんだけど……まぁ、望み薄だよなぁ。

 

 

 

「蓮杖弟、少し良いか?」

 

「へ、何ですか織斑先生?」

 

「お前に此れを渡しておく。」

 

 

 

ってな事で悩んでた所に現れたのは千冬さん。

何かを投げ渡してくれたが、これは鍵か?

 

 

 

「あぁ、其れは私の家の鍵だ――オリジナルは私が持っているから、お前の其れはスペアキーだが、其れを使えば織斑の家の玄関を開ける事が出来るから使ってくれ。」

 

「……俺が使って良いのか?」

 

「当然だ。

 あそこは私の家であると同時にお前の家でもあるんだぞ一夏――二度と姉弟に戻る事は無いだろうが、お前が私の弟だと言う事実だけは例え相手が神であっても変える事は出来ん……今更かもしれないが、私はお前の事を弟として愛していたぞ一夏。」

 

「千冬さん……否、千冬姉……俺も貴女の事を姉として愛していたよ。千冬姉は、俺の誇りでもあったしな。」

 

「其れは姉冥利に尽きる言葉だ。

 お前の部屋は、お前が居なくなった時のままになっているから好きに使うと良い。夏姫と鈴とマリアも、空いてる部屋は好きに使え……まぁ、一秋の部屋だけは使おうとも思わないだろうがな。」

 

「千冬さん、アイツの部屋で寝る位ならアタシは野宿を選択する。」

 

「アイツの部屋で寝たら呪われるんじゃないの?ってか、呪われる事間違いないわ。」

 

「変なアレルギー反応を起こしてしまうかも知れないわね……」

 

 

 

うん、使おうとも思わないぜ。

だけど千冬さん、アイツの部屋を整理してくれってんなら其れ位は承るぜ――あの馬鹿野郎は生涯牢獄暮らしが決まった訳だから、色々と持ち物を整理しなきゃならないだろうからな。

 

 

 

「ヤレヤレ、此れから頼もうと思っていたのだが、先手を打たれてしまうとは、私も衰えたか――否、お前達が成長しているのだろうな。

 先に言われてしまったが、出来れば一秋の部屋を整理して欲しい――今更弟とも思わんが、生涯牢獄暮らしが決定されたモノの持ち物は整理しておかねばならんだろう?

 IS学園が下した裁きは、日本の司法と違ってある程度の刑期を終えたら出てくれるような緩い物ではない、ガッチガチの判決だからアイツが生きて日の目を見る事は二度とない……ならば、アイツの持ち物は今の内に処分するのが一番だろう?」

 

「アイツの持ち物がドレだけあるのか知らないけどな。興味もないし。」

 

でも、そう言う事なら夏休みは基本、織斑の家を使わせて貰うぜ――でもって、非常に拒否したい所だが、一秋の持ち物を処分するってのもやってやるさ。

 

何にしても、明日から夏休みだ!思い切り遊び倒そうぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:???

 

 

ふむ、実験は成功したか……少なくとも潜在能力の解放が出来れば、蓮杖夏姫を倒せる事が分かっただけでも僥倖ですね――尤も、潜在能力を解放してやった二人は副作用で動けなくなってしまったようだが、これもまた私の狙いだ。

メンテナンスを忘れたと言えば、一度は怒るだろうが、逆にメンテナンスを正しく行えば大丈夫だと言う事を知れば、潜在能力を完全開放だけでなく、肉体の強化改造にも同意するでしょうからね。

 

 

 

「では、早速回収しますか?」

 

「今はまだ時期ではありません……IS学園の夏休みが十日ほど経った後で始めましょう――その頃は生徒の殆どが帰省しているという事で、学園の警備も手薄になるでしょうから、彼等を攫う事など造作もない事ですからね。

 本格的に動くのは、彼等が力を手にした後ででしょう……最高の遺伝子を受け継いだあの二人に適切な改造を施してやれば、蓮杖夏姫や更識楯無にも負けない戦士となるでしょう。」

 

まぁ、彼等が特訓に耐えられたのならばの話ですがね――何れにしても、着々と準備は進んでいますから、気を引き締めて行くとしましょう。

最後の最後で油断したその瞬間全てが無に帰した、と言うのは珍しい物ではありませんからね。

 

 

「ふ、重々承知しています。抜かりなきように事を進めていますのでご安心を。」

 

「其れならば良いでしょう。」

 

今暫く待っていなさい、織斑一秋、篠ノ之散……貴方達の事は、必ずその地下牢から抜け出させてあげると約束しましょう――尤も、貴方達の役目は、ISのパーツになる事ですけれどね。

 

或いは、完全な生体CPUとして無人機にお前達の脳髄を移植するか……何方にしてもお前達の運命は二者択一でしかない――さて、自由と正義と聖剣の名を冠する機体を操る者と、その仲間達は想像を絶する事態に直面したらどうするのか実に楽しみではありますね?

 

ふふ、君達と再び見えるその時を楽しみにしていますよ、蓮杖夏姫、蓮杖一夏、そして更識楯無――SeeDの力を持つ者達よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。