ドッキリ男の恋―君はたった一つの星―   作:@星きらり

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宜しくお願いします!


プロローグ


 

 「やぁ、僕は今、カメラを回してる……ちょっと待って、角度が……」

 

 ガタガタ……

 

 「……よし。やぁ、僕は今、カメラを回してる。ここは完全プライベートな僕の唯一の楽園(オアシス)です。多分……、多分ね。さすがにこの部屋は大丈夫だと……」

 

 左右を見回す。

 

 「まぁ、それはいいとして」

 

 ん"っん"っ! 咳払いを二回。

 

 「ところで、唐突なんだけど。皆さんにとって人生とは。人生、とは。一体なんでしょう?」

 

 後ろに手を回して何やら本を取り出す。

 ボロボロの本。

 それを捲りながら―。

 

 「例えば、マザー・テレサはこんな言葉を残してる。人生とは……

 

  『人生とは機会です。その恩恵を受けなさい。

   人生とは美です。賛美しなさい。

   人生とは至福です。味わいなさい。

   人生とは夢です。実現しなさい。

   人生とは挑戦です。対処しなさい。

   人生とは義務です。全うしなさい。

   人生とは試合です。参加しなさい。

   人生とは約束です。それを果たしなさい。

   人生とは悲しみです。克服しなさい。

   人生とは歌です。歌いなさい。

   人生とは闘争です。受け入れなさい。

   人生とは悲劇です。立ち向かいなさい。

   人生とは冒険です。挑戦しなさい。

   人生とは幸運です。呼び込みなさい。

   人生とはあまりに貴重です。壊してはいけません。

   人生とは人生です。勝ち取りなさい。』   

                           」

 

 全て読み終えると、深い溜息をつく。

 

 「うん。そう。そうなんだよな……」

 

 何かぶつぶつ一人で言っている。

 

 「この中のどれかが、今の誰かの胸に凄く響くとして、それはこの16の、〝人生とは〟のどれかに、まるで季節のように移り変わりながら、その時を味わって生きるのだろうと思うのだけれど……あ、ちょっと待って」

 

 は……はっくしょん!! 大きいくしゃみを一つ。

 

 「ごめんなさい。とどのつまり、人生とは、なんでもあり、ってことで。幸も不幸も冒険も逃亡も勝つも負けるもなんでもあり、いろんな人生があって……」

 

 ティッシュを手に取り、鼻を拭く。

 

 「みんなそれぞれ必死にその人生を歩いたり走ったりしているわけだ。いや、当たり前なんだけど。なんだけど、ね。そんな複雑極まりない人生が、なんとこの日本だけで、1億2709万4745通りあるって事なんだよね。そう、人の数だけ-ってやつ。それが全て絡み合ってこの世界が生きてる……そう思うと、少しは僕も救われる気がするんだ」

 

 はっくしょん!! 

 

 「あーもうっくそっ!なんでこのタイミングで出るんだよ!まぁ、で、うん。なんで今更人生について考えてんのかっていうと、実は」

 

 少し顔を赤くして、横を向く。 

 そして頭をポリポリ掻いてから、またカメラを向く。

 

 「実は、生まれて初めて、恋をしたのです」

 

 今度は顔を真っ赤にさせ、下を向いてから、またカメラを向く。

 

 「した、というよりも、「「してしまった」」のほうがぴったりかな。だって、この恋だって仕組まれた事なのかもしれないし、僕はつい最近まで一生恋愛なんてするもんかって、強く思ってたからね。だって、僕の人生は……」

 

 少しの沈黙。

 

 「僕の人生は、ドッキリだから」

 

 

 

 

 

 これは―

 1億2709万4745分の1の中から選ばれた、

 「「一生ドッキリをかけられ続ける」」という仕事で生きていかなければいけない、

 不幸な男の全記録である。

 

 

  

 

 

 

 




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