Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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女尊男卑の馬鹿は本気で救い様がないな……By夏姫      救わなくても良いんじゃない?By刀奈     其れを言ったら身も蓋もないっすよ楯無さん……By一夏


Break60『刺客との戦いと、予想外の援軍』

Side:夏姫

 

 

講堂での打ち上げパーティは続き、参加者は良い感じに盛り上がってるんだが……千冬さん、少し飲み過ぎじゃないですか?と言うか、明らかに飲み過ぎでしょう。

缶ビールを片手にしなだれかからないで下さい、酒臭いですよ?

 

 

 

「ハッハッハ、固い事を言うな夏姫。

 今宵は無礼講、教師とて少しばかり羽目を外したととて罰は当たるまい――そもそもにして、学園祭の打ち上げパーティは、楽しまねば損以外の何物でもないからな。

 ならば、思い切り楽しむのが最上策だろう?」

 

「其れはまぁ、否定しませんよ。」

 

打ち上げパーティってのは楽しんでこそだからな……と言うかスコールさん、ワインをラッパで飲み干すとか、思った以上にワイルドだな?オータムさんならラッパ飲みでも驚かないが、スコールさんのイメージじゃないからな。

時に鈴、箒、一夏は何処に行った?

 

 

 

「へ?さっきトイレに行ったけど……」

 

「そう言えば、妙に長いな……移動時間を差し引いても、彼是10分は経過しているぞ?」

 

 

 

用足しにか……其れにしては長いな?

下世話な話だが、大きい方でも、よほど腹の具合が悪くない限りは10分はかかるまい……であるにも、関わらず、一夏は戻って来てないと言うのを考えると、まさかとは思うが何かトラブルに巻き込まれたんじゃないだろうな?

 

 

 

「トラブルって……いや、流石に有り得ねぇと思うが……」

 

「何か心当たりがあるのか、ダリル?」

 

「いやな?鬼ごっこの時に、こっちは逃げてる最中だってのに空気読まずに一夏に声かけて来た、どっかの会社の営業っぽい女が居てよ。

 なんか、一夏に自社の装備を云々言ってたんだが、状況が状況だけに碌に話も聞かずにその場を離脱しちまったんだ――で、そいつがまだ学園に残ってて、一夏が1人になるのを待ってて、また勧誘してんのかなって。」

 

「そんな奴が居たのか?……なら、その可能性は有り得るな。」

 

今や世界で唯一の男性操縦者となった一夏に、自社の開発したIS関連の彼是を使って貰って成果が出れば、その会社の株は一気に跳ね上がるだろうからな……尤も、一夏はISRIの企業代表だから、他社のモノを使う事など無理なんだが。

ふぅ、如何やらトラブルに巻き込まれた可能性が高そうだから、探しに行ってみるか。

 

 

 

「なら、オレも行くわ。

 もしもアイツが一夏に何かしてるってんなら、相手の顔が分かった方が都合が良いだろうからな。」

 

「其れもそうだな、頼むよダリル。」

 

しかし何だろう、妙な胸騒ぎがするな……厄介な事が起きてなければいいのだけれど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break60

『刺客との戦いと、予想外の援軍』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

ったく、営業マンを装って俺のストライクを狙って来るとか、展開がベタベタ過ぎんだろ此れは!!

流石に校舎内で戦うのは拙いから、何とか相手を誘導して訓練用の小アリーナまでやって来て、只今絶賛戦闘中!――ISの訓練用のアリーナだったら、多少派手に暴れても早々簡単にはぶっ壊れる事も無いから、本気を出しても問題ないしな。

序に、この小アリーナはISでの『地上戦』をメインに練習する場所だから、空中戦が出来るだけの天井の高さは無いんだが、其れが俺には好都合ってな――飛べないのは俺も同じだけど、アラクネを飛ばせない方のメリットが大きいんだ。

 

アラクネの8本の脚は、空中戦だと夫々が独立して動く厄介な武器になるが、地上戦だと脚はあくまで脚としての機能しか果たさなくなる……尤も本物の蜘蛛みたいに、壁や天井を這いまわる事は出来るんだろうが、空中戦での自由度に比べりゃ全然脅威じゃねぇからな。

 

「っらぁ!!!!」

 

「く……!男風情が!!」

 

 

 

そもそもにして、俺とコイツじゃ如何やら実力に差があったみたいだから、負ける気が全くしないぜ。

まぁ、コイツも全くの素人じゃなくて結構な戦闘訓練を受けてるんだろうが、悲しいかな、経験不足なのが否めないな――恐らくだけど、訓練はしてても実戦は両手の指で足りる程しか経験してない感じだ。

 

ハッキリ言って、其れじゃあ俺には勝てないぜ?

俺は、ISを起動したあの日から、可成りの数の実戦ってモノを経験してるからな!!――大体にして、命を奪う覚悟も、奪った命を背負う責任も持ってない奴に、俺は負けねぇよ!

 

 

 

――ガキィィィィン!!!

 

 

 

「クソガキが……!!」

 

「クソガキで結構。敵対する奴には容赦しないってのが俺のスタイルなんでね。

 てか、アンタ一体どうやって学園に入り込んだんだ?アンタみたいな奴に、学園祭の招待状が行くとは思えねぇし、だからと言って招待状を偽装しても、招待状に使われてるのはIS学園で独自に開発した特殊な紙だから偽装がバレちまう。

 にも拘らず、アンタは堂々と学園祭に参加してた……どんなカラクリを使ったんだ?」

 

「其れが気になるか?本来は答えてやる義務はないんだが、まぁ特別に答えてやる。

 簡単な事よ、私が持っていた招待状は本物だった――より正確に言うのなら、此の顔の持ち主が本当の招待状を持っていたと言った所だ。

 本物の『神那木玲奈』は、東京湾の底に沈んでるけれどな。」

 

「!!」

 

其れは……お前のその顔は整形で、その人に成り代わったって言うのか!!

其れだけなら未だしも、学園祭に入り込んで、俺のストライクを奪う為だけに、その人を殺して招待状を奪ったって言うのかよ……目的の為に、無関係な人の命を奪うなんて、テメェ外道だな!!

適当に叩き伏せて学園に突き出す心算だったが、気が変わった……アンタはこの場で斬り捨てる――普通なら大問題だけど、治外法権のIS学園なら、正当防衛で処理されるから問題ないぜ。

特に俺の場合は、『世界で唯一の男性IS操縦者』って事で、多少の事は問題にはならねぇ――特に今回の場合は、仕掛けて来たのはアンタの方で、俺は其れに対処しただけだから、アンタを斬り捨てた所で俺は罪には問われないだろうからな。

 

まぁ、その特例措置に胡坐をかいて好き勝手やる心算は無いが、アンタみたいな手合いが現れた時には、そいつを最大限利用させて貰うさ。

 

 

 

「減らず口を……!!」

 

「言葉もまた兵法だ――夏姫姉が良く言ってた事だよ。

 『戦いと言うのは、武力だけでは決まらない――言葉を使った心理戦も重要になる。』ってな。――来いよ三下、格の違いってモノを教えてやるからよ。」

 

「舐めるな、クソガキがぁ!!」

 

 

 

舐めるな、ね……そのセリフは其のままアンタに返すぜ、『ISは女性にしか扱えないから、女性は偉い』って下らねぇ考えに染まった女尊男卑女郎が!!

アンタこそ、男を舐めんじゃねぇ――生物学的には、男の方が女よりも筋力は遥かに上なんだぜ?

その上で、男である俺がISを使えるなら、アンタの言う女性の優位なんてモンは簡単に崩れるんだ――何よりも、コア人格と心を通わせた俺にとって、アンタ程度は相手じゃねぇんだよ!!

喰らいな、レーザーブレード対艦二刀流奥義……超級武神覇斬!!

 

 

 

――バババババババババババ!!!

 

 

 

左右二択、一瞬十六斬を見切るのは不可能だ――この技を見切る事が出来るのは、夏姫姉だけだからな……てか、此れを完全に見切る事が出来る夏姫姉は本当に人間なのか疑いたくなるぜ。

千冬さんですら『初見で見切るのは難しい』って言ったくらいなのにな。

まぁ、其れは其れとして、8本脚を使って攻撃に対処したみたいだからシールドエネルギーは尽きなかったみたいだが、此れでオーラスだってのは分かるだろ?……今の攻撃で、シールドエネルギーは半分以上吹き飛んだだろうからな――アンタじゃ俺には勝てねぇ、次の攻撃で終わりだぜ。

 

 

 

「次で終わりだって?……アハハ、そう思ってるならおめでたいなクソガキが!!

 私が、何の用意もなく、来たと思ってるのか?此れでも喰らいな!!」

 

 

 

――ビシャァァァァァ!!

 

 

 

「!!」

 

ノーモーションからの攻撃……隠し武器か!!

マッタク持って予想してなかった攻撃だから避ける事は出来なかったが、シールドで防ぐ事は出来たから問題ないぜ――シールドエネルギーも全然減ってないからな。

 

 

 

「あぁ、それで良いんだ。

 この攻撃を当てる事こそが最大の目的だからな!!」

 

「何だって?如何言う意味だ――」

 

 

 

――シュゥゥゥゥゥゥン……

 

 

 

って、ストライクが解除されただって!?

いや、其れだけじゃなく待機状態のストライクが、右腕のブレスレットがなくなってるだと!?……一体、何が起きたんだ?

 

 

 

「探し物は此れかクソガキ?」

 

「其れは、待機状態のストライク!!なんでアンタが其れを!!!」

 

「切り札を切らせて貰っただけよ――リムーバーって切り札をな。

 コイツは試作品だが、ISを持ち主から強制的に引き剥がす装置だ……そいつを使って、テメェの機体を頂戴したって訳だ……でもって、今のテメェは、マッタクの丸腰って訳だ……幾ら何でも、この状況が分からない程バカでもないだろう?」

 

 

 

リムーバー……話には聞いてたけど、其れが試作品とは言え完成してたとはな――だけど、俺は相棒をくれてやる心算は無いから、返して貰うぜストライクを。

何よりも、アンタみたいなクソッタレに殺されるなんてのは最悪極まりない……だから、徹底的に抵抗させて貰うぜ――俺にはまだ、束さんが護身用として持たせてくれたコンバットナイフ、『アーマーシュナイダー』の他に、クラスの出し物で使ったヌンチャクもあるからな。

 

「ホォォォォォォォォ……アチョォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

 

 

――ビュンビュン!!

 

 

 

ブルース・リーの映画を見て研究したヌンチャクアクションだが、結構様になってるだろ?――まぁ、ヌンチャクでISに挑もうなんてのは、竹槍でマグナムに挑む位に無謀な事だってのは百も承知だが、其れでも攻撃が当たればシールドエネルギーは削れるし、アーマーシュナイダーの高周波振動ブレードはPS装甲以外なら大抵の物を切断出来るから、ストライクが奪われても戦う事は出来るんだぜ?

まぁ、流石に状況はかな~りピンチである事は確かなんだろうけど、不思議と負ける気がしないんだよなぁ此れが。

なんて言うのかな、アンタからは本当に強い奴からは感じられるオーラみたいなものを全く感じないんだ――分かり易く言うなら、ISって力を意味も分からずに振り回してるって感じがしてさ。

さっきまでの攻防で分かったけど、アンタの攻撃は全てが軽いんだ。

 

 

 

「この状況でもやるってのか?

 本来ならテメェの機体を奪ってトンズラする心算だったが気が変わった……ぶっ殺して、死体を磔にしてネットに流してやるよ!!

 そもそもにして、男であるテメェがISを動かしてる事自体が気に入らなかったからな。」

 

「気に入らなくて結構。別に俺だって、アンタみたいのに気に入られたくはないぜ。

 其れに、その顔が借りモノだってんなら、本当のアンタはそんなに若々しい見た目じゃなくて、厚化粧がお供になったオバンの可能性もあるし。」

 

いやぁ、自分でも驚く位に毒舌が冴えわたってるなぁ?

此れもある意味で余裕が成せる業か?――用を足しに行ったにしては、可成りの時間が立ってるから、夏姫姉達が俺に何かあったと思って、探してる可能性は充分にあるから、そうなれば程なく此処を見つける筈だ。

要は、俺は助けが来るまで防御主体で戦えば良いだけなんだよな。

 

「んで、俺としては此のまま口喧嘩を続けても良いんだけど、口じゃあアンタに勝機は無いよなオバハン。」

 

「舐めた事言ってんじゃねぇぞ、ガキがぁ!!」

 

 

 

っと、流石に今のは効き目があったみたいで、8本の脚の内の2本をブレード代わりにして斬りつけて来たか!……だけど、甘い!!

脚をブレード代わりにってのは悪くないけど、アラクネの其れは、攻撃モーションの大きい蹴り技と同じだから見切るのは難しくない――そもそもにして、箒の斬撃に比べたら、蠅が止まりそうなくらいに鈍い攻撃なんぞ喰らうかよ!!

避ける序に、ヌンチャクで一撃入れるのも忘れないってな!

 

 

 

「避けた上に反撃して来たか……だが、既にテメェは罠にかかってるぜクソガキ!!」

 

「罠?って、何だこれ!?」

 

攻撃を避けたのは良いが、避けた先で身動きが取れなくなっちまっただと!?

何かが身体に絡まってるような……此れは、糸か!!物凄くよく見ないと分からない程の半透明な糸……コイツが身体に絡まって、俺の身動きを封じてるのか!!

って事は此の糸は……

 

 

 

「そう、アラクネの特殊装備だ。

 見ての通りアラクネは蜘蛛を模した機体でな、姿だけじゃなくて兵装にも蜘蛛の能力を模したモノが搭載されてるんだよ!

 この糸もその一つでな、細いワイヤーみたいに人体を切断する事は出来ねぇが、特殊な繊維で出来てて人力で引き千切る事はまず不可能だ。

 ISを使えば引き千切る事が出来るかもだが、私にISを奪われたテメェにゃ其れも出来ねぇ……チェックメイトだなクソガキ?」

 

「身動きが取れない上に、人力で引き千切る事も出来ないとは、コイツは流石にお手上げっぽいなぁ?」

 

「そう言う事だから、大人しくぶっ殺されな。あぁ、最後に言いたい事が有れば聞いてやるが?」

 

「アレ、意外と優しいな?問答無用で殺されると思ってたんだけど。

 其れじゃあ遠慮なく……こんな言葉を知ってるか?『勝利を確信した時ってのは、同時に敗北の始まりである』って――後ろを見てみるんだな。」

 

「なに?……何だお前は!!」

 

 

 

まぁ、そりゃ驚くよな……後ろを振り返ってみたら、見知らぬISが居たんだからな。

しかも、そいつが自分に武器を向けてるとなれば尚更だぜ。

 

 

 

「お前に名乗ってやる義理も義務も無いな。」

 

 

 

ギリギリの状況で援軍が来てくれるとか、何処のバトル漫画だって話だが、まさかその援軍がお前だとは思わなかったぜ――臨海学校の時に現れた、赤黒いIS!!

『敵じゃない』って言ってたけど、俺を助けてくれる辺り、如何やらそれは本当みたいだな?

 

 

 

「疑っていたのか?悲しいぞ兄さん、私はこんなにも兄さんを慕っていると言うのに!!」

 

「いや、だから何で俺がお前の兄なんだって……」

 

「其れは、コイツを処理した後で話すよ。

 さてと、貴様は女権団の狗だろうが、兄さん相手に此れだけの上等を働いたんだ……私と、私の愛機『テスタメント』に狩られる覚悟は出来てるんだろうな?」

 

 

 

テスタメント、其れがこのISの名前か。

俺を兄と呼んだりと分からない事が多いが、一つだけ確かなのは、テスタメントを操って居る奴がIS学園の人間と何かしらの関係がある人物だって事だ。

コイツが適当に飛び回ってて、偶然此処に来たとは考え辛い上に、学園の生徒でこんなISを持ってる奴は居ないから、消去法で学園祭に来た外部の人間って事になる訳で、そうだと仮定した場合、学園関係者から招待状を貰ってないと無理だからな。

まぁ、俺のストライクを狙って来たコイツみたいに、誰かの存在を乗っ取っていない限りはだけど――流石に、そんな事をする奴とも思えないから、俺の予想は大体当たってるだろうな。

 

 

 

「ほらほら、如何した?その程度では私に掠り傷を与える事も出来んぞ?

 あまり手間取るとヤバいんじゃないのか?」

 

「く……何だ、此れは……何なんだお前は!!

 お前のような奴など知らないし、そんな機体も知らない――アイツ等からも、お前のような奴の情報は入ってきていない……其れなのに何故!」

 

「知るかそんな事。

 或いは、お前達女権団は捨て駒にされたんじゃないのか?……まぁ、其れも私にとっては如何でも良い事ではあるがな。」

 

「捨て駒だとぉ!!」

 

「捨て駒に、『ミラーフォース』とルビを振りたい位に見事な絶叫だな……」

 

 

 

で、臨海学校の時も思ったけど、テスタメントのパイロットの腕前は相当だな――夏姫姉や、現役時代の千冬さんには劣るかも知れないけど、ドレだけ低く見積もってもラウラ以上なのは間違いないぜ。

目の前で繰り広げられてる戦いも、テスタメントは全力の半分も出してないってのが分かるからな。

 

でも、それ以上にアラクネのアイツは焦ってるな?

テスタメントを倒せない事に焦ってるようにも見えるが、如何にも其れだけじゃないっぽいんだよなぁ……そう言えば、アイツはストライクを強奪した時になんて言ってた?

『テメェの機体を奪ったらトンズラする心算だった』って、そう言ってたよな?……つまり、本来はストライクを強奪すれば良い訳で、俺を殺す必要はなかったんだよな?

否、正確に言うならストライクを奪った後で俺を殺す暇なんて無かったって事か?――って事は、アイツが焦ってるのはテスタメントが手強いからじゃなくて……

 

 

 

「残念だったな、タイムオーバーだ。」

 

「……クソッタレ!!」

 

 

 

――バシュゥゥゥゥン!!

 

 

 

リムーバーには効果の適用時間が有ったからか!

 

 

 

「そう言う事だよ兄さん。

 加えて、リムーバーには致命的な弱点として、同じ機体には二度と使えないと言うモノが有ってな――二次移行と言う自己進化能力を持っているISは、一度使われたリムーバーに対しての防御プログラムを自身に構築してしまうんだ。

 言うなれば、免疫みたいなものさ。」

 

「免疫か、言い得て妙だな。」

 

尤も、束さんならガチでIS用のワクチンプログラムを開発しそうだけどな――何にせよ、ストライクが俺の元に戻って来たんなら、反撃させて貰う!

行くぜ、相棒!!

 

 

 

――ズバァァァァァァァ!!

 

 

 

ストライクを展開すると同時に、糸をぶっちぎって、エクスカリバーを展開してアラクネに突きつけてやる――状況は圧倒的にアンタが不利になった訳だが、まだやるか?

この状況で、アンタが俺達を倒して離脱するってのは略不可能だぜ――此処は大人しく投降するのがお勧めなんだけどどうよ?

 

 

 

「言うだけ無駄だ兄さん。

 言って大人しく投降するような奴だったら、そもそもにしてこんな馬鹿な事をしでかしはしないさ……まぁ、コイツは女権団の末端の1人なんだろうから、上の命令に従っただけだろうけどな。

 何れにしても、ISの台頭によって起きた女尊男卑の思考に染まり切ったクズだから、真面な判断など出来る筈がない。」

 

「やっぱりそうか?

 そうだよなぁ、女尊男卑に染まり切った奴に、真面な判断をしろってのは、確かに酷な事だったぜ――失礼な事を言って悪かったな、謝るよ。」

 

「が、ガキ共がぁ!!」

 

 

 

俺がガキってのは否定しねぇよ。実際に、世の中の事なんざ大して分かってないガキンチョだからな。

だけどさ、そのガキンチョに良いようにやられたアンタは一体何なんだ?世の中を大して分かってないガキンチョにも劣る奴だって事じゃねぇか。

序に言っとくと、アンタはストライクを奪った時点で此処から離脱すべきだったと思うぜ――俺の安っぽい挑発になんぞ付き合わないでな。

そうすれば、制限時間内にストライクを持って行く事が出来たんだからな――制限時間内に持ち帰ってストライクを解体しちまえば、制限時間が来ても俺の元に戻る事は無かった筈だからな。

ぶっちゃけて言うと、生身の俺との戦いを選んだ時点で、アンタは詰んでたって訳だ――テスタメントの参戦は、予想外だったけどさ。

だけど、これで本当のチェックメイトだ……もう一度後ろを向いてみな。

 

 

 

「何だと?……!!!!」

 

「お前、アタシの弟に……」

 

「「オレの弟分に……」」

 

「「「なにしてる!(やがる!)」」」

 

 

 

此処で最強の援軍到着ってな。

夏姫姉に秋姉、其れにダリル先輩が来てくれるとは――だが、コイツはある意味で最高にして最強の援軍だぜ!!

夏姫姉の強さは言うまでも無いが、秋姉の強さは俺達とは比べ物に成らない年季に裏打ちされたモノだし、ダリル先輩だって楯無さんとタメ張る位の実力が有るからな。

で、逃げようとしたアラクネに対して、秋姉の回転踵落としとダリル先輩のケンカキックが炸裂してアラクネをブッ飛ばす!――秋姉はジーパンだから良いとして、ダリル先輩の格好でのケンカキックは色々と問題がある気がするぜ……バッチリと見えちまったからな。

じゃなくて、この強烈な蹴りを顔面に喰らったアラクネは、ふらついたんだが……

 

 

 

「受けろ、このブロウ!!此れで、決まりだ!!!」

 

 

 

草薙京コスの夏姫姉が、フルチャージの百八拾弐式(ガード不可)をブチかましてターンエンド!!

踏み込みの肘打ちからショートアッパーで打ち上げられて、落ちて来た所を渾身の大ぶり左フックでブッ飛ばされて壁に叩き付けられたとなれば、如何にISを纏っていたとしても受けたダメージはハンパじゃない筈だ。

 

 

 

「あわびゅおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「其れ、何処の世紀末な断末魔だよ……」

 

謎の叫び声と共に、俺を襲ってきた奴は完全に戦闘不能になったからな。

テスタメントのパイロットが言うには、コイツは女権団の手先なんだろうけど、折角の学園祭のフィナーレに水を刺してくれたって言うのは看過出来る事じゃないし、何よりも俺のストライクを強奪して、あまつさえ俺を殺そうとしたってのは、大問題だ――コイツの事は徹底的に尋問する必要があるだろうな。

アンタがしでかした事は、国際的な問題にもなりかねない事だから、容赦なく対処させて貰うぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

一夏がトラブルに巻き込まれてるかもしれないとは思っていたが、まさか陸戦訓練用の小アリーナで戦いを行ってるとは思わなかったと言うのが正直な所だ。

まぁ、アタシとダリルとオータムさん(オータムさんは、偶々散歩してる所で会った)が到着した時には既に勝負は決していたみたいだがね――臨海学校の時にも居た、赤黒い機体と、一夏のストライクが、8本脚のISと対峙している状態だったが、其処に奇襲をかけてやったらアッサリとKOしてしまったからな……マッタク持って弱いにも程があると言うモノだ。

 

取り敢えず、襲撃者の身柄は確保するとして、赤黒い機体を操るお前は一体何者だ――今回の事も、臨海学校の時もお前に助けられる形になってしまったのだが、だからこそお前が誰なのかを知りたい。

 

お前は、一体何者なんだ?

 

 

 

「何者か……そう聞かれると答えに窮するな?

 私が何者であるのかを知っているのは極僅かな連中だから、姉さんが知らないのも無理はないさ――だが、ハッキリと言えるのは、私は夏兄さんの味方であると言う事だ。」

 

「夏兄さん……一夏の事か。そして、姉さんとはアタシの事か。」

 

つまり、現状ではお前はアタシ達の敵ではないっていう考え方が出来るんだけど、だからと言ってそう簡単に信じる事も出来ない――改めて聞くぞテスタメントのパイロットよ、お前は一体何者なんだ?

 

 

 

「私は私だ、それ以上でもそれ以下でもないが、そうだな……素顔を見せれば信用してくれるか?

 素顔で会うのは、此れで3度目かな姉さん、兄さん。」

 

 

 

アタシの問いに応えるようにしてテスタメントのパイロットも機体を解除した訳なんだが、其処に居たのは千冬さんによく似た少女……フランスで会って、学園祭で再会した、あの子だった。

まさか、お前がテスタメントのパイロットだったとは思わなかったよ。

其れで、お前の名は何と言うんだ?

 

 

 

「そう言えばまだ名乗って無かったな――私の名はマドカ、織斑マドカだ。」

 

「織斑マドカ……織斑の名を冠している事は改めて聞くとして、マドカと言うのは良い名だな。」

 

それが、お前の名か。

ヤレヤレ、一夏を襲撃して来た馬鹿野郎は叩きのめしたが、其の後で一夏の事を『兄』と呼ぶ千冬さん似の奴が現れるとは、流石に予想外だったのは確かだけど、お前のおかげで一夏は生き延びる事が出来たんだ……其れについては感謝しているよマドカ。

 

しかしまぁ、取り敢えず優先すべきは、一夏を襲った相手への尋問だな――あぁ、黙秘権が有るなんてのは言うだけ無駄だろうから、真実だけを正確に伝える事をお勧めするぞ?

沈黙を貫いた所で、待っているのは語るのも恐ろしい位の千冬さんかスコールさんの尋問と言う名の彼是だろうからね……まぁ、精々己の愚行を悔いるが良いさ。

 

 

 

「お前、男の味方をすると言うのか!!」

 

「何か勘違いしてるみたいだが、アタシは男の味方じゃなくて一夏の味方だ。

 己の弟の味方をしない姉など居る筈がないだろう――尤も、お前のような女尊男卑主義者には、言っても分からんだろうがな。」

 

だが、お前のおかげで女権団を叩きのめす大義名分だけは出来たから、其れに関しては感謝しておくよ――世界唯一の男性IS操縦者を亡き者にしようとしたと言うだけで、貴様等を攻撃する理由は充分だからな。

元より、アタシは女尊男卑って考えが大嫌いなのでね、徹底的に叩き潰させて貰う……女権団には、表舞台から姿を消して貰うとしようか?

そして地獄の淵で後悔するが良い、一夏に手を出してしまった事を、そして、アタシの逆鱗に触れてしまった事をな――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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