Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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班別行動はフリーダムだBy夏姫      ふふ、自由に行きましょう?By刀奈      自由に行くのが班行動だからなBy一夏


Break74『班別行動は色々と自由ですな』

Side:夏姫

 

 

ん……もう、朝か。時間は6時ジャスト――修学旅行での起床時間からは2時間ほど早いが、この時間に目覚めてしまっては二度寝すると言う気分でもないから、本館の大浴場で朝風呂を頂戴するとしようかな?

コテージ型の部屋の風呂も良いんだが、大浴場程の解放感は無かったからね。

 

「寝起きの朝風呂を浴びて来る、心配しないでくれ刀奈。」

 

まだ寝ている刀奈の頬に唇を落としてから、本館の大浴場に。

……コテージ型の部屋の浴場の十数倍はあるであろう大浴場を独り占め出来るとは、この上ない贅沢だな。

 

 

 

――ガラガラガラ……

 

 

 

って、誰か入って来たのか?

こんな早朝から風呂に入ろうと思うのはアタシだけだと思うのだが……

 

 

 

「先客がいるとは思わなかったな?……お前も朝風呂か夏姫?」

 

「アタシも朝風呂だよ千冬さん。」

 

入って来たのは千冬さんだったか……其れなら、アタシも緊張とかはしないで済むな?――千冬さんとは、子供の頃に何度も一緒に風呂に入って居るからな。

はぁ……いい湯だな。

 

 

 

「マッタクだ……この広い浴槽を、たった2人で使うと言うのは何とも贅沢な気分だな時……に夏姫、最近の一夏は如何だ?」

 

「極めて絶好調だとしか言いようがないかな?重ねてきた鍛錬の成果が実を結んだ今の一夏は、最強クラスのIS乗り――其れこそ、全盛期の貴女にも匹敵するかもしれない。あくまでも近接戦闘に限ればだけれどね。

 だが、一夏の可能性はまだまだこんな物じゃない……アイツは、まだまだ伸びる筈だ。」

 

「そうか……だが、其れもまたお前達が居たからなのだろうな――一夏の事を、これからも頼んで良いか夏姫?」

 

「勿論だよ千冬さん。」

 

何よりも、弟を護らない姉は居ないからな……何があっても一夏の事はアタシが護ると誓うよ……尤も、アタシに護られるほど、一夏は弱くは無いのだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break74

『班別行動は色々と自由ですな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝風呂を浴びた所で修学旅行3日目だ。

3日目は班別行動になっていて、アタシの班はアタシとマリアと箒と静寐と刀奈と言う、ある意味でトンデモナイメンバー構成になっている――この面子なら班別行動中に何が起きても対処する事が出来るだろうな。

昨日は何もしてこなかったライブラリアンだが、だからと言って今日も何もないと考えるのは楽観的過ぎる。『常に最悪は想定しておく』、此れは基本とも言える事だからね。

 

とは言え、警戒のし過ぎでは修学旅行を楽しむ事は出来ないので、緩み過ぎず、緊張し過ぎずと言うのがベターだな。

其れで、班別行動なんだが、シネマ村に行く事は決まっているんだが、それ以外はマッタクもって決まっていないから、当日の気分でと言う事になってしまう訳なんだが……

 

「(何故、禅寺?)」

 

「(何、ちょっとした精神修業だ夏姫。)」

 

 

 

まずは箒のリクエストで禅寺に。

本格的な禅の修行が出来るとの事で、確かに精神修業には持って来いなのだが、普通に考えて修学旅行で来る場所でもないような気がするのはアタシだけなのだろうか?

因みに、会話はISのプライベートチャンネルだけを開いて行ってるので、活を入れられる事は無い。

 

まぁ、此れもまた貴重な体験と言えば貴重な体験かもしれないな?少なくとも、IS学園では絶対に体験できない事だ――全ての雑念を捨てた上で無我の状態になろうとする事は無いからね。

 

しかし、全ての雑念を捨てると言うのも中々に難しい……何も考えないようにするとは言っても、意識がある以上は何かを考えてしまう訳だからな?

其れを踏まえると、刀奈は流石と言った所か?目を閉じ、微動だにしていないからね……暗部の長は、精神統一も見事なモノ――

 

 

 

「Zzz……」

 

「って、寝てるのかオイ。」

 

「かぁぁぁつ!!!」

 

 

 

――バッシィィィィィン!!!

 

 

 

うおわ!想像以上に痛いな此れは?

だが、完璧にやってるように見えて実は寝てるって其れは良いのか?普通に活を入れるべきじゃないのかと思うのだが、その辺は如何なのだろうか?

と、今の坊さん、刀奈の方に行ったが、流石に寝てる事に気が付いたかな?

 

 

 

「皆さん、一度禅を解いて彼女を御覧なさい。

 彼女の意識は、今此処には無く宇宙の彼方にある、正に『無』であると言えるでしょう……皆さん、彼女を見習いましょう。」

 

 

 

――ハイパー・アルティメットバーァァァァァァァァスト!!!

 

 

 

IS学園所属の人間が揃ってずっこけたのは絶対に悪くない……と言うか、何を言ってるんだ此の坊さんは?

禅を組んだ状態で眠っている刀奈の事を見習えと言うって、禅寺の坊主として其れで良いのかと突っ込みたい気分だ……突っ込んだら、確実に一発喰らうだろうから言わないがな。

だが、刀奈のおかげでコツは掴めた……無我の境地とはつまり、己の自我を極限まで薄くし、無意識の状態に意識的に持って行く事だ――そして、其れに至れば、意識するよりも先に身体が反応する事になるとも言える。

無我の境地に至る事が出来れば、あらゆる危機を無意識に回避する事が出来るのかも知れん……正に、リアル『身勝手の極意』だな。

 

そんなこんなで1時間の禅を終えた訳なんだが、胡坐とは違う禅の形は結構辛かったんじゃないかマリア?

 

 

 

「正直な事を言うと、何度か足が攣りそうになったわ……日本の作法は理解していたつもりだったけど、まさか正座よりも厳しいモノがあったとは。

 だけど、この禅のおかげで忍耐力は強くなったように思うわよ夏姫。」

 

「そうか。

 何か1つでもプラスになった事があるのならば、禅の体験も無駄ではなかったろうさ。――其れで楯無、禅修業の略全てを寝て過ごした感想は如何だ?分かり易く言ってくれ。」

 

「木星に到着した夢を見ていたわ……あの時、私の意識は間違い無く宇宙に行っていたと、そう断言できるわ夏姫。」

 

 

 

うん、普通に意味が分からん。

分からないが、お前の意識が完全に身体から離れていたと言う事だけは分かった……時に木星って言うのは相当大きな惑星なのだが、お前が夢で見た木星は、如何程の大きさだったんだ楯無?

 

 

 

「端的に言うのなら『凄く大きいです!』と言う事になるのだけれど、アレと比べたら地球は豆粒ね?

 木星の特徴でもある『大赤班』は、地球が3個入る大きさとの事だけど、其れは決して誇張じゃないと思ったわ……アレは迫力がハンパない感じだと言っておくわ。」

 

「うん、よく分かったよ楯無。」

 

刀奈が体験した事が真実だと知れば、禅とはすさまじいモノだ――人の意識を宇宙に飛ばす事が出来るのだからな。

まぁ、其れは其れとして、精神を集中した事で、感覚が鋭くなったのは間違いない……今のアタシは、ニュータイプをも凌駕した感覚を持っていると言っても過言ではないからね。

 

箒のチョイスで禅寺に来たが、此れはある意味で最高の選択だったのかもしれないな。

 

 

 

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禅寺での禅修業を体験した後は、地主神社や、京都の伏見稲荷を回る、神社仏閣巡りをして午前中の部は終了だ。

地主神社の『恋占いの石』を見事に達成したアタシと刀奈と箒は流石と言うべきなのか如何なのかコメントに困るところだな正直な話として……まぁ悪い事ではないから、達成できたと言うのは誇る事なのだろうけれどな。

 

そんな感じで午前中を過ごし、今は良い感じにレトロな雰囲気の洋食屋でランチタイム。

修学旅行的には京都名物をと言う所なんだろうが、京都に来たからと言って必ず京都名物を食べなければならないと言う訳でもないし、ホテルの料理が結構豪華だから、少し庶民的な味を楽しみたいと言う気分でもあるしね。

 

それにだ、こう言ったレトロな雰囲気の隠れ家的な店と言うのは美味しいと相場が決まっているから、この店も立派に京都名物と言えるだろうさ。

頼んだメニューはと言うと、アタシがチキン南蛮定食、刀奈が生姜焼き定食、マリアが牛カツ定食、箒がミックスフライ定食で静寐がエビカツ定食。エビフライではなく、エビカツな所に店の拘りを感じるな。

あとは単品で、皆でシェアできるフライドポテトに鶏の唐揚げ、ソーセージの盛り合わせだ。

 

 

 

「夏姫、チキン南蛮一切れ頂戴?」

 

「良いぞ。代わりにエビカツ1つ貰うな。」

 

「箒ちゃん、生姜焼き1枚とカキフライ交換しない?」

 

「生姜焼きとカキフライでは私の方が損をするので、此処はイカフライで納得してください。」

 

「く……カキフライのレートは生姜焼き1枚で買えるモノじゃないのね……」

 

「其れじゃあカキフライは、私の牛カツと交換で如何かしら箒?」

 

「牛とカキならばつり合いも取れよう。持って行くと良いぞマリア。」

 

 

 

で、こう言うランチではおかずの交換が出来るのも良い。全員が定食を頼んだのもその為だしね。

しかし、この店は思った通り『アタリ』だったな?大衆的な味でありながらも、アタシ達が頼んだメニュー全てが高レベルの味だった……アタシのチキン南蛮は皮はパリパリで肉はジューシー、タルタルソースも抜群だったし、刀奈の生姜焼きはご飯に合うようにやや濃いめの味付けだったが醤油ベースの生姜ダレが豚のロース肉とベストマッチ。

マリアの牛カツも、衣はサクッと、肉は良い感じのミディアムレアでかかっていたソースがまた絶品だったし、箒のミックスフライ定食も衣はサクサクでありながら素材の味を殺さない見事なモノで、静寐のエビカツは、すり身のエビとすり身でないエビの食感の違いが凄く美味しい。

単品で頼んだメニューも、ポテトはサクサク、唐揚げは衣はカリッとでも肉はジュワっとジューシー、ソーセージも皮はパリッとだが、中身は肉汁タップリのジューシー仕様で満足だ――特に、ホットな辛さを感じさせてくれるのに、決して強烈な辛味を感じさせないチョリソーには脱帽モノだわ。

これだけの定食と単品メニューが全て1000円未満でと言うのは驚きだ。一番高いマリアの牛カツ定食でも税込み980円だからね。

 

「個人的な意見として、この店を京都の名所に登録したい気分だ……知る人ぞ知る名店と言えば聞こえがいいかも知れんが、アタシ的にこれ程の店が埋もれていると言うのは放っておけない気分。」

 

「だろうと思って、頼んだメニューを写真に撮ってSNSにアップしといたよ夏姫。」

 

「GJ、よくやってくれた静寐。」

 

 

 

こう言った店はもっと流行るべきだと思うのはアタシだけなのだろうか?

『本格イタリアン』と銘打っておきながら、日本生まれのナポリタンを提供する店よりも流行るべきだと思うんだが……だからこそ、知る人ぞ知る名店なのかも知れないな。

 

さて、午後はお待ちかねのシネマ村だ。

如何やら、貸衣装で仮装する事も出来るみたいだ……個人的意見として、箒は流浪人風の女剣士一択だな。分かり易く言うのなら、ギルティギアXの梅喧だ。

 

 

 

「あ、箒ちゃんは此れ一択だわ。」

 

「髪型もポニテだしイケてると思う……箒は隻腕隻眼じゃないけど。」

 

「黒髪の梅喧……アリね。」

 

「私に選択肢はないのか?」

 

 

 

諦めろ箒。サムライガールのお前の衣装は自然と決まってしまうモノだ――其れも、バッチリと似合うモノにな。

学園祭の時の黒髪シグナムもハマっていたから、多分黒髪の梅喧も可成りイケてると思うぞ?其れこそ、一夏が見たら即刻メロメロ状態になってしまう事間違いなしだ。

 

 

 

「一夏が?……ならば、それで行くのもいいかもしれないな。」

 

 

 

はい、箒は女剣客決定。

其れは其れとして、アタシは何の衣装にしようかな?……今此処で決める事もないだろうから、シネマ村に着いてから決める事にしよう――恐らくだが、衣装は無数にあるだろうからね。

 

 

 

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そして、やって来ましたシネマ村。

如何やら一夏達も班別行動でシネマ村に来る事にしていたみたいで、バッチリとエンカウント。――一夏の班は一夏と鈴と乱とティナだった。

折角だから、一緒にシネマ村を回る事にして、今は貸衣装に着替え中。

此処をこうして、良し出来た。

 

更衣室を出れば、既に一夏の姿があったんだが、此れは予想外だったな?

てっきり無難にサムライの衣装かと思ったが、まさか修行僧の衣装とは思わなかったぞ一夏?――数珠を首から下げて、錫杖を手にした姿が中々様になってるじゃないか?

 

 

 

「そうか?

 でも、そう思って貰えたのなら思い切った甲斐が有ったぜ――でも其れは其れとして、夏姫姉と楯無さんは、何ていうか凄いよな?」

 

 

 

まぁ、そう思うのは当然だな。

アタシと楯無の衣装は女忍者、所謂『くノ一』なんだが、アタシも刀奈も鎖帷子を着込んでるとは言え、その上に着る忍者装束は胸を隠す衣装と、腰回りのミニスカートで、後は首に巻いたマフラーだけだから、セクシーなのは否定できんさ。

学園唯一の男子であるお前には、少し目の毒だったか一夏?

 

 

 

「ふ、俺を甘く見るなよ夏姫姉?俺は悟りを開いたぜ……くノ一の色香に惑わされたりは……するわ!!!」

 

「するのか!!」

 

「鈴と箒がいなかったら確実にな。」

 

「嫁が居るから惑わされないと、つまりそう言う事か……嫁自慢が悪いとは言わないが、程々にしておけよ?――と言うか、普通に考えたらお前は何時後ろから刺されてもおかしくないリア充だからな?

 全国のモテない男子に土下座してお詫びしても罰は当たらんだろうさ。」

 

「俺ってリア充なのか?」

 

 

 

極上クラスの美女を2人も彼女にしておいてどの口が言うかこのスットコドッコイが。

お前がリア充でなかたっらこの世の全ての男子が非リア充になってしまうと言う事を自覚しろ――お前は最高の嫁さんを2人も貰った果報者だと言う事をゆめゆめ忘れるなよ一夏?お前は完全に勝ち組なのだからね。

 

 

 

「おうよ……にしても、改めて見るとIS学園は美少女揃いだよな?」

 

「其れに関しては否定する要素が見当たらないな。」

 

本当に狙ったようにIS学園には美少女が集まっているからね。

そして、そんな美少女達がシネマ村で貸衣装に着替えてのコスプレとなれば相当なモノだろう――最大限にぶっちゃけて言わせて貰うのなら、コミケでのコスプレなんぞ目じゃないレベルだ。

実際に着替えた皆は凄かったからね。

 

箒は洋食屋で話していた通りの黒髪梅喧と言う感じで、静寐は新選組の剣士、マリアは花魁、鈴と乱はアタシと刀奈とは違うくノ一の衣装で、ティナは元気一杯の町娘と言った出で立ちだ。

 

さて、着飾った嫁達を前にして、お前は何を思う一夏?

 

 

 

「我が人生に、一片の機悔い無し!!悔いなんてねぇよ本気で!!

 女剣客の箒と、くノ一の鈴って、本気で俺を殺す気か……だが、その2人に殺されるのならば俺としてはある意味で本望だ――愛した女の手で人生のピリオドを打たれるってのは、ある意味で男の理想だからな。」

 

「成程、そう来たか。

 だが、勝手に昇天されては迷惑なので、意識は保っておいてくれ……今や唯一の『IS男性操縦者』となったお前に何かあったとなれば、略確実に面倒な事になるのは目に見えているからな。」

 

「ウッス、肝に銘じとくぜ夏姫姉。」

 

「是非とも銘じておいてくれ。」

 

寧ろ、今の今まで、ハニートラップ的な事が無かったのが不思議でならないからな……尤も、ハニートラップを仕掛けた所で、一夏には鈴と言う嫁が居たし、タッグトーナ―メントの際に新たに箒が嫁に加わったからハニトラは失敗に終わる事が目に見えているのだけれどね。

 

其れは其れとして、今はシネマ村を楽しむとしようじゃない――

 

 

 

――キュピィィィィィィン!!

 

 

 

「!!!」

 

此れは、この感覚は……!!お前か、イルジオン!!

 

 

 

「此れは此れは、奇遇だなオリジナル?お前も此処に来ていたのか……何やら運命を感じてしまうな。」

 

「アタシは微塵も運命などと言うモノは感じないがな……と言うか、何の目的で現れたんだお前は?――まさかとは思うが、此れだけ人が集まっている場所で何か事を起こそうとしてるんじゃないだろうな?

 もしもそうならば、此方も相応の対応をしなければならなくなるが……」

 

「そういきり立つな、今はお前達に何もしない……私は京都観光をしていたに過ぎん。

 この前の戦いで、篠ノ之散は腕を斬り落とされた事で再生には時間がかかるし、私以外のメンバーもメンテナンス中だから、お前達が京都に居る間は手を出す心算は無い……信じるか信じないかはお前達次第だな。」

 

「アラアラ、其れはまた言ってくれるわねぇ?

 信じるか信じないかは私達次第……其れって、私達が信じないって判断した場合は、貴女は如何するのかしら?」

 

「如何もしない。この場から立ち去って、お前達が居なくなってから改めてシネマ村を堪能させて貰うだけだ。」

 

 

 

そう来たか……普通ならば警戒する所なのだろうが、イルジオンが嘘を吐いている様には見えん――そもそもコイツが無意味に嘘を吐くとも思えんし、一昨日の戦闘でも此方の提案に乗って京都の町に被害が出ないように高高度で戦った事を考えても、あの馬鹿共と違って無意味に破壊行為を行うとは考え辛いか。

良いだろう、取り敢えずお前の言う事は信じるとしよう。それで、お前は態々アタシ達の前に姿を現して何がしたいんだイルジオン?

 

 

 

「特別何も。

 強いて言うのならば、お前と共に過ごしてみたいと言った所だよオリジナル――否、夏姫よ。」

 

「ふん、漸く名前で呼んでくれたか……正直な事を言わせて貰うのなら、オリジナルと呼ばれるのは余り良い気分ではなかったんだ。」

 

だが、其れは其れとして、お前の言う事が真実であるのならば、修学旅行中はもう襲撃は無いと思って良いのか?――確かに初日にこっぴどくヤッテやったが、だからと言って襲撃が無いとは思えないのだが?

 

 

 

「其れについては信じてもらうしかないと他に言いようが無いのだが……少なくとも京都にいる間はもうお前達に手出しはしない。しないと言うよりも出来ないと言うのが正しいがな。理由は先程話した通りだ。

 まぁ、修学旅行後はまた何かをするだろうけれどね……教授もアタシ以外の面子のメンテナンスをしながら何かを企んでいる筈だ――間違いなく碌でもない事だろうがな。

 だが、だからこそ、この僅かばかりの平穏な時間をお前と共に過ごしたい……ダメか、夏姫?」

 

「そんな事を聞いたら、ダメとは言えんだろうイルジオン……今この時は、お前を歓迎するとしよう――シネマ村を共に楽しむとしようじゃないか?」

 

「いぃ!?マジかよ夏姫姉!」

 

「あぁ、本気だ一夏。

 其れにだ、何かあった所で此れだけの面子が揃っているなら対処は出来る……だから安心しろ、今はシネマ村を楽しむ事に集中すべきだろう?」

 

「まぁ、夏姫の言う事にも一理あるわね~~?な~~んか妙な感じだけど、敵対の意思がないなら良いんじゃない?」

 

「そう言う事だ鈴。」

 

折角観光に来たんだから、楽しまなければ損∞³(損インフィニティキュービック)だからな。――そう言う意味では、此処でアタシ達と会ったのは幸運だぞイルジオン。

良くも悪くも、お前はシネマ村の空気をこれでもかと味わう事になるからな。

予想外のエンカウントがあったが、班別行動の午後も、楽しむとしようか?……楽しめなかった修学旅行なんてものは、洒落にもならないからな。

シネマ村、堪能させて貰おうじゃないか?――此処が修学旅行最大の舞台になるのは間違いないからな……精々、踊らせて貰うとするさ。

 

予想外の出会いだったが、予期せぬダンスパートナーと躍ると言うのも存外悪い物ではないからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:イルジオン

 

 

頃合いを見計らってオリジナルに接近したのだが、気付かれてしまうとは……まぁ、当然と言えば当然か。

私とオリジナル――夏姫は一卵性の双子の様なモノ、互いに相手の存在を感覚的に捕らえる事が出来るのだからね……この感覚は、ある意味で高性能レーダーよりも正確かも知れん。

 

「其れにしても、京都の歴史的な建物も素晴らしかったが、こう言う娯楽施設と言うのも面白そうだな?

 休暇はまだあるし、京都を一通り楽しんだら大阪まで足を延ばしてUSJとか言う所に行くのも面白いかも知れん。」

 

「休暇をどう過ごすかはお前の自由だが、其れで良いのかテロリスト?」

 

「大丈夫だ問題ない。」

 

「まさかの返しに驚きだ……しかしまぁ、お前達の組織も大変だな?

 一秋や散みたいのを使わねばならないとは、余程人材不足なのか……其れとも、教授とやらは余程歪んだ性格をしているのか?あんな奴等を手駒として使うなど、正気の沙汰とは思えんぞ?」

 

「マッタクだぜ。

 俺だったらアイツ等の事を使おうとは絶対に思わないね。」

 

 

 

其れについてはお前達と同感だ夏姫、蓮杖一夏。私も教授が何を思ってアイツ等を手駒にしたのか――一秋は織斑計画で生まれたモノだから、未だ許容できるが、散に関してはマッタク謎だ。

それとだ、教授の性格はハッキリ言って相当に悪い。其れこそ病気レベルで悪い……本気で一度医者に診てもらった方が良いレベルだ。

 

 

 

「「「「「「「「「其れドレだけ?」」」」」」」」」

 

「相当に酷い。人としての倫理観が完全に欠如している。

 拾って貰った事、そしてライブラリアンは私と教授で組織したモノだと言う事が無ければ、絶対に一緒に居ようとは思わないな。」

 

「……お前、結構苦労してるんだな?」

 

「まぁ、ある意味でもう慣れたけれどね。」

 

其れは其れとして、今は共にシネマ村を楽しもうじゃないか。

血の匂いのする戦場でしか会った事のない私達だからこそ、こんな普通の場所で普通の事をするのも良いとは思わないか?今はノーサイドだろ?

 

 

 

「その意見には反対する理由がない、少なくとも今はな。

 と言うかイルジオン、お前その格好でアタシ達とシネマ村を回る心算か?」

 

「その心算だったのだがオカシイか?

 服装には結構気を使ったから、オカシナ服装ではないと思うんだが……まぁ、黒主体のコーディネートだから華やかさに欠けるのは仕方ないが。」

 

「そう言う事じゃなくて、夏姫姉が言ってのはお前は貸衣装に着替えないのかって事だよ。

 折角シネマ村に来たのに、私服のまま回るんじゃツマラナイだろ?要するに、俺達みたいに着替えて来いって言う事だ。」

 

「あぁ、成程そう言う事か。」

 

確かに、此のコスプレ集団の中で、私だけが私服で居ると言うのは浮いてしまうな……ふむ、ならば私も貸衣装を借りて着替える事にしよう。其方の方がよりシネマ村を楽しむ事が出来るだろうからね。

 

 

 

「待っていてやるから着替えてこい。

 色々な衣装があるから、じっくりと選んでから決めると良いさ。」

 

「あぁ、そうさせて貰うが、なるべく待たせないようにする。

 待つのも待たせるのも、あまり好きではないのでな――どんなに長くても5分で戻る。」

 

「良い心掛けだが、一昨日の夜にガンガン遣り合った事を考えると、どうにも妙な気分だな此れは……戦場で戦った相手とシネマ村で過ごす事になるとは、思っても居なかったぞ?」

 

 

 

ふ、そう言うな篠ノ之箒。今は停戦状態なのだから、敵も味方もないだろう?

其れに、私は今までこんな所に来た事は無かったから、どうせならば見知った顔と一緒に過ごしたいと思ってね……だから、今この時だけは純粋に楽しませて貰うとするさ。

 

きっともう、二度とこんな機会は訪れないだろうからね――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 

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