いきなりの評価に若干のポルナレフ状態でしたが恐怖を克服して投稿します。
杜王町ぶどうヶ丘病院の病院エントランスで、仗助、億泰、康一は空条 承太郎を中心に話し合いがなされていた。
「仗助、それで虹村 形兆を襲ったスタンド使いだと言う音石 明はどうだった?」
「どうもこうもぶったまげましたよ。下校の途中で億泰が爆発音を聴いたってんで行ったら血塗れの男が倒れていたんですもの! かなりヤベー状態でしたけど『クレイジーダイヤモンド』で慌てて傷を治しましたからなんとか一命は取り止めましたよ」
「成る程な。で、音石明は今?」
「ここのぶどうヶ丘病院の隔離病棟に入院中っス。怪我は俺が治したんスけどよっぽど恐ろしい目に会ったのか、かなり怯えちまってまともに話が出来ない状況ですよ」
「俺はよう~~音石の野郎は兄貴を殺そうとした奴だからよう~~見つけたらぶっ飛ばしてやろうと思ってたけどよ~~さすがに野郎のあんな姿を見たら殴る気も起きねぇ。哀れすぎだぜ」
億泰は隔離病棟で拘束具に縛られながら絶えず悲鳴をあげる音石明を思いだし複雑な心境であった。
「スピードワゴン財団が音石明の自宅を捜索してみたが形兆から奪った矢と弓が見つかった。それと奴がスタンド能力を悪用して集めただろう5億はくだらねぇ額の金品もな」
5億と言う単語に反応した億泰は学生服に付けられている$マークのように眼を輝かせながら指を折った。
「ご、5億ゥ? ヒェェー凄ぇなそりゃ! 5億つったら1万円札が~~えーと~~5千枚? あっ5億枚? ありゃ? 何枚だ康一?」
「5万枚だよ億泰君」
「どっひゃ~~! すんげぇのなぁ~~!」
道端でひっくり返る億泰を傍目に承太郎は険しい表情だった。それは黒い渦のように承太郎の頭の中をぐるぐると回り更に眉間のシワが濃く刻まれていく。
「音石 明は何者かの襲撃を受けた。それもスタンド使いのな。音石 明は誉められた人物じゃない。金品を盗まれたスタンド使いの復讐か、虹村形兆のように矢でスタンド使いにした奴の反逆か……どちらにせよソイツは音石 明を一方的に、徹底的に再起不能にしたほどのスタンド使いだと言うことだ」
仗助もまたつい先日自宅に現れた音石 明のスタンド『レッド・ホット・チリペッパー』に苦杯を喫した過去を振り返った。
「俺は奴のスタンドと闘ったことがあったがマジで強ぇスタンドだったぜ。そんな奴をいたぶるように倒すなんて正直言って信じられねぇ」
億泰は恐る恐る自身の隣に佇む男に視線を泳がせた。
「……心当たり……あるか?
兄貴と呼ばれた男、虹村 形兆は承太郎たちから一歩離れた場所から不機嫌そうに腕を組んでいた
「…………」
「おいっ、あんのかよ形兆!」
「まず……始めに言っておくぞ仗助。電線に引きずり込まれた俺を貴様のスタンド能力で助けてくれた事には感謝しよう。だが弟のように貴様と馴れ合うつもりはないッ」
「あ、兄貴……」
虹村邸にて突如仗助たちを強襲した『レッド・ホット・チリペッパー』から億泰を庇った形兆は、弓と矢ごと電線に引きずり込まれたが、仗助のスタンドによって辛くも一命を取り止めた。
「たくっ……勝手にしろよな。だがこれだけは答えろよ。お前が矢で射った奴の中に音石の野郎をボコボコに出来るスタンド使いはいるのかよ!」
「……いない。俺が矢でスタンド使いにした奴等の中には音石 明を倒せるかもしれないスタンド使いはいたが一方的に倒せる様な強力なスタンド使いはいなかった。ソイツは俺の矢でスタンド使いになった奴じゃないな」
「手がかりなしかよ……ま、案外正義感に燃える良いスタンド使いかもしれねぇが」
「俺はそうは思わない」
「承太郎さん?」
「音石 明の傷は奴をいたぶってできた傷だ。決して殺さず、あえて苦しむようにな。だからこそ音石は傷が治った今も病室で怯えている。これは俺の勘だが、この謎のスタンド使いからは何かとてもどす黒い意思を感じる」
「あ、あのう~~、取り敢えず音石 明はもう悪さが出来ないみたいだし……一応結果オーライなんじゃないですか? これで心置きなく仗助くんも、その……お父さんに会えるんだしさ!」
康一の言葉に仗助は塩をふったカタツムリの様にげんなりと力が抜けたように項垂れた。
「ゲェ……忘れてた。承太郎さん、やっぱり来ちゃうんですか?」
「ああ。本来の目的は音石 明を探すためだったが、結果的に隠し子になってしまった息子の仗助に会うのもジョセフ・ジョースターの大事な目的だからな」
「うぇぇ……プレッシャ~~」
「それとな……仗助、もう一人お前に会いたいと言っている人物が急遽現れた」
「え? 誰ですかそれ。まさかもう一人の隠し子なんて言いませんよねぇ」
「ぬ……それは……」
承太郎は珍しく窮したように言い淀んだ。そのハッキリとしない態度に康一は内心驚いた。
(うわ~~承太郎さんがどもってるぞ? レアシーンだ。いったいどんな人が来るんだろう)
「……あながち的はずれでもない。その人物はジョセフ・ジョースターの実の娘。血縁上は俺の母親でお前の腹違いの姉、空条ホリィだ」
一拍
二拍と間を置き三拍目に本日最大の声量で仗助は叫んだ。
「うぇぇ~!? 承太郎さんの母親で俺の義姉ぃ~~!?」
「本人がどうしても義弟に会いたいと年甲斐もなくはしゃいでな……今日、ジョセフ・ジョースターが入港する港で待ち合わせる予定だ」
「あ、あの~~俺ぇ勉強しなくちゃならないんで~~申し訳ないんスけど今日はパスで……」
仗助は背を縮ませソロリソロリとその場を逃げ去ろうとしたがいつの間にか元いた承太郎の目の前に移動していた。
「そろそろ港に移動してもいい時間だ。取り敢えず今日の集まりはこれでお開きといこう」
「ずっりぃ~~こんなことで時止めとか、てかスルー? 承太郎さん、そりゃねぇよ~~」
「用がすんだなら俺は帰らせてもらう。行くぞ億泰!」
「あっ、待ってくれよ兄貴~~! 仗助、康一、承太郎さん! またなー」
虹村兄弟がいなくなった後も仗助はしばらく病院内を行ったり来たりを繰り返し踏ん切りがつかずにいた。それを見かねて康一が仗助を説得する。
「仗助君、ジョセフさんもせっかくアメリカから来てくれるんだしさ。一回くらい会ってあげてもいいじゃない」
「……はぁ~~そうだよなぁ、いつまでもウダウダすんのはグレートじゃねぇよなぁ。よっしゃ! 親父だろうが姉貴だろうがグレートに会ってやるぜ!」
仗助が覚悟を完了させた直後、病院に向かう道から一人の男が必死の形相で仗助たちの方に近づいてきた。
「ハァ──っ ハァ──っ ハァ──っ!」
「なんだ? あのおっさん」
「子供を抱えているようだが……少しヤバそうだ」
男は両腕で子供を抱えていた。しかしその子供の状態は明らかに普通ではなかった。
「おいっ退いてくれ! 私は早く息子をこの病院に連れて行かなければならないんだッ」
溶けていた!
ドロドロに子供の足や手が見るも無惨に溶けていた!
「なっなんじゃこりゃ!? 体がドロドロに溶けてるぜこの子供ッ」
ショッキングな光景を見て怯んだ仗助に、承太郎がすかさず警告した。
「危ない仗助! 何か飛んでくるぞッ」
承太郎はスタープラチナの驚異的な動体視力で捉えていた。謎の男とその息子目掛けて飛来する『刺』のある弾丸のような飛翔物を!
「不味い───ッ あのクソ鼠めがッ 『キラークイーン』!」
大きく悪態をついた男はいきなり『それ』を出現させた。
「なにィーーー!? 『スタンド』だとーー!」
男が出した『スタンド』が真下の地面に触れた瞬間にアスファルトの地面が大きく爆発し、その衝撃波と破片によって飛翔物は男に直撃する前に迎撃された。
「うわ~~~~! アスファルトの道路が爆発した~~!?」
「これは……!?」
「な、何者なんだ!? この男は!!!」
仗助たちは謎のスタンド使いに視線を一点に集中させていた。だが男は息子を抱き抱えながらも器用に親指の爪を噛んでいた。
「……全く、なんて一日だ。こんな酷い一日は初めてだ……ッ」
今日は営業先からの直帰だ。時刻は午後4時を回っている。
部長職にもなって毎日せっせと営業に行くのは私くらいだと思うね。部下の奴等が一向に使えない為かわざわざ営業先から私を指名してくる所が多くて本当に困っている。
「そろそろ本気で部下の育成にも力を入れるか……今のままでは重要な案件は全て私がこなしてしまって結局評価が積み重なってしまう……」
管理職はやることが多い癖に見返りが薄い。会社を辞めて資産運用で生活する自信もあったが、それはそれで新たな労力とストレスが生まれるだけなので今の会社に落ち着いているのが現状だ。
足取り重く自宅に着き玄関の扉を開けようと鍵を差し込むと、扉の隙間から親父が勢いよくヒュンと写真に乗って現れた。
「吉影~~! 大変じゃ~~ッ」
「おいおい親父、いくら今日はしのぶが隣町まで出掛けているからって早人もそろそろ帰ってくる時間だぞ? あまり騒がしく家の中を動き回るのは……」
「そっそっそっそれが、早人君がッ 早人君が大変なんじゃ!」
「早人が? いったい何が……」
「玄関が開く音がしてわしは早人君が学校から帰ってきたと思ったんじゃ。じゃがすぐに恐ろしい悲鳴が聴こえて慌てて玄関にいったら……いったら……」
「早人ッ!?」
鍵を開けて玄関を開けるとそこには手足が見たことが無いほどドロドロに溶けた早人が倒れていた。
「この通り早人君の腕や足が溶けて倒れていたんじゃッ すまない吉影~~! わしは何も出来んかった~~ッ 苦しむ早人君を前にしてわしは無力じゃった~~!」
「嘆くのは後だッ 助けをッ そう、救急車をッ……繋がらない!? 何故だ!」
慌てて家の固定電話の受話器を取ったが何故か繋がらなかった。故障なのか電話線に異常があるのか分からないが直している時間はなかった。
「仕方ない、とにかく病院に連れて行かなければッ ここからなら車を使えばぶどうヶ丘病院が一番近い!」
私は急いで庭に駐車させている車に飛び乗りキーを回したが、一向にエンジン音がかかる気配がなかった。
「馬鹿な!? エンジンがかからないだと! 昨日車両点検をしたばかりだっていうのに……ええいッ」
こうなったら『足』で移動する他無い。運よくタクシーが道すがら捕まると考えるのはあまりに楽観的だ。そうなれば遠いが自力で行く方が確実と言うものだ。
自力で行くと決断し車から降りた私は早人を抱えようと座席を振り返った瞬間、偶然にもバックミラーに映る飛翔体を捉えた。それは私に向かって一直線に高速で接近してきていた。
「───はっ!?」
間一髪で体を捻り躱した私は、シートに突き刺さっている『針』を発見した。手に取り観察しようとしたが今度は複数発の『針』が迫ってきた。
「針? なんだこの針は───ま、まただッ!?」
ドアを閉めて早人と共に反対側のドアから脱出した私は庭で我が家に入り浸っていたブリティッシュ・ブルー種の『猫』であろう死骸を見た。
「うっ……あの『針』が刺さっているぞ。つまりあの『針』のせいで早人も?」
「吉影、危ない!」
しのぶが可愛がっていた野良猫が変わり果てた死骸になっていることに気を取られ、次なる『針』の飛来を失念していた私の背後に親父が躍り出た。親父は写真の縁を針で貫通され地面に差し留められてしまった。
「親父!」
「だ、大丈夫じゃ。針で地面に留められて動けんが今は早人君が先じゃ。わしのことはいいから病院に連れて行くんじゃ~~!」
確かに親父は幽霊。この3人の中では最も死ぬリスクが少ない。とは言え幽霊もスタンド攻撃は効く。もう一度死ぬことに変わりはない。
だが家庭を持った時、私は親父に宣言した。
────これからは息子と妻を優先する、と。
「……分かったよ親父。兎に角こうなったら足で病院まで行くしかない。だがいったいあの『針』は何なんだ。誰かが私と早人を狙っている。たぶんあの『針』を飛ばしているのは『スタンド』だが本体の姿が見えないッ」
早人を抱え病院に急ぐ私だったが常に周囲を警戒しつつどこから来るとも分からぬ『針』を躱すのは非常に神経と体力を使った。そして『針』は一方向からだけではなくあらゆる方向から放たれ正確に私を狙ってきた。
その為私は広い大通りは避けて遮蔽物の多い脇道へとルートを遠回りしなければならず、大きなロスとなってしまった。
「いったい敵はどこから『針』を撃ってきているんだ!? 辺りを探しても人影はない……まさか敵の姿も見えぬ程に遠く離れた距離から攻撃しているとでも言うのか!」
『スタンド』がどの程度個人で変化があるのかは分からないが常に移動している私を敵も追っているはず。なのにここまで全く不審な人影は見られない。それどころか人影すらない路地裏ですら変わらず攻撃されている。
「ん……あれは?」
改めて周囲にスタンド使いがいないか警戒すると、路地の物陰が小さく蠢いた。一瞬しか見えなかったが何かがいた。
「『キラークイーン』! 」
私はキラークイーンを出して近くの小石に触れた。
「『キラークイーン』第一の爆弾、この指に触れたものは何であれ爆弾に変える!」
キラークイーンによって爆弾岩に変えた小石を不審な物陰に向かって放つと、着弾する直前に一匹の醜悪な鼠が飛び出してきた。
「ね、鼠……だとッ まさかあの鼠が……?」
鼠は不気味な奇声をあげながら背後に機械のような『スタンド』を出現させた。それはまるで小型の固定砲台のように砲身が伸びこちらを狙っていた。
「や、やはりあの鼠がスタンド使いか! だがなんと言う射程距離だッ あれではキラークイーンが届かないッ 早人を抱えている状況では反撃など無理だ……ッ」
鼠は私が反撃をしようとする些細な動作にも敏感に反応して再び物陰に隠れた。野生らしく此方に隙が無い限り姿を現すことはしないのだろう。
逃げるしかないッ
あのクソドブネズミを始末してやりたいが今は早人の事が最重要だ。
それからはまさに屈辱の時間だった。反撃のしようはいくらでもあると言うのに早人を守らなければならない枷によって私はそれこそ鼠の様にこそこそと地面を這い回った。
ようやく目的地が見えてくる頃には、私の額には大粒の汗が流れ途中何度も身を隠した為ルビアムのスーツや靴はボロボロだ。
「や、やっと着いたぞ……ぶどうヶ丘病院だ! 早人……もう少しの辛抱だ」
「ハァ……ハァ……じ、地面を爆破させた衝撃と破片でなんとかあの厄介な『針』を防ぐことには成功したぞ……所で君たち、私は息子を早く病院に連れて行かなければならないんだ。退いてくれ」
病院に着いたのは良かったが私がスタンドで地面を吹き飛ばす所を学生たちに見られてしまった。厄介な……
どう言い訳しようかと考えていると
「おいアンタ! ナニいきなり地面を吹っ飛ばしてんだ! 説明しやがれ!」
「す、スタンド使いだよ仗助君! この男の人はスタンド使いだよ!」
「……の、ようだな」
「君たち……私のスタンドが見えるのかい? 驚いた。スタンド使いは珍しい能力だと思っていたのだがね。だが今はそんな事どうだっていい。退きたまえ、私は病院に用があるんだ」
「いいから説明しやがれ……何で道路を吹き飛ばしたッ」
私の前に障害物として立ちはだかった青年……どう見ても不良だ。
改造と言うのも生易しい程に改悪された制服に常にガンを飛ばしているかの様な不躾な目付き、そしてこの『ふざけた頭』
紛うことなき不良だ。それもかなりダサい。
早人には絶対にあんな髪型にはさせない。
「退いてくれ! 私は急いでいるんだッ」
コイツらに構っている暇など無いのだ!
スタンドを見られたとか、コイツらもスタンド使いだとか、そう言った雑事で私を煩わすな!
貴様らには分かるまい! 腕の中で微かに悲痛な息をする実の息子を抱える私の気持ちが!!
「おいおい、落ち着きなよ。アンタの息子さん? はもう治したぜ?」
「勝手に早人に触れるな! 貴様はナニを言って……ま、まさか! 治っている!?」
驚きの光景だった。
いきなり息子の患部に触れた不良を振り払うと、不良の言う通り息子の溶けてドロドロになっていた肉がまるで夢だったかの様に元に戻っていた。
「俺のスタンドは怪我を治すことが出来るんだよ。で、いったいアンタは何者でどうしてスタンドで道路を爆発させやがったんだ?」
「そ、それは……」
混乱していた。あまりに都合が良すぎる。
息子が重症を負って病院に担ぎ込んでみればそこには怪我を治せるスタンド使いがいた。まるで漫画の様な都合のいい展開だ。運命だとでも言うのか?
「話せば、長くなるようで短いのだが……」
「じゃあ話してくれよ」
「そ、そんな隙はないッ! あのクソッタレ鼠も既に私やお前たちを射程に捉えているぞッ」
「ね、ネズミ~~? ナニを言ってるんですかあなた……って、うわぁぁぁぁ!!?」
鼠を危険視する私を訝る康一と呼ばれた少年が突如悲鳴をあげ倒れた。
危ないところだった。見れば肩に『針』が刺さっている、あと少しずれていたら私に当たっていた。
「康一君ッ 肩が溶けてるぞ!」
「康一! ドラァ!!!」
仗助と呼ばれた不良の青年はスタンドを出現させ康一の溶けた肩を殴った。すると溶けた肉が時間が巻き戻る様に元の正常な肉体に戻ってしまった。
どうやら怪我を治すと言う能力は本物のようだな。
「ね、鼠だ! 何処かに隠れているスタンド使いの鼠が攻撃しているんだ! 助けてくれ! ついさっきそこで襲われたんだ!」
「ね、鼠だと~~ッ おいおい、ならここはヤベェ……俺たちには隠れる場所がほとんどないが鼠にすれば格好の射ち下ろしポイントだらけだぜ……」
「じょ、仗助君どうしよう~~!」
よし、いい傾向だ。上手い具合にコイツらを闘いに巻き込める。早人も無事治った。過程は予想外だったが結果は望み通りだ。
後はコイツらを上手い具合に盾にして……
「仗助、康一君、そいつから離れろ」
私の算段に冷水を浴びせる一言を放ったのは3人の中で最も年長の男だった。白を基調とする
「その鼠とやらの狙いは、恐らくこの男かその息子だ」
「な、何で、そんなことが……現に僕は今襲われたんですよ?」
「さっき康一君が攻撃された時、確かに鼠がチラリと視界に見えた。鼠に襲われたと言うこの男の主張は恐らく間違ってはいないだろう。だがこの男はつい先ほど襲われたと言うが、服の汚れや汗の量からしてかなり長い間逃げていた事が分かる。そして今の攻撃もたまたま康一君がこの男も同じ射線上にいたから流れ弾を喰らったんだ」
「けどそれだけで判断するっつーーのも軽率じゃないっスか?」
「アーネスト・トンプソン・シートンは言った。
野生はリスクを極力まで冒さない。この男の言う通り無差別に襲っているのならばわざわざ手強い俺たちスタンド使いをスタンド使いの鼠が何度も襲う訳がない。ここは病院、襲いやすい手頃な餌なら其処らに転がっているはずだからな」
ま、不味い……ッ この承太郎とか言う奴……馬鹿じゃない。それどころかかなりキレる奴だ。いきなりキラークイーンの爆発や鼠の針を目の当たりにしてもしっかりと私と言う存在を観察している! 明瞭だッ
「ま、待ってくれっ……私たちは被害者だ! 見捨てるって言うのかッ」
「そうですよ承太郎さん。怪しい奴なのは分かったっスけど、じゃあこの親子を見捨てろって事ですかい~~?」
「そうは言っていない。おいアンタ、この病院には『音石』と言う患者が入院している。何か、心当たりはないか?」
「……ッ!??」
その名を聴いた瞬間全身の汗腺が開き収まりかけていた汗は再び流れ出した。
何故……? 何故オトイシアキラの名をコイツが知っているんだ? そして何故私にそれを尋ねるのだ! いったいどんな思考で私とオトイシアキラを結びつけたんだ!
「い、いや……何の話だ、私はそんな
「不思議だな。何故
───しまった!
焦り過ぎたッ……だが大丈夫だッ……気持ちを大きく持て! 私は吉良吉影だッ この私が今まで切り抜けられなかった困難など無い! まだ巻き返せる!
「な、名前だよっ ほら、オトイシアキラ……この名前で女性だと考えるのは少数派だろ?」
「いや、どうやらマヌケは見つかったようだ。お前は『嘘』を吐いている」
「なっ……何を根拠に……」
「俺は一度も、音石の名前が『明』だとお前に言ってはいない」
「………………………」
何かが私の中から飛び出て懐かしいモノが入ってきた。
「………………………」
感じる……感じるよ…………
久しく感じていなかったこの感覚……私は覚えている。
「………………………」
爪だ……爪が伸びる感覚だ……ッッ
5㎜……いや7㎜……まだ伸びる……1㎝! 1.5㎝! にッ……2㎝!!!
信じられない。新記録だ! 『絶好調』だ!!!
「グ……」
此は!
この現象を私は知っている!
この現象の意味とッ その元凶を私は知っている!
「グ愚……ク苦苦苦オオ悪悪悪オォォ……ッ」
この目の前の『スカした』白服に身を包む『クソカス』野郎を『ぶっ殺したい』! 私自身の魂の叫びだァッ!
「つべこべ言うな! 私が退けと言ってるのが聴こえないのかァ!!! このド低能がァァァアア~~~~ッ!」
爆発だ!
まさに感情の発露ッ 怒りの爆発だ!
「あぁそうさ! 音石 明は私が再起不能にした! 野郎は私から大事な物を奪った! 悪いか!!!」
「おいおい、おっさんよ~~にしちゃあやりすぎじゃねぇのか! 俺が偶然駆けつけて治さなきゃ音石 明は死んでたッ それに野郎は今も精神病棟に拘束中だぜ!」
「……正当防衛だッ 私はあくまでッ 平和的に対話で交渉しようとしたのだ! その私を野郎は殺そうとしたのだ。それで無我夢中になってしまってねぇ……っ」
さながら裁判で追い詰められた被告人の気分だ。検察にも責められ弁護人にも責められ裁判官にも責められる。今の私には味方がいない。
一通り私が音石明の件を白状すると承太郎は一つの提案を持ち出してきた。
「……この状況では、信頼が一番だ。お互いのスタンド能力を隠さずに打ち明ける。俺たちが喋りアンタも喋れば、アンタのピンチを打開するために協力しよう」
「……き、貴様ッ 私を脅す気か!?」
「お前が悪のスタンド使いでないと言う証拠は今のところない。あの鼠と実はグルと言う可能性も捨てきれない」
よくもヌケヌケとッ と吐き捨ててやりたいが現状私が不利なことに変わりはない。キラークイーンは無敵だ、コイツらを『始末』するのは簡単だろう。だがあの鼠を処理するのは私一人ではかなりてこずる。最悪私も体をドロドロに溶かされるかもしれない。そのピンチになったとき、仗助のスタンド能力は必要不可欠になる!
落ち着け吉良 吉影。ビジネスでもそうだ。一時の感情に支配された状況での取引は判断を誤ってしまう。
承太郎のクソッタレにコケにされた吉良 吉影ではなく、早人を守らなければならない吉良 吉影として行動しろ!
「……わ、分かった。言おうじゃないか」
「なら、見せな。お前のスタンドを……」
私は少し躊躇ったが意を決して背後にスタンドを出現させた。思えば誰かにスタンドを見せる行為はこれが初めてだ。
「『キラークイーン』これが私のスタンド……だ。能力は触れた物を爆弾に変える能力。何であれ……だ」
「成る程。それで地面が爆発したと言う訳か……危険なスタンド能力だ」
私はもう一つの能力を意図的に隠した。敵とも味方とも分からない者に手の内を全て明かすのは危険すぎる。
第一この承太郎がいくら鋭くとも分かるまい。
「さぁ言ったぞ。君たちも早く能力を明かして私に協力してくれないか」
「待ちな。
「……ッな、ナニを言っている」
「後で直ぐバレる嘘はつかない方がいい。後悔することになる……!」
「……ッッ」
こ、コイツ! 私を疑っているッ
刑事ドラマの主人公の様に私に疑いの目を向けている!
「……それとも、今思い出したのなら、聞いてやる」
「…………」
の、伸びる……爪がァァァ~~~伸びていくゥ~~!
殺してやりたい! 今すぐ爆死させてやりたい!
「…………まぁいいだろう。お前を信用しよう。取り敢えず、な」
嘘だ。口ではああ言っているかコイツは私のことを全く信用していない!
「承太郎さんッ 鼠がまた撃ってきましたよ!」
仗助から告げられた警告通り私に向けて迫る複数の針は後数秒で正確に命中する距離と位置にあった。
「くっ……キラーク────」
後に私はこの時の事を今でも思い返し何度も自分に問いかけ同じ結論に達する。
「ここは俺がやろう。『スタープラチナ・ザ・ワールド』」
私は誓ってまばたきをしていなかった!
「───イーン! 迎撃し……??」
針は私を襲うことはなかった。針は私の立っている場所から数メートルずれた位置に着弾した。
だが、針の代わりに私は急激な違和感に襲われた。
「~~~~ッう、動い……た?
混乱する私の前には承太郎とそのスタンドも思われるモノが立っていた。
何処と無く承太郎に似た顔つきや頭髪を生やした姿はキラークイーンよりも人間を想起させる。
それでいて筋骨粒々な肢体に肩パットやブーツを備えた出で立ちは屈強なギリシャ神話の戦士のようだ。
「俺のスタンド、『スタープラチナ』は
「なッ ナニ!?? 時だってェッーーーー!」
さも当然のように告げる承太郎のスタンド能力に私は動揺を隠せなかった。
今時SF作家や漫画家も躊躇う安易で誇大な能力だ。
だがしかし実際どうだ。その時を止める現象に立ち会った私の感覚は、承太郎の言葉を素直に受け入れ始めている!
それだけの衝撃だった。催眠術や超スピードで説明できる感覚ではなかった。それだけは断言できる。
なんと言うことだ……ッ そんな能力があるのでは始末ができない!
もしこの男が私に敵対すれば、あの鼠など可愛い程の最悪の事態に陥ってしまう!
「それじゃ次は俺っスね。『クレイジーダイヤモンド』」
仗助のスタンドは承太郎のスタープラチナの落ち着いた色合いとは打って代わり本人の珍妙なファッションそのままに全身がハートマークやピンクカラーで彩られかなり目をを引く。
そしてそれが私の体に触れると、私の破けた衣服やかすり傷などが修復されていった。
「服が治っていく……なるほど。『直す』ことや『治す』こともできるのか」
「アンタも擦り傷やら服のほつれやら、色々ダメージがあるみたいだから元に戻した。俺の隣の奴は康一って言って擬音を実体化させたり相手に染み込ませたり出来るスタンド能力だ」
「ど、どうも。広瀬 康一です」
「そ、それでどうする! 鼠を始末しないことには……」
「問題ない。そうだな仗助」
「バッチしですよ承太郎さん。康一、あの鼠の鳴き声聴いたよな?」
「う、うん。あれはドブネズミの鳴き声だよ……あぁっそっかぁ! 分かったよ仗助君!」
「頼むぜ~~じゃ駆除開始といきますか!」
私がほうほうの体で逃げ回った鼠を相手に仗助たちは勝利を確信しているかのような振る舞いだった。
「な、ナニをするつもりだ? あの二人……あの鼠はかなり厄介だぞ」
「黙って見てな。直ぐに分かる」
「それじゃいくよ仗助君『エコーズACT2』!」
爬虫類や昆虫を思わせる奇怪な姿の康一とか言う小僧のスタンドは、仗助や承太郎に比べてかなりちんけな見た目だ。
「まず、康一君がエコーズでドブネズミの位置を探る」
「いたよ仗助君! ネズミ特有のリズムの速い心拍音が聴こえてくるッそこだエコーズ!」
康一のエコーズはシッポの先端をなんと放り投げた。それは康一が指差した鼠の潜む位置へと直撃した。
「馬鹿な、いくら場所が分かったからと言ってあんな大雑把な攻撃が当たる訳無いじゃないか」
「いいや、今エコーズが放った音玉は猫の鳴き声だ。原始の時代から記憶に刷り込まれている天敵の鳴き声を奴は決して聞き逃さないだろう。野生の本能で周囲を警戒する鼠は一瞬仗助を視界から外す」
「ヨッシャ康一ィ! 勢いよく頼むぜ~~?」
何をするつもりなのか。鼠と仗助の距離は100メートルは離れている。遠距離型スタンドでもない限り鼠に気取られず素早く近づくなど不可能に近い。
しかし仗助は走る訳でもスタンドを飛ばす訳でもなく呑気に突っ立っている。その背中には『ボッカァ~~~ン』と文字が書かれていた。
「『エコーズACT2』仗助君をぶっ飛ばせ!」
「仗助が翔んだ? これが彼の擬音を実体化させるスタンド能力の意味なのか 」
その距離は丁度100メートル。距離の問題を瞬時に解決した。しかも空中を移動している為鼠の位置を上から見下ろせることで正確な位置すら移動中に把握することができる作戦だ。
「この距離ならよぅ~~その砲台よりも拳の方が速いよなあ~~!」
遠くからでよく見えないが仗助が着地と同時にスタンドの拳を振り下ろすと、鼠特有のキーキー声が微かに聴こえた。
「……やったのか? 本当に? これで終わり?」
「どうやらそのようだな」
正直なところあまりに簡単すぎる。あっけなさすぎる結末だ。
私の苦労は一体なんだったのだ……
私が命懸けで逃げてきた仗助に鼠は倒され本人は呑気にこちらに手を振っている。
「やりましたよ承太郎さ~ん。康一もナイスアシストだったぜ」
こちらに駆け寄ろうとした仗助だったが、突如承太郎の目が見開かれた。
「───ヤバい! 仗助ッ そこから動くなッ」
「え? ……ゲッ! なんじゃこりゃ~~よく見たら周りの地面にあの鼠のスタンドの針がまきびしみたいにばらまかれてやがる!?」
「グッ────」
周囲を見渡していた承太郎が唐突もなく倒れた。
理由は直ぐに分かった。右足が溶けている。
「うわあぁ! 承太郎さ~~ん!」
「来るな康一君! 油断したッ どうやら敵はもう一匹いたようだ……!」
承太郎の指差す方向には、ぶどうが丘病院に設置されている噴水の頂上部に砲台のスタンドを構えた鼠が陣取っていた。
康一は情けない悲鳴をあげて天を仰いだ。先ほどまでは優秀な奴だと思ってたがやはり子供だ。詰めが甘い。
「ギッギッギッ!」
鼠はやはりと言うべきか私に向けて砲身を構え、まるで嗤っているかのような鳴き声をあげていた。その表情は獣とは思えないほど人間らしく下卑た印象を覚える。
「うわぁぁぁぁ! もうだめだ~~」
「フッ───勝利を確信して警戒心ゼロで獲物を嘲笑するだなんて、君は獣以下だな」
「ギ……?」
私の言葉が通じているのか、はたまた憮然とした態度を見てか鼠が不審がる。
だがその不審も直ぐに後悔と絶望で立ち消えるだろう。
正確に言えば君の後方5メートル程にいる『シアーハートアタック』によってだが。
「コッチヲミロ~~!」
「ギ!? ギギッギッギッーー!」
勝ち誇る訳ではないが負傷した承太郎を見下ろしている今の構図はだいぶ私の溜飲を下げてくれている。
私のこれからの行動は結果的にコイツらを助けることになるが、それについてはなんとも思わない。
「承太郎……と言ったかな君は? そう言えば
承太郎などドロドロに溶けて排水溝に流され下水処理施設で塩素消毒でもされた方が私は幸福だが今は助けることにしよう。この吉良吉影が愚図でノロマで鼻持ちならないスカした承太郎を救ってやるのだ。いい気味だ。
「爆死させてやる『シアーハートアタック』」
シアーハートアタックは鼠の俊敏な動きを遥かに上回るスピードで鼠に突貫して無慈悲にその四肢を潰した。
鼠も無抵抗ではなく何発か針をシアーハートアタックに当てたが、音石 明の馬鹿げた雷級の雷撃すらそよ風が肌を撫でるように受け止めた耐久性だ。そんなモノが効く訳がない。
「ギ……ギィィィ! ギギッ~~!」
四肢を潰された鼠はスタンド攻撃も効かないと見るや即座に仰向けになり私に腹を見せた。
「勝ち目が無いと見て服従のポーズかね? ドブネズミ風情が随分虫がいいな。だか確かに小動物を殺すのは少々後味が悪い」
「おい、アンタ。下手な情けは……」
「うるさい、承太郎。
鼠君、思い返すといい。私が君に追い回されている時に命乞いをしたかね? してないよなぁ~~私は早人にいつも他人は遣うモノであり頼るモノでは無いと言い聞かせている。ましてや神や仏なんかのようなスピリチュアルな存在に拝み倒すようなふざけた行為などあり得ない」
「キ……キ……キキィィ……」
「私を見習いたまえ……その0.4グラム程のちっぽけな脳でな」
鼠にとって今の私は猫か蛇にでも見えているのだろうか。どちらにせよ鼠は私の眼を見て自分の運命を悟った筈だ。
「確実に葬ってやる。快くね」
「コッチヲミロ~~!」
シアーハートアタックは仰向けに寝転ぶ鼠の腹を突き破り絶命させ、カチリと時計の針のような小さな音と共に盛大な爆発を起こした。
綺麗さっぱり、肉片一つ残らず鼠は消滅した。
全て片付いた後、仗助は承太郎の治療をしていた。
私としては余計なことだ。そのままドロドロになっていればよかったのに。
「……ひとまず礼を言おう。お前がいなければ俺たちは全滅していたかもしれない」
「マジすげェぜおっさんよ~~! あの髑髏の戦車は何なんだぁ?」
「……『シアーハートアタック』と言う。キラークイーンが放った遠距離用の追撃爆弾だ」
「へ~~遠距離用のスタンドも持ってるなんてかっこいいなぁ」
康一が私をきらきらとした眼で眺めている。
情けない奴だが他の二人に比べれば遥かに小気味良い。
早人の友達には彼のようなタイプが適任かもな。
「……だが妙だ。遠距離用のスタンドがあるなら何故ここまでそれを使わずに逃げてきた?」
チッ
この承太郎と言う奴、いちいち私に突っ掛かりやがって……どうも警戒されている。コイツのせいで言わなくてもいい情報までコイツらに話さねばならない!
「……『シアーハートアタック』は細かな操縦が出来ない故に、人間の体温を自動で感知して爆破する。だから敵の位置が分からない状態で放てば無差別な殺戮兵器を町に放つことになる。さっきは鼠が油断して姿を現したからそこに向けて放った。鼠の体温は約39℃、周囲に人間がいても近くの鼠を最初に始末する」
「か、カッコいい~~なんて強力なスタンドなんだ!」
「カッコ、いい……?」
「うんうんッ カッコいいですよ! あなたのスタンドもそうですけどそのクールな感じがアメリカンコミックのヒーローみたいで!」
「……ふんッ そうかね」
注目されるのは好きではない。だがこの康一、確か名字は広瀬と言ったか……素直かつ純粋でなかなか好感が持てる人間だ。
「ぱ、ぱぱ……」
「早人……大丈夫か?」
「ぼ、ぼく……学校から帰ってきて、玄関を開けたらネズミがいて、気づいたらあ、足が……」
「もういいんだ早人。全て終わった。一緒に帰ろう」
「う、うん。この人たちは?」
「……お前を助ける為に協力してくれた人たちだ。お礼を言いなさい」
「あ、ありがとうございます。ぼく、吉良早人って言います」
「気にすんなよ早人。俺は仗助、こっちは康一と承太郎さん。お前の父親はお前の為に命懸けで走り回ったんだぜ? グレートな父親だぜ!」
「本当なの、パパ? ありがとう」
「……」
承太郎はまだ私と早人を睨んでいやがる。そんなに私と早人が怪しいか!
「……ふん。音石 明君にはお大事に、とね。盗みについてはもうあれこれ言うつもりは無いのでご安心を。私たちは帰るよ」
「そう言えば、名前をまだ聞いていなかったな」
クソっ……最後の最後まで……承太郎め!
「……吉良吉影だ」
コイツの事は絶対に好きになれんな。
「生き残ったか、吉良 吉影……ッ」
吉良親子が承太郎たちから別れる姿を、ぶどうが丘病院の窓から睨み付けている人影があった。
「必ず……必ず……貴様を殺す」
承太郎とパパ友に慣れなかった吉影。康一君は気に入ったもよう。
もし吉良が仗助にダサいと言ってたらこの小説は今回で完結してました。