Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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恐竜世界でのサバイバルか……面白そうだなBy夏姫      恐竜のステーキ、美味しそうね♪By刀奈     夏姫姉も楯無さんも何かずれてる!?By一夏


Break93『World Purge~解放とLastMission~』

Side:一夏

 

 

エルム街のナイトメアと13日のフライデーとバイオでハザードなサバイバルホラーと、悪魔も泣き出すスタイリッシュアクションと、凄腕プレイヤーの手に掛かればラスボスも19秒殺なガンコンゲームの世界を無事にクリアして、静寐と一緒にロビーに帰還した訳だが、同じタイミングで鈴が乱を助け出して戻ってきたみたいだな。

 

「首尾は如何だ鈴?」

 

「バッチリよ一夏!」

 

 

 

――パァァァァァァン!

 

 

 

互いにミッションをクリアした事を喜んでのハイタッチを交わしたんだが……俺の気のせいかもしれないけど、なんか怒ってないか鈴?――其れも、只怒ってるだけじゃなくて、割とマジでブチ切れてませんかね?

乱の世界で何があったんだよ?

 

 

 

「偽物の一夏が、あろう事か乱と不倫かまそうとしてたのよね……一夏はアタシと箒の事を愛してくれてるから、100億に一つも不倫をする事なんてないって信じてるけど、偽物とは言え一夏と同じ顔した奴が不貞行為を働こうしたのはやっぱり許せないわ。

 許せないからフルボッコにした後にキャメルクラッチ・真打で身体ごと両断してやったけどね!!」

 

「うわおぉ、鈴ちゃんパワフル!!其れと、偽物とは言え不貞行為を働いた事に関しては力の限り謝罪します!すんませんでしたぁ!!」

 

「あ~~……一夏が謝る事じゃないわ――悪いのは偽物だからね。」

 

 

 

そう言って貰えると少しだけ気が楽になったが……鈴、お前まさか背骨をブチ折った俺の偽物をラーメンの麺にはしてないよな?――流血表現の自己規制の末の演出らしいが、アレは逆にトラウマだから。

 

 

 

「そうしてやる心算だったけど、そうなる前に消えちゃったから出来なかったわ。」

 

「OK、其れはやらなくて正解だぜ鈴。」

 

其れをやったら、其れを見た奴は暫くトラウマでラーメンを食べる事が出来なくなるだろうからな……まぁ、其れは其れとして、残るは清香と癒子だけだから、速攻で救出してホストコンピューターを取り戻さないとだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break93

『World Purge~解放とLastMission~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでもってどんな組み合わせで救出に向かうのかって事になるんだが、其れは単純にジャンケンのグーパーで決める事になって、その結果俺と乱がパーで組になって、鈴と静寐がグーで組になったか。

でもって俺と乱が癒子、乱と静寐が清香の担当になった訳か……速攻で助け出して、ホストコンピューターの奪還と行こうぜ?俺達なら余裕だろ?

だから、10分で終わらせようぜ?

 

 

 

「10分?……冗談、5分でしょ?」

 

「鈴……ハハ、楽勝だぜ!!」

 

鈴と軽口を交して、俺と乱は癒子の世界にダイブだ!!――そうして癒子の世界にダイブしたんだが……ダイブした直後に行き成り大ピンチって奴じゃないのか此れは!?

目の前には人の大きさ程の肉食恐竜が現れていたんだからな……癒子の夢は、ジュラシックパークだってのかよ!!

さっきは悪魔とゾンビの相手して、今度は恐竜の相手とか冗談きついぜマジで……取り敢えず、結構ヤバそうな世界だから武器は装備されてるんだろうけど、ベレッタで何とかなる相手か此れ?

恐竜って滅茶苦茶皮膚が硬くて、小型の恐竜でもハンドガン程度じゃ大したダメージにならなかったと記憶してんだけどなぁ……恐竜を相手にするなら最低でもショットガンが必要だろ!!

乱、お前の武器は何だった?

 

 

 

「弾数無限の火薬付きボウガン。」

 

「バイオなゾンビ相手ならめっちゃ強力な武器だけど、恐竜相手じゃ意味がねーし!そもそも、恐竜相手じゃボウガンの矢が刺さらねぇし!!」

 

「恐竜って炎属性が苦手なんじゃなかったっけ?」

 

「其れは遊戯王の話だから!」

 

『ギシャァァァア!!』

 

 

 

って、アブね!!

行き成り噛みついて来やがるとは、腹が減って相当に気が立ってやがるな此れは……電脳世界に居るのは精神体だから、攻撃を喰らったところで現実世界の俺には何の影響もないが、精神体の俺が死んじまったらどうなるのかはマッタク持って分からないから、死ぬのだけはアウトだぜ。

強制的に意識が現実に戻されるのなら兎も角、精神体が死んだ事で植物状態になったとか、幾ら何でも笑えないし、そんな事になったら鈴と箒を泣かせる事になっちまう。

其れに、そうなったら夏姫姉が一番悲しむかもしれないからな……血の繋がってない俺の事を弟として受け入れてくれた夏姫姉を悲しませる事なんて絶対に出来ないぜ。だから、俺がこの場で選択する一手は此れしかないぜ!!

 

「取り敢えずこの場は逃げるぞ乱!俺達の今の装備で恐竜と戦うのは自殺行為だからな。」

 

「其れはそうかも知れないけどどうやって逃げるのお兄ちゃん?バイクでもあれば逃げられるかもしれないけど、人間と恐竜とじゃ身体能力に差があり過ぎるから、全速力で走っても追い付かれちゃう!!」

 

「普通に考えればそうだろうが、俺を誰だと思ってるんだ乱?」

 

「へ?」

 

 

 

俺は織斑計画って言う狂ったプロジェクトで生み出された超人だぜ?しかも、俺は唯一の量産型の成功例って言う、ゴールドシークレットレア級のレアな存在なんだぜ?

だから、お前一人を抱えて恐竜から逃げる事位、やって出来ない事でもないんだよ!!――俺に付いて来られるもんなら付いて来てみろよ爬虫類!

爬虫類じゃ超人に追い付く事なんざ到底無理かもしれないけどな!!

 

 

 

――バビュン!!

 

 

 

言うが早いか、乱を小脇に抱えてその場を高速離脱!!……電脳世界なら、現実世界と違ってやろうと思った事がガチに出来るんじゃないかと思ってスタートダッシュからトップスピードに乗る『縮地』をやってみたら、出来ちゃいましたってな。――この世界の自由度がハンパねえなマジで!!

へへ、今の俺なら冗談抜きでウサイン・ボルトだってぶっちぎる事が出来るかもだぜ!!短距離走で世界新記録樹立しまくってやるって所だぜ!!!

今の俺は誰にも止められないぜ!例え夏姫姉でも、束さんでも、そしてDIO様でも!!

 

 

 

『無駄無駄無駄ぁ!!Wryyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!』

 

 

 

いや、DIO様は流石に無理かな。――フリーザ様なら頑張れば何とかなるかも知れないけど、時を止めるって言う反則技を使うDIO様に勝つのは俺が超人でも無理だな……DIO様に勝つにはスタープラチナ級のスタンドが必要だしな。

 

 

 

「其れは良いけどお兄ちゃん、前方にステノニコサウルが現れたんだけど、如何しよう!!」

 

「正面突破の捨て身タックルで突破するぜ!俺の特性は『いしあたま』だから反動とか全然受けないからマッタク問題ない、無問題!No problemだ!」

 

「うわぉ……お兄ちゃん、結構ワイルドだね?銃が効かない相手に、全身を強烈に浴びせるタックルでダメージ与えるとか凄すぎだよ!

 こりゃ、鈴お姉ちゃんが惚れる訳だ……鈴お姉ちゃんって、男らしい人が好きだったから、イケメンスカーフェイスで戦闘力も高いお兄ちゃんは、鈴お姉ちゃんの旦那様として最高だった訳だね。」

 

 

 

其れは如何だろうな?

俺と鈴が恋人関係になったのは中一の時で、その時には俺の顔の傷は未だ無かったから、容姿とか男らしさ云々じゃなくて、鈴は俺って言う人間そのものを好きになってくれたんじゃないかな?自分で言ったら手前味噌かもだけどな。

でもって、今でも俺の嫁でいてくれるんだから、ホント俺は果報者だぜ。

 

 

 

「ゲップが出そうになる位の惚気をどうも。ホント、鈴お姉ちゃんとお兄ちゃんはお似合いのカップルだよ――見てる方が羨ましくなっちゃうくらいのね。

 まぁ、其れは其れとして、追っかけて来てるのも今のタックルで倒しちゃえば良かったんじゃないかな?」

 

「其れは流石に無理だ。助走が無いとタックルは威力がないし、逆に向こうも走って来てる所にタックルかましたら幾ら俺でもダメージ受けるからな?」

 

「あ~~うん、何となく納得の理屈。……けど、其れは其れとして最強の敵が現れたみたいだよお兄ちゃん?」

 

「如何やらそうみたいだな……」

 

逃走を続けてる俺達の前に立ち塞がったのは、恐竜時代の王者にして、史上最強の肉食動物と言われているT-レックス――ティラノ・サウルス!!

強靭な顎での一撃を喰らったら最後、どんな相手でも確実に絶命させるって言う攻撃力はハンパなモンじゃない上に、今の俺達の装備で倒せる敵じゃないし、だからと言って逃げ切れるとも思えない。

幾ら俺が超人であっても、ボスクラスから逃げるのは不可能って所だからな。

コイツは、貧弱装備でもやるしかない高難易度バトルってやつか……乱、少しばかりデンジャラスな世界に付き合って貰うぜ?――此の戦闘は可成り厳しいモンになりそうだが、戦いってのは刺激がある方が楽しいって相場が決まってるからな……行くぜ乱!!

 

 

 

「勿論付き合わせて貰うよお兄ちゃん……逃げられないボス戦なら、例え不利でも戦う以外の選択肢はない訳だからさ――古代の王者をバッチリ倒して癒子を救い出そう!」

 

「ふ、そう来なくっちゃな!!」

 

いざティラノ・サウルスとガチバトル開始だ!覚悟しやがれ、デカブツが!!

 

 

 

――バッガァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 

「「はい?」」

 

 

――と、そう思ってた矢先に、突如ティラノ・サウルスの巨体が吹っ飛んだ!?

此れには、俺だけじゃなく、大概の事には驚かない乱も目が点になってたぜ!メガテンじゃないから間違えんなよ?

まさかの光景だったが、ティラノ・サウルスの巨体をブッ飛ばせる存在なんざ恐竜時代の生き物では限られてるんだが、一体何が古代の暴君竜をぶっ飛ばしたんだ?

 

 

 

「見つけたわよT-レックス!!

 ここで会ったが1億5000万年!!今日こそキッチリと狩ってやるわ!!この七月のサマーデビルから逃げる事が出来ると思ったら大間違いよ!」

 

 

 

……………………カァ、カァ、アホー

 

 

 

その正体を確認したその瞬間に、俺と乱の頭の上を大量の『……』と共にカラスが通過してった気がしたのはきっと気のせいじゃないよな――幾ら何でも、癒子がトリケラトプスに乗って現れるとは思ってなかったからな!

其れも、只トリケラトプスに乗ってるだけじゃなく、右手にミサイルランチャー、左手にグレネードランチャーって言う重火力装備出来たぜ……此れも、七月のサマーデビル故の装備なのか?真相は本人にしか分からないんだろうけどさ。

 

 

 

「ってアレ?一夏君と乱ちゃんじゃん?もしかして、恐竜時代のサバイバルを楽しみに来たとか?」

 

「いや、そうじゃないから。」

 

静寐はあの世界をホストコンピューター奪還の任務だと勘違いしてたけど、癒子は完全にこの世界に捕らわれちまってるみたいだな――静寐と違ってこの世界が任務の延長だとは思ってないみたいだからな。

でもそう言う事なら話は簡単だぜ……強制的に意識を目覚めさせればいいんだから。

だから、先に謝っておくよ清香……ゴメン。

 

 

 

「ゴメンね癒子!此れで、目を覚ませぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

――パァァァァァァァァァァン!!!

 

 

 

次の瞬間、乱のビンタが清香に炸裂――俺がやろうと思ってたらそれより先に乱がやってくれたが、其れはビンタと言うよりも最早掌底じゃないかと思うのは俺だけか?下手したら目を覚ますどころか気絶しちまうぞ?

あ~~~……其れで、目は覚めたか癒子?つーか、大丈夫?記憶飛んだりしてないか?

 

 

 

「いったーーーーい!!行き成り何するのよ乱ちゃん!!行き成り顔面に掌底とか幾ら何でも酷過ぎるよ!!って、アレ?ここ何処?」

 

「よし、癒子が目を覚ましたっぽいよお兄ちゃん!!アッパー掌底効果あり!!」

 

「其れは非常に喜ばしい事だが、顔面に掌底叩き込むのは止めような乱?

 今回は癒子が思ってた以上に頑丈だったおかげで大丈夫だったけど、綺麗に入った掌底は普通だったら一撃で相手の意識刈り取るからな、OK?」

 

「分かった、敵にだけ叩き込むようにするね。」

 

「其れよりも、なんで私は乱ちゃんに掌底叩き込まれなきゃならなかったの!?

 って言うか此処は何処?なんで一夏君と乱ちゃんが居るの?アレ、そもそも学園を襲って来た連中ってどうなったの?ホストコンピューターの奪還は成功したの?」

 

「其れは、一つずつ説明するから落ち着け。お前が目を覚ました事でティラノ・サウルスの動きも止まったみたいだからな。」

 

まずはなんでお前が乱に掌底を叩き込まれなきゃならなかったのか、此れは至極簡単な事でお前を目覚めさせる必要があったから。俺と乱が此処に居るのもお前を目覚めさせるためだからな。

 

 

 

「私を目覚めさせるって、如何言う事?」

 

「答えを言うと、此処は電脳空間で、お前を含め電脳ダイブしたメンバーは、ライブラリアンの教授とやらが仕掛けた罠と言うか、ちょっかいによって仮想現実の空間に捕らわれてたんだ。

 で、外部からのアクセスは不可能で、電脳ダイブして助けに行けるのは俺だけだったから俺が来たって訳だ――まぁ、新たに電脳ダイブ出来る奴が俺だっただけで、先に電脳ダイブしてたメンバーなら、目を覚ました後で他のメンバーの空間にアクセス可能なみたいだけどな。」

 

「因みに、その仮想現実の空間は捕らわれた人の理想や、楽しい事が優先される世界なんだって……アタシは深層心理でお兄ちゃんとの火遊びを望んでたって事になる訳ね……ちょっと自己嫌悪。」

 

 

 

いや、アレは何と言うか……きっと、理想や楽しい事ってのがぶっ飛んだ内容じゃない人の所には俺の偽物が現れるようになってるんじゃないか?現に静寐の時も今回の癒子の時も俺の偽物は現れてないし。

寧ろ俺としては、静寐ほどの凄まじいカオス空間じゃないが、何だって癒子は恐竜時代でトリケラトプス従えてサバイバルしてたのかの方が気になる。

 

 

 

「え~っと……そうだ、この前テレビで『ジュラシックウォーズ~恐竜時代でサバイバル~』って映画見たからかも!

 その映画の中で、恐竜時代にタイムスリップした主人公がトリケラトプスに乗って異常に成長したティラノ・サウルスと戦うシーンが有って、こんな事が出来たら楽しそうだなぁって思ったんだよ!」

 

「理由が平和だねお兄ちゃん。」

 

「そうだな。取り敢えず相手がホラーじゃないだけ平和だわな……まぁ、負けりゃ結局喰われる事になる訳だけどさ。」

 

だが、そんな世界も癒子が目を覚ました事でお終いみたいだな?……夢の空間が消え始めて、ロビーへの帰還が始まったみたいだ。

鈴と静寐も清香の事を救出してくれるだろうから、後はホストコンピューターを奪還すればミッションコンプリートってやつだ――IS戦も白兵戦も、間違いなく学園側が勝っただろうからな。

……夏姫姉の方は大丈夫だろうが、千冬さんの方は少し心配なんだよなぁ――久々の実戦で、手加減の仕方忘れてないかのかってな……まぁ、きっと大丈夫だろ。きっとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――一夏と乱が恐竜から逃走していた頃……

 

 

Side:静寐

 

 

清香の事を助ける為に、鈴と一緒に清香の空間に来た訳なんだけど……

 

 

 

「えぇい!アタシのみならず、乱や清香の前にまで現れるとは良い度胸してるじゃないのよこの偽物が!!

 一夏と同じ姿をしてるってだけでもムカつくのに、その姿でアタシの友達や妹分と『禁則事項』や『検閲により削除』しようとしてるのがマジで腹立つ!

 死ね!氏ねじゃなくて死ね!!未来永劫二度とアタシの前に現れんじゃないわよ!!」

 

 

 

只今鈴が、一夏君の偽物を絶賛フルボッコ中。

清香の空間に入ったら、学園寮の清香の部屋だったんだけど、其処に一夏君の姿を見つけた瞬間に、問答無用で鈴が襲い掛かった、もとい不意打ちの先制攻撃をお見舞いしてこの状況に。

まぁ、一夏君は乱と一緒に癒子の救出に向かってる訳だから、この場にいる一夏君が偽物なのは分かるんだけど、だからと言ってフルボッコにするのは如何かと思うよ鈴?

 

 

 

「甘いわよ静寐!

 コイツは見た目は一夏だけど、中身はあの一秋に匹敵するクズ野郎だから、徹底的にぶちのめさないといけないのよ――顔面偏差値の高い女子なら見境なく『閲覧不可能』しようとしてる時点で、あの馬鹿のデータ使ってるの確定だから!!」

 

「あ、其れは確かに倒さないとダメだ。」

 

「鈴も静寐も一体何の話してるの?って言うか、その一夏君って偽物なの!?」

 

 

 

……逆に聞くけど、清香はあの一夏君が本物だと思うの?

こう言ったら何だけど、一夏君は鈴と箒の事を誰よりも大切にしてる愛妻家なんだよ?……そんな一夏君が、フラッと清香の部屋に遊びに来たりすると思う?それも、二人っきりになれるようにして。

 

 

 

「其れは絶対にないかなぁ?

 そもそも一夏君って、基本的に自室以外だと箒の部屋か夏姫の部屋にしか行く事ないし……其れを考えると、あの一夏君は確かに偽物なのかも。

 考えてみると、なんか私に対して『火遊びしようぜ』って雰囲気だったし。」

 

「そ、そうだったんだ。」

 

乱の時と似たようなシチュエーションだった訳だ清香の場合も。

其れにしても、鈴自身、乱、清香と狙ったように鈴が居る場所に一夏君の偽物が現れてるって言うのは単なる偶然じゃないよね?……もしかして、ライブラリアンの教授とやらは、万が一鈴が自力で目を覚ました時の為に鈴が訪れる空間には偽物の一夏君が現れるように設定してたりするのかな?

……トンでも理論だけど、強ちあり得ないとは言い切れない感じがするね此れは。

 

だけど、其れは悪手だったみたい。

偽物の一夏君に対して、鈴は手加減するどころか容赦ない攻撃を繰り出してるからね……あ、百裂キックからのマヴカプ版氣功掌が入った。

私の世界でもそうだったけど、此の空間は割と何でもアリなんだね?まさか、格ゲーの人外技を使う事が出来るとは思わなかったから――此のコンボを喰らっても未だ死なない偽一夏君のタフさには驚きだけどね。

 

 

 

「覚悟しなさい偽物……滅殺!」

 

 

――ヌゥゥゥゥゥゥゥン……

 

――ガシィ!!

 

――ガッ!ガッ!ガッ!べキバキ!ドカドカ!!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

――カキィィィィィン!

 

 

 

                             

 

 

 

 

そんな偽一夏君に対して、鈴がトドメの瞬獄殺をかまし、流石の偽一夏君も此れには耐えることが出来ずにKOされて消滅……仮想現実の空間とは言え、殺意の波動の極滅奥義を使うなんて、鈴にとって一夏君の偽物って言うは其れだけ許し難い存在だったって言う事だね。

 

「で、目は覚めた清香?」

 

「アレ、此処って私の部屋?電脳ダイブした筈なのに?其れに、なんで静寐と鈴が居るの?」

 

「電脳ダイブしたアタシ達に対して、ライブラリアンの教授とやらがチョッカイ出してきて、アタシ達は仮想現実の空間に閉じ込められちゃってたのよ。アタシと静寐は一夏が助けてくれたから、アンタの事を助けに来たのよ清香。」

 

「そう言う訳。

 偽物の一夏君が消滅して清香も目を覚ましたからこの空間は間もなく消え去る――きっと一夏君と乱も癒子の事を助けてる筈だから、残るはホストコンピューターの奪還だけ。

 必ず私達の手でホストコンピューターを取り戻そう。」

 

「寝起きでボケっとしてる暇はないわよ清香……電脳戦は此処からがメインなんだからね!!」

 

「静寐、鈴、言われなくても分かってるって!ライブラリアンには何れ仕返しをしてやるにしても、今はホストコンピューターの奪還が最優先だから、その任務を達成しないとね。

 行こう、私達も!!」

 

 

 

うん、そう来なくっちゃ。

残るはホストコンピューターの奪還のみ――全員が仮想現実から解放されれば、簪からのオペレートも受けられるようになる筈だからホストコンピューターの奪還はそんなに難しくないと思う。

楽観は危険だけど、だからと言って過度に警戒する事も無い感じかな……兎に角、ラストミッション開始だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

俺達がロビーに戻って来たのと同じタイミングで鈴達も戻って来たか……如何やら無事に清香の事を救出したみたいだけど、またもや鈴がメッチャ怒ってらっしゃる!?

もしかしなくても、また俺の偽物が不貞行為を働こうとしていたんでしょうか?

 

 

 

「正解……瞬獄殺で滅殺してやったわ。」

 

「手加減や容赦が一切ない!?」

 

いや、俺の偽物にそんなモンは必要ないけどな――俺としても、俺の姿形をした奴が、鈴と箒が居るにも拘らず不貞行為を働こうとしたってのは殺意しか湧かない事だからな。

そう言う意味では鈴が全開でぶっ殺したのはある意味で正しいって言えるぜ。

まぁ、何にしても此れで全員を夢の世界から解放したから後はホストコンピューターの奪還なんだが、そもそもにしてこの電脳空間の何処に学園のホストコンピューターがあるんだ?

 

 

 

『其れに関しては大丈夫……ホストコンピューターの場所送るから。』

 

「簪!……アレ、外部からアクセスできるようになったのか?」

 

夢の空間に捕らわれてる全員が解放されたからアクセスできるようになった……だから、此処からは私と本音と虚さんもオペレーターとして任務に参加させて貰う。』

 

『バッチリオペレートするから安心してね~~?』

 

『本音、貴女の其れは相手にとっては不安しか与えませんから注意しなさい……兎に角、現実世界から可能な限りのサポートはしますので、如何かホストコンピューターを奪還して無事に帰ってきてください。』

 

 

 

全員が夢の空間から解放された事で外部とのアクセスも可能になったのか……此れは嬉しい誤算って奴だな?――正直な事言うと、鈴達を解放しても教授とやらが更なる何かを仕掛けてて、外部とのアクセスが出来ない可能性を考えていたからな。

だが、だからこそ簪達のオペレートが有るなら負ける気はしないぜ!!こう言ったら何だけど、こう言ったデジタルな事に関しては、簪の方が楯無さんよりも能力が上だし、のほほんさんも虚さんも普段は裏方に回る事多いから、実はオペレーターとしての能力も高くて信頼できるからな。

 

何にしても、簪達のおかげでホストコンピューターの場所は分かったから、後は取り戻すだけだ――行くぜ、皆!!

 

 

 

「「「「「おーーーーーーーー!!!!」」」」」

 

 

 

恐らくはホストコンピューターの奪還が今回のラストミッション――なら、最高の結果でミッションコンプリートを狙ってみるか!!……目指すは、十分以内のノーダメージクリアって所かな?

やってやるぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:束

 

 

ふむふむ、IS部隊は隊長が投降、白兵戦部隊はちーちゃんとマーちゃんが姉妹合体ツープラトンで敵をKOした事で決着したと――後は電脳空間なんだけど、いっ君が行ったなら大丈夫でしょ。

いっ君には、どんな逆境であっても必ず勝利を手にする不思議な力があるからね……なんて言うか、いっ君は運ですら完全に味方につけてるんじゃないかって思うんだよね。

ううん、いっ君だけじゃなくてなっちゃんやたっちゃんも其れに当て嵌まる――非科学的な見解だけど、真の強者は運ですら自分の思うように出来るのかも知れないね。

まぁ、其れは嬉しい誤算だから良いんだけど――今回の一件を起こしてくれたアメリカを見過ごす事は出来ないよねクーちゃん?

 

 

 

「其れは見過ごしてはいけない束……奴等がやった事は、形骸化しているとは言えアラスカ条約に明らかに違反しているし、国際法で定められている『民間人への攻撃は不可』にも違反しているからな……お前のやりたいようにやれば良いさ束。

 後、私の事をクーちゃんと呼ぶな……私の柄ではないからな。私の事を呼ぶならリインフォースかクロエと呼べ。」

 

「うん、分かったよリインちゃん。」

 

「……微妙に分かって無くないか?」

 

 

 

其れは言っちゃダメ~~♪

 

さてと、いっ君達が電脳世界から戻ってきたらアメリカに一発弩デカいお仕置きをしてやろうじゃないか――束さんは、確かにぶっ飛んだ思考の持ち主かも知れないけど、だからとって実の妹や、可愛い妹分や弟分に手を出されて黙ってる人格破綻者じゃないんだよね。

 

だからさ、私の大切な存在を傷つけようとしたお前達には相応の報いを受けて貰うから覚悟しとけよアメリカ合衆国……この束さんの逆鱗に触れるどころか逆鱗を逆撫でした愚考を悔いると良いさ。

束さんは、敵とみなした相手にはトコトン冷酷になれるんだからね。

 

 

 

「敵に対してはとことん冷徹にか……其れは間違いではないと思うぞ束――敵とみなした相手に慈悲も情けも必要ない……必要なのは、敵を完膚なく叩きのめす事だけだけだからな。

 精々アメリカに思い知らせてやると良いさ――世紀の天才に喧嘩を売ってしまった愚考と言うモノをな。」

 

「言われなくてもその心算だよリインちゃん。」

 

今回の事でアメリカは完全に私の敵になった――そして、私は敵には容赦しないからアメリカの事を徹底的に糾弾してやる心算だよ……勿論、ゴースト部隊を知らぬ存ぜぬで通させはしない。

 

クソッタレ共には、相応の報いを与えてやるから覚悟しておけよ?――そして知ると良いさ、束さんを敵に回したらどんな事になってしまうのかと言う事を、其の身を持ってね!!

 

 

束さんは敵には容赦しない……其れをその身で味わうと良いよ、世界のリーダー気取りが――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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