Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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学園祭のファイナルだが、無事に終わる事は無いみたいだな?By夏姫      如何やら不穏分子が混じってたみたいね?By刀奈     なら、そいつ等を撃滅するだけだぜBy一夏


Break59『学園祭のフィナーレ、現れる敵対勢力』

Side:夏姫

 

 

ライブを終え、刀奈が企画した学園全体を巻き込んだ鬼ごっこも生き残り、小休止の後にクラスの出し物に戻って来た訳なんだが……何で、アタシのコスプレ衣裳が、シェルミーから草薙京(ネスツスタイル)に変わってるんだ?

いや、ミニスカよりもジーパンの方が動きやすいし、此方の方が遥かに露出が少ないからアタシとしては寧ろウェルカムなんだが……

 

 

 

「蓮杖さんはスタイルが良いからシェルミーはピッタリなんだけど、イケメン女子だから男性キャラのコスプレも行けるんじゃないかって思って。」

 

「最終候補としてストリートファイターのリュウと、KOFの草薙京が残ったんだけど、主人公なら武骨なリュウよりも、今時の若者な草薙京の方が蓮杖さんには合ってるかと思ってね?」

 

「其れで、このチョイスか。」

 

まぁ、その選択は間違ってないんじゃないかな?

アタシに袖の破けた空手着と、赤い鉢巻が似合うとは思わないからね……武骨な格闘家と言うのは、確かにアタシのイメージではないわ。

其れは其れとしてだ、このネスツスタイル京の衣装の出来は素晴らしい事この上ないよ。

アタシの普段着として貰いたい位のレベルだ。

 

 

 

「あ、気に入ったら持ってって良いよ。

 今回のコスプレ衣裳をどうするかは個人の自由だから。」

 

「そうなのか?なら有り難く貰っておくとしよう――と言いたい所だが、お前達はアタシに何かをさせたいんじゃないか?」

 

「あ、分かる?

 京の衣装をまとった蓮杖さんにお願い!――京の勝ちポーズを何でもいいからやってみて!!絶対にカッコいい事間違いないから!!」

 

 

 

そう来たか。――まぁ、其れ位の事ならば断わる理由もないのでやってやるさ。……とは言っても、どの勝ちポーズをやるか何だが……此処は、2002の此れで行くか。

 

「満足したか……八神。」

 

「「「「「「ぶっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

 

 

2002の八神庵戦限定の勝ちポーズを披露したら、大多数の生徒が鼻血を噴出してKOされてしまったが、今のに其れだけの破壊力があったかと言われれば、少々疑問が残るな。

……と言うか、女のアタシに反応されても困るぞ?そもそもにして、アタシには既に刀奈が居るから、誰にアプローチをかけられたところで、其れに応える事だけは無いけれどね。

取り敢えず、1年1組のコスプレ喫茶は、IS学園始まって以来の学園祭の売り上げを記録したのは間違い無いんじゃないかしら?……今度の生徒会の仕事の時に確かめてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break59

『学園祭のフィナーレ、現れる敵対勢力』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、時は進んで学園祭もいよいよフィナーレか……キャンプファイヤーの炎が学園祭のフィナーレに彩を添え、吹奏楽部が奏でる音色に乗って生徒や一般参加者がダンスに興じている、か。

こんな事が出来るのも学園祭の空気があってこそだが、だからこそ、此処で何もしないなんて言うのは有り得ないよな一夏?

 

 

 

「あぁ、有り得ないぜ夏姫姉……この状況で、彼女を誘わない手は無いからな……一曲目は、お前と一緒に踊りたいんだけど良いかな、鈴?」

 

「ふふ、アタシが断ると思ってんの?アタシで良ければ喜んでお相手させて貰うわ。」

 

「ありがとよ。――そんで二曲目は、お願いできるかな箒?」

 

「む……指名されたのならば是非もない。

 無粋なダンスになるだろうが、其処はフォローを頼むぞ一夏?」

 

「仰せのままに。」

 

 

 

ふふ、100点満点だ一夏。

このシチュエーションを、己の恋人と楽しまないなんて言うのは有り得ないし、男としては彼女をエスコートしてやらねばだからな――今の一夏は英国淑女の目から見たらどうだマリア、メアリー?

 

 

 

「そうね、アレ位の事がサラッと出来るのであれば紳士としては充分合格だわ。其れこそ社交界に出ても恥ずかしくないレベルだと思うわ――2人も恋人がいると言うのは少々アレかもしれないけれど、一夏ならば其れもアリだわ。

 彼は贔屓する事無く、鈴と箒の事を平等に愛しているのだから……どっちかが側室にならず、両方とも本妻とか普通出来ないわ。」

 

「お姉さまの言う通りですわね。

 一夏さんは鈴さんと箒さんを、平等に愛していらっしゃる上に、とても誠実にお付き合いをされていると思います……彼の事を紳士であると言っても、決して罰は当たらないと思いますわ。」

 

「英国淑女に、其処までの好評価を貰えるとは、姉としては鼻が高いな。」

 

っと、一夏と鈴が出て行った事で歓声が上がっているな?――まぁ、当然だな。

一夏は今や世界で唯一のIS男性操縦者となったんだ、其れが美少女と評価できる女の子を連れてキャンプファイヤーのダンスの輪に加わったとなれば、学園の生徒以外の連中は驚くだろうさ。

しかも、そのダンスは中々様になってると来ているからな……何だって一夏は、こうもそつなく物事を熟すのかねぇ?――あの馬鹿よりも、一夏の方が本当の天才なんじゃないのかと思うよ。

 

 

 

「お前も虚さんと一緒か弾?」

 

「おうよ、そう言うお前は先ずは鈴とか?」

 

「1曲目はな。」

 

 

 

五反田と虚さんも参加していたのか……一夏から話は聞いていたが、中々にお似合いのカップルかもしれないな此れは。

でだ、一夏も五反田も見事にシンクロした動きで己のパートナーから手を放して距離を開けると、右手を胸に当てて跪いて一礼し、近付いて来たパートナーの手を取って、その手の甲にキス……うん、その瞬間に黄色い歓声が上がったわね。

 

 

 

「あらあら、中々やるわね一夏君?其れと、虚ちゃんを射止めた赤毛の彼も♪」

 

「あぁ、アタシも一夏が此処までやるとは思ってなかったよ楯無。」

 

尤も、鈴に此れだけの事をしたのだから、2曲目では箒にも同レベルの事をしなくてはならなくなった訳だが……まぁ、一夏だって其れは分かってるから大丈夫だろうさ。

其れで楯無、アタシに何用だ……と言うか、まだ色なのかお前……

 

 

 

「テヘ、意外と気に入っちゃって♪

 其れで、何用かと聞かれればダンスのお誘いよ夏姫――折角のフィナーレに、大好きな人と参加しない手はないでしょう?って言うかないわ。

 そう言う事だから、Shall We Dance?(一曲どうかしら?)」

 

「その誘いには応える以外の選択はないさ……I will be glad if it is me.(アタシで良ければ喜んで。)」

 

確かに、此のフィナーレの場に於いて、刀奈と躍らないと言う選択肢はないか……だがしかし、アタシと刀奈が出て行った瞬間に、一夏と鈴がダンスに参加した時よりも大きな歓声が上がったって言うのは如何なんだ?

此処まで盛り上がるとは思わなかったんだけどなぁ……と言うか、盛り上がる所間違ってないか?

 

 

 

「間違ってねぇよ夏姫姉。

 夏姫姉も楯無さんも、極上クラスの美女なんだぜ?――そんな2人が手を取ってフィナーレのダンスに参加してみろよ……狙ってなくたって注目を集めるのは当然だって。

 更に、楯無さんと夏姫姉は、生徒会長と副会長である上に、薫子先輩のせいで『学園一の美女カップル』って認識されてるんだからさ。」

 

「同性カップルについての突っ込みは一切ない事に突っ込むのは、この際徒労なんだろうな絶対に……」

 

「夏姫姉……美少女×美少女はありだぜ?

 某有名ゲームメーカーも、美少女×美少女を売りにしたアクションRPGを発売したからな!!って言うか、夏姫姉と楯無さんは、とってもお似合いだから、俺的には全然OKだぜ!!」

 

「お前、結構フリーダムだな一夏。」

 

まぁ、お前自身が鈴と箒って言う2人の嫁が居る状況だし、スコールさんとオータムさん、ダリルとサファイアって言う同性カップルが身近に居る事で、特殊なカップルに耐性が出来ているのかもしれないな。

何にしても、今はこのダンスパーティを楽しむのが一番だ……1年に1度しかない、特別な時間だからね。

 

 

 

「えぇ、楽しみましょう夏姫。」

 

「ふふ、心行くまでな。」

 

だが、此のキャンプファイヤーのダンスパーティは、フィナーレの先駆けだと言う事を忘れて貰っては困る――学園祭の真のフィナーレを任されたのはアタシだからね。

最高のフィナーレを飾ってやるさ。

 

 

 

「ふふ、楽しみにしてるわ♪」

 

「なら、その期待には応えないといけないわね。」

 

そんなこんなでキャンプファイヤーのダンスパーティは過ぎて行った。

因みに、2曲目では一夏が箒をパートナーにして、キレッキレのダンスを披露した上に、演奏が終わった際のフィニッシュには、箒のおでこにキスを落として、またも物凄い歓声が沸き上がったわ……マッタク持って、お前は本当に分かってる奴だよ一夏。

 

……取り敢えず、一部始終をカメラに収めていたであろう薫子先輩を速攻で捕縛して、一夏が鈴の手の甲と、箒のおでこにキスを落とした所をゲットした写真だけは新聞に載せないよう釘を刺さないとだ。

ピュアな愛の証を、面白おかしく書き煽れると言うのは、余り良い気分ではないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:刀奈

 

 

ふぅ、フィナーレのダンスパーティも夏姫と踊れて大満足ね……多少のダンスの心得は有ったのだけれど、そんな私を見事にエスコートして、ダンスを熟してしまった夏姫は、本当に凄いとしか言いようがないわ。

学園祭のキャンプファイヤーダンスパーティだから、誰も気にはしないかったでしょうけど、見る人が見れば、夏姫の身のこなしがドレだけ凄かったのかが分かるわね。……あの動きは、最早プロと言っても過言じゃなかったわ。

 

……あぁ、もう!本当に高スペックなのね夏姫は!!!

 

 

 

「夏姫さんがハイスペックなのは今更でしょうお嬢様?」

 

「まぁね?

 其れで虚ちゃん、赤毛の彼は如何なの?一夏君には負けるけど、ワイルド系イケメンだし、赤い髪に緑のバンダナって言うのも、悪くないと思うんだけれど……」

 

「彼は運命の人でした。」

 

「ウワォ、そう来ちゃったか。」

 

まさか、虚ちゃんがそんな風に言うとはねぇ……うふふ、虚ちゃんにも春が来てくれて、私も嬉しいわね♪

でも、其れは良いとして、何だってその愛しの彼は、同じく赤い髪にバンダナの女の子と言い合いになってるのかしらねぇ?……ひょっとして、妹さんだったりするのかしらあの子?

 

 

 

「如何やらその様で……私と弾君が付き合う事になったのが、何やら納得できないと言うか、信じられないと言うか、そんな感じらしいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、何度も言わせんな蘭!俺と虚さんは付き合う事になったって言ってんだろ!!

 ちっとは兄貴の言う事信じろってんだ!!つーか、何が悲しくて実の妹に交際相手が出来たって言う事実を否定されにゃならんのだ俺は!!」

 

「万年『彼女欲しい』って言ってるようなお兄に、あんな素敵な彼女が出来る筈がないでしょ!嘘吐くなら、もっとマシな嘘ついてよ!!」

 

「お前な……其処まで言うなら、一夏と鈴と篠ノ之さんにも聞いてみろ!

 俺と虚さんが付き合う事になった現場に居たから、俺の言ってる事が事実だって証言してくれるぜ!!」

 

「そうする。もしも本当に嘘だった場合は、駅前の喫茶店のデラックスパフェ奢って貰うかんね?」

 

「だったら、俺の言ってる事が本当だった場合、信じなかった罰としてお前は1週間、じっちゃんから免許皆伝受けた『業火野菜炒め』抜きな。」

 

「上等!!」

 

 

 

 

 

 

 

あらあら……そうみたいねぇ?

五反田君とやらの妹ちゃんは、もう少しお兄さんを信じてあげても良いんじゃないかしら?……それとも、虚ちゃんと付き合う前の五反田君は余程女性に飢えてて、その姿を見てたから信じられないのか……まぁ、其れは本人にしか分からないわ。

 

で、数分後に妹ちゃんは五反田君に平謝りする事になったわね。

 

さてと、キャンプファイヤーのイベントも、吹奏楽部の演奏のダンスパーティ、演劇部の寸劇と即興コント、剣道部による殺陣の披露と続いて、いよいよ大取の夏姫の出番がやってきたわ。

スピーカーにドラムに、グランドピアノ……グランドピアノなんて普通は持って来るのも一苦労だけど、ISを使えば2人も居れば運ぶ事ができるのよね――此れも、IS学園ならでは光景と言えるわね。

そう言えば鈴ちゃんは、今回は演奏しないの?

 

 

 

「ピアノはコーラス部で伴奏を担当してる先輩がやるし、ドラムはアタシの担当じゃないから、今回は出番なしよ楯姐さん。

 ま、今回は客として夏姫の歌を楽しませて貰うとするわ。」

 

「あら、なら思い切り楽しまないとね♪」

 

で、夏姫達が登場……夏姫はギターを片手に登場ね。

衣装も昼間のライブの時とは違って、何処か『和』のテイストを感じさせる衣装だわ――袖や、前の合わせ目が着物を思わせて、ウェスト部分のベルトがまるで帯みたい。

其れでボトムズが7分丈のジーンズだって言うのも結構合ってるわ。

 

 

 

「御来場の皆さん、本日はIS学園の学園祭に御来場頂き、本当にありがとうございました。

 アタシ達、学園の生徒が考えた出し物やイベントを楽しんで頂けたのならば幸いです――欲を言うのなら、この楽しい時間がもっと続いて欲しい所ですが、其れは叶わぬ願いでしょう。

 学園祭もいよいよ残すは、アタシ達の演奏だけとなりました……其れだけに、心を込めて歌わせて頂きます。

 聴いてください『The Sun Set Sky』。」

 

 

 

夏姫の挨拶が終わると、演奏開始……ゆったりとした、此れはバラード系の歌みたいね?

ライブが、ロック系やポップス系の曲だったから、此れは少し以外だったわ。

 

 

 

「Time has changed everything now and made us crazy

 A city of sadness swirling shadows swaying

 

 Voice of Lamentation A dream that does not reach

 Passion not to stay

 Even this love disappears

 Love you

 

 Follow each dream

 While your heart leads

 Time is a miracle that you make

 Hold on, let's start walking tomorrow, with me

 

 I will lose one more important memory

 The battle is the last bet we can not give

 

 Someday you talked

 Courage that overflowed violently

 Make a dream come true

 Beyond the distant time

 

 An endless future The wind that runs through

 I will search for the answer

 Everybody's dream come true

 Tears

 

 Hug a dream in each

 Let's walk to tomorrow with me

 Someday the wish will come true

 Keep your dreams and keep fighting Let's go beyond time

 

 Wo oh oh~~~I'm have a Dream I'm have a Dream

 Yha――Yha yha yha yha yha~~~……」

 

 

 

今回も英語の歌詞だったけど、『今、時が全てを変えて、僕達を狂わせた』か……まるで、ISの登場によって変わってしまった世界を詩にしたかの様な歌だったわね。

でも、そんな変わってしまった世界であっても、己の夢を捨てずに未来を目指して進んで行こうって言う歌詞は、とっても素晴らしかった……演奏が終わった途端に、鳴りやまんばかりの拍手が沸き起こったのだから。

学園祭のフィナーレは、夏姫の最高のパフォーマンスによって鮮やかに飾られたわ――フフ、去年とは比べ物に成らない位の盛り上がりだったわね、今年の学園祭は♪

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

夏姫姉の歌で学園祭は幕を下ろし、一般参加者は皆帰路につく――ってのが一般的な学園祭なんだろうが、IS学園があるのは日本の本土から離れた孤島だから、そうも行かねぇんだな此れが。

モノレールの駅がある東京や、関東圏内に住んでる人は兎も角として、関東圏外から来てる人や、外国からの参加者は交通機関の事情で、本土まで戻ったは良いけど、其処から先の移動手段がないなんて場合もあるから、参加者の内の何パーセントかは学園に残ってるんだよな。

元々、イベントには外国からの来賓も来るから、その為に学園には簡単な宿泊施設が設けられてるから、残った人達は其処に泊るって訳だ。

 

でだ、学園祭は終わったけど、俺達学園の生徒は此れで終わりじゃないぜ!!

 

 

 

「其れでは、学園祭の成功を祝って、カンパーイ!!」

 

「「「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」」」

 

「「「「「「「「Cheers!!(乾杯!!)」」」」」」」」」」

 

 

 

講堂で、クラスも学年も関係なく、学園の生徒が全員集まっても打ち上げがあるからな!

立食パーティ形式の打ち上げは、其れこそ生徒だけじゃなくて、教師陣も参加しての無礼講ってやつだ――千冬さんとスコールさんは、缶ビール片手に談笑してるしな。

時に夏姫姉、其れ何?

 

 

 

「此れか?皆の憧れ『原始肉』だな。」

 

「何でそんなモンがあんだよ……」

 

「知らん。

 だが、香ばしく焼かれた肉は実に食欲をそそる物が有るとは思わないか?――まぁ、流石にかぶりつくのは如何かと思うから、ナイフとフォークで切り分けて食すがな。」

 

「そうしてくれ夏姫姉。」

 

鈴がやるなら『ワイルドだね、元気が良いね』で済むんだが、夏姫姉はそう言うイメージじゃないからな――っと、ちょいと席を外させて貰うぜ?

如何やら、少しばかりコーラを飲み過ぎたみたいだ。

 

 

 

「一夏、どっか行くの?」

 

「打ち上げはまだ始まったばかりだぞ?」

 

 

 

鈴、箒、ちょいとばかし膀胱に溜まった水を捨てて来るだけだ。

直ぐに戻るから心配すんな――あ、でも俺が用を足しに行ってる間に料理がなくなるのは嫌だから、鈴、箒、中華と揚げ物を中心に何点か確保してくれるか?

特に、唐揚げと麻婆は絶対だぜ。

 

 

 

「了解!だけど、酢豚は良いの?アンタ酢豚好きじゃなかったけ?」

 

「確かに酢豚は好物だが、俺の舌は最早鈴の酢豚でなければ満足できなくなってしまったが故に、出来合いの酢豚を食べる気にはならないぜ。」

 

「其れは、嫁冥利に尽きるわね~~♪」

 

 

 

同時に、和食なら箒の作ったモンじゃないと満足できなくなってるからな……特におにぎりと卵焼きは。――マッタク持って、如何やら俺は完全に鈴と箒に胃袋を掴まれちまったみたいだぜ。

ま、其れは其れで悪い気はしないけどな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

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・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

 

元々が女子校だったから、男子トイレは教員用しかなかったから仕方ないとは言え、一々本校舎まで戻らないとならないってのは面倒な事この上ないな……簡易でも良いから講堂とかにも男子トイレが欲しい感じだぜ。

さてと、早く戻って打ち上げを楽しまないと――

 

 

 

「此処におられましたか、蓮杖様。」

 

 

 

と思った所で俺の前に現れたのは、昼間にも声を掛けて来た『みつるぎ』の営業担当だって言う『神那木玲奈』……アンタ、学園に残ってたのか。

目的は俺かい?

 

 

 

「仰る通りです。

 蓮杖様には、どうしても我が社のパッケージを使用して欲しいので、改めてお願いに参りました。」

 

「だから、俺はISRIの企業代表だから、他社のパッケージを使うとか俺個人で決める事は出来ねぇんですよ――先ずは、ISIRの上層部に話しを通してくれねっすか?」

 

「仰る事は御尤もなんですが、当社はISRIと比べたらずっと小さな会社でして、貴社の上層部に話しを通すのも難しいと言わざるを得ないのです。

 なので、少々不躾ではありますが蓮杖様に直接、と言う形を取らざるを得ないのですよ。」

 

「サラリーマンも大変なんだな。……まぁ、アンタ等の会社がどんな会社かは知らないけど、アンタ本当に営業マンか?」

 

「……どういう事でしょうか?仰ってる意味が分かりませんが?」

 

「いや、外回りの営業マンがそんな派手な金髪ってのは如何なのかなと。

 名前からして日本人な訳で、だとしたらそんな金髪は天然じゃあり得ないだろうなと思ってさ。――そんな派手な頭じゃ、営業にも支障がでるんじゃないかなぁって。」

 

「あぁ、此れはですね、実は父方の祖父がアメリカ人でして、私はその血筋が色濃く出てしまったようなのです。

 信じられないかも知れませんが、この金髪は天然モノなんです。」

 

「天然モノ、ね。」

 

けど、アンタの右手のグリップダコ、其れは天然じゃないよな?

営業マンの手の平に、何だってそんな物が有るんだ?

 

 

 

「此れは、趣味でクレー射撃をやっていまして――と言うか、よく気が付きましたねこんなモノに……」

 

「昼間、名刺貰った時にチラッと見えまして。

 だけど知ってるか?競技用のライフルと、実戦で使う拳銃とじゃグリップダコが出来る場所が違うんだぜ?」

 

アンタのグリップダコは明らかに後者――拳銃を握った際に出来るモンだ。秋姉の手の平にも同じグリップダコが出来てるからな。

で、グリップダコってのは日常的に拳銃を使わない限りは出来るモンじゃない――其れこそ、毎日のように拳銃で射撃訓練してないと出来やしないって知ってるか?

つまり、アンタは日常的に銃を使ってるって訳だ――そんな事をしてる奴が只の営業マンの筈がない……アンタ、一体何モンだ?

 

 

 

「……男だと思って甘く見ていたけど、中々に勘が鋭いみたいね、蓮杖一夏さん。

 ですが、其処まで辿り着いたと言うのならば、もう正体を隠す必要はねぇな――蓮杖一夏、さっさとテメェの機体を寄こしな……死にたくなかったらな!!」

 

「本性を現しやがったな……!!!」

 

狙いは俺か!!

其れだけなら未だしも、コイツISを持ってるのか!――下半身が蜘蛛を思わせる8本脚になってる異形の機体……コイツは、アメリカが開発してたって言う第3世代機の『アラクネ』か!!

こんな物を持って来るとは、アンタ最初からやる気で来たな?

 

 

 

「だったら何?」

 

「いや、其れなら俺も手加減しないで攻撃出来る、其れだけの事だ。――来い、ストライク!!」

 

俺もストライクを起動し、ストライクを纏うと同時に、エクスカリバーを抜いて、相手に突きつけてやる……アンタが何モンなのかは一切興味がねぇが、俺を敵視して排除するってんなら、其れには抗わせて貰うぜ?

 

先に仕掛けて来たのはそっちなんだ――先に踊り疲れて退場なんて事は無しだ……何処の誰かは知らねぇが、俺にケンカを売ったって言う事を後悔させてやる!!

 

「かかって来な。」

 

「男風情が……アンタなんかがISを起動できる事自体が間違いなのよ!!!」

 

「そうですか……だけど現実を受け入れろよ――男である俺が、ISを起動したんだからな。」

 

其れはつまり、女尊男卑の世界の終りが来たって言う事でもあるんだぜ?――まぁ、言った所で理解出来ないだろうから、その身体に叩き込んでやるぜ……俺とストライクの力ってモノをな!!

 

アンタの方から仕掛けて来たんだから、責任は持てよ?……そして、覚悟するんだな!――全力でぶっ潰してやるぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 


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