Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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何だかんだで80話まで来たな?By夏姫      80話は通過地点よ!By刀奈     先ずは、100話目指してだなBy一夏


Break80『並行世界、先ずは模擬戦だぜ!』

Side:夏姫

 

 

今目の前で起こった事を簡潔に纏めるなら、『この世界の鈴がアタシ達の世界の鈴の胸が大きい事に嫉妬する』→『アタシ達の世界の鈴が貧乳脱却の理由を語る』→『アタシ達の世界の箒が追撃でダメージを与える』→『こっちの世界の箒と鈴がブチキレてワンサマーに攻撃』→『其の暴挙を、アタシ達の世界の鈴と箒が阻止』→『少しばかり口論した挙げ句に何故か勝負をする事に』←今此処。

 

マッタク持って、頭痛薬が欲しくなるとはこの事か?

一夏の情事に逆上するだけでもお門違いだと思うのだが、其れを聞いて一夏に殴りかかるのならばまだしも、全く関係ないワンサマーに殴りかかると言うのは流石に見過ごせん。……にも拘らず、貴女は傍観を決め込むのか千冬さん?

 

 

 

「あれ位の刺激があった方が織斑にもプラスになる……咄嗟の事態に対処できないようではどうにもならんからな。」

 

「アンタ、本気で言ってるのか其れは?」

 

だとしたら、今すぐ教師を止めた方が良い。

あの一撃は、クリーンヒットしていたら間違いなくワンサマーは脳天をカチ割られて病院送り……下手をすればそのままお陀仏になっていたかも知れないのに、貴女は其れで済ますのか?

それ以前に、理不尽な理由でアタシ達に勝負を吹っ掛けて来た事に関して、何も言う事は無いのか?

 

 

 

「私が教師を続けるか否かは私が決める事だから、貴様にとやかく言われる事ではない。

 其れに、勝負其の物は良い訓練になるだろうから、止める理由がない……勝っても負けても、得るモノは少なくないだろうからな――並行世界の人物との模擬戦など中々出来るモノではないから貴重な経験とも言えるしな。」

 

「その考えは大間違いと言う程は間違ってないが……考え方が強引過ぎないか?」

 

それ以前に、アタシ達の事を踏み台にしようとしているのが見え見えなんだが……誰が、ザク未満の性能の無人機に手こずる奴の踏み台になってやるものか。

寧ろ圧倒的な実力差を見せつけて、心を折らせて貰うわ……この手の輩は、一度完全に心を折ってやらないと分からないのがお約束みたいなモノだからね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break80

『並行世界、先ずは模擬戦だぜ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

模擬戦をやる方向で話が進んで居るし、やれと言うのならばやってやるだけだ。……どんな結果になった所で、責任は持たないけれどね。

そもそもにして、吹っ掛けて来たのはそちら側なのだから……やる以上は、相応の覚悟後しておいて欲しいものだな。

 

 

 

「私と簪ちゃんはその試合、辞退させて貰うわ……負ける戦いを、態々する趣味は無いからね。」

 

「今の私とお姉ちゃんじゃ、向こうの世界の私とお姉ちゃんには勝てない……さっきの戦闘で、其れを痛感したから、今回は辞退させて貰うよ………」

 

 

 

だが、土壇場でこっちの世界の更識姉妹は模擬戦を辞退――実力差を感じ取って、身を退いたと言う事か……まぁ、悪くない判断だ。

避ける事の出来ない戦いならば兎も角、任意で行う模擬戦で『勝てない相手に挑む』のは愚かの極みでしかない。そもそもにして、模擬戦は実力がある程度近い者同士で行わなければ効果も上がらないからね。

だが――

 

 

 

「ちょっと!楯無さんも簪も、戦わないで逃げるって言うの!?」

 

「敵前逃亡などもっての他!恥とは思わないのですか!!」

 

「アラアラ、相手との実力差を理解して身を退くのも時としては大事な事よ?……其れも出来ないようじゃ、只の猪武者になってしまうわ。」

 

「私もお姉ちゃんも恥晒しの愚か者になる心算は無いから。」

 

 

 

こっちの世界の箒と鈴……面倒だからモップとスズと呼ぶ事にするが、コイツ等は本気で阿呆か?……楯無さんと簪君(簪だと分かり辛いのでこう呼ぶ事にした……ちゃん付けはアタシのキャラじゃないしな。)は逃げたんじゃなくて、実力差を理解した上で辞退したんだ。

其れを敵前逃亡と罵るとは、恐れ入る。

2人の反論にモップもスズもその他もまだ何か言ってるみたいだが、2人は無視を決め込む事にしたみたいだな……はぁ、誰か頭痛薬をくれ。

 

 

 

「だよなぁ……ぶっちゃけ引いたわ。」

 

「あぁ、俺もちょっと引いた……無茶苦茶にも程があるだろ此れは……」

 

「一夏とワンサマーもそう思ったか。」

 

「そりゃ思うって……ってか、ワンサマーっての止めてくれないか?……なんて言うか、物凄く馬鹿にされたって言うか、舐められてる様な感じがするから、別の呼び方が良いかなって。」

 

 

 

む……ワンサマーはお気に召さないか。

ダイレクトに英訳したモノだから行けると思ったんだが、ダメだったか……とすれば、如何したモノだろうか?アインは一夏のコードネームだから易々と使える物ではないし、ワンだと犬みたいだから此れもダメだろう?ナツと言うのもマドカが一夏の事を『ナツ兄さん』と呼ぶ事を考えると矢張りダメだから、さて如何した物かと思うのだが……いっその事ストレートに『イチ』でどうだ?

 

 

 

「イチか……ワンサマーよりもそっちの方が良いなうん。

 なら、そっちの俺の事は『ナツ』って呼んでも良いか?」

 

「構わないぜ。マドカも俺の事『ナツ兄さん』って呼ぶから、別に違和感ねぇし。」

 

「イチとナツ~~~?何だか~、双子の漫才師みたい~~~?」

 

「それなら~、漫才コンビ『オリムー&イッチー』の方がよくな~い?」

 

 

 

……こっちの一夏の呼び名はイチで落ち着いたが、この状況でも平常運転のダブルのほほんさんは、楯無達が言っていたように、本気で大物なのかも知れないな?人は見かけによらないと言う事か。

で、模擬戦をやるとしても何処でやるんだ?

 

 

 

「アリーナで良かろう。

 幸いにも、貴様等が介入してくれた事で戦闘は即終わったので、被害は殆どない状態だからな……時間も惜しいから、さっさと移動するとしよう。」

 

「アリーナでか……妥当と言えば妥当だな。」

 

アリーナが使えない状況ならばと思ったが、如何やらアリーナは普通に使用できる状態らしいから、模擬戦の回避は完全に不可能になった訳か。

果てさて、どうなる事やらだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏(IB)

 

 

そんな訳で模擬戦をする為にアリーナに移動中――その前に、学園長に報告に行ったんだが、意外にも俺達の事は驚く程アッサリと信じて貰う事が出来た。

千冬さんが一応の説明をして、楯無さんが補足説明をしただけじゃ無理だったかもしれないが、束さんが一枚噛んでいる……と言うか、略100%束さんがやらかしたと言う事実が決定打になったらしい……この世界でも『束さんなら……』で大体納得されるのはデフォなんだな。

 

 

 

「なぁ、ナツ。幾つか聞きたい事があるんだけど良いか?」

 

「おう、答えられる事だけで良ければな。」

 

んで、移動中にイチと雑談してたんだが、聞きたい事があると来たか……この世界の箒達はレギオンの面子を挟んで最後尾に居るから、会話を聞かれる事がないと思ったのかもな。

因みに、雑談の中で知った事だが、事の顛末や内容に差異は有れど、俺達の世界で起きた事件は、こっちの世界でも大体起きてたみたいだ……それはまぁ良いんだが、話を聞いて思ったのは、アイツ等がイチに惚れてるのは略確定で、モップとスズは昔馴染みだからまだ分かるが、セシリアとデュノアとラウラがチョロ過ぎねぇか?

特にセシリアとラウラ!思いっきり敵視してた相手に、コロッと傾くとかどんな脳味噌してんだって話だろ!一目惚れとして納得しろってのも無理があるわ本気で!……大丈夫かこの世界本気で?

尚、こっちの世界の天災は、未だに目を回してたから、束さんがワイヤーでぐるぐる巻きにしたまま引き摺ってる……同一の存在でも、世界が違うだけで随分と差があるもんだぜ。

 

 

 

「今更かもしれないけど、お前のその顔の傷痕如何したんだ?其れだけハッキリと跡が残ってるって可成り深い切り傷だったんだよな?」

 

「あぁ、コイツは第2回モンド・グロッソの時に誘拐された時にな……誘拐されてヤバい状況だったってのに、取り乱さずに冷静だった俺にムカっパラが立ったみたいで、主犯格の女がISのブレードでバッサリとな。」

 

「俺も誘拐されたけど、其処まではされなかったぜ!?

 ……って言うか、あの状況で冷静でいられるとか、凄いなお前?」

 

「……ガチでブチ切れた千冬さんよりも怖いモノはこの世にねぇだろ?……姉弟ではなくなったとは言え、ガチでブチ切れたあの人は、ぶっちゃけ閻魔ですら逃げ出しても不思議じゃねぇと思うからな。」

 

「あ、言われてみれば確かに。」

 

 

 

だろ?

其れと比べれば、誘拐犯なんぞハナクソでしかねぇっての……特に主犯格の女は、典型的な女尊男卑で、中身がないくせにピーピー騒ぐヒステリーなケバイ姉ちゃんだったからな……恐れる理由がねぇって。

 

 

 

「……俺もあの時、ブチ切れた千冬姉を想像してたら冷静でいられたのかもな。――で、その髪の色は?俺とは違うよな。」

 

「此れは束さんがやってくれたんだ。

 夏姫姉と姉弟になった時に、束さんが作ってくれた薬で、髪の色を夏姫姉と同じにしたんだよ……一秋のクソ野郎と同じ色ってのも嫌だったしな。」

 

「その一秋ってのは、そんなに酷いのか?」

 

 

 

酷い所じゃなくて最悪だ。

自称天才の俺様野郎で、他人の努力を見下してマウンティングは普通な上に、テメェが勝つ為なら人の道に反した事でも平気でやりやがるし、テメェの実力不足は認めないで、負けたら相手にいちゃもんを付けるような奴だ。

更には、臨海学校の時には夏姫姉を殺しかけやがったからな。

 

 

 

「うわ、マジで最悪だ……お前が織斑を捨てたのが分かる気がするぜ……俺だって、そんな奴と一緒に居たくねぇからな。

 そんじゃ次の質問……お前、マジで鈴と箒の2人と付き合ってるのか?」

 

「其れは……マジだな。」

 

最初は鈴とだけで、IS学園入学したその日に箒に告られて、其れは振ったんだが……学年別タッグトーナメントの時に、鈴が『箒だけは一夏の嫁として認める』ってな事を言った上に、後日『箒もアンタの嫁にしようよ』って言ってきてな?

俺としては、如何したもんかと思ってたんだが、最終的に『箒もアンタの嫁にしろ』って言われたら断れねぇだろ?……何だかんだで、俺も箒の事は好きだったからな――其れこそ、鈴が居なかったら最初から箒と付き合ってたかもだから。まぁ、夏姫姉に『1人の女性しか愛してはいけないと誰が決めた?』って言われたのもあるけどな。

 

 

 

「お前の姉貴、色々スゲェな……しかし嫁2人って、弾が知ったら発狂しそうだ。」

 

「因みに俺達の世界の弾は、虚さんと絶賛ラブラブ状態だ。」

 

「マジか!?……因みに数馬は?」

 

「其れ誰だっけ?」

 

「ですよねーーー!?やっぱり数馬は空気か!!」

 

 

 

数馬の存在感が薄いのは、この世界でも変わらないらしいな……弾と違ってアニメにも未登場だから存在感が薄くなるのは仕方ないが、強く生きてくれ、友よ。

……って、アニメって何だアニメって。妙な電波受信しちまったぜ。

ふぅ……今度は俺から質問しても良いかイチ?

 

 

 

「んあ、良いぜ?」

 

「お前さ、自分に向けられてる好意は自覚してるか?」

 

夏姫姉が命名したモップとスズは言うまでもなく、セシリアとデュノアとラウラも、明らかにお前に惚れてると思うぞ?……楯無さんと簪は如何か分からないけどな。

其れ位は分かってるよな?

 

 

 

「分かってる。分かった上で気付かないふりしてるんだよ。」

 

「何でだよ?誰かと付き合おうとは思わないのか?」

 

「思わなくはないけど、俺が誰か1人を選んだら、絶対に選ばなかった奴から『なんで自分を選ばないんだ!』って攻撃されるのは火を見るよりも明らかだからな……そんな事になる位なら、気付かないふりして微温湯の関係を続けてた方が良いっての。

 其れに、正直な事言うと箒、鈴、セシリア、ラウラ、シャルには恋愛感情が湧かないんだ……アイツ等の事はダチ公より上には見れないぜ。」

 

「あぁ、そう言う理由なら仕方ねぇな。」

 

だが、今お前が言った事と、さっきのモップとスズの行動で確信した――イチ、お前アイツ等から日常的に暴力を振るわれてるな?……いや、確実に振るわれてるだろ。

さっきのモップとスズの行動は、殆ど脊髄反射と言っても過言じゃなかったが、あんな事が反射的に出来るってのは、日常的にお前に暴力を振るってたからだ……思い当たる節があるんじゃないのか?

 

 

 

「言われてみれば、俺がアイツ達の望む答えをしないと、その都度暴力を振るわれていたような……時には、ISを使って。」

 

「いや、IS展開はヤバいだろ流石に。」

 

無論俺達だって授業や戦闘時以外でもISを展開した事がない訳じゃないけど、其れはスパイ行為を行おうとしたブリーズを拘束する為の部分展開だったり、と限定的な状況だぜ?

でも、不必要にIS展開させて暴力揮うって、正気かよ?しかも、その理由が自分の望む答えを返さなかったってのは、幾ら何でも理不尽過ぎるだろ?

……如何考えても、モップやスズ達は『自分の理想』をイチに押し付けてるようにしか思えないぜ……『織斑一夏』本人じゃなくて、『理想の織斑一夏』じゃないと気に入らないってところだろうな。マジで笑えねぇっての。

こう言ったら何だけど、お前よく今まで生きてたな?普通なら何時殺されてもオカシクねぇ環境だろ其れ。

 

 

 

「まぁ、そうなった時は大抵の場合千冬姉が騒ぎを聞きつけて、全員を強制的に黙らせたけどな……何故か被害者である筈の俺まで殴られたけど。」

 

「うん、不条理だ。」

 

何で被害者まで殴られにゃならんのか……お前、逃げようとは思わなかったのかイチ?

 

 

 

「逃げたくても逃げられる状況じゃないからな。

 外出するには許可が居るし、自主退学しようにも其れは絶対許されないからな……其れに、暴力は振るって来るけど、心底悪い奴じゃないと思うから突き放すのも如何かと思うしさ。」

 

 

 

……アカン、コイツ大分ヤバい状態だ。

暴力が日常的過ぎて感覚が鈍くなってるだけじゃなくて、DVから逃げられなくなってるDV被害者みたいになりかけてる。――DV被害者が、その状況から中々抜け出せないのは、逃げられないと思ってる事と、DV加害者が気紛れに見せる優しさに『此れは何時かは暴力がなくなるかも知れない。』って期待しちまうかららしいからな。

今のイチは、其れに近い状態にある……こりゃ、少しばかり荒療治が必要かも知れないな。

その為に、ちょいと聞いとくか。

 

「お前の事情は分かったが、お前的に更識姉妹と布仏姉妹は如何なんだ?あの4人も、恋愛感情は湧かないか?」

 

「え?行き成りだなオイ……恋愛感情かどうかは分からないけど、楯無さんと訓練するのは楽しいし、簪とは最初は険悪だったけど、今は蟠りもなくなって結構仲良いし、学園内で数少ない特撮とかアニメの話出来る相手だからやっぱり一緒に居ると楽しい。

 虚さんは頼れる先輩って感じで尊敬できるし、のほほんさんは……もう存在自体が癒しだマジで。」

 

「成程、其れだけ分かれば充分だ。」

 

少なくともイチは無自覚ではあるが、楯無さんと簪、虚さんとのほほんさんに対しては友情よりも上の感情を抱いてるのは略確定だ……後は、其れを気付かせてやればいい感じだな。

そう言えば、天災はまだ伸びてんのか?

 

 

 

「完全に伸びてるみたいだぜ?

 あの束さんを完全KOするとは、お前の姉貴とそっちの世界の楯無さんハンパねぇな?……つーか、リアルにキン肉マンの技が炸裂するとは思わなかったぜ。」

 

「だろうな。

 因みにだが、やろうと思えば夏姫姉はマッスルスパーク、楯無さんはマッスルリベンジャー出来ると思うぜ?」

 

「主人公とラスボスの必殺技もかよ!!」

 

「夏姫姉と楯無さんは、ちょっぴり人間辞めてるかもしれないからな。」

 

まぁ、夏姫姉はリアルに超人なのは内緒だけどな。

 

 

 

さて、そんな事をやってる間にアリーナに到着したんだが……モップとスズ達は、相変わらず鈴と箒達を睨みつけてるみたいだ――自分と同じ顔の相手に自分達の邪魔をされたのが相当に気に入らないらしいな。

そんで、模擬戦をやるにしても誰が誰とやるんだよ?俺はイチと、箒はモップと、鈴はスズとやるとして、セシリアとデュノアとラウラの相手は誰がするんだ?こっちのメンバーの方が多いから、相手は幾らでも居るけどさ。

 

 

 

「貴女の相手は、私が務めさせて貰っても良いかしら、セシリア・オルコットさん?」

 

「マリアさん?」

 

「違うのは髪の色と言葉遣いだけ……正直、貴女の事は容姿が似通っているだけの他人とは思えないのよ――だからこそ、私は貴女と戦いたい。

 この誘い、断りはしないでしょう?」

 

「……良いでしょう、私と躍りたいと言うのであれば、其れに応えるのもまた淑女の務め。

 セシリア・オルコット、貴女のダンスパートナーを務めさせていただきますわ――ですが、ダンスに誘ったのは貴女の方なのですから、エスコートはして下さるのでしょう?」

 

「ふふ、勿論よ。……最高のエスコートをして差し上げるわ、ミス・オルコット。」

 

「楽しみにしていますわ、ミス・レイン。」

 

 

 

先ずはセシリアの相手はマリアか。

他人とは思えないとか言ってたけど、実際にはマリアとセシリアは異次元同位体だからな……そう言う意味では俺や鈴や箒と同じく『並行世界の自分との戦い』って事になる訳だ。

となると、デュノアとラウラが誰と戦うかなんだが……

 

 

 

「私はお前との戦いを所望するぞ、蓮杖夏姫。

 お前だけは、私達の世界には居ない存在だ……故に、その実力が如何程なのか気になるのでな、相手になって貰う。――拒否はしないだろう?」

 

「拒否をする理由が無いからな……お前の望み通り相手になってやるが、如何なっても文句は言うなよ?アタシを選んだのはお前なんだからな。」

 

 

 

ラウラは夏姫姉を指名か……自ら負けフラグをドローしたな此れは。

この世界のラウラは、さっきの戦闘を見る限りじゃ、俺達の世界のラウラよりも上って事は無い……其れじゃ夏姫姉に勝つ事は100%無理だ――俺達の世界のラウラですら、夏姫姉には1度も勝つ事が出来ないんだからな。

 

ともあれ、此れでラウラの相手も決定。残るはデュノアだが……

 

 

 

「僕は、そうだな……鷹月さん、相手をお願いしても良いかな?」

 

「私?……うん、良いよ。」

 

 

 

デュノアは静寐を選択したか……うん、実に腹黒いなオイ。

この世界の静寐は専用機持ちじゃないみたいだから、其れを考えた上で静寐を選択したんだろうな……『こっちの世界では専用機持ちじゃないから並行世界で専用機持ちになってても勝てる』と思って。

いやぁ、下衆い考え方にぶっちゃけ引くぜ此れは……尤も、模擬戦が始まったら、その考えは間違いだったと思い知る事になるだろうけどよ――今は絶対に訪れる事のない幻の勝利に喜んどけだぜ。

 

取り敢えず、此れで誰が誰と戦うかは決まったんだが、最初に言っておくが、負けた理由を『機体性能の差』とか言うんじゃねぇぞ?ISバトルで勝負を分けるのは機体性能じゃなくて、パイロットの腕なんだからな。

 

 

 

「ハッ、言わないわよそんな事!!そもそもにして、アタシ達が負ける筈ないし!!そっちこそ、負けた時に言い訳を用意しないでよ?

 まぁ、勝つのはアタシ達で確定なんだけど、変な言いがかりを付けられたら堪ったもんじゃないからね。」

 

「誰が付けるかよ……其れよりも夏姫姉、録れた?」

 

「バッチリと録った。スマホに記録してある。」

 

「「うん、バッチリ録ったわ。」」

 

 

 

少し煽ってやったら、スズが見事に乗ってノリノリでかましてくれたから、その発言を夏姫姉が確りスマホで録音した――だけじゃなくて、ダブル楯無さんも確りと録音してたみたいだ。

流石は楯無さん、世界は違えどそつがないのは変わりないみたいだぜ。

 

 

 

「はは、世界が違っても楯無さんは楯無さんなんだな――なんか、凄く安心したぜ。」

 

「楯無さんは、あれがデフォなんだろうよ。」

 

まぁ、其れは今は置いておくとして、この模擬戦……先ずは俺とイチが戦わせて貰うぜ?――俺としては、先ずはイチの実力がドレ位なのかを知りたいからな。

其れに、お前も俺と戦いたいだろイチ?

 

 

 

「へへ……バレてたか。

 あぁ、俺はお前と戦いたいぜナツ……お前は俺よりも強いのは間違いないと思うけど、だからこそお前と戦う事で得られる物が有ると思うから、是非俺と戦ってくれナツ!!」

 

「良いノリだぜイチ……そんな訳で、先ずは俺とイチが戦わせて貰う……異論はねぇよな?」

 

「ない。

 あったとしても無視して黙らせるから、お前のやりたいようにやってみろ一夏……その結果がどうなろうとも、アタシはお前を責めたりしないからお前のやりたいようにやってみろ。

 だが、アタシは信じているぞ……お前なら己が望みを叶える事が出来るとな――だから、自信を持って行ってこい一夏。」

 

「そうよ一夏、全力で行きなさい!!」

 

「思い切り行け一夏!お前が負ける相手ではない!!」

 

 

 

――チュ

 

 

 

満場一致で俺が先陣を切る事が決まったんだが、まさか鈴と箒からダブルほっぺチューを貰うとは思わなかったぜ……だけど、嫁から最高の祝福を貰ったのに負けるとか有り得ねぇから、本気で行かせて貰うぜイチ!!

 

「来い、ストライク!!」

 

「俺だって本気で行くぜナツ!来い、白式!!」

 

 

 

そして俺もイチも自分の専用機を展開し、現れたのは相対する黒と白……正に対照的な機体だった。――何物にも塗りつぶされない黒の俺と、穢れを知らない白のイチか……笑っちまいたくなる機体色だぜ。

俺とイチは、絶対値を同じにしながらも別の存在って事なんだろうな……機体カラーを見ると、俺がマイナスでイチがプラスって事なのかも知れないけど、そんな事は今は如何でも良いんだ。

 

「イチ、精々俺を楽しませてくれよ?」

 

「楽しむどころか、もうやめてくれって言わせてやるぜ!!」

 

「やってみろ、俺は我慢強いからな。」

 

大事なのは、この模擬戦で何をなすかだからな……イチ、お前の自信を圧し折る事になるかも知れないが、悪く思うなよ?――其れは、お前に必要な事なのだからな。

取り敢えずまぁ、始めるとするか!!

 

 

 

「蓮杖一夏。ストライク、行くぜ!!」

 

機体を展開し、俺とイチは睨み合ってるんだが、イチからの睨みには一切の負の感情が見受けられなかったから純粋に、強者との戦いに気分が高揚してるって事なんだろうな。

 

なら、始めようぜイチ?

俺達の戦いで、派手な花火を打ち上げと行こうぜ?異論はないだろ?

 

 

 

「そうだな……派手に行こうぜナツ!」

 

「はっ!そう来なくっちゃなイチ!!」

 

次の瞬間、俺のエクスカリバーと、イチの近接ブレードが火花を散らしてかち合ってた……思ってたよりもいい反応だぜイチ――だからこそ、やり甲斐が有るってモンだぜ。

先ずはこの模擬戦でお前に全力を出させた上で、モップ共がお前と言う器に注ぎ込んだ『自分の理想』って言う汚泥を排除する――まぁ、汚泥を排除出来るかどうかは俺以外の面子の試合結果も重要なんだが、夏姫姉達が負ける事なんざ10億に1つも有り得ねぇから巧く行く筈だ。

取り敢えず、行くぜイチ!!最高のバトルをしようぜ!!

 

 

 

「望むところだ……本気で行くぜ!!」

 

「本気で来いよ……本気で来ない限り、俺に勝つ事は出来ないからな。」

 

 

 

――轟!!

 

 

 

次の瞬間俺とイチの闘気がぶつかってスパークが炸裂し、そのまま剣戟状態に突入したんだが悪くない太刀筋だ――全力で楽しむとしようぜイチ!

全力で戦った先に、見えるモノだってあるんだからな。

見せて貰うぜ、お前の本気ってモノを!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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