Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

84 / 123
普通に考えたら、コイツ等死刑じゃないか?By夏姫      死刑は兎も角、最低でも懲役100年は下らないと思うわBy刀奈


Break83『語られるは断罪の一撃なり!』

Side:夏姫

 

 

模擬戦はアタシ達の完全勝利の全勝で終わり、其れと同時に楯無さんが怒りの表情を浮かべて、『如何して自分がイチの護衛に就いたか』その理由を話す事になったな。

並行世界の存在とは言え、アタシも楯無の怒った顔を見るのは初めてだが……容姿の整った美人が本気で怒ると怖いと言うのが良く分かった。

今の楯無さんは笑っているが笑っていない、正に『暗部の長』とも言うべき表情を浮かべて居るからな……耐性のない人間が、此の楯無さんと対峙したら即刻失神失禁は間違い無いと思うな。

 

 

 

「……よっしゃー!出来たぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「「「「「「「「「!!!???」」」」」」」」」」」

 

 

って行き成り何事ですか束さん!!

 

 

 

「なっちゃんのドラグーンの不具合の解析&調整&強化が終わったんだよ!!……って、模擬戦はどうなったの?」

 

「其れは今し方終わりましたよ束さん……アタシ達の全勝にして完勝です。」

 

「あ、やっぱりそうだよね~~?なっちゃん達に比べたら、こっちの連中はレベルが低すぎるから、ぶっちゃけ勝負になる筈がないって思ってたよ。

 まぁ、模擬戦の結果については如何でも良いんだよ、予想通りだったからね。

 其れよりも、フリーダムのドラグーンの反応が鈍かったのは、なっちゃんの反応速度にドラグーンが付いていけなくなってた事が原因だったんだよ。

 なので、ドラグーンのインターフェースやら何やらを徹底的に改造して、ドラグーンの反応速度を、此れまでの数十倍に引き上げてみました!!

 此れなら、なっちゃんの反応速度にも充分付いて行けるでしょ?……序に、搭載されてるビーム砲塔を1門から2門に増やしちゃいました~~♪

 此れはもう、スーパードラグーンを超えたハイパードラグーンだね!!」

 

「調整するだけじゃなくて何魔改造施してるんですか、この天才兎。」

 

まぁ、ドラグーンの不具合が解消された上で強化されたと言うのは嬉しい事でしかないから、これ以上は何も言いませんけれどね。

束さんのせいでまさかの強制ターンエンドが来るとは思わなかったけど、逆に言うのなら束さんのおかげで不必要な緊張が吹き飛んだのも事実ではあるから、其れで相子にしておくか。

其れじゃあ改めて語ってくれ楯無さん……貴女が何故イチの護衛兼コーチになったのか、その理由を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break83

『語られるは断罪の一撃なり!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:楯無(並行世界)

 

 

並行世界からやって来た篠ノ之博士のせいで出鼻を挫かれる事になっちゃったけど、だからと言って私は私のやる事を成すだけだわ――出鼻を挫かれはしたけれど、だからと言って何が変わる訳でもないから遠慮せずに言わせて貰うわね。

 

「其れじゃあ改めて。

 一夏君、本当なら君には1学期から私が護衛として就く筈だったのよ……世界初の男性IS操縦者の希少価値は相当なモノがあるから、外部からの悪意から君を護る必要があったから。其れは分かるわね?」

 

「はい、其れ位は幾ら何でも分かりますって。

 てか、ISを動かしたあの日から、何処に行くにも必ず護衛って言って黒服グラサンでガタイの良い人が付いて来てくれましたからね……もしかして一国のお偉いさんって外を歩くときこんな気分なのかなって思いましたよ。」

 

「うっわぁ……其れってちょっとコンビニ行くとかの場合もだろ?可成りキツかったんじゃないのかイチ?」

 

「いや、見た目はおっかなくても良い人達ばっかだし、俺の愚痴も嫌な顔一つしないで聞いてくれたから多少窮屈な思いはしたけど、ストレスとかは感じなかったぜ?

 其れよりも、お前がIS動かした時はそんな事なかったのかよナツ?」

 

「あぁ、言ってなかったけど、俺がIS起動したのってISRIの中での事で、一秋の馬鹿野郎がIS動かすまでは俺の存在は秘匿されてたから、護衛とかそう言う事は無かったぜ。

 だけど、お前の場合は俺とは状況が違うからなぁ……今のお前の価値を言うなら、米国大統領なんぞ話にならない位の価値がある訳だから、近所に出掛けるにも護衛が付くのは仕方なかったんじゃないか?

 世界に1人しか居ないIS男性操縦者、其れは言うなれば世界に1枚しか存在しないステンレス製のカオス・ソルジャーよりもレアな存在だからな。」

 

「俺の価値は約10億!?

 アレ?でも、俺が其れだけ希少な存在であるにも拘らず、なんで楯無さんが護衛に就いたのが2学期からだったんですか?」

 

 

 

私が1学期から君の護衛に就く事は略確定していたのだけど、其れは土壇場でなくなってしまったのよ……原因は、織斑先生ね。

 

 

 

「千冬姉が?まさか、千冬姉が断ったのか!?」

 

「いや、私はそんな事はしていないぞ一夏!!」

 

「……千冬さんの言ってる事が本当だとすれば、他の誰かが――そうだな、『織斑千冬の信者』とも言うべき存在が、貴女のイチ護衛に異を唱えたと言う事か?」

 

「正解よ夏姫ちゃん。」

 

織斑先生を神格化して居る人は学園の教師の中にも少なくないわ……そんな彼女達が口々に言ったのよ、『千冬様のクラスに織斑一夏を入れれば良い。世界最強である千冬様が直々に守った方が安全だ。』とね。

確かに、織斑先生のネームバリューは絶大な物が有るし、織斑先生が目を光らせて居れば早々馬鹿な真似をする輩は現れないと思うけれど、教師と言う立場上、護衛と言う任務に向かない立場であるのもまた事実だったわ。

けれど学園長は、其処で強権発動して私を一夏君の護衛にしたら必ず反発が起きると考えて、1学期の間は織斑先生に護衛を任せる事にしたのよ。

織斑先生も、其れについては御存知ですね?

 

 

 

「無論だ。

 だが、だからこそ分からんのだ……何故お前が2学期になって一夏の護衛に就いたのか。」

 

「其れは此れから説明しますが……私が一夏君の護衛に就く事になった理由を考えると怒りを抑える事が出来なくなりそうなので、言葉が荒くなってしまってもご容赦願います。」

 

「あらあら、異次元同位体とは言え、私が抑えられなくなるってどれ程の怒りなのかしら?……もしかして、更識の当主としての仮面を維持出来なくなる程だったりするのかしら?」

 

 

 

えぇ、其れ位のレベルよもう一人の私。

織斑先生自らが一夏君の護衛に就いたのならば、少なくとも織斑先生の目の届く範囲でのトラブルは起こらないだろうと思っていたのだけれど、万が一の為に、私は陰ながら一夏君の様子を観察する事にしたのだけれど……初日から問題は起きたわ。

クラス代表を決める際に、セシリアちゃんがやらかして、一夏君が其れにカチンときたみたいで言い返して、結局はISバトルで決着をつけると言う事になったのだけれど、織斑先生はこの時セシリアちゃんが提案した『決闘』を認めるべきでは無かったわ。

一夏君はISに触れたばかりの素人なのに、僅か1週間と言う短い時間しか与えずに国家代表候補生と戦うなんて無茶を通り越して無謀としか言い様がない上に、もしも一夏君がその試合で致命的な怪我を負ったらどう責任を取る心算だったのか……

 

 

 

「……あの場では私が幾ら言葉を尽くしても、互いに引く事は無かっただろう。

 だから、後腐れが無いように本気でぶつかって貰うのが良いと判断したのだ……確かに無謀であったかもしれないが、結果としてオルコットと一夏の仲はソコソコ良好なモノになったのだから結果良ければ全て良しだ。」

 

「其れは結果論に過ぎません。

 まぁ、結局はセシリアちゃんは一夏君に近い位置に居るようになり、国家代表候補生が一夏君の近くに居ると言うある意味で護衛の厚みが増した状況になった事だけはプラスだったと思ってましたけれどね当時は。」

 

その後、中国から鈴ちゃんがやって来て、矢張り一夏君のすぐそばに居るように成った事で、一夏君を取り囲む状況はよりよくなったと思った所でクラス対抗戦での無人機の襲来がありました。

アレ自体は、一夏君と鈴ちゃん、そしてセシリアちゃんが絶妙なコンビネーションを見せて無人機を撃退しましたけれど……この時も織斑先生は、特別何もしていませんでしたよね?

私と虚ちゃんは避難誘導をしていましたし、本音はパニックを起こした生徒を落ち着かせ、後で知った事ですが簪ちゃんは簪ちゃんで、扉がロックされている事を知り、ロックを解除しようとしてた……貴女は何をしていたんですか?

山田先生に聞いたところによると、一夏君達に全てを任せてモニターに見入り、教師部隊に突入を急ぐような指示も出して無かったと伺いましたが?

 

 

 

「これも、一夏のいい経験になると思って……」

 

「いや、俺普通に死ぬ思いをしたんだけどな千冬姉?」

 

「ホントに一歩間違ったら一夏は死んでたかもしれない……改めて考えるとぞっとする。」

 

「簪ったら大袈裟ねぇ?アタシとセシリアが居たのよ?一夏が死ぬ筈ないでしょ♪」

 

 

 

……鈴ちゃんは全く全然、あれがドレだけ危険な状況だったのかをすっかり忘れちゃったみたいね……喉元過ぎて熱さ忘れるとは正にこの事だわ。

 

 

その後、今度はラウラちゃんとシャルロットちゃんが1組に編入して来て、ラウラちゃんは出会い頭に一夏君に一発ビンタをお見舞いしたわよね?

公私の混同は良くないとは言え、行き成り自分の生徒が、まして弟が理不尽な暴力を振るわれたと言うのに、其れに何も言わなかったのは一体如何なる意図があっての事だったんでしょうか織斑先生?

 

 

 

「…………」

 

「だんまりですか……要するに面倒だから無視したと言う事ですね。」

 

「な、そんな事は!!」

 

「あるんですよ。ラウラちゃんの狼藉について何も言わなかったのがその証です。」

 

シャルロットちゃんに関しても、明らかに怪しい2人目の男性操縦者の事を放置状態にしていましたね……まぁ、此の2人も結果的には一夏君の側に居る事になり、イギリス、フランス、ドイツ、中国の専用機持ちと、篠ノ之束博士の妹が一夏君の側にいると言う構図が出来上がり、一夏君を守る為の布陣は出来上がった……かのように見えたわ。

だけど、実際には其れは護衛としては全く機能していなかったわ……例えば、訓練をするにしても誰が一夏君を指導するのかで揉め、誰に指導してもらうのかで一夏君に迫り、一夏君に選ばれなかったら癇癪を起こして暴力を振るうと言う、目を覆いたくなるような事が起こっていた……それでも、彼女達を拒まずに、ひたむきに高みを目指す一夏君は本当に魅力的だったわ。

 

 

 

「オリムー、本当に頑張ってたよね。」

 

「本音から聞かされたこと、当時は弐式の事があったからそんな事は気にも留めてなかったけど、今は素直に凄いって思う。

 ……そんな劣悪な環境で腐らずに頑張れるのって凄い事だよ。」

 

「一夏君は、本当に高みを目指しているのだと実感しました。」

 

「楯無さん、のほほんさん、簪、虚さん……」

 

「まぁ、見てる人は見てるって事よね……って言うか、こっちの世界のアタシ達は馬鹿なの死ぬの?誰がイチを指導するとかで揉めた挙げ句にイチに選ばれなかったから暴力に訴えるって、最低最悪じゃない!!」

 

「鈴の言う通りだな……マッタク持って、その行いが己の価値を下げていると言う事に気付かないのか?」

 

「なにぃ!知った風な口を利くな!!」

 

「そうよ、鬱陶しいわね!!!」

 

「……全然理解してねぇなアイツ等……イチ、今の率直な感想を一言で言ってくれ。」

 

「俺のファースト幼馴染とセカンド幼馴染は、実はトンデモナイDQNでした。

 イジメは良くないけど、イジメられてた箒や鈴を助けたのは実は俺の人生における最大の過ちだったんじゃなかったのかって現在進行形で思ってる所だぜ。」

 

「イジメを見過ごさなかったお前は偉いと思うぞイチ……だが、助けた相手が実は最悪だった、其れだけの事だ。」

 

「夏姫さん……悪い、其れフォローになってねぇ。」

 

「だろうな、自分で言っててそう思ったし。」

 

 

 

……まぁ、私が一夏君を如何思ったかは良いとして、1学期の間の一夏君を取り巻く状況は決していいとは言えないモノだったけれど、1学期の間は織斑先生が一夏君の護衛を務めると言う事だったから、私は傍観者に徹していたのだけれど……絶対的に見過ごせない事が臨海学校で起こってしまったわ。

篠ノ之博士が箒ちゃんに専用機を用意し、福音の暴走が起こり、其れを鎮圧するために一夏君達が出撃し――専用機を得た事で慢心してしまった箒ちゃんのせいで一夏君は福音に落とされた。

この事件も、一夏君の白式が二次移行した事で解決されたけど、一歩間違えば一夏君は死んでいてもおかしくなったわ……そして、これらの事と、専用機持ちの彼女達が一夏君に普段何をしていたのか、其れを見た織斑先生は何をしていたのか――其れを総合的に判断した結果、2学期から私が一夏君の護衛に就く事になったのよ。

 

 

 

「待て、更識姉。何故そうなる?」

 

「分かりませんか織斑先生……学園長は、貴女は一夏君の護衛には向かないと判断したんですよ。」

 

そして其れは同時に、一夏君の周りに集まった専用機持ちが一夏君の護衛にはなり得ないと判断した証でもあるんですよ――でも、其れは当然と言えば当然ですよね?

一夏君に外部からの敵が来るのではないかと思って、織斑先生と専用機持ち達を護衛に据えようと思っていましたが、敵は外部よりも寧ろ内部に存在していたのよ。――一夏君の敵は、織斑先生と専用機持ちの貴女達に他ならなかったわ。

 

 

 

「何!如何言う事だ更識姉!!」

 

「何で、私達が一夏の敵になるのだ!!返答次第では、楯無さんでも容赦はしないぞ!!」

 

 

「……否、此処まで言われたら普通察するモンだと思うんだけどその辺如何なんだ?」

 

「普通じゃないから察しないんじゃないのかナツ姉さん?」

 

「相変わらず、マドッちはドストレートに行くっすね?そこが良い所でもあるっすけど。」

 

「取り敢えず、ここはもうズバッとザックリとトドメ刺す方向で良いんじゃないっすかタテさん?……つーかやっちゃって下さい、主にイチの為に。」

 

「俺からもお願いします楯無さん……俺自身も自分の置かれた状況がドレだけだったのか、客観的に知りたいので。」

 

「「其れではBGMスタ~~ト~~♪」」

 

 

 

――タ~、タタタタタタ~~~……(クリティウスの牙)

 

 

 

一夏君の敵が誰であったのかを告げたら、織斑先生と箒ちゃん……いえ、織斑千冬と篠ノ之箒は即座に反応して来たけど、その程度で止まる私じゃないわ。

ナツ君と一夏君もやって良しと言ってくれたし、ダブル本音が『THE処刑用BGM』を流してくれたのなら、一気に行かせて貰いましょうか!

 

何で敵になるのかですって?言われなきゃわからない訳?あぁ、分かる筈ないわよね、無自覚なんだから。

さっきも言ったけど、専用機持ちの5人は一夏君の訓練と称していながらも、実際には誰が指導するかで揉めて、一夏君に迫って、選ばれなかったら理不尽な暴力振るってたでしょうが!

真面な訓練が出来た事なんて、1学期間中片手の指で足りる程しか出来てなかったわよ?しかも、その訓練と言うのも一夏君の才能を磨くのではなく、自分の得意な事を押し付けるだけ。

中でも、篠ノ之箒、凰鈴音、セシリア・オルコットの3人は特に悪いわね?……擬音だらけの感覚ありきの教え方と、やたらと細かくて難解な説明ばかりの教え方って、貴女達は一夏君の事を馬鹿にしてる訳?

其れとシャルロット・デュノアは一夏君が出来ないと、さらりとディスるし、ラウラ・ボーデヴィッヒは実践ありきで基礎を教えようともしない……一夏君は貴女達の都合の良い遊び相手じゃないのよ、そこを理解しなさい大馬鹿者!

今だから言うけれどね、碌に訓練もしないのにアリーナを独占されて迷惑してるって言う苦情が、生徒会に殺到してたのよ1学期中は!!

更に訓練以外の普段の生活でも、貴女達以外の女子と話しただけで文句を言われるって、普通に有り得ないでしょ!!貴女達の許可が無いと一夏君は他の生徒との会話すら許されない訳?

 

 

 

「いや、そう言う訳じゃないんだけど……」

 

「だったら、如何言う訳?言ってみなさい、聞いてあげるから。」

 

「えぇっとですね、其れは其の……」

 

 

 

言えないわよね?だって、其れは只の行き過ぎたヤキモチでしかなかったのだから。

更に寮でも何かにつけて一夏君の部屋に突撃しては、問題を起こした挙げ句に一夏君に暴力を振るっていたわよねぇ?……普通に、殴る蹴るってだけでもアウトなのに、木刀を持ち出したり、ISを展開するってどんな神経してるの教えてくれるかしら?

そもそもにして、世界で唯一の男性IS操縦者を攻撃するって、相当な重罪だと言う事を理解しているのかしら、お馬鹿さん達は?

 

 

 

「其れは一夏が!!」

 

「はいはい、そうやって全てを一夏君のせいにして自分の行いを正当化する……マッタク持って良い身分よねぇ?

 自分達はいつ何時でも正しい事をしていて、間違っているのは一夏君の方だと言って、一夏君への暴力も一夏君が悪かったと言って正当化するんだからね……厚顔無恥も良い所だわ。」

 

加えて、夏休みの間も一夏君の予定も考えずに、アポなしで突貫した癖に、気に入らない事があると直ぐに暴力に訴えたり罵声を浴びせたりするとか普通に有り得ないわ。

一夏君がその気になったら、傷害罪、暴行罪なんかで訴える事が出来るレベルの事をしていたのよ貴女達は!しかも、一夏君が強く出ないのをいい事に行為はどんどんエスカレートしていったのだから酌量の余地はないわよ!

そして其れは貴女もですよ織斑千冬。

 

 

 

「更識姉、教師を呼び捨てにするとは良い度胸だな?」

 

「教師?誰が教師なんですか誰が。

 生徒の間違いを正さず、指導と称して暴力を振るい、問題行動を起こした生徒だけでなく、その被害者も連帯責任とばかりに殴る人の何処が教師だと言うのか納得の行く説明をしていただけますか?」

 

大体にして座学は基本的に山田先生に丸投げ、実技にしても簡単な説明をした後は専用機持ちにぶん投げるって、其れって教育とは言わないんじゃないでしょうか?

去年も私は随分苦労したんですよ、貴女がちゃんと実技の授業をしてくれなかったお陰で。

貴女の教師としての資質は取り敢えず置いておきますが、貴方もまた一夏君の護衛では無く敵でした……まぁ、素人の一夏君を行き成り代表候補生と戦わせたり、正体不明の無人機との戦いを容認したり、VTシステムを処理させたりと、普通では考えられない事を連発した上に、専用機持ち達の暴力を是正する事無く、是正するどころか被害者である一夏君にも制裁を加えるだなんて真面な神経を持った人間のする事じゃないですよ。

しかも夏休みの時、一度帰宅したかと思えば直ぐに外出しましたよね?其れも、仕事ではなく、実は飲みに行くと言う事で……本来は護衛を任された貴女は一夏君の側に居なければならなかったと言うのに、その役目を放棄して飲みに行くとか何考えてるんですか本気で!!

そんな態度で、よくもまぁ一夏君の事を『大切な弟』だとか恥ずかしくもなく言えますねぇ?ドンだけ面の皮厚いんですか貴女は!

 

これらの事を一切包み隠さずに学園長に報告した結果、2学期からは私が一夏君の護衛兼コーチを務める事になったのよ……一夏君を貴女達と言う『敵』から守る為にね。

だからと言って、完全に一夏君から切り離すのも可哀想かなと思って、温情を与えてはいたけれど、貴女達はマッタク持って変わる事は無かったわ。

予想外の事態ではあったけど、並行世界からの渡航者のおかげで断罪の斧を振り下ろす機会を得る事が出来たと言うのは幸運だったわね?

取り敢えず、私の判断で突きつけて良いと言われた、学園長の判断を今此処で下すわね……『織斑千冬、篠ノ之箒、セシリア・オルコット、凰鈴音、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒの6名には織斑一夏への接近禁止命令を言い渡す。今後一切、如何なる理由があっても対象への接触は認められない。この命令に違反した場合、織斑千冬は即刻解雇、セシリア・オルコット、凰鈴音、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒは本国に強制送還、篠ノ之箒は強制退学に処す。尚、現在の状況を是正するために、織斑千冬は担任を解任し、副担任に降格、篠ノ之箒、セシリア・オルコット、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒの4名は1組以外のクラスに強制転属。抜けた4名の代わりとして、更識簪を含む4名の生徒を1組に転属させる。』以上よ。

 

 

 

「「「「「そんな!!」」」」」

 

「幾ら何でも此れは横暴すぎるぞ!!」

 

「文句があるなら直接学園長に言って下さいな……まぁ、抗議した所で決定が覆る事は有りませんけどね。」

 

「更識姉……貴様、私に対してこんな事をしてタダで済むと思ってるのか?」

 

「思ってますけど何か?

 高々ブリュンヒルデの称号を持ってるだけの人間が、更識の――日本の暗部の長を如何にか出来ると思っているんですか……おめでたい事で。」

 

「本気でおめでたいぜ千冬姉……そして客観的に聞いて、やっと俺がドレだけ異常な環境に居たのか理解出来たぜ。」

 

 

 

あら、此処で一夏君が声を上げたわね?……君にも思う所があったんでしょう?なら、もう我慢する事は無いわ――ぶちまけてしまいなさいな、貴方が思っていた事を、余すことなく全部。

 

 

 

「マッタク毎度毎度、俺の都合なんぞ考えずに、自分の都合で俺の事好きなように扱った挙げ句に、俺がお前等の思うようにならなかった暴力振るうってどんな神経してんだよマジで!!

 お前等の都合や理想なんぞ知るかボケェ!!俺は、お前等の理想を実現するロボットじゃねぇんだよこのスットコドッコイが!!つーか、ドイツもコイツも俺の事を見てねぇよな?

 誰もが、千冬姉ですら自分の理想を俺に押し付けてたよな?」

 

「い、一夏其れは誤解……」

 

「いいや、誤解じゃないね。

 俺がドンだけ頑張って結果を残してもアンタは『私の弟だからな』としか言わないで、只の一度も『良くやった』とは言ってくれなかったよな?でもって其れは箒達も同じだ!!

 出来ない事は必要以上に責めるくせに、出来た事に関しては『此れ位は出来て当然』って感じで、ちゃんと評価してくれた事は無かっただろ!!

 俺の事をちゃんと評価してくれたのって、楯無さんと簪と虚さんとのほほんさんだけぜ……あぁ、此処まで来て漸く分かったよ!俺に必要だったのはお前等じゃなくて楯無さん達だったんだってな!!」

 

「一夏、其れは……!!」

 

「気安く呼ぶんじゃねぇ!!

 大体にして初日に俺が視線を向けたらシカトした奴が今更幼馴染面するんじゃねぇよ!!つーか、客観的に見ると、お前等のやってる事って仮に照れ隠しだとしても有り得ないよな?

 ……お前等、本当は俺の事嫌いなんだろ?心底嫌いじゃなかったら、IS展開しての攻撃とか有り得ないしな!!

 此処までの事されてて、一緒に居る理由なんて無いよな?あぁ、マッタク持って一緒に居る理由なんざ無いぜ!!お前等とはもう絶交だ!!」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

「お、オイ一夏、其れは言いすぎじゃないのか?……まさか、私にも絶縁を突き付ける気か?」

 

「……そんな事はしないよ、一応は姉弟だからな。

 だけど、絶縁はしないけど俺はもうアンタには関わらないようにする。もうこれ以上『織斑千冬の付属品』として見られるのはゴメンだからな。」

 

「い、一夏……!!」

 

 

 

はい、ぶっちゃけたわね♪

まさかの一夏君からのゴッドハンドクラッシャーに罪人共は真っ白に燃え尽きちゃったみたいだけど、それで良いのかも知れないわね……取り敢えず言いたい事は全部言えたからスカッとしたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏(IB)

 

 

タテさんの断罪は効果抜群で、スズ達は最終回の如く真っ白に燃え尽きてんなぁ……まぁ、好意を寄せてたイチに完全拒絶の意を突き付けられたら燃え尽きるのもやむなしか。自業自得だけどな。

だけどイチ、今回の事でお前が本当に大切にすべき人は誰だったのか分かっただろ?

 

 

 

「楯無さん、簪、虚さん、のほほんさん……此の4人が、俺にとって本当に必要な人だったんだよな。――って、其れを自覚すると、何だか気恥ずかしいんだけどさ。」

 

「ま、其れは無自覚にお前がタテさん達に惚れてたって事だろ。」

 

「んな!?そうなのか!?」

 

「其れは略間違いないだろうな……そして、楯無さん達もイチには好意を抱いて居るだろ?」

 

「夏姫ちゃん……其れは否定しないわ。」

 

「ひたむきな一夏はカッコ良かったから……」

 

「一夏君は、そのとても魅力的でしたので……」

 

「オリムーの事は~、大好きだよ~~?」

 

 

 

……こんな時でもぶれないのんびりさんはガチで大物だろ絶対に。

其れは兎も角として、お前の事を口先でなく、心の底から愛してくれるであろう女性が4人も居るんだぜイチ……なら、男として其れには応えなきゃならないだろ?

 

 

 

「うぇい!?……そうは言っても、誰か1人を選べって無理だって!!」

 

「そう思うよな……夏姫姉、お願いします。」

 

「任せろ一夏。

 イチよ……たった一人の女性しか愛していけないとは一体誰が決めた?イスラム教の国では一夫多妻は割と普通だぞ――誰か一人を選ぶ事が出来ないので有れば、いっそ全員と付き合うのも手だぞ?」

 

「あら、其れはとってもビッグアイディアね夏姫ちゃん♪

 でも其れはアリよ一夏君……ダブル姉妹丼なんて、滅多に経験出来る事じゃないわよ♪……私達じゃ不満かしら?」

 

「不満って事は無いですけど……其れで良いんすか?」

 

「私は全然OKよ♪」

 

「私も、それで良い。」

 

「一夏君が良ければ私は……」

 

「オリムーが良いなら、私は何も言わないよ~~♪」

 

「えっと、其れじゃあ宜しくお願いします!……で良いのかな?」

 

 

 

此処で夏姫姉の一撃から、タテさんの一撃が炸裂し、タテさん、カン、ツホさん、のんびりさんのコンボが炸裂して、イチは此の4人と付き合う事が決まったってな。

モップとスズ達が燃え尽きた状態になってるが、全てはお前等の行動の結果だろ此れは。

一歩下がってみる事をして、自分の欲求をホンの少しだけ抑える事が出来れば、イチを取り巻く環境の異常さに気付く事が出来たってのに、スズ達は其れをしなかった……其れがこの結果だ。

後悔先に立たずって言うが、正にその通りだぜ……今更後悔したって後の祭りだからな。

 

ま、何にしてもイチの置かれた状況を打開する事が出来たんだから良かったぜ――新たなパートナー達を得る事も出来たからな。取り敢えず、ずっとタテさんのターンにはスカッとしたぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 




・装備設定

・EQFU-4X ハイパードラグーン
拡張領域内に量子変換された状態で10機収納されているドラグーン。
スーパードラグーンが夏姫の反応速度に追い付けなくなった状態にあったのを束が再調整を施したのが、このハイパードラグーンである。
インターフェースやら何やらを改良した事に依り、機体の感度が従来の数十倍に跳ね上がり、夏姫の反応速度に充分付いて行けるようになった。
また操作性の向上だけでなく、搭載されているビーム砲塔が1門から2門に増えて、火力面での強化もなされている。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。