Infinite Breakers   作:吉良/飛鳥

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ソルクロスロックマンは結構なチートだと思うんだが?By夏姫      野外からプラグインしてればチップ攻撃力上昇だからね?By刀奈     ムゲンバルカンが超兵器になるからなBy一夏


Break94『World Purge~任務完了と事後処理~』

Side:夏姫

 

 

ふむ、簪がオペレートをしているという事は、一夏は教授とやらの罠に捕らわれていた鈴達を無事に救い出したという事で良いのかな?――簪、一夏達の様子は如何だ?全員無事なのか?

 

 

「うん、一夏は鈴達を助けたよ夏姫――だから、本来の任務であるホストコンピューターの奪還に向かって貰ってる所だよ。」

 

「的確な判断だな簪。」

 

有事の際の簪の判断力は刀奈にも引けを取らないだろうな……刀奈と簪は得意分野の違いこそあれ、二人に明確な能力的差は感じないんだが、其れにも拘らず、簪が刀奈よりも劣っているという評価は見る目のない大人が下した阿呆な評価であるとしか思えんな。

寧ろ、こう言ったデジタルな事に関しては簪は刀奈よりも上だと思うぞアタシは……だからこそ、不安は何もないのだけれどね。――其れは其れとしてちょっとインカムを貸してくれないか簪?

 

 

 

「良いけど、何をする心算なの?」

 

「何、最終決戦に向かう弟に、姉として気合を入れてやろうと思ってね。――さて、聞こえるか一夏ーーーーー!!!!!」

 

『うぇい!?この声は夏姫姉!?……行き成りなんだよ、ビックリするじゃないか!!』

 

「ハハ、驚かせたのはすまなかったが……お前に少しばかりエールをと思ってな――お前達ならば、アメリカが打ち込んだプログラムが相手であっても負ける事はないだろうし、簪のサポートもあるから心配はしてないが、くれぐれも気を付けて行ってこい。

 最高のコンビネーションで、さっさとホストコンピューターを奪還して戻って来い。

 馬鹿な事をしてくれた連中に、この程度の事じゃIS学園は小動もしないと言う事を教えてやれ。」

 

『夏姫姉、そんな事言われたら頑張るしかねぇじゃん……上等だ、10分以内にノーダメージでホストコンピューターを取り戻して見せるぜ!!

 ――其れを達成出来たら、全員に何か奢ってくれよ夏姫姉!!』

 

 

 

良いだろう、10分でミッションコンプリート出来たその時は、全員に学食で何でも好きなモノを奢ってやるから楽しみにしておくといい……何にせよ、此れが済めば今回の一件は全てお終いだからキッチリシメてくれよ。

頼んだぞ一夏、鈴、乱、静寐、清香、癒子……学園のホストコンピューターを取り戻す事が出来るのは、現状ではお前達だけなのだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Infinite Breakers Break94

『World Purge~任務完了と事後処理~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:一夏

 

 

夢の世界に捕らわれていた皆を助け出して、そんでもって簪のオペレートに従って電脳空間を進んでるんだが……なんかイキナリ謎のポリゴンモデルの大群が現れやがったぜ――なんて言うかこう、アニメに出て来そうなロボットって言う感じのが。

 

 

 

「如何考えても敵なんだろうけど、一応確認しとくわ簪、コイツ等何者なの?」

 

『アメリカのサイバー部隊がホストコンピュータをハッキングした際に送り込んだウィルスAIって言う所かな?

 こっちで解析した結果だけど、そいつ等の親玉がホストコンピューターを乗っ取ってる感じで、そいつ等は此方から送り込んだワクチンプログラムを排除する役目を与えられてるみたい。』

 

「つまり、先ずは目の前の此れを倒さないと、親玉には辿り着けないって言う事で良いのかな?」

 

『うん、その認識で間違いないよ静寐。』

 

 

 

ヤッパリ敵だよなぁ……しかしまぁ、電脳空間でこんな敵とバトルだなんて、まるで20年前に大ヒットした『ロックマン・エグゼ』みたいだぜ。――だがまぁ、倒して進むしかないって言うんなら上等だぜ。

俺達の装備はアーマーシュナイダーとサムライエッジだけだが、だからと言ってウィルスプログラムなんぞに負ける様な軟な鍛え方はしてないんでな?

時間が惜しいから速攻で蹴散らすぜ皆!!

 

 

 

「言われなくても……」

 

「その心算よ!!」

 

 

 

俺が飛び出すと同時に鈴と静寐も飛び出して、先ずは眼前の相手をアーマーシュナイダーで切り裂いて速攻滅殺ってな!――外部から打ち込まれたワクチンプログを排除するって事だったが、プログラムじゃない俺達は排除しようがないだろ?

俺達はデータじゃなくて、実体を持った人間なんだからな!!

 

 

 

『当該対象ヲ排除対象ト認定……此レヨリ排除――』

 

「だから遅いってんだよ。」

 

俺達の奇襲に驚いたウィルスが、俺達を排除対象と認識して攻撃してきたが、お前の攻撃なんぞ箒の乱撃術に比べれば遥かに鈍いんだよ!人間様を舐めんじゃねぇぞ、プログラム風情が!!

 

 

 

――バキィイィィィン!!

 

 

 

襲って来た奴を回し蹴りで粉砕ってな!!……ったく、マッタク持って相手にならないぜ。束さんが訓練用に作ったシミュレーターのエネミーの方が100倍強いってんだ。……束さんが作ったモノと比べるのがそもそも間違いかもしれないけどさ。

 

だがまぁ、此の程度の雑魚共は俺達の敵じゃないってのは間違い無いと思うぜ?

俺と鈴と静寐はアーマーシュナイダーと体術を駆使したガチのクロスレンジでウィルス共を撃滅してるし、乱と癒子と清香はサムライエッジのピンポイント射撃でウィルスの武器なんかを的確に破壊してくれてるからな。

アメリカの技術の粋を集めた電脳戦なんだろうが、この程度じゃ準備運動にもならないぜ。

 

 

 

「一夏君、パス!!」

 

「ナイスアシストだぜ静寐!喰らえや……キン肉星三大奥義が一つ、マッスル・リベンジャー!!」

 

 

 

――ドッゴォォォォォォォォン!!!

 

 

 

静寐が投げて寄越したウィルスにマッスル・リベンジャーかまして完全KOってな!!……夏姫姉ならマッスル・スパークなんだろうけど、弟である俺が使うのはこっちってな。

夏姫姉が主人公の技なら、俺はラスボスの必殺技だぜ。

そう言えば、鈴は?

 

 

 

「道を開けなさいよ雑魚共……アンタ達如きが、アタシと一夏達の道を妨げるだなんて烏滸がましいにも程があるわ!ぶっちゃけて言わせて貰うと、存在その物が目障り極まりないのよアンタ等は!!

 だから散れ!スピニングバードキック!!」

 

 

 

怒りをエネルギーに変えてウィルス相手にブルース・リーやジャッキー・チェンも真っ青なカンフーアクションを展開してましたとさ……まぁ、其れは良いとしてもだ、電脳空間だから現実世界では不可能な技をやるのを悪いとは言わなないし、やるなとも言わないけど、スカート姿でスピニングバードキックは如何なのよ鈴?

スカートでその技をやると、そのバッチリスカートの中が見えてしまう訳でして、正常な男子である俺としてはどうしても目が行ってしまうと言うか、目のやり場に困る次第なのですが?

因みに本日はピンクの紐パンですか……可愛らしさの中に絶妙に織り込まれたエッチさが最高です――って、そうじゃねぇだろ俺!!!

 

 

 

「今更パンツ見られたところで如何って事も無いでしょ?そもそもにして、アンタはパンツの中までバッチリ見ちゃってる訳だから、今更でしょ此れ位。」

 

「鈴さんや、其れは事実だから否定はしないけど、少しは空気読もうね?」

 

「……鈴お姉ちゃんとお兄ちゃんは大人の階段を上ってたんだ……そして多分箒も――と言う事は、あんな事やこんな事をしてる訳で、ぷしゅ~///」

 

「ら、乱が処理落ちしたぁ!?」

 

「飛び級でIS学園に来たとは言え、本来ならばまだまだ多感な中学生である筈の乱には、一夏君と鈴と箒の夜のバトルは刺激が強かったのかも知れないね……頑張れ少女。」

 

「静寐、ちょっと達観し過ぎてない?」

 

「そうでもないよ癒子……単純に一夏君とそう言う事をするのが想像出来ないだけだから。」

 

 

 

鈴がぶっちゃけ、乱が処理落ちして静寐が何やら気になる事を言ってんなぁ?……静寐の一言は、俺を恋愛対象に見れないって言ってる様に感じるな?……まぁ、俺には鈴と箒が居るから恋愛対象に見られても困るんだが。

……つかぬ事を聞きますが静寐さん、貴女の恋愛対象は若しかして男性では無くて女性だったりするのでしょうか?

 

 

 

「……良く分かったね一夏君?」

 

「はい、大当たりだった此れ!!」

 

夏姫姉と楯無さん、スコールさんと秋姉、ダリル先輩とフォルテって言う前例があるから、百合カップルに偏見は無いけど、静寐が百合女子だった事には驚いたぜ……狙ってる相手とか居たりするのか?

 

 

 

「……マリア、かな。」

 

「夏姫姉かと思ったら予想外のが来ちゃったぞオイ!!」

 

まさかマリアとはな……まぁ、マリアはアッシュグレーの髪が綺麗だし、一見するとお嬢様って外見だが口調はお嬢様語じゃないから、実は結構親しみ易いしな。

夏姫姉の大事なダチ公だから、付き合うならハンパな事だけはしないでくれよ静寐――其れと、俺達はお前の思いを全力で応援するからな!!

 

 

 

「ありがとう一夏君……でも、私の思いを成就させる為にも先ずはホストコンピューターを奪還して現実世界に戻らないとだよ――どうやら、ラスボスまで到達したみたいだしね。」

 

「此れが学園のホストコンピューターの中枢で、その前に居座ってる奴がアメリカの送り込んでくれたウィルスAIの親玉って事か……って事は、つまりアレをぶっ倒せばミッションコンプリートって事よね簪?」

 

『うん、その通り。』

 

 

 

そんな事を話しながら到着したのはホストコンピューターの中枢部――ハッキングによって本来の機能を果たす事が出来なくなっちまったIS学園の彼是を司る大脳だ。

そして、其処に張り付いてるのはウィルスAIの親玉……翼の付いた、何処かドラゴンを思わせる黒いロボットって、如何考えてもTMドラギオンにしか見えないんだけど、此れはまた最後の最後で面倒なのが出て来てくれたもんだぜ。

流石にコイツを相手にアーマシュナイダーとベレッタと体術だけで戦えってのは可成りの無茶振りだと思うんだが、コイツを倒せば全部終わりなんだからやるしかないぜ!!

 

「でりゃぁぁぁ!!」

 

「そいやぁぁぁ!!」

 

 

 

――ガキィィィン!!

 

 

 

で、先制攻撃として俺と鈴がアーマーシュナイダーで斬り付けたんだが、予想通りマッタク全然ダメージ受けた様子がないぜ……精々表面の装甲っぽいのが少し欠けた程度か。

PS装甲以外なら大抵のモノを斬り裂けるアーマーシュナイダーでこの程度じゃ、サムライエッジも大したダメージは与えられないだろうし、体術なんてもっての外か……通常攻撃が通じないってんなら、何か特殊攻撃が必要なんだが――簪、ビームサーベルとかのデータってこっちに送る事できない?

 

 

 

『ISの武器データは容量が大きくて転送するのに時間がかかるから無理だけど、其処は安心して一夏。

 代わりに、私がロックマン・エグゼシリーズで使ってたバトルチップのデッキデータを全部そっちに転送したから、其れでダメージを与えられる筈。』

 

『かんちゃんのデッキで使われてるチップはめっちゃ強いから、きっと役立つはずだよ~~~♪』

 

「マジか!!!」

 

此処で簪のナイスアシストって奴が炸裂だ――まさか、ロックマン・エグゼシリーズで自分が使ってたデッキデータを転送するとはな……生半可なオペレーターじゃ思いも付かない一手だぜ!!

だが、そのお陰で俺達の戦力は一気に高まった――俺に転送されたのは、ソード系がメインの近接戦闘特化デッキか……最高だぜ!!

近接戦闘こそが俺の真骨頂だからな!!

 

 

 

――ズバァァァァァァァァァァァァァ!!

 

 

 

即座にパラディンソードを使ってウィルスの親玉を斬りつけてやったぜ!!如何やら簪の読み通り、チップでの攻撃は有効みたいだぜ。

でもって、其れだけじゃなく――

 

 

 

「アンタはいらない存在だわ……だから、データの海で未来永劫彷徨ってろ!!そして、二度と戻ってくんじゃないわよ、この最悪のDQNプログラム。」

 

「鈴の意見に諸手を挙げて賛成……もう、消えて良いんだよ貴方は――と言うか消えて。」

 

「IS学園をお前達の好きにはさせないから!!」

 

「アメリカ合衆国、お前は束さんを怒らせた……其れは間違いない。」

 

「精々キッツいお仕置きを受けると良いよ――悲惨な事になるとは思うけど、同情はしないからね。」

 

 

 

鈴、静寐、乱、癒子、清香が強力チップでの波状攻撃を仕掛けてウィルスの親玉に大ダメージを与えた!――んだが、だからと言って倒した訳でもねぇか……ったく、台所に出る黒光りするG並みのしぶとさだなこの野郎?

だけどな、しぶときゃ良いってもんでもないんだぜ――此れだけの波状攻撃を喰らって尚、倒されてないのは大したモンだが、此れでも倒せないと言うのなら、こっちも切り札を切るだけの事だぜ!!

 

「プログラムアドバンス!ソード、ワイドブレード、ロングブレード、スロットイン!!ドリームソード!」

 

「プログラムアドバンス……その手があったわね一夏!!プログラムアドバンス!スプレットガントリプルスロットイン!!ハイパーバースト!!」

 

「バルカン3トリプルスロットイン!プログラムアドバンス、ムゲンバルカン3!!」

 

 

 

その切り札はプログラムアドバンスってな。

ドリームソードの攻撃力は400、ハイパーバーストは攻撃力は50だが着弾地点を中心に連続で爆発が発生する広範囲攻撃、ムゲンバルカン3は20×28回って言う凄まじい攻撃が出来るプログラムアドバンスだぜ。

 

 

 

「バトルチップ、デルタレイエッジ!」

 

「バトルチップ、クロスディバイド!」

 

「バトルチップ、ロードオブカオス!!」

 

 

 

更に清香、癒子、乱の3人は単体でも激強のギガクラスチップを使っての攻撃!

ってか、簪ってロードオブカオス持ってたのかよ!通常プレイじゃ手に入らない激強チップ……単発500はプログラムアドバンスなしではゲーム中では最強だからな。

敵とは言え、こんだけの過剰攻撃に晒されるお前に同情するぜウィルスの親玉――恨むなら、お前を寄越したアメリカを恨むんだな。

 

 

 

――バガァァァァァァァァン!!

 

 

 

次の瞬間、俺達の総攻撃が炸裂してウィルスの親玉は爆・発・四・散!!サ・ヨ・ナ・ラ!!だ。

此れで、学園のホストコンピューターを狂わせてた奴は倒した訳なんだが、ホストコンピューターの方は正常な状態に戻ったのか?

 

 

 

『……お疲れ様でした皆さん、現時点を持ってIS学園のホストコンピューターは正常な状態に復帰し、学園の各種機能も正常に作動している事を確認しました。

 此れにて、任務終了です。』

 

「虚さん……其れなら良かったっすよ。――ちなみにクリアタイムとクリアランクはどんなモンで?」

 

えっとね~~……クリアタイムは8分38秒でノーダメージ+オーバーキルボーナスを入れて、SSSクリアだよイッチー♪』

 

 

 

SSSランクか……流石は俺達ってか。

此れにて任務終了なんだが、俺達はどうやって戻れば良いんだ?誰か戻り方とか聞いてる?

 

 

 

「アタシは聞いてないわ、静寐は?」

 

「右に同じく。清香は。」

 

「静寐が聞いてないなら私も聞いてない。なので癒子にパス。」

 

「キラーパスを出すなキラーパスを。私だって聞いてないから。はい、乱ちゃんのターン。」

 

「帰還については聞いてない。って言うか、説明される前にあの変な空間に閉じ込められちゃったから、多分誰も聞いてないと思うよお兄ちゃん。」

 

「そう来たか。」

 

んで、結局俺達はどうやって帰還すれば良いんだ簪?

 

 

 

『一夏達は何もしなくて良い。

 電脳ダイブをした時と同様に、此方で操作して一夏達を電脳世界からログアウトさせるから、ログアウトが始まるまで適当に待ってて。』

 

「了解だ。」

 

考えてみりゃ、電脳世界にログインできたのは俺が何かをしたからじゃなくて、簪達が外部からやってくれたからだからな……ログアウトする場合もその時と同じなのは道理か。

 

んで、30秒ほど待った後に、俺達の身体は光の粒になって消え始めた……ログアウトが始まったって事なんだろうな。――一瞬で消えなかったのは多分だけど、身体の消えるスピードがログアウトの現在パーセンテージを現してるんだろうな。

もう俺を含めた全員が胸の辺りまで消えてるから、ログアウト完了まであと30%ってところか――そんじゃまぁ、完全にこの世界から居なくなる前に!

 

「MissionComplete!(任務完了!)俺達の勝ちだ!!」

 

「アタシ等に勝とうだなんて、1000年早いってのよ!修業して出直してきなさい!!」

 

「亡霊では執行者に勝つ事は出来ないから、この結果はある意味で当然の事かな?」

 

「へっ、テンで話にならないぜ。」

 

「其処で京様じゃなくてKUSANAGIの方で来るんだ清香。」

 

「あれはあれで人気があるからねぇ……でも此れで、アタシ達の勝ちだ!!」

 

 

 

バッチリと勝利宣言ってな!!

所詮はプロの居ない学園が相手だと思ったんだろうが、結果は俺達の完全勝利だぜアメリカさんよ?――しかも、ゴーストのIS部隊の半数はISRIの新戦力になるみたいだからな。

取り敢えずミッションコンプリート!蓮杖一夏以下六名、帰還するぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:夏姫

 

 

学園のホストコンピューターは奪還し、一夏達も電脳空間からログアウトした訳だが……一夏、アタシの事が分かるか?

 

 

 

「夏姫姉?……あぁ、分かるぜ。ただいま、夏姫姉。」

 

「あぁ、おかえり一夏。」

 

良かった、無事に戻って来たみたいだな――お前だけでなく鈴達もな。

アメリカが悪足掻きにお前達のログアウトを妨害して来るんじゃないかと危惧していたんだが、如何やらそれは杞憂だったみたいだ――尤もそんな事になったその時は、束さんがリミッター解除してお前達を助けるだろうけどね。

 

 

 

「束さんならやると思う……だけどまぁ、今回の事は此れで一件落着!――じゃないよな、夏姫姉?」

 

「IS部隊も白兵戦部隊も倒し、学園のホストコンピューターも取り戻したから一件落着だろう一夏?……お前は、これ以上の何が有るって言うんだ?」

 

「とぼけるなよ。

 此れだけの事をしてくれたアメリカを野放しにするなんてのはあり得ないだろ?」

 

「一夏の言う通りよ夏姫!今回の事は正式にIS学園からアメリカに抗議を入れるべきよ!!」

 

「鈴もか。」

 

いや、鈴だけでなく静寐達も同じ気持ちなのだろう――と言うか、アタシだって本音を言うのならばアメリカに抗議したい所だが、其れはやったところで徒労に終わるのは目に見えている。

ゴーストの連中は存在を抹消されているからアメリカの差し金である証拠がないし、ゴーストの隊員の証言があっても、アメリカは『そんな人間は存在しない』と言って知らぬ存ぜぬを貫くだろう。

ゴーストは、元来その為の部隊な訳だからね。

 

 

 

「なら、俺達は此のまま襲撃された事を泣き寝入りするしかないってのかよ!!」

 

「落ち着け一夏、誰もそうは言ってない。アタシ達に出来る事は無いだけだ。」

 

アタシ達に出来る事は何もないが、だからと言って手がない訳じゃない――アタシ達には何も出来なくとも、あの人ならばそうは行かないだろう?

と言うか、あの人が溺愛する妹が攻撃されて黙ってる筈がないからな。

 

 

 

「あ……束さん。」

 

「あ~~……タバ姐さんなら確かに。」

 

「グッバイアメリカ、彼方達の事は忘れないよ……2秒くらい。」

 

「めっちゃ短い!?」

 

「まぁ、其れだけ覚えてる必要ないって事だと思う――束博士の逆鱗に触れた以上、アメリカが世界のリーダーから転落するのは間違い無いから。

 此れも身の程知らずに喧嘩を売った報いだから、大人しく受け取るべきだよ。」

 

「ふ、その通りだな簪。」

 

世界のリーダーを気取っているアメリカであっても、束さんの手にかかれば核武装を理由に自国を強国であると思い込んでいる愚者でしかない――それ以上でもそれ以下でもないって奴さ。

取り敢えず、もうお前達が世界の覇権を握る事は出来んぞ合衆国?――お前達は、神以上に敵に回してはならない相手に喧嘩を売ってしまったのだからな……束さんは味方には頼りになる天才だが、敵には破滅を齎す天災だからね。

 

多分、今頃束さんはアメリカを断罪する準備をしている筈だ――若しかしたら、アタシ達が任務の疲れを癒す為のお風呂タイムの最中にアメリカに対して特大の爆弾を投下するかもな。

だけど束さん、決して無関係なアメリカ国民を無差別に殺す様な事だけはしないでくれ。そんな事をしたら貴女は本当にテロリストになってしまうから。

そんな事になったら誰よりも箒が悲しむだろうしね――まぁ、束さんならばそんな事は分かってるだろうから、最後の一線だけは越えないだろうけど。

 

……自信をもって『束さんはそんな事をしない!』と言えないのが辛い所ではあるが、まぁ、其れが束さんだと言う事で納得しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

Side:束

 

 

うんうん、アメリカが無謀にも送り込んでくれたIS部隊も白兵戦部隊も電脳ウィルスもなっちゃん達の手にかかれば一撃滅殺のポイポイポイ~ってところだねこれは。

まぁ、私的にはひっさしぶりにちーちゃんの戦う姿が拝めただけで満足なんだけど、だからと言って箒ちゃんに手を出した連中を許すなんて言う事はナッシング!!

この束さんの逆鱗に触れたらどうなるか、アメリカの能無し共に教えてやらないとね!!

 

 

 

「其れと、私の胸を鷲掴みにしているのにはどんな関係があるのか説明して貰おうか束?」

 

「目の前に立派なおっぱいがあるんやで?其れを揉まないという選択肢はないやろ!!」

 

「OK、我が主が言いそうな事ではあるが、中の人が違うので大幅にアウトだ!と言うか、私ではなくそう言う事は親友の織斑千冬にやってろ!!」

 

「ちーちゃんにやったら、速攻で束さんモザイクかも。」

 

「そうか……ならば私はSLBでお前の存在その物を消し去ってやろうか?」

 

「リインちゃん、其れは勘弁してください。」

 

箒ちゃんの花嫁姿を見るまで束さんは死にたくないし――何よりも、私のISを兵器として認識させるに至った『白騎士事件』を私とちーちゃんに起こさせた相手をぶっ殺すまで私は死ねない。

 

 

 

「ふ、知っているよ束……で、アメリカにはどんなお仕置きをする心算だ?」

 

「アメリカ所有のISコアを強制停止してやろうかと思ったんだけど、そんなのは面白くないし、今回の事を画策した馬鹿共は兎も角として、多くの無関係なアメリカ国民に罪は無いからね。

 だから束さんは馬鹿共だけを糾弾するのさ!!」

 

今回の事を糾弾しても、アイツ等は知らぬ存ぜぬを貫くんだろうけど、こっちにはアメリカ国民って言う最大の切り札にして人質があるってのを忘れんじゃないよ!!

お前等には束さんの恐ろしさを骨の髄まで教えてやるから覚悟しとけ!!!

取り敢えず、ピッポッパってね!!同時にハッキングで、世界中のテレビやオーロラヴィジョンに私の姿が映る様にしてやったぜい!!

 

「ハロハロ~~!世紀の大天才束さんだよ~~!!今日も今日とて元気に生きてるかな人間諸君♪元気に生きてるのなら其れに越した事はないから、その元気をお大事にね~~♪」

 

その弩派手な登場に、民衆は驚いてるみたいだけど、此れは未だジャブに過ぎねーんだよね――本番は此処からだから覚悟しなアメリカ合衆国様?

アンタ等は、私の大事な存在を傷つけようとした……其れだけで死刑確定さ!!

 

此処からは束さんのターンだから覚悟しな……天才兎に喧嘩を売ったその代償は、キッチリ払って貰うからね!!――少しO・HA・NA・SHIして頭冷やそうかアメリカ合衆国!!

 

 

 

「束……中の人的に間違いではないが、SLBだけはやってくれるなよ?……あの桜色の元気玉は駄目だ絶対。使ったら世界が滅びるからね……」

 

「星を砕く者だからね♪」

 

まぁ、何にしても束さんは敵に容赦するなんて言う器用な事が出来る性分じゃないから、私が振り下ろす斧の一撃を、大人しく喰らっておくんだね!!

其れが、謀略を巡らせたお前達に相応しい姿だからね……喧嘩売る相手、完全に間違えたよお前等は。

でもまぁ、今回事で一つだけ学べたかもしれないよ――束さんに手を出すべからずって事をね……まぁ、学んだところで今は後の祭りだけどさ!!!

私の断罪の刃で、お前等をずったずたにしてやるから覚悟しろよ?……束さんは、敵と認識した相手には何処までも冷酷になれるんだからね!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued… 

 

 

 

 

 

 


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