ドッキリ男の恋―君はたった一つの星―   作:@星きらり

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2話 誕生日プレゼント

 

 

 

 

 「街角インタビューです。今日は、なんと放送されてから今までの5年間ずっと、視聴率が衰える事のない『爆笑!ドッキリ男』の、ドッキリ男について質問してみたいと思いまーす!」

 

 ラーメン屋『超大吉』で、サングラスと帽子で変装しながら味噌ラーメンを啜っていた優海(うな)は、小さなブラウン管テレビから元気よく聞こえてきたアナウンサーの声に、思わずラーメンを噴出しそうになったが、なんとか堪えた。

 

 「爆笑!ドッキリ男は、御覧になってますか?」

 「はい、見てます。ふふ」

 「彼をどう思います?」

 「どう、ですか?あの方、一般人なんですよね。もっと他のバラエティーに出てもおもしろいんじゃないかと思いますけど、出ませんよね」

 「本人がドッキリ一本で行きたいと言っているようですよ」

 

 「ぐぉほっ!」せっかく堪えたものが出てしまった。どこ情報だよ!

 

 「もうドッキリの職人ですねーあはは」

 「あまりにも長い間ドッキリをかけられていて人間不信になるんじゃないか、可哀想だと言う声も出ていますが、どう思われますか?」

 「う~ん、まあビクビクしちゃうかなぁとは思いますけど……もう慣れたんじゃないですかね?でもこの間の焼肉のやつ、めっちゃくちゃ笑っちゃいました。これからも頑張ってほしいです」

 「なんでかずーっと見ていられるんですよね。ドッキリ男、彼の魅力だと思います。ありがとうございました!」

 

 優海(うな)はなんだか背中がそわそわする思いがして、急いでラーメンを食べ汁を飲み干した。

 そして帰ろうとした時、

 

 「へいお待ちどう!」

 「いや頼んでねーし!」

 

 すぐに次のラーメンが運ばれてきて思わず突っ込み、周りを見渡した。

 すると案の定、クスクス笑うお客に紛れていつものカメラマンがこちらにカメラを向けていた。

 この忙しい昼時にやるな!

 

 「間宮(まみや)、お前…」

 

 バン!! バンバンバン!!

 

 「えっ!なに!?ちょっ!!」

 

 カメラマンの間宮に文句を言おうとしたとき、背後から店員がクラッカーを鳴らしてきて、優海は驚いてよろけてしまい、さっき運ばれて来たばかりのラーメンに手を突っ込んでこぼしてしまった。

 

 「あつ!! あっつ!! 水!!水水水!! 火傷するってほんと!!」

 

 満員の客は腹を抱えて笑っている。

 そして店員がバケツを持ってきて、まさかと思ってる間に、頭から水をかぶせた。

 

 「つ……」

 

 全身ずぶ濡れだ。

 

 「昼時の店でこんな事するなぁ!!こんなの許すな店長!!」

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 「間宮。お前ほんとにしつこいぞ!」

 「あぁらぁ。いつもの事じゃなーい。今日も取れ高最高よっんっチューしてあげたいくらい」

 

 間宮翔太(しょうた)は5年間優海を撮り続けてきた専属のカメラマンだ。誰がどう見てもイケメンと答えるであろう顔立ち、身長も180はあるモデル体系の、隠れ(一見草食系)肉食系美男子である。

 すでにお分かりのように、彼はゲイ。

 今日は良いのが撮れたから焼肉を奢るわと言って、夕食に焼肉を二人で突いているところだ。

 

 「あれから……もう五年が経つのねぇ」

 「なんだよ急に」

 「だってもう二十歳よ。出会った頃は15歳のちんちくりんだったのに」

 「ち…だからなんだよ急に」

 「あなたって、ほんと欲がないわよね。ドッキリ以外の番組には出ないし、名前も未だに公表してないし…まぁネット上ではとっくにバレちゃってるけど。一般人のまま事務所にも所属しないでこんなに視聴率もってっちゃうなんて業界至上初の偉業よね。もっともっと稼ごうと思えば稼げるのよ?今、あなたが大黒柱なんでしょう?」

 「……今でちょうど良いんだよ、俺は」

 「ほんと、健気っていうかなんていうか」

 

 金を持てば持つほど恐くなる、ただシンプルなそんな理由だなんて言えない。それにただでさえビクビクしながら生きてるんだ。これ以上ストレス抱えたらどうなることやら……

 そんな事を考えながらカルビをひっくり返していると、

 

 「あの……こんばんわ」

 

 透明で優しげな女の声が聞こえて、はっとしてそちらを見た。

 

 「あー来た来た!待ってたわよう」

 

 そこには、美人、綺麗、可愛い、三人の全く違うタイプの美女が並んで立っていた。

 は?誰?なにこいつら。

 

 「ウナちゃん、誕生日、おっめでとう!! あたしからの誕生日プレゼントよっ」

 

 え? ええ??

 

 「ウナちゃんが好きって子、集めちゃったのあたしーきゃー優しいでしょーっ。今日は五人で飲むわよおおぉぉ!」

 

 好き? 僕を? この人達が?

 

 優海は石のように固まったまま、暫くの間フリーズしていた。

 

 

 

 

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