Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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衝撃と言うか何と言うか……By夏姫      面倒な事になっちまったもんだぜBy一夏     落ちる所まで落ちたわねBy刀奈


Break52『夏休み最終日~驚愕の一件~』

Side:束

 

 

ふんふふんふふ~ん♪

よしよし、これは我ながら良い出来だね?――って言うか当然か。この束さん自らが『傑作機』と評価したストライクの量産型の最終形態が完成した訳だからね!!

 

 

 

「んだよ束、最新機を作ったのか?」

 

「おぉ、その通りなのだよオーちゃん!!」

 

量産型ストライクの最終形態――その名も『ウィンダム』!!

量産機だから、高価なPS装甲を搭載する事は出来なかったけど、基本装甲には旧フリーダムと旧ジャスティスで使われてた実体シールドと同様の素材を使用してるから、防御力の方は問題なし。

基本武装はビームライフルとビームサーベル、其れとナイフ形の投擲爆弾と実体シールドなんだけど、ストライカーパックの換装で、どんな戦局に対応できるようにもなってるのは此れまでのストライクシリーズと同様だね……其れでも、基本性能が向上してるから、ダガーシリーズとは比べ物にならない性能だよ。

――まぁ、其れでもなっちゃん達の機体と比べたら相当に劣るけど、其れでも現行ISを遥かに凌駕する性能は持ってるよ。

 

 

 

「マジかよ……ったく、本気でトンデモねぇなお前は?

 まぁ、お前が最初から兵器を作る目的で作った対IS用ISなら、量産機であっても各国が開発した国家代表及び代表候補の専用機を圧倒する事が出来る筈だぜ――だが、だからこそ教えてくれ束。

 このウィンダム、こんなに作って如何する心算だ?ISRIで運用するにしても搭乗者が足りねぇだろ?」

 

「ふふ、流石にそこには気付いたかオーちゃん。」

 

実はね、このウィンダムは新学期が始まると同時に、IS学園に10機を寄付しようと思ってるんだ――こんな事を言ったらアレだけど、今のIS学園が保有してる打鉄やラファールじゃ、あの無人機共を相手にした場合、教師部隊は間違いなくやられちゃうでしょ?

実際に、デストロイとか言う木偶の坊が現れた時、学園保有のISを使った教師で真面な戦力になったのって、ちーちゃんの後輩の眼鏡の巨乳ちゃんだけだったしね。

今後も学園が襲撃される可能性は大いにある訳だから、学園保有のISを強化しておくに越した事は無いんだよ――まぁ、一部の女尊男卑な馬鹿教師には使えないようにプロテクトをかけるけどさ。

 

 

 

「つまり、またIS学園が襲撃される可能性が有るって事か?」

 

「だね……まぁ、私の第六感がそう言ってるだけだけどね。」

 

でも、何かが起きるのは間違い無いと思うから、いざと言う時の為の備えは充分にしておかないとだよ――備えあれば、憂いなしって言うしね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break52

『夏休み最終日~驚愕の一件~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

アタシは今ウレタンが詰め込まれたマットの上で仰向けになっている――其れだけならば何て如何と言う事は無いのだが、問題はその状態のアタシの上に一夏が伸し掛かっていると言う事だろうな。

しかも、結構顔が近い。

 

 

 

「如何だ夏姫姉、俺も結構やるだろ?」

 

「あぁ、そうだな。

 此処までは完全にお前のペースだったと言う事を認めるしかないだろうね。」

 

だが、アタシとてこのままお前に良いようにされる心算は無いし、何よりも姉として弟に主導権を握られたままと言うのも癪なんでな、少しばかり反撃させて貰う事にする。

完全に抑え込まれてしまっているが、幸いにして足だけは自由が利くので、その足を一夏の身体に絡みつかせ……

 

「隙ありだ一夏!」

 

「しまった!!」

 

 

 

一瞬の隙を突いて、一夏の身体を足で絞め上げ、頭を脇に抱え込んでのフロントチョーク!

アタシをテイクダウンさせて、ギロチンチョークに持って行こうとしたのはよかったが、ギロチンチョークが中々入らない事に焦って足のホールドが疎かになったのが致命傷だ。

さぁ、如何する?一度完璧に決まったフロントチョークから脱出するのは難しい。頑張るのは構わないが、もがけばもがくほど絞まって、最終的には落ちるぞ?

 

 

 

「ギブ、ギブ!完全に極まってるから!

 これ以上絞められたら頸動脈が圧迫されて落ちちまうって!!」

 

「ふ、今回もアタシの勝ちだな一夏。」

 

ISを使わない生身での格闘戦だが、此れでアタシの10連勝だ。

誤解が無いように言っておくと、一夏が弱いと言う訳じゃなく、一夏は得意分野では出鱈目に強いが、苦手分野では実力を発揮出来ない特化型の極地みたいな奴だってだけだ。

実際に、立ち技ではアタシを圧倒していた訳だからね――まぁ、立ち技でKO若しくは投げで一本を取れなかったのが痛手だったな。

マウントを取ってギロチンチョークを狙ったのは悪くなかったが、生半可なグラウンドの技術では付け入る隙もあったから、一瞬のフロントチョークが決まった訳だからね。

 

 

 

「ゲホッ、ゲホッ……チックショー、また負けた~~!!今日は勝てると思ったんだけどな?」

 

「お前が終始立ち技に拘って居たらアタシも危なかっただろうね。

 だが、アタシからテイクダウンを奪って、其れを好機と思ってマウントを取ったのが間違いだったな?――まぁ、其れでもマウントパンチを浴びせる事に集中すれば腕力の差で勝てたかもしれないが、お前は勝負を急いでより必殺性の高いギロチンチョークを極めようとしただろう?

 お前は打撃は強いが、サブミッションはあまり得意じゃないからギロチンチョークを防御するのは難しくなかった……そして、ギロチンチョークを極め切れない事が無意識の焦りを生み、結果として足への集中が疎かになってフロントチョークを極められるに至った。

 今回は、勝負を急いだのが敗因だ。」

 

「確かに、夏姫姉をテイクダウンさせたって事で、俺は勝負を急いだのかもな。

 冷静になって考えると、俺はあそこでマウントポジションを取らずに、夏姫姉が起き上がって来るのを待って、徹底して立ち技で勝負すべきだったぜ。」

 

「ふ、そう言う事だ。」

 

だが、逆に言うならばお前は己の得意分野で戦う場合には無敵の存在となる――お前は、剣術や立ち技での格闘戦に限ればアタシ達の中でも最強レベルだからね。

 

 

 

「そのアドバイスをした事を後悔させてやるぜ夏姫姉。次は勝つからな?」

 

「やってみろ。当分、お前に負けてやる心算は無いさ。」

 

さて、本日は夏休み最終日なんだが、アタシと一夏、箒と鈴とマリア、静寐と清香と癒子、メアリーと乱とラウラ、更識姉妹と布仏姉妹は、昨日から学園に戻ってたりする。

2学期開始当日に戻っても良かったんだが、本土から学園までの時間を考えると、その日は可成り早起きしないとダメな上に、何か問題があったら2学期初日から遅刻なんて事にもなりかねないからね。

そんな訳で、アタシ達は2学期が始まる前から学園に戻ってた訳だ。

まぁ、日本国外に住んでる生徒も、夏休み終了前に学園に戻って来てるみたいだが、全生徒に占める数は其処まで多くはないから学園は閑散としているよ。

 

だが、そのお陰で学園の施設は略貸し切り状態だったから思い切りトレーニングが出来たな――特に、生身の格闘戦って言うのはISRIの施設を使わない限りは中々出来なかったからね。

そう言う意味では、内容が充実してる学園のトレーニングルームは有り難かったわ。

 

 

 

「ほらほら、如何したの?そんなんじゃお姉さんを倒す事は出来ないわよ♪」

 

「く、マッタクもって掠りもしないとは……!」

 

「こっちは2人がかりだって言うのに――!!」

 

 

 

で、向こうでは刀奈がラウラと乱の2人を完全に手玉に取っているな。

アタシと一夏のスパーリングとは違い、あっちは武器を使っての模擬戦なんだが、ラウラは硬質ゴムの訓練用ナイフ、乱は同じく硬質ゴム製のショートソードを使って刀奈に攻撃を加えているが全く掠りもしない。――ラウラは現役軍人であるにも関わらずだ。

如何に体格差があるとは言え、2人の猛攻を扇子一本で捌き切る刀奈の実力には改めて感服してしまうわね。

 

 

 

「2人とも動きは良いけど、マダマダ詰めが甘いわね?

 コンビネーションそのものは悪くないけど、攻め切れない焦りから攻撃が少しずつ雑になって来てるわよ?――そして、攻撃が雑になると……」

 

 

 

――パシン!パシン!!

 

 

 

「あっ!!」

 

「しまった……!!」

 

「はい、此れでフィニッシュ♪」

 

――【試合終了】

 

 

 

で、一瞬の隙を突いた刀奈が目にも留まらぬ扇子の一閃で、乱とラウラの武器を空中に跳ね上げ、更にジャンプしてそれをキャッチし、ナイフをラウラに、ショートソードを乱に突き付けてゲームセット。

ナイフを持った手で扇子を開くと言う、無駄な器用さも披露してな。

 

「乱とラウラを相手にして掠らせもしないとは流石だな楯無?

 2人とも実力的には1年の中でもトップクラスであるのは間違いないんだがな……特に、ラウラなんて現役の軍人だぞ?」

 

「うふふ、此れ位の実力が無ければ暗部の長は務まらないと言う事よ夏姫。

 何よりも、簪ちゃんが私に勝つまでは最強で居なくちゃならないから、トレーニングとは言え負ける事なんて出来ないのよ。」

 

「簪の為にも最強で居続けるか……ホントに、お前は良い姉だよ。

 だが、お前の打倒を誓ってるのは簪だけじゃなくてアタシも居ると言う事を忘れるなよ?……アタシの為には最強では居てくれないのか?」

 

「あら、夏姫は別よ。

 って言うか、夏姫にはもうベッドの上で完全敗北しちゃってるから良いかなぁって❤……もう、完全に骨抜きにされちゃったしねぇ。

 其れに、ベッドの上での夏姫ってちょっとサディスティックになるから、其れがまたゾクゾク来ちゃうのよねぇ……」

 

 

 

オイコラ、そう言う事を人前で言うな。って言うか、誰がサディスティックだ。

アタシが加虐的なんじゃなくて、お前が被虐的になるだけだろうが!――って、言うべきはそんな事じゃなくて、年頃の女の子が人前でそんな事を開けっ広げに口にするんじゃないわよ!

 

 

 

「楯姐さん、参考までに何回ほど……」

 

「記憶にある限りでは9回……覚えているのは其処までね。」

 

「なんと……楯無さんの意識を飛ばすとは……!」

 

 

 

はい、其処で聞くな鈴!そして答えるな楯無!!更に変な方向で感心するな箒!!!

互いに恋人持ち同士だから、そっち方面での事に興味が湧くのは、まぁ仕方ない事だと思うが、人前で話す話題じゃないだろう?――もしも、此の話題を漫研が聞いたら、間違いなくネタにされるだろうから自重すべきだと思わないか?

 

 

 

「「「其れは確かに言えてる。」」」

 

「薄い本のネタを提供する気は無いからな。」

 

さてと、其れは兎も角として、お互い良い感じに身体が温まってるだろうから一勝負如何だ楯無?

良い感じに温まってはいるが、此の体の火照りは、お前と戦う以外には治まりそうにはないんでな……当然、受けてくれるだろう?恐らくは、お前も似たような状況だろうしね。

 

 

 

「そうね……その通りだわ。――一勝負、お願いするわよ夏姫。」

 

「行くぞ楯無……手加減抜きだ!!」

 

「望むところよ夏姫!」

 

 

 

此れまでの所、お前との戦いはISの使用、生身での格闘問わず全てドローだったから、そろそろ白黒つけても良い頃かも知れないな――今日こそは勝たせて貰うぞ刀奈!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

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・・・

 

 

 

結果だけを言うなら、刀奈とのスパーリングは今回もまた引き分けに終わった。

互いにグラウンドの攻防になって、アタシは刀奈に膝十字を極め、刀奈も負けじとアキレス腱固めを極め、何方が先に根負けするかと言う状態になったんだが、これ以上はヤバいと思った一夏がレフェリーストップをかけて、今回もまた決着付かずだ。

 

で、トレーニング後に千冬さんとスコールさんに呼び出されて地下のコントロールルームにやって来た訳なんだが、こんな所に呼び出すとは穏やかじゃないな?

そんな場所に、生徒会のメンバーと現在学園に居る専用機持ち全員を集めると言うのは、如何考えても厄介事が起きたとしか思えないわ。

……しかも、相当に面倒な類いのモノだと思うんですが、如何でしょう?

 

 

 

「お前の言う通りだ蓮杖姉。

 此れは、教師間でも緘口令が敷かれ、本来ならば生徒に言う事は厳禁なのだが、お前達には伝えておくべきだろうと思ってな。

 単刀直入に言うと、織斑一秋と篠ノ之散が学園から姿を消した。」

 

「「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」」

 

 

 

姿を消したって、脱走したって言う事ですか?

地下で、しかも監視カメラまである懲罰房から、アイツ等が脱走なんて出来る筈がないと思うんですが……

 

 

 

「……最初は、あの2人は自殺したと見られていたんだ。遺体もあった上に、DNA鑑定でも本人であると断定されたからな。

 だが、只の自殺として処理するには余りにも不審な点が多くてな。」

 

「不審な点て何、千冬義姉さん?」

 

「懲罰房の監視カメラの映像なんだが、何者かが懲罰房の扉を開ける音がした直後に映像が乱れ、およそ15分間画面がモザイク状態になってしまっているんだ。

 そして、映像が元に戻った時にはあの2人が事切れた状態で映し出されていた――つまり『死』と言う結果はあるんだが、その過程が存在していないと言う訳だな。」

 

「其れは確かにオカシイですね織斑先生?」

 

「あぁ。だが此れだけではないんだ更識姉。

 2人の死因は『舌を噛み切った事による窒息死』なんだが、そもそも此れが有り得ん事だ。」

 

「あぁ、其れは確かに有り得ないですね織斑先生。」

 

「え、其れって有り得ない事なの夏姫?

 映画とかで、スパイが捕まった時とかに舌を噛み切って自殺するシーンがあると思うんだけれど……」

 

「静寐ちゃん、確かにそう言うシーンはよくあるけれど、実際には有り得ないのよアレは。

 舌を噛み切って窒息死するのは、血が気道に入って凝固した場合だけなんだけど、人は反射的に気道に物が詰まると吐き出そうとするから窒息する可能性は低いのよ。」

 

「序に、舌と言うのは可成り硬くて、噛み千切るにしても相当な力が必要だ――身体能力が衰えていたアイツ等に其れが出来るとは思えん。」

 

加えて言うなら、誤って舌を噛んでしまった時でさえ激痛が走るんだ、その数倍の激痛が走るであろう舌の噛み切りを、あのヘタレ共が選択するとは思えんだろう?

着ていたモノで首を絞めてと言う方が、まだ現実的だよ。

 

 

 

「楯無と夏姫の言う通りよ。

 加えて司法解剖の結果、2人の胃と腸には一切食べ物のカスが見当たらなかったわ。食事をしていたにもかかわらずね。――以上の事を総合的に判断した結果、2人の遺体は何者かが持ち込んだフェイクである可能性が出て来たのよ。」

 

「ふむ、だがそうなるとDNA鑑定の結果が問題になるな?

 DNAは誤魔化す事が出来るモノではないのだから、其れの鑑定結果で『本人』であると断定されたのならば、フェイクと言う可能性はなくなってしまうのだが……」

 

「そうとは言い切れないぞラウラ。

 DNA鑑定には抜け穴がある――まったく同じ遺伝子を持つ者であれば本人に成り代わる事が出来ると言う裏技がな。

 その場合、普通は双子の兄弟姉妹を代替品にするんだが、それ以外にもう一つだけ方法が存在している……クローンと言う方法がな。」

 

今の技術を使えばクローニングで身体だけを作り出す事は難しい事じゃない。フェイクの遺体を作るだけならば、身体さえ完成してしまえば生きているかどうかなどは問題ではないからね。

そうなると、アイツ等は何者かの手引きで学園から脱走したと言う事になるんだが、その辺の映像は残っていないんですか?

 

 

 

「残念ながらな。

 懲罰房の監視員も教師が1人訪ねて来ただけだとしか言っていない……だが、どの教師が訪ねて来たかは覚えていないそうだ。」

 

「其れは又妙な話ですね。」

 

誰かが訪ねて来た事は覚えているのに、誰が訪ねて来たかは覚えてないとは……此れは、もしかしてアイツ等を連れだしたのは臨海学校の時にアイツ等を解放した奴なのかも知れないな。

 

 

 

「確かに、その可能性があるわね?

 あの時も、あの2人の部屋の警備をしていた教師は眠らされた後、何も覚えていなかったとの事だったから、状況は今回と酷似しているわ。」

 

「あぁ、よく似ているんだマリア。」

 

加えて、もしそうだと仮定した場合、フェイクの遺体を用意できた事や、学園の監視カメラに映って居ない事も説明が出来るんだ。

臨海学校の時にアイツ等を解放したのは、無人機を仕向けてきた連中の一員と見て間違いないが、そいつが居る組織は、人の脳を生体CPUとして搭載した無人機を開発するだけの技術力があり、人の脳を培養する技術まで持っている訳だからな。

 

 

 

「姉上、なぜ人の脳を培養する技術を持っていると?」

 

「簡単な事だラウラ。

 もしも連中が、一般人を拉致してその脳を使っているのだとしたら、その数は膨大なモノとなって、大量失踪事件として報じられる筈だろう?

 だが、そんなニュースは聞いた事がない……消去法で行って、人の脳をクローン培養していると言うのが一番納得できるのさ。」

 

「成程、そう言う事か!」

 

 

 

そう言う事だ。

加えて連中は、束さんが造ったイージスやセイバーには劣るとは言え、少なくとも並の第3世代機を凌駕する性能を持った機体を作り出す様な奴等だから、恐らくはミラージュコロイドステルスだって開発してる筈だ。

ミラージュコロイドステルスを使えば、監視カメラに一切映らずにアイツ等を連れて学園から出る事など造作もない事だからな。

 

だが、何ともまたやってくれたものだな謎の組織(仮)は。

人の脳を生体CPUとして無人機に搭載すると言う事だけでも反吐が出るのに、更にはあの馬鹿とアホを駒として回収するとか、イカレテいるとしか思えんよ。

だが、だからこそ少々警戒しなくてはならないだろうね。

 

 

 

「警戒する必要があるとは思えない。

 織斑一秋も篠ノ之散も卑怯な事をしなければ何も出来ない只の雑魚だから、敵に回ったとしても大した脅威になるとは思えない。」

 

「最強のナッキーとお嬢様が居ればあんなお馬鹿さん如きなんて瞬殺なのだ~~!!」

 

「簪、のほほんさん、お前達の言う事も一理あるが、アイツ等が潜在能力を解放した状態でアタシに致命傷を負わせる事が出来たのを忘れるな。

 油断していたとは言え、アタシに致命傷を負わせたと言うのは馬鹿に出来るモノじゃないだろう?」

 

「確かにそうかも知れないけど、アイツ等はあの後碌に動けなくなったんだぜ?

 潜在能力開放のデメリットがデカすぎる事を考えたら、ヤッパリ其処まで警戒する程の相手でもないと思うんだけど、その辺如何よ夏姫姉?」

 

「潜在能力開放のデメリットは大きいか……ならば、そのデメリットがなくなるとしたら如何だ?」

 

「え?其れってどゆこと?」

 

 

 

簡単な話だ清香、潜在能力開放の反動が略なくなると仮定してみろ。

身体の限界を超える力を発揮しても、その反動を限りなくゼロにする事が出来るとしたならば、アイツ等はアタシを殺しかけた時と同等の力を断続的に発揮できる事になる。

更に、アイツ等でも動かす事の出来る機体が存在して、其れが完全にアイツ等用にチューニングされた専用機だとしたら、戦闘能力は此れまでとは比べ物にならない可能性があるだろう?

 

 

 

「其れは言えてるわね?

 だけど、仮にそうなったとしても負ける気は無いのでしょう夏姫?」

 

「当然だ楯無……アイツ等程度に2度も不覚を取ったと等と言うのは笑い話にもならないからな。」

 

だが、此れで一秋と散は完全にアタシ達の敵になった訳か――ふ、逆に有り難い限りだ……完全に敵になったと言うのならば一切の手加減など不要だからな。

全ては貴様等の業が招いた結果であるにも拘らず、全てはアタシ達のせいだと思って逆恨みしてるんだろうな……もしもアイツ等に少しでも真面な部分があって己を改善しようと努めていたらこんな事にはならなかったんだろうがね。

何にしても、自称天才とその金魚の糞は落ちるところまで落ちたと言う訳か……

 

 

 

「完全に底の底まで落ちたわね♪」

 

――【まさに転落人生♪】

 

 

 

嬉しそうに言うな刀奈。まぁ、その意見には全面的に賛成するけれどね。

だが、落ちる所まで落ちた奴は、もう戻る事は出来ん……特に一秋と散のような奴はな。

学園に無人機を送り込んだ連中が、何を目してアイツ等を連れ出したかは知らないが、アイツ等を使って更にアタシ達に手を出してくると言うのならば、相応の覚悟をしておけ。

降りかかる火の粉は払う、其れがアタシ達のやり方だからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:???

 

 

一秋が真実を知ってから大分時間が経つが――流石に、この事実は衝撃だったみたいだな……実際に、衝撃が凄過ぎて大分ショックを受けたみたいだ

からな。――まぁ、此れはある意味で当然か……己が作られた存在と知ればショックを受けても仕方あるまい。

私も、自分が作られた存在だと知った時にはショックを受けたからね……だが、それ以上にこの現実は受け入れ難いか散?

 

 

 

「一秋が千冬さんのコピーだなんて……そんな馬鹿な!

 そもそも、千冬さんと一秋では性別が違うのに、其れなのに……一秋は千冬さんのコピーに過ぎないと言うのか!?」

 

「雌雄の差は、XY染色体の組み合わせで決まる。

 XY染色体だけが違うだけで、後は全て塩基配列が同じならばDNA上は完全に一致する男女と言うのは存在し得るんだ――尤も、其れは人工的に生み出された証明でもあるがな。」

 

そもそもにして、織斑千冬自体が『最高の人類を作り出す』と言うイカレタ目的の為に研究を続けていた連中が生み出した存在なのだけれどね。

 

 

 

「何だと!?千冬さんすら作られた存在だと言うのか!?」

 

「詳しくは知らない、教授が言っていた事だからね。」

 

だが、教授が言ったのならば間違いはないだろうな――教授は悪意タップリの冗談は言っても、嘘だけは絶対に吐かないから、織斑千冬が作られた存在だと言うのは間違いない。

 

 

 

「その千冬さんの量産型が一秋と言う訳か……其れならば確かにお前達が一秋を欲するのも頷ける。

 一秋は類稀なる天才だから、其の力はお前達にとっても有益なモノだ――そして、其れが教授とやらの調整で更に強くなるのならば尚更だ。

 だが、だからこそ解せん……お前達は何故私までも一秋と共に?――私は、一秋と比べれば遥かに劣ると言うのに……」

 

「其れは知らん。知りたければ直接教授に聞くんだな。」

 

恐らくは『篠ノ之束』の妹だからと言うの主な理由だろうけどね。

其れならば篠ノ之箒でも良いんだが、お前の方が御しやすかったと言う事だろうな……口にしたらヒステリーを起こす事は間違いないから、絶対に口にはしないけれどね。

 

 

 

「むぅ……ならば、そうするとしよう。

 其れよりもいい加減、お前の名前を教えてくれないか?正直、名前が分からないと言うのは中々に不便なのだ。」

 

「名前など、所詮個体認識の為のモノだから、さして必要とは思わないし、最悪の場合は数字やアルファベット一文字でも良いと思っているから自分の名前など如何でも良いんだが……どうにも教授はそうは考えてなかったらしい。」

 

だから、教授は私の名を考え与えた――その名は『イルジオン』。ドイツ語で『幻影』を意味する言葉だ。

ふふふ、オリジナルのスペアとして生み出された私にって、この名前はピッタリかもしれないな。――尤も、何時までもスペアで居る心算は毛頭無い……だから、オリジナルを抹殺してこそ私は私になれる。

その時まで学園生活を謳歌していると良いさオリジナル。……己が一体どんな存在であるかを知らないままに、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

ヤレヤレ、マッタクもって一秋と散が学園から脱走したとは思わなかったぜ。

其れだけならば未だしも、ザクやグフを作ってる組織に身を置いたとなれば相当に厄介な事になるのは間違いない――アイツ等が、夏姫姉を殺しかけた時と同等の力をデメリット無しで使えるようになったとしたら、確実に俺達に攻撃を仕掛けて来るだろうからな。

 

 

 

「その可能性は大いにあるけど、私達なら何が起きても何とか出来る……そうでしょ一夏?」

 

「一秋と散……最早落ちるとこまで落ちた救いようのない連中だが、完全に此方と敵対すると言うのなら遠慮はいらないから思い切り出来る。

 特に散の奴は、元姉としてキッチリと引導を渡してやらねばならんしな。」

 

「その理屈で言うと、俺は元弟として一秋の野郎を斬り捨てるべきってか?

 まぁ、アイツ等が夏姫姉を殺しかけた時の力を常時デメリット無しで使えるようになったって言うなら、其れは確かに凄いのかも知れねぇけど、ぶっちゃけて言うと、油断が無かったら夏姫姉は落とされなかったと思うから其処まで驚異じゃねぇと思うんだけどな。」

 

まぁ、仕掛けて来たら相手になってやればいいだろ?

夏姫姉も言ってた事だけど、降りかかる火の粉は払えば済むだけの事だからな――と言うか、俺としては臨海学校の時に現れた、俺を『兄さん』って呼んでた奴の方が気になるぜ。

敵対心は感じなかったけど、俺の知る限りじゃ俺に妹なんていないのに……アイツは一体何者なんだ?

 

 

 

「蒸発した両親が何処かで作った子供説に一票!」

 

「私は、どっかの誰かが作った『千冬さんのクローン説』を推したい。」

 

「OK、鈴も箒も中々にぶっ飛んだ説をありがとう――どっちの説も微妙に完全否定できねぇのが辛い所ではあるな。」

 

俺と千冬さんの両親は蒸発していなくなっちまったが、死亡が断定された訳じゃないから生きてる可能性は無くはない訳で、其れを踏まえると、どっかで新たな子供を儲けているかもしれないし、現状で世界最強の千冬さんのコピーを作ろうとするイカレタ連中だっているかも知れないからな。

 

此れは俺の勘だけど、アイツとは近い内に会う気がするから、その時に力尽くにでも聞かせて貰えば良いさ。

其れで箒、何でお前まで俺の部屋に居るんだ?否、鈴と週替わりで部屋交換してたけど、1学期最後の週はお前が一緒だったから、夏休み最後の週は鈴と一緒の筈なんだけど……

 

 

 

「ふふ、決まっているだろう一夏?」

 

「今日は、アタシと箒を一緒に相手して貰うからね?」

 

「ふぁっ!?」

 

其れってつまり……いやいやいや、少し落ち着け凰鈴音、篠ノ之箒!いや、落ち着くのは俺の方かも知れないけど、流石に其れは色々ぶっ飛びじゃねぇか!?

嫌って訳じゃないけど、2人一緒にってのは……

 

 

 

「「ダメ?」」

 

「スンマセン、俺の完全敗北で良いっす!」

 

ぐあぁぁぁぁ!2人して、頬に指を当てて首を傾げるとか反則だろマジで!!魂がオーバーソウルしてバーニングソウルの限界突破だぜ!!!

まぁ、その後何があったのかは詳しくは語らないけど、なんかもう色々と凄かったとだけ言っておく。色々は色々だ、深く聞かないでくれ。

 

でもっていよいよ2学期か……平和に過ごせれば言う事ないんだが、其れは期待できねぇから、せめて一般生徒に被害が出ないようにしないとだぜ。

 

だけどな、来るなら来てみろよ一秋と散(クソッタレ共)

テメェ等がドンだけの力を身に付けてくるかは知らねぇが、そんな邪な力は真っ向から粉砕してやるからよ――俺達に戦いを仕掛けてきたその時が、お前等の人生のエンドフェイズだって言う事を教えてやるぜ。

 

今までは、学園の生徒だったから試合の範疇で相手してたけど、学園から脱走して完全に敵になったってんならもう手加減はしねぇ……『試合』じゃなくて『死合い』になる訳だからな。

来るなら徹底的に叩き潰してやるぜ!――覚悟しとけよ、クズ野郎共!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

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