Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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このサブタイトルは……By夏姫      作者的にこらえる事が出来なかったんでしょうね…By刀奈


Break64『女権団を、粉砕!玉砕!大喝采!だ!』

Side:束

 

 

なっちゃんとたっちゃんの『ミーティアフルバースト』を皮切りに戦闘が始まったけど、女権団の連中に負ける可能性は限りなくゼロに近いから問題はない……無いけど、僅かな可能性すらも潰しておくことに越した事は無いよね。

そんな訳で最終調整が完了したんだけど、どんな感じかなナーちゃん?

 

 

 

「うん、良い感じだわ束博士。

 二次移行でストライクそっくりの外見になったとは言え、この子にはPS装甲なんかは搭載されてなかったから、外見だけを模した贋作と言っても仕方なかったんだけど、此れで本当にストライクになれたわ。」

 

「銀の福音改め『シルバリオストライクG』って所かな?」

 

「『G』はゴスペルの『G』ね?其れ気に入った!其の名前、貰ったわ束博士。」

 

「おぉっと、意外と好感触?束さん嬉しいよ♪」

 

二次移行した銀の福音の装甲をPS装甲と取り換えて、関節部も銀色にして、専用ストライカーパックである『シルバーストライカー』を装備したナーちゃんの専用機。

銀の福音のデータを基に、機動力と射撃能力を最大限まで引き出した機体になってるから、君の力を存分に発揮できる筈だよナーちゃん。

 

 

 

「アメリカ軍の軍属だった私が、女性権利団体を潰す事になるとは思ってなかったけど、やる以上は徹底的にやらせて貰うわ。

 何よりも、嘗てのアメリカ代表だった、Msミューゼルの前で無様は晒せないモノ――俄然やる気が出てくるって言うものよ……今の私は、下手したら、阿修羅をも凌駕するわ。」

 

 

 

にゃはは、其れは何とも頼もしいね?

それじゃあ、その気合を戦場で思い切り開放しちゃってよナーちゃん!いっ君を殺そうとした奴等に手加減なんて不要!寧ろ滅殺一択だからね!

 

 

 

「了解!

 ナターシャ・ファイルス。シルバリオストライク、行くわよ!!」

 

 

 

なっちゃん達が負けるとは思わないけど、万が一を考えてナーちゃんを投入ってね。

でも、これでなっちゃん達が負ける可能性は0になったと言っても過言じゃない――ナーちゃんのシルバリオストライクGは、束さん自らが改造したスペシャルな機体だしね。

 

何にしても年貢の納め時だよ女権団……正直、お前等が何をしようと、束さんには関係ないんだけど、いっ君を、大事な弟分にして箒ちゃんの旦那様を殺そうとしたってのは見過ごせないんだよね?

だからさぁ……少し頭冷やそうか?

つーか、死ねよ。束さんの大事なモノに手を出してしまった事を、地獄で後悔するんだね……尤も、地獄の責め苦の中じゃ、後悔するのも難しいだろうけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break64

『女権団を、粉砕!玉砕!大喝采!だ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Side

 

 

ミーティアを装備した夏姫のフリーダムと、刀奈のジャスティスによる『ミーティアフルバースト』を合図に始まった戦闘だが、其れはもう戦闘ではなく一方的な虐殺に近かった。

ザクもグフも現行のISと比べれば破格の性能をもってはいるモノの、カタログスペックを見る限りでは夏姫達の機体には遠く及ばない――まぁ、夏姫達の機体がオンリーワンの専用機で、ザクとグフは量産型の無人機である事を考えれば当然の事ではあるのだが。

更には、其処にナターシャのシルバリオストライクGが参戦した事で、状況は女権団には最悪レベルになっていた。

 

だが、此の当然の事と最悪レベルを受け入れられない者もいる――言わずもがな、女性権利団体のトップだ。

 

 

「馬鹿な……こんな馬鹿な事がある筈がない!

 相手は10人ちょっとで、こっちの戦力は待機機体含めて300機以上あるのに、其れなのに、どうして此方が押されているのよ!!」

 

 

戦力比は1:10以上であるにも関わらず、戦局は女権団の方が押されている状況だと言うのが納得出来ないのだろう――目の前の現実を受け入れられない時点で、女権団のトップの力は底が知れるだろう。

 

否、女尊男卑の思考に染まり切った者は、所詮この程度だったと言うのが正解なのかもしれない。

男性排斥を声高に主張し、政治の世界に己の力を潜り込ませ、権力をもってして好き勝手にやってきた輩では、自分達が窮地に追い込まれる事等考えてもいなかったが故に、この絶望的状況でどうすれば良いのかが分からないのだ。

 

だが、そんな混乱状況にあっても、其れが解消されるまで猶予を与えるほど戦場は優しくはない。

 

 

「数だけは居るようだな……尤も、数を有していても、其れが烏合の衆では話にならん。――貴様等では役者不足だ……塵に還るが良い。」

 

「永遠の自由と、無限の正義の前では貴方達は烏合の衆にもならないわ。

 それに、更識の長として、貴女達をいつまでも野放しにしておく事は出来ないの――そう意味では、アイン君を襲撃してくれた事に関しては、お礼を言いたいわ……女権団を攻撃する口実が出来たんですもの。

 だから、此処で消えなさいな!」

 

 

 

――バガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

再びフリーダムとジャスティスのミーティアフルバーストが発動し、新たに現れたザクとグフを一撃で葬り去る!!

フリーダムとジャスティスに搭載された火器だけでなく、ミーティアに搭載されたミサイルポッドと大口径ビーム砲が加わった飽和攻撃は凡そ回避出来るモノではなく、ロックオンされたザクとグフが次々と沈黙していく。

更にミーティアの大口径ビーム砲は、超大型のビームサーベルとしての機能も備えているため、一振りで10体の相手を両断するだけでなく、戦艦をも真っ二つに出来るのだ……束が本気を出して開発したフリーダムとジャスティスの専用装備恐るべしだ。

 

ミーティアを装備したフリーダムとジャスティスだけでも脅威なのだが、ISRIの戦力は其れだけではない。

 

 

「遅いな……プリス姉と比べたら、お前等の動きは止まって見えるぜ。」

 

「この程度なら何匹来ようと相手じゃないわね?

 ……この程度でアインを殺そうとしたとか、あまりの身の程知らずに怒りを通り越して笑いが出てくるわ――取り敢えず、女尊男卑のレベルの低さって言うものが良く分かったわ。」

 

「この世界を歪めてしまったのは姉さんなのかもしれないが、だからと言って貴様らの様な連中が蔓延って良い理由にはならん……何よりも、アインを殺されそうになったのを黙ってられる程、私は人が出来ていないのでな。

 因果応報だ、貴様等には『死』をくれてやる!」

 

 

一夏がエクスカリバーの二刀流でザクとグフを斬り捨てれば、鈴はアロンダイトで豪快にザクとグフを切り裂き貫き、箒もまた双刃型のビームサーベルを巧みに扱いザクとグフを次から次へと撃破し爆発四散させていく。

二次移行したストライク2機と、束お手製の機体の前ではザクもグフも脅威にはなり得ないのだ。

 

 

「逃がさないよ……其処だ!!!」

 

「うおりゃぁぁあ……滅殺!!」

 

「私の機体に、ビームは効かないよ!」

 

 

更に静寐はカラミティの装備を即座に換える事でザクとグフを手玉に取り、癒子はレイダーに搭載されたトゲ付き鉄球を振り回して近付く敵を粉砕して沈黙させ、清香はフォビドゥンの強襲形態でビームを無効化しながら強引に相手に接近して、手にした大鎌で死神の如くザクとグフの首を狩りとっていた。

 

そん中でも、特筆する活躍をしていたのは、誰であろうマドカだった。

 

 

「兄さんを殺そうとするとは良い度胸だな貴様等……正直な事を言わせて貰うのなら、貴様等の事は前から気に入らなかったから、何時の日か滅ぼすつもりだったが、其れが前倒しされたと言う事だな。」

 

 

不敵な笑みを浮かべると、トリケロス改に搭載されていたクローを展開して、身近にいたザクを掴むと、ゼロ距離でのビーム砲攻撃を敢行し、其れを喰らったザクは哀れ爆発四散!!

だが、これで満足するマドカではなく、近くにいたザクとグフを手当たり次第に攻撃して撃滅していく……一夏への襲撃が、眠れる鬼神を目覚めさせてしまったと言うのは、きっと言い過ぎではないだろう。

 

 

「私はマドっち程は巧くないっすからねぇ……綺麗にぶっ壊す事は出来ねぇっすよ!」

 

 

同じジャンク屋のギルドに所属する相棒のフォルテもまた、アウトフレームDに搭載されたジャンク屋のギルドが独自開発したストライカーパック『ブラストストライカー』のメイン武装である2門の高出力ビームランチャーでザクとグフを掃討する。

テスタメントにしろアウトフレームDにしろ、ISRI製の機体と遜色ない性能を見せている辺り、ギルドの技術を結集すれば束の技術に匹敵する事の証であり、その技術力は相当な物だろう。……そのギルドの技術を結集させた能力を、個人で有している束は、矢張り化け物であるが。

 

 

「オイオイオイ、数だけ揃えてこの程度か?正直、期待外れだぜ。」

 

「其れに関しては、オレも同意っすよスコールさん……こいつ等、弱すぎだ。」

 

「数の暴力も、相手が圧倒的に格上の場合は通じないと言う事を教育してあげるわ……文字通り、貴女達の身体を使ってね。」

 

 

勿論、元祖亡国企業エージェントであるオータム、ダリル、スコールも、その腕前を存分に発揮し、次々とザクとグフを撃墜していく。

中でも凄いのはオータムだ。

彼女の愛機である『アサルトデュエル』は、束が最初期に開発した『対IS用IS』の試作機に追加装甲『アサルトシュラウド』を装備したモノであり、ISIR製の機体の中では最も旧式なのだが、その機体で他のメンバーと遜色ない戦いを展開しているのだから。

最も旧式とは言え、其れでも現行のISを凌駕する性能を持っているのだから、勝って当然と言えばそれまでかも知れないが、二次移行した夏姫達、夏姫が改造したゴールドフレーム、ストライクの最終強化形態である『Eタイプ』を専用にカスタマイズしたケルベロス、ジャンク屋ギルドの技術を結集して造られたテスタメントとアウトフレームDと言った新鋭機、カスタム機に劣らぬ活躍をしていると言うのは、矢張り褒めるべきだろう。

付け加えて言うのならば、デュエルは元々尖った専用武装は搭載しておらず、追加装甲であるアサルトシュラウドに搭載されている武装も右肩の電磁レールガン『シヴァ』と、左肩の『5連装ミサイルポッド』とデュエル本体もアサルトシュラウドも、徹底して汎用性を追求した機体であり、その為に誰でも扱い易い反面、乗り手の技量がストレートに現れる機体でもある。

その機体でしっかりと新鋭機やカスタム機に負けない活躍をしている辺り、オータムのIS乗りとしての技量の高さが覗えるだろう。

 

そして、汎用性の高い機体と言うのは、総じてその時々での追加武装も搭載し易いと言う事でもあり……

 

 

「オラァ!ぶっ飛びやがれ、メス豚の操り人形共が!!」

 

 

今回は携行リニアランチャー『ゲイボルグ』を持って来ていた。

バスーカとも称される程に巨大な実弾兵器であり、取り回しは決して良くないのだが、面の破壊力ではシヴァを上回る上に、多数の敵を相手にするならば有効と考えて持ってきたのだが、その考えは大当たりだった。

ゲイボルグを装備した事で、デュエルは右手にゲイボルグ、左手にビームライフル、更に右肩のシヴァ、左肩の5連装ミサイルポッドを搭載した火力機体になっているのである。

 

 

「アインが襲われてキレてんのは、プリスと千冬とマドカだけじゃねぇ……アインの姉貴分である俺もブチ切れてんだ!

 この、オータム様の逆鱗に触れちまった事を後悔しやがれ、『禁則事項にして、放送禁止にて、検閲により削除なヤヴァイセリフの数々』!!」

 

 

放送コードに滅茶苦茶引っ掛かりそうな事を叫びながら敵を撃滅するその姿は、まさに悪鬼羅刹の如しだ。

だが、一行が戦闘を有利に進める事が出来ているのは技量や機体性能の差だけではない。

 

 

「天帝の結界から逃れる事が出来るとは思わない方が良いわ。」

 

 

そう、マリアがドラグーンを使ってザクとグフの動きを牽制、制限していた事が大きいのだ。

16個ものドラグーンを同時に操作しながら自身も動き回ると言う辺り、マリアの空間把握能力と並行思考能力の高さが覗えるが、其の能力を最大限に発揮して、ザクとグフの動ける範囲を限定したり、あるいは仲間の有効射程内に誘導していたりしているのだ。

 

正に最高のフォーメーション。

数の上では圧倒的に劣るにも拘らず、夏姫達は女性権利団体の無人機軍団を完全に手玉に取っていた――が、面白くないのは女権団のメンバーだろう。

相手が誰であろうと、数の暴力で挑めば蹴散らす事が出来ると思っていたにも拘らず、数の差は全く意味をなさず、それどころか出撃させた傍から撃墜されているのだから、イライラは募ると言うモノだ。

 

 

「クソ、このままじゃあジリ貧ね……仕方ないわ、主砲展開!無人機ごと奴等を吹き飛ばすわよ!!」

 

「了解。主砲陽電子砲『タンホイザー』起動。」

 

 

そのイライラが、最悪の手段を選択させた――無人機であるザクとグフ諸共、敵を陽電子砲で吹き飛ばすと言う最悪の手段を。

陽電子砲の威力は、フリーダムのバラエーナのプラズマ砲をも凌駕し、直撃したら分子レベルで融解されて命は無いと言う必殺兵器――其れを、無人機をも巻き込んでも構わないと、使用する決定をしてしまったあたり、相当に追い込まれているのだろう。

 

 

 

――ギュオォォォォォォォォォン……

 

 

 

女権団の船の艦首が展開し、陽電子砲が現れ……

 

 

 

「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

 

 

 

女権団のリーダーの号令と共に死の光が放たれ、射線上にザクとグフを巻き込みながら夏姫達に向かっていく――一夏達は兎も角として、ミーティアを装備した事で、左右の細かい動きが出来なくなってしまった夏姫と刀奈は回避が間に合わない。

 

 

「く……!!」

 

「流石に陽電子砲が相手じゃ、ミーティアの火力でも相殺しきれない……!!」

 

 

夏姫と刀奈は回避が出来ないのならと、ミーティアの主砲での相殺を試みるが、如何にミーティアの火力が相当な物であっても陽電子砲には遠く及ば無いのが現実だ。

回避も相殺も出来ない絶体絶命のピンチだが……

 

 

「させるかぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

着弾するその瞬間に、何かが割って入って陽電子砲を受け止めた。

 

 

「コキア!?」

 

「コキアちゃん!?」

 

 

そう、割って入ったのは箒が操るアカツキだ。

シールドを前面に出して陽電子砲を受け止めると、あろう事かシールドと全身をもってして陽電子砲を四散させた――余りの威力故に反射は出来なかったモノの、ヤタノカガミは陽電子砲をも無効化する力を持っていたのだ。

 

 

「てぇぇぇい!!」

 

 

 

――バシュゥゥゥゥ!!

 

 

 

陽電子砲を防いだだけでも勲章モノだが、箒は更にビームライフルで女権団の船の陽電子砲を打ち抜き、使用不能にしてしまう。

敵の最大の兵器を封じた事はとても大きいが、それ以上に夏姫と刀奈と言う、最強クラスの2人を護った箒の功績は受勲レベルと言っても過言ではないだろう。

 

 

「ふぅ……助かったぞコキア。」

 

「今のは、流石に胆が冷えたわ……」

 

「ビームに対して無敵のアカツキだからこそ出来た事だ。

 ……とっさに飛び出してしまったが、アカツキのヤタノカガミがなかったら、私は完全にお陀仏になっていたかも知れんな此れは……」

 

 

ヤタノカガミを搭載していたアカツキだからこそ出来たカウンターだが、此の陽電子カウンターの効果は大きい事この上ないのだ――結果論であるモノの、女権団の陽電子砲発射は、ザクとグフを無駄に散らす結果になったのだから。

 

 

だがしかし、陽電子砲を無効化された女権団の方は完全に恐慌状態だ。

全てを消し去る破壊力を有した陽電子砲が無効化されただけでなく、陽電子砲そのものを破壊されてしまったのだから無理はないが……恐慌状態に陥った事で、指揮系統は完全に混乱し、機能しなくなっていた。

 

 

「だ、出せる機体を全て出しなさい!

 無人機だけでなく有人機も全て!私達の持てる戦力の全てを注ぎ込んで、奴らを退けるのよ!!教授から貰った新鋭機も出すのよ!!」

 

「り、了解!あの、デストロイも?」

 

「当然でしょう!!それくらいしないとアイツ等はきっと倒せないわ!!」

 

 

有人、無人問わずに全ての戦力を投入しろとリーダーは命じ、部下のクルーもそれに従い、艦内に『全機出撃』のアナウンスが流れる――其れと同時に、格納庫のザクとグフが次々と射出され、それに続くようにMA形態のデストロイ6機が射出され、女権団の有人機である各国から強奪した第3世代機と、教授から受領した新鋭機『ドム・トルーパー』を纏った女権団のパイロットが出撃し、総力戦を仕掛ける。

 

 

「ザクとグフが一気に増えただけじゃなくて、デストロイに見た事も無い新型だと?」

 

「如何やら、敵さんはスパートをかけて来たみたいね?……なら、此処からは――!!」

 

 

「「ミーティアは逆にデッドウェイトだ。(ね。)」」

 

 

其れを見た夏姫と刀奈は即座にミーティアをパージし、夏姫は両手にビームライフルを、刀奈はビームサーベルを連結した『アンビデクストラス・ハルバード』を展開し、敵を迎え撃つ態勢を整える。

 

 

「サイレス、ザンバーに換装して!バルムンクをマドカに!アインもエクスカリバーをコキアに!!」

 

「ザンバーに……成程、そう言う事か。

 分かったよベル!マドカちゃん、受け取って!!」

 

「ふっ……身の丈程の大剣ってのも、偶には悪くはないな?存分に使わせて貰うぞ。」

 

「6機のデストロイを相手にするなら、確かにその一手は必要だよな……受け取れコキア!!」

 

「その力、貰い受けた!!

 此れがアインの使っている剣か……アインの剣であの世に送られるんだ、精々光栄に思うが良い木偶の棒。

 貴様ら等、本当ならば木炭になって終わりだった所を、アインの手によって葬られるのだから光栄に思うがいい――そして、塵となるがいい!!」

 

 

そして鈴は、デストロイが近接戦闘に弱いと言う弱点を生かすべく、一夏と静寐に、デストロイを撃破する上で有効な攻撃手段となるレーザーブレード対艦刀を他の機体――今回マドカと箒――に渡すように指示し、トップクラスの実力を持つ者に其れが渡る。

同時に、其れを受け取った箒とマドカはテンションが振り切れたのか、デストロイに向かって行き――

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「どっせいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

何と2機のデストロイを一刀両断!!

ホントにふかしも何もなく、10m以上のデストロイが頭から真っ二つにされたなど、目を疑いたくなるような光景だが、此れは現実だ――現実に、レーザーブレード対艦刀を装備したマドカと箒の一撃がデストロイを両断し、爆発四散させたのだから。

此れだけでも驚きだが……

 

 

「行くぜ……究極奥義、超究武神覇斬!!」

 

「超奥義、エンド・オブ・ハート!!」

 

 

更に一夏と静寐が攻撃を仕掛け、2機のデストロイを粉砕!玉砕!!大喝采!!!と、某社長が高笑いしそうな程の攻撃をもってデストロイ2機を撃滅!寧ろ滅殺!!ぶっちゃけ極滅だ!!!

 

そして残る2機のデストロイも……

 

 

「ふ!は!せいやぁ!!

 うおりゃぁぁぁぁぁ……燃えろ!!」

 

 

1機は鈴の中国拳法に翻弄された挙げ句に、鋭い肘打ちからのパルマフィオキーナのゼロ距離射撃を喰らって行動不能に陥り――

 

 

「アタシから逃げられると思ってんの?

 って言うか、アインに手を出した時点で、アンタ等は滅殺以外の道は無いわ……だから、大人しく此処で眠っとけやおんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

もう1体は、本家が惚れ惚れするほどのシャイニングウィザードをかました挙げ句に顎にジャンピングアッパーを喰らわせて昏倒させた上で、対艦刀であるアロンダイトで一刀両断してこの世から存在その物を消し去ったのだった。

 

「あんたじゃ燃えないわ、出直してきなさい!!」

 

「俺の、勝ちだ。」

 

「てへ、燃えたろ?」

 

「諦めも肝心だぞ?」

 

「此れで満足したか、女権団。」

 

 

勝利ゼリフも鮮やかに、一夏と鈴と箒と静寐とマドカはポーズを決める。

戦場でこれだけの事が出来る辺り、この5人の度胸力が相当であるのは間違いないだろう――この時点で、女権団の望みは叶わないと見て間違いないと言っても過言ではないだろう。

だがしかし、デストロイは撃破したとはいえ、新鋭機のドムが参戦した事で戦況は拮抗すると思われていたのだが……其れは甘かった。

 

 

「頭数だけ揃えた雑魚か……冥府に堕ちろ!!」

 

「私たちと戦うには華麗さが足りないわね?――出直してきなさいな。」

 

 

ミーティアをパージしたフリーダムとジャスティスの前には女性権利団体が有していた最新鋭機のドムもまた無力であった――一太刀も入れる事が出来ずに戦闘不能となっての完敗は、正に恐怖の対象になっていたと言っても過言ではないだろう。

この時点で、勝敗は決したと言っても過言ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

弱い奴ほどよく吠えるとは言うが、女権団は、正にそれを体現したかのような弱い犬の集団だ――群れなければ何も出来ない烏合の衆にもならない雑魚の集まりだからな。

とは言っても、教授とやらが支援している為か、可成りの戦力を有しているのは間違いないけれどね。

 

とは言え、奴らが陽電子砲でザクとグフを自ら葬ってくれたから、アタシ達は楽になったんだが――流石に此れで『はいお終い』とは行かないようだね?……ザクとグフとはまた違う機体が出て来たからな。

まぁ、その機体も今し方葬った訳だが、数だけはあるみたいだからね……そう言えば、アレは無人機だったのだろうか?

 

 

 

「お前等は殺す!!何があっても絶対に!!!

 無人機相手に調子に乗ってくれてたけど、新たにロールアウトされた此のドムトルーパーがあれば、お前達なんて瞬殺よ!」

 

「大人しく、私達に殺されなさい!!特に、大剣使ってる黒い奴!

 アインとか名乗ってるけど、アンタ蓮杖一夏でしょう!!男のくせにISを使ってるなんて生意気よ!!」

 

 

 

どうやら今度は有人機みたいね?

……呆れる事も出来ないくらいの女尊男卑発言をどうも……この期に及んでその発言とは、呆れを通り越して逆に感心するわ。

コードネームを名乗ってるにも関わらず、アインを一夏だと見破ったのは大したモノ――でもないか。機体見れば分かるだろうからね。

まぁ、女権団は今日をもって崩壊するのだから、最後の喚きとして聞いてやらん事も無いが……矢張り不愉快極まりないな此れは――だから、消えされよ低脳共が。

 

 

 

「目障りよ、消えなさい。」

 

「雑魚が図に乗るなよ。」

 

アタシと刀奈で現れた相手を一撃滅殺……有人機であっても無人機と大差ないとは、ハッキリ言っては歯応えがないにも程があるぞ?

如何した、その機体があればアタシ達など瞬殺なんじゃなかったのか?

 

 

 

「く……今のはまぐれに決まってるわ!さっきのも含めて絶対に!!

 私達がアンタ達に負けるなんて事が、あって良い筈がないのよ!!!」

 

「ったく、キャンキャン煩いぜオバサン?

 吠えてる暇があるならかかって来いよ……其れとも、プリス姉とノーシールドさんに仲間が瞬殺されたのを見て足が竦んじまったってのか?」

 

「言ってやるなアイン、コイツ等は自分より弱い相手、ISを持たない者しか相手にした事がないんだろうさ。

 圧倒的に有利な状況、負けない状況しか経験した事がないから、自分達が窮地に立たされた場合はどうすれば良いか分からないんだよ。」

 

「あぁ、成程。すごく納得したぜ。」

 

「あ、アンタ等……ふ、でもその余裕が何時まで続くかしらね?――如何やら援軍が来たみたいだわ!」

 

「援軍だと?」

 

アレは……黒いザクとグフの集団と、其れを率いている黒いフリーダムだと?

アタシのフリーダムのネガ像のような漆黒のフリーダム……不気味だな。――まぁ、女権団の援軍だと言うのならば倒すだけだが……

 

 

 

――バシュゥゥゥゥ!!!

 

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

「んな!?」

 

「女権団の事を、攻撃した?……彼女達の援軍ではないの?」

 

 

 

如何やら、女権団の援軍と言う訳でもなさそうだな?

今のは明らかに誤射ではなく、女権団のメンバーを狙っていたし、フレンドリーファイアが起こるような状況でもない――だが、女権団の援軍でないのならばコイツ等は一体何者なんだ?

 

 

 

「私達が何者であるのかは、この連中を完全駆除した後で答えてやろう。

 だが、一つだけ言えるのは、今この場においては私達はお前達の敵ではない……共通の目的を持った同志と言った所さ――女権団を叩き潰すという目的を持ったな。」

 

 

 

取り敢えず、今この場では敵ではないと言う事か?とても信用する事は出来ないが……一つだけ分かった事がある。

黒いフリーダムのパイロットは、フェイスプレートの向こう側で確実に笑みを浮かべている筈だ――其れも、歓喜と憎悪が混ざった歪んだ笑みをな。

女権団を潰すのも時間の問題となった所で現れた謎の一団……恐らくは一夏を襲った奴が言っていた『教授』とやらの一味なんだろうが、コイツ等が女権団を攻撃する理由は一体何なんだ?

 

 

 

「確かに気になる事は多いけれど、女権団の援軍でないのならば今は追及は止めておきましょう?

 敵の敵は味方ではないけれど、少なくとも今この場では私達と敵対する心算は無いみたいだから、今は女権団を潰す事を優先した方が良いわ。」

 

「ノーシールド……確かに、今はそちらが優先か。」

 

こうして話をしている間にも、黒いザクとグフは女権団への攻撃を行ってるのを見ると、『この場においては敵ではない』と言う言葉は嘘じゃないみたいだしな。

しかし、この黒いフリーダムからは何か嫌な予感を感じるな?言いようのない、いやな予感がな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 




機体設定


・シルバリオストライクG
形式番号『GAT-X105E SG』。
二次移行した『銀の福音』を束が再調整した機体で、ナターシャ・ファイルスの専用機。
新たにPS装甲が追加されたほか、関節部のフレームも期待装甲と同じ銀色となっている。
ストライクEタイプの基本装備に加え、専用ストライカーパック『シルバーストライカー』を搭載し、銀の福音以上の機動力と射撃能力を獲得している。


・アストレイアウトフレームD
形式番号『ZGMF-X12D』。
元々はジャンク屋のギルドが開発した作業用ISの1体だったが、テスタメント開発時に、テスタメントの予備パーツを使って戦闘用に改造され、その後フォルテの専用機となった。
戦闘用に改造する際に腕部と脚部がテスタメントと同型のモノとなったために、腕部と脚部にはPS装甲が搭載されているが、それ以外の部分は発泡金属を使った装甲となっている。
ジャンク屋のギルドが独自に開発した『ブラストストライカー』を搭載しており、高い機動性と高エネルギービームランチャーによる砲撃能力を有している。
アウトフレームと言う名前は、ジャンクパーツから組み上げた事で、いろんな国、企業のパーツが混同している事から『何所のメーカー品でもない』と言う理由でつけられた。(アストレイの名称も、王道ではないと言う意味でつけられており、束が作ったアストレイとは意味合いが異なる。)
形式番号並びに、機体名の『D』は、戦闘を表す『DUEL』からとったもの。


・ドムトルーパー
形式番号『ZGMF-XX09T』。
女性権利団体が新たに持ち出したモノアイタイプの機体で、ザクやグフの後継機にあたる。
ザクやグフと比べると装甲が厚く、全体的に重厚そうな外見だが、ブースターとスラスターの強化により、機動力はザクやグフを上回る。


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